JP3755948B2 - 粉砕,混合および混練を行う処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,被処理体の粉砕,混合および混練の何れかの処理,もしくはそれらの任意の組合わせの処理を一緒に行うことができる新規な処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来,例えば金属や鉱物などといった被処理体を粉砕する装置としては,ボールミル,ジェットミル,振動ミル,ハンマークラッシャなどが公知である。また,混合する装置としては,例えば羽根車を回転させて被処理体を攪拌して混合するミキサーが公知である。更に,被処理体を混練する装置としては,例えばニーダーなどといった混練機が公知である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが,これら従来のものはいずれもバッチ式に被処理体を粉砕,混合もしくは混練するものがほとんどであり,例えば搬送ラインの途中などにおいて被処理体を連続的に処理できるような装置は知られていない。また,従来のものは粉砕,混合もしくは混練の何れかの処理のみを行うものであって,それらの処理を二つ以上一緒に行うようなことは一般的になされていない。
【0004】
従って本発明の目的は,被処理体を連続的に粉砕,混合もしくは混練することが可能であり,しかもそれらの処理を一緒に行うこともできるような新規な処理装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば,上流側に被処理体の投入口を有し,下流側に搬出口を有する円筒容器と,該円筒容器と中心軸を一致させて円筒容器内に配置された回転軸と,該回転軸に互いに離れた状態で重ねて取り付けられ,それぞれの周面が円筒容器の内面と所定の隙間を保持した状態で回転駆動されるように設けられた複数枚の円盤形状のブレードと,円筒容器内においてこれら複数枚のブレードで仕切られることによって形成された各処理空間にそれぞれ配置された多数のボールとを備えた処理装置であって,前記各処理空間に配置されたボールの直径が,上流側の処理空間に配置されたボールの直径に比べて下流側の処理空間に配置されたボールの直径が小さくなっていて,最も下流側に配置されたブレードの裏面を除き,前記ブレードの表裏面がいずれも凹凸面に形成され,前記ブレードの表裏面に形成された凹凸面は,略扇形状をなす平面部を円周に沿って複数並べた構成であり,かつ,ブレードの表面に形成された平面部は中心から周縁に向かって次第に下流側に傾斜し,ブレードの裏面に形成された平面部は中心から周縁に向かって次第に上流側に傾斜していることを特徴とする,処理装置が提供される。
【0006】
この処理装置において,投入口を介して円筒容器内に供給された被処理体は,先ず最も上流側の処理空間内に供給される。そして,該処理空間内においてブレードの回転に伴って運動させられているボールにより,粉砕,混合もしくは混練される。こうして最も上流側の処理空間内にてある程度まで粉砕,混合もしくは混練された被処理体は,円筒容器の内面とブレードの周面との間に形成されている隙間を通って次の処理空間内に供給されていく。そして,再び該処理空間内においてブレードの回転に伴って運動させられているボールにより,更に粉砕,混合もしくは混練される。このようにして,被処理体は順次下流側の処理空間に供給されながら,各処理空間内のボールによって連続的に粉砕,混合もしくは混練され,最終的に処理の終了した被処理体が,円筒容器の搬出口から搬出される。
【0007】
ここで,各処理空間に配置されたボールの直径は,上流側の処理空間に配置されたボールの直径に比べて下流側の処理空間に配置されたボールの直径が小さくなっているので,被処理体は,上流側の処理空間においては相対的に直径の大きいボールによって比較的粗く粉砕,混合もしくは混練され,下流側の処理空間においては相対的に直径の小さいボールによって比較的細かく粉砕され,もしくは比較的綿密に混合あるいは混練されることになる。かくして,円筒容器内に形成された各処理空間を通過する間に,被処理体は徐々に細かく粉砕されていき,もしくは徐々に綿密に混合あるいは混練されていき,十分に処理された被処理体が円筒容器の搬出口から搬出されることとなる。
【0008】
各処理空間内に配置されたボールを確実に回転駆動させることができるように,最も下流側に配置されたブレードの裏面を除いて,前記ブレードの表裏面をいずれも凹凸面に形成されている。その場合,前記ブレードの表裏面に形成された凹凸面は,略扇形状をなす平面部を円周に沿って複数並べた構成とし,かつ,ブレードの表面に形成された平面部は中心から周縁に向かって次第に下流側に傾斜し,ブレードの裏面に形成された平面部は中心から周縁に向かって次第に上流側に傾斜しているように構成することができる。また,処理空間内におけるボールの運動が円滑に行われるためには,処理空間を挟んで対向する上流側のブレードの裏面に形成された平面部と下流側のブレードの表面に形成された平面部は互い違いに配置するのがよい。更に,前記ブレードの表面に形成された複数の平面部同士の間に,ブレードの回転に伴ってボールを中心方向に駆動するガイドを設けることもできる。
【0009】
また,最も下流側に配置されたブレードの裏面にはV字形状の溝を設けるのが良い。そうすれば,各処理空間を通過して処理された被処理体が最も下流側に配置されたブレードの裏面に付着することを防止でき,処理の終了した被処理体が円筒容器の搬出口から円滑に搬出されるようになる。
【0010】
また,各処理空間内に配置されたボールをより確実に回転駆動させることができるように,各処理空間において露出する回転軸の周面も凹凸面に形成するのが良い。
【0011】
その他,特に樹脂などの被処理体を加熱して混練を行うような場合には,前記円筒容器の外周面に,円筒容器内に投入された被処理体を加熱するためのヒータを装着することが望ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下,本発明の好ましい実施の形態を,図面に基づいて説明する。図1は,本発明の実施の形態にかかる処理装置1の正面図である。
【0013】
フレーム2によって円筒容器3が鉛直に立てられた姿勢で固定されている。円筒容器3は中空の円筒形状を有しており,図1ではその内部を説明するために円筒容器3を切断して示している。この円筒容器3の上端が被処理体(ワーク)を投入するための投入口4になっており,下端が被処理体を搬出するための搬出口5になっている。投入口4には,円筒容器3内に被処理体を連続的に供給するためのフィーダ6が配置されている。そして,図示の例では,円筒容器3内において上から下に向かって被処理体が流れる構成になっている。
【0014】
円筒容器3の内部には,円筒容器3と中心軸を一致させるようにして回転軸10が配置されている。回転軸10の上方は円筒容器3の上端から突出しており,回転軸10はフレーム2に固定された軸受9によって回転自在に支持されている。また,回転軸10の上端部11は,軸受9よりも更に上方に突出するように延長されており,フレーム2の背部に固定されたモータ12の回転動力がベルト13を介してこの上端部11に伝達されることにより,回転軸10が回転するようになっている。
【0015】
円筒容器3の内部において,回転軸10には複数枚の円盤形状のブレードが互いに離れた状態で重ねて取り付けられており,図示の例では,上から順に第1ブレード15,第2ブレード16及び第3ブレード17が取り付けられている。これら第1ブレード15,第2ブレード16及び第3ブレード17の周面と円筒容器3の内面との間には所定の隙間18,19,20がそれぞれ形成されており,前述のモータ12の稼働によってこれら第1ブレード15,第2ブレード16及び第3ブレード17が隙間18,19,20を保持した状態で回転駆動される構成になっている。これら隙間18,19,20の幅は隙間18が最も広く,隙間19,20の順に次第に狭くなっている。
【0016】
また,円筒容器3の内部には,これら第1ブレード15,第2ブレード16及び第3ブレード17で仕切られることによって,複数の処理空間が形成されており,図示の例では,上から順に第1処理空間21,第2処理空間22及び第3処理空間23が形成されている。円筒容器3の上端を塞ぐように配置された蓋部材25が回転軸10に取り付けられており,この蓋部材25の裏面(図示の例では下面)と第1ブレード15の表面(図示の例では上面)の間の空間が第1処理空間21になっている。また,第1ブレード15の裏面(図示の例では下面)と第2ブレード16の表面(図示の例では上面)の間の空間が第2処理空間22になっている。また,第2ブレード16の裏面(図示の例では下面)と第3ブレード17の表面(図示の例では上面)の間の空間が第3処理空間23になっている。
【0017】
これら第1処理空間21,第2処理空間22及び第3処理空間23には,多数のボール26,27,28がそれぞれ配置されている。ボール26,27,28のざいりょうとしては,例えばジルコニウム,アルミナなどのセラミックス,鋼球などが採用される。そして,これら各処理空間21,22,23に配置されたボール26,27,28の直径は,上流側の処理空間に配置されたボールの直径に比べて下流側の処理空間に配置されたボールの直径が小さい関係になっており,具体的には,図示の形態においては,ボール26の直径が最も大きく,ボール27,28の順に次第に直径が小さくなっている。
【0018】
また,先に説明したブレード周面と円筒容器3の内面との間の隙間18,19,20の幅とこれらボール26,27,28の直径は,ボール26の直径が隙間18の幅よりも大きく,ボール27の直径は隙間18の幅よりも小さいが隙間19の幅よりも大きく,ボール28の直径は隙間19の幅よりも小さいが隙間20の幅よりも大きい関係になっている。従って,図1に示したように,円筒容器3を垂直に立てた姿勢としても,ボール26は隙間18を通ることができないので,ボール26は第1処理空間21内に保持され,同様にボール27は隙間19を通ることができないので,ボール27は第2処理空間22内に保持され,同様にボール28は隙間20を通ることができないので,ボール28は第3処理空間23内に保持されることになる。なお,処理装置1を組み立てる際には,先に円筒容器3に回転軸10を設置した状態で第1処理空間21内にボール26,27,28を一緒に投入するだけで良い。そうすれば,ボール26はそのまま第1処理空間21内に保持され,ボール27は隙間18を通って第2処理空間22内に保持され,ボール28は隙間18,19を通って第3処理空間23内に保持されることになるので,製作が容易である。
【0019】
また,回転軸10の下端は,第3ブレード17よりも下流側(図示の例では下側)に突出しており,その周面は後述するように被処理体を円筒容器3の下端の搬出口5に向かって押し出すためのフィーダ30に形成されている。
【0020】
更に,円筒容器3の外周面にはヒータ31が装着されており,後述するように,円筒容器3内に樹脂等の被処理体を投入して混練処理を行う際には,被処理体を加熱することができるように構成されている。
【0021】
次に,図2は回転軸10に取り付けられた第1ブレード15,第2ブレード16及び第3ブレード17を拡大して示した正面図である。この図2に示すように,最も下流側(図示の例では最も下側)に配置された第3ブレード17の裏面を除き,これら第1ブレード15,第2ブレード16及び第3ブレード17の表裏面をいずれも凹凸面に形成することにより,ブレード15,16,17の回転に伴って各処理空間21,22,23内に配置されたボール26,27,28に上下運動を与えながら,確実にボール26,27,28を回転駆動できる構成になっている。
【0022】
図3に示すように,第1ブレード15,第2ブレード16及び第3ブレード17の表面(図示の例では上面)は,いずれも略扇形状をなす平面部35を円周に沿って複数並べた構成であり,図示の例では合計で六箇所に平面部35が配置されている。これら平面部35はいずれも中心から周縁に向かって次第に下流側に(図示の例では下側に次第に低くなるように)傾斜して設けられている。このようにブレード15,16,17の表面を周縁に向かって次第に低く傾斜した平面部35で構成することにより,平面部35上においてボール26,27,28を傾斜に沿って転動させることができ,ボール26,27,28に対して強制的に外方に移動する力を加えられる構成になっている。
【0023】
また,このようにブレード15,16,17の表面において形成されている平面部35同士の間には,各処理空間21,22,23内においてブレード15,16,17の回転に伴ってボール26,27,28を中心方向に駆動するガイド36が設けられている。これらガイド36の前面36’はいずれも法線方向37に対して斜めになっており,図示の例では,ブレード15,16,17が図3中時計回転方向に回転するのに対して,ガイド36の前面36’が回転軸10の中心に近付くほど反時計回転方向に後退していく形状になっている。このようなガイド36が設けられていることによって,ガイド36の前面36’に当接したボール26,27,28をブレード15,16,17の回転に伴って回転軸10の中心方向に向けて転動させることができ,ボール26,27,28に対して強制的に内方に移動する力を加えられる構成になっている。
【0024】
また,図4に示すように,最も下流側に配置された第3ブレード17の裏面を除き,第1ブレード15及び第2ブレード16の裏面(図示の例では下面)も,いずれも略扇形状をなす平面部40を円周に沿って複数並べた構成であり,表面と同様に各ブレード15,16の裏面にも合計で六箇所づつに平面部40がそれぞれ配置されている。これら裏面の平面部40はいずれも中心から周縁に向かって次第に上流側に(図示の例では下側に次第に高くなるように)傾斜して設けられている。これらブレード15,16の裏面において形成されている平面部40同士の間は,凸状の角部41に形成されており,各処理空間22,23内においてブレード15,16の回転に伴ってボール27,28を角部41により下方に押し下げる力を加えられる構成になっている。
【0025】
ただし,例えば第2処理空間22を例にして説明すると,図2に示すように,第2処理空間22を挟んで上下に対向している上流側の第1ブレード15の裏面に形成された平面部40と下流側の第2ブレード16の表面に形成された平面部35は互い違いに配置されており,角部41が平面部35のほぼ中央の上方に位置し,ガイド36が平面部40のほぼ中央の下方に位置するように構成されている。このように第2処理空間22を挟んで上下に対向している平面部40と平面部35を互い違いに配置することにより,角部41とガイド36の間にボール27や被処理体が挟まった状態になることを防いでいる。なお,同様に第3処理空間23を挟んで上下に対向している第2ブレード16の裏面に形成された平面部40と第3ブレード17の表面に形成された平面部35も互い違いに配置され,これにより,第3処理空間23内においても角部41とガイド36の間にボール27や被処理体が挟まった状態になることを防いでいる。
【0026】
また,最も下流側に配置されている第3ブレード17の裏面には,図5に示すように,V字形状の溝45が,合計で三箇所に設けられている。
【0027】
更に,図2に示すように,円筒容器3の内部において各処理空間21,22,23に露出する回転軸10の周面も凹凸面に形成することにより,ボール26,27,28を更に確実に回転駆動できる構成になっている。図示の例では,回転軸10の周面は六角柱形状に形成されている。
【0028】
さて,以上のように構成された処理装置1において,先ず粉砕もしくは混合を行う場合について説明する。
【0029】
先ず,モータ12を稼働させて回転軸10を回転させ,各ブレード15,16,17を円筒容器3内にて回転させる。これにより,各処理空間21,22,23内においてボール26,27,28が回転を開始し,更に,各ブレード15,16,17の表裏面や回転軸10の周面に形成された凹凸面によって強制的に上下運動させられると共に,平面部35の傾斜やガイド36に沿って転動させられることにより,各処理空間21,22,23内においてボール26,27,28は回転をしながら三次元的な運動を開始する。なお,粉砕や混合を行う場合は,原則としてヒータ31による加熱は行わない。
【0030】
そして,このように各処理空間21,22,23内においてボール26,27,28を十分に運動させた状態で,フィーダ6を用いることにより,投入口4から円筒容器3の内部に粉砕もしくは混合しようとする被処理体を投入する。なお,粉砕する被処理体としては,例えば金属や鉱物,ガラス,プラスチックなどといった種々のものが用いられる。また,混合する場合は,それら被処理体の粉体を二種以上円筒容器3の内部に投入する。更に,被処理体を粉砕しながら混合も一緒に行うこともできる。
【0031】
こうして円筒容器3内に供給された被処理体は,先ず最も上流側に位置している第1処理空間21内に供給される。そして,この第1処理空間21内において,第1ブレード15の回転に伴って運動しているボール26により,被処理体が粉砕もしくは混合される。ここで,第1処理空間21内に配置されているボール26の直径は,第1処理空間21よりも下流側の処理空間22,23内に配置されているボール27,28の直径に比べて大きく設定されているので,第1処理空間21においては,被処理体は比較的粗く粉砕もしくは混合されることになる。
【0032】
こうして第1処理空間21内にてある程度まで粉砕もしくは混合された被処理体は,円筒容器3の内面と第1ブレード15の周面との間に形成されている隙間18を通って下流側に移動し,次の第2処理空間22内に供給されていく。そして,再び第2処理空間22内において第2ブレード16の回転に伴って運動しているボール27により,更に粉砕もしくは混合される。ここで,第2処理空間22内に配置されているボール27の直径は,先の第1処理空間21に配置されているボール26の直径に比べて小さく設定されているので,この第2処理空間22では,先に第1処理空間21において予め粗く粉砕もしくは混合された被処理体を,更に細かく粉砕し,もしくは更に綿密に混合することになる。
【0033】
こうして第2処理空間22内にて更に細かく粉砕され,もしくは更に綿密に混合された被処理体は,円筒容器3の内面と第2ブレード16の周面との間に形成されている隙間19を通って下流側に移動し,次の第3処理空間23内に供給されていく。そして,再び第3処理空間23内において第3ブレード17の回転に伴って運動しているボール28により,更に十分に粉砕もしくは混合される。ここで,第3処理空間23内に配置されているボール28の直径は,先の第2処理空間22に配置されているボール27の直径に比べて更に小さく設定されているので,この第3処理空間23では,先に第2処理空間22において細かく粉砕され,もしくは綿密に混合された被処理体を,更に十分に粉砕もしくは混合することになる。
【0034】
こうして第3処理空間23内にて十分に粉砕もしくは混合された被処理体は,円筒容器3の内面と第3ブレード17の周面との間に形成されている隙間20を通って下流側に移動する。そして,回転軸10下端のフィーダ30により下流側に押し出され,円筒容器3の下端の搬出口5から順次搬出される。なお,第3ブレード17の裏面に設けられたV字形状の溝45に空気が入り込むことにより,被処理体が第3ブレード17の裏面に付着することを防止でき,処理の終了した被処理体は,第3ブレード17の裏面付近に滞ることなく搬出口5から円滑に搬出される。
【0035】
次に,この処理装置1を用いて混練を行う場合について説明する。
【0036】
先ず,先と同様にモータ12を稼働させて各ブレード15,16,17を回転させ,各処理空間21,22,23内にてボール26,27,28の運動を開始させる。また,ヒータ31による加熱も開始する。なお,混練を行う場合は,粉砕や混合を行う場合に比べて各ブレード15,16,17を比較的遅い回転速度で回転させることが好ましい。そして,フィーダ6を用いて投入口4から円筒容器3の内部に混練しようとする被処理体を投入する。なお,混練する被処理体としては,例えばプラスチックや樹脂などといった種々のものが用いられる。また,それらに他の例えば金属粉体などの被処理体を一緒に円筒容器3の内部に投入し,混練と混合を同時に行うこともできる。
【0037】
こうして円筒容器3内に供給された被処理体は,先ず最も上流側に位置している第1処理空間21内に供給される。そして,ヒータ31の熱で昇温されながらボール26の運動によって徐々に混練されていく。こうして,第1処理空間21内において加熱を開始された被処理体は,比較的直径の大きいボール26によって先ず粗く混練された状態になる。
【0038】
そして,第1処理空間21内にてある程度まで混練された被処理体は,隙間18を通って次の第2処理空間22内に供給され,再び第2処理空間22内において,ヒータ31の熱で昇温されながら,ボール27により更に混練される。こうして先に第1処理空間21において予め粗く混練された被処理体は,第2処理空間22内にて,ボール26よりも直径が小さいボール27によって更に綿密に混練されていく。
【0039】
こうして第2処理空間22内にて更に綿密に混練された被処理体は,次に,隙間19を通って第3処理空間23内に供給され,再び第3処理空間23内において,ヒータ31の熱で昇温されながら,ボール28により更に十分に混練される。こうして先に第2処理空間22において綿密に混合された被処理体は,第3処理空間23内にて,ボール27よりも更に直径が小さいボール28によって十分に混練された状態となる。
【0040】
こうして第3処理空間23内にて十分に混練された被処理体は,隙間20を通って下流側に移動し,フィーダ30で押し出されて,円筒容器3の下端の搬出口5から順次搬出される。
【0041】
以上説明したように,この実施の形態の処理装置1によれば,円筒容器3上端の投入口4から投入された被処理体を連続的に処理することができ,粉砕,混合もしくは混練された被処理体を連続的に得ることが可能となる。しかも,この処理装置1は,それら粉砕,混合,混練といった処理を一緒に行うことも可能である。
【0042】
この処理装置1は,連続的な処理ができるため,例えば図6に示すような被処理体の搬送ライン50の途中に設置することができ,搬送中において被処理体を適宜粉砕,混合もしくは混練することができる。また,処理装置1の下流側に配向装置51を配置して,ボンド磁石の連続製造ラインなどを構成しても良い。
【0043】
また,本発明の処理装置1は,先に図1などで説明したように鉛直に立てた姿勢で設置する他,例えば図7に示すような被処理体を横方向に搬送する搬送ライン55の途中に横向きの姿勢で設置することもできる。このように処理装置1を横向きの姿勢で設置する場合は,被処理体の流れの上流側に円筒容器3の投入口4を接続し,下流側に搬出口5を接続する。このように配置すれば,搬送ライン55中を横向きに流れる被処理体を円筒容器3内の第1処理空間21,第2処理空間22及び第3処理空間23の順に通過させながら,連続的に粉砕,混合もしくは混練することができるようになる。また,先と同様に,処理装置1の下流側に配向装置56を配置して,ボンド磁石の連続製造ラインなどを構成することも可能である。
【0044】
【発明の効果】
本発明の処理装置によれば,従来はバッチ式に処理していたものを連続的に粉砕,混合もしくは混練することが可能となる。従って,本発明によれば,搬送ラインの途中などにおいて被処理体を連続的に処理することができるようになり,例えばボンド磁石の連続的な製造ラインを構成することも可能となる。また,本発明の処理装置は,粉砕,混合もしくは混練といった処理を二つ以上同時に行うことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかる処理装置の正面図である。
【図2】回転軸に取り付けられたブレードを拡大して示した正面図である。
【図3】ブレードの上面図である。
【図4】ブレードの下面図である。
【図5】第3ブレードの下面図である。
【図6】被処理体の搬送ラインの途中に処理装置を立て向きに設置した実施の形態の説明図である。
【図7】被処理体の搬送ラインの途中に処理装置を横向きに設置した実施の形態の説明図である。
【符号の説明】
1 処理装置
3 円筒容器
4 投入口
5 搬出口
10 回転軸
12 モータ
15 第1ブレード
16 第2ブレード
17 第3ブレード
18,19,20 隙間
21 第1処理空間
22 第2処理空間
23 第3処理空間
26,27,28 ボール
31 ヒータ
Claims (6)
- 上流側に被処理体の投入口を有し,下流側に搬出口を有する円筒容器と,該円筒容器と中心軸を一致させて円筒容器内に配置された回転軸と,該回転軸に互いに離れた状態で重ねて取り付けられ,それぞれの周面が円筒容器の内面と所定の隙間を保持した状態で回転駆動されるように設けられた複数枚の円盤形状のブレードと,円筒容器内においてこれら複数枚のブレードで仕切られることによって形成された各処理空間にそれぞれ配置された多数のボールとを備えた処理装置であって,
前記各処理空間に配置されたボールの直径が,上流側の処理空間に配置されたボールの直径に比べて下流側の処理空間に配置されたボールの直径が小さくなっていて,
最も下流側に配置されたブレードの裏面を除き,前記ブレードの表裏面がいずれも凹凸面に形成され,
前記ブレードの表裏面に形成された凹凸面は,略扇形状をなす平面部を円周に沿って複数並べた構成であり,かつ,ブレードの表面に形成された平面部は中心から周縁に向かって次第に下流側に傾斜し,ブレードの裏面に形成された平面部は中心から周縁に向かって次第に上流側に傾斜していることを特徴とする,処理装置。 - 処理空間を挟んで対向する上流側のブレードの裏面に形成された平面部と下流側のブレードの表面に形成された平面部が互い違いに配置されていることを特徴とする,請求項1に記載の処理装置。
- 前記ブレードの表面に形成された複数の平面部同士の間に,ブレードの回転に伴ってボールを中心方向に駆動するガイドが設けられていることを特徴とする,請求項1または2に記載の処理装置。
- 最も下流側に配置されたブレードの裏面にV字形状の溝を設けたことを特徴とする,請求項1〜3の何れかに記載の処理装置。
- 各処理空間において露出する回転軸の周面が凹凸面に形成されていることを特徴とする,請求項1〜4の何れかに記載の処理装置。
- 前記円筒容器の外周面に,円筒容器内に投入された被処理体を加熱するためのヒータが装着されていることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の処理装置。
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