JP2004253953A - アンテナスイッチ回路及びこれを用いたアンテナスイッチモジュール並びに通信装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ミスマッチロスを低減させてダイプレクサの広帯域化を図ると共に挿入損失を低減したアンテナスイッチ回路を提供する。
【解決手段】アンテナと複数の周波数帯域に対応して通過帯域が異なる複数の送受信系に信号を分波する分波回路を接続し、該分波回路と前記各送受信系のそれぞれに送信系と受信系を切替えるスイッチ回路を接続し、該スイッチ回路の各送信系に帯域通過フィルタを接続したアンテナスイッチ回路において、前記スイッチ回路の少なくとも一つ以上の出力端子と受信経路との間に伝送線路を接続したアンテナスイッチ回路である。前記スイッチ回路を構成するスイッチング素子は、PINダイオードあるいは電界効果型トランジスタを用いることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】アンテナと複数の周波数帯域に対応して通過帯域が異なる複数の送受信系に信号を分波する分波回路を接続し、該分波回路と前記各送受信系のそれぞれに送信系と受信系を切替えるスイッチ回路を接続し、該スイッチ回路の各送信系に帯域通過フィルタを接続したアンテナスイッチ回路において、前記スイッチ回路の少なくとも一つ以上の出力端子と受信経路との間に伝送線路を接続したアンテナスイッチ回路である。前記スイッチ回路を構成するスイッチング素子は、PINダイオードあるいは電界効果型トランジスタを用いることができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は複数の異なる通信方式に使用できる無線機に用いる高周波複合部品に関し、特に複数の通信方式を取り扱う無線機に使用する高周波スイッチモジュールに用いるアンテナスイッチ回路に関するものである。
【0002】
【従来技術】
携帯無線システムには、一例として欧州で盛んなGSM900(Global System for Mobile Communications 900)方式及びGSM1800(Global System for Mobile Communications 1800)方式、または北米で盛んなGSM850(Global System for Mobile Communications 850)方式及び、GSM1900 (Global System for Mobile Communications 1900)方式、日本で用いられているPDC(Personal Digital Cellular)方式などがある。またGSMと並んで用いられている、CDMA方式ではCdmaOne(Code Division Multiple Access One)、IMT−2000 (International mobile telecommunications 2000)などがある。近年の携帯電話の急激な普及に伴い、特に大都市近郊において各無線システムに割り当てられた周波数帯域では、全システム利用者をまかないきれず、通信が途中で切断されたり、接続が困難になるといった問題が生じている。そこで利用者が複数の無線システムを利用できるようにして、実質的に利用可能な周波数の増加を図り、サービスの向上やインフラの有効活用をすることが提唱されている。
【0003】
しかし、複数の無線システムを利用する場合には、それぞれに対応した複数の携帯通信機を使用する必要があり、従来1つの携帯通信機で複数の無線システムを扱うことができるようなシステムは存在しなかった。単に1台の携帯通信機で複数のシステムを構築する場合、システム毎の部品を用いて携帯電話用部品を構成すれば良いが、信号の送信系においては、希望の送信周波数を通過させるためのフィルタや送受信信号を入放射させるアンテナ、送受信回路を切り替える高周波スイッチ、また信号の受信系においては前記高周波スイッチを通過した受信信号の希望周波数を通過させるフィルタなどの高周波回路部品をシステム毎に用いることで対応可能となるが、このような形態では携帯通信機が非常に高価となり、かつ体積及び重量が増加してしまい、携帯通信機としては不適当である。そのため、1台の携帯通信機で複数のシステムを利用可能とするためには、複数のシステムの周波数構成を満たし、小型かつ複合機能化した高周波部品が必要である。
【0004】
このような高周波回路部品として、高周波スイッチを用いて複数のシステムの送信回路と受信回路を切り替える高周波スイッチモジュールがある。一例としてGSM850 / GSM900 / GSM1800 / GSM1900に対応したアンテナスイッチモジュールのブロック図を図10に示す。アンテナにダイプレクサ(以下、本明細書ではダイプレクサと分波回路または分波器とは同等の意味で使う。)DIP21が接続され、一つの出力端子にはSP3T(Single Pole 3 Throw)スイッチ回路SW21が接続され、もう一つの出力端子にはSP3Tスイッチ回路SW22が接続される。スイッチ回路SW21はGSM850/900の送信信号と、GSM850並びにGSM900の受信信号を切り替えるスイッチ回路である。スイッチ回路SW22はGSM1800/1900の送信信号と、GSM1800並びにGSM1900の受信信号を切り替えるスイッチ回路である。ダイプレクサDIP21は、低周波数帯域を通過させるローパスフィルタと高周波数帯域を通過させるハイパスフィルタからなっており、ダイプレクサを通過した信号は、スイッチ回路SW21とSW22の切替えの組み合わせによってそれぞれの送受信系に接続することができる。
尚、パワーアンプPA21、PA22は送信回路から出力される高周波信号を増幅する。そこでローパスフィルタLPF21、LPF22は送信側のパワーアンプで発生する高調波歪発生量を低減させる。また弾性表面波フィルタSAW21、SAW22、SAW23、SAW24は受信信号に含まれる受信帯域外のノイズを低減する。このような技術を開示する文献として、特許文献1が挙げられる。
【0005】
アンテナスイッチモジュールのアンテナポートと各送受信ポートのインピーダンスは使用する周波数帯域でおおよそ50Ωになるように設計するのが一般的である。前記スイッチ回路SW21、SW22についても各入出力端子のインピーダンスは使用する周波数帯域においておおよそ50Ωに設計されている。そのため、図10のアンテナスイッチモジュールでは、GSM850/900送受信ポートはダイプレクサDIP21の低周波数側の周波数特性、GSM1800/1900送受信ポートはダイプレクサDIP21の高周波側の周波数特性をおおよそ反映する。具体的な周波数を挙げると、ダイプレクサDIP21の低周波側の周波数帯域は824〜960 MHz、高周波数側の周波数帯域は1710〜1990 MHzであり、これらの周波数帯域において分波回路の出力インピーダンスがおおよそ50Ωになるように設計する必要がある。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−185356号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしダイプレクサの周波数特性は、広帯域化を実現しようとすると、通過帯域の最小挿入損失が一般的に大きくなる。また挿入損失を小さくしようとすると、ダイプレクサの帯域は狭帯域になる。つまり広帯域においてダイプレクサの出力インピーダンスをほぼ50Ωに設計することは困難であると言える。前記のアンテナスイッチモジュールの場合には、特に高周波側のダイプレクサの通過帯域幅は1710〜1990MHz間の280MHzであり、この帯域全体において出力インピーダンスをほぼ50Ωに設計することは難しい。例として図10のアンテナスイッチモジュールのダイプレクサの周波数特性を図11に示す。図11は縦軸に挿入損失を、横軸に周波数帯域を示している。ここで分波器の周波数特性は1805MHz(DR1)では挿入損失が0.37dBと非常に低損失であるが、1990MHz(PR2)では0.47dBと大きくなることが分かる。またスイッチ回路は入出力端ともに使用周波数帯域においてほぼ50Ωで設計されるのが一般的であり、分波回路の周波数特性がほぼそのままGSM1800/1900送信回路、GSM1800受信回路並びにGSM1900受信回路の周波数特性となる。そのため図10のアンテナスイッチモジュールではGSM1900受信経路において挿入損失の悪化が顕著となり問題となる。
【0008】
またスイッチ回路SW22を上記のSP3Tスイッチ回路からIMT−2000も対応可能としたSP4Tスイッチ回路に変更した場合には、必要となる通過帯域幅はGSM1800の送信周波数の1710MHzからIMT−2000の受信周波数の2170MHzまでの460MHzとなり、ますますこの帯域全体において分波回路の出力インピーダンスをおおよそ50Ωに設計することは難しくなる。図11に示した分波回路単体での挿入損失は2170MHz(m20)の挿入損失が0.74dBと非常に悪くなっていることが分かる。そのため従来の分波回路では分波器の挿入損失の悪化が顕著となり、問題となっていた。
【0009】
そこで、本発明は、容易に各送受信ポートのインピーダンスを調整することを可能とし、ミスマッチロスを低減させてダイプレクサの広帯域化を図ると共に挿入損失を低減したアンテナスイッチ回路を、またこれらを構成するLC回路を内蔵しチップ素子を基板上に搭載したアンテナスイッチ積層モジュールを提供することを目的とする。
【0010】
【発明を解決するための手段】
本発明は、アンテナと、周波数の異なる信号を分波する分波回路と、分波回路と各送受信系のそれぞれに送信系と受信系を切替えるスイッチ回路と、スイッチ回路の各送信系に接続した帯域通過フィルタとを有するアンテナスイッチ回路において、このスイッチ回路と受信回路までの受信経路に伝送線路を接続し、この伝送線路の長さ、幅、巻き方などを調整することによって、容易に各送受信ポートのインピーダンスを調整することによって、ミスマッチロスによる挿入損失を低減できることを見出し本発明に至ったものである。
【0011】
即ち、本発明は、アンテナと複数の周波数帯域に対応して通過帯域が異なる複数の送受信系に信号を分波する分波回路を接続し、該分波回路と前記各送受信系のそれぞれに送信系と受信系を切替えるスイッチ回路を接続し、該スイッチ回路の各送信系に帯域通過フィルタを接続したアンテナスイッチ回路において、前記スイッチ回路の少なくとも一つ以上の出力端子と受信経路との間に伝送線路を接続したアンテナスイッチ回路である。
前記スイッチ回路は、PINダイオードを用いたダイオードスイッチ回路あるいは電界効果型トランジスタを用いたトランジスタスイッチ回路であることが望ましい。また、ダイオードスイッチ回路とトランジスタスイッチ回路を組み合わせて用いることも望ましい。
【0012】
また、本発明は、上記アンテナスイッチ回路を構成するインダクタおよび容量の一部を積層基板に内蔵し、分波回路およびスイッチ回路の一部を構成するスイッチング素子、抵抗、容量、インダクタ、および受信経路上の弾性表面波フィルタ、送信系路上の高周波増幅器等を構成するチップ部品の一部を積層基板上に搭載したアンテナスイッチモジュールである。
【0013】
さらに、本発明は、上記したアンテナスイッチ回路またはアンテナスイッチモジュールを用いたことを特徴とする通信装置である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示す実施例に基づいて説明する。
(実施例1)
本発明の実施例によるアンテナスイッチモジュールのブロック図を図1に示す。第1の送受信系がGSM900 (送信周波数:880 MHz 〜 915 MHz、 受信周波数:925 MHz 〜 960 MHz)、第2の送受信系がGSM1800 (送信周波数:1710 MHz 〜1785MHz、受信周波数:1805 MHz 〜1880MHz)、第3の送受信系がGSM1900 (送信周波数:1850 MHz 〜1910 MHz、受信周波数:1930 MHz 〜1990 MHz)の場合を例にとって、以下に詳細に説明する。
このアンテナスイッチモジュールは、各送受信系の入出力電力が入放射されるアンテナと第1の送受信系と第2の送受信系ならびに第3の送受信系とを分波させる分波回路DIP41を接続し、分波回路DIP41のスイッチ回路側の入出力端D42と送受信を切り替えるスイッチ回路SW41の入出力端S41を接続し、ならびに入出力端D43と送受信を切り替えるスイッチ回路SW42の入出力端S44を接続する。スイッチ回路SW41は、GSM900の受信信号が入力されるとともに、GSM900の送信回路からの送信信号が出力される入出力端S41と、GSM900の送信回路からの送信信号を入力する入力端S42、GSM900の受信信号を受信回路へ出力する出力端S43を有する。
【0015】
同様にスイッチ回路SW42は、GSM1800とGSM1900の受信信号が入力されるとともに、GSM1800/1900の送信回路からの送信信号が出力される入出力端S44と、GSM1800/1900の送信回路からの送信信号を入力する入力端S45、GSM1800の受信信号を受信回路へ出力する出力端S46、GSM1900の受信信号を受信回路へ出力する出力端S47を有している。ここで、スイッチ回路SW41及びスイッチ回路SW42はPINダイオードもしくは電界効果型トランジスタによって構成される。
また、GSM900の送信回路と入力端S42との間と、GSM1800/1900の送信回路と入力端S45のそれぞれの間に、帯域通過フィルタLPF41、LPF42を接続する。帯域通過フィルタLPF41はローパスフィルタでありGSM900送信端子から入力される送信信号のN次高調波歪を減衰させる役割を担い、帯域通過フィルタLPF42はGSM1800/1900送信端子から入力される送信信号のN次高調波歪を減衰させる役割を担う。このようなアンテナスイッチ回路において、出力端S47と受信回路との間の受信経路に伝送線路L41を接続している。
【0016】
このアンテナスイッチ回路における分波回路の高周波側の周波数特性を図2に示す。図2は縦軸に挿入損失を、横軸に周波数帯域を示しており、(a)は伝送線路L41を接続する前であり、(b)は伝送線路を接続した後である。ここで分波回路の高周波側の必要な通過帯域幅は1710MHzから1990MHzである。この通過帯域において挿入損失をできるだけ小さくする必要がある。本実施例の伝送線路接続前の分波回路は1800MHz付近で挿入損失が最も小さくなり、1990MHzで挿入損失が最も大きくなる。またスイッチ回路SW42の入出力端子S45、S46、S47のインピーダンスはおおよそ50Ωに設計してある。またローパスフィルタLPF42も入出力ポートはおおよそ50Ωになるように設計する。そのため、GSM1800/1900TxとGSM1800Rx及びGSM1900Rxの入出力端子における周波数特性は分波回路の入出力端D43における周波数特性を反映する。
【0017】
ここで出力端S47とGSM1900Rx受信回路との間に、伝送線路L41を接続させることによって、出力端S47では低周波側にあった挿入損失のピークを高周波側にシフトさせることができる。ピークをシフトさせる周波数量は、伝送線路の長さ、太さ、形状を変化させることによって、ピークシフトの量を調整させる。一例としては伝送線路の長さが長くなるほど、より高周波側にピークシフトさせることができる。
本例では伝送線路L41の幅や長さを調整した結果、出力端S47では挿入損失のピークが1800MHz付近だったのに対し、GSM1900受信回路端では、1990MHz付近にピークシフトさせることができた。その結果、伝送線路L41を接続しない場合には、分波回路におけるGSM1900受信帯域幅の挿入損失は0.43dBであったのに対し、伝送線路L41を接続した場合には0.29dBと大幅に改善させることができた。以上より、スイッチ回路の出力端子とGSM1900Rx受信回路の間に伝送線路を接続する事により、広帯域でありながら挿入損失の改善を図ることができた。
【0018】
(実施例2)
次に実施例2によるアンテナスイッチモジュールのブロック図を図3に示す。第1の送受信系がGSM900 (送信周波数:880 MHz 〜 915 MHz、 受信周波数:925 MHz 〜 960 MHz)、第2の送受信系がGSM1800 (送信周波数:1710 MHz 〜 1785MHz、受信周波数:1805 MHz 〜 1880MHz)、第3の送受信系がGSM1900 (送信周波数:1850 MHz 〜 1910 MHz、受信周波数:1930 MHz 〜 1990 MHz)、第4の送受信系がWCDMA (送信周波数:1920 MHz 〜 1980 MHz、受信周波数:2110 MHz 〜 2170 MHz)の場合を例にとって、以下に詳細に説明する
このアンテナスイッチモジュールは各送受信系の入出力電力が入放射されるアンテナと第1の送受信系、第2の送受信系、第3の送受信系及び第4の送受信系とを分波させる分波回路DIP61を接続し、分波回路DIP61のスイッチ回路側の入出力端D62(低周波側)と送受信を切り替えるGaAs_FETスイッチSW61の入出力端S61を接続し、もう一方の入出力端D63(高周波側)と送受信を切り替えるGaAs_FETスイッチSW62の入出力端S64を接続する。スイッチSW61は、GSM900の受信信号が入力されるとともに、GSM900の送信回路からの送信信号が出力される入出力端S61と、GSM900の送信回路Tx1からの送信信号を入力する入力端S62、GSM900の受信信号を受信回路Rx1へ出力する出力端S63を有している。
【0019】
同様にスイッチSW62はGSM1800とGSM1900及びWCDMAの受信信号が入力されるとともに、GSM1800とGSM1900及びWCDMAの送信回路からの送信信号が出力される入出力端S64と、GSM1800/1900の送信回路Tx2からの送信信号を入力する入力端S65、GSM1800の受信信号を受信回路Rx2へ出力する出力端S66、GSM1900の受信信号を受信回路Rx3へ出力する出力端S67、WCDMAの送受信信号を送受信回路TR1へ出力する出力端S68を有する。
また、上述のGSM900の送信回路Tx1と入力端S62の間、ならびにGSM1800/1900の送信回路Tx2と入力端S65のそれぞれの間に、帯域通過フィルLPF61、LPF62を接続する。帯域通過フィルタLPF61はローパスフィルタでありGSM850/900送信端子から入力される送信信号のN次高調波歪を減衰させる役割を担い、LPF62はGSM1800/1900送信端子から入力される送信信号のN次高調波歪を減衰させる役割を担う。ここで上記アンテナスイッチ回路において、出力端S66とGSM1800受信回路との間に伝送線路L61を、出力端S67とGSM1900受信回路との間に伝送線路L62を、出力端S68とWCDMA送受信回路との間に伝送線路L63をそれぞれ接続する。
また今回はスイッチ回路SW61にGaAs_FETスイッチを使用する回路で構成したが、PINダイオードを用いたスイッチ回路で構成することもできる。一般的にPINダイオードはGaAs_FETスイッチと比べて、電力入力時の歪みが小さく、また価格もGaAs_FETに比べて安価である。そのため場合によっては、スイッチ回路SW61にPINダイオードを用いたスイッチ回路を使用し、構成することも望ましい。
【0020】
本実施例においてWCDMA送受信回路にて、伝送線路L63を接続した場合と接続しなかった場合の、WCDMA送受信経路の挿入損失を図4に示す。(a)が伝送線路を接続する前、(b)が接続後の特性を示している。この図が示すように伝送線路L63を接続しなかった場合には、WCDMA受信周波数の2170MHzでは0.70dBの挿入損失であったのが、伝送線路L63を接続する事により0.52dBと大幅に改善することができた。
【0021】
さて、本発明による高周波スイッチモジュールは、図5に示すように誘電体シートを複数枚積層した積層体構造となし、その積層体上にチップ部品を搭載することにより軽量小型に構成できる。複数の送受信系の共通端子であるアンテナ端子ANTと、各送受信系のそれぞれの送信系端子Txと受信系端子Rxと送受信系端子TR1は高周波信号用の端子であり、これを高周波端子と呼ぶ。各高周波端子の記号は図3のブロック図と対応している。また、この積層体の各辺には少なくとも1つのグランド端子GNDが配置されることが望ましい。このように、高周波端子間を隣り合わないようにすること、また高周波端子間にグラウンド端子をサンドイッチして配置する事により、高周波端子間の干渉を抑え、低損失化を図ることができる
【0022】
本発明では、積層体上に配置されたチップ部品を囲むように金属ケース(図示せず)を配置することが望ましい。シールド効果だけでなく、高周波スイッチモジュールのユーザがチップマウンタではんだ付けする際に、金属ケースだと真空吸引しやすいからである。シールド効果が要求されず、単にチップマウンタの供給用としての平面形成のためだけなら、高周波スイッチモジュールをリフローハンダ時の熱に絶えられる耐熱性の樹脂でモールドしたり、その上を金属コーティングしても良い。
【0023】
次に、この積層体モジュールの内部構造について誘電体シートに沿って説明する。図6と図7に各層の印刷電極パターン図を示す。なお積層図上部に記載されている数字は当該図が何層目にあたるかを示している。この実施例は、1層の厚みが25〜190μm(一体焼成後の寸法)の誘電体シートに各層の電極を印刷してスルーホールで接続した例である。図6、図7でスルーホールは、太線で囲った四角である。この四角部に孔が開いておりスルーホールを形成している。誘電体としては、例えばアルミナ系ガラスセラミック等の低温同時焼結セラミックス(LTCC)材料が挙げられる。この積層体は、低温焼成が可能なセラミック誘電体材料からなるグリーンシートを用意し、そのグリーンシート上にAg、Pd、Cuなどの導電ペーストを印刷して、所望の電極パターンを形成し、それを適宜積層し、900℃程度で一体焼成して構成される。なお、シートの厚さは大体40〜250μmの範囲で、使用用途によりドクターブレード法などで制御される。所定の内部電極パターンを多数形成した大きなシートを積層し、一つ一つのチップサイズに切断した後、焼成し、端子電極を形成し、誘電体積層素体を作製する。端子電極は、通常、Ag−Ni−半田の三層構造をしており、Ni層により半田耐熱性、半田層により半田濡れ性を十分得られるようにしている。この誘電体積層素体上にメタルマスクを使用した半田印刷を行い、その後GaAsスイッチやダイオードスイッチ、また容量値が大きく積層素体内に形成できなかったチップコンデンサや抵抗を、場合によってはインダクタを搭載し、リフロー半田する。
【0024】
以下、焼成後の各層の構成を最下層から順に説明する。尚、図8に本実施例の等価回路図を示す。まず最下層の第15層上には、グランド電極がほぼ全面に形成されている。いわゆるベタアースである。これにより安定したアースが確保できる。特に、この実施例では複数のスルーホールが形成され裏面に連通し、図6に示した、積層体底部のグランド電極GNDに電気的に接続される。第14層にはコンデンサ用電極Cf1、Cf3、Cg3とGaAsスイッチの電源ラインLV1、LV2、LVdが形成され、第15層と第13層とのグラウンド電極との間でコンデンサは形成されている。Cf1は分波回路のローパスフィルタのノッチフィルタの一部である。またCf3は分波回路のハイパスフィルタのノッチフィルタの一部である。Cg3はローパスフィルタLPF61の特性をよりよくするために形成している。これらのコンデンサ電極、ならびに電源ラインをグラウンド電極E5、E4により挟み込む事によって、他の回路との干渉を極力少なくする事が可能となり、挿入損失の改善などを図る事が出来た。
【0025】
第12層から第8層にかけて、分波回路のローパスフィルタの構成の一部となるLF1、LF2ならびに分波回路のハイパスフィルタの構成の一部となるLF3、ローパスフィルタLPF61の構成の一部となるLG1、ならびにローパスフィルタLPF62の構成の一部となるLD1を形成する。さらに伝送線路L61を構成するLRx1、LRx2、伝送線路L62を構成するLRx3、LRx4、ならびに伝送線路L63を構成するLTR1、LTR2が形成されている。これらの伝送線路の長さ、幅、巻き方を変化させることによって、周波数のピークシフト量を容易に調整することができる。例えば本実施例においては、GSM1800/1900Txの使用周波数帯域から最も使用周波数帯域が離れているWCDMA経路に接続される伝送線路L63の長さをL61、L62に比べて長くしている。
【0026】
第7層から第3層にかけて、分波回路のハイパスフィルタの構成の一部となるCf2、Cf4ならびにローパスフィルタLPF61の構成の一部となるCg1、Cg2ならびにローパスフィルタLPF62の構成の一部となるCd1、Cd2、またグラウンド電極E1、E2、E3を形成している。
【0027】
第2層では、搭載部品ならびに裏面電極からの信号の引き回しを主に行うための電極が形成されている。LG1aはGSM900送受信切り替えスイッチSW61のS62端子とLPF61を接続するための伝送線路である。またLG2はVdd電源をSW61に接続するための伝送線路である。
第1層(上面)では、搭載部品を搭載するための電極、ならびに上部パッケージを搭載するための電極が形成されている。チップインダクタLEはアンテナに接続されるシャントインダクタである。チップコンデンサCGはDCカットコンデンサとして用いられる。SW61はGSM900の送受信信号を切り替えるSPDTのGaAsFETスイッチであり、SW62はGSM1800/1900Tx、GSM1800Rx、GSM1900Rx、WCDMAの送受信信号を切り替えるSP4TのGaAs_FETスイッチである。
本実施例では、SW61、SW62にはGaAs_FETスイッチを用いたが、PINダイオードを用いたスイッチ回路で構成しても良い。PINダイオードスイッチを用いた場合には、電源ロジックに若干の変更が生じるが、アンテナスイッチモジュールのブロック図は図3に記載されているもので構わない。
【0028】
(実施例3)
実施例3によるアンテナスイッチモジュールのブロック図を図9に示す。この例は図10に示した従来例と同様のブロック構成である。従って、ここでの詳細な説明は省くが、ここで異なるのは、スイッチ回路SW11の出力端S14とGSM900受信回路との間に伝送線路L11を接続し、スイッチ回路SW12の出力端S18とGSM1900受信回路との間に伝送線路L12をそれぞれ接続していることである。これによって、上記した実施例と同様に挿入損失の改善を図ることが出来る。
【0029】
上記した実施例では、スイッチ回路および分波回路ならびに帯域通過フィルタなどの回路を構成するインダクタや容量の一部は誘電体積層体基板に内蔵可能であり、一方でスイッチ回路、分波回路、帯域通過フィルタなどを構成するインダクタ、コンデンサ、抵抗、ならびにPINダイオード素子や電界効果型トランジスタなどのチップ部品の一部を前記誘電体積層基板上に搭載することにより、より集積化したアンテナスイッチモジュールを得ることができる。
また、アンテナスイッチ回路の送信端子と送信回路の間の少なくとも一経路に帯域通過フィルタを設けている。同じく、アンテナスイッチ回路の受信端子と受信回路の間の少なくとも一経路に弾性表面波フィルタを設けることが出来る。また、アンテナスイッチ回路の送信端子と送信回路の間の少なくとも一経路に高周波増幅器を接続することもできる。このとき、受信回路に接続される弾性表面波フィルタや送信回路に接続される高周波増幅器などの一部を前記誘電体積層基板上に搭載すること、また電極パターンで構成できる回路は積層体内に内蔵することにより、実装面積を大幅に削減することができる。またアンテナスイッチモジュールと弾性表面波フィルタや高周波増幅器を一体にする場合に、最適な位相で一体可能になるように、アンテナスイッチモジュールと弾性表面波フィルタと高周波増幅器の間にマッチング回路を挿入する場合がある。これらのマッチング回路を誘電体積層基板内に内層することで位相を最適化することができ、より高集積化したアンテナスイッチモジュールを得ることができる。
【0030】
また本発明により、シングルバンドのみではなく、デュアルバンド以上のマルチバンド携帯電話などの通信装置においても、本発明のアンテナスイッチ回路またはこれを用いたアンテナスイッチモジュールを使用することにより、従来のアンテナスイッチモジュールを使用した場合と比べて、ミスマッチロスによる挿入損失を低減させることができた。また携帯電話などの通信装置においては、消費電力の軽減を図ることが重要であるが、本発明によりアンテナスイッチモジュールの挿入損失を低減させることによって、従来の技術を用いた場合よりも低電力で信号を増幅させることができ、省電力化に貢献することができる。
【0031】
【発明の効果】
本発明によれば、各送受信ポートのインピーダンスを調整することを可能とし、ミスマッチロスを低減させて分波器(ダイプレクサ)の挿入損失を低減したアンテナスイッチ回路となった。
また、これらを構成するLC回路を積層体内に内蔵しチップ素子を基板上に搭載して小型軽量化を図ったアンテナスイッチモジュールを提供することができた。
そして、これを用いて省電力化となした通信機(携帯電話)を提供することが出来た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1によるアンテナスイッチ回路のブロック図である。
【図2】実施例1による伝送線路接続前と後での周波数と挿入損失の特性線図である。
【図3】本発明の実施例2によるアンテナスイッチ回路のブロック図である。
【図4】実施例2による伝送線路接続前と後での周波数と挿入損失の特性線図である。
【図5】本発明のアンテナスイッチモジュールの積層体の外観図と裏面図である。
【図6】本発明のアンテナスイッチモジュールの積層体の積層シートの展開図1である。
【図7】本発明のアンテナスイッチモジュールの積層体の積層シートの展開図2である。
【図8】本発明の実施例2によるアンテナスイッチ回路の等価回路図である。
【図9】本発明の実施例3によるアンテナスイッチ回路のブロック図である。
【図10】従来例を示すアンテナスイッチ回路のブロック図である。
【図11】従来例の周波数と挿入損失の特性線図である。
【符号の説明】
ANT:アンテナ
DIP1、DIP21、DIP41、DIP61:ダイプレクサ(分波器)
SW11、SW12、SW21、SW22、SW41、SW42、SW61、SW62:スイッチ回路
LPF11、LPF12、LPF21、LPF22、LPF41、LPF42、LPF61、LPF62:帯域通過フィルタ(ローパスフィルタ)
SAW21、SAW22、SAW23、SAW24:弾性表面波フィルタ
PA21、PA22:高周波増幅器
L11、L12、L41、L61、L62、L63:伝送線路
Cf1、cf2、cf3、cf4、cg1、cg2、cg3、cd1、cd2、cd3、CG:容量パターンまたはコンデンサ
LF1、LF2、LF3、LG1、LD1:伝送線路パターンまたはインダクタ
LTR、LRX:伝送線路パターン
【発明の属する技術分野】
本発明は複数の異なる通信方式に使用できる無線機に用いる高周波複合部品に関し、特に複数の通信方式を取り扱う無線機に使用する高周波スイッチモジュールに用いるアンテナスイッチ回路に関するものである。
【0002】
【従来技術】
携帯無線システムには、一例として欧州で盛んなGSM900(Global System for Mobile Communications 900)方式及びGSM1800(Global System for Mobile Communications 1800)方式、または北米で盛んなGSM850(Global System for Mobile Communications 850)方式及び、GSM1900 (Global System for Mobile Communications 1900)方式、日本で用いられているPDC(Personal Digital Cellular)方式などがある。またGSMと並んで用いられている、CDMA方式ではCdmaOne(Code Division Multiple Access One)、IMT−2000 (International mobile telecommunications 2000)などがある。近年の携帯電話の急激な普及に伴い、特に大都市近郊において各無線システムに割り当てられた周波数帯域では、全システム利用者をまかないきれず、通信が途中で切断されたり、接続が困難になるといった問題が生じている。そこで利用者が複数の無線システムを利用できるようにして、実質的に利用可能な周波数の増加を図り、サービスの向上やインフラの有効活用をすることが提唱されている。
【0003】
しかし、複数の無線システムを利用する場合には、それぞれに対応した複数の携帯通信機を使用する必要があり、従来1つの携帯通信機で複数の無線システムを扱うことができるようなシステムは存在しなかった。単に1台の携帯通信機で複数のシステムを構築する場合、システム毎の部品を用いて携帯電話用部品を構成すれば良いが、信号の送信系においては、希望の送信周波数を通過させるためのフィルタや送受信信号を入放射させるアンテナ、送受信回路を切り替える高周波スイッチ、また信号の受信系においては前記高周波スイッチを通過した受信信号の希望周波数を通過させるフィルタなどの高周波回路部品をシステム毎に用いることで対応可能となるが、このような形態では携帯通信機が非常に高価となり、かつ体積及び重量が増加してしまい、携帯通信機としては不適当である。そのため、1台の携帯通信機で複数のシステムを利用可能とするためには、複数のシステムの周波数構成を満たし、小型かつ複合機能化した高周波部品が必要である。
【0004】
このような高周波回路部品として、高周波スイッチを用いて複数のシステムの送信回路と受信回路を切り替える高周波スイッチモジュールがある。一例としてGSM850 / GSM900 / GSM1800 / GSM1900に対応したアンテナスイッチモジュールのブロック図を図10に示す。アンテナにダイプレクサ(以下、本明細書ではダイプレクサと分波回路または分波器とは同等の意味で使う。)DIP21が接続され、一つの出力端子にはSP3T(Single Pole 3 Throw)スイッチ回路SW21が接続され、もう一つの出力端子にはSP3Tスイッチ回路SW22が接続される。スイッチ回路SW21はGSM850/900の送信信号と、GSM850並びにGSM900の受信信号を切り替えるスイッチ回路である。スイッチ回路SW22はGSM1800/1900の送信信号と、GSM1800並びにGSM1900の受信信号を切り替えるスイッチ回路である。ダイプレクサDIP21は、低周波数帯域を通過させるローパスフィルタと高周波数帯域を通過させるハイパスフィルタからなっており、ダイプレクサを通過した信号は、スイッチ回路SW21とSW22の切替えの組み合わせによってそれぞれの送受信系に接続することができる。
尚、パワーアンプPA21、PA22は送信回路から出力される高周波信号を増幅する。そこでローパスフィルタLPF21、LPF22は送信側のパワーアンプで発生する高調波歪発生量を低減させる。また弾性表面波フィルタSAW21、SAW22、SAW23、SAW24は受信信号に含まれる受信帯域外のノイズを低減する。このような技術を開示する文献として、特許文献1が挙げられる。
【0005】
アンテナスイッチモジュールのアンテナポートと各送受信ポートのインピーダンスは使用する周波数帯域でおおよそ50Ωになるように設計するのが一般的である。前記スイッチ回路SW21、SW22についても各入出力端子のインピーダンスは使用する周波数帯域においておおよそ50Ωに設計されている。そのため、図10のアンテナスイッチモジュールでは、GSM850/900送受信ポートはダイプレクサDIP21の低周波数側の周波数特性、GSM1800/1900送受信ポートはダイプレクサDIP21の高周波側の周波数特性をおおよそ反映する。具体的な周波数を挙げると、ダイプレクサDIP21の低周波側の周波数帯域は824〜960 MHz、高周波数側の周波数帯域は1710〜1990 MHzであり、これらの周波数帯域において分波回路の出力インピーダンスがおおよそ50Ωになるように設計する必要がある。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−185356号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしダイプレクサの周波数特性は、広帯域化を実現しようとすると、通過帯域の最小挿入損失が一般的に大きくなる。また挿入損失を小さくしようとすると、ダイプレクサの帯域は狭帯域になる。つまり広帯域においてダイプレクサの出力インピーダンスをほぼ50Ωに設計することは困難であると言える。前記のアンテナスイッチモジュールの場合には、特に高周波側のダイプレクサの通過帯域幅は1710〜1990MHz間の280MHzであり、この帯域全体において出力インピーダンスをほぼ50Ωに設計することは難しい。例として図10のアンテナスイッチモジュールのダイプレクサの周波数特性を図11に示す。図11は縦軸に挿入損失を、横軸に周波数帯域を示している。ここで分波器の周波数特性は1805MHz(DR1)では挿入損失が0.37dBと非常に低損失であるが、1990MHz(PR2)では0.47dBと大きくなることが分かる。またスイッチ回路は入出力端ともに使用周波数帯域においてほぼ50Ωで設計されるのが一般的であり、分波回路の周波数特性がほぼそのままGSM1800/1900送信回路、GSM1800受信回路並びにGSM1900受信回路の周波数特性となる。そのため図10のアンテナスイッチモジュールではGSM1900受信経路において挿入損失の悪化が顕著となり問題となる。
【0008】
またスイッチ回路SW22を上記のSP3Tスイッチ回路からIMT−2000も対応可能としたSP4Tスイッチ回路に変更した場合には、必要となる通過帯域幅はGSM1800の送信周波数の1710MHzからIMT−2000の受信周波数の2170MHzまでの460MHzとなり、ますますこの帯域全体において分波回路の出力インピーダンスをおおよそ50Ωに設計することは難しくなる。図11に示した分波回路単体での挿入損失は2170MHz(m20)の挿入損失が0.74dBと非常に悪くなっていることが分かる。そのため従来の分波回路では分波器の挿入損失の悪化が顕著となり、問題となっていた。
【0009】
そこで、本発明は、容易に各送受信ポートのインピーダンスを調整することを可能とし、ミスマッチロスを低減させてダイプレクサの広帯域化を図ると共に挿入損失を低減したアンテナスイッチ回路を、またこれらを構成するLC回路を内蔵しチップ素子を基板上に搭載したアンテナスイッチ積層モジュールを提供することを目的とする。
【0010】
【発明を解決するための手段】
本発明は、アンテナと、周波数の異なる信号を分波する分波回路と、分波回路と各送受信系のそれぞれに送信系と受信系を切替えるスイッチ回路と、スイッチ回路の各送信系に接続した帯域通過フィルタとを有するアンテナスイッチ回路において、このスイッチ回路と受信回路までの受信経路に伝送線路を接続し、この伝送線路の長さ、幅、巻き方などを調整することによって、容易に各送受信ポートのインピーダンスを調整することによって、ミスマッチロスによる挿入損失を低減できることを見出し本発明に至ったものである。
【0011】
即ち、本発明は、アンテナと複数の周波数帯域に対応して通過帯域が異なる複数の送受信系に信号を分波する分波回路を接続し、該分波回路と前記各送受信系のそれぞれに送信系と受信系を切替えるスイッチ回路を接続し、該スイッチ回路の各送信系に帯域通過フィルタを接続したアンテナスイッチ回路において、前記スイッチ回路の少なくとも一つ以上の出力端子と受信経路との間に伝送線路を接続したアンテナスイッチ回路である。
前記スイッチ回路は、PINダイオードを用いたダイオードスイッチ回路あるいは電界効果型トランジスタを用いたトランジスタスイッチ回路であることが望ましい。また、ダイオードスイッチ回路とトランジスタスイッチ回路を組み合わせて用いることも望ましい。
【0012】
また、本発明は、上記アンテナスイッチ回路を構成するインダクタおよび容量の一部を積層基板に内蔵し、分波回路およびスイッチ回路の一部を構成するスイッチング素子、抵抗、容量、インダクタ、および受信経路上の弾性表面波フィルタ、送信系路上の高周波増幅器等を構成するチップ部品の一部を積層基板上に搭載したアンテナスイッチモジュールである。
【0013】
さらに、本発明は、上記したアンテナスイッチ回路またはアンテナスイッチモジュールを用いたことを特徴とする通信装置である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示す実施例に基づいて説明する。
(実施例1)
本発明の実施例によるアンテナスイッチモジュールのブロック図を図1に示す。第1の送受信系がGSM900 (送信周波数:880 MHz 〜 915 MHz、 受信周波数:925 MHz 〜 960 MHz)、第2の送受信系がGSM1800 (送信周波数:1710 MHz 〜1785MHz、受信周波数:1805 MHz 〜1880MHz)、第3の送受信系がGSM1900 (送信周波数:1850 MHz 〜1910 MHz、受信周波数:1930 MHz 〜1990 MHz)の場合を例にとって、以下に詳細に説明する。
このアンテナスイッチモジュールは、各送受信系の入出力電力が入放射されるアンテナと第1の送受信系と第2の送受信系ならびに第3の送受信系とを分波させる分波回路DIP41を接続し、分波回路DIP41のスイッチ回路側の入出力端D42と送受信を切り替えるスイッチ回路SW41の入出力端S41を接続し、ならびに入出力端D43と送受信を切り替えるスイッチ回路SW42の入出力端S44を接続する。スイッチ回路SW41は、GSM900の受信信号が入力されるとともに、GSM900の送信回路からの送信信号が出力される入出力端S41と、GSM900の送信回路からの送信信号を入力する入力端S42、GSM900の受信信号を受信回路へ出力する出力端S43を有する。
【0015】
同様にスイッチ回路SW42は、GSM1800とGSM1900の受信信号が入力されるとともに、GSM1800/1900の送信回路からの送信信号が出力される入出力端S44と、GSM1800/1900の送信回路からの送信信号を入力する入力端S45、GSM1800の受信信号を受信回路へ出力する出力端S46、GSM1900の受信信号を受信回路へ出力する出力端S47を有している。ここで、スイッチ回路SW41及びスイッチ回路SW42はPINダイオードもしくは電界効果型トランジスタによって構成される。
また、GSM900の送信回路と入力端S42との間と、GSM1800/1900の送信回路と入力端S45のそれぞれの間に、帯域通過フィルタLPF41、LPF42を接続する。帯域通過フィルタLPF41はローパスフィルタでありGSM900送信端子から入力される送信信号のN次高調波歪を減衰させる役割を担い、帯域通過フィルタLPF42はGSM1800/1900送信端子から入力される送信信号のN次高調波歪を減衰させる役割を担う。このようなアンテナスイッチ回路において、出力端S47と受信回路との間の受信経路に伝送線路L41を接続している。
【0016】
このアンテナスイッチ回路における分波回路の高周波側の周波数特性を図2に示す。図2は縦軸に挿入損失を、横軸に周波数帯域を示しており、(a)は伝送線路L41を接続する前であり、(b)は伝送線路を接続した後である。ここで分波回路の高周波側の必要な通過帯域幅は1710MHzから1990MHzである。この通過帯域において挿入損失をできるだけ小さくする必要がある。本実施例の伝送線路接続前の分波回路は1800MHz付近で挿入損失が最も小さくなり、1990MHzで挿入損失が最も大きくなる。またスイッチ回路SW42の入出力端子S45、S46、S47のインピーダンスはおおよそ50Ωに設計してある。またローパスフィルタLPF42も入出力ポートはおおよそ50Ωになるように設計する。そのため、GSM1800/1900TxとGSM1800Rx及びGSM1900Rxの入出力端子における周波数特性は分波回路の入出力端D43における周波数特性を反映する。
【0017】
ここで出力端S47とGSM1900Rx受信回路との間に、伝送線路L41を接続させることによって、出力端S47では低周波側にあった挿入損失のピークを高周波側にシフトさせることができる。ピークをシフトさせる周波数量は、伝送線路の長さ、太さ、形状を変化させることによって、ピークシフトの量を調整させる。一例としては伝送線路の長さが長くなるほど、より高周波側にピークシフトさせることができる。
本例では伝送線路L41の幅や長さを調整した結果、出力端S47では挿入損失のピークが1800MHz付近だったのに対し、GSM1900受信回路端では、1990MHz付近にピークシフトさせることができた。その結果、伝送線路L41を接続しない場合には、分波回路におけるGSM1900受信帯域幅の挿入損失は0.43dBであったのに対し、伝送線路L41を接続した場合には0.29dBと大幅に改善させることができた。以上より、スイッチ回路の出力端子とGSM1900Rx受信回路の間に伝送線路を接続する事により、広帯域でありながら挿入損失の改善を図ることができた。
【0018】
(実施例2)
次に実施例2によるアンテナスイッチモジュールのブロック図を図3に示す。第1の送受信系がGSM900 (送信周波数:880 MHz 〜 915 MHz、 受信周波数:925 MHz 〜 960 MHz)、第2の送受信系がGSM1800 (送信周波数:1710 MHz 〜 1785MHz、受信周波数:1805 MHz 〜 1880MHz)、第3の送受信系がGSM1900 (送信周波数:1850 MHz 〜 1910 MHz、受信周波数:1930 MHz 〜 1990 MHz)、第4の送受信系がWCDMA (送信周波数:1920 MHz 〜 1980 MHz、受信周波数:2110 MHz 〜 2170 MHz)の場合を例にとって、以下に詳細に説明する
このアンテナスイッチモジュールは各送受信系の入出力電力が入放射されるアンテナと第1の送受信系、第2の送受信系、第3の送受信系及び第4の送受信系とを分波させる分波回路DIP61を接続し、分波回路DIP61のスイッチ回路側の入出力端D62(低周波側)と送受信を切り替えるGaAs_FETスイッチSW61の入出力端S61を接続し、もう一方の入出力端D63(高周波側)と送受信を切り替えるGaAs_FETスイッチSW62の入出力端S64を接続する。スイッチSW61は、GSM900の受信信号が入力されるとともに、GSM900の送信回路からの送信信号が出力される入出力端S61と、GSM900の送信回路Tx1からの送信信号を入力する入力端S62、GSM900の受信信号を受信回路Rx1へ出力する出力端S63を有している。
【0019】
同様にスイッチSW62はGSM1800とGSM1900及びWCDMAの受信信号が入力されるとともに、GSM1800とGSM1900及びWCDMAの送信回路からの送信信号が出力される入出力端S64と、GSM1800/1900の送信回路Tx2からの送信信号を入力する入力端S65、GSM1800の受信信号を受信回路Rx2へ出力する出力端S66、GSM1900の受信信号を受信回路Rx3へ出力する出力端S67、WCDMAの送受信信号を送受信回路TR1へ出力する出力端S68を有する。
また、上述のGSM900の送信回路Tx1と入力端S62の間、ならびにGSM1800/1900の送信回路Tx2と入力端S65のそれぞれの間に、帯域通過フィルLPF61、LPF62を接続する。帯域通過フィルタLPF61はローパスフィルタでありGSM850/900送信端子から入力される送信信号のN次高調波歪を減衰させる役割を担い、LPF62はGSM1800/1900送信端子から入力される送信信号のN次高調波歪を減衰させる役割を担う。ここで上記アンテナスイッチ回路において、出力端S66とGSM1800受信回路との間に伝送線路L61を、出力端S67とGSM1900受信回路との間に伝送線路L62を、出力端S68とWCDMA送受信回路との間に伝送線路L63をそれぞれ接続する。
また今回はスイッチ回路SW61にGaAs_FETスイッチを使用する回路で構成したが、PINダイオードを用いたスイッチ回路で構成することもできる。一般的にPINダイオードはGaAs_FETスイッチと比べて、電力入力時の歪みが小さく、また価格もGaAs_FETに比べて安価である。そのため場合によっては、スイッチ回路SW61にPINダイオードを用いたスイッチ回路を使用し、構成することも望ましい。
【0020】
本実施例においてWCDMA送受信回路にて、伝送線路L63を接続した場合と接続しなかった場合の、WCDMA送受信経路の挿入損失を図4に示す。(a)が伝送線路を接続する前、(b)が接続後の特性を示している。この図が示すように伝送線路L63を接続しなかった場合には、WCDMA受信周波数の2170MHzでは0.70dBの挿入損失であったのが、伝送線路L63を接続する事により0.52dBと大幅に改善することができた。
【0021】
さて、本発明による高周波スイッチモジュールは、図5に示すように誘電体シートを複数枚積層した積層体構造となし、その積層体上にチップ部品を搭載することにより軽量小型に構成できる。複数の送受信系の共通端子であるアンテナ端子ANTと、各送受信系のそれぞれの送信系端子Txと受信系端子Rxと送受信系端子TR1は高周波信号用の端子であり、これを高周波端子と呼ぶ。各高周波端子の記号は図3のブロック図と対応している。また、この積層体の各辺には少なくとも1つのグランド端子GNDが配置されることが望ましい。このように、高周波端子間を隣り合わないようにすること、また高周波端子間にグラウンド端子をサンドイッチして配置する事により、高周波端子間の干渉を抑え、低損失化を図ることができる
【0022】
本発明では、積層体上に配置されたチップ部品を囲むように金属ケース(図示せず)を配置することが望ましい。シールド効果だけでなく、高周波スイッチモジュールのユーザがチップマウンタではんだ付けする際に、金属ケースだと真空吸引しやすいからである。シールド効果が要求されず、単にチップマウンタの供給用としての平面形成のためだけなら、高周波スイッチモジュールをリフローハンダ時の熱に絶えられる耐熱性の樹脂でモールドしたり、その上を金属コーティングしても良い。
【0023】
次に、この積層体モジュールの内部構造について誘電体シートに沿って説明する。図6と図7に各層の印刷電極パターン図を示す。なお積層図上部に記載されている数字は当該図が何層目にあたるかを示している。この実施例は、1層の厚みが25〜190μm(一体焼成後の寸法)の誘電体シートに各層の電極を印刷してスルーホールで接続した例である。図6、図7でスルーホールは、太線で囲った四角である。この四角部に孔が開いておりスルーホールを形成している。誘電体としては、例えばアルミナ系ガラスセラミック等の低温同時焼結セラミックス(LTCC)材料が挙げられる。この積層体は、低温焼成が可能なセラミック誘電体材料からなるグリーンシートを用意し、そのグリーンシート上にAg、Pd、Cuなどの導電ペーストを印刷して、所望の電極パターンを形成し、それを適宜積層し、900℃程度で一体焼成して構成される。なお、シートの厚さは大体40〜250μmの範囲で、使用用途によりドクターブレード法などで制御される。所定の内部電極パターンを多数形成した大きなシートを積層し、一つ一つのチップサイズに切断した後、焼成し、端子電極を形成し、誘電体積層素体を作製する。端子電極は、通常、Ag−Ni−半田の三層構造をしており、Ni層により半田耐熱性、半田層により半田濡れ性を十分得られるようにしている。この誘電体積層素体上にメタルマスクを使用した半田印刷を行い、その後GaAsスイッチやダイオードスイッチ、また容量値が大きく積層素体内に形成できなかったチップコンデンサや抵抗を、場合によってはインダクタを搭載し、リフロー半田する。
【0024】
以下、焼成後の各層の構成を最下層から順に説明する。尚、図8に本実施例の等価回路図を示す。まず最下層の第15層上には、グランド電極がほぼ全面に形成されている。いわゆるベタアースである。これにより安定したアースが確保できる。特に、この実施例では複数のスルーホールが形成され裏面に連通し、図6に示した、積層体底部のグランド電極GNDに電気的に接続される。第14層にはコンデンサ用電極Cf1、Cf3、Cg3とGaAsスイッチの電源ラインLV1、LV2、LVdが形成され、第15層と第13層とのグラウンド電極との間でコンデンサは形成されている。Cf1は分波回路のローパスフィルタのノッチフィルタの一部である。またCf3は分波回路のハイパスフィルタのノッチフィルタの一部である。Cg3はローパスフィルタLPF61の特性をよりよくするために形成している。これらのコンデンサ電極、ならびに電源ラインをグラウンド電極E5、E4により挟み込む事によって、他の回路との干渉を極力少なくする事が可能となり、挿入損失の改善などを図る事が出来た。
【0025】
第12層から第8層にかけて、分波回路のローパスフィルタの構成の一部となるLF1、LF2ならびに分波回路のハイパスフィルタの構成の一部となるLF3、ローパスフィルタLPF61の構成の一部となるLG1、ならびにローパスフィルタLPF62の構成の一部となるLD1を形成する。さらに伝送線路L61を構成するLRx1、LRx2、伝送線路L62を構成するLRx3、LRx4、ならびに伝送線路L63を構成するLTR1、LTR2が形成されている。これらの伝送線路の長さ、幅、巻き方を変化させることによって、周波数のピークシフト量を容易に調整することができる。例えば本実施例においては、GSM1800/1900Txの使用周波数帯域から最も使用周波数帯域が離れているWCDMA経路に接続される伝送線路L63の長さをL61、L62に比べて長くしている。
【0026】
第7層から第3層にかけて、分波回路のハイパスフィルタの構成の一部となるCf2、Cf4ならびにローパスフィルタLPF61の構成の一部となるCg1、Cg2ならびにローパスフィルタLPF62の構成の一部となるCd1、Cd2、またグラウンド電極E1、E2、E3を形成している。
【0027】
第2層では、搭載部品ならびに裏面電極からの信号の引き回しを主に行うための電極が形成されている。LG1aはGSM900送受信切り替えスイッチSW61のS62端子とLPF61を接続するための伝送線路である。またLG2はVdd電源をSW61に接続するための伝送線路である。
第1層(上面)では、搭載部品を搭載するための電極、ならびに上部パッケージを搭載するための電極が形成されている。チップインダクタLEはアンテナに接続されるシャントインダクタである。チップコンデンサCGはDCカットコンデンサとして用いられる。SW61はGSM900の送受信信号を切り替えるSPDTのGaAsFETスイッチであり、SW62はGSM1800/1900Tx、GSM1800Rx、GSM1900Rx、WCDMAの送受信信号を切り替えるSP4TのGaAs_FETスイッチである。
本実施例では、SW61、SW62にはGaAs_FETスイッチを用いたが、PINダイオードを用いたスイッチ回路で構成しても良い。PINダイオードスイッチを用いた場合には、電源ロジックに若干の変更が生じるが、アンテナスイッチモジュールのブロック図は図3に記載されているもので構わない。
【0028】
(実施例3)
実施例3によるアンテナスイッチモジュールのブロック図を図9に示す。この例は図10に示した従来例と同様のブロック構成である。従って、ここでの詳細な説明は省くが、ここで異なるのは、スイッチ回路SW11の出力端S14とGSM900受信回路との間に伝送線路L11を接続し、スイッチ回路SW12の出力端S18とGSM1900受信回路との間に伝送線路L12をそれぞれ接続していることである。これによって、上記した実施例と同様に挿入損失の改善を図ることが出来る。
【0029】
上記した実施例では、スイッチ回路および分波回路ならびに帯域通過フィルタなどの回路を構成するインダクタや容量の一部は誘電体積層体基板に内蔵可能であり、一方でスイッチ回路、分波回路、帯域通過フィルタなどを構成するインダクタ、コンデンサ、抵抗、ならびにPINダイオード素子や電界効果型トランジスタなどのチップ部品の一部を前記誘電体積層基板上に搭載することにより、より集積化したアンテナスイッチモジュールを得ることができる。
また、アンテナスイッチ回路の送信端子と送信回路の間の少なくとも一経路に帯域通過フィルタを設けている。同じく、アンテナスイッチ回路の受信端子と受信回路の間の少なくとも一経路に弾性表面波フィルタを設けることが出来る。また、アンテナスイッチ回路の送信端子と送信回路の間の少なくとも一経路に高周波増幅器を接続することもできる。このとき、受信回路に接続される弾性表面波フィルタや送信回路に接続される高周波増幅器などの一部を前記誘電体積層基板上に搭載すること、また電極パターンで構成できる回路は積層体内に内蔵することにより、実装面積を大幅に削減することができる。またアンテナスイッチモジュールと弾性表面波フィルタや高周波増幅器を一体にする場合に、最適な位相で一体可能になるように、アンテナスイッチモジュールと弾性表面波フィルタと高周波増幅器の間にマッチング回路を挿入する場合がある。これらのマッチング回路を誘電体積層基板内に内層することで位相を最適化することができ、より高集積化したアンテナスイッチモジュールを得ることができる。
【0030】
また本発明により、シングルバンドのみではなく、デュアルバンド以上のマルチバンド携帯電話などの通信装置においても、本発明のアンテナスイッチ回路またはこれを用いたアンテナスイッチモジュールを使用することにより、従来のアンテナスイッチモジュールを使用した場合と比べて、ミスマッチロスによる挿入損失を低減させることができた。また携帯電話などの通信装置においては、消費電力の軽減を図ることが重要であるが、本発明によりアンテナスイッチモジュールの挿入損失を低減させることによって、従来の技術を用いた場合よりも低電力で信号を増幅させることができ、省電力化に貢献することができる。
【0031】
【発明の効果】
本発明によれば、各送受信ポートのインピーダンスを調整することを可能とし、ミスマッチロスを低減させて分波器(ダイプレクサ)の挿入損失を低減したアンテナスイッチ回路となった。
また、これらを構成するLC回路を積層体内に内蔵しチップ素子を基板上に搭載して小型軽量化を図ったアンテナスイッチモジュールを提供することができた。
そして、これを用いて省電力化となした通信機(携帯電話)を提供することが出来た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1によるアンテナスイッチ回路のブロック図である。
【図2】実施例1による伝送線路接続前と後での周波数と挿入損失の特性線図である。
【図3】本発明の実施例2によるアンテナスイッチ回路のブロック図である。
【図4】実施例2による伝送線路接続前と後での周波数と挿入損失の特性線図である。
【図5】本発明のアンテナスイッチモジュールの積層体の外観図と裏面図である。
【図6】本発明のアンテナスイッチモジュールの積層体の積層シートの展開図1である。
【図7】本発明のアンテナスイッチモジュールの積層体の積層シートの展開図2である。
【図8】本発明の実施例2によるアンテナスイッチ回路の等価回路図である。
【図9】本発明の実施例3によるアンテナスイッチ回路のブロック図である。
【図10】従来例を示すアンテナスイッチ回路のブロック図である。
【図11】従来例の周波数と挿入損失の特性線図である。
【符号の説明】
ANT:アンテナ
DIP1、DIP21、DIP41、DIP61:ダイプレクサ(分波器)
SW11、SW12、SW21、SW22、SW41、SW42、SW61、SW62:スイッチ回路
LPF11、LPF12、LPF21、LPF22、LPF41、LPF42、LPF61、LPF62:帯域通過フィルタ(ローパスフィルタ)
SAW21、SAW22、SAW23、SAW24:弾性表面波フィルタ
PA21、PA22:高周波増幅器
L11、L12、L41、L61、L62、L63:伝送線路
Cf1、cf2、cf3、cf4、cg1、cg2、cg3、cd1、cd2、cd3、CG:容量パターンまたはコンデンサ
LF1、LF2、LF3、LG1、LD1:伝送線路パターンまたはインダクタ
LTR、LRX:伝送線路パターン
Claims (4)
- アンテナと複数の周波数帯域に対応して通過帯域が異なる複数の送受信系に信号を分波する分波回路を接続し、該分波回路と前記各送受信系のそれぞれに送信系と受信系を切替えるスイッチ回路を接続し、該スイッチ回路の各送信系に帯域通過フィルタを接続したアンテナスイッチ回路において、前記スイッチ回路の少なくとも一つ以上の出力端子と受信経路との間に伝送線路を接続したことを特徴とするアンテナスイッチ回路。
- 前記スイッチ回路は、PINダイオードを用いたダイオードスイッチ回路もしくは電界効果型トランジスタを用いたトランジスタスイッチ回路であることを特徴とする請求項1記載のアンテナスイッチ回路。
- 請求項1または2に記載のアンテナスイッチ回路を構成するインダクタおよび容量の一部を積層基板に内蔵し、分波回路およびスイッチ回路の一部を構成するスイッチング素子、抵抗、容量、インダクタ、および受信経路上の弾性表面波フィルタ、送信系路上の高周波増幅器等を構成するチップ部品の一部を積層基板上に搭載したことを特徴とするアンテナスイッチモジュール。
- 請求項1または2に記載のアンテナスイッチ回路または請求項3に記載のアンテナスイッチモジュールを用いたことを特徴とする通信装置。
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