JP3905468B2 - 高周波信号処理回路用積層体及びそれを用いた無線電話端末 - Google Patents

高周波信号処理回路用積層体及びそれを用いた無線電話端末 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無線電話端末に使用する高周波信号処理回路用積層体とそれを用いた無線電話端末に関する。なお、本発明の適用対象となる無線電話端末は、無線電話回線網を利用して双方向通信を行なう装置全般を意味し、携帯電話機やPHS(Personal Handy phone System)などの一般的な意味での無線電話器はもちろん、端末機能を組み込んだ電話機や逆に電話回線接続機能を有した可搬型コンピュータなどの携帯型端末装置、無線電話回線接続用モデム、及び該モデムを組み込んだ可搬型コンピュータなども概念として包含する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開2000−165274号公報
【特許文献2】
特開2001−185902号公報
【0003】
上記の無線電話端末、例えばデジタル携帯電話機において、アンテナと送信回路との接続、及びアンテナと受信回路との接続を切り替えるために、高周波スイッチが用いられている。特に近年ではデジタル携帯電話機の普及台数が急激に増加しており、通信規格も次々と新しい種類のものが設定され、採用されるに至っている。また、加入回線数の増加に伴い、使用する電波の周波数も当初の数100MHz帯から、GHz帯へと拡張しており、通信方式に応じて種々の通信波数帯(バンド)が割り当てられている。
【0004】
デジタル携帯電話機の通信方式は、通信会社、あるいは国や地域によって異なるものが採用される。当然、通信方式の異なる地域間を旅行等で頻繁に往復する利用者にとっては、各方式に対応した電話機を何台も持ち歩くのは不便であるし、我が国をはじめ、同一の地域内でも方式の異なる通信方式が並存していることもあるので、同じ利用者が、個々の通信方式の利点を生かすため使い分けを行ないたいという願望も出てくる。そこで、このようなニーズに応えるため、1台の電話機で複数の異なるバンドの送受信系を取り扱うことができるマルチバンド電話機が開発され、普及しつつある(特許文献1、特許文献2)。
【0005】
このようなマルチバンド電話機においては、受信信号を高域側信号と低域側信号とに分離する分波回路(ダイプレクサ)が設けられ、分波後の高域側信号と低域側信号とは、それぞれ独立したスイッチ回路により、時分割方式で送受信が切り替えられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来、携帯電話のアンテナスイッチには、PINダイオードを用いたスイッチ回路が用いられてきた。PINダイオードを用いた高周波のスイッチングでは、制御電圧が順バイアスのときはPINダイオードが低インピーダンス状態となり、同じく逆バイアス時には、PINダイオードが小容量のコンデンサと等価な高インピーダンス状態となることを利用する。このため、PINダイオードの周辺にはバイアス回路の一部をなすコイルやコンデンサが必要となり、回路が複雑化する欠点がある。
【0007】
また、逆バイアス時においては、通信周波数が高くなるにつれてアイソレーション特性が損なわれやすい問題がある。これは、スイッチ回路に使用するPINダイオードの静電容量に由来した逆方向バイアス時のリアクタンス成分が、周波数が高くなるほど小さくなって、信号がPINダイオードを通過しやすくなるためである。以下、携帯電話における問題点を具体的に説明する。
【0008】
すなわち、携帯電話機の加入者の数は年々増加する一方であり、加入者の増加に伴って回線が不足気味となる国や地域では新たな周波数帯が割り当てられ、複数の周波数帯でサービスが行なわれるようになっている。例えば、全世界で採用されている携帯電話機の規格の一つにGSM(Global System for Mobile Communication)がある。これは、当初は欧州にて一般化していた方式であるが、近年では使用地域が大幅に拡大し、地域毎に周波数帯と名称の異なる何種類ものGSM方式が乱立している。北米ではGSM850、欧州、東南アジア、中近東、中国、南米、アフリカではEGSM(Extend Global System for Mobile Communication:GSM900ともいう)が採用されている。また、ヨーロッパや北米では、類似の方式によりながら通信周波数帯の異なるDCS(Digital Cellular System:GSM1800ともいう)やPCS(Personal Communications Service:GSM1900ともいう)も使用されている。
【0009】
マルチバンド電話機では、例えばGSM850やEGSMなどを低域側周波数帯として取り扱い、DCSやPCSは高域側周波数帯として取り扱うことになるが、前者が1GHz未満の比較的低い周波数帯であるのに対し、後者は1.5GHzを超える高周波帯域である。この程度の周波数の開きがある場合、同じ設計のPINダイオードスイッチ回路を適用すると、後者の周波数帯でのOFF時のアイソレーション特性は、前者の周波数帯での値と比べて10dB以上も悪化することがある。そのため、高域側周波数帯用のPINダイオードスイッチ回路では、アイソレーションを確保するためにPINダイオードと並列にコイルを挿入することが行なわれている。これにより、PINダイオードの静電容量とコイルのインダクタンスとにより並列共振器が形成され、希望する周波数でのインピーダンスを高めることができる。
【0010】
しかし、この方法には次のような欠点がある。
▲1▼並列共振器用のコイルを外付けすると部品点数が増え、また、基板中に内層する場合は、コイルの占有スペースが大きいため、基板サイズが肥大化する。ただでさえ競争の激しい携帯電話の分野では、これらはコスト的に大きな不利となる。また、基板中に大きなコイルを内層するとノイズを拾いやすくなったり、他の導体層との間で寄生キャパシタンスを発生しやすくなったりするなどの問題も生じやすくなるので、設計上の制約も大きくなる。
▲2▼並列共振器の周波数特性は、共振周波数に極を有するノッチ型の鋭い形状となるため、該共振周波数近傍の狭い周波数帯域でしかみインピーダンスを高める効果が得られない。従って、通信周波数帯の全域において必ずしも一様なアイソレーション向上効果が期待できない場合がある。
【0011】
本発明の課題は、分波回路により受信信号を高域側信号と低域側信号とに分離してスイッチングを行なう際に、スイッチ回路のコンパクト化と高アイソレーション特性とを両立でき、しかも全体を安価に構成できる高周波信号処理回路用積層体と、それを用いた無線電話端末とを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】
複数の通信周波数帯間で切り替え可能な無線電話端末に使用される高周波信号処理回路用積層体であって、
アンテナに接続して使用され、受信信号と送信信号との入出力に共用されるアンテナ側入出力端子と、
前記アンテナ側入出力端子につながり、前記アンテナを介して受信する受信信号を、高域側信号と低域側信号とに分離する分波回路と、
前記高域側信号を取り扱うために設けられ、前記分波回路からの、前記高域側信号の周波数帯に属する分波受信信号を前記無線電話端末の受信回路側へ出力する受信出力端子と、前記無線電話端末の送信回路からの前記高域側信号の周波数帯に属する送信出力信号が入力される送信入力端子とを備え、それら受信出力端子と送信入力端子との前記アンテナ側入出力端子に対する接続を切り替えるとともに、当該切り替えを行なうスイッチ素子としてGaAs系電界効果トランジスタからなる高周波用化合物半導体トランジスタを用いる高域側スイッチ回路と、
前記低域側信号を取り扱うために設けられ、前記分波回路からの、前記低域側信号の周波数帯に属する分波受信信号を前記無線電話端末の受信回路側へ出力する受信出力端子と、前記無線電話端末の送信回路からの前記低域側信号の周波数帯に属する送信出力信号が入力される送信入力端子を備え、それら受信出力端子と送信入力端子との前期アンテナ側入出力端子に対する接続を切り替えるとともに、当該切り替えを行うスイッチ素子としてPINダイオードを用いる低域側スイッチ回路とを有し、
前記分波回路がハイパスフィルタ回路とローパスフィルタ回路とからなり、
前記ハイパスフィルタ回路及び前記ローパスフィルタ回路はコイルおよびコンデンサを含むものであり、
前記ハイパスフィルタ回路は、前記GaAs電界効果トランジスタを用いた前記高域側スイッチ回路への入力経路上に設けられたコンデンサと、該入力経路から接地側へ分岐する経路上に設けられたコイルとを有するとともに、
前記コンデンサ及びコイルを形成する回路パターンと誘電体層とが積層された積層体として構成され、
前記高域側スイッチ回路に含まれる前記高周波用化合物半導体トランジスタが前記積層体の表面に実装され、
前記ハイパスフィルタ回路及び前記ローパスフィルタ回路のうちの少なくともいずれかの構成要素をなすコイルの回路パターンの、前記積層体の積層方向における少なくとも片側に、当該コイルの回路パターンと対向する接地用電極板が設けられてなり、前記コイルの回路パターンと接地用電極板との間に位置する誘電体層に、前記ハイパスフィルタ回路及びローパスフィルタ回路のうち少なくともいずれかの構成要素をなすコンデンサの回路パターンが組み込まれていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の無線電話端末は、上記本発明の高周波信号処理回路と、
該高周波信号処理回路のアンテナ側入出力端子に接続されるアンテナと、
複数の受信出力端子に個別に接続された端末受信帯抽出用バンドパスフィルタ回路及び受信回路と、
送信入力端子に接続される送信回路と、
を備えたことを特徴とする。
【0014】
上記本発明においては、分波回路により分離された高域側信号と低域側信号のうち、高域側信号を取り扱う高域側スイッチ回路のスイッチ素子を高周波用化合物半導体トランジスタにて構成し、低域側信号を取り扱う低域側スイッチ回路のスイッチ素子をPINダイオードにて構成した。高周波用化合物半導体トランジスタは高周波数帯、特に1.5GHzを超える周波数帯においても、PINダイオードスイッチ回路と比べ、はるかに広い周波数領域で良好なアイソレーション特性を確保でき、また、PINダイオードスイッチ回路では必須だった並列共振子や、バイアス回路形成用の周辺コンデンサやコイルも不要である。従って、高域側スイッチ回路の構成が大幅に簡略化され、コイルの外付けや基板への内層も必要でなくなるので、スイッチ回路のコンパクト化と、通信周波数全帯域での高アイソレーション特性確保とを両立できる。他方、低域側スイッチ回路は、信号周波数が低いため(例えば1GHz未満)、PINダイオードを用いた回路を使用してもアイソレーションは十分に確保できる。従って、低域側スイッチ回路をPINダイオードスイッチ回路として構成することで、高価な高周波用化合物半導体トランジスタの使用個数が削減でき、高周波信号処理回路全体を安価に構成することができる。
【0015】
特に低域側スイッチ回路は、信号周波数が低いため、高域側スイッチ回路と比較すれば、PINダイオードの静電容量が形成するOFF時のリアクタンスが十分高く、並列共振子を用いなくとも良好なアイソレーション特性を得ることができる。従って、PINダイオードと並列なインダクタが設けられていない構成とすることができ、低域側スイッチ回路ひいては高周波信号処理回路全体のコンパクト化及びコスト削減に寄与できる。
【0016】
高周波用化合物半導体トランジスタは、具体的には化合物半導体電界効果トランジスタにて構成することができる。例えば、GaAs系電界効果トランジスタには、GaAs系MESFET(Metal-Semiconductor Field Effect Transistor)及びHEMT(High Electron Mobility Transistor)などがあり、いずれも無線電話端末が取り扱う800〜3GHzの送受信信号の切替スイッチに用いた場合、ON導通時には通過させるべき高周波送受信信号の低雑音性と高利得とを両立でき、また、OFF遮断時のアイソレーション特性も極めて高いので、本発明に好適に使用できる。GaAs系MESFETは、モノリシックICプロセスによる複数素子の集積化も容易であり(例えばMMIC(Monolithic Microwave Integrated Circuit)、回路の小型化にも有効である。他方、GaAs系HEMTは、GaAs系化合物半導体(AlGaAs、InGaAsを含む)のヘテロ接合により形成される量子的な二次元電子ガス層を電流チャネルとして用いた一種の電界効果型トランジスタであり、電子移動度が極めて高い。このため、高周波域における雑音指数が非常に小さく利得も高い特徴がある(例えば、12GHzでの雑音指数:0.41dB、利得:13dB)。なお、これ以外のデバイスとしては、HBT(Heterobipolar Transistor)を採用することも可能である。
【0017】
上記本発明の高周波信号処理回路は、高域側スイッチ回路を以下のように構成することができる。すなわち、高域側信号の周波数帯域に属する複数の通信周波数帯であって、一方の通信周波数帯の端末受信帯と他方の通信周波数帯の端末送信帯との間で重なりを有する2つの通信周波数帯を含んだ複数の通信周波数帯を取り扱うものとする。また、複数の通信周波数に個別に対応した複数の受信出力端子を有する。それら受信出力端子は、それぞれ、各受信出力端子の端末受信帯に対応した通過周波数帯域を有する個別の端末受信帯抽出用バンドパスフィルタ回路を接続することができる。そして、送信入力端子がアンテナ側入出力端子に接続された送信接続モードと、受信出力端子がアンテナ側入出力端子に接続された受信接続モードとの間で相互切り替えを行なうとともに、受信接続モードにおいては、受信出力端子のうち、使用する通信周波数帯に対応するものを1つ選択してアンテナ側入出力端子に接続するものとする。
【0018】
例えば、トリプルバンド型あるいはクワッドバンド型無線電話端末などにおいて、分波回路により分波される高域側信号と低域側信号とのうち、少なくとも高域側信号が、複数の通信周波数帯を含んだ分波信号とされる場合、次のような問題が生ずる場合がある。すなわち、マルチバンド電話機においては、方式毎に割り当てられた通信周波数帯の受信信号がバンドパスフィルタ回路により抽出される。この割り当てられる通信周波数帯は、電波資源の有効活用のため、一般に50〜75MHz程度の狭帯域とされており、上記バンドパスフィルタ回路もこれに適した狭帯域フィルタ回路が使用される。ここで、図9の中段に掲げた表は、1.5GHz以上の高域側信号を取り扱うPCSとDCSの各割り当て周波数帯を示す。いずれも相互にかなり接近した周波数帯が割り当てられていることがわかる。また、さらに注意してみると、図の下段のグラフに掲げた通り、PCSの端末送信帯(Tx3)とDCSの端末受信帯(Rx4)が、それぞれ一部の周波数域で重なり合っていることがわかる。
【0019】
この場合、高域側スイッチ回路を送信側に切り替えたとき、スイッチ内での受信出力端子側への信号のアイソレーションが不十分であると、送信信号の一部が受信出力端子側へ漏洩する。このとき、送信信号の帯域と受信信号の帯域が十分に離れていれば、その下流側に設けられたバンドパスフィルタ回路により漏洩信号をカットできる。しかし、図9に示すように、2つの異なるバンドの端末送信帯と端末受信帯とが重なり合っていると、端末受信帯に特化された狭帯域のバンドパスフィルタを用いていても、端末送信帯と重なっている周波数帯域の送信信号はこのバンドパスフィルタを通過し、受信回路側へ流れ込んで誤動作等の原因につながる問題がある。
【0020】
しかしながら、本発明においては、高域側スイッチ回路のスイッチ素子を、高域側でのアイソレーション特性が極めて良好な高周波用化合物半導体トランジスタにて構成したから、送信接続モードにおける送信信号の受信出力端子側への漏洩を確実に阻止することができる。その結果、2つの異なるバンドの端末送信帯と端末受信帯とがたとえ重なっていても、端末送信帯と重なっている周波数帯域の送信信号が端末受信帯抽出用バンドパスフィルタ回路を通過して受信回路側へ流れ込み、誤動作等を引き起こす不具合を効果的に防止することができる。
【0021】
なお、端末受信帯抽出用バンドパスフィルタ回路において、「受信出力端子の端末受信帯に対応した通過周波数帯域を有する」とは、割り当てられた端末受信帯の幅をWとし、端末受信帯抽出用バンドパスフィルタ回路の高域側カットオフ周波数をfcH、低域側カットオフ周波数をfcLとしたとき、区間[fcH、fcL]が端末受信帯の内側に包含され、かつ、J={(fcH―fcL)−W}/(fcH―fcL)が10%以下であることをいう。これは、Jが10%を超えると、端末受信帯の信号の抽出精度が損なわれるためである。特に、端末受信帯の幅が50〜75MHz程度の狭帯域である場合、端末受信帯抽出用バンドパスフィルタ回路は、弾性表面波共振器を含んで構成されたフィルタ回路とすることが、Jを縮小して端末受信帯の信号の抽出精度を高める観点において望ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて説明する。
図1は、複数の周波数帯域を扱う無線電話端末の一例である、クワッドバンド型デジタル携帯電話機(以下、単に携帯電話機ともいう)の電気的構成を示すブロック図である。携帯電話機1は、入出力インターフェース11と、これに接続されるCPU12、ROM13及びRAM14等からなる主制御部としての制御用マイクロプロセッサ10を有し、その入出力インターフェース11には、テンキー型の周知のプッシュボタンで構成されたダイアル入力部5、携帯電話機1をオンフック状態とオフフック状態との間で切り替えるオンフック/オフフック切換スイッチ6、及び通信周波数帯を切り替えるバンド切換スイッチ7が接続される。本実施形態では、EGSM、GSM850、PCS及びDCSの4つの通信方式間にて切り替えが可能とされている。例えばPCS及びDCSに割り当てられた通信周波数帯(端末受信帯と端末送信帯)は、図9に示す通りである。また、受話器3はアンプ15とD/A変換器16を介して、送話器4はアンプ17とA/D変換器18とを介して、さらに液晶モニタ(LCD)19がモニタ制御回路20を介して、それぞれ入出力インターフェース11に接続されている。
【0023】
また、入出力インターフェース11には電話接続回路9が接続されている。該電話接続回路9は、EGSM用の第一変調部32A、第一送信部33A、第一受信部35A及び第一復調部36A、GSM850用の第二変調部32B、第二送信部33B、第一受信部35B及び第一復調部36B、PCS用の第三変調部32C、第三送信部33C、第三受信部35C及び第三復調部36C、DCS用の第四変調部32D、第四送信部33D、第四受信部35D及び第四復調部36D、通信搬送波を必要な周波数にて合成する周波数シンセサイザ34、本発明の一実施形態をなす高周波信号処理回路2及びこれに接続されるアンテナ39、高周波信号処理回路2に含まれる分波回路44(図2:後述)を経て、各帯域に分波された分波受信信号から、各通信周波数帯における端末受信帯に属した受信信号を抽出する端末受信帯抽出用バンドパスフィルタ回路40A,40B,40C,40D等を含んで構成される。また、図示は省略しているが、電話接続回路9には、ハンドオーバー用の制御用電波発信部も含まれている。
【0024】
上記電話接続回路9の構成要素のうち、高周波信号処理回路2以外の部分は、一般のデジタル携帯電話機と何ら変わりはなく周知であるので、詳細な説明は省略する。また、携帯電話機1の基本動作も周知のものと同様であるが、概略を述べれば以下の通りである。すなわち、送話器4から入力された音声はアンプ17で増幅され、さらにA/D変換器18によりデジタル変換された後、選択された通信周波数帯に対応する変調部(32A〜32D)により変調され、さらに送信部(33A又は33B)にて搬送波と合成・増幅され、高周波信号処理回路2及びアンテナ39から送信される。他方、受信電波はアンテナ39及び高周波信号処理回路2を介して選択された通信周波数帯に対応する受信部(35A〜35DB)で受信され、搬送波成分が取り除かれた後、復調部(36A〜36D)でデジタル音声信号に復調され、D/A変換機16及びアンプ15を介して受話器3から出力される。
【0025】
高周波信号処理回路2は、受信信号と送信信号とを、スイッチ制御用信号(後述するVC1〜VC6:信号制御は制御用マイクロプロセッサ10が行なう)を受けて、時分割方式で切り替える。他方、通信周波数帯の切り替えは、本実施形態ではバンド切換スイッチ7の操作により制御用マイクロプロセッサ10が行なうようにしているが、周波数シンセサイザ34を用いてバンドスキャンを行い、適合する周波数帯に自動切り替えを行なうようにしてもよい。なお、制御用マイクロプロセッサ10が行なう切換処理は、主として、入出力インターフェース11における変調部32A〜32D及び復調部36A〜36Dのポート切換処理、及び周波数シンセサイザ34への指示周波数切換処理等である。
【0026】
次に、図2は、高周波信号処理回路2の電気的構成を示すブロック図である。高周波信号処理回路2は前述の通りアンテナ39に接続して使用されるものであり、アンテナ受信信号とアンテナ送信信号との入出力に共用されるアンテナ側入出力端子ANTと、該アンテナ側入出力端子ANTにつながり、アンテナ39を介して受信する受信信号を、低域側信号▲2▼と高域側信号▲4▼とに分離する分波回路44を備えている。該分波回路44により分波される低域側信号▲2▼と高域側信号▲4▼とは、双方がそれぞれ複数の通信周波数帯、具体的には前者がGSM850とEGSM、後者がPCSとDCSとの各信号を含んだ分波信号とされている。そして、各分波信号の出力側にそれぞれ低域側スイッチ回路42A及び高域側スイッチ回路42Bが設けられている。
【0027】
高域側信号▲4▼は、図2のハイパスフィルタ回路46により抽出・分波され、低域側信号はローパスフィルタ回路45により抽出・分波される。ハイパスフィルタ回路46及びローパスフィルタ回路45は、本実施形態ではいずれもアナログフィルタ回路(ここではLCパッシブフィルタ回路)にて構成されている。分波回路44からの各端末受信帯の受信信号は、各送信部33A〜33Dからアンテナ39に向かう各端末送信帯の送信信号との間で、対応するスイッチ回路42A,42Bにより切り替えられる。
【0028】
図3は、高周波信号処理回路2の詳細を示す回路図である。分波回路44において、ローパスフィルタ回路45は、ローパスフィルタの要部をなすコンデンサC107と、これに並列に挿入されるコンデンサC108及びコイルL106を含む。コンデンサC108及びコイルL106は、通過帯域より高周波側に減衰極を生じさせる(つまり、フィルタ回路の減衰特性を急峻化させる)LC共振型バンドリジェクトフィルタ回路を構成する。本実施形態では、高域側信号▲4▼と低域側信号▲2▼とを、1GHz前後を境として切り分ける必要があり、コンデンサC107,C108の容量及びコイルL106のインダクタンスも、これに適合するカットオフ周波数及び減衰極位置が得られるように調整される。基本的には、コンデンサC107は、通過帯域では十分インピーダンスが高く、これより高周波側ではインピーダンスが十分低くなるように、容量を調整する。逆に、コイルL106は減衰極の調整機能を十分に果たし、かつ通過帯域の信号を不必要に減衰させないよう、通過帯域では十分インピーダンスが低く、これより高周波側ではインピーダンスが十分高くなるように、インダクタンスを調整する。
【0029】
一方、ハイパスフィルタ回路46は、ハイパスフィルタの要部をなすコンデンサC207,C208と、これに並列に挿入されるコンデンサC209及びコイルL206を含む。コンデンサC209及びコイルL206は、通過帯域より低周波側に減衰極を生じさせるLC共振型バンドパスフィルタ回路を構成する。コンデンサC207,C208は、通過帯域では十分インピーダンスが低く、これより低周波側ではインピーダンスが十分高くなるように、容量を調整する。他方、コイルL106は、通過帯域では十分インピーダンスが高く、これより低周波側ではインピーダンスが十分低くなるように、インダクタンスを調整する。
【0030】
スイッチ回路42A,42Bは、いずれも送信入力端子TX1X2/TX3X4がアンテナ側入出力端子ANTに接続された送信接続モードと、受信出力端子RX1,RX2/RX3,RX4がアンテナ側入出力端子ANTに接続された受信接続モードとの間で相互切り替えを行なうものである。スイッチ回路42Aは低域側信号▲2▼の処理用であり、携帯電話機1(図1)の受信回路(受信部35A/35B、復調部36A/36B)側へ受信信号をそれぞれ出力する受信出力端子RX1(EGSM用),RX2(GSM850用)、携帯電話機1の送信回路(変調部32A/32B、送信部33A/33B)からの送信信号が入力される送信入力端子TX1X2(EGSM/GSM850共用(後述))とを有し、アンテナ側入出力部ANTに対する受信出力端子RX1,RX2と送信入力端子TX1X2との接続を切り換えるものである。また、スイッチ回路42Bは高域側信号▲4▼の処理用であり、携帯電話機1(図1)の受信回路(受信部35C/35D、復調部36C/36D)側へ、受信信号をそれぞれ出力する受信出力端子RX3(PCS用),RX4(DCS用)と、携帯電話機1の送信回路(変調部32C/32D、送信部33C/33D)からの送信信号が入力される送信入力端子TX3X4(PCS/DCS共用(後述))とを有し、アンテナ側入出力部ANTに対する受信出力端子RX3,RX4と送信入力端子TX3X4との接続を切り換えるものである。
【0031】
低域側スイッチ回路42Aは、PINダイオードスイッチとして構成されている。すなわち、受信出力端子Rx1(EGSM用)と送信入力端子Tx1x2(EGSM/GSM850共用(後述))とのアンテナ側入出力部ANTへの接続を個別に切り替えるためのスイッチングダイオードD1,D3が,それぞれ対応する線路上に設けられている。これら線路には、スイッチングダイオードをD1,D3を独立して動作制御するために、該スイッチングダイオードD1,D3にそれぞれバイアス電圧を印加する、スイッチング制御端子VC1,VC3が分岐して設けられている。他方、受信出力端子Rx2(GSM850用)の経路上には、上記スイッチングダイオードD1,D3と組み合わされる共振用ダイオードD2が設けられている。
【0032】
ダイオードD1〜D3はいずれもPINダイオードで構成され、順方向バイアス電圧の印加レベルにより、高周波可変抵抗素子として機能するものである。端子VC1及びVC3側に設けられたコイルL1,L3は、バイアス回路の一部をなすものであり、送信入力信号がVC1ないしVC3側に逆流することを阻止するチョークコイルである。また、共振用ダイオードD2のカソード側に設けられたコンデンサC2もバイアス回路の一部をなすものであり、ノイズ除去の機能を果たす。さらに、共振用ダイオードD2のカソード側は、調整抵抗R1を介して接地されている。
【0033】
受信入力端子Rx1に信号出力する際には、端子VC1への順方向バイアス電圧を閾値以上に設定し、端子VC3への順方向バイアス電圧を閾値以下とする。これにより、スイッチングダイオードD1と共振用ダイオードD2とが共振結合して、受信入力端子Rx1の信号通過が許容される(すなわち、スイッチONとなる)。他方、送信入力端子Tx1x2は信号通過が遮断される(すなわち、スイッチOFFとなる)。また、送信入力端子Tx1x2へ信号入力する際には、端子VC3への順方向バイアス電圧を閾値以上に設定し、端子VC2への順方向バイアス電圧を閾値以下とする。これにより、スイッチングダイオードD3と共振用ダイオードD2とが共振結合して、送信入力端子Tx1x2の信号通過が許容され、受信入力端子Rx1の信号通過が遮断される。いずれの場合も、受信出力端子Rx2は、スイッチングダイオードD1ないしD3と共振用ダイオードD2との共振結合により信号通過が遮断された状態となる。一方、VC1,VC3がいずれも閾値以下となっている場合は、スイッチングダイオードD1,D3がいずれも高インピーダンスとなり、共振用ダイオードD2との共振結合も生じないので、受信出力端子Rx2の信号通過が許容される。
【0034】
次に、高域側のスイッチ回路42Bは、アンテナ側入出力部ANTと、受信出力端子RX3、受信出力端子RX4及び送信入力端子TX3X4とをつなぐ各経路上にドレイン及びソースが接続されたGaAs系MESFET(あるいは複数のMESFETをモノリシック化した素子)よりなるトランジスタTr1,Tr2,Tr3(本実施形態では、(株)SONY社のCXG1101TNが使用されている)がそれぞれ設けられ、それらトランジスタTr1,Tr2,Tr3のゲートにスイッチ制御用信号VC4,VC5,VC6が個別に入力される。VC4,VC5,VC6はいずれも二値の制御信号であり、送信接続モードでは、送信入力端子TX3X4に対応したトランジスタTr3のみがONとなり、他はOFFとなるようにVC4,VC5,VC6の入力状態が制御される。また、送信接続モードでは、受信出力端子RX3及び受信出力端子RX4のいずれか一方に対応したトランジスタTr1又はトランジスタTr2が選択的にONとなり、他はOFFとなるようにVC4,VC5,VC6の入力状態が制御される。
【0035】
図2の、端末受信帯抽出用バンドパスフィルタ回路40A(EGSM用:通過帯域880〜960MHz),40B(GSM850用:通過帯域824〜894MHz),40C(PCS用:通過帯域1850〜1990MHz),40D(DCS用:通過帯域1710〜1880MHz)は、受信出力端子RX1、RX2、RX3、RX4に接続され、本実施形態ではいずれも弾性表面波共振器を含んで構成された狭帯域フィルタ回路として構成されている。図5は、そのようなフィルタ回路の一例を示すもので、弾性表面波共振器としてインターディジタルトランスデューサ型(以下、IDT型略称する)共振器が使用されている。IDT共振器は、圧電性セラミック板上に形成された多数対のすだれ状電極の上を、反射・透過しながら伝播する弾性表面波による共振現象を利用するものであり、これを組み込んだ図5のバンドパスフィルタ回路は、その共振周波数の近傍に非常に鋭い狭帯域通過特性を示すものとなる。なお、弾性表面波共振器及びこれを含んだ図5のフィルタ回路自体は、文献(Proc. IEEE, 64, 5, p.685 (1976))により公知になっているので、これ以上の詳細な説明は省略する。なお、IDT型共振器に代えて、キャビティ型共振器を用いた狭帯域フィルタ回路を用いてもよい。
【0036】
なお、図3のスイッチ回路42A,42Bのうち、分波回路44の少なくとも高域側信号▲4▼の出力側に設けられたもの(42A)、本実施形態では高域側信号▲4▼と低域側信号▲2▼との双方の出力側に設けられたもの(42A,42B)の送信入力端子TX1X2及びTX3X4は、当該スイッチ回路42A,42Bが取り扱う2つの通信周波数帯において共用化される単一端子として構成されている。図1に示すように、各送信入力端子TX1X2,TX3X4への送信信号の入力は、高周波用ローノイズアンプ21,22を介してなされる。
【0037】
図3の送信入力端子TX1X2,TX3X4には、それら2つの通信周波数の端末送信帯を包含する通過帯域を有する送信用ローパスフィルタ回路41A、41Bが接続されている。送信側信号の周波数は、周波数シンセサイザにより合成されるため基本的に帯域は狭く、携帯電話機1(図1)の内部的ないし外部的要因に基づくバックグラウンドノイズが除去できれば十分である。従って、図1のように、受信側端子RX1〜RX4のように狭帯域のバンドパスフィルタ40A〜40Dを個別に設けなくとも、LCローパスフィルタ回路を用いれば、低レベルのバックグラウンドノイズ程度であれば十分に除去できる。さらに、LCローパスフィルタ回路の通過帯域は比較的広いので、図3おいて、2つの通信周波数帯の送信入力端子を共用化して単一端子TX1X2及び単一端子TX3X4とし、バックグラウンドノイズ除去用の送信用ローパスフィルタ回路41A、41Bも共用化してしまえば、回路構成を大幅に簡略化できる利点が生ずる。
【0038】
本実施形態においては、図3のように、送信用ローパスフィルタ回路41A,41Bは、それぞれコンデンサC101〜C103/201〜C203とコイルL101/L201により、分波回路44のローパスフィルタ回路45と同様に構成されている。特に、高域側信号▲4▼を扱うスイッチ回路42A側については、送信用ローパスフィルタ回路41Bの採用により、弾性表面波共振器を含んで構成された高価な狭帯域フィルタ回路を安価に置き換える効果に留まらず、周波数が高い分だけ使用するコイルL201も小型化でき、回路全体をコンパクトに構成できる利点も生ずる。
【0039】
図3の回路素子は、分波回路44をなすハイパスフィルタ回路46とローパスフィルタ回路45との構成部品、本実施形態では、さらに送信用ローパスフィルタ回路41A,41Bの構成部品が、図4に示すように、回路パターン53,54,55と誘電体層50とが積層された積層体80において、回路パターン53,54,55に組み込まれた形で内層されてなり、かつ、スイッチ回路をなす高周波用化合物半導体トランジスタ51が積層体の表面に実装された構造となっている(積層体に内層されたフィルタは、本実施形態では、いずれもLCフィルタにより構成されている)。これにより、高周波信号処理回路の大幅な小型化が可能となり、携帯電話機1内での占有スペースを大幅に削減することができる。
【0040】
例えば、抵抗器55(図3の抵抗R1など)を回路に組み込む場合は、図6に示すように、蛇行した細長い導電体層パターンにより形成できる。コンデンサ54は、図7に示すように、誘電体層50を間に挟む形で対向する電極板54a,54bにより形成できる。さらに、コイル53は、複数の誘電体層50にまたがる巻線パターン53aを層間ビア59により接続する形で形成できる。他方、誘電体層50は、例えばホウケイ酸塩鉛ガラスとアルミナからなるガラスセラミック等のセラミックで構成される。積層体80は、誘電体層50の原料となるセラミックグリーンシート上に、導電性ペーストを用いて回路パターンを厚膜印刷し、積層して焼成する方法により製造される。
【0041】
また、本実施形態では、図4に示すように、ハイパスフィルタ回路46あるいはローパスフィルタ回路45,41A,41Bに含まれるコイル53の、積層体80の積層方向における少なくとも片側、本実施形態では両側に、当該コイル53と対向する電極板56が設けられている。そして、それらコイル53と電極板56との間に位置する誘電体層50に、ハイパスフィルタ回路46あるいはローパスフィルタ回路45,41A,41Bの構成要素をなすコンデンサ54が組み込まれている。近年、高周波スイッチ用の積層体80は、部品規格統合の一環としてインピーダンスの統一化が進められており、積層体80全体のインピーダンスレベルを、ある指定値(例えば50Ω)に合わせ込むことが義務付けられるようになってきている。しかしながら、回路パターンの線幅や、作りこまれた素子あるいは接地用電極板などの位置関係によっては寄生キャパシタンスが生じ、インピーダンスの増加を生ずることがある。特に、導電体の分布面積が大きくなりがちなコイル53と接地用等に用いられる大面積の電極板56との間には、高容量の寄生キャパシタンスが生じやすい。従って、上記のインピーダンスを指定値に合わせるには、寄生キャパシタンスを小さくするために、コイル53と電極板56との距離を一定以上に大きく設定すること(例えば150μm以上)が必要となる。この場合、そのままではコイル53と電極板56との間の誘電体層50がデッドスペースとなり、積層体80のサイズが大きくなってしまう問題がある。これは、近年小型化の傾向が著しい携帯電話機の分野では明らかに不利である。そこで、ハイパスフィルタ回路46あるいはローパスフィルタ回路45,41A,41Bのうちの少なくともいずれかの構成要素をなすコンデンサ54を該誘電体層50内に組み込めば、デッドスペースの発生が解消され、積層体80のコンパクト化を図ることができる。
【0042】
上記高周波信号処理回路2及びこれを用いたクワッドバンド型携帯電話機1によると、図3の分波回路44により分離された高域側信号と低域側信号のうち、高域側信号を取り扱う高域側スイッチ回路42Bのスイッチ素子を高周波用化合物半導体トランジスタTr1〜Tr3にて構成し、低域側信号を取り扱う低域側スイッチ回路のスイッチ素子をPINダイオードD1,D3にて構成した。高周波用化合物半導体トランジスタは、PCSやDCSに用いる1.5GHzを超える周波数帯においても、PINダイオードスイッチを用いる場合と比べ、はるかに広い周波数領域で良好なアイソレーション特性を確保でき、また、高域用のPINダイオードスイッチ回路では必須だった並列共振子や、バイアス回路形成用の周辺コンデンサやコイルも不要となる。従って、高域側スイッチ回路42Bは、トランジスタTr1〜Tr3を主体とした非常に簡略なものとなり、スイッチ回路のコンパクト化と、通信周波数全帯域での高アイソレーション特性確保とを両立できる。他方、低域側スイッチ回路42Aは、取り扱う信号周波数帯がGSM850やEGSMに対応した1GHz未満のものであり、PINダイオードスイッチ回路として構成してもアイソレーションは十分に確保できる。その結果、高価な高周波用化合物半導体トランジスタの使用個数が削減でき、高周波信号処理回路2の全体を安価に構成することができる。
【0043】
また、高域側スイッチ回路42Bにおいては、GaAs系MESFETをスイッチング素子として用いているので、送信接続モードにおいて、受信回路側へつながる経路がOFF状態のトランジスタTr1,2により確実に遮断され、送信信号の受信回路側へのアイソレーション特性が飛躍的に向上する。その結果、図9を用いて既に説明した通り、2つの異なる通信周波数帯(PCS/DCS)の端末送信帯と端末受信帯とが重なり合っているにもかかわらず、送信信号の一部が受信回路側へ漏洩する不具合をほとんど生じない。
【0044】
なお、以上説明した実施形態は、クワッドバンド型携帯電話機への適用例にして示したが、トリプルバンド型携帯電話機など、バンド数の異なる他の携帯電話にももちろん適用可能である。また、高周波用化合物半導体トランジスタは、上記実施形態ではMESFETを使用したが、当然、HEMTやHBTにより構成してもよく、また、これらトランジスタを線路や他のデバイスと共に半導体基板(例えばGaAs基板)上に集積した高周波ICとしてスイッチ回路を構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の無線電話端末の一実施形態を示す携帯電話機の全体構成を示すブロック図。
【図2】その高周波信号処理回路のブロック図。
【図3】図2の高周波信号処理回路の詳細を示す回路図。
【図4】積層体の構造の一例を示す断面模式図。
【図5】弾性表面波共振器を含んで構成された狭帯域フィルタ回路の一例を示す図。
【図6】積層体における抵抗器の形成態様を示す模式図。
【図7】同じくコンデンサの形成態様を示す模式図。
【図8】同じくコイルの形成態様を示す模式図。
【図9】一方の端末受信帯と他方の端末送信帯との間で重なりを有する2つの通信周波数帯を扱う高域側スイッチ回路の説明図。
【符号の説明】
1 デジタル携帯電話機(無線電話端末)
2 高周波信号処理回路
32A〜32D 変調部(送信回路)
33A〜33D 送信部(送信回路)
35A〜35D 受信部(受信回路)
36A〜36D 復調部(受信回路)
39 アンテナ
40A,40B,40C,40D 端末受信帯抽出用バンドパスフィルタ回路
41A,41B 送信用ローパスフィルタ
42A 低域側スイッチ回路
D1,D2,D3 PINダイオード
42B 高域側スイッチ回路
Tr1〜Tr3,51 GaAs系MESFET(高周波用化合物半導体トランジスタ)
44 分波回路
45 ローパスフィルタ回路
46 ハイパスフィルタ回路
53,54,55 回路パターン
80 積層体
X1〜RX4 受信出力端子
X1X2,TX3X4 送信入力端子
ANT アンテナ側入出力端子

Claims (5)

  1. 複数の通信周波数帯間で切り替え可能な無線電話端末に使用される高周波信号処理回路用積層体であって、
    アンテナに接続して使用され、受信信号と送信信号との入出力に共用されるアンテナ側入出力端子と、
    前記アンテナ側入出力端子につながり、前記アンテナを介して受信する受信信号を、高域側信号と低域側信号とに分離する分波回路と、
    前記高域側信号を取り扱うために設けられ、前記分波回路からの、前記高域側信号の周波数帯に属する分波受信信号を前記無線電話端末の受信回路側へ出力する受信出力端子と、前記無線電話端末の送信回路からの前記高域側信号の周波数帯に属する送信出力信号が入力される送信入力端子とを備え、それら受信出力端子と送信入力端子との前記アンテナ側入出力端子に対する接続を切り替えるとともに、当該切り替えを行なうスイッチ素子としてGaAs系電界効果トランジスタからなる高周波用化合物半導体トランジスタを用いる高域側スイッチ回路と、
    前記低域側信号を取り扱うために設けられ、前記分波回路からの、前記低域側信号の周波数帯に属する分波受信信号を前記無線電話端末の受信回路側へ出力する受信出力端子と、前記無線電話端末の送信回路からの前記低域側信号の周波数帯に属する送信出力信号が入力される送信入力端子を備え、それら受信出力端子と送信入力端子との前期アンテナ側入出力端子に対する接続を切り替えるとともに、当該切り替えを行うスイッチ素子としてPINダイオードを用いる低域側スイッチ回路とを有し、
    前記分波回路がハイパスフィルタ回路とローパスフィルタ回路とからなり、
    前記ハイパスフィルタ回路及び前記ローパスフィルタ回路はコイルおよびコンデンサを含むものであり、
    前記ハイパスフィルタ回路は、前記GaAs電界効果トランジスタを用いた前記高域側スイッチ回路への入力経路上に設けられたコンデンサと、該入力経路から接地側へ分岐する経路上に設けられたコイルとを有するとともに、
    前記コンデンサ及びコイルを形成する回路パターンと誘電体層とが積層された積層体として構成され、
    前記高域側スイッチ回路に含まれる前記高周波用化合物半導体トランジスタが前記積層体の表面に実装され、
    前記ハイパスフィルタ回路及び前記ローパスフィルタ回路のうちの少なくともいずれかの構成要素をなすコイルの回路パターンの、前記積層体の積層方向における少なくとも片側に、当該コイルの回路パターンと対向する接地用電極板が設けられてなり、前記コイルの回路パターンと接地用電極板との間に位置する誘電体層に、前記ハイパスフィルタ回路及びローパスフィルタ回路のうち少なくともいずれかの構成要素をなすコンデンサの回路パターンが組み込まれていることを特徴とする高周波信号処理回路用積層体。
  2. 前記低域側スイッチ回路に含まれるコイルは、スイッチング制御端子から前記PINダイオードを経て接地に至る経路上にて、前記PINダイオードと直列結合されるコイルのみである請求項1記載の高周波信号処理回路用積層体。
  3. 前記高域側スイッチ回路は、
    前記高域側信号の周波数帯域に属する複数の通信周波数帯であって、一方の通信周波数帯の端末受信帯と他方の通信周波数帯の端末送信帯との間で重なりを有する2つの通信周波数帯を含んだ複数の通信周波数帯を取り扱うものであり、
    前記複数の通信周波数に個別に対応した複数の受信出力端子を有し、
    前記送信入力端子が前記アンテナ側入出力端子に接続された送信接続モードと、前記受信出力端子が前記アンテナ側入出力端子に接続された受信接続モードとの間で相互切り替えを行なうとともに、前記受信接続モードにおいては、前記受信出力端子のうち、使用する通信周波数帯に対応するものを1つ選択して前記アンテナ側入出力端子に接続するものとされてなる請求項1又は請求項2に記載の高周波信号処理回路用積層体。
  4. 前記高域スイッチ回路の送信入力端子が、前記2つの通信周波数帯において共有化される単一端子として構成され、かつ該送信入力端子に、それら2つの通信周波数の端末送信帯を包含する通過帯域を有する送信用ローパスフィルタ回路が接続されてなる請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の高周波信号処理回路用積層体。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の高周波信号処理回路用積層体と、
    該高周波信号処理回路用積層体の前記アンテナ側入出力端子に接続されるアンテナと、
    前記複数の受信出力端子に個別に接続された端末受信帯抽出用バンドパスフィルタ回路及び前記受信回路と、
    前記送信入力端子に接続される送信回路と、
    を備えたことを特徴とする無線電話端末。
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