JP3756489B2 - 軸肥大加工法とその装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、金属軸材あるいは金属管の中間部、任意の位置に素材径よりも大径の肥大部を成形する軸肥大加工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、互いに対向する一対の保持部を一定間隔離間した状態でワークである金属軸材あるいは金属管の任意の位置を保持し、少なくとも両保持部間のワークに軸周りの回転と曲げ及び圧縮圧力を作用させて、ワークの中間部任意の位置に肥大部を成形させる軸肥大加工法のいくつかが提案なされている(例えば、特許文献1参照。)。
また、加圧中の圧縮圧力を小さくする方法として、互いに対向する一対の保持体でワークである金属軸材及び金属管を保持し、少なくとも両保持体間のワークに軸周りの回転と曲げ及び圧縮圧力を作用させて、ワークの中間部任意の位置に所望の肥大部を成形させる軸肥大加工を行う前に、ワークに耐力以上の応力を作用させる曲げを加えるために、前記両保持体間のワークに曲げと曲げ戻しを繰り返し作用させ、バウジンガー効果によりワークの降伏応力を低下させる降伏応力低下工程を行い、然る後、両保持体間のワークに軸周りの回転と曲げ及び圧縮圧力を作用させて、ワークの中間部任意の位置に肥大部を成形させる軸肥大加工法が提案なされている(例えば、特許文献2参照。)。
さらに、加圧中に圧縮圧力の反力が主軸スピンドルに伝達しないようにした装置として、ワークである金属軸材あるいは金属管を保持する保持体を備えるとともにワークを保持した状態で回転駆動する駆動回転部と、該駆動回転部の保持体に対向するように設けられた保持体を備えるとともに、前記駆動回転部に対し、接近及び離間する方向に相対移動可能な従動回転部と、該従動回転部の保持体の軸心を前記駆動回転部の保持体の軸心に対して交差させる偏倚手段と前記従動回転部を駆動回転部に向かって押圧する加圧手段とを具備する軸肥大の加工装置において、駆動回転部の駆動手段として前記駆動回転部の保持体を旋盤のチャックに取付けることで旋盤の回転駆動力を利用するとともに、前記圧縮手段をベースと摺動フレーム間に配し、該ベースに付設されたテーパ軸を旋盤に取付けることにより、前記加圧手段の作動時に反力をベース内で相殺できるようにした加工装置がある(例えば、特許文献3参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特公平6−65423号公報
【特許文献2】
特開2002−346684号公報
【特許文献3】
特開2000−246389号公報
【0004】
上記従来の技術によれば、ワークに回転と圧縮及び曲げを同時に作用させて肥大部を成形させる方法であり、このような方法を実施するための装置には旋盤の回転力を利用した加工装置または軸肥大加工ができる専用機がある。これらの加工装置では、保持体間のワーク全周をワークの曲げの内側となる部位とするために、圧縮圧力及び曲げ力を作用させた状態でワークを回転させており、ワークを回転させる駆動回転部に圧縮圧力の反力である大きなスラスト荷重がかかることとなり、該駆動回転部を破損する恐れがあった。よって、ワークに回転を与える駆動回転部を保護するために、スラスト荷重を受けるスラスト軸受等を備えた大掛りなワークの保持体とする必要があった。また、ワークを保持し、前記保持体に従動回転するワークの保持体においても、圧縮圧力の反力であるスラスト荷重が該保持体に作用している条件下にてワークを捩じることなくワークをスムーズに回転させる必要があったため、該保持体にもスラスト荷重を受けるスラスト軸受等を備える必要があった。さらに、特許文献3に記載されているように駆動回転部側の保持体を保持する保持体を保持する支持筒体をベースに固着し、従動回転部側の保持体を保持する支持筒体を圧縮手段を介してベース部に取付けることにより、旋盤のワークに回転を伝える主軸スピンドルに圧縮圧力の反力であるスラスト荷重を実質的に作用させないようにはできるが、圧縮圧力及び曲げを作用させた条件下でワークをスムーズに回転させるため、駆動回転部及び従動回転部の夫々の支持筒体にスラスト軸受等を備える必要がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情を鑑み、ワークに圧縮圧力及び曲げを作用させた状態でワークを回転させることなく、ワークの中間部任意の位置に所望の肥大部を成形するための軸肥大加工法及びその装置を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明による軸肥大加工法は、互いに対向する一対の保持体を適当な間隔離間させた状態でワークである直線状の金属軸材あるいは金属管を保持し、少なくとも前記両保持体間のワークにワークの軸心方向の圧縮圧力を作用させるとともに、ワークの圧縮方向と交差する方向の曲げ力をワークに作用させることにより、少なくとも両保持体間のワークに圧縮圧力を加えながら曲げを作用させ、両保持体間のワークにワークの曲げ内側が最大肥大部となる拡径方向の塑性変形を生じさせ、然る後、ワークの曲げ方向を変えてワークを曲げることにより、最大肥大部をワークの別の位置に生じさせる工程を繰り返すことで、徐々に両保持体間のワーク外周部に肥大部を累積させて所望の肥大部を成形させ、最後に曲げ戻ししてワークを真直化、あるいは所望の角度になるようにワークを曲げることで、ワークの中間部任意の位置に所望の肥大部を成形させたワークを得ることができることを特徴とする。
また、請求項2の発明による軸肥大加工法は、互いに対向する一対の保持体を適当な間隔離間させた状態でワークである直線状の金属軸材あるいは金属管を保持し、少なくとも前記両保持体間のワークにワークの軸心方向の圧縮圧力を作用させるとともに、ワークの圧縮方向と交差する方向の曲げ力をワークに作用させることにより、少なくとも両保持体間のワークに圧縮圧力を加えながら曲げを作用させ、両保持体間のワークにワークの曲げ内側が最大肥大部となる拡径方向の塑性変形を生じさせ、然る後、曲げ戻ししてワークを真直化し、曲げ力と圧縮圧力を解放した後にワークに軸周りの回転を加えることにより相対的にワークの曲げの方向を変えてワークを曲げることにより、最大肥大部をワークの別の位置に生じさせる工程を繰り返すことにで、徐々に肥大部を累積させて所望の肥大部を成形させ、最後に曲げ戻ししてワークを真直化、あるいは所望の角度になるようにワークを曲げることで、ワークの中間部任意の位置に所望の肥大部を成形させたワークを得ることができることを特徴とする。
さらに、請求項3の発明による軸肥大加工装置は、ワークである直線状の金属軸材あるいは金属管を適当な間隔をおいて保持する一対の保持体の一方を備え、該保持体を他方の保持体の軸心に対して偏倚させワークを曲げる偏倚手段と少なくとも前記両保持体間のワークにワークの軸心方向の圧縮圧力を作用させる圧縮手段を備えてなる軸肥大加工ユニットと、ワークをワークの軸心周りに回転させる回転駆動部に備えられる他方の保持体とから構成される軸肥大加工装置において、軸肥大加工ユニットと駆動回転部側の保持体を連結及び分離することを可能とし、軸肥大加工ユニットと駆動回転部側の保持体を連結することにより、一体的な構成となった駆動回転部側の保持体と軸肥大加工ユニット内にて圧縮圧力を保持できる構成とし、なおかつ、夫々の保持体を狭持あるいは保持体を保持する部位に設けた空孔部に保持体を挿通するだけの簡易な構成の加工装置としたことを特徴とする。
【0007】
請求項1の発明によれば、軸肥大させるワークを適当な間隔離間させた状態で保持体に保持させ、ワークにワークの軸心方向の圧縮圧力を作用させるとともに、両保持体間のワークに曲げを作用させて、両保持体間のワークにワークの曲げ内側が最大拡径部となる拡径方向の塑性変形を生じさせる。然る後、両保持体間のワークに別の方向の曲げを作用させ、最大肥大部をワークの別の位置に生じさせる工程を繰り返すことにより、ワークを回転させずにワークの中間部任意の位置に所望の肥大部を成形させることができる。最後に曲げ戻ししてワークを真直化、あるいは所望の角度になるようにワークを曲げ、保持体よりワークを取り外すと加工は完了し、ワークの中間部任意の位置に所望の肥大部を成形させた所望の形状のワークを得ることができる。よって、回転可能な保持体の構成とする必要がなくなり、なおかつ、互いに対向する一対の保持体の夫々において圧縮圧力の反力であるスラスト荷重を保持するためのスラスト軸受等を必要とせず両保持体を簡易な構成により保持する加工装置とすることできる。また、偏倚させる方向を任意に選択することにより、肥大部の拡径方向の断面視において様々な形状の肥大部を成形できる。
また、請求項2の発明によれば、軸肥大させるワークを適当な間隔離間させた状態で保持体に保持させ、ワークにワークの軸心方向の圧縮圧力を作用させるとともに、両保持体間のワークに曲げを作用させて、両保持体間のワークにワークの曲げ内側が最大拡径部となる拡径方向の塑性変形を生じさせる。然る後、曲げ戻ししてワークを真直化し、圧縮圧力と曲げ力を解放した後に、ワークを回転させ相対的にワークの曲げ方向を変えてワークを曲げ、最大肥大部をワークの別の位置に生じさせる工程を繰り返すことにより、ワークに所望の肥大部を成形させることができる。最後に曲げ戻ししてワークを真直化、あるいは所望の角度になるようにワークを曲げ、保持体よりワークを取り外すと加工は完了し、ワークの中間部任意の位置に所望の肥大部を成形させた所望の形状のワークを得ることができる。よって、ワークを回転させる際に圧縮圧力及び曲げを作用させていないので、スラスト荷重が発生しないようにでき、互いに対向する一対の保持体の夫々において圧縮圧力の反力であるスラスト荷重を受けるためのスラスト軸受等を備える必要がなくなるとともに、該保持体を回転可能かつ圧縮圧力の反力を保持する構成とする必要がなくなり、簡易な構成により保持体を保持する構成の加工装置とすることができる。また、ワークを回転させる角度を任意に選択することにより、肥大部の拡径方向の断面視において様々な形状の肥大部を成形できる。
さらに、請求項3の発明によれば、駆動回転部側の保持体と軸肥大加工ユニットを連結及び分離可能とし、駆動回転部側の保持体と軸肥大加工ユニットを連結することにより、一体的な構成となった駆動回転部側の保持体と軸肥大加工ユニット内にて圧縮圧力を保持できる。また、請求項2にかかる軸肥大加工法を採用することにより、互いに対向する一対の保持体を回転可能かつ圧縮圧力の反力を保持する構成とする必要がなくなり、保持体を狭持あるいは保持体を保持する部位に設けた空孔部に保持体を挿通するだけの簡易な構成の加工装置とすることができる。よって、実質的に回転駆動部に圧縮圧力の反力であるスラスト荷重が伝わらない構成となるとともに、加工装置をよりコンパクトに構成できる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明にかかる軸肥大加工法の一実施形態を図面に基づいて説明する。第1図は本発明にかかる軸肥大加工法の一実施形態を示す加工順序説明図である。第2図は本発明にかかる軸肥大加工法の別の実施形態を示す加工順序説明図である。第3図は第1の実施形態における加工装置を示す全体側面図である。なお、第3図を基準として、図の左側を前、右側を後とする。第4図はその加工装置の固定保持体を示す正面図である。第5図はその加工装置の固定保持体を示す側断面図である。第6図はその加工装置の軸肥大加工ユニットのベッドへの取付け状態を示す部分正断面図である。第7図はその加工装置の軸肥大加工ユニットを示す側断面図である。第8図はその加工装置の軸肥大加工ユニットを示す平面図である。第9図は第一の偏倚手段の作用を示す説明図である。第10図は第一の実施形態における加工装置の第二の偏倚手段の作用説明図である。第11図は第二の実施形態における加工装置を示す全体側面図である。第11図は旋盤の主軸部に取付けられた保持体を示す要部側断面図である。第12図は第二の実施形態における加工装置の軸肥大加工ユニットのベッドへの取付け状態を示す部分背断面図である。第14図は第二の実施形態における加工装置の軸肥大加工ユニットの側断面図である。第15図は第二の実施形態における加工装置の軸肥大加工ユニットを示す部分平断面図である。第16図は第二の実施形態における加工装置の軸肥大加工ユニットを示す平断面図である。第17図は第二の実施形態における加工装置の偏倚手段の作用説明図である。
【0009】
まず、本発明にかかる軸肥大加工法を実施するための第一の実施形態における加工装置1について説明する。
この加工装置1はワークWを保持し互いに対向する一対の保持体2,2と、該保持体2,2の一方を備えベース部3に固定される固定保持体4と、他方の保持体2を備え、固定保持体4側の保持体2の軸心に対して該保持体2を複数の方向へ偏倚させる偏倚手段5と前記固定保持体4に該保持体2を接近あるいは離間させることによって両保持体2,2間のワークWに圧縮圧力を作用させる圧縮手段6を備え、ベース部3に前後摺動可能に配される軸肥大加工ユニット7から主に構成される。
【0010】
まず、ベース部3は平面視において矩形状の板であるベッド8の下面四隅に脚9,9,・・・を固着し構成している。また、該ベッド8には正面視において凸状の溝部8aを設けている。
【0011】
次に、固定保持体4について説明する。
この固定保持体4は、ベース部3のベッド8前方端に平面視において矩形状の固定板10が固定され、該固定板10の上面略々中央に側面視において略々L字状の固定プレート11が前後方向に立設されるとともに、固定板10の上面後端近傍に正面視において凹状の固定プレート12が左右方向に立設され、直方体をした保持ブロック13を夫々の固定プレート11,12により形成された凹み部に嵌め込み固着している。この保持ブロック13には保持体2が挿通される前後方向の空孔部13aが穿たれている。
【0012】
次に、上記固定保持体4に挿通され、ワークWの適所を保持する保持体2について説明する。
この保持体2は筒形状をしており、内部前端面近傍には雌ネジ部2aが設けられ、該雌ネジ部2aにはネジ部材14が螺着される。さらに、該保持体2の後端部には上記固定保持体4の保持ブロック13の後端面に接当し、ワークWに圧縮圧力を作用させた際に前方方向への抜け止めとなる顎部2bを備えている。また、筒内部後端部近傍にテーパ部2cが設けられている。このテーパ部2cはワークWを保持体2から、より取り外しし易くするために設けたもので、前記ネジ部材14を捩じ込むことによって軸肥大加工により肥大したワークWを保持体2から押し出し、テーパ部2cに隙間を空けることで、保持体2からワークWを取り外しし易くしたものであり、必ずしも必要とするものではない。
【0013】
次に、軸肥大加工ユニット7について詳述する。
まず、この軸肥大加工ユニット7は、ベース部3上で前後摺動可能とするために、ベース部3のベッド8上面を前後方向に摺動する摺動板15を備えている。さらに、この摺動板15下面には前記ベッド8の溝部8aに掛止可能な摺動板15の浮き上り防止プレート16が止着されている。このような構成とすることにより、軸肥大加工ユニット7の側面方向へのブレや上下方向へのブレが規制された状態で、軸肥大加工ユニット7を前後方向に摺動可能としている。
次に、摺動板15の上面両側端部に夫々側部板17,17が立設され、この側部板17,17の前方上部に同一直線上に軸心を有するように偏倚軸受17a,17aが穿たれている。なお、この偏倚軸受17a,17aの軸心は固定保持体4に備えられた保持体2の軸心と直交するようにも構成されている。
そして、該側部板17,17間と略々等しい幅の偏倚プレート18の上面両側端部に軸付プレート19,19が立設され、該軸付プレート19,19の一側部に固着した偏倚軸19a,19aが前記側部板17,17の偏倚軸受17a,17aに軸承されている。
次に、該偏倚プレート18の前方部に偏倚軸受18aが穿たれている。なお、この偏倚軸受18aの軸心は固定保持体4に備えられた保持体2の軸心と直交するとともに、前記偏倚軸受17a,17aの軸心とも直交するように構成されている。
そして、この偏倚軸受18aには偏倚ブロック20の下面前方に固着された偏倚軸20aが軸承される。この偏倚ブロック20には、上記保持体2と同じ保持体2が挿通可能な空孔部20bが穿たれている。なお、この空孔部20bは固定保持体4側の保持体2の軸心と同一直線上に位置するように設けられている。また、保持体2を偏倚ブロック20に挿通する際には、保持体2の顎部2bが偏倚ブロック20の前端面に接当するようにする。
そして、このように構成された保持体2は固定保持体4側の保持体2の軸心と同一直線上に軸心を有するので、直線状のワークWを保持することができるとともに、該保持体2を支持する摺動板15は前後に摺動可能であり、さらに、該保持体2を支持する軸付プレート19,19及び偏倚ブロック20により、該保持体2は水平方向及び上下方向に回動自在に構成されている。すなわち、固定保持体4側の保持体2に対して、該保持体2は接近あるいは離間可能かつ両保持体2,2が同一直線上に位置する状態から一方の軸心に対して交差する方向へ偏倚可能に構成されている。
【0014】
次に、偏倚手段5について説明する。
この偏倚手段5,5として、本実施形態では水平方向に偏倚させる第一の偏倚手段5と上下方向に偏倚させる第二の偏倚手段5を設けている。
まず、第一の偏倚手段5は、偏倚プレート18の上面一方の側部に設置台21が立設され、該設置台21と偏倚ブロック20との間に配される流体シリンダ22により構成されるものであり、次のように取付けられている。まず、設置台21と偏倚ブロック20の夫々の上面に一端側にネジ部(図示省略)が設けられた軸材23,23の他端側を固着している。そして、この軸材23,23に流体シリンダ22を軸承し、軸材23,23のネジ部(図示省略)にキャップ24,24を螺着して抜け止めとしている。なお、前記流体シリンダ22を伸縮させることで、固定保持体4側の保持体2の軸心に対して軸肥大加工ユニット7側の保持体2の軸心を互いの軸心が同一直線上にある状態を基準として左右方向に偏倚可能に構成している。
このように構成された第一の偏倚手段5は、前記流体シリンダ22を伸長することで、偏倚ブロック20に固着された軸材23を押し、偏倚ブロック20に設けられている偏倚軸20aを基端として偏倚ブロック20と保持体2を水平面上において回動させ固定保持体4側の保持体2の軸心と交差する方向に偏倚させることが可能となっている。また、逆に流体シリンダ22を縮めると、固定保持体4側の保持体2の軸心と該保持体2の軸心が一致する状態にまで偏倚を復帰させることが可能であるとともに、さらに流体シリンダ22を縮めると、伸長させたときとは反対方向に偏倚させることが可能となっている。
次に、第二の偏倚手段5は、側部板17,17と軸付プレート19,19との間に配される流体シリンダ25により構成されるものであり、次のように構成される。まず、少なくとも一方の側部板17及び軸付プレート19に一端側にネジ部(図示省略)が設けられた軸部材26,26の他端側を夫々固着している。そして、この軸部材26,26に流体シリンダ25を軸承し、軸部材26,26のネジ部(図示省略)にはキャップ24,24を螺着して抜け止めとしている。なお、前記流体シリンダ25を伸縮させることで、固定保持体4側の保持体2の軸心に対して軸肥大加工ユニット7側の保持体2の軸心を互いの軸心が同一直線上にある状態を基準として上下方向に偏倚可能に構成している。
このように構成された第二の偏倚手段5は、前記流体シリンダ25を伸長することで、軸付プレート19に固着された軸部材26を押し、軸付プレート19,19に設けられている偏倚軸19a,19aを基端として軸付プレート19,19と偏倚プレート18と偏倚ブロック20さらに保持体2を上方回動させ固定保持体4側の保持体2の軸心と交差する方向に偏倚させることが可能となっている。また、逆に流体シリンダ25を縮めると固定保持体4側の保持体2の軸心と該保持体2の軸心が一致する状態にまで偏倚を復帰させることが可能であるとともに、さらに流体シリンダ25を縮めると、伸長させたときとは反対方向に偏倚させることが可能となっている。
【0015】
次に、圧縮手段6について説明する。
この圧縮手段6は、ベース部3のベッド8上面後端部に配される固定台27と摺動板15間に配される流体シリンダ28により構成されるものであり、この流体シリンダ28は次のように取付けられる。まず、固定台27と摺動板15の夫々の上面に一端側にネジ部(図示省略)が設けられた固定軸部材29,29の他端側を固着している。そして、この固定軸部材29,29に流体シリンダ28を軸承し、固定軸部材29,29のネジ部(図示省略)にキャップ24,24を螺着し抜け止めとしている。
このように構成された圧縮手段6は、前記固定台27と摺動板15間の流体シリンダ28が伸長することで、摺動板15を前方摺動させるとともに、側部板17,17と軸付プレート19,19と偏倚プレート18及び偏倚ブロック20、さらに保持体2を前方摺動させることが可能となっている。よって、軸肥大加工ユニット7を固定保持体4に接近させることが可能となるとともに、夫々の保持体2,2にワークWを保持させ、固定保持体4側に軸肥大加工ユニット7を接近させることにより、両保持体2,2間のワークWに圧縮圧力を作用させることが可能となっている。また、逆に流体シリンダ28を縮めると軸肥大加工ユニット7を固定保持体4より離間させることが可能であり、両保持体2,2間のワークWに作用させた圧縮圧力を解放することが可能となっている。
【0016】
上述のように構成された軸肥大加工ユニット7はワークWを保持する保持体2を備え、かつ該保持体2の軸心を固定保持体4側の保持体2の軸心と交差する上下及び水平方向へ該保持体2を偏倚させる偏倚手段5,5を備えることにより、これら2つの偏倚手段5,5を同時に操作することによって任意の方向に曲げを加えることが可能となっている。さらに軸肥大加工ユニット7をベース部3のベッド8上にて固定保持体4に接近あるいは離間させることにより、該保持体2を相対的に前方摺動させるとワークWに圧縮圧力を作用ることが可能であり、該保持体2を相対的に後方摺動させるとワークWへの圧縮圧力を解放することが可能な圧縮手段6を備えて構成されている。
【0017】
なお、本実施形態においては、偏倚手段5,5を軸肥大加工ユニット7に集約しているが、固定保持体4側に集約しても良く、また固定保持体4と軸肥大加工ユニット7の夫々に偏倚手段5,5を備えるようにしても良く本実施形態に限定するものではない。また、圧縮手段6と偏倚手段5,5の駆動源として流体シリンダ22,25,28を用いているが、摺動部材を摺動させるものであれば良く、例えばネジの嵌合を利用して、駆動源に人力やモーターを利用するものでも良く、本実施形態に限定するものではない。また、偏倚手段5,5及び圧縮手段6の流体シリンダ22,25,28を制御する制御装置を図示していないが、夫々の流体シリンダ22,25,28を任意に発停及び伸縮できるものであれば良い。
【0018】
次に、上記のように構成された加工装置1を用いて、軸肥大加工を行う手順を第1図により説明する。
まず、夫々の保持体2,2に螺着しているネジ部材14,14を多少の捩じ込み代を残した状態で螺着し、一方は固定保持体4の保持ブロック13に挿通させる。そして、他方の保持体2を軸肥大加工ユニット7の偏倚ブロック20に挿通し、偏倚手段5,5を操作して互いの保持体2,2の軸心が同一直線上に位置するように配置する。
次に、流体シリンダ28を縮め、軸肥大加工ユニット7をベッド8後方に移動させ、両保持体2,2間にワークW長程度の間隔をあけ、何れか一方の保持体2にワークWを保持させる。然る後、流体シリンダ28を伸長させ、軸肥大加工ユニット7を固定保持体4側に移動させ、他方の保持体2にワークWを保持させるとともに、両保持体2,2のネジ部材14,14にワークWを接当させる。このとき、両保持体2,2間にワークWの任意の位置(軸肥大させる位置)がくるように保持体2,2の長さを選択するとともに、両保持体2,2間には適当な間隔をとっておく。なお、この間隔はワークWの軸径及び成形する肥大部の大きさによって異なるものであり、最適なものを選択すれば良い。よって、ワークWのセッティングが完了する((a)図参照。)。
【0019】
次に、圧縮手段6の流体シリンダ28を伸長させることにより、固定保持体4側の保持体2に軸肥大加工ユニット7側の保持体2が接近し、摺動板15から側部板17,17と軸付プレート19,19と偏倚プレート18及び偏倚ブロック20を介して保持体2よりワークWに圧縮圧力を伝達させ、両保持体2,2間のワークWに圧縮圧力を作用させる((b)図参照。)。次に、第一の偏倚手段5の流体シリンダ22を伸長させることにより、偏倚ブロック20の偏倚軸20aを基端として偏倚ブロック20及び保持体2を固定保持体4側の保持体2の軸心に対して偏倚させることでワークWを曲げる。このとき、作用させる圧縮圧力は曲げの外側に発生する引張り応力を相殺し、圧縮圧力となる程度の圧力であり、ワークWの曲げ角度はワークWの軸径によって異なるが、6度程度で良い。これら圧縮と曲げにより、ワークWの曲げ内側を最大肥大部とした拡径方向の塑性変形を曲げ部の周りに生じさせ、肥大部が成形される軸肥大工程を行う((c)図参照。)。
然る後、圧縮圧力をワークWに作用させた状態で第一の偏倚手段5の該流体シリンダ22を縮めることにより、固定保持体4側の保持体2の軸心と同一直線上になるまで偏倚ブロック20と保持体2の偏倚を復帰させ、ワークWを真直化させる((d)図参照。)。さらに、第一の偏倚手段5の該流体シリンダ22を縮めることにより、流体シリンダ22を伸長させたときとは反対の方向に偏倚ブロック20及び保持体2を偏倚させることでワークWを曲げる。これにより、先の軸肥大工程で肥大の進んでいない部位を曲げ内側に位置させ、ここを最大肥大部とした肥大部を成形することができる((e)図参照。)。次に、圧縮圧力をワークWに作用させた状態で、流体シリンダ22を伸長させ、偏倚ブロック20及び保持体2の偏倚を復帰させて、ワークWを真直化させる((f)図参照。)。そして、圧縮圧力をワークWに作用させた状態で第二の偏倚手段5の流体シリンダ25を伸長させることにより、軸付プレート19,19の偏倚軸19a,19aを基端として軸付プレート19,19と偏倚プレート18と偏倚ブロック20及び保持体2を固定保持体4側の保持体2の軸心に対して偏倚させることでワークWを曲げる。これにより、第一の偏倚手段5による軸肥大工程において肥大の進んでいない部位を曲げの内側に位置させ、ここを最大肥大部とした肥大部を成形できる((g)図参照。)。然る後、圧縮圧力をワークWに作用させた状態で第二の偏倚手段5の該流体シリンダ25を縮めることにより、固定保持体4側の保持体2の軸心と同一直線上になるまで軸付プレート19,19と偏倚プレート18と偏倚ブロック20及び保持体2の偏倚を復帰させ、ワークWを真直化する((h)図参照。)。そして、さらに第二の偏倚手段5の流体シリンダ25を縮めることにより、第二の偏倚手段においての先の偏倚による方向と反対の方向に軸付プレート19,19と偏倚プレート18と偏倚ブロック20及び保持体2を偏倚させることでワークWを曲げる。これにより、先の軸肥大工程において肥大の進んでいない部位を曲げの内側に位置させ、ここを最大肥大部とした肥大部を成形できる((i)図参照。)。そして、圧縮圧力をワークWに作用させた状態で、第二の偏倚手段5を伸長させることにより、軸付プレート19,19と偏倚プレート18と偏倚ブロック20及び保持体2の偏倚を復帰させ、ワークWを真直化させる((j)図参照。)。
これらの工程を繰り返すことにより、ワークWの中間部任意の位置に所望の肥大部を成形できる((k)図参照。)。つまり、ワークWを回転させなくとも、偏倚させる方向を変えることで、ワークWに作用させる曲げ方向を変え、そして、軸肥大工程を行うことを繰り返すことにより、ワークWの中間部任意の位置に所望の肥大部を成形させることができる。また、回転可能な保持体2,2の構成とする必要がなくなり、なおかつ、互いに対向する一対の保持体2,2の夫々において圧縮圧力の反力であるスラスト荷重を保持するためのスラスト軸受等を必要とせず両保持体2,2を簡易な構成により保持する加工装置1とすることでき、よりコンパクトな構成とすることができる。なお、本実施形態においては偏倚手段5,5によるワークWの曲げを水平面上での曲げの後に、上下方向に曲げるように工程を行っているが、ワークWを曲げる方向の順番は本実施形態に制限するものではない。また、軸肥大工程の後に、都度ワークWを真直化しているが、この真直化を省略して加工の最後に真直化しても良い。
【0020】
そして、所望の肥大部が得られたら軸肥大工程を完了し、偏倚を復元し、両保持体2,2の軸心を同一直線上に位置させワークWを真直化させた後に、圧縮手段6の流体シリンダ28を縮めて、ワークWへ作用させている圧縮圧力を解放する。然る後、圧縮手段6の流体シリンダ28をさらに縮め、一方の保持体2を保持ブロック13あるいは偏倚ブロック20より引抜いた後に、他方の保持体2を保持ブロック13あるいは偏倚ブロック20から引抜く。次に、両保持体2,2に夫々設けてあるネジ部材14,14を捩じ込み、ワークWを保持体2,2より少し押し出すと、保持体2,2のネジ部材14,14他端部に設けてあるテーパ部2c,2cに隙間ができ、ワークWを両保持体2,2から簡単に取り外すことができる。ワークWを取り外すと軸肥大加工は完了する。
また、所望の肥大部が得られ軸肥大工程を完了し、何れかの偏倚手段5,5にて、ワークWに所望の角度だけ曲げを加えた後に、圧縮手段6の流体シリンダ28を縮めて、ワークWへ作用させている圧縮圧力を解放する。然る後、圧縮手段6の流体シリンダ28をさらに縮め、固定保持体4側の保持体2を保持ブロック13より引抜き、次に偏倚ブロックよりもう一つの保持体を引抜く。次に、両保持体2,2に夫々設けてあるネジ部材14,14を捩じ込み、ワークWを保持体2,2より少し押し出すと、保持体2,2のネジ部材14,14他端部に設けてあるテーパ部2c,2cに隙間ができ、ワークWを両保持体2,2から簡単に取り外すことができる。ワークWを取り外すと軸肥大加工は完了し、所望の角度曲がった軸心と肥大部を持つワークWを得ることができる。
【0021】
この実施形態では4方向に保持体2を偏倚させワークWを曲げる方法を挙げているが、2つの偏倚手段5,5を同時に操作して、多方向への曲げをワークWに作用させることによって、ワークWの肥大部径方向の断面視において、より真円に近い肥大部を成形させることができる。さらに、2方向に保持体2を偏倚させワークWを曲げる方法では、ワークWの肥大部径方向の断面視において楕円状の肥大部を成形でき、偏倚させる方向を選択することにより様々な形状の肥大部を成形できる。
【0022】
次に、本発明にかかる軸肥大加工法を実施するための第二の実施形態における加工装置30について説明する。
この加工装置30は一般的な普通旋盤Lと、この旋盤LのチャックTにより狭持されワークWを保持する保持体2と、該保持体2に接近あるいは離間自在に旋盤LのベッドB上を移動する軸肥大加工ユニット31から主に構成されている。前記軸肥大加工ユニット31はワークWを保持する保持体2と、この保持体2を前記保持体2の軸心に対して交差させる偏倚手段5と、この保持体2をチャックTに狭持された保持体2に接近あるいは離間させる圧縮手段6とから構成されている。
【0023】
まず、旋盤LのチャックT側に取付けられ、ワークWの適所を保持する保持体2について説明する。この保持体2は第一の実施形態にかかる加工装置1の保持体2と略々同様であるが、その顎部2bについては後述する連結具32に接当し、ワークWに作用させる圧縮圧力の反力を保持するために利用される。32は連結具であり、中心部に空孔部32aが穿たれるとともに、その外周部には後述する軸肥大加工ユニット31と連結するためのネジ部32bが設けられている。
このように構成された保持体2及び連結具32は、連結具32の空孔部32aに保持体2が挿通され、連結具32がチャックTの爪に接触しないように間隔をおいてチャックTにより保持体2を挟持している。
【0024】
次に、軸肥大加工ユニット31について詳述する。
まず、この軸肥大加工ユニット31を前後に摺動可能とするために、旋盤LのベッドB上面、すなわち案内面33の形状に合う溝部34aを備えた摺動板34を軸肥大加工ユニット31は備えている。さらに、この摺動板34下面には前記案内面33に掛止可能な摺動板34の浮き上り防止プレート35が止着されている。このような構成とすることにより、軸肥大加工ユニット31の側面方向へのブレや上下方向のブレが規制された状態で、軸肥大加工ユニット31を前後方向への摺動可能としている。
次に、該摺動板34の上面両側端部に側面視において略々L字状の側部板36,36が立設され、その上部前面には両側部板間を塞ぐように連結板37が固着されている。該連結板37にはチャックT側の保持体2の軸心を中心とし、前記連結具32が螺着可能なネジ部37aを設けている。また、前記両側部板36,36の内側面上部には夫々前後方向にレール38,38が固着されている。
そして、この側部板36,36間には、前記レール38,38と摺動板34及び側部板36,36により形成される凹部空間内を前後方向に摺動可能な側面視において略々L字状の摺動プレート39,39が配される。この両摺動プレート39,39前方部には同一直線上に軸心を有するように偏倚軸受39a,39aが穿たれている。なお、この偏倚軸受39a,39aの軸心は旋盤Lの主軸の軸心と直交するようにも構成されている。
次に、この摺動プレート39,39間には、側面視において略々矩形状の偏倚プレート40,40の一側部に固着された偏倚軸40a,40aが、夫々の摺動プレート39,39の偏倚軸受39a,39aに軸承されている。なお、該偏倚プレート40,40が偏倚した際に、上記連結具32や前記連結板37に接触しないように偏倚プレート40,40の前方上部には切欠き部40b,40bが設けられている。
そして、この偏倚プレート40,40間には偏倚ブロック41が固着されている。この偏倚ブロック41には、その前方部に平面視において略々コ字状の切欠き部41aが上下方向に穿たれるとともに、上記チャックTに挟持される保持体2と同じ保持体2が挿通可能な空孔部41bが穿たれている。なお、この空孔部41bの軸心はチャックT側の保持体2の軸心と同一直線上に位置するように設けられている。また、偏倚ブロック41に保持体2を挿通する際に、保持体2の顎部2bは偏倚ブロック41の前端面に接当し、抜け止めとして利用される。
このように構成された保持体2はチャックT側の保持体2の軸心と同一直線上に軸心を有するので、直線状のワークWを保持することができるとともに、該保持体2を支持する摺動プレート39,39により前後に摺動可能であり、さらに該保持体2を支持する偏倚プレート40,40により回動自在に構成されている。また、両保持体2,2にワークWを保持させた際に、チャックT側の保持体2の回転に伴い、ワークWを介して伝えられる回転力に従って軸肥大加工ユニット31側の保持体2はワークWを捩じることなく偏倚ブロック41との間で回転可能の構成とされている。すなわち、チャックTに狭持される保持体2に対して、該保持体2が接近あるいは離間可能かつ両保持体2,2が同一直線上に位置する状態から一方の軸心に対して交差する方向に偏倚可能であるとともにワークWを捩じることなく従動回転する構成とされている。
【0025】
次に、偏倚手段5について説明する。
この偏倚手段5は、偏倚プレート40,40と摺動プレート39,39間に配される流体シリンダ42により構成されるものであり、この流体シリンダ42は次のように取付けられている。まず、少なくとも一方の偏倚プレート40及び摺動プレート39に一端側にネジ部(図示省略)が設けられた軸43,43の他端側を夫々固着している。そして、この軸43,43に流体シリンダ42を軸承し、軸43,43のネジ部(図示省略)にはキャップ44,44を螺着して抜け止めとしている。
このように構成された偏倚手段5は、前記軸43,43間の流体シリンダ42が伸長することで、偏倚プレート40に固着された軸43を押し上げ、偏倚プレート40,40に設けられている偏倚軸40a,40aを回動の基端として偏倚プレート40,40及び偏倚ブロック41、さらに保持体2を上方回動させチャックT側の保持体2の軸心と交差する方向に偏倚させることが可能となっている。また、逆に流体シリンダ42を縮めるとチャックT側の保持体2の軸心と該保持体2の軸心が一致する状態にまで偏倚を復帰させることが可能である。
【0026】
次に、圧縮手段6について説明する。
この圧縮手段6は、摺動プレート39,39と摺動板34間に配される流体シリンダ45により構成されるものであり、この流体シリンダ45は次のように取付けられている。まず、この流体シリンダ45の前後端の夫々に空孔部46a,46aが穿たれた取付けプレート46,46が止着されている。次に、一方の取付けプレート46の空孔部46a軸心を両摺動プレート39,39の略々中間部下方の位置に同一直線上に軸心を有するように穿たれた空孔部39b,39bの軸心と一致するように配し、側部板36,36間の距離に略々等しい長さの固定軸47を夫々の空孔部39b,39b,46aに挿通し、固定される。
次に、摺動板34の後方上面にプレート48,48が夫々に穿たれた空孔部48a、48aの軸心を同一直線上かつ側面視方向に一致するように一定間隔をおいて配され、固着されている。このプレート48,48の空孔部48a,48a軸心上に他方の取付けプレート46の空孔部46a軸心が一致するように配し、両端にネジ部(図示省略)を設けた固定軸材49を挿通し、該ネジ部(図示省略)にキャップ44,44を螺着して抜け止めとしている。なお、前記固定軸47は側部板36,36により挟まれる構成となるため、抜け止めを必要としない。
このように構成された圧縮手段6は、前記固定軸47と固定軸材49間の流体シリンダ45が伸長することで、摺動プレート39,39を前方摺動させ、摺動プレート39,39に軸承されている偏倚プレート40,40及び偏倚ブロック41、さらに保持体2を前方摺動させることが可能となっている。よって、夫々の保持体2,2にワークWを保持させ、チャックT側の保持体2に軸肥大加工ユニット31側の保持体2を接近させることにより、両保持体2,2間のワークWに圧縮圧力を作用させることが可能となっている。また、逆に流体シリンダ45を縮めると軸肥大加工ユニット31に備えられている保持体2を相対的に後方摺動させ、両保持体2,2間に保持させたワークWより圧縮圧力を解放することが可能となっている。
【0027】
よって、この軸肥大加工ユニット31はワークWを保持する保持体2を備えるとともに、該保持体2の軸心をチャックT側の保持体2の軸心と交差する方向へ該保持体2を偏倚させる偏倚手段5と該保持体2を前方摺動させることによりワークWに圧縮圧力を作用及び解放させる圧縮手段6を備え、旋盤LのベッドB案内面33に沿って前後摺動可能に構成されている。
【0028】
なお、本実施形態においては、圧縮手段6と偏倚手段5の駆動源として流体シリンダ42,45を用いているが、摺動部材を摺動させるものであれば良く、例えばネジの嵌合を利用して、駆動源に人力やモーターを利用するものでも良く、本実施形態に限定するものではない。また、偏倚手段5及び圧縮手段6の流体シリンダ42,45を制御する制御装置を図示していないが、夫々の流体シリンダ42,45を任意に発停及び伸縮できるものであれば良い。
【0029】
次に、上記のように構成された加工装置30を用いて、軸肥大加工を行う手順を第2図により説明する。
まず、夫々の保持体2,2に螺着しているネジ部材14,14を多少の捩じ込み代を残した状態で螺着し、一方の保持体2は連結具32に挿通しチャックTに狭持させる。このとき、連結具32を保持体2の顎部2bに接当させ、チャックTの爪に連結具32が接触しないように一定間隔離間させておく。そして、他方の保持体2は偏倚ブロック41に挿通し、偏倚手段5を操作し、互いの保持体2,2の軸心が同一直線上に位置するように配置する。
次に、軸肥大加工ユニット31をベッドB後方側に移動させ、両保持体2,2間にワークW長程度の間隔をあけ、何れか一方の保持体2にワークWを保持させる。然る後、軸肥大加工ユニット31をチャックT側に移動させ、他方の保持体2にワークWを保持させるとともに、両保持体2,2のネジ部材14,14にワークWを接当させる。このとき両保持体2,2間にワークWの任意の位置(軸肥大させる位置)がくるように保持体2,2の長さを選択するとともに、両保持体2,2間には適当な間隔をとっておく。なお、この間隔はワークWの軸径及び成形する肥大部の大きさによって異なるものであり、最適なものを選択すれば良い。
次に、連結具32と連結板37の互いのネジ部32b,37aを螺着させる。然る後、軸肥大加工ユニット31を後方に移動させてチャックT側に狭持させた保持体2の顎部2bに連結具32を接触させた状態として、ワークWのセッティングが完了する((a)図参照。)。
次に、ワークWに圧縮圧力を作用させるのであるが、一方の保持体2は連結具32により圧縮圧力の反力を保持されるものであり、この連結具32は軸肥大加工ユニット31の側部板36,36に固着された連結板37に螺着され、また、他方の保持体2にかかる圧縮圧力の反力は偏倚ブロック41を介して、偏倚プレート40,40及び摺動プレート39,39そして圧縮手段6を介して側部板36,36が固着されている摺動板34に作用するため、実質的に旋盤Lの駆動回転部50である主軸スピンドルSにスラスト荷重がほとんど作用しない構成となっている。
【0030】
次に、圧縮手段6の流体シリンダ45を伸長させることにより、チャックT側の保持体2に軸肥大加工ユニット31側の保持体2が接近し、ワークWに圧縮圧力が作用される。このとき、圧縮圧力の反力はチャックT側の保持体2の顎部2bより連結具32を介して連結板37、側部板36,36に伝えられる。よって、上述したように軸肥大加工ユニット31に設けた連結板37とチャックT側に設けた連結具32を螺着し連結することにより、両保持体2,2が軸肥大加工ユニット31の側部板36,36に支持された構成となり、実質的に旋盤Lの主軸スピンドルSに圧縮圧力の反力であるスラスト荷重がほとんど伝わらない。次に、偏倚手段5の流体シリンダ42を伸長させて、偏倚プレート40,40の偏倚軸40a,40aを基端として偏倚ブロック41及び保持体2をチャックT側の保持体2の軸心に対して偏倚させることでワークWを曲げる。このとき、作用させる圧縮圧力は曲げの外側に発生する引張り応力を相殺し、圧縮圧力となる程度の圧力であり、曲げ角度はワークWの軸径によって異なるが、6度程度で良い。これら圧縮と曲げにより、ワークWの曲げの内側を最大肥大部とした拡径方向の塑性変形を曲げ部の周りに生じさせ、肥大部が成形される軸肥大工程を行う((c)図参照。)。
然る後、圧縮圧力を作用させた状態で偏倚手段5の流体シリンダ42を縮め、チャックT側の保持体2の軸心と同一直線上になるまで保持体2の偏倚を復帰させ、ワークWを真直化し、圧縮手段6の流体シリンダ45を縮めて、チャックT側の保持体2より軸肥大加工ユニット31側の保持体2を離間させて圧縮圧力を解放する((d)図参照。)。
次に、旋盤Lの主軸スピンドルSを回転させ、チャックTに狭持させた保持体2を回転させるとともに、ワークWを介して伝達される回転力にて軸肥大加工ユニット31側の保持体2を従動回転させ、ワークWの肥大が進んでいない部位を偏倚による曲げの内側になるまでワークWを回転させて、相対的にワークWを曲げる方向を変える((e)図及び(f)図参照。)。そして、再び圧縮手段6を作動させて圧縮圧力を作用させ、偏倚手段5を作動させてワークWを曲げ、ワークWを先の軸肥大工程にて肥大の進んでいない部位を曲げの内側に位置させた状態で、ワークWを肥大させる軸肥大工程を行う((g)図及び(h)図参照。)。
そして、圧縮圧力をワークWに作用させた状態で軸肥大加工ユニット31側の保持体2の偏倚を復帰させ、ワークWを真直化し、ワークWに作用させている圧縮圧力を解放した後に、ワークWの肥大が進んでいない部位が偏倚による曲げの内側になるまでワークWを回転させて、相対的にワークWを曲げる方向を変える((i)図及び(j)図参照。)。
この工程を繰り返すことにより、ワークWの中間部任意の位置に所望の肥大部を成形できる((k)図参照。)。つまり、ワークWに肥大部を成形させるにあたり、常時ワークWを回転させるとともに軸肥大工程を行うのではなく、軸肥大工程を終えて、一度、曲げ力と圧縮圧力を解放した後にワークWを回転させて相対的にワークWを曲げる方向を変え、再び軸肥大工程を行う工程を繰り返す軸肥大加工法を行うことで、ワークWの中間部任意の位置に所望の肥大部を成形できるとともに、駆動回転部50の稼動中にスラスト荷重が発生しないので、互いに対向する一対の保持体2,2を回転可能かつ圧縮圧力の反力を保持する構成とする必要がなくなり、簡易な構成により保持体2,2を保持する構成の加工装置30とでき、よりコンパクトに構成することができる。また、駆動回転部50側の保持体2と軸肥大加工ユニット31を連結することにて、圧縮圧力は軸肥大工ユニット31に備えられた保持体2よりワークWに伝達されるとともに、その反力は軸肥大加工ユニット31より駆動回転部50側の保持体2に伝達され、圧縮圧力及びその反力をワークWに集中でき、実質的に駆動回転部50にスラスト荷重を伝えない加工装置30を構成とすることができる。
【0031】
そして、所望の肥大部が得られたら軸肥大工程を完了し、圧縮圧力をワークWに作用させた状態で軸肥大加工ユニット31側の保持体2の偏倚を復元し、両保持体の2,2の軸心を同一直線上に位置させワークWを真直化し、ワークWに作用させている圧縮圧力を解放する。次に、チャックTの拘束を緩め、チャックTと軸肥大加工ユニット31の間に、ワークW長と二つの保持体2,2を合わせた長さ以上の間隔をとるように軸肥大加工ユニット31を後方へ摺動させて、チャックT側の保持体2をチャックTより取り外す。そして、連結具32と連結板37の螺着を解き、偏倚ブロック41より保持体2を取り外す。次に、両保持体2,2に夫々設けてあるネジ部材14,14を捩じ込み、ワークWを保持体2,2より少し押し出すと、保持体2,2のネジ部材14,14他端部に設けてあるテーパ部2c,2cに隙間ができ、簡単にワークWを保持体2から取り外すことができる。そして、ワークWを取り外すと軸肥大加工は完了する。
また、所望の肥大部が得られ軸肥大工程を完了し、ワークWに偏倚手段5にて所望の角度だけ曲げを加えた後に、ワークWに作用させている圧縮圧力を解放する。次に、チャックTの拘束を緩め、チャックTと軸肥大加工ユニット31の間に、ワークW長と二つの保持体2,2を合わせた長さ以上の間隔をとるように軸肥大加工ユニット31を後方へ摺動させて、チャックT側の保持体2をチャックTより取り外す。そして、連結具32と連結板37の螺着を解き、偏倚ブロック41より保持体2を取り外す。次に、両保持体2,2に夫々設けてあるネジ部材14,14を捩じ込み、ワークWを保持体2,2より少し押し出すと、保持体2,2のネジ部材14,14他端部に設けてあるテーパ部2c,2cに隙間ができ、簡単にワークWを保持体2から取り外すことができる。そして、ワークWを取り外すと軸肥大加工は完了し、所望の角度曲がった軸心と肥大部を持つワークWを得ることができる。
【0032】
第二の実施形態にかかる軸肥大加工法を行うにあたり、ワークWを回転させる角度を最初の曲げ方向より、例えば180度ごとにするとワークWの肥大部径方向の断面視において楕円状の肥大部が形成でき、曲げ角度を細かくしていくほど肥大部径方向の断面視において、より真円に近い肥大部を成形できる。また、ワークWの回転させる角度を任意に選択することにより、様々な形状の肥大部を成形することができる。
【0033】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、軸肥大させるワークWを適当な間隔離間させた状態で保持体2,2に保持させ、ワークWにワークWの軸心方向の圧縮圧力を作用させるとともに、両保持体2,2間のワークWに曲げを作用させて、両保持体2,2間のワークWにワークWの曲げ内側が最大拡径部となる拡径方向の塑性変形を生じさせる。然る後、両保持体2,2間のワークWに別の方向の曲げを作用させ、最大肥大部をワークWの別の位置に生じさせる工程を繰り返すことにより、ワークWを回転させずにワークWの中間部任意の位置に所望の肥大部を成形させることができる。最後に曲げ戻ししてワークWを真直化、あるいは所望の角度になるようにワークWを曲げ、保持体2,2よりワークWを取り外すと加工は完了し、ワークWの中間部任意の位置に所望の肥大部を成形させた所望の形状のワークWを得ることができる。よって、回転可能な保持体2,2の構成とする必要がなくなり、なおかつ、互いに対向する一対の保持体2,2の夫々において圧縮圧力の反力であるスラスト荷重を保持するためのスラスト軸受等を必要とせず両保持体2,2を簡易な構成により保持する加工装置1とすることできる。また、偏倚させる方向を任意に選択することにより、肥大部の拡径方向の断面視において様々な形状の肥大部を成形できる。
また、請求項2の発明によれば、軸肥大させるワークWを適当な間隔離間させた状態で保持体2,2に保持させ、ワークWにワークWの軸心方向の圧縮圧力を作用させるとともに、保持体2,2間のワークWに曲げを作用させて、両保持体2,2間のワークWにワークWの曲げ内側が最大拡径部となる拡径方向の塑性変形を生じさせる。然る後、曲げ戻ししてワークWを真直化し、圧縮圧力と曲げ力を解放した後に、ワークWを回転させ相対的にワークWの曲げ方向を変えてワークWを曲げ、最大肥大部をワークWの別の位置に生じさせる工程を繰り返すことにより、ワークWに所望の肥大部を成形させることができる。最後に曲げ戻ししてワークWを真直化、あるいは所望の角度になるようにワークWを曲げ、保持体2,2よりワークWを取り外すと加工は完了し、ワークWの中間部任意の位置に所望の肥大部を成形させた所望の形状のワークWを得ることができる。よって、ワークWを回転させる際にスラスト荷重が発生しないようにでき、互いに対向する一対の保持体2,2の夫々において圧縮圧力の反力であるスラスト荷重を受けるためのスラスト軸受等を備える必要がなくなるとともに、該保持体2,2を回転可能かつ圧縮圧力の反力を保持する構成とする必要がなくなり、簡易な構成により保持体2,2を保持する構成の加工装置30とすることができる。また、ワークWを回転させる角度を任意に選択することにより、肥大部の拡径方向の断面視において様々な形状の肥大部を成形できる。
さらに、請求項3の発明によれば、駆動回転部50側の保持体2と軸肥大加工ユニット31を連結及び分離可能とし、駆動回転部50側の保持体2と軸肥大加工ユニット31を連結することにより、一体的な構成となった駆動回転部50側の保持体2と軸肥大加工ユニット31内にて圧縮圧力の反力を保持できる。また、請求項2にかかる軸肥大加工法を採用したことにより、互いに対向する一対の保持体2,2を回転可能かつ圧縮圧力の反力を保持する構成とする必要がなくなり、保持体2,2を狭持あるいは保持体2,2を保持する部位に設けた空孔部に保持体2,2を挿通するだけの簡易な構成の加工装置30とすることができる。よって、実質的に回転駆動部50側に圧縮圧力の反力であるスラスト荷重が伝わらない構成となるとともに、加工装置30をよりコンパクトに構成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる軸肥大加工法の一実施形態を示す加工順序説明図
(a)図はワークの装填状態を示す説明図
(b)図はワークに圧縮圧力を作用させた状態を示す説明図
(c)図は(b)図の状態に併せて第一の偏倚手段による曲げを作用させた状態を示す説明図
(d)図は(c)図の状態からワークを真直化させる状態を示す説明図
(e)図は(d)図の状態から(c)図の逆方向に第一の偏倚手段による曲げを作用させた状態を示す説明図
(f)図は(e)図の状態からワークを真直化させる状態を示す説明図
(g)図は(f)図の状態から第二の偏倚手段による曲げを作用させた状態を示す説明図
(h)図は(g)図の状態からワークを真直化させる状態を示す説明図
(i)図は(d)図の状態から(g)図の逆方向に第二の偏倚手段による曲げを作用させた状態を示す説明図
(j)図は(e)図の状態からワークを真直化させる状態を示す説明図
(k)図は(c)図乃至(j)図を繰り返し行い、ワークに所望の拡径部を形成させた状態を示す説明図
【図2】本発明にかかる軸肥大加工法の別の実施形態を示す加工順序説明図
(a)図はワークの装填状態を示す説明図
(b)図はワークに圧縮圧力を作用させた状態示す説明図
(c)図は(b)図の状態に併せて偏倚手段による曲げを作用させた状態を示す説明図
(d)図は(c)図の状態からワークを真直化させる状態を示す説明図
(e)図は(d)図の状態からワークを回転させる状態を示す説明図
(f)図はワークの肥大が進んでいない部位が曲げの内側になる位置まで、ワークを回転させた状態を示す説明図
(g)図は(f)図の状態からワークに圧縮圧力を作用させた状態を示す説明図
(h)図は(f)図の状態に併せて偏倚手段による曲げを作用させた状態を示す説明図
(i)図は(h)図の状態からワークを真直化させる状態を示す説明図
(j)図は(h)図の状態からワークを回転させる状態を示す説明図
(k)図はワークの曲げ方向を変え軸肥大工程を繰り返し行い、ワークに所望の肥大部を形成させた状態を示す説明図
【図3】第一の実施形態における加工装置を示す全体側面図
【図4】その加工装置の固定保持体を示す正面図
【図5】その加工装置の固定保持体を示す側断面図
【図6】その加工装置の軸肥大加工ユニットのベッドへの取付け状態を示す部分正断面図
【図7】その加工装置の軸肥大加工ユニットを示す側断面図
【図8】その加工装置の軸肥大加工ユニットを示す平面図
【図9】第一の偏倚手段の作用を示す説明図
【図10】第一の実施形態における加工装置の第二の偏倚手段の作用説明図
【図11】第二の実施形態における加工装置を示す全体側面図
【図12】旋盤の主軸部に取付けられた保持体を示す要部側断面図
【図13】第二の実施形態における加工装置の軸肥大加工ユニットのベッドへの取付け状態を示す部分背断面図
【図14】第二の実施形態における加工装置の軸肥大加工ユニットの側断面図
【図15】第二の実施形態における加工装置の軸肥大加工ユニットを示す部分平断面図
【図16】第二の実施形態における加工装置の軸肥大加工ユニットを示す平断面図
【図17】第二の実施形態における加工装置の偏倚手段の作用説明図
【符号の説明】
1 加工装置
2 保持体
5 偏倚手段
6 圧縮手段
30 加工装置
31 軸肥大加工ユニット
32 連結具
50 駆動回転部
W ワーク

Claims (3)

  1. 互いに対向する一対の保持体を適当な間隔離間させた状態でワークである直線状の金属軸材あるいは金属管を保持し、少なくとも前記両保持体間のワークにワークの軸心方向の圧縮圧力を作用させるとともに、ワークの圧縮方向と交差する方向の曲げ力をワークに作用させることにより、少なくとも両保持体間のワークに圧縮圧力を加えながら曲げを作用させ、両保持体間のワークにワークの曲げ内側が最大肥大部となる拡径方向の塑性変形を生じさせ、然る後、ワークの曲げ方向を変えてワークを曲げることにより、最大肥大部をワークの別の位置に生じさせる工程を繰り返すことで、徐々に両保持体間のワーク外周部に肥大部を累積させて所望の肥大部を成形させ、最後に曲げ戻ししてワークを真直化、あるいは所望の角度になるようにワークを曲げることで、ワークの中間部任意の位置に所望の肥大部を成形させたワークを得ることができることを特徴とする軸肥大加工法。
  2. 互いに対向する一対の保持体を適当な間隔離間させた状態でワークである直線状の金属軸材あるいは金属管を保持し、少なくとも前記両保持体間のワークにワークの軸心方向の圧縮圧力を作用させるとともに、ワークの圧縮方向と交差する方向の曲げ力をワークに作用させることにより、少なくとも両保持体間のワークに圧縮圧力を加えながら曲げを作用させ、両保持体間のワークにワークの曲げ内側が最大肥大部となる拡径方向の塑性変形を生じさせ、然る後、曲げ戻ししてワークを真直化し、曲げ力と圧縮圧力を解放した後にワークに軸周りの回転を加えることにより相対的にワークの曲げの方向を変えてワークを曲げることにより、最大肥大部をワークの別の位置に生じさせる工程を繰り返すことにで、徐々に肥大部を累積させて所望の肥大部を成形させ、最後に曲げ戻ししてワークを真直化、あるいは所望の角度になるようにワークを曲げることで、ワークの中間部任意の位置に所望の肥大部を成形させたワークを得ることができることを特徴とする軸肥大加工法。
  3. ワークである直線状の金属軸材あるいは金属管を適当な間隔をおいて保持する一対の保持体の一方を備え、該保持体を他方の保持体の軸心に対して偏倚させワークを曲げる偏倚手段と少なくとも前記両保持体間のワークにワークの軸心方向の圧縮圧力を作用させる圧縮手段を備えてなる軸肥大加工ユニットと、ワークをワークの軸心周りに回転させる駆動回転部に備えられる他方の保持体とから構成される軸肥大加工装置において、軸肥大加工ユニットと駆動回転部側の保持体を連結及び分離することを可能とし、軸肥大加工ユニットと駆動回転部側の保持体を連結することにより、一体的な構成となった駆動回転部側の保持体と軸肥大加工ユニット内にて圧縮圧力の反力を保持できる構成とし、なおかつ、夫々の保持体を狭持あるいは保持体を保持する部位に設けた空孔部に保持体を挿通するだけの簡易な構成の加工装置としたことを特徴とする軸肥大加工装置。
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