JP2004260744A - 高周波スイッチモジュール及びそれを用いた無線電話通信装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】受信出力用伝送経路と送信入力用伝送経路との間のアイソレーション特性をより向上できる高周波スイッチモジュールを提供する。
【解決手段】高周波スイッチモジュール2は、アンテナ側入出力端子と、受信出力端子及び送信入力端子とを相互に接続する信号伝送経路109,110,113,114を備える。該信号伝送経路において、受信出力端子につながる受信出力用伝送経路をなす線路導体113(114)と、送信入力端子につながる送信入力用伝送経路をなす線路導体109(110)とを、互いにグランド分離されるべき被グランド分離要素として、それら被グランド分離要素を、積層体内部にて空間的に互いに分離され、かつ、各々互いに異なるグランド端子に接続された個別のグランド面導体102(104),103(105)に対向させる。
【選択図】 図4B
【解決手段】高周波スイッチモジュール2は、アンテナ側入出力端子と、受信出力端子及び送信入力端子とを相互に接続する信号伝送経路109,110,113,114を備える。該信号伝送経路において、受信出力端子につながる受信出力用伝送経路をなす線路導体113(114)と、送信入力端子につながる送信入力用伝送経路をなす線路導体109(110)とを、互いにグランド分離されるべき被グランド分離要素として、それら被グランド分離要素を、積層体内部にて空間的に互いに分離され、かつ、各々互いに異なるグランド端子に接続された個別のグランド面導体102(104),103(105)に対向させる。
【選択図】 図4B
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無線電話通信装置に使用する高周波スイッチモジュールとそれを用いる無線電話通信装置に関する。なお、本発明の適用対象となる無線電話通信装置は、無線電話回線網を利用して双方向通信を行なう装置全般を意味し、携帯電話やPHS(Personal Handy phone System)などの一般的な意味での無線電話器はもちろん、端末機能を組み込んだ電話機や逆に電話回線接続機能を有した可搬型コンピュータなどの携帯型端末装置、無線電話回線接続用モデム、及び該モデムを組み込んだ可搬型コンピュータなども概念として包含する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開平5−267909号公報
【特許文献2】
特開平8−97743号公報
【0003】
上記の無線電話通信装置、例えばデジタル携帯電話において、アンテナと送信回路との接続、及びアンテナと受信回路との接続を切り換えるために、高周波スイッチ(アンテナスイッチ)が用いられている。特に近年ではデジタル携帯電話の普及台数が急激に増加しており、通信方式もGSM、DCS、PCS、PDS、CDMAなど次々と新しい種類のものが開発され、採用されるに至っている。また、加入回線数の増加に伴い、使用する電波の周波数帯域も当初の数100MHz帯から、GHz帯へと拡張しており、通信方式に応じて種々の周波数帯が割り当てられている。
【0004】
携帯電話機に使用されるアンテナスイッチモジュールは、小型・軽量化を図るため、線路導体とグランド用面導体を有する導体層と誘電体層とが積層された、高周波回路積層体として構成されることが多くなってきている。グランド用面導体は電位基準として用いたり、回路要素を電磁的にシールドしたりするために使用される。従来、アンテナスイッチ等に使用される高周波回路用積層体においてグランド用面導体は、電位基準用として用いることを考慮して、面導体の数を一層のみとするか、あるいは複数層設ける場合においても、同一グランド端子への接続あるいはビア接続により、積層体内において電気的に一体化された形で用いられていた(特許文献1、特許文献2)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような高周波回路積層体においては、受信出力端子につながる受信出力用信号伝送経路と送信入力端子につながる送信入力用信号伝送経路とはアンテナスイッチによりアンテナに切り替え接続される。この場合、送信信号と受信信号との混信(クロストーク)を防ぐため、スイッチ回路には高いアイソレーション特性が求められる。例えば、PINダイオードをスイッチ素子として用いたスイッチ回路では、ダイオードと並列にインダクタを挿入して並列共振回路を形成し、希望する周波数でのインピーダンスを高めてアイソレーション特性を改善することが行なわれている。また、OFF時のインピーダンスが元から高い高周波用トランジスタ(例えばGaAs系のFETやHEMT,HBTなど)によりスイッチを構成することも行なわれている。
【0006】
受信出力用信号伝送経路と送信入力用信号伝送経路とを構成する線路導体は、グランド面導体が随伴するストリップラインやマイクロストリップラインにて構成されることが多い。従来の高周波スイッチモジュールでは、積層体に内層されたグランド面導体は、安定な基準電位を与えるために積層基板の導体層面を大きく被覆するように形成され、複数層に分割する場合でも、ビアにより積層体内部では直流的に接続される。本発明者らが検討したところ、このような構造の積層体を用いた場合、受信出力用信号伝送経路と送信入力用信号伝送経路との間のアイソレーションが悪化しやすく、スイッチ回路部分の改良によりこれを改善するには限界のあることがわかった。
【0007】
本発明の課題は、受信出力用信号伝送経路と送信入力用信号伝送経路との間のアイソレーション特性をより向上できる高周波スイッチモジュールと、それを用いた無線電話通信装置とを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】
本発明の高周波スイッチモジュールは、
アンテナに接続して使用され、アンテナ受信信号とアンテナ送信信号との入出力に共用されるアンテナ側入出力端子と、
アンテナ側入出力端子からの受信信号を無線電話通信装置の受信回路側へ出力する受信出力端子と、無線電話通信装置の送信回路からの送信信号が入力される送信入力端子との、アンテナ側入出力端子に対する接続を切り換えるスイッチ回路と、
アンテナ側入出力端子と、受信出力端子及び送信入力端子とを相互に接続する信号伝送経路と、
信号伝送経路の一部をなす線路導体とグランド面導体とを有する導体層と誘電体層とが積層された積層体として構成され、スイッチ回路の構成素子が、導体層を構成する素子パターンの形で内層されており、また、該積層体の表面にアンテナ側入出力端子、各スイッチ回路の受信出力端子と送信入力端子、及びグランド面導体に導通するグランド端子が露出形成されてなり、さらに、
信号伝送経路において、受信出力端子につながる受信出力用信号伝送経路をなす線路導体と、送信入力端子につながる送信入力用信号伝送経路をなす線路導体とを、積層体内部にて空間的に互いに分離され、かつ、各々互いに異なるグランド端子に接続された個別のグランド面導体に対向させたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の無線通信電話装置は、上記本発明の高周波スイッチモジュールと、
該高周波スイッチモジュールのアンテナ側入出力端子に接続されるアンテナと、
受信出力端子に接続される受信回路と、
送信入力端子に接続される送信回路とを備えたことを特徴する。
【0010】
上記本発明の高周波スイッチモジュール及びそれを用いた無線通信電話装置においては、高周波スイッチモジュールが線路導体とグランド用面導体を有する導体層と誘電体層とが積層された積層体として構成される。本発明者らが検討した結果、受信出力用信号伝送経路をなす線路導体と、送信入力用アンテナ用信号伝送経路をなす線路導体とが、積層体内にて直流的に導通したグランド面導体に対向する形でマイクロストリップラインやストリップラインを形成しているとき、これら経路を伝送される送信信号と受信信号とが、グランド面導体を経由してクロストークし、アイソレーション特性悪化につながっていることが判明した。そこで、信号伝送経路において、受信出力端子につながる受信出力用信号伝送経路をなす線路導体と、送信入力端子につながる送信入力用アンテナ用信号伝送経路をなす線路導体とを被グランド分離要素として、空間的に互いに分離された個別のグランド面導体に対向させる構成を採用したところ、送信信号と受信信号とのグランド面導体を媒介とするクロストークが顕著に抑制され、アイソレーション特性が向上することを見出して、本発明を完成するに至ったのである。
【0011】
上記本発明の高周波スイッチモジュールは、アンテナ側入出力端子と、受信出力端子及び送信入力端子とを相互に接続する信号伝送経路上に設けられたフィルタとを備え、該フィルタと該フィルタの通過信号を扱う線路導体とを、積層体内部にて空間的に互いに分離され、かつ、各々互いに異なるグランド端子に接続された個別のグランド面導体に対向させたものとして構成することができる。
【0012】
フィルタと該フィルタの通過信号を扱う線路導体とを被グランド分離要素として、空間的に互いに分離された個別のグランド面導体に対向させることにより、フィルタの遮断信号がグランド面導体を経由して線路導体上に重畳することが効果的に抑制され、フィルタの減衰特性が向上する。
【0013】
特に、前記フィルタが、高調波除去等のため、特定周波数帯の高域側を遮断する特性を有したフィルタ(以下、高域遮断フィルタともいう)であり、線路導体が、当該フィルタの通過信号を扱う線路導体であるた場合、フィルタの減衰特性改善効果が特に顕著となる。高域遮断フィルタは、例えばローパスフィルタとすることができるが、バンドパスフィルタやバンドリジェクトフィルタであってもよい。
【0014】
前記のフィルタは、送信入力端子につながる送信入力用信号伝送経路上に設けられた送信入力用ローパスフィルタとすることができ、送信入力用信号伝送経路を、アンテナ側入出力端子につながるアンテナ用信号伝送経路と、受信出力端子につながる受信出力用信号伝送経路とに、スイッチ回路を介して切り替え可能に接続することができる。送信入力用ローパスフィルタとアンテナ用信号伝送経路をなす線路導体とを各々互いに異なるグランド端子に接続された個別のグランド面導体に対向させることはできる。
【0015】
送信入力端子から入力される送信信号は、送信回路にて増幅されたあとの信号であり、高レベルの高調波成分がより生じやすい。この高調波成分は上記の送信入力用ローパスフィルタにて除去できるが、該送信入力用ローパスフィルタを通過後はアンテナを経て送信されるので、除去された高調波等の遮断信号成分がグランド導体を経てアンテナに向かう送信経路(アンテナ用信号伝送経路)に重畳すると、送信信号の直接的な品質劣化につながる問題がある。しかしながら、上記のように送信入力用ローパスフィルタとアンテナ用信号伝送経路をなす線路導体とがグランド分離されていれば、このような不具合が極めて効果的に抑制され、送信信号の品質向上を図ることができる。
【0016】
また、フィルタは、アンテナ側入出力端子につながるアンテナ用信号伝送経路上に設けられた受信用帯域分離フィルタとすることもできる。また、受信出力端子に、受信用帯域分離フィルタよりも狭い通過帯域幅を有する、弾性表面波共振器を含んで構成された狭帯域フィルタ回路からなり、受信用帯域分離フィルタを通過後の受信信号から使用周波数帯域のものを抽出する使用周波数抽出用バンドバスフィルタ回路を接続することができる。この場合、アンテナ用信号伝送経路は、送信入力端子につながる送信入力用信号伝送経路と、受信出力端子につながる受信出力用信号伝送経路とに、スイッチ回路を介して切り替え可能に接続されてなり、受信用帯域分離フィルタと受信出力用信号伝送経路をなす線路導体とを、各々互いに異なるグランド端子に接続された個別のグランド面導体に対向させることができる。
【0017】
上記構成によると、アンテナで受信された受信信号は、所望の周波数帯域が受信用帯域分離フィルタにより粗く切り分けられ、さらに、受信出力端子に接続された使用周波数抽出用バンドバスフィルタ回路により、狭い帯域幅の使用周波数帯域の信号が抽出される。高周波帯を使用する携帯電話等の移動体通信では、回線数を多数確保するために割り当てられた帯域幅が非常に狭く、使用周波数抽出用バンドバスフィルタ回路は、通過帯域幅を50〜75MHz程度の範囲に収めた狭帯域フィルタとして構成しなければならない(通過帯域幅が50MHz以下では、使用周波数帯域の信号を、余裕を持って抽出することが困難となり、75MHz以上ではノイズの増加につながる)。
【0018】
圧電セラミックの表面弾性波を用いた狭帯域フィルタは、通過周波数帯の近傍では非常に急峻で良好な減衰特性を示すものの、通過周波数帯からある程度隔たった周波数帯域では、減衰特性は急速に悪化する。従って、受信用帯域分離フィルタにより、狭帯域フィルタの通過帯域から隔たった周波数域の信号成分を予め遮断しておくことが重要である。しかし、受信用帯域分離フィルタによる遮断信号成分がグランド導体を経て受信出力用信号伝送経路に重畳すると、該遮断信号成分は、狭帯域フィルタの通過帯域から隔たった周波数域のものであるため、減衰が不十分となり、受信信号の品質劣化につながる問題がある。そこで、上記のように受信用帯域分離フィルタと受信出力用信号伝送経路をなす線路導体とがグランド分離されていれば、このような不具合が極めて効果的に抑制され、受信信号の品質向上を図ることができる。特に、受信用帯域分離フィルタが、グランド導体を経た高調波漏洩が生じやすいローパスフィルタで構成されている場合、上記の効果が特に顕著である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて説明する。
図1は、複数の周波数帯域を扱う無線電話通信装置の一例である、デュアルバンド型デジタル携帯電話機(以下、単に携帯電話機ともいう)の電気的構成を示すブロック図である。携帯電話機1は、I/Oポート11と、これに接続されるCPU12、ROM13及びRAM14等からなる主制御部としての制御用マイクロプロセッサ10を有し、そのI/Oポート11には、テンキー型の周知のプッシュボタンで構成されたダイアル入力部5、携帯電話機1をオンフック状態とオフフック状態との間で切り換えるオンフック/オフフック切換スイッチ6、及び使用周波数帯を切り換えるバンド切換スイッチ7が接続される。また、受話器3はアンプ15とD/A変換器16を介して、送話器4はアンプ17とA/D変換器18とを介して、さらに液晶モニタ(LCD)19がモニタ制御回路20を介して、それぞれI/Oポート11に接続されている。
【0020】
また、I/Oポート11には電話接続回路9が接続されている。該電話接続回路9は、2つの使用周波数帯のうち低域側のものに対応する第一変調部32A、第一送信部33A(これらは第一送信回路を構成する)、第一受信部35A及び第一復調部36A(これらは第一受信回路を構成する)、同じく高域側のものに対応する第二変調部32B、第二送信部33B(これらは第二送信回路を構成する)、第二受信部35B及び第二復調部36B(これらは第二受信回路を構成する)、通信搬送波を必要な周波数にて合成する周波数シンセサイザ34、本発明の高周波スイッチモジュール2及びこれに接続されるアンテナ39、高周波スイッチモジュール2に含まれる分波回路44(図2:後述)からの各分波受信信号から、使用周波数帯域のものを抽出する使用周波数抽出用バンドバスフィルタ回路40A,40B等を含んで構成される。また、図示は省略しているが、電話接続回路9には、ハンドオーバー用の制御用電波発信部も含まれている。
【0021】
上記電話接続回路9の構成要素のうち、高周波スイッチモジュール2以外の部分は、一般のデジタル携帯電話機と何ら変わりはなく周知であるので、詳細な説明は省略する。また、携帯電話機1の基本動作も周知のものと同様であるが、概略を述べれば以下の通りである。すなわち、送話器4から入力された音声はアンプ17で増幅され、さらにA/D変換器18によりデジタル変換された後、選択された使用周波数帯に対応する変調部(32A又は32B)により変調され、さらに送信部(33A又は33B)にて搬送波と合成・増幅され、高周波スイッチモジュール2及びアンテナ39から送信される。他方、受信電波はアンテナ39及び高周波スイッチモジュール2を介して選択された使用周波数帯に対応する受信部(35A又は35B)で受信され、搬送波成分が取り除かれた後、復調部(36A又は36B)でデジタル音声信号に復調され、D/A変換機16及びアンプ15を介して受話器3から出力される。
【0022】
高周波スイッチモジュール2は、受信信号と送信信号とを、スイッチ制御用信号(後述するVC1〜VC2:信号制御は制御用マイクロプロセッサ10が行なう)を受けて、時分割方式で切り換える。他方、使用周波数帯の切り替えは、本実施形態ではバンド切換スイッチ7の操作により制御用マイクロプロセッサ10が行なうようにしているが、周波数シンセサイザ34を用いてバンドスキャンを行い、適合する周波数帯に自動切り換えを行なうようにしてもよい。なお、本実施形態では、第一使用周波数帯(バンド)が1GHz未満の通信方式(例えば900MHz帯を使用するGSM方式)に対応するものであり、第二使用周波数帯が1GHz以上の通信方式(例えば1.8GHz帯を使用するDCS1800方式)に対応するものである。なお、制御用マイクロプロセッサ10が行なう切換処理は、主として、I/Oポート11における変調部32A/32B及び復調部36A/36Bのポート切換処理、及び周波数シンセサイザ34への指示周波数切換処理等である。
【0023】
次に、図2は、高周波スイッチモジュール2の一例を示す回路図である。高周波スイッチモジュール2は前述の通りアンテナ39に接続して使用されるものであり、アンテナ受信信号とアンテナ送信信号との入出力に共用されるアンテナ側入出力端子ANTを有する。アンテナ側入出力端子ANTからのアンテナ受信信号(▲1▼)は、分波回路44(図2)において低域側分波受信信号(▲2▼)及び高域側分波受信信号(▲4▼)とに分波される。このうち、高域側分波受信信号はハイパスフィルタ回路46により抽出・分波され、低域側分波受信信号は同じく分波回路側ローパスフィルタ回路45により抽出・分波される。ハイパスフィルタ回路46及び分波回路側ローパスフィルタ回路45は、本実施形態ではいずれもアナログフィルタ回路(ここではアナログパッシブフィルタ回路であるLCフィルタ回路)にて構成されており、各々受信用帯域分離フィルタとして機能する。
【0024】
分波回路44からの各周波数帯域の分波受信信号は、アンテナ39に向かう各周波数帯域の送信信号との間で、対応するスイッチ回路42A,42Bにより切り換えられる。具体的には、送信入力端子TX1(低域側),TX2(高域側)につながる送信入力用信号伝送経路109,110が、アンテナ側入出力端子ANTにつながるアンテナ用信号伝送経路111,112と、受信出力端子RX1(低域側),RX2(高域側)につながる受信出力用信号伝送経路113,114とに、個別のスイッチ回路42A,42Bを介して切り替え可能に接続されている。
【0025】
スイッチ回路42A,42Bは、携帯電話(図1:無線電話通信装置)1の受信回路(受信部35A/35B及び復調部36A/36B)側へ、低域側分波受信信号と高域側分波受信信号とをそれぞれ出力する受信出力端子RX1,RX2と、携帯電話1の送信回路(変調部32A/32B及び送信部33A/33B)からの送信信号が入力される送信入力端子TX1,TX2とを有し、アンテナ側入出力部ANTに対する受信出力端子RX1,RX2と送信入力端子TX1,TX2との接続を切り換えるものである。
【0026】
なお、送信入力端子TX1を介して第一送信部33Aから入力される低域側送信信号は、高調波等を含む高周波側のノイズ成分を第一送信入力用ローパスフィルタ41A(図2:ローパスフィルタ回路にて構成される)にて除去された後、スイッチ回路42Aに入力される。また、送信入力端子TX2を介して第二送信部33Bから入力される低域側送信信号も、同様の構成の第二送信入力用ローパスフィルタ41B(図2)にて、高調波等を含む高周波側のノイズ成分を除去した後、スイッチ回路42Bに入力される。
【0027】
分波回路44及び複数のスイッチ回路42A,42B、フィルタ回路である第一、第二送信入力用ローパスフィルタ41A,41Bは、図3に示すように、構成素子が、導体層と誘電体層とが積層された積層体80において、導体層に組み込まれた形で内層されている。(a)は第二主表面MP2側、(b)は第一主表面MP1側を示す。具体的には、積層体80の表面には、アンテナ側入出力端子ANT、スイッチ回路42A,42Bの受信出力端子RX1,RX2及び送信入力端子TX1,TX2、スイッチ制御用信号端子VC1,VC2、及び複数のグランド端子GND1〜GND5が露出形成されている。
【0028】
他方、ダイオードを始めとする半導体デバイスや、大容量コンデンサあるいは抵抗値の高い抵抗素子など、厚膜印刷による回路パターン形成では実現しにくい素子は、図4に示すように、積層体80の第二主表面MP2に表面実装される。図3に示すように、積層体80の第二主表面MP2には、これらの素子の部品実装パッドPDが複数形成されている。なお、図2において表面実装素子C2,C3,C5,C8,C102,C107,D1,D2,D3,D4,L101,D4,R1,R2を一点鎖線により囲って表示している。
【0029】
以下、図2の回路についてさらに詳しく説明する。分波回路44において、分波回路側ローパスフィルタ回路45は、一次ローパスフィルタ回路機能の要部をなすコンデンサC107と、これに並列に挿入されるコンデンサC108及びコイルL106を含む。コンデンサC108及びコイルL106は、通過帯域より高周波側に減衰極を生じさせる(つまり、フィルタ回路の減衰特性を急峻化させる)LC共振型バンドリジェクトフィルタ回路を構成する。本実施形態では、第一使用周波数帯と第二使用周波数帯とを、1GHz前後を境として切り分ける必要があり、コンデンサC107,C108の容量及びコイルL106のインダクタンスも、これに適合するカットオフ周波数及び減衰極位置が得られるように調整される。基本的には、コンデンサC107は、通過帯域では十分インピーダンスが高く、これより高周波側ではインピーダンスが十分低くなるように、容量を調整する。逆に、コイルL106は減衰極の調整機能を十分に果たし、かつ通過帯域の信号を不必要に減衰させないよう、通過帯域では十分インピーダンスが低く、これより高周波側ではインピーダンスが十分高くなるように、インダクタンスを調整する。
【0030】
一方、ハイパスフィルタ回路46は、一次ハイパスフィルタ回路機能の要部をなすコンデンサC207,C208と、これに並列に挿入されるコンデンサC209及びコイルL206を含む。コンデンサC209及びコイルL206は、通過帯域より低周波側に減衰極を生じさせるLC共振型バンドパスフィルタ回路を構成する。コンデンサC207,C208は、通過帯域では十分インピーダンスが低く、これより低周波側ではインピーダンスが十分高くなるように、容量を調整する。他方、コイルL206は、通過帯域では十分インピーダンスが高く、これより低周波側ではインピーダンスが十分低くなるように、インダクタンスを調整する。
【0031】
また、第一送信入力用ローパスフィルタ41A(及び第二送信入力用ローパスフィルタ41B)も、コンデンサC101〜C103(C201〜C203:図11A)とコイルL101(L201:図11A)により、分波回路側ローパスフィルタ回路45と同様に構成されている。本実施形態では、送信入力端子TX1を介して第一送信部33Aから入力される低域側送信信号に対し、第一送信入力用ローパスフィルタ41Aが3次高調波の遮断機能を、また、分波回路側ローパスフィルタ回路45が2次高調波の遮断機能を担っている。また、送信入力端子TX2を介して第二送信部33Bから入力される高域側送信信号に対し、第二送信入力用ローパスフィルタ41Bは2次高調波の遮断機能を担っている。なお、図18に示すように、高域側送信信号に対しては、3次高調波等のさらに高域側の不要信号成分を遮断するために、アンテナ用信号伝送経路112上に補助ローパスフィルタ回路43(本実施形態では、コンデンサC11,C12,C13及びコイルL200よりなるパッシブフィルタである)を設けてもよい。これにより、後述するバンドパスフィルタ40Bを通過後の送信信号の品質をさらに高めることができる。
【0032】
次に、第一スイッチ回路42A及び第二スイッチ回路42Bは、基本的に同様に構成されているので、第一スイッチ回路42Aで代表させて説明する(図面を見れば明らかなことであるが、両スイッチ回路42A,42B間で、コンデンサC2,C3,C5はコンデンサC7,C8,C10に、コイルL1,L104はコイルL3,L204に、ダイオードD1,D2はダイオードD3,D4に、抵抗R1は抵抗R2にそれぞれ対応している)。
【0033】
第一スイッチ回路42Aは、基本的にストリップライン共振子を内蔵したダイオードスイッチとして構成されている。スイッチ機能の要部を担うのは、送信入力端子TX1から見て、アンテナ側入出力端子ANT及び受信出力端子RX1に各々向かう経路の分岐点Aよりも上段に配置されたスイッチングダイオードD1と、受信出力端子RX1側において分岐点Aよりも下段に配置された、ストリップライン共振子を構成するコイルL104及び共振用ダイオードD2である。
【0034】
スイッチングダイオードD1は例えばPINダイオードで構成され、順方向バイアス電圧の印加レベルにより、高周波可変抵抗素子として機能するものである。すなわち、スイッチ制御用信号端子VC1(第二スイッチ回路42BではVC2)に、VC1側が高電圧となるように信号電圧差を与えると、スイッチングダイオードD1は高周波に対し低インピーダンス状態となり、送信入力信号がアンテナ側入出力端子ANT側へ流れることが許容される。このとき、共振用ダイオードD2の接合容量がストリップライン共振子の共振条件に適合する値となるように、VC1との信号電圧を調整すれば、該共振子の動作により分岐点Aのインピーダンスが高くなり、送信入力信号が受信出力端子RX1(第二スイッチ回路42BではRX2)側に流れることが阻止される。
【0035】
一方、VC1の信号電圧を十分に小さくすれば、スイッチングダイオードD1は高周波に対し高インピーダンス状態となり、送信入力信号がアンテナ側入出力端子ANT側へ流れることが阻止される。このとき、コイルL104及び共振用ダイオードD2からなるストリップライン共振子も動作しないから、分岐点Aのインピーダンスは低くなる。その結果、アンテナ側入出力端子ANTからの受信入力信号は、分岐点Aを経て受信出力端子RX1に流れることが許容される。このように、VC1の信号電圧を調整することにより、アンテナ側入出力部ANTに対する受信出力部RXと送信入力部TX1との接続を切り換えることができる。
【0036】
なお、コイルL1は直流成分除去用のチョークコイルである。コンデンサC5は端子VC1に入力されるスイッチ制御用信号のノイズ除去用である。また、コンデンサC2,C3は、直流成分除去用のものであるが、これらは積層体80の表面に実装すること(あるいは、省スペースや組立て工数削減等の効果においては劣るが、積層体80の外に設けること)も可能である。他方、抵抗R1は、スイッチングダイオードD1の抵抗変化が順方向電流値によって決まるため、該順方向電流値をスイッチング動作に適合させるための調整用抵抗として設けられたものである。
【0037】
図2の回路は、前述の表面実装素子を除いて、図4A及び図4Bに示すように、導電体層からなる導体層52と高分子材料あるいはセラミックよりなる誘電体層50とにより、積層体80内に作りこむこと(内層すること)ができる。例えば、抵抗器55は、図7に示すように、蛇行した細長い導電体層パターンにより形成できる。コンデンサ54は、図8に示すように、誘電体層50を間に挟む形で対向する電極板54a,54bにより形成できる。さらに、コイル53は、複数の誘電体層50にまたがる巻線パターン53aを層間ビア59により接続する形で形成できる。他方、誘電体層50は、例えばホウケイ酸塩鉛ガラスとアルミナからなるガラスセラミック等のセラミックで構成される。積層体80は、誘電体層50の原料となるセラミックグリーンシート上に、導電性ペーストを用いて導体層を厚膜印刷し、積層して焼成する方法により製造される。これらは周知の技術であるから、詳細な説明は省略する。
【0038】
受信出力端子RX1,RX2に接続される使用周波数抽出用バンドバスフィルタ回路40A,40Bは、本実施形態ではいずれも弾性表面波共振器を含んで構成された狭帯域フィルタ回路として構成されている。図10は、そのようなフィルタ回路の一例を示すもので、弾性表面波共振器としてインターディジタルトランスデューサ型(以下、IDT型略称する)共振器が使用されている。IDT共振器は、圧電性セラミック板上に形成された多数対のすだれ状電極の上を、反射・透過しながら伝播する弾性表面波による共振現象を利用するものであり、これを組み込んだ図10のバンドパスフィルタ回路は、その共振周波数の近傍に非常に鋭い狭帯域通過特性を示すものとなる。なお、弾性表面波共振器及びこれを含んだ図10のフィルタ回路自体は、文献(Proc. IEEE, 64, 5, p.685 (1976))により公知になっているので、これ以上の詳細な説明は省略する。なお、IDT型共振器に代えて、キャビティ型共振器を用いた狭帯域フィルタ回路を用いてもよい。
【0039】
図2に戻り、低域側信号を取り扱う送信入力用信号伝送経路109及び受信出力用信号伝送経路113同士は、図4Bに示すように、空間的に互いに分離されたグランド用面導体103,102に対向した構成となっている。同様に、高域側信号を取り扱う送信入力用信号伝送経路110及び受信出力用信号伝送経路114同士も、空間的に互いに分離されたグランド用面導体105,104に対向した構成となっている。
【0040】
さらに、本実施形態においては、図4Aに示すように、送信入力用ローパスフィルタ41A(41B)とアンテナ用信号伝送経路111(112)をなす線路導体とが、積層体80の層厚方向において、前者がグランド用面導体103(105)に、後者がグランド用面導体101にそれぞれ対向して配置されている。なお、図6に示すように、通過する信号の周波数体が異なる送信入力用ローパスフィルタ41A,41Bは、互いに異なるグランド用面導体103,105にそれぞれ対向してなる。他方、アンテナ用信号伝送経路111,112をなす線路導体は、最終的には同じアンテナから送出されるため、グランド用面導体101を共用している。
【0041】
また、受信用帯域分離フィルタをなす、分波回路44のローパスフィルタ回路45とハイパスフィルタフィルタ46も、結果的にグランド用面導体101を共用している。そして、信号受信の観点から見た場合、これら受信用帯域分離フィルタ45,46を通過した信号は、それぞれスイッチ回路42A,42Bを経て、受信出力端子RX1,RX2につながる受信出力用信号伝送経路113,114へ伝送される。そして、図5に示すように、これら受信出力用信号伝送経路113,114は、受信用帯域分離フィルタ45,46が対向するグランド用面導体101とは異なる、互いに分離された個別のグランド用面導体102,104に対向してなる(図中では、ハイパスフィルタ46のみを描いている)。結果的に、送信入力用信号伝送経路109,110(及び、これら経路上のフィルタ41A,41B)及び受信出力用信号伝送経路113,114は、伝送ないし通過させる信号周波数帯の異なるもの同士が、互いに分離されたグランド用面導体に対向した構成となっている。
【0042】
本実施形態では、上記のようなグランド分離構造を実現するために、5つのグランド用面導体101〜105が、図6に示すように、空間的に互いに分離され、かつ、それぞれ異なるグランド端子GND1〜GND5(図3参照)に接続されており、積層体80内で互いに直流的に分離されている。図2には、回路上での各グランド面導体101〜105の対向領域を、一点鎖線により表している。
【0043】
送信入力用信号伝送経路(109,110)及び受信出力用信号伝送経路(113,114)からなる回路系を、グランド面導体を考慮に入れて等価回路的に描くと、図14A及び図14Bに示すようになる。図14Aは、送信入力用信号伝送経路の線路導体LTと、受信出力用信号伝送経路の線路導体LRとがグランド分離されていない場合、すなわち、グランド面導体GC1が共用化されている場合の等価回路である。各線路導体LT及びLRとも、グランド面導体GC1との間には、線路容量CBが形成される。グランド面導体GC1が共用化されているため、2つの線路導体LT及びLRは、グランド導通路SJにより直流的に接続されているのと同じである。従って、線路容量CBがある程度大きい場合、あるいは高域側信号のように、通過信号の周波数が高い場合は、線路容量CBによるリアクタンスが小さくなるため、両線路導体線路導体LT及びLRを伝送される送信信号σTと受信信号σRとは、グランド導通路SJを経由して少なからぬクロストーク成分σT’及びσR’を生じ、アイソレーション特性が悪化する。しかし、図14Bに示すように、両線路導体LT及びLRのグランド面導体GC1,GC2が分離されていれば、導通路SJ上にGC1/GC2間の寄生容量CJが直列接続されたのと同じ形になり、グランド導通路SJのインピーダンスが高くなってクロストーク成分が減じられ、アイソレーションが向上する。
【0044】
また、本実施形態においては、送信入力用ローパスフィルタ41A,41Bとアンテナ用信号伝送経路111,112との組合せ、あるいは受信用帯域分離フィルタ45,46と受信出力用信号伝送経路113,114との組合せのように、特定周波数帯の高域側を遮断する特性を有したフィルタ(以下、高域遮断フィルタともいう)と、当該フィルタの通過信号を扱う線路導体同士もグランド分離されている。これにより、フィルタの減衰特性を改善大幅に改善することができる。送信入力用ローパスフィルタ41A,41Bとアンテナ用信号伝送経路111,112は高域遮断フィルタであり、バンドパスフィルタやバンドリジェクトフィルタであってもよい。
【0045】
高域遮断フィルタHRF(ローパスフィルタ45)及びフィルタ通過後の線路導体SL(線路導体111)からなる回路系を、グランド面導体を考慮に入れて等価回路的に描くと、図15に示すようになる。線路導体SLと、これに対応するグランド面導体GC2(102)との間には、線路容量CBが形成される。そして、高域遮断フィルタHRFに対応するグランド面導体GC1(101)が、グランド面導体GC2とが一体もしくはビア接続されている場合、2つのグランド面導体GC1,GC2は、グランド導通路SJにより直流的に接続されているのと同じである。フィルタHRFにより遮断された高域側遮断信号σ’Hは周波数が高いため、線路容量CBはリアクタンスが比較的小さく、これを通過してフィルタHRFの通過信号σLに重畳され、減衰特性が悪化する。しかし、図16に示すように、グランド面導体GC1,GC2が分離されていれば、導通路SJ上にGC1/GC2間の寄生容量CJが直列接続されたのと同じ形になり、高域側遮断信号σ’Hに対するグランド導通路SJのインピーダンスが高くなって減衰特性が向上する。
【0046】
なお、各グランド面導体GC1,GC2は、積層体上の独立したGND端子により、実装先基板側のGND用パッド等を介して、該実装先基板のグランド導体に接続される。しかし、このグランド導体は、積層体中のグランド導体よりもはるかに大面積でインダクタンスが高く、漏洩信号を十分減衰させるに足る高いインピーダンスを有している。
【0047】
送信入力端子TX1,TX2から入力される送信信号は、送信回路にて増幅されたあとの信号であり、高レベルの高調波成分がより生じやすい。そこで、送信入力用ローパスフィルタ41A,41Bとアンテナ用信号伝送経路111,112との組合せにおいてグランドを分離することにより、送信入力用ローパスフィルタ41A,41Bにて除去された高レベルの高調波がアンテナ用信号伝送経路111,112に重畳する不具合が極めて効果的に抑制され、送信信号の品質向上を図ることができる。
【0048】
他方、受信用帯域分離フィルタ45,46と受信出力用信号伝送経路113,114とのグランドを分離することの効果は以下の通りである。すなわち、図2に示すように、アンテナで受信された受信信号は、受信用帯域分離フィルタ45,46(分波回路44)により高域側信号と低域側信号とに粗く切り分けられ、さらに、各受信出力端子RX1,RX2に接続された使用周波数抽出用バンドパスフィルタ回路40A,40Bにより、狭い帯域幅の使用周波数帯域の信号が抽出される。
【0049】
使用周波数抽出用バンドパスフィルタ回路40A,40Bは、前述の通り、弾性表面波共振器を用いて通過帯域幅を50〜75MHz程度の範囲に収めた狭帯域フィルタ回路である。該狭帯域フィルタ回路40A,40Bは、通過周波数帯の近傍では非常に急峻で良好な減衰特性を示すものの、通過周波数帯からある程度隔たった周波数帯域では、減衰特性が急速に悪化する。一方、受信用帯域分離フィルタ45,46は通過帯域幅が上記狭帯域フィルタ回路40A,40Bよりもはるかに広く、遮断信号の帯域が、対応する狭帯域フィルタ回路40A,40Bの減衰が悪化する帯域に及ぶことも十分にありえる。
【0050】
その結果、受信用帯域分離フィルタ45,46による遮断信号成分がグランド導体を経て受信用伝送経路113,114に重畳すると、該遮断信号成分は、狭帯域フィルタ40A,40Bでは除去しきれなくなり、受信信号の品質劣化につながる問題がある。そこで、上記のように受信用帯域分離フィルタ45,46と受信用伝送経路113,114をなす線路導体とがグランド分離されていれば、このような不具合が極めて効果的に抑制され、受信信号の品質向上を図ることができる。該効果は、高調波成分の形でグランド漏洩ノイズが生じやすいローパスフィルタ45側において特に顕著である。
【0051】
上記の説明からも明らかなように、図4〜図6において、個別のグランド面導体101〜105は、面導体相互に生ずる寄生容量CJがなるべく小さくなる形態で配置されることが、寄生容量CJによるリアクタンス成分を高め、ひいてはフィルタの減衰特性向上を図る上で有利である。そのためには、異なるグランド面導体同士が面内方向になるべく重ならない構成を採用することが効果的である。図4〜図6においては、グランド面導体101〜105が、積層体80内において同一平面上に配置され、該面内にて空間的に分離された構造とされている。この場合、寄生容量CJに主として寄与するのは、図6に示すように、グランド面導体101〜105の面内対向する狭いエッジ領域EAとなるので、寄生容量CJ低減に効果がある。ただし、グランド面導体101〜105の実製造工程上のパターン形成精度を考慮すれば、短絡防止等を図るため、エッジ間距離δをある程度確保せざるを得ず、積層体の小面積化には一定の限界がある。
【0052】
そこで、図11A及び図11Bに示すように、複数のグランド面導体101〜105のうち、少なくとも2つのものを、積層体80内において互いに異なる平面上に配置すれば、それらグランド面導体は誘電体層50により互いに隔てられ、積層体の厚さ方向において空間的に分離することができる。その結果、平面視におけるグランド面導体のエッジ間距離の縮小が容易となり、積層体の小面積化に寄与できる。この場合、積層体80の厚さ方向において空間的に分離されたグランド面導体を、面内方向において互いに重ならない位置関係にて配置することが、寄生容量CJを小さくする上で望ましい。
【0053】
図4A(図11A及び図11B)及び図5においては、被グランド分離要素が線路導体111,112(ただし、これに限られるものではない)を含み、かつ該線路導体111,112が、これと対向するグランド面導体101,103(105)とともにマイクロストリップラインを構成している。また、図4Aのローパスフィルタ41A(41B)においては、グランド面導体103の直上にコンデンサC101が配置され、その一方の電極がビアVAを介してグランド面導体103に接続されている。また、形成面積の大きいコイルL101は、コンデンサC101を挟んでグランド面導体103と反対側に配置され、積層体80の面積縮小が図られている。他方、図5のハイパスフィルタ46においては、グランド面導体101の直上にコイルL206が配置され、ビアVAを介してグランド面導体101に接続されている。コンデンサC207は、コイルL206を挟んでグランド面導体101と反対側に配置され、積層体80の面積縮小が図られている。
【0054】
なお、図12に示すように、被グランド分離要素が線路導体111(112)を含む場合、耐ノイズ性向上等を図るため、該線路導体111(112)が、これと対向する第一のグランド面導体101と、積層体80の厚さ方向において該線路導体111を挟んで第一のグランド面導体101と反対側に位置する第二のグランド面導体120とに挟まれることによりストリップラインを構成するものとすることもできる。この場合、第二のグランド面導体120は、第一のグランド面導体101と同一のグランド端子GND1(図12)に接続される一方、線路導体111と組をなす被グランド分離要素、ここではローパスフィルタ41A(41B)に対向した第三のグランド面導体103(105)とは空間的に分離される。これにより、フィルタの減衰特性を高めることができる。該図の実施形態では、第一のグランド面導体101と第二のグランド導体120とが、線路導体111を回避した形でビアVAにより接続されている。それ以外の構成は、図4と同じである。
【0055】
なお、受信用帯域分離フィルタ側のグランド分離については、周波数帯域によっては簡略化しても差し支えない場合がある。例えば、グランド面導体を介した高調波漏洩が主に問題となる場合は、図13に示すように、フィルタ用の面導体101と、高域遮断フィルタ(ローパスフィルタ45側)の受信出力用線路導体113(図2)に対応した面導体102とは分離を行ない、低域遮断フィルタ(ハイパスフィルタ46側)の受信出力用線路導体114(図2)に対応した面導体104は、フィルタ用の面導体101と一体化する構成も可能である。
【0056】
また、上記の実施形態は、複数の周波数帯域を切り換えて使用できるマルチバンド型デジタル携帯電話機(例示したのはデュアルバンド型のもの)への本発明の適用例を示したが、図17に示すように、シングルバンド型のデジタル携帯電話機へも本発明を適用できる。図17の回路構成は、図2の回路構成から、分波回路44のローパスフィルタ45側、つまり低域側の送受信信号を取り扱う部分を抜き出したものに等しく、グランド面導体101,102及び103の分離形態も図2と同様なので、詳細な説明は省略する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の無線電話通信装置の一実施形態を示す携帯電話機の全体構成を示すブロック図。
【図2】その高周波スイッチモジュールの第一例を示す回路図。
【図3】積層体として構成された高周波スイッチモジュールの外観の一例を、表面及び裏面にて示す斜視図。
【図4A】積層体の構造の第一例を示す断面模式図。
【図4B】図4Bの別角度の断面模式図。
【図5】図4の積層体を、別位置の断面にて示す模式図。
【図6】分離されたグランド面導体の面内配置形態の第一例を示す平面図。
【図7】積層体における抵抗器の形成態様を示す模式図。
【図8】同じくコンデンサの形成態様を示す模式図。
【図9】同じくコイルの形成態様を示す模式図。
【図10】弾性表面波共振器を含んで構成された狭帯域フィルタ回路の一例を示す図。
【図11A】積層体の構造の第二例を示す断面模式図。
【図11B】図11Aの別角度の断面模式図。
【図12】積層体の構造の第三例を示す断面模式図。
【図13】分離されたグランド面導体の面内配置形態の第二例を示す平面図。
【図14A】線路導体同士のグランド分離を行なわない場合の等価回路説明図。
【図14B】線路導体同士のグランド分離を行なった場合の等価回路説明図。
【図15】ローパスフィルタと、その後段側の線路導体とのグランド分離を行なわない場合の等価回路説明図。
【図16】ローパスフィルタと、その後段側の線路導体とのグランド分離を行なった場合の等価回路説明図。
【図17】高周波スイッチモジュールの第二例を示す回路図。
【図18】高周波スイッチモジュールの第三例を示す回路図。
【符号の説明】
1 デジタル携帯電話機(無線電話通信装置)
2 高周波スイッチモジュール
32A,32B 変調部(送信回路)
33A,33B 送信部(送信回路)
35A,35B 受信部(受信回路)
36A,36B 復調部(受信回路)
39 アンテナ
40A,40B 使用周波数抽出用バンドバスフィルタ回路(狭帯域フィルタ)
41A,41B 入力側ローパスフィルタ回路
42A,42B スイッチ回路
44 分波回路
45 ローパスフィルタ回路(高域遮断フィルタ:受信用帯域分離フィルタ)
46 ハイパスフィルタ回路(低域遮断フィルタ:受信用帯域分離フィルタ)
50 誘電体層
80 積層体
RX1,RX2 受信出力端子
TX1,TX2 送信入力端子
ANT アンテナ側入出力端子
101〜105 グランド面導体
111,112 送信入力用信号伝送経路
113,114 受信出力用信号伝送経路
GND1〜GND5 グランド端子
【発明の属する技術分野】
本発明は、無線電話通信装置に使用する高周波スイッチモジュールとそれを用いる無線電話通信装置に関する。なお、本発明の適用対象となる無線電話通信装置は、無線電話回線網を利用して双方向通信を行なう装置全般を意味し、携帯電話やPHS(Personal Handy phone System)などの一般的な意味での無線電話器はもちろん、端末機能を組み込んだ電話機や逆に電話回線接続機能を有した可搬型コンピュータなどの携帯型端末装置、無線電話回線接続用モデム、及び該モデムを組み込んだ可搬型コンピュータなども概念として包含する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開平5−267909号公報
【特許文献2】
特開平8−97743号公報
【0003】
上記の無線電話通信装置、例えばデジタル携帯電話において、アンテナと送信回路との接続、及びアンテナと受信回路との接続を切り換えるために、高周波スイッチ(アンテナスイッチ)が用いられている。特に近年ではデジタル携帯電話の普及台数が急激に増加しており、通信方式もGSM、DCS、PCS、PDS、CDMAなど次々と新しい種類のものが開発され、採用されるに至っている。また、加入回線数の増加に伴い、使用する電波の周波数帯域も当初の数100MHz帯から、GHz帯へと拡張しており、通信方式に応じて種々の周波数帯が割り当てられている。
【0004】
携帯電話機に使用されるアンテナスイッチモジュールは、小型・軽量化を図るため、線路導体とグランド用面導体を有する導体層と誘電体層とが積層された、高周波回路積層体として構成されることが多くなってきている。グランド用面導体は電位基準として用いたり、回路要素を電磁的にシールドしたりするために使用される。従来、アンテナスイッチ等に使用される高周波回路用積層体においてグランド用面導体は、電位基準用として用いることを考慮して、面導体の数を一層のみとするか、あるいは複数層設ける場合においても、同一グランド端子への接続あるいはビア接続により、積層体内において電気的に一体化された形で用いられていた(特許文献1、特許文献2)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような高周波回路積層体においては、受信出力端子につながる受信出力用信号伝送経路と送信入力端子につながる送信入力用信号伝送経路とはアンテナスイッチによりアンテナに切り替え接続される。この場合、送信信号と受信信号との混信(クロストーク)を防ぐため、スイッチ回路には高いアイソレーション特性が求められる。例えば、PINダイオードをスイッチ素子として用いたスイッチ回路では、ダイオードと並列にインダクタを挿入して並列共振回路を形成し、希望する周波数でのインピーダンスを高めてアイソレーション特性を改善することが行なわれている。また、OFF時のインピーダンスが元から高い高周波用トランジスタ(例えばGaAs系のFETやHEMT,HBTなど)によりスイッチを構成することも行なわれている。
【0006】
受信出力用信号伝送経路と送信入力用信号伝送経路とを構成する線路導体は、グランド面導体が随伴するストリップラインやマイクロストリップラインにて構成されることが多い。従来の高周波スイッチモジュールでは、積層体に内層されたグランド面導体は、安定な基準電位を与えるために積層基板の導体層面を大きく被覆するように形成され、複数層に分割する場合でも、ビアにより積層体内部では直流的に接続される。本発明者らが検討したところ、このような構造の積層体を用いた場合、受信出力用信号伝送経路と送信入力用信号伝送経路との間のアイソレーションが悪化しやすく、スイッチ回路部分の改良によりこれを改善するには限界のあることがわかった。
【0007】
本発明の課題は、受信出力用信号伝送経路と送信入力用信号伝送経路との間のアイソレーション特性をより向上できる高周波スイッチモジュールと、それを用いた無線電話通信装置とを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】
本発明の高周波スイッチモジュールは、
アンテナに接続して使用され、アンテナ受信信号とアンテナ送信信号との入出力に共用されるアンテナ側入出力端子と、
アンテナ側入出力端子からの受信信号を無線電話通信装置の受信回路側へ出力する受信出力端子と、無線電話通信装置の送信回路からの送信信号が入力される送信入力端子との、アンテナ側入出力端子に対する接続を切り換えるスイッチ回路と、
アンテナ側入出力端子と、受信出力端子及び送信入力端子とを相互に接続する信号伝送経路と、
信号伝送経路の一部をなす線路導体とグランド面導体とを有する導体層と誘電体層とが積層された積層体として構成され、スイッチ回路の構成素子が、導体層を構成する素子パターンの形で内層されており、また、該積層体の表面にアンテナ側入出力端子、各スイッチ回路の受信出力端子と送信入力端子、及びグランド面導体に導通するグランド端子が露出形成されてなり、さらに、
信号伝送経路において、受信出力端子につながる受信出力用信号伝送経路をなす線路導体と、送信入力端子につながる送信入力用信号伝送経路をなす線路導体とを、積層体内部にて空間的に互いに分離され、かつ、各々互いに異なるグランド端子に接続された個別のグランド面導体に対向させたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の無線通信電話装置は、上記本発明の高周波スイッチモジュールと、
該高周波スイッチモジュールのアンテナ側入出力端子に接続されるアンテナと、
受信出力端子に接続される受信回路と、
送信入力端子に接続される送信回路とを備えたことを特徴する。
【0010】
上記本発明の高周波スイッチモジュール及びそれを用いた無線通信電話装置においては、高周波スイッチモジュールが線路導体とグランド用面導体を有する導体層と誘電体層とが積層された積層体として構成される。本発明者らが検討した結果、受信出力用信号伝送経路をなす線路導体と、送信入力用アンテナ用信号伝送経路をなす線路導体とが、積層体内にて直流的に導通したグランド面導体に対向する形でマイクロストリップラインやストリップラインを形成しているとき、これら経路を伝送される送信信号と受信信号とが、グランド面導体を経由してクロストークし、アイソレーション特性悪化につながっていることが判明した。そこで、信号伝送経路において、受信出力端子につながる受信出力用信号伝送経路をなす線路導体と、送信入力端子につながる送信入力用アンテナ用信号伝送経路をなす線路導体とを被グランド分離要素として、空間的に互いに分離された個別のグランド面導体に対向させる構成を採用したところ、送信信号と受信信号とのグランド面導体を媒介とするクロストークが顕著に抑制され、アイソレーション特性が向上することを見出して、本発明を完成するに至ったのである。
【0011】
上記本発明の高周波スイッチモジュールは、アンテナ側入出力端子と、受信出力端子及び送信入力端子とを相互に接続する信号伝送経路上に設けられたフィルタとを備え、該フィルタと該フィルタの通過信号を扱う線路導体とを、積層体内部にて空間的に互いに分離され、かつ、各々互いに異なるグランド端子に接続された個別のグランド面導体に対向させたものとして構成することができる。
【0012】
フィルタと該フィルタの通過信号を扱う線路導体とを被グランド分離要素として、空間的に互いに分離された個別のグランド面導体に対向させることにより、フィルタの遮断信号がグランド面導体を経由して線路導体上に重畳することが効果的に抑制され、フィルタの減衰特性が向上する。
【0013】
特に、前記フィルタが、高調波除去等のため、特定周波数帯の高域側を遮断する特性を有したフィルタ(以下、高域遮断フィルタともいう)であり、線路導体が、当該フィルタの通過信号を扱う線路導体であるた場合、フィルタの減衰特性改善効果が特に顕著となる。高域遮断フィルタは、例えばローパスフィルタとすることができるが、バンドパスフィルタやバンドリジェクトフィルタであってもよい。
【0014】
前記のフィルタは、送信入力端子につながる送信入力用信号伝送経路上に設けられた送信入力用ローパスフィルタとすることができ、送信入力用信号伝送経路を、アンテナ側入出力端子につながるアンテナ用信号伝送経路と、受信出力端子につながる受信出力用信号伝送経路とに、スイッチ回路を介して切り替え可能に接続することができる。送信入力用ローパスフィルタとアンテナ用信号伝送経路をなす線路導体とを各々互いに異なるグランド端子に接続された個別のグランド面導体に対向させることはできる。
【0015】
送信入力端子から入力される送信信号は、送信回路にて増幅されたあとの信号であり、高レベルの高調波成分がより生じやすい。この高調波成分は上記の送信入力用ローパスフィルタにて除去できるが、該送信入力用ローパスフィルタを通過後はアンテナを経て送信されるので、除去された高調波等の遮断信号成分がグランド導体を経てアンテナに向かう送信経路(アンテナ用信号伝送経路)に重畳すると、送信信号の直接的な品質劣化につながる問題がある。しかしながら、上記のように送信入力用ローパスフィルタとアンテナ用信号伝送経路をなす線路導体とがグランド分離されていれば、このような不具合が極めて効果的に抑制され、送信信号の品質向上を図ることができる。
【0016】
また、フィルタは、アンテナ側入出力端子につながるアンテナ用信号伝送経路上に設けられた受信用帯域分離フィルタとすることもできる。また、受信出力端子に、受信用帯域分離フィルタよりも狭い通過帯域幅を有する、弾性表面波共振器を含んで構成された狭帯域フィルタ回路からなり、受信用帯域分離フィルタを通過後の受信信号から使用周波数帯域のものを抽出する使用周波数抽出用バンドバスフィルタ回路を接続することができる。この場合、アンテナ用信号伝送経路は、送信入力端子につながる送信入力用信号伝送経路と、受信出力端子につながる受信出力用信号伝送経路とに、スイッチ回路を介して切り替え可能に接続されてなり、受信用帯域分離フィルタと受信出力用信号伝送経路をなす線路導体とを、各々互いに異なるグランド端子に接続された個別のグランド面導体に対向させることができる。
【0017】
上記構成によると、アンテナで受信された受信信号は、所望の周波数帯域が受信用帯域分離フィルタにより粗く切り分けられ、さらに、受信出力端子に接続された使用周波数抽出用バンドバスフィルタ回路により、狭い帯域幅の使用周波数帯域の信号が抽出される。高周波帯を使用する携帯電話等の移動体通信では、回線数を多数確保するために割り当てられた帯域幅が非常に狭く、使用周波数抽出用バンドバスフィルタ回路は、通過帯域幅を50〜75MHz程度の範囲に収めた狭帯域フィルタとして構成しなければならない(通過帯域幅が50MHz以下では、使用周波数帯域の信号を、余裕を持って抽出することが困難となり、75MHz以上ではノイズの増加につながる)。
【0018】
圧電セラミックの表面弾性波を用いた狭帯域フィルタは、通過周波数帯の近傍では非常に急峻で良好な減衰特性を示すものの、通過周波数帯からある程度隔たった周波数帯域では、減衰特性は急速に悪化する。従って、受信用帯域分離フィルタにより、狭帯域フィルタの通過帯域から隔たった周波数域の信号成分を予め遮断しておくことが重要である。しかし、受信用帯域分離フィルタによる遮断信号成分がグランド導体を経て受信出力用信号伝送経路に重畳すると、該遮断信号成分は、狭帯域フィルタの通過帯域から隔たった周波数域のものであるため、減衰が不十分となり、受信信号の品質劣化につながる問題がある。そこで、上記のように受信用帯域分離フィルタと受信出力用信号伝送経路をなす線路導体とがグランド分離されていれば、このような不具合が極めて効果的に抑制され、受信信号の品質向上を図ることができる。特に、受信用帯域分離フィルタが、グランド導体を経た高調波漏洩が生じやすいローパスフィルタで構成されている場合、上記の効果が特に顕著である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて説明する。
図1は、複数の周波数帯域を扱う無線電話通信装置の一例である、デュアルバンド型デジタル携帯電話機(以下、単に携帯電話機ともいう)の電気的構成を示すブロック図である。携帯電話機1は、I/Oポート11と、これに接続されるCPU12、ROM13及びRAM14等からなる主制御部としての制御用マイクロプロセッサ10を有し、そのI/Oポート11には、テンキー型の周知のプッシュボタンで構成されたダイアル入力部5、携帯電話機1をオンフック状態とオフフック状態との間で切り換えるオンフック/オフフック切換スイッチ6、及び使用周波数帯を切り換えるバンド切換スイッチ7が接続される。また、受話器3はアンプ15とD/A変換器16を介して、送話器4はアンプ17とA/D変換器18とを介して、さらに液晶モニタ(LCD)19がモニタ制御回路20を介して、それぞれI/Oポート11に接続されている。
【0020】
また、I/Oポート11には電話接続回路9が接続されている。該電話接続回路9は、2つの使用周波数帯のうち低域側のものに対応する第一変調部32A、第一送信部33A(これらは第一送信回路を構成する)、第一受信部35A及び第一復調部36A(これらは第一受信回路を構成する)、同じく高域側のものに対応する第二変調部32B、第二送信部33B(これらは第二送信回路を構成する)、第二受信部35B及び第二復調部36B(これらは第二受信回路を構成する)、通信搬送波を必要な周波数にて合成する周波数シンセサイザ34、本発明の高周波スイッチモジュール2及びこれに接続されるアンテナ39、高周波スイッチモジュール2に含まれる分波回路44(図2:後述)からの各分波受信信号から、使用周波数帯域のものを抽出する使用周波数抽出用バンドバスフィルタ回路40A,40B等を含んで構成される。また、図示は省略しているが、電話接続回路9には、ハンドオーバー用の制御用電波発信部も含まれている。
【0021】
上記電話接続回路9の構成要素のうち、高周波スイッチモジュール2以外の部分は、一般のデジタル携帯電話機と何ら変わりはなく周知であるので、詳細な説明は省略する。また、携帯電話機1の基本動作も周知のものと同様であるが、概略を述べれば以下の通りである。すなわち、送話器4から入力された音声はアンプ17で増幅され、さらにA/D変換器18によりデジタル変換された後、選択された使用周波数帯に対応する変調部(32A又は32B)により変調され、さらに送信部(33A又は33B)にて搬送波と合成・増幅され、高周波スイッチモジュール2及びアンテナ39から送信される。他方、受信電波はアンテナ39及び高周波スイッチモジュール2を介して選択された使用周波数帯に対応する受信部(35A又は35B)で受信され、搬送波成分が取り除かれた後、復調部(36A又は36B)でデジタル音声信号に復調され、D/A変換機16及びアンプ15を介して受話器3から出力される。
【0022】
高周波スイッチモジュール2は、受信信号と送信信号とを、スイッチ制御用信号(後述するVC1〜VC2:信号制御は制御用マイクロプロセッサ10が行なう)を受けて、時分割方式で切り換える。他方、使用周波数帯の切り替えは、本実施形態ではバンド切換スイッチ7の操作により制御用マイクロプロセッサ10が行なうようにしているが、周波数シンセサイザ34を用いてバンドスキャンを行い、適合する周波数帯に自動切り換えを行なうようにしてもよい。なお、本実施形態では、第一使用周波数帯(バンド)が1GHz未満の通信方式(例えば900MHz帯を使用するGSM方式)に対応するものであり、第二使用周波数帯が1GHz以上の通信方式(例えば1.8GHz帯を使用するDCS1800方式)に対応するものである。なお、制御用マイクロプロセッサ10が行なう切換処理は、主として、I/Oポート11における変調部32A/32B及び復調部36A/36Bのポート切換処理、及び周波数シンセサイザ34への指示周波数切換処理等である。
【0023】
次に、図2は、高周波スイッチモジュール2の一例を示す回路図である。高周波スイッチモジュール2は前述の通りアンテナ39に接続して使用されるものであり、アンテナ受信信号とアンテナ送信信号との入出力に共用されるアンテナ側入出力端子ANTを有する。アンテナ側入出力端子ANTからのアンテナ受信信号(▲1▼)は、分波回路44(図2)において低域側分波受信信号(▲2▼)及び高域側分波受信信号(▲4▼)とに分波される。このうち、高域側分波受信信号はハイパスフィルタ回路46により抽出・分波され、低域側分波受信信号は同じく分波回路側ローパスフィルタ回路45により抽出・分波される。ハイパスフィルタ回路46及び分波回路側ローパスフィルタ回路45は、本実施形態ではいずれもアナログフィルタ回路(ここではアナログパッシブフィルタ回路であるLCフィルタ回路)にて構成されており、各々受信用帯域分離フィルタとして機能する。
【0024】
分波回路44からの各周波数帯域の分波受信信号は、アンテナ39に向かう各周波数帯域の送信信号との間で、対応するスイッチ回路42A,42Bにより切り換えられる。具体的には、送信入力端子TX1(低域側),TX2(高域側)につながる送信入力用信号伝送経路109,110が、アンテナ側入出力端子ANTにつながるアンテナ用信号伝送経路111,112と、受信出力端子RX1(低域側),RX2(高域側)につながる受信出力用信号伝送経路113,114とに、個別のスイッチ回路42A,42Bを介して切り替え可能に接続されている。
【0025】
スイッチ回路42A,42Bは、携帯電話(図1:無線電話通信装置)1の受信回路(受信部35A/35B及び復調部36A/36B)側へ、低域側分波受信信号と高域側分波受信信号とをそれぞれ出力する受信出力端子RX1,RX2と、携帯電話1の送信回路(変調部32A/32B及び送信部33A/33B)からの送信信号が入力される送信入力端子TX1,TX2とを有し、アンテナ側入出力部ANTに対する受信出力端子RX1,RX2と送信入力端子TX1,TX2との接続を切り換えるものである。
【0026】
なお、送信入力端子TX1を介して第一送信部33Aから入力される低域側送信信号は、高調波等を含む高周波側のノイズ成分を第一送信入力用ローパスフィルタ41A(図2:ローパスフィルタ回路にて構成される)にて除去された後、スイッチ回路42Aに入力される。また、送信入力端子TX2を介して第二送信部33Bから入力される低域側送信信号も、同様の構成の第二送信入力用ローパスフィルタ41B(図2)にて、高調波等を含む高周波側のノイズ成分を除去した後、スイッチ回路42Bに入力される。
【0027】
分波回路44及び複数のスイッチ回路42A,42B、フィルタ回路である第一、第二送信入力用ローパスフィルタ41A,41Bは、図3に示すように、構成素子が、導体層と誘電体層とが積層された積層体80において、導体層に組み込まれた形で内層されている。(a)は第二主表面MP2側、(b)は第一主表面MP1側を示す。具体的には、積層体80の表面には、アンテナ側入出力端子ANT、スイッチ回路42A,42Bの受信出力端子RX1,RX2及び送信入力端子TX1,TX2、スイッチ制御用信号端子VC1,VC2、及び複数のグランド端子GND1〜GND5が露出形成されている。
【0028】
他方、ダイオードを始めとする半導体デバイスや、大容量コンデンサあるいは抵抗値の高い抵抗素子など、厚膜印刷による回路パターン形成では実現しにくい素子は、図4に示すように、積層体80の第二主表面MP2に表面実装される。図3に示すように、積層体80の第二主表面MP2には、これらの素子の部品実装パッドPDが複数形成されている。なお、図2において表面実装素子C2,C3,C5,C8,C102,C107,D1,D2,D3,D4,L101,D4,R1,R2を一点鎖線により囲って表示している。
【0029】
以下、図2の回路についてさらに詳しく説明する。分波回路44において、分波回路側ローパスフィルタ回路45は、一次ローパスフィルタ回路機能の要部をなすコンデンサC107と、これに並列に挿入されるコンデンサC108及びコイルL106を含む。コンデンサC108及びコイルL106は、通過帯域より高周波側に減衰極を生じさせる(つまり、フィルタ回路の減衰特性を急峻化させる)LC共振型バンドリジェクトフィルタ回路を構成する。本実施形態では、第一使用周波数帯と第二使用周波数帯とを、1GHz前後を境として切り分ける必要があり、コンデンサC107,C108の容量及びコイルL106のインダクタンスも、これに適合するカットオフ周波数及び減衰極位置が得られるように調整される。基本的には、コンデンサC107は、通過帯域では十分インピーダンスが高く、これより高周波側ではインピーダンスが十分低くなるように、容量を調整する。逆に、コイルL106は減衰極の調整機能を十分に果たし、かつ通過帯域の信号を不必要に減衰させないよう、通過帯域では十分インピーダンスが低く、これより高周波側ではインピーダンスが十分高くなるように、インダクタンスを調整する。
【0030】
一方、ハイパスフィルタ回路46は、一次ハイパスフィルタ回路機能の要部をなすコンデンサC207,C208と、これに並列に挿入されるコンデンサC209及びコイルL206を含む。コンデンサC209及びコイルL206は、通過帯域より低周波側に減衰極を生じさせるLC共振型バンドパスフィルタ回路を構成する。コンデンサC207,C208は、通過帯域では十分インピーダンスが低く、これより低周波側ではインピーダンスが十分高くなるように、容量を調整する。他方、コイルL206は、通過帯域では十分インピーダンスが高く、これより低周波側ではインピーダンスが十分低くなるように、インダクタンスを調整する。
【0031】
また、第一送信入力用ローパスフィルタ41A(及び第二送信入力用ローパスフィルタ41B)も、コンデンサC101〜C103(C201〜C203:図11A)とコイルL101(L201:図11A)により、分波回路側ローパスフィルタ回路45と同様に構成されている。本実施形態では、送信入力端子TX1を介して第一送信部33Aから入力される低域側送信信号に対し、第一送信入力用ローパスフィルタ41Aが3次高調波の遮断機能を、また、分波回路側ローパスフィルタ回路45が2次高調波の遮断機能を担っている。また、送信入力端子TX2を介して第二送信部33Bから入力される高域側送信信号に対し、第二送信入力用ローパスフィルタ41Bは2次高調波の遮断機能を担っている。なお、図18に示すように、高域側送信信号に対しては、3次高調波等のさらに高域側の不要信号成分を遮断するために、アンテナ用信号伝送経路112上に補助ローパスフィルタ回路43(本実施形態では、コンデンサC11,C12,C13及びコイルL200よりなるパッシブフィルタである)を設けてもよい。これにより、後述するバンドパスフィルタ40Bを通過後の送信信号の品質をさらに高めることができる。
【0032】
次に、第一スイッチ回路42A及び第二スイッチ回路42Bは、基本的に同様に構成されているので、第一スイッチ回路42Aで代表させて説明する(図面を見れば明らかなことであるが、両スイッチ回路42A,42B間で、コンデンサC2,C3,C5はコンデンサC7,C8,C10に、コイルL1,L104はコイルL3,L204に、ダイオードD1,D2はダイオードD3,D4に、抵抗R1は抵抗R2にそれぞれ対応している)。
【0033】
第一スイッチ回路42Aは、基本的にストリップライン共振子を内蔵したダイオードスイッチとして構成されている。スイッチ機能の要部を担うのは、送信入力端子TX1から見て、アンテナ側入出力端子ANT及び受信出力端子RX1に各々向かう経路の分岐点Aよりも上段に配置されたスイッチングダイオードD1と、受信出力端子RX1側において分岐点Aよりも下段に配置された、ストリップライン共振子を構成するコイルL104及び共振用ダイオードD2である。
【0034】
スイッチングダイオードD1は例えばPINダイオードで構成され、順方向バイアス電圧の印加レベルにより、高周波可変抵抗素子として機能するものである。すなわち、スイッチ制御用信号端子VC1(第二スイッチ回路42BではVC2)に、VC1側が高電圧となるように信号電圧差を与えると、スイッチングダイオードD1は高周波に対し低インピーダンス状態となり、送信入力信号がアンテナ側入出力端子ANT側へ流れることが許容される。このとき、共振用ダイオードD2の接合容量がストリップライン共振子の共振条件に適合する値となるように、VC1との信号電圧を調整すれば、該共振子の動作により分岐点Aのインピーダンスが高くなり、送信入力信号が受信出力端子RX1(第二スイッチ回路42BではRX2)側に流れることが阻止される。
【0035】
一方、VC1の信号電圧を十分に小さくすれば、スイッチングダイオードD1は高周波に対し高インピーダンス状態となり、送信入力信号がアンテナ側入出力端子ANT側へ流れることが阻止される。このとき、コイルL104及び共振用ダイオードD2からなるストリップライン共振子も動作しないから、分岐点Aのインピーダンスは低くなる。その結果、アンテナ側入出力端子ANTからの受信入力信号は、分岐点Aを経て受信出力端子RX1に流れることが許容される。このように、VC1の信号電圧を調整することにより、アンテナ側入出力部ANTに対する受信出力部RXと送信入力部TX1との接続を切り換えることができる。
【0036】
なお、コイルL1は直流成分除去用のチョークコイルである。コンデンサC5は端子VC1に入力されるスイッチ制御用信号のノイズ除去用である。また、コンデンサC2,C3は、直流成分除去用のものであるが、これらは積層体80の表面に実装すること(あるいは、省スペースや組立て工数削減等の効果においては劣るが、積層体80の外に設けること)も可能である。他方、抵抗R1は、スイッチングダイオードD1の抵抗変化が順方向電流値によって決まるため、該順方向電流値をスイッチング動作に適合させるための調整用抵抗として設けられたものである。
【0037】
図2の回路は、前述の表面実装素子を除いて、図4A及び図4Bに示すように、導電体層からなる導体層52と高分子材料あるいはセラミックよりなる誘電体層50とにより、積層体80内に作りこむこと(内層すること)ができる。例えば、抵抗器55は、図7に示すように、蛇行した細長い導電体層パターンにより形成できる。コンデンサ54は、図8に示すように、誘電体層50を間に挟む形で対向する電極板54a,54bにより形成できる。さらに、コイル53は、複数の誘電体層50にまたがる巻線パターン53aを層間ビア59により接続する形で形成できる。他方、誘電体層50は、例えばホウケイ酸塩鉛ガラスとアルミナからなるガラスセラミック等のセラミックで構成される。積層体80は、誘電体層50の原料となるセラミックグリーンシート上に、導電性ペーストを用いて導体層を厚膜印刷し、積層して焼成する方法により製造される。これらは周知の技術であるから、詳細な説明は省略する。
【0038】
受信出力端子RX1,RX2に接続される使用周波数抽出用バンドバスフィルタ回路40A,40Bは、本実施形態ではいずれも弾性表面波共振器を含んで構成された狭帯域フィルタ回路として構成されている。図10は、そのようなフィルタ回路の一例を示すもので、弾性表面波共振器としてインターディジタルトランスデューサ型(以下、IDT型略称する)共振器が使用されている。IDT共振器は、圧電性セラミック板上に形成された多数対のすだれ状電極の上を、反射・透過しながら伝播する弾性表面波による共振現象を利用するものであり、これを組み込んだ図10のバンドパスフィルタ回路は、その共振周波数の近傍に非常に鋭い狭帯域通過特性を示すものとなる。なお、弾性表面波共振器及びこれを含んだ図10のフィルタ回路自体は、文献(Proc. IEEE, 64, 5, p.685 (1976))により公知になっているので、これ以上の詳細な説明は省略する。なお、IDT型共振器に代えて、キャビティ型共振器を用いた狭帯域フィルタ回路を用いてもよい。
【0039】
図2に戻り、低域側信号を取り扱う送信入力用信号伝送経路109及び受信出力用信号伝送経路113同士は、図4Bに示すように、空間的に互いに分離されたグランド用面導体103,102に対向した構成となっている。同様に、高域側信号を取り扱う送信入力用信号伝送経路110及び受信出力用信号伝送経路114同士も、空間的に互いに分離されたグランド用面導体105,104に対向した構成となっている。
【0040】
さらに、本実施形態においては、図4Aに示すように、送信入力用ローパスフィルタ41A(41B)とアンテナ用信号伝送経路111(112)をなす線路導体とが、積層体80の層厚方向において、前者がグランド用面導体103(105)に、後者がグランド用面導体101にそれぞれ対向して配置されている。なお、図6に示すように、通過する信号の周波数体が異なる送信入力用ローパスフィルタ41A,41Bは、互いに異なるグランド用面導体103,105にそれぞれ対向してなる。他方、アンテナ用信号伝送経路111,112をなす線路導体は、最終的には同じアンテナから送出されるため、グランド用面導体101を共用している。
【0041】
また、受信用帯域分離フィルタをなす、分波回路44のローパスフィルタ回路45とハイパスフィルタフィルタ46も、結果的にグランド用面導体101を共用している。そして、信号受信の観点から見た場合、これら受信用帯域分離フィルタ45,46を通過した信号は、それぞれスイッチ回路42A,42Bを経て、受信出力端子RX1,RX2につながる受信出力用信号伝送経路113,114へ伝送される。そして、図5に示すように、これら受信出力用信号伝送経路113,114は、受信用帯域分離フィルタ45,46が対向するグランド用面導体101とは異なる、互いに分離された個別のグランド用面導体102,104に対向してなる(図中では、ハイパスフィルタ46のみを描いている)。結果的に、送信入力用信号伝送経路109,110(及び、これら経路上のフィルタ41A,41B)及び受信出力用信号伝送経路113,114は、伝送ないし通過させる信号周波数帯の異なるもの同士が、互いに分離されたグランド用面導体に対向した構成となっている。
【0042】
本実施形態では、上記のようなグランド分離構造を実現するために、5つのグランド用面導体101〜105が、図6に示すように、空間的に互いに分離され、かつ、それぞれ異なるグランド端子GND1〜GND5(図3参照)に接続されており、積層体80内で互いに直流的に分離されている。図2には、回路上での各グランド面導体101〜105の対向領域を、一点鎖線により表している。
【0043】
送信入力用信号伝送経路(109,110)及び受信出力用信号伝送経路(113,114)からなる回路系を、グランド面導体を考慮に入れて等価回路的に描くと、図14A及び図14Bに示すようになる。図14Aは、送信入力用信号伝送経路の線路導体LTと、受信出力用信号伝送経路の線路導体LRとがグランド分離されていない場合、すなわち、グランド面導体GC1が共用化されている場合の等価回路である。各線路導体LT及びLRとも、グランド面導体GC1との間には、線路容量CBが形成される。グランド面導体GC1が共用化されているため、2つの線路導体LT及びLRは、グランド導通路SJにより直流的に接続されているのと同じである。従って、線路容量CBがある程度大きい場合、あるいは高域側信号のように、通過信号の周波数が高い場合は、線路容量CBによるリアクタンスが小さくなるため、両線路導体線路導体LT及びLRを伝送される送信信号σTと受信信号σRとは、グランド導通路SJを経由して少なからぬクロストーク成分σT’及びσR’を生じ、アイソレーション特性が悪化する。しかし、図14Bに示すように、両線路導体LT及びLRのグランド面導体GC1,GC2が分離されていれば、導通路SJ上にGC1/GC2間の寄生容量CJが直列接続されたのと同じ形になり、グランド導通路SJのインピーダンスが高くなってクロストーク成分が減じられ、アイソレーションが向上する。
【0044】
また、本実施形態においては、送信入力用ローパスフィルタ41A,41Bとアンテナ用信号伝送経路111,112との組合せ、あるいは受信用帯域分離フィルタ45,46と受信出力用信号伝送経路113,114との組合せのように、特定周波数帯の高域側を遮断する特性を有したフィルタ(以下、高域遮断フィルタともいう)と、当該フィルタの通過信号を扱う線路導体同士もグランド分離されている。これにより、フィルタの減衰特性を改善大幅に改善することができる。送信入力用ローパスフィルタ41A,41Bとアンテナ用信号伝送経路111,112は高域遮断フィルタであり、バンドパスフィルタやバンドリジェクトフィルタであってもよい。
【0045】
高域遮断フィルタHRF(ローパスフィルタ45)及びフィルタ通過後の線路導体SL(線路導体111)からなる回路系を、グランド面導体を考慮に入れて等価回路的に描くと、図15に示すようになる。線路導体SLと、これに対応するグランド面導体GC2(102)との間には、線路容量CBが形成される。そして、高域遮断フィルタHRFに対応するグランド面導体GC1(101)が、グランド面導体GC2とが一体もしくはビア接続されている場合、2つのグランド面導体GC1,GC2は、グランド導通路SJにより直流的に接続されているのと同じである。フィルタHRFにより遮断された高域側遮断信号σ’Hは周波数が高いため、線路容量CBはリアクタンスが比較的小さく、これを通過してフィルタHRFの通過信号σLに重畳され、減衰特性が悪化する。しかし、図16に示すように、グランド面導体GC1,GC2が分離されていれば、導通路SJ上にGC1/GC2間の寄生容量CJが直列接続されたのと同じ形になり、高域側遮断信号σ’Hに対するグランド導通路SJのインピーダンスが高くなって減衰特性が向上する。
【0046】
なお、各グランド面導体GC1,GC2は、積層体上の独立したGND端子により、実装先基板側のGND用パッド等を介して、該実装先基板のグランド導体に接続される。しかし、このグランド導体は、積層体中のグランド導体よりもはるかに大面積でインダクタンスが高く、漏洩信号を十分減衰させるに足る高いインピーダンスを有している。
【0047】
送信入力端子TX1,TX2から入力される送信信号は、送信回路にて増幅されたあとの信号であり、高レベルの高調波成分がより生じやすい。そこで、送信入力用ローパスフィルタ41A,41Bとアンテナ用信号伝送経路111,112との組合せにおいてグランドを分離することにより、送信入力用ローパスフィルタ41A,41Bにて除去された高レベルの高調波がアンテナ用信号伝送経路111,112に重畳する不具合が極めて効果的に抑制され、送信信号の品質向上を図ることができる。
【0048】
他方、受信用帯域分離フィルタ45,46と受信出力用信号伝送経路113,114とのグランドを分離することの効果は以下の通りである。すなわち、図2に示すように、アンテナで受信された受信信号は、受信用帯域分離フィルタ45,46(分波回路44)により高域側信号と低域側信号とに粗く切り分けられ、さらに、各受信出力端子RX1,RX2に接続された使用周波数抽出用バンドパスフィルタ回路40A,40Bにより、狭い帯域幅の使用周波数帯域の信号が抽出される。
【0049】
使用周波数抽出用バンドパスフィルタ回路40A,40Bは、前述の通り、弾性表面波共振器を用いて通過帯域幅を50〜75MHz程度の範囲に収めた狭帯域フィルタ回路である。該狭帯域フィルタ回路40A,40Bは、通過周波数帯の近傍では非常に急峻で良好な減衰特性を示すものの、通過周波数帯からある程度隔たった周波数帯域では、減衰特性が急速に悪化する。一方、受信用帯域分離フィルタ45,46は通過帯域幅が上記狭帯域フィルタ回路40A,40Bよりもはるかに広く、遮断信号の帯域が、対応する狭帯域フィルタ回路40A,40Bの減衰が悪化する帯域に及ぶことも十分にありえる。
【0050】
その結果、受信用帯域分離フィルタ45,46による遮断信号成分がグランド導体を経て受信用伝送経路113,114に重畳すると、該遮断信号成分は、狭帯域フィルタ40A,40Bでは除去しきれなくなり、受信信号の品質劣化につながる問題がある。そこで、上記のように受信用帯域分離フィルタ45,46と受信用伝送経路113,114をなす線路導体とがグランド分離されていれば、このような不具合が極めて効果的に抑制され、受信信号の品質向上を図ることができる。該効果は、高調波成分の形でグランド漏洩ノイズが生じやすいローパスフィルタ45側において特に顕著である。
【0051】
上記の説明からも明らかなように、図4〜図6において、個別のグランド面導体101〜105は、面導体相互に生ずる寄生容量CJがなるべく小さくなる形態で配置されることが、寄生容量CJによるリアクタンス成分を高め、ひいてはフィルタの減衰特性向上を図る上で有利である。そのためには、異なるグランド面導体同士が面内方向になるべく重ならない構成を採用することが効果的である。図4〜図6においては、グランド面導体101〜105が、積層体80内において同一平面上に配置され、該面内にて空間的に分離された構造とされている。この場合、寄生容量CJに主として寄与するのは、図6に示すように、グランド面導体101〜105の面内対向する狭いエッジ領域EAとなるので、寄生容量CJ低減に効果がある。ただし、グランド面導体101〜105の実製造工程上のパターン形成精度を考慮すれば、短絡防止等を図るため、エッジ間距離δをある程度確保せざるを得ず、積層体の小面積化には一定の限界がある。
【0052】
そこで、図11A及び図11Bに示すように、複数のグランド面導体101〜105のうち、少なくとも2つのものを、積層体80内において互いに異なる平面上に配置すれば、それらグランド面導体は誘電体層50により互いに隔てられ、積層体の厚さ方向において空間的に分離することができる。その結果、平面視におけるグランド面導体のエッジ間距離の縮小が容易となり、積層体の小面積化に寄与できる。この場合、積層体80の厚さ方向において空間的に分離されたグランド面導体を、面内方向において互いに重ならない位置関係にて配置することが、寄生容量CJを小さくする上で望ましい。
【0053】
図4A(図11A及び図11B)及び図5においては、被グランド分離要素が線路導体111,112(ただし、これに限られるものではない)を含み、かつ該線路導体111,112が、これと対向するグランド面導体101,103(105)とともにマイクロストリップラインを構成している。また、図4Aのローパスフィルタ41A(41B)においては、グランド面導体103の直上にコンデンサC101が配置され、その一方の電極がビアVAを介してグランド面導体103に接続されている。また、形成面積の大きいコイルL101は、コンデンサC101を挟んでグランド面導体103と反対側に配置され、積層体80の面積縮小が図られている。他方、図5のハイパスフィルタ46においては、グランド面導体101の直上にコイルL206が配置され、ビアVAを介してグランド面導体101に接続されている。コンデンサC207は、コイルL206を挟んでグランド面導体101と反対側に配置され、積層体80の面積縮小が図られている。
【0054】
なお、図12に示すように、被グランド分離要素が線路導体111(112)を含む場合、耐ノイズ性向上等を図るため、該線路導体111(112)が、これと対向する第一のグランド面導体101と、積層体80の厚さ方向において該線路導体111を挟んで第一のグランド面導体101と反対側に位置する第二のグランド面導体120とに挟まれることによりストリップラインを構成するものとすることもできる。この場合、第二のグランド面導体120は、第一のグランド面導体101と同一のグランド端子GND1(図12)に接続される一方、線路導体111と組をなす被グランド分離要素、ここではローパスフィルタ41A(41B)に対向した第三のグランド面導体103(105)とは空間的に分離される。これにより、フィルタの減衰特性を高めることができる。該図の実施形態では、第一のグランド面導体101と第二のグランド導体120とが、線路導体111を回避した形でビアVAにより接続されている。それ以外の構成は、図4と同じである。
【0055】
なお、受信用帯域分離フィルタ側のグランド分離については、周波数帯域によっては簡略化しても差し支えない場合がある。例えば、グランド面導体を介した高調波漏洩が主に問題となる場合は、図13に示すように、フィルタ用の面導体101と、高域遮断フィルタ(ローパスフィルタ45側)の受信出力用線路導体113(図2)に対応した面導体102とは分離を行ない、低域遮断フィルタ(ハイパスフィルタ46側)の受信出力用線路導体114(図2)に対応した面導体104は、フィルタ用の面導体101と一体化する構成も可能である。
【0056】
また、上記の実施形態は、複数の周波数帯域を切り換えて使用できるマルチバンド型デジタル携帯電話機(例示したのはデュアルバンド型のもの)への本発明の適用例を示したが、図17に示すように、シングルバンド型のデジタル携帯電話機へも本発明を適用できる。図17の回路構成は、図2の回路構成から、分波回路44のローパスフィルタ45側、つまり低域側の送受信信号を取り扱う部分を抜き出したものに等しく、グランド面導体101,102及び103の分離形態も図2と同様なので、詳細な説明は省略する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の無線電話通信装置の一実施形態を示す携帯電話機の全体構成を示すブロック図。
【図2】その高周波スイッチモジュールの第一例を示す回路図。
【図3】積層体として構成された高周波スイッチモジュールの外観の一例を、表面及び裏面にて示す斜視図。
【図4A】積層体の構造の第一例を示す断面模式図。
【図4B】図4Bの別角度の断面模式図。
【図5】図4の積層体を、別位置の断面にて示す模式図。
【図6】分離されたグランド面導体の面内配置形態の第一例を示す平面図。
【図7】積層体における抵抗器の形成態様を示す模式図。
【図8】同じくコンデンサの形成態様を示す模式図。
【図9】同じくコイルの形成態様を示す模式図。
【図10】弾性表面波共振器を含んで構成された狭帯域フィルタ回路の一例を示す図。
【図11A】積層体の構造の第二例を示す断面模式図。
【図11B】図11Aの別角度の断面模式図。
【図12】積層体の構造の第三例を示す断面模式図。
【図13】分離されたグランド面導体の面内配置形態の第二例を示す平面図。
【図14A】線路導体同士のグランド分離を行なわない場合の等価回路説明図。
【図14B】線路導体同士のグランド分離を行なった場合の等価回路説明図。
【図15】ローパスフィルタと、その後段側の線路導体とのグランド分離を行なわない場合の等価回路説明図。
【図16】ローパスフィルタと、その後段側の線路導体とのグランド分離を行なった場合の等価回路説明図。
【図17】高周波スイッチモジュールの第二例を示す回路図。
【図18】高周波スイッチモジュールの第三例を示す回路図。
【符号の説明】
1 デジタル携帯電話機(無線電話通信装置)
2 高周波スイッチモジュール
32A,32B 変調部(送信回路)
33A,33B 送信部(送信回路)
35A,35B 受信部(受信回路)
36A,36B 復調部(受信回路)
39 アンテナ
40A,40B 使用周波数抽出用バンドバスフィルタ回路(狭帯域フィルタ)
41A,41B 入力側ローパスフィルタ回路
42A,42B スイッチ回路
44 分波回路
45 ローパスフィルタ回路(高域遮断フィルタ:受信用帯域分離フィルタ)
46 ハイパスフィルタ回路(低域遮断フィルタ:受信用帯域分離フィルタ)
50 誘電体層
80 積層体
RX1,RX2 受信出力端子
TX1,TX2 送信入力端子
ANT アンテナ側入出力端子
101〜105 グランド面導体
111,112 送信入力用信号伝送経路
113,114 受信出力用信号伝送経路
GND1〜GND5 グランド端子
Claims (11)
- アンテナに接続して使用され、アンテナ受信信号とアンテナ送信信号との入出力に共用されるアンテナ側入出力端子と、
前記アンテナ側入出力端子からの受信信号を前記無線電話通信装置の受信回路側へ出力する受信出力端子と、前記無線電話通信装置の送信回路からの送信信号が入力される送信入力端子との、前記アンテナ側入出力端子に対する接続を切り換えるスイッチ回路と、
前記アンテナ側入出力端子と、前記受信出力端子及び前記送信入力端子とを相互に接続する信号伝送経路と、
前記信号伝送経路の一部をなす線路導体とグランド面導体とを有する導体層と誘電体層とが積層された積層体として構成され、前記スイッチ回路の構成素子が、前記導体層を構成する素子パターンの形で内層されており、また、該積層体の表面に前記アンテナ側入出力端子、各スイッチ回路の受信出力端子と送信入力端子、及び前記グランド面導体に導通するグランド端子が露出形成されてなり、さらに、
前記信号伝送経路において、前記受信出力端子につながる受信出力用信号伝送経路をなす線路導体と、前記送信入力端子につながる送信入力用信号伝送経路をなす線路導体とを、前記積層体内部にて空間的に互いに分離され、かつ、各々互いに異なるグランド端子に接続された個別のグランド面導体に対向させたことを特徴とする高周波スイッチモジュール。 - 前記アンテナ側入出力端子と、前記受信出力端子及び前記送信入力端子とを相互に接続する信号伝送経路上に設けられたフィルタとを備え、該フィルタと該フィルタの通過信号を扱う線路導体とを、前記積層体内部にて空間的に互いに分離され、かつ、各々互いに異なるグランド端子に接続された個別のグランド面導体に対向させた請求項1記載の高周波スイッチモジュール。
- 前記フィルタは、特定周波数帯の高域側を遮断する特性を有したフィルタであり、前記線路導体は、当該フィルタの通過信号を扱う線路導体である請求項2記載の高周波スイッチモジュール。
- 前記フィルタがローパスフィルタである請求項3記載の高周波スイッチモジュール。
- 前記フィルタは、前記送信入力端子につながる送信入力用信号伝送経路上に設けられた送信入力用ローパスフィルタであり、
前記送信入力用信号伝送経路は、前記アンテナ側入出力端子につながるアンテナ用信号伝送経路と、前記受信出力端子につながる受信出力用信号伝送経路とに、前記スイッチ回路を介して切り替え可能に接続されてなり、前記送信入力用ローパスフィルタと前記アンテナ用信号伝送経路をなす線路導体とを各々互いに異なるグランド端子に接続された個別のグランド面導体に対向させた請求項4記載の高周波スイッチモジュール。 - 前記フィルタは、前記アンテナ側入出力端子につながるアンテナ用信号伝送経路上に設けられた受信用帯域分離フィルタであり、
前記受信出力端子に、前記受信用帯域分離フィルタよりも狭い通過帯域幅を有する、弾性表面波共振器を含んで構成された狭帯域フィルタ回路からなり、前記受信用帯域分離フィルタを通過後の前記受信信号から使用周波数帯域のものを抽出する使用周波数抽出用バンドバスフィルタ回路が接続されてなり、
前記アンテナ用信号伝送経路は、前記送信入力端子につながる送信入力用信号伝送経路と、前記受信出力端子につながる受信出力用信号伝送経路とに、前記スイッチ回路を介して切り替え可能に接続されてなり、前記受信用帯域分離フィルタと前記受信出力用信号伝送経路をなす線路導体とを、各々互いに異なるグランド端子に接続された個別のグランド面導体に対向させた請求項3ないし請求項5のいずれか1項に記載の高周波スイッチモジュール。 - 前記受信用帯域分離フィルタがローパスフィルタである請求項6記載の高周波スイッチモジュール。
- 前記個別のグランド面導体が、前記積層体内において同一平面上に配置され、該面内にて空間的に分離されてなる請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の高周波スイッチモジュール。
- 前記個別のグランド面導体が、前記積層体内において互いに異なる平面上に配置されることにより、前記積層体の厚さ方向において空間的に分離されてなる請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の高周波スイッチモジュール。
- 前記積層体の厚さ方向において空間的に分離された前記グランド面導体は、面内方向において互いに重ならない位置関係にて配置されてなる請求項9記載の高周波スイッチモジュール。
- 請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の高周波スイッチモジュールと、
該高周波スイッチモジュールの前記アンテナ側入出力端子に接続されるアンテナと、
前記受信出力端子に接続される受信回路と、
前記送信入力端子に接続される送信回路とを備えたことを特徴する無線電話通信装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003051698A JP2004260744A (ja) | 2003-02-27 | 2003-02-27 | 高周波スイッチモジュール及びそれを用いた無線電話通信装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006319512A (ja) * | 2005-05-11 | 2006-11-24 | Murata Mfg Co Ltd | 多層配線基板装置 |
JP2008219453A (ja) * | 2007-03-05 | 2008-09-18 | Alps Electric Co Ltd | 送受信回路モジュール |
JP2018107305A (ja) * | 2016-12-27 | 2018-07-05 | 株式会社村田製作所 | 電子部品及びパルストランス |
-
2003
- 2003-02-27 JP JP2003051698A patent/JP2004260744A/ja active Pending
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