JP3756861B2 - 高周波信号処理回路及びそれを用いた無線電話通信装置 - Google Patents

高周波信号処理回路及びそれを用いた無線電話通信装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無線電話通信装置に使用する高周波信号処理回路とそれに用いる無線電話通信装置に関する。なお、本発明の適用対象となる無線電話通信装置は、無線電話回線網を利用して双方向通信を行なう装置全般を意味し、携帯電話やPHS(Personal Handy phone System)などの一般的な意味での無線電話器はもちろん、端末機能を組み込んだ電話機や逆に電話回線接続機能を有した可搬型コンピュータなどの携帯型端末装置、無線電話回線接続用モデム、及び該モデムを組み込んだ可搬型コンピュータなども概念として包含する。
【0002】
【従来の技術】
上記の無線電話通信装置、例えばデジタル携帯電話において、アンテナと送信回路との接続、及びアンテナと受信回路との接続を切り換えるために、高周波スイッチが用いられている。特に近年ではデジタル携帯電話の普及台数が急激に増加しており、通信方式もGSM、DCS、PCS、PDS、CDMA、UMTS、W−CDMAなど次々と新しい種類のものが開発され、採用されるに至っている。また、加入回線数の増加に伴い、使用する電波の周波数帯域も当初の数100MHz帯から、GHz帯へと拡張しており、通信方式に応じて種々の周波数帯が割り当てられている。
【0003】
ところで、デジタル携帯電話の通信方式は、通信会社、あるいは国や地域によって異なるものが採用されていることが多い。例えば、GSMは欧州にて一般化している方式であるが、米国では類似の方式によりながら使用周波数帯域の異なるDCSが多く採用されている。この場合、DCS対応の携帯電話機は該方式が一般化している米国では支障なく使用できるが、GSMが主流の欧州では使用できないし、逆にGSM対応の電話機は米国での使用ができない、といった不具合が生ずる。これは、通信方式の異なる地域間を旅行等で頻繁に往復する利用者にとっては、常に2台の電話機を持ち歩かねばならないので非常に不便である。また、我が国をはじめ、同一の地域内でも方式の異なる通信方式が並存している場合、同じ利用者が、個々の通信方式の利点を生かすため使い分けを行ないたいという願望も出てくる。さらに、近年では、データ転送速度をより高速化し、グローバルローミングや、動画通信などのより高度なマルチメディア通信にも対応可能な、いわゆる第三世代移動通信(IMT−2000:周波数帯2GHz以上)も普及段階にさしかかり、これらに対応したUMTS、W−CDMA、CDMA2000といった高速通信モードとの切り替え対応も要望されている。
【0004】
そこで、このようなニーズに応えるため、1台の電話機で複数の異なる周波数帯域の送受信系を取り扱うことができるマルチバンド電話機が開発され、普及しつつある。このようなマルチバンド電話機においては、受信信号を各周波数帯域の信号に分離する分波器(ダイプレクサ)が設けられる。このうち、最も高域側の周波数帯域の分波受信信号(以下、高域側分波受信信号という)は、例えばハイパスフィルタ回路により抽出され、その抽出された分波受信信号から、さらに方式毎に割り当てられた使用周波数帯の信号がバンドパスフィルタ回路により抽出される。この割り当て周波数帯は、電波資源の有効活用のため、一般に50〜75MHz程度の狭帯域とされており、バンドパスフィルタ回路もこれに適した狭帯域フィルタ回路が使用される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の方式では、高域側分波受信信号から、狭帯域フィルタ回路により使用周波数帯の信号を抽出するが、その際に、分波受信信号における使用周波数帯よりも高周波側の信号成分(残留信号成分)が、使用周波数抽出信号の波形劣化やノイズ増加を招きやすく、通信品質の低下につながりやすい問題がある。
【0006】
本発明の課題は、使用周波数帯抽出信号の高品質化に好都合な高域側分波受信信号抽出波形を得ることができ、ひいては無線電話通信装置の通信品質の向上に寄与する高周波信号処理回路と、それを用いた無線電話通信装置とを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】
本発明の高周波信号処理回路は、複数の周波数帯域に対応した無線電話通信装置に使用され、回路パターンと誘電体層とが積層された積層体として構成された高周波信号処理回路であって、上記課題を解決するために、
アンテナに接続して使用され、受信信号と送信信号との入出力に共用されるアンテナ側入出力端子と、
アンテナ側入出力端子につながり、アンテナからの受信信号を、複数の周波数帯域に分波するとともに、アンテナへ向かう送信信号の通過を許容した分波回路と、
分波回路につながる基本信号線路と、
基本信号線路から分岐するとともに、それぞれ送信信号又は受信信号の通過を許容した通過状態と、通過が遮断された遮断状態との間で切り替え可能な複数の線路を有し、それら複数の線路が、通過周波数の互いに異なる第一種線路と第二種線路とからなり、かつ、第二種線路は、第一種線路よりも高周波領域の信号を通過させるとともに、第一種線路が全て遮断状態になったとき通過状態となり、それ以外の場合は遮断状態となるものである分岐信号線路とを備え、
基本信号線路は、分波回路にて分波される信号のうち、ハイパスフィルタにより分波される最高周波数帯域の信号が通過する線路とされ、
前記分岐信号線路において、前記第二種線路は前記第一種線路よりも高周波の信号の送受信兼用線路をなすものであり、
該送受信兼用線路をなす第二線路上に、該第二種線路を通過する周波数帯域の信号から、使用周波数帯域よりも高周波側の信号成分を選択的に減衰させる調整用ローパスフィルタ回路が設けられてなることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の無線通信電話装置は、上記本発明の高周波信号処理回路と、
該高周波信号処理回路のアンテナ側入出力端子に接続されるアンテナと、
第二種線路に基づく受信端子に接続され、当該第二種線路に分波される受信信号から使用周波数帯域のものを抽出する第二種線路使用周波数抽出用バンドパスフィルタ回路と、
受信線路をなす第二種線路の受信端子に接続された受信回路と、
送信線路をなす第二種線路の送信端子に接続された送信回路と、を備え、
調整用減衰部は、第二種線路使用周波数抽出用バンドパスフィルタ回路の通過帯域よりも高周波側にカットオフ周波数を有することを特徴する。
【0009】
上記本発明の高周波信号処理回路は、分波回路にて切り分けられた特定周波数帯の受信信号を、基本信号線路を経て分岐信号線路に導くことで、取り扱い可能なバンドの数を効果的に増やすことができる。従って、例えば第三世代移動通信にも対応可能な、トリプルバンド(3帯域)やクワッドバンド(4帯域)、あるいはさらに多くの帯域を扱う通信装置に好適に適用できる。
【0010】
また、上記の分岐信号線路をなす第一種線路と第二種線路とのうち、より高周波域の信号が通過する第二種線路に調整用減衰部を設けたので、該第二種線路を通過する高域側の受信信号から、最終的に使用する使用周波数帯域よりも高周波側の信号成分を減少させることができる。その結果、前記残留信号成分に由来する高域側使用周波数抽出用バンドパスフィルタ回路の抽出波形劣化やノイズ増加といった問題が効果的に抑制され、通信品質の向上を図ることができる。
【0011】
調整用減衰部は、具体的には調整用ローパスフィルタ回路として構成できる。調整用ローパスフィルタ回路は、例えばコンデンサとコイルとの組合せによるパッシブフィルタとして構成でき、コンデンサの静電容量やコイルのインダクタンスといった、集中回路定数素子の定数調整により、取り扱う周波数に合わせて減衰極の位置を容易に最適化でき、また、減衰特性も良好となる利点がある。
【0012】
次に、基本信号線路は、分波回路にて分波される信号のうち、ハイパスフィルタにより分波される最高周波数帯域の信号が通過する線路とすることができる。ハイパスフィルタを通過した信号は高帯域側の極が不明瞭であるから、その最も高周波域が通過する第二種線路上の信号には、使用周波数帯域よりも高周波側の信号成分が特に多く含まれる。従って、調整用減衰部を設けることの効果が特に大きい。
【0013】
第一種線路と第二種線路とは、各々フィルタ回路により分波機能を持たせることも可能であるが、各線路の信号通過/遮断を切り換えるスイッチを、ストリップライン共振子を含むスイッチ回路として構成すれば、ストリップライン共振子の周波数選択性により、フィルタ回路を設けることなく分波機能を実現することができる。
【0014】
第一種線路は、複数帯域への対応あるいは送受信分離等の目的で、複数設けることができる。この場合、それら第一種線路を個別に通過/遮断切り換えするためのスイッチングダイオードを各第一種線路上に設け、各第一種線路からは、スイッチングダイオードを動作制御するために該スイッチングダイオードにバイアス電圧を印加するスイッチング制御端子を分岐して設けることができる。そして、第二種線路から分岐する経路上に、各第一種線路上のスイッチングダイオードと組み合わされることにより、各第一種線路に固有の共振周波数を有するストリップライン共振子を構成する共振用ダイオードを、それらスイッチングダイオードと共用化される形で設けることができる。このように構成すると、各第一種線路をスイッチングするための共振用ダイオードを、第二種線路を利用して共用化でき、部品点数の削減に寄与する。また、共振用ダイオードのカソード側を接地しておけば、スイッチングダイオードに設けるスイッチング制御端子が1つで済み、さらなる回路の簡略化に寄与する。
【0015】
また、第二種線路は、第一種線路よりも高周波の信号の送受信兼用線路をなすものとして構成できる。このようにすると、受信信号だけでなく送信信号も、第二種線路上の調整用減衰部を通ることになる。従って、受信信号と送信信号との双方から、使用周波数帯域より高周波側の信号成分(残留信号成分)を減少させることができるようになる。つまり、1つの調整用減衰部により、送信信号と受信信号の双方において高周波側に減衰をかけることができるので、部品点数の削減に寄与する。
【0016】
なお、上記本発明の高周波信号処理回路は、分波回路及び複数のスイッチ回路の構成部品を、回路パターンと誘電体層とが積層された積層体において、回路パターンに組み込まれた形で内層させることができる。この場合、該積層体の表面にアンテナ側入出力端子と各スイッチ回路の受信端子及び送信入力端子とを露出形成することができる。これにより、部品点数の減少と部品実装の簡略化を実現でき、回路全体のコンパクト化を図ることができるので、例えば内部スペースの限られた携帯電話等にも簡単に組み込むことができる。また、調整用減衰部の構成部品も、積層体において回路パターンに組み込まれた形で内層することができ、同様に部品点数削減及び回路構成のコンパクト化を図ることができる。そして、分波回路、複数のスイッチ回路及び調整用減衰部(例えば調整用ローパスフィルタ回路)の全てについて、構成部品を積層体に内層すればコンパクト化の効果は最も高められる。
【0017】
ここで、「分波回路、複数のスイッチ回路あるいは調整用減衰部の構成部品が積層体に内層される」とは、必ずしも構成部品の全てが内層されることを意味しない。すなわち、ダイオードやトランジスタなどの半導体ディスクリート部品や、ICあるいはLSIなどの集積回路、さらには容量の大きいコンデンサなど、積層体への内層が不向きな一部の部品を、積層体外に配置すること、あるいは積層体の表面に実装することができる。
【0018】
例えば、スイッチ回路を前述のようにスイッチングダイオードとストリップ共振子を含むものとして構成する場合、ダイオードは積層体に表面実装し、該スイッチ回路のストリップ共振子と、分波回路及び調整用減衰部(例えば調整用ローパスフィルタ回路)を積層体に内層することにより、分波回路、調整用減衰部及びスイッチ回路を個別のチップ部品で構成した場合と比較して、高周波信号処理回路の無線電話通信装置内での占有スペースを大幅に削減することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて説明する。
図1は、複数の周波数帯域を扱う無線電話通信装置の一例である、第三世代通信対応のトリプルバンド型デジタル携帯電話機(以下、単に携帯電話機ともいう)の電気的構成を示すブロック図である。携帯電話機1は、I/Oポート11と、これに接続されるCPU12、ROM13及びRAM14等からなる主制御部としての制御用マイクロプロセッサ10を有し、そのI/Oポート11には、テンキー型の周知のプッシュボタンで構成されたダイアル入力部5、携帯電話機1をオンフック状態とオフフック状態との間で切り換えるオンフック/オフフック切換スイッチ6、及び使用周波数帯を切り換えるバンド切換スイッチ7が接続される。また、受話器3はアンプ15とD/A変換器16を介して、送話器4はアンプ17とA/D変換器18とを介して、さらに液晶モニタ(LCD)19がモニタ制御回路20を介して、それぞれI/Oポート11に接続されている。
【0020】
また、I/Oポート11には電話接続回路9が接続されている。該電話接続回路9は、3つの使用周波数帯のうち,低域側のものに対応する第一変調部32A、第一送信部33A(これらは第一送信回路を構成する)、第一受信部35A及び第一復調部36A(これらは第一受信回路を構成する)、中域側のものに対応する第二変調部32B、第二送信部33B(これらは第二送信回路を構成する)、第二受信部35B及び第二復調部36B(これらは第二受信回路を構成する)、及び高域側のものに対応する第三変復調部101及び第三送受信部102(これらは第三受信回路を構成する)、通信搬送波を必要な周波数にて合成する周波数シンセサイザ34、本発明の一実施形態をなす高周波信号処理回路2及びこれに接続されるアンテナ39、高周波信号処理回路2に含まれる分波回路44(図2:後述)を経て、各帯域に分波された分波受信信号から、使用周波数帯域のものを抽出する使用周波数抽出用バンドパスフィルタ回路40A,40B,40C等を含んで構成される。また、図示は省略しているが、電話接続回路9には、ハンドオーバー用の制御用電波発信部も含まれている。
【0021】
上記電話接続回路9の構成要素のうち、高周波信号処理回路2以外の部分は、一般のデジタル携帯電話機と何ら変わりはなく周知であるので、詳細な説明は省略する。また、携帯電話機1の基本動作も周知のものと同様であるが、概略を述べれば以下の通りである。すなわち、送話器4から入力された音声はアンプ17で増幅され、さらにA/D変換器18によりデジタル変換された後、選択された使用周波数帯に対応する変調部(32A又は32B)により変調され、さらに送信部(33A又は33B)にて搬送波と合成・増幅され、高周波信号処理回路2及びアンテナ39から送信される。他方、受信電波はアンテナ39及び高周波信号処理回路2を介して、選択された使用周波数帯に対応する受信部(35A又は35B)で受信され、搬送波成分が取り除かれた後、復調部(36A又は36B)でデジタル音声信号に復調され、D/A変換機16及びアンプ15を介して受話器3から出力される。
【0022】
高周波信号処理回路2は、受信信号と送信信号とを、スイッチ制御用信号(後述するVC1〜VC3:信号制御は制御用マイクロプロセッサ10が行なう)を受けて、時分割方式で切り換える。他方、使用周波数帯の切り替えは、本実施形態ではバンド切換スイッチ7の操作により制御用マイクロプロセッサ10が行なうようにしているが、周波数シンセサイザ34を用いてバンドスキャンを行い、適合する周波数帯に自動切り換えを行なうようにしてもよい。なお、本実施形態では、第一使用周波数帯(バンド)が1GHz未満の通信方式(例えば900MHz帯を使用するGSM方式)に対応するものであり、第二使用周波数帯が1GHz以上の通信方式(例えば1.8GHz帯を使用するDCS1800方式)、第三使用周波数帯が1.9GHz以上の通信方式(例えば2GHz帯を使用するUMTS、W−CDMAあるいはCDMA2000方式)にそれぞれ対応するものである。なお、制御用マイクロプロセッサ10が行なう切換処理は、主として、I/Oポート11における変調部32A/32B及び復調部36A/36Bのポート切換処理、及び周波数シンセサイザ34への指示周波数切換処理等である。
【0023】
次に、図2は、高周波信号処理回路2の電気的構成を示すブロック図である。高周波信号処理回路2は前述の通りアンテナ39に接続して使用されるものであり、アンテナ受信信号とアンテナ送信信号との入出力に共用されるアンテナ側入出力端子ANTを有する。図10に示すように、アンテナ側入出力端子ANTからのアンテナ受信信号(▲1▼)は、分波回路44(図2)において低域側(第一使用周波数帯)の第一分波受信信号(▲2▼)及び高域側(ここでは、中高域側:第二使用周波数帯)の第二分波受信信号(▲4▼)とに分波される。このうち、中高域側の第二分波受信信号は、図2のハイパスフィルタ回路46により抽出・分波され、低域側の第一分波受信信号は同じく分波回路側ローパスフィルタ回路45により抽出・分波される。ハイパスフィルタ回路46及び分波回路側ローパスフィルタ回路45は、本実施形態ではいずれもアナログフィルタ回路(ここではパッシブフィルタ回路であるLCフィルタ回路)にて構成されている。また、第一分波受信信号(▲2▼)は、そのまま低域側分波受信信号として使用され、第二分波受信信号(▲4▼)は、高周波信号処理回路2内の後述する第二スイッチ回路42B(図2)により、中域側分波受信信号と高域側分波受信信号とにさらに分離される。
【0024】
分波回路44からの各周波数帯域の分波受信信号は、アンテナ39に向かう各周波数帯域の送信信号との間で、対応するスイッチ回路42A,42Bにより切り換えられる。スイッチ回路42A,42Bは、携帯電話(図1:無線電話通信装置)1の受信回路(受信部35A/35B、復調部36A/36B、送受信部102、変復調部101)側へ、受信信号をそれぞれ出力する受信端子RX1,RX2,TXRX3と、携帯電話1の送信回路(変調部32A/32B、送信部33A/33B、送受信部102、変復調部101)からの送信信号が入力される送信入力端子TX1,TX2,TXRX3とを有し、アンテナ側入出力部ANTに対する受信端子RX1,RX2と送信入力端子TX1,TX2との接続を切り換えるものである。また、上記説明からも明らかなように、高域側分波受信信号を扱う端子TXRX3は、送受信共用の送受信端子である。
【0025】
そして、スイッチ回路42A,42Bのうち、第二スイッチ回路42B及びその周辺は、図3のように構成されている。すなわち、分波回路44からの1つの線路を基本信号線路201として、該基本信号線路201から、第一種線路202a,202bと第二種線路203とからなる分岐信号線路が分岐している。分岐信号線路202a,202b,203は、各々送信信号又は受信信号の通過を許容した通過状態と同じく通過が遮断された遮断状態との間で切り替え可能とされる。このうち、前記した中域側分波信号が通過するのが第一種線路202a,202b(202aが受信側、202bが送信側)であり、高域側分波信号(第一種線路202a,202bよりも高周波領域の信号)が通過するのが第二種線路203である。第二種線路203は、第一種線路202a,202bが全て遮断状態になったとき通過状態となり、それ以外の場合は遮断状態となる。また、本実施形態では、第二種線路203は高域側分波信号の送受信に兼用されている。
【0026】
第二種線路203上には、該第二種線路203を通過する周波数帯域の信号から、使用周波数帯域よりも高周波側の信号成分を選択的に減衰させる調整用減衰部43が設けられている。図2に示すように、各受信端子RX1,RX2,TXRX3は、各分波受信信号(図10:▲2▼、▲4▼、▲6▼)から使用周波数帯域(図10:▲3▼−δ1、▲5▼−δ2、▲8▼−δ3)のものを抽出する使用周波数抽出用バンドパスフィルタ回路40A,40B,40Cに接続されている。調整用減衰部43は、第二種線路使用周波数抽出用バンドパスフィルタ回路40Cの通過帯域(図10:▲8▼−δ3)よりも高周波側にカットオフ周波数fcを有するものとして構成されている。
【0027】
なお、送信入力端子TX1を介して第一送信部33Aから入力される低域側送信信号は、高周波側のバックグラウンドノイズを第一送信フィルタ回路41A(ローパスフィルタ回路にて構成される)にて除去された後、スイッチ回路42Aに入力される。また、送信入力端子TX2を介して第二送信部33Bから入力される中域側送信信号も、同様の構成の第二送信フィルタ回路41Bにて高周波側のバックグラウンドノイズを除去した後、スイッチ回路42Bに入力されるように構成されている。
【0028】
分波回路44及び複数のスイッチ回路42A,42Bは、図4及び図5に示すように、回路パターンと誘電体層とが積層された積層体80において、構成部品が回路パターンに組み込まれた形で内層されている。そして、該積層体80の表面には、アンテナ側入出力端子ANTと各スイッチ回路42A,42Bの受信端子RX1,RX2,TXRX3及び送信入力端子TX1,TX2,TXRX3とが露出形成されている。これにより、部品点数の減少と部品実装の簡略化が行なわれている。そして、本実施形態においては、調整用減衰部43も積層体80に一体化されており(具体的には分波回路44と同様に回路パターンに組み込まれた形で内層されている)、さらなる部品点数削減及び回路構成のコンパクト化が図られている。
【0029】
図3は、高周波信号処理回路2の詳細を示す回路図である。分波回路44において、分波回路側ローパスフィルタ回路45は、一次ローパスフィルタ回路機能の要部をなすコンデンサC107と、これに並列に挿入されるコンデンサC108及びコイルL106を含む。コンデンサC108及びコイルL106は、通過帯域より高周波側に減衰極を生じさせる(つまり、フィルタ回路の減衰特性を急峻化させる)LC共振型バンドエリミネートフィルタ回路を構成する。本実施形態では、第一使用周波数帯と第二使用周波数帯とを、1GHz前後を境として切り分ける必要があり、コンデンサC107,C108の容量及びコイルL106のインダクタンスも、これに適合するカットオフ周波数及び減衰極位置が得られるように調整される。基本的には、コンデンサC107は、通過帯域では十分インピーダンスが高く、これより高周波側ではインピーダンスが十分低くなるように、容量を調整する。逆に、コイルL106は減衰極の調整機能を十分に果たし、かつ通過帯域の信号を不必要に減衰させないよう、通過帯域では十分インピーダンスが低く、これより高周波側ではインピーダンスが十分高くなるように、インダクタンスを調整する。
【0030】
一方、ハイパスフィルタ回路46は、一次ハイパスフィルタ回路機能の要部をなすコンデンサC207,C208と、これに並列に挿入されるコンデンサC209及びコイルL206を含む。コンデンサC209及びコイルL206は、通過帯域より低周波側に減衰極を生じさせるLC共振型バンドパスフィルタ回路を構成する。コンデンサC207,C208は、通過帯域では十分インピーダンスが低く、これより低周波側ではインピーダンスが十分高くなるように、容量を調整する。他方、コイルL206は、通過帯域では十分インピーダンスが高く、これより低周波側ではインピーダンスが十分低くなるように、インダクタンスを調整する。
【0031】
また、第一送信フィルタ回路41A(及び第二送信フィルタ回路41B)も、コンデンサC101〜C103とコイルL101により、分波回路側ローパスフィルタ回路45と同様に構成されている。
【0032】
次に、第一スイッチ回路42Aは、基本的にストリップライン共振子を内蔵したダイオードスイッチとして構成されている。スイッチ機能の要部を担うのは、送信入力端子TX1から見て、アンテナ側入出力端子ANT及び受信端子RX1に各々向かう経路の分岐点Aよりも上段に配置されたスイッチングダイオードD1と、受信端子RX1側において分岐点Aよりも下段に配置された、ストリップライン共振子を構成する共振用ダイオードD2である。
【0033】
スイッチングダイオードD1は例えばPINダイオードで構成され、順方向バイアス電圧の印加レベルにより、高周波可変抵抗素子として機能するものである。すなわち、スイッチ制御用信号端子VC1に閾値以上の電圧を与えると、スイッチングダイオードD1は高周波に対し低インピーダンス状態となり、送信入力信号がアンテナ側入出力端子ANT側へ流れることが許容される。このとき、共振用ダイオードD2の接合容量がストリップライン共振子の共振条件に適合する値となるようにVC1を調整すれば、該共振子の動作により分岐点Aのインピーダンスが高くなり、送信入力信号が受信端子RX1側に流れることが阻止される。なお、共振用ダイオードD2のカソード側は、調整抵抗R1を介して接地されている。
【0034】
一方、VC1の電圧を閾値以下に小さくすれば、スイッチングダイオードD1は高周波に対し高インピーダンス状態となり、送信入力信号がアンテナ側入出力端子ANT側へ流れることが阻止される。このとき、共振用ダイオードD2を有するストリップライン共振子も動作しないから、分岐点Aのインピーダンスは低くなる。その結果、アンテナ側入出力端子ANTからの受信入力信号は、分岐点Aを経て受信端子RX1に流れることが許容される。このように、VC1の電圧を調整することにより、アンテナ側入出力部ANTに対する受信出力部RXと送信入力部TX1との接続を切り換えることができる。
【0035】
なお、端子VC1側に設けられたコイルL1は、送信入力信号がVC1側に逆流することを阻止するチョークコイルである。コンデンサC2,C5は端子VC1に入力されるスイッチ制御用信号のノイズ除去用である。また、コンデンサC3は直流成分除去用のものであるが、これは積層体80の表面に実装すること(あるいは、省スペースや組立て工数削減等の効果においては劣るが、積層体80の外に設けること)も可能である。他方、抵抗R1は、スイッチングダイオードD1の抵抗変化が順方向電流値によって決まるため、該順方向電流値をスイッチング動作に適合させるための調整用抵抗として設けられたものである。なお、受信端子RX1側の線路には、受信帯域の通過特性を向上させるために、通過帯域波長の1/4線長を有するショートスタブ形の調整用配線部(λ/4)1(バンドパスフィルタの機能を有する)が配置されている(ここでは、分岐点Aと共振用ダイオードD2との間)。
【0036】
次に、第二スイッチ回路42Bも、基本的には第一スイッチ回路42Aと同じ原理のストリップライン共振子を内蔵したダイオードスイッチとして構成されているが、第一種線路202a,202b及び第二種線路203の分波機能が実現するように、次のように拡張構成されている。すなわち、受信用の第一種線路202aと送信用の第一種線路202bとを個別に通過/遮断切り換えするためのスイッチングダイオードD3,D4が,各第一種線路上202a,202bに設けられている。これら第一種線路からは、スイッチングダイオードをD3,D4を独立して動作制御するために、該スイッチングダイオードD3,D4にそれぞれバイアス電圧を印加する、スイッチング制御端子VC2,VC3が分岐して設けられている。そして、第二種線路203から分岐する経路上には、各第一種線路202a,202b上のスイッチングダイオードD3,D4と組み合わされることにより、各第一種線路202a,202bに固有の共振周波数を有するストリップライン共振子を構成する共振用ダイオードD5が、それらスイッチングダイオードD3,D4と共用化される形で設けられている。本実施形態では、第一種線路202a,202b上のスイッチングダイオードD3,D4が、それぞれチョークコイルL2,L3、ノイズ除去用コンデンサC52,C53とともに、個別のスイッチング側ユニット101,102を構成している。また、第二種線路203上の共振用ダイオードD5が、調整用抵抗R4とノイズ除去用コンデンサC54とともに、スイッチング側ユニット101,102に共用される共振側ユニット103を構成している。
【0037】
また、各第一種線路202a,202bには、第一種線路202a,202bを通過する高周波信号のアイソレーション特性を改善するために、スイッチングダイオードD3,D4には、これと並列にコイルL301,L302が接続されている。前述の通り、スイッチングダイオードD3,D4はPINダイオードとして構成され、コイルL301,L302はそれぞれPINダイオードの静電容量と結合して、スイッチOFF時に、第一種線路202a,202bを通過させるべき中域側分波信号の周波数帯域におけるインピーダンスを高める役割を果たす。なお、コイルL301,L302に対し直列に挿入されたコンデンサC301,C302は、スイッチON時(つまり、順方向バイアス時)における直流的短絡を阻止する役割を果たす。さらに、受信端子RX2側の線路には、(λ/4)1と同様の調整用配線部(λ/4)2が配置されている(ここでは、チョークコイルL2と、バイパスコンデンサC305(低域カットオフ特性向上の役割も果たす)との間)。
【0038】
上記のように構成された第二スイッチ回路42Bは、以下のように動作する。すなわち、受信側の第一種線路202aを介して信号受信する際には、端子VC2への順方向バイアス電圧を閾値以上に設定し、送信側の第一種線路202bの端子VC3への順方向バイアス電圧を閾値以下とする。これにより、スイッチング側ユニット101と共振側ユニット103とが結合して、受信側の第一種線路202aへの信号の通過が許容される(すなわち、スイッチONとなる)。他方、送信側の第一種線路202bは信号の通過が遮断される(すなわち、スイッチOFFとなる)。また、送信側の第一種線路202bを介して信号送信する際には、端子VC3への順方向バイアス電圧を閾値以上に設定し、受信側の第一種線路202aの端子VC2への順方向バイアス電圧を閾値以下とする。これにより、スイッチング側ユニット102と共振側ユニット103とが結合して、送信側の第一種線路202bへの信号の通過が許容され、受信側の第一種線路202aは信号の通過が遮断される。
【0039】
このとき、第二種線路203を通過する信号(高域側分波信号)の周波数(以下、第二周波数という)は、第一種線路202a,202bを通過する信号(中域側分波信号)の周波数(以下、第一周波数という)よりも高周波なので、ストリップライン共振子の作用により、第一種線路202a,202bの分岐点JBのインピーダンスは、第二周波数においては高インピーダンスとなり、当該信号の第二種線路203への通過は遮断される。一方、第一種線路202a,202bの端子VC2,VC3がいずれも閾値以下となっている場合は、スイッチングダイオードD3,D4がいずれも高インピーダンスとなり、ストリップライン共振子も動作しないから、第二種線路203への第二周波数の信号の通過が許容される。
【0040】
図3の回路素子は、半導体デバイスであるダイオードを除いては、図5に示すように、導電体層からなる回路パターン53〜55により積層体80内に作りこむこと(内層すること)ができる。例えば、抵抗器55は、図6に示すように、蛇行した細長い導電体層パターンにより形成できる。コンデンサ54は、図7に示すように、誘電体層50を間に挟む形で対向する電極板55a,55bにより形成できる。さらに、コイル53は、複数の誘電体層50にまたがる巻線パターン53aを層間ビア59により接続する形で形成できる。他方、誘電体層50は、例えばホウケイ酸塩鉛ガラスとアルミナからなるガラスセラミック等のセラミックで構成される。積層体80は、誘電体層50の原料となるセラミックグリーンシート上に、導電性ペーストを用いて回路パターンを厚膜印刷し、積層して焼成する方法により製造される。これらは周知の技術であるから、詳細な説明は省略する。
【0041】
なお、ダイオードを始めとする半導体デバイスや、大容量コンデンサあるいは抵抗値の高い抵抗素子など、厚膜印刷による回路パターン形成では実現しにくい素子は、図4に示すように、積層体80に表面実装あるいは埋め込み実装される外付け素子51として設けることができる(あるいは、積層体80とは分離して主基板に取り付けるようにしてもよいが、省スペースの観点や組立て工数の削減という観点においては、上記のように積層体80に一体化しておくことが望ましい)。
【0042】
また、本実施形態では、図5に示すように、ストリップライン共振子に含まれるチョークコイル53(図3のL1,L2,L3)、積層体80の積層方向における少なくとも片側、本実施形態では両側に、当該コイル53と対向する電極板56が設けられている。そして、それらコイル53と電極板56との間に位置する誘電体層50に、調整用ローパスフィルタ回路43の構成要素をなすコンデンサ54(図11のC401)が組み込まれている。近年、高周波スイッチ用の積層体80は、部品規格統合の一環としてインピーダンスの統一化が進められており、積層体80全体のインピーダンスレベルを、ある指定値(例えば50Ω)に合わせ込むことが義務付けられるようになってきている。しかしながら、回路パターンの線幅や、作りこまれた素子あるいは接地用電極板などの位置関係によっては寄生キャパシタンスが生じ、インピーダンスの増加を生ずることがある。特に、導電体の分布面積が大きくなりがちなコイル53と接地用等に用いられる大面積の電極板56との間には、高容量の寄生キャパシタンスが生じやすい。従って、上記のインピーダンスを指定値に合わせるには、寄生キャパシタンスを小さくするために、コイル53と電極板56との距離を一定以上に大きく設定すること(例えば150μm以上)が必要となる。この場合、そのままではコイル53と電極板56との間の誘電体層50がデッドスペースとなり、積層体80のサイズが大きくなってしまう問題がある。これは、近年小型化の傾向が著しい携帯電話機の分野では明らかに不利である。そこで、調整用ローパスフィルタ回路43の構成要素をなすコンデンサ54を該誘電体層50内に組み込めば、デッドスペースの発生が解消され、積層体80のコンパクト化を図ることができる。
【0043】
図2に戻り、受信端子RX1,RX2に接続される使用周波数抽出用バンドパスフィルタ回路40A,40B,40Cは、本実施形態ではいずれも弾性表面波共振器を含んで構成された狭帯域フィルタ回路として構成されている。図9は、そのようなフィルタ回路の一例を示すもので、弾性表面波共振器としてインターディジタルトランスデューサ型(以下、IDT型略称する)共振器が使用されている。IDT共振器は、圧電性セラミック板上に形成された多数対のすだれ状電極の上を、反射・透過しながら伝播する弾性表面波による共振現象を利用するものであり、これを組み込んだ図9のバンドパスフィルタ回路は、その共振周波数の近傍に非常に鋭い狭帯域通過特性を示すものとなる。なお、弾性表面波共振器及びこれを含んだ図9のフィルタ回路自体は、文献(Proc. IEEE, 64, 5, p.685 (1976))により公知になっているので、これ以上の詳細な説明は省略する。なお、IDT型共振器に代えて、キャビティ型共振器を用いた狭帯域フィルタ回路を用いてもよい。
【0044】
このような狭帯域フィルタ回路にて構成された使用周波数抽出用バンドパスフィルタ回路40A,40B,40Cにより、図10の▲2▼、▲4▼、▲6▼に示すように、受信端子RX1,RX2,TXRX3に出力される、各分波受信信号から、狭い帯域幅δ1、δ2(▲3▼、▲5▼)あるいはδ3(▲8▼)の使用周波数帯域の信号が抽出される。本実施形態においては、第二種線路203を通過する高域側分波信号は1GHz以上(ないし1.9GHz以上)の高周波帯域であり、割り当てられた帯域幅も非常に狭く、使用する狭帯域フィルタ回路も、上記1GHz以上の高周波域にて、通過帯域幅を50〜75MHz程度の範囲に収めなければならない(通過帯域幅が50MHz以下では、使用周波数帯域の信号を、余裕を持って抽出することが困難となり、75MHz以上ではノイズの増加につながる)。しかし、圧電セラミックの表面弾性波を用いた狭帯域フィルタは、分波信号における使用周波数帯よりも高周波側の信号成分(残留信号成分)を十分に除去することができないことがあり、この場合、使用周波数帯抽出信号の波形劣化やノイズ増加を招きやすく、通信品質の低下につながる。
【0045】
そこで、図10の▲7▼に示すように、調整用減衰部43により、バンドパスフィルタ回路40Bの通過周波数(中心値)の2倍以上に設定されたカットオフ周波数fc(2GHz帯を使用する場合は、3.6GHz以上)以上の信号成分を予め除去した後、▲8▼に示すように、使用周波数帯域の信号を抽出すれば、上記のような不具合を効果的に解消することができる。
【0046】
図11に示すように、調整用減衰部43は、コンデンサC401,C402,C403とコイルL401とにより、分波回路側ローパスフィルタ回路45と同様の調整用ローパスフィルタ回路として構成することができる。調整用ローパスフィルタ回路43は、アンテナ39になるべく近づけて配置することで、装置内にて配線等が拾うノイズが送信信号に残留しにくくする効果が得られる。本実施形態においては、図3に示すように、調整用ローパスフィルタ回路43は、第一種線路202a,202bとの分岐点JBと、ストリップライン共振子をなす共振用ダイオードD5の分岐点JCとの間に設けられている。
分波回路側ローパスフィルタ回路45とハイパスフィルタ回路46は、分波用に設計されたLCフィルタであるため、通過帯域の重なりがなるべく生じないように回路定数設計がなされる。換言すれば、図3において、分波回路側ローパスフィルタ回路45における接地側への通過特性と、ハイパスフィルタ回路46のスイッチ42B側への通過特性とがおおむね等しくなるように、各コイル及びコンデンサの定数が定められる。このことは、両フィルタ回路45,46への分岐点JAから見た、各フィルタ回路45,46の入力インピーダンスが互いに略等しくなることを意味する。
【0047】
ここで、図3のように、調整用ローパスフィルタ回路43を、第一種線路202a,202bとの分岐点JBと、ストリップライン共振子をなす共振用ダイオードD5の分岐点JCとの間に配置すれば、該調整用ローパスフィルタ回路43の追加によるインピーダンス変化の影響が分岐点JAに及びにくくなる。これにより、分波回路側ローパスフィルタ回路45とハイパスフィルタ回路46とにそれぞれ向かう分波信号のレベルを揃えることができ、使用するバンドによって感度が変化したりする不具合も生じ難い。
【0048】
また、図3では、調整用ローパスフィルタ回路43とハイパスフィルタ回路46とは他の回路要素を介することなく直結配線されている。このようにすることで、両回路43,46間の配線距離が短くなり、配線による寄生キャパシタンスや寄生インダクタンスのフィルタ特性への影響を大幅に軽減することができる。
【0049】
なお、図12に示すように、調整用減衰部は、第二種線路を通過する高周波信号の波長をλとしたとき、線路長がλ/4に設定された調整用線路部43とすることもできる。該調整用線路部43は、例えばショートスタブとして形成すればバンドパスフィルタ機能を示し、本発明において必要な調整用減衰部の機能を実現できる。該構成は、図11のような調整用ローパスフィルタ回路を積極形成する場合と比較して、減衰特性向上効果や極調整の利便性は多少損なわれるものの、集中回路定数素子の数を減らすことができ、回路構成を簡略化できる利点がある。例えば、図3においては、調整用線路部43は、第一種線路202a,202bとの分岐点JBと、ストリップライン共振子をなす共振用ダイオードD5の分岐点JCとの間にて、線路長がλ/4のショートスタブを構成している。
【0050】
調整用線路部43は、直線状に形成してもよいが、図13のようにメアンダ状に形成したり、図14のようにコイル状に形成することもできる(図14の場合、図8の基板内層型のコイルと同様に構成できる)。このようにすると、例えば接地用の電極板56と調整用線路部43との間に生ずる寄生キャパシタンス(等価回路的には、線路と接地との間に挿入される)により、ローパスフィルタ的な機能が高められ、減衰特性が向上する。また、調整用線路部43をコイル状に形成した場合は、コイル状に形成したことによる寄生インダクタンスも大きくなり、これが前述の寄生キャパシタンスとローパスフィルタ的に結合するので、減衰特性向上効果がより高められる。
【0051】
なお、上記の実施形態においては、スイッチ回路をすべてダイオードスイッチとして構成したが、これを、HEMT(High Electron Mobility Transistor)やHBT(Hetrojunction Bipolar Transistor)などの高周波用高速トランジスタの組み合わせにより構成してもよく、これらトランジスタを線路と共に半導体基板(例えばGaAs基板)上に集積した高周波ICとしてスイッチ回路を構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の無線電話通信装置の一実施形態を示す携帯電話機の全体構成を示すブロック図。
【図2】その高周波信号処理回路のブロック図。
【図3】図2の高周波信号処理回路の詳細を示す回路図。
【図4】積層体として構成された高周波信号処理回路の外観の一例を示す斜視図。
【図5】積層体の構造の一例を示す断面模式図。
【図6】積層体における抵抗器の形成態様を示す模式図。
【図7】同じくコンデンサの形成態様を示す模式図。
【図8】同じくコイルの形成態様を示す模式図。
【図9】弾性表面波共振器を含んで構成された狭帯域フィルタ回路の一例を示す図。
【図10】本発明の高周波信号処理回路の作用説明図。
【図11】調整用減衰部を調整用ローパスフィルタとして構成した例を示す図。
【図12】調整用減衰部を調整用線路部として構成した例を示す図。
【図13】調整用線路部の具体例を示す図。
【図14】調整用線路部の別の具体例を示す図。
【符号の説明】
1 デジタル携帯電話機(無線電話通信装置)
32A,32B 変調部(送信回路)
33A,33B 送信部(送信回路)
35A,35B 受信部(受信回路)
36A,36B 復調部(受信回路)
39 アンテナ
40A,40B,40C 使用周波数抽出用バンドパスフィルタ回路
42A,42B スイッチ回路
43 調整用減衰部
44 分波回路
46 ハイパスフィルタ回路
101 変復調部
102 送受信部
RX1,RX2 受信端子
TX1,TX2 送信端子
TXRX3 送受信端子
ANT アンテナ側入出力端子
201 基本信号線路
202a,202b 第一種線路
203 第二種線路
D3,D4 スイッチングダイオード
VC2,VC3 スイッチング制御端子
D5 共振用ダイオード

Claims (9)

  1. 複数の周波数帯域に対応した無線電話通信装置に使用され、回路パターンと誘電体層とが積層された積層体として構成された高周波信号処理回路であって
    アンテナに接続して使用され、受信信号と送信信号との入出力に共用されるアンテナ側入出力端子と、
    該アンテナ側入出力端子につながり、前記アンテナからの受信信号を、複数の周波数帯域に分波するとともに、前記アンテナへ向かう送信信号の通過を許容した分波回路と、
    前記分波回路につながる基本信号線路と、
    前記基本信号線路から分岐するとともに、それぞれ送信信号又は受信信号の通過を許容した通過状態と、通過が遮断された遮断状態との間で切り替え可能な複数の線路を有し、それら複数の線路が、通過周波数の互いに異なる第一種線路と第二種線路とからなり、かつ、前記第二種線路は、前記第一種線路よりも高周波領域の信号を通過させるとともに、前記第一種線路が全て遮断状態になったとき通過状態となり、それ以外の場合は遮断状態となるものである分岐信号線路とを備え、
    前記基本信号線路は、前記分波回路にて分波される信号のうち、ハイパスフィルタにより分波される最高周波数帯域の信号が通過する線路とされ、
    前記分岐信号線路において、前記第二種線路は前記第一種線路よりも高周波の信号の送受信兼用線路をなすものであり、
    該送受信兼用線路をなす第二線路上に、該第二種線路を通過する周波数帯域の信号から、使用周波数帯域よりも高周波側の信号成分を選択的に減衰させる調整用ローパスフィルタ回路が設けられてなることを特徴とする高周波信号処理回路。
  2. 前記積層体内に組み込まれた接地用電極板とコイルとの間に、前記調整用ローパスフィルタ回路の構成要素をなすコンデンサが組み込まれている請求項1記載の高周波信号処理回路。
  3. 前記調整用減衰部は、前記第二種線路を通過する高周波信号の波長をλとしたとき、線路長がλ/4に設定された調整用線路部である請求項1記載の高周波信号処理回路。
  4. 前記調整用線路部がコイル状に形成される請求項3記載の高周波信号処理回路。
  5. 前記調整用ローパスフィルタ回路と前記ハイパスフィルタ回路とが、他の回路要素を介することなく直結配線されている請求項4記載の高周波信号処理回路。
  6. 前記第一種線路が複数設けられ、それら第一種線路を個別に通過/遮断切り換えするためのスイッチングダイオードが各第一種線路上に設けられるとともに、各第一種線路からは、前記スイッチングダイオードを動作制御するために該スイッチングダイオードにバイアス電圧を印加するスイッチング制御端子が分岐して設けられ、
    他方、前記第二種線路から分岐する経路上に、各第一種線路上のスイッチングダイオードと組み合わされることにより、各第一種線路に固有の共振周波数を有するストリップライン共振子を構成する共振用ダイオードが、それらスイッチングダイオードと共用化される形で設けられている請求項1ないし5のいずれか1項に記載の高周波信号処理回路。
  7. 前記共振用ダイオードはカソード側が接地されている請求項6記載の高周波信号処理回路。
  8. 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の高周波信号処理回路と、
    該高周波信号処理回路の前記アンテナ側入出力端子に接続されるアンテナと、
    前記第二種線路に基づく受信端子に接続され、当該第二種線路に分波される受信信号から使用周波数帯域のものを抽出する第二種線路使用周波数抽出用バンドパスフィルタ回路と、
    受信線路をなす前記第二種線路の受信端子に接続された受信回路と、
    送信線路をなす前記第二種線路の送信端子に接続された送信回路と、を備え、
    前記調整用減衰部は、前記第二種線路使用周波数抽出用バンドパスフィルタ回路の通過帯域よりも高周波側にカットオフ周波数を有することを特徴とする無線電話通信装置。
  9. 前記第二種線路使用周波数抽出用バンドパスフィルタ回路は、1GHz以上の周波数域に50〜75MHzの通過帯域幅を有する、弾性表面波共振器を含んで構成された狭帯域フィルタ回路である請求項8記載の無線電話通信装置。
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