JP3755587B2 - 土砂等除去装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、浚渫現場、土木現場、下水処理場、工場内の沈殿池やピット、マンホール内等における塊状物、紐状物を含む土砂等を所望の箇所に排出することができる土砂等除去装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、上記した目的に供される土砂等除去装置として、例えば、図8に示す構成を有する吸上げポンプ150がある。この吸上げポンプ150は、実質的に、内部にモータ151駆動のインペラ152を収納すると共に、下面中央に吸引開口153を有するインペラケーシング154と、上端がインペラケーシング154の下部に連結されると共に下端が開口した有孔の筒状ストレーナ155と、モータ151の出力軸に連結した攪拌羽根取付軸156に取り付けた攪拌羽根157とから構成される。
【0003】
このような吸上げポンプ150による土砂除去作業について説明すると、モータ151の駆動によってインペラ152と攪拌羽根157が一体的に回転され、攪拌羽根157によって土砂等が攪拌されると共に、インペラ152によって攪拌土砂等がインペラケーシング154内に吸引され、その後、排出管158を通して所望の箇所まで搬出されることになる。
【0004】
ところで、通常の運転において、吸上げポンプ150の起動時には土砂等Sの堆積レベルは、筒状ストレーナ155より下方に位置するレベルDが推定されている。しかし、吸上げポンプ150の運転を一時休止することもあり、その結果、土砂等堆積レベルがレベルD以上、例えばレベルEに達することがある。
この場合、筒状ストレーナ155の内部に、筒状ストレーナ155の周壁に設けた横孔を通して土砂等が充満することになり、一方、土砂等に流動性を与えるための水も外部から供給されないため、土砂等の吸引排出作業が困難となる。
【0005】
このような問題を解決するため、特開昭54−306522号公報において、図9及び図10に示す構成を有する土砂等除去装置160が提示されている。
図示するように、土砂等除去装置160はピットAの底面に土砂等(泥土を含む)が堆積する底面161上に設置されており、その本体部を形成する吸上げポンプ162は、下端中央に土砂等吸引開口を設けるとともに周壁の一部に設けた土砂等排出開口を排出管163に連通連結するインペラケーシング164と、インペラケーシング164内に回転自在に収納されるインペラ165と、インペラ165を回転駆動する水密モータ166とを具備する。インペラケーシング164の底部には同軸的に底板167を有する筒状ストレーナ部168が連結されており、筒状ストレーナ部168の周壁169と底板167には、それぞれ、多数の横孔170と縦孔171とが全面にわたって設けられている。このような筒状ストレーナ部168は、環状機枠からなるポンプ支持台172上に載置支持されている。また、水密モータ166の出力軸に一体的に連結された攪拌羽根取付軸173には攪拌羽根174が固着されている。
【0006】
また、筒状ストレーナ部168の周壁169の一部にはピットA内に垂直に配設された吸水管175の下端開口176が連通連結されており、吸水管175の上端開口177には吸水補助ストレーナ178が取り付けられている。ここで、図10に示すように、吸水管175の下端開口176は土砂等堆積レベルBより下方位置で筒状ストレーナ部168と連通しており、吸水補助ストレーナ178は、例えば、土砂等堆積レベルBよりはるかに上方であって、停留水レベルCの近傍に位置している。
【0007】
上記した構成によって、吸上げポンプが土砂等中に埋設された場合であっても、吸上げポンプの起動時に、土砂等堆積レベルBより上方をなす土砂等堆積域外の水を吸水管を通して吸上げポンプ内に供給して土砂等を希釈でき、土砂等の吸引排出作業を円滑に行うことができると考えられる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記した土砂等除去装置160は、実際には、以下の解決すべき課題を有していた。即ち、図9及び図10に示すように、筒状ストレーナ部168は、その周壁169の全面にわたって多数の横孔170を有している、従って、吸上げポンプの運転休止中に、筒状ストレーナ部168が完全に土砂等内に埋設された場合、これらの横孔170を通して周壁169の外周に沿って存在する大量の土砂が崩落して筒状ストレーナ部168の内部に流入し、筒状ストレーナ部168の内部空間を土砂等で充満することになる。このような状態で吸上げポンプを起動すると、吸水管175より水が供給されることになるが、吸水管175より供給される水の量と比較して、吸上げポンプが吸引しようとする土砂等の量が圧倒的に多いので、未だ土砂等の濃度が高すぎ、円滑な吸引排出作業が困難となる。
【0009】
本発明はこのような課題を解決するためなされたものであり、吸上げポンプの運転休止中等のように、吸上げポンプが土砂等中に埋設しても、土砂等を確実かつ効率よく吸引排出することができる土砂等除去装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための第1の発明に係る土砂等除去装置は、内部にモータ駆動のインペラを収納すると共に、下面中央に吸引開口を有するインペラケーシングと、上端が前記インペラケーシングの下部に連設され、下端が開口し、かつ全周面にわたって無孔の筒状体から構成され、内部に水溜まり空間を形成する土砂等崩落流入防止用周壁と、上端開口が土壌堆積レベルより上方で水中に開口し、他端開口が前記水溜まり空間に連通連結されている吸水管を具備することを特徴とする。
【0011】
土砂等除去装置をこのような構成としたことにより、例えば、土砂等除去装置の一例である吸引ポンプの運転休止時に土砂等堆積レベルが上昇し、インペラケーシングが埋設する状況になったとしても、土砂等崩落流入防止用周壁の内部空間に土砂が流入するのを確実に防止することができ、水が充満した水溜り空間を確保することができる。この水溜まり空間には吸水管が連通連結されていることにより、吸上げポンプを駆動すると、吸上げポンプの下部に侵入している土砂等よりも水の方が流動性が高いため、多量の水が吸引供給され、土砂等をこの水流によって希釈しながら、確実かつ効率的に吸引排出することができる。
【0012】
また、土砂等崩落流入防止用周壁は下端開口を全面開口とすることができる。即ち、周壁の外周面に沿って存在する土砂等の崩落流入のみを阻止できれば、土砂等崩落流入防止用周壁の下端開口を全面開口しても、土砂等崩落流入防止用周壁の下方からの土砂等の流入を可及的に抑制でき、土砂等崩落流入防止用周壁内に十分な広さの水溜まり空間を確保できる。この場合、いわゆる抵抗体となる有孔底板が存在しないので、吸上げポンプを起動した後、その運転を継続することによって、より円滑かつ効率的に土砂等を希釈しながら吸引排出することができる。一方、土砂等の性質によっては、土砂等崩落流入防止用周壁の下端開口に底板を取り付け、この底板には複数の土砂等流入孔を形成することもできる。
【0013】
モータの出力軸をインペラケーシングの吸引開口及び土砂等崩落流入防止用周壁を貫通して下方に伸延させ、伸延端に攪拌羽根を固着する。この場合、攪拌羽根によって土砂等を攪拌し水と混合させることによって流動性を向上させた後に吸上げポンプによって吸引排除できるので、より吸引排出効果を高めることができる。
また、インペラケーシングの水溜まり空間側下面に紐状物巻付防止用平板を取り付けたり、攪拌羽根取付軸の外周面に紐状物巻付防止用筒を取り付けることもできる。この場合、土砂等に紐状物が混入していても、紐状物がインペラケーシングの下面や攪拌羽根取付軸に絡み付くのを可及的に防止することができ、紐状物を含む土砂等を円滑に吸引排除することができる。
【0014】
上記目的を達成するための第2の発明に係る土砂等除去装置は、内部にモータ駆動のインペラを収納すると共に、下面中央に吸引開口を有するインペラケーシングと、上端が前記インペラケーシングの下部に連結されると共に下端が開口した全周面にわたって無孔の筒状ストレーナと、前記ストレーナの周りに配設される筒状体から構成され、該筒状体の上端が前記インペラケーシングの下部に連設されると共に下端が前記筒状ストレーナの下端面と略同一位置まで達し、その内部に前記筒状ストレーナの内部を含めて水溜まり空間を形成する土砂等崩落流入防止用周壁と、上端開口が土壌堆積レベルより上方で水中に開口し、他端開口が前記水溜まり空間に連通連結されている吸水管を具備することを特徴とする。
【0015】
土砂等除去装置をこのような構成としたことにより、第1の発明に係る土砂等除去装置と同様に、土砂等崩落流入防止用周壁の内部空間に土砂が流入するのを確実に防止することができ、水が充満した水溜り空間を確保することができ、土砂等を吸水管を通して供給される水によって希釈しながら、確実かつ効率的に吸引排出することができる。
また、本発明によれば、既設の土砂等除去装置において、筒状ストレーナの周りに土砂等崩落流入防止用周壁を取り付けるだけで(即ち、土砂等除去装置を大幅に改造することなく)、上記した確実かつ効率的な土砂等の吸引排出が可能になる。
【0016】
また、第2の発明は、上記した土砂等除去装置を以下の構成としたことにも特徴を有する。
モータの出力軸をインペラケーシングの吸引開口及び筒状ストレーナを貫通して下方に伸延させ、伸延端に攪拌羽根を固着する。この場合、攪拌羽根によって土砂等を攪拌し水と混合させることによって流動性を向上させた後に吸上げポンプによって吸引排除できるので、より吸引排出効果を高めることができる。
【0017】
吸水管の他端開口の水溜まり空間への連通連結は、吸水管の他端開口を土砂等崩落流入防止用周壁に設けた吸水開口に連通連結することによって行うこともできるが、吸水管の他端開口に土砂等崩落流入防止用周壁を貫通させ、その後、筒状ストレーナに設けた吸水開口に連通連結させることもできる。後者の場合、吸水管の他端開口を直接的に筒状ストレーナの内部の水溜まり空間に連通連結できるので、筒状ストレーナと土砂等崩落流入防止用周壁との間に形成される水溜まり空間内に土砂が万一流入しても、筒状ストレーナ内に水溜まり空間が確保されていれば、確実かつ効率的に土砂等の吸引排出を行うことができる。
【0018】
さらに、吸水管を複数個設け、その内の1又は2以上の吸水管の他端開口を土砂等崩落流入防止用周壁に設けた吸水開口に連通連結されると共に残りの1又は2以上の吸水管の他端開口に土砂等崩落流入防止用周壁を貫通させ、筒状ストレーナに設けた吸水開口に連通連結ようにしてもよい。この場合、筒状ストレーナと土砂等崩落流入防止用周壁との間に形成される水溜まり空間及び筒状ストレーナ内に形成される水溜まり空間の両方に水を供給できるので、より確実に土砂等を希釈でき、確実かつ効率的に土砂等の吸引排出を行うことができる。なお、筒状ストレーナは有孔周壁のみならず、無孔周壁より形成することもできる。この場合、土砂等崩落流入効果を二重にわたって行うことになり、少なくとも筒状ストレーナ内に確実に水溜まり空間を形成することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、添付図に示す実施の形態を参照して、本発明を具体的に説明する。
(第1の実施例)
図1及び図2に示すように、第1の実施例に係る土砂等除去装置10は、土砂等(泥土を含む)が堆積するピットAの底面11上に設置されており、その本体部を形成する吸上げポンプ12は、下端中央に土砂等吸引開口13を設けるとともに周壁の一部に設けた土砂等排出開口14を排出管15に連通連結するインペラケーシング16と、インペラケーシング16内に回転自在に収納されるインペラ17と、インペラ17を回転駆動する水密モータ18とを具備する。
【0020】
インペラケーシング16の下部には、内部に水溜まり空間19を形成可能な本発明の要部を構成する筒状の土砂等崩落流入防止用周壁20の上端が同軸的に連設されている。なお、本実施例では、土砂等崩落流入防止用周壁20の外径はインペラケーシング16の外径よりわずかに小さくしている。図示するように、土砂等崩落流入防止用周壁20は、後述する土砂等崩落流入防止効果を発揮するため、全周面にわたって無孔な帯状板によって形成されている。また、本実施例では、土砂等崩落流入防止用周壁20の下端開口は全面開口としている。
この土砂等崩落流入防止用周壁20は環状機枠からなるポンプ支持台21上に載置支持されている。また、水密モータ18の出力軸22に一体的に連結された攪拌羽根取付軸23には攪拌羽根24が固着されている。
また、土砂等崩落流入防止用周壁20の内部において、インペラケーシング16の水溜まり空間側下面には紐状物巻付防止用平板25が取り付けられており、攪拌羽根取付軸23には紐状物巻付防止用筒26が取り付けられている。
【0021】
さらに、土砂等崩落流入防止用周壁20の一部にはピットA内に垂直に配設された吸水管27の下端開口28が連通連結されており、吸水管27の上端開口29には吸水補助ストレーナ29aが取り付けられている。ここで、図2に示すように、吸水管27の下端開口28は土砂等堆積レベルBより下方位置で土砂等崩落流入防止用周壁20と連通連結しており、吸水補助ストレーナ29aは、例えば、土砂等堆積レベルBよりはるかに上方であって、停留水レベルCの近傍に位置している。
【0022】
次に、上記した構成を有する土砂等除去装置10による土砂等吸引排出作業について、図1及び図2を参照して説明する。
水密モータ18を駆動して吸上げポンプ12を起動するとインペラケーシング16内に負圧が発生しても、実質的に横孔を有しない土砂等崩落流入防止用周壁20の存在によって、同周壁20の外周に沿って存在する大量の土砂が崩落して土砂等崩落流入防止用周壁20の内部空間に流入するのを確実に防止することができ、水が充満した水溜まり空間19を確保することができる。
即ち、吸上げポンプ12の運転休止時に土砂等堆積レベルBが上昇し、インペラケーシング16が埋設する状況になったとしても、土砂等崩落流入防止用周壁20の内部空間に土砂が流入するのを確実に防止することができ、水が充満した水溜り空間19を確保することができる。この水溜まり空間19には吸水管27が連通連結されていることにより、吸上げポンプ12を駆動すると、吸上げポンプ12の下部に侵入している土砂等よりも水の方が流動性が高いため、多量の水が吸引供給され、土砂等をこの水流によって希釈しながら、確実かつ効率的に吸引排出することができる。
【0023】
また、本実施例では、土砂等崩落流入防止用周壁20は下端開口を全面開口としているので、いわゆる抵抗体となる有孔底板が存在せず、吸上げポンプ12を起動した後、その運転を継続することによって、より円滑かつ効率的に土砂等を希釈しながら吸引排出することができる。なお、土砂等の性質によっては、土砂等崩落流入防止用周壁20の下端開口に底板を取り付け、この底板に複数の土砂等流入孔を形成することもできる。
【0024】
また、本実施例では、土砂等崩落流入防止用周壁20は、土砂等崩落流入防止用周壁20の外周面に沿って存在する土砂等の水溜まり空間19への崩落及び吸引を完全に防止する観点から全周面にわたって無孔としている。一方、土砂等の性質によっては、水混合比率を高めるため、土砂等崩落流入防止用周壁20を水溜まり空間19への土砂等の崩落及び流入を生じない程度で部分的に有孔とすることもできる。
【0025】
また、本実施例では、水密モータ18の出力軸22をインペラケーシング16の土砂等吸引開口13及び土砂等崩落流入防止用周壁20の中央部を貫通して下方に伸延させ、伸延端に攪拌羽根24を固着しており、この攪拌羽根24によって土砂等を攪拌した後に吸上げポンプ12によって吸引排除できるので、より吸引排出効果を高めることができる。
【0026】
さらに、本実施例では、インペラケーシング16の水溜まり空間側面に紐状物巻付防止用平板25を取り付け、攪拌羽根取付軸23の外周面に紐状物巻付防止用筒26を取り付けているので、土砂等に紐状物が混入していても、紐状物がインペラケーシング16の下面や攪拌羽根取付軸23に絡み付くのを可及的に防止することができ、紐状物を含む土砂等を円滑に吸引排除することができる。
【0027】
(第2の実施例)
図3に示すように、第2の実施例に係る土砂等除去装置30は、土砂等(泥土を含む)が堆積するピットA1の底面31上に設置されており、その本体部を形成する吸上げポンプ32は、下端中央に土砂等吸引開口33を設けるとともに周壁の一部に設けた土砂等排出開口34を排出管35に連通連結するインペラケーシング36と、インペラケーシング36内に回転自在に収納されるインペラ37と、インペラ37を回転駆動する水密モータ38とを具備する。
【0028】
インペラケーシング36の下部には、内部に水溜まり空間39を形成する有孔の筒状ストレーナ40が配設されており、その上端はインペラケーシング36の底部に連結されると共に、その下端は開口している。また、筒状ストレーナ40の周りには、本発明の要部を構成する筒状の土砂等崩落流入防止用周壁41が同心円的に配設されており、土砂等崩落流入防止用周壁41と筒状ストレーナ40との間には、筒状ストレーナ40内の水溜まり空間39と連通する環状の水溜まり空間42が形成されている。なお、本実施例では、土砂等崩落流入防止用周壁41の上端はインペラケーシング16の下部に連結されている。図示するように、土砂等崩落流入防止用周壁41は、後述する土砂等崩落流入防止効果を発揮するため、全周面にわたって無孔な帯状板によって形成されている。また、本実施例では、土砂等崩落流入防止用周壁41の下端開口は全面開口としている。
筒状ストレーナ40は環状機枠からなるポンプ支持台43上に載置支持されている。また、水密モータ38の出力軸44に一体的に連結された攪拌羽根取付軸45には攪拌羽根46が固着されている。
【0029】
さらに、土砂等崩落流入防止用周壁41の一部にはピットA1内に垂直に配設された吸水管47の下端開口が連通連結されており、吸水管47の上端開口には吸水補助ストレーナ48が取り付けられている。ここで、図3に示すように、吸水管47の下端開口49は土砂等堆積レベルB1より下方位置で土砂等崩落流入防止用周壁41と連通連結しており、吸水補助ストレーナ48は、例えば、土砂等堆積レベルB1よりはるかに上方であって、停留水レベルC1の近傍に位置している。
【0030】
土砂等除去装置30をこのような構成としたことにより、第1の実施例に係る土砂等除去装置10と同様に、土砂等崩落流入防止用周壁41の内部空間に土砂が流入するのを確実に防止することができ、水が充満した水溜り空間39,42を確保することができ、土砂等を吸水管47を通して供給される水によって希釈しながら、確実かつ効率的に吸引排出することができる。
また、本実施例装置によれば、既設の土砂等除去装置30において、筒状ストレーナ40の周りに土砂等崩落流入防止用周壁41を取り付けるだけで(即ち、土砂等除去装置30を大幅に改造することなく)、上記した確実かつ効率的な土砂等の吸引排出が可能になる。
【0031】
また、第2の実施例は、上記した土砂等除去装置30を、以下の構成としたことにも特徴を有する。
第2の実施例においても、第1の実施例と同様に、土砂等崩落流入防止用周壁41は、土砂等崩落流入防止用周壁41の外周面に沿って存在する土砂等の水溜まり空間39、42への崩落及び吸引を完全に防止する観点から全周面にわたって無孔であるのが望ましい。一方、土砂等の性質によっては、水混合比率を高めるため、土砂等崩落流入防止用周壁41を前記水溜まり空間39、42への土砂等の崩落及び流入を生じない程度で部分的に有孔とすることもできる。
また、本実施例においても、図3に示すように、攪拌羽根46によって土砂等を攪拌し水と混合させることにより流動性を向上させた後に吸上げポンプ32によって吸引排除できるので、より吸引排出効果を高めることができる。
【0032】
さらに、図4に示す本実施例の変容例に係る土砂等除去装置30Aのように、図3に示す有孔の筒状ストレーナ40に代えて、下端のみが開口する無孔周壁50を用いることもできる。ここで、無孔周壁50内の水溜まり空間51は、その下端開口を通して無孔周壁50と土砂等崩落流入防止用周壁41との間に形成されている水溜まり空間52に連通連結されている。この場合、無孔周壁50も土砂等崩落流入防止用周壁41と同様に機能するので、無孔周壁50内への土砂等の流入を確実に防止でき、無孔周壁50内に水溜まり空間51を確実に形成でき、土砂等の吸引排出を確実に行うことができる。なお、上記した変容例を含めて本実施例に係る変容例30A〜30Dでは、図3に示す実施例と同一の構成要素は同一の符号で示す。
【0033】
さらに、図3に示す本実施例及び図4に示す変容例では、吸水管47の他端開口の水溜まり空間42への連通連結は、吸水管47の他端開口を土砂等崩落流入防止用周壁41に設けた吸水開口49に連通連結することによって行っている。
しかし、本実施例の変容例である図5に示す土砂等除去装置30Bのように、吸水管47の他端開口に土砂等崩落流入防止用周壁41を貫通させ、その後、筒状ストレーナ40に設けた吸水開口53に連通連結させることもできる。この場合、吸水管47の他端開口を直接的に筒状ストレーナ40の内部の水溜まり空間39に連通連結できるので、筒状ストレーナ40と土砂等崩落流入防止用周壁41との間に形成される水溜まり空間42内に土砂等が万一流入しても、筒状ストレーナ40内に水溜まり空間39が確保されていれば、確実かつ効率的に土砂等の吸引排出を行うことができることになる。
【0034】
さらに、本実施例の他の変容例に係る土砂等除去装置30Cを図6に示す。
図示するように、本変容例では、土砂等除去装置30Cは複数の(本変容例では2つ)の吸水管54,55を具備している。一方の吸水管54の他端開口は土砂等崩落流入防止用周壁56に設けた吸水開口57に連通連結されると共に他方の吸水管55の他端開口は土砂等崩落流入防止用周壁56を貫通した後、筒状ストレーナ58に設けた吸水開口59に連通連結されている。この場合、筒状ストレーナ58と土砂等崩落流入防止用周壁56との間に形成される水溜まり空間60及び筒状ストレーナ58内に形成される水溜まり空間61の両方に水を供給できるので、より確実に土砂等を希釈でき、確実かつ効率的に土砂等の吸引排出を行うことができる。
【0035】
また、図7に示す本実施例の変容例に係る土砂等除去装置30Dは、図6に示す有孔の筒状ストレーナ58に代えて、下端のみが開口する無孔周壁62を用いたものである。ここで、無孔周壁62内の水溜まり空間63は、その下端開口を通して無孔周壁62と土砂等崩落流入防止用周壁56との間に形成されている水溜まり空間64に連通連結されている。この場合、無孔周壁62も土砂等崩落流入防止用周壁56と同様に機能するので、無孔周壁62内への土砂等の流入を確実に防止でき、無孔周壁62内に水溜まり空間63を確実に形成でき、土砂等の吸引排出を確実に行うことができる。
【0036】
以上、本発明を幾つかの実施例を参照して説明してきたが、本発明は上記した実施例に何ら限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載される発明の範囲を逸脱しない範囲で他の実施例を含むものである。例えば、土砂等除去装置の駆動源は電動モータに限られず、油圧モータ等を含むものである。さらに、土砂等除去装置は、実施例のように垂直状態のみならず、使用条件によっては、傾斜状態や水平状態でも使用可能である。
【0037】
【発明の効果】
以上説明してきたように、請求項1記載の発明によれば、インペラケーシングの下部に土砂等崩落流入防止用周壁を連接したことにより、吸上げポンプの起動時において負圧が発生しても、実質的に横孔を有しない土砂等崩落流入防止用周壁の存在によって、同周壁の外周に沿って存在する大量の土砂が崩落して土砂等崩落流入防止用周壁の内部空間に流入するのを確実に防止することができ、水が充満した水溜まり空間を確保することができる。従って、その後の吸上げポンプの継続運転により、高濃度の土砂等であっても、吸水管から供給される水によって希釈して確実かつ効率的に吸引排出することができる。
また、土砂等崩落流入防止用周壁は下端開口を全面開口とすることによって、いわゆる抵抗体となる有孔底板が存在せず、吸上げポンプを起動した後、その運転を継続することによって、より円滑かつ効率的に土砂等を希釈しながら吸引排出することができる。
さらに、土砂等崩落流入防止用周壁は全周面にわたって無孔としたので、土砂等崩落流入防止用周壁の外周面に沿って存在する土砂等の水溜まり空間への崩落及び吸引を完全に防止することができる。
【0038】
請求項2記載の発明によれば、土砂等の性質を考慮して、土砂等崩落流入防止用周壁の下端開口に底板を取り付け、この底板に、複数の土砂等流入孔を形成することもでき、土砂等の性質に合わせて土砂等吸引排除作業を行うことができる。
【0039】
請求項3記載の発明においては、攪拌羽根によって土砂等を攪拌し水と混合させることによって流動性を向上させた後に吸上げポンプによって吸引排除できるので、より吸引排出効果を高めることができる。
【0040】
請求項4及び請求項5記載の発明においては、インペラケーシングの水溜まり空間側面に紐状物巻付防止用平板を取り付けたり、攪拌羽根取付軸の外周面に紐状物巻付防止用筒を取り付けたので、土砂等に紐状物が混入していても、紐状物がインペラケーシングの下面や攪拌羽根取付軸に絡み付くのを可及的に防止することができ、紐状物を含む土砂等を円滑に吸引排除することができる。
【0041】
請求項6記載の発明においては、ストレーナの周りに、筒状体から構成され、筒状体の上端が前記インペラケーシングの下部に連設されると共に下端が筒状ストレーナの下端面と略同一位置まで達し、その内部に筒状ストレーナの内部を含めて水溜まり空間を形成する土砂等崩落流入防止用周壁を配設し、上端開口が土壌堆積レベルより上方で開口する吸水管の他端開口を前記水溜まり空間に連通連結したので、土砂等崩落流入防止用周壁の内部空間に土砂が流入するのを確実に防止することができ、水が充満した水溜り空間を確保することができ、土砂等を吸水管を通して供給される水によって希釈しながら、確実かつ効率的に吸引排出することができる。
また、本発明によれば、既設の土砂等除去装置において、筒状ストレーナの周りに土砂等崩落流入防止用周壁を取り付けるだけで(即ち、土砂等除去装置を大幅に改造することなく)、上記した確実かつ効率的な土砂等の吸引排出が可能になる。
また、土砂等崩落流入防止用周壁は全周面にわたって無孔としたので、土砂等崩落流入防止用周壁の外周面に沿って存在する土砂等の水溜まり空間への崩落及び吸引を完全に防止することができる。
【0042】
請求項7記載の発明においては、モータの出力軸をインペラケーシングの吸引開口及び筒状ストレーナを貫通して下方に伸延させ、伸延端に攪拌羽根を固着したので、攪拌羽根によって土砂等を攪拌した後に吸上げポンプによって吸引排除できるので、より吸引排出効果を高めることができる。
【0043】
請求項8記載の発明においては、吸水管の他端開口が筒状ストレーナの周りの土砂崩落流入防止用周壁に連通連結されており、筒状ストレーナと土砂崩落流入防止用周壁との間に形成される水溜まり空間には、吸引ポンプの運転に伴い吸水管からの水流が発生する。この水流によって、水溜まり空間に接する土砂等をより最適濃度にして、効率よく吸引排出することができる。
【0044】
請求項9記載の発明においては、吸水管の他端開口の水溜まり空間への連通連結を、吸水管の他端開口に土砂等崩落流入防止用周壁を貫通させ、その後、筒状ストレーナに設けた吸水開口に連通連結させるようにしたので、吸水管の他端開口を直接的に筒状ストレーナの内部の水溜まり空間に連通連結でき、筒状ストレーナと土砂等崩落流入防止用周壁との間に形成される水溜まり空間内に土砂が万一流入しても、筒状ストレーナ内に水溜まり空間が確保されていれば、確実かつ効率的に土砂等の吸引排出を行うことができる。
【0045】
請求項10記載の発明においては、吸水管の他端開口の水溜まり空間への連通連結を、吸水管を複数個設け、その内の1又は2以上の吸水管の他端開口を土砂等崩落流入防止用周壁に設けた吸水開口に連通連結されると共に残りの1又は2以上の吸水管の他端開口に土砂等崩落流入防止用周壁を貫通させ、筒状ストレーナに設けた吸水開口に連通連結するようにしたので。筒状ストレーナと土砂等崩落流入防止用周壁との間に形成される水溜まり空間及び筒状ストレーナ内に形成される水溜まり空間の両方に水を供給でき、より確実に土砂等を希釈でき、確実かつ効率的に土砂等の吸引排出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例に係る土砂等除去装置の全体正面図である。
【図2】 同要部拡大断面正面図である。
【図3】 本発明の第2実施例に係る土砂等除去装置の一部切欠全体正面図である。
【図4】 同変容例に係る土砂等除去装置の一部切欠全体正面図である。
【図5】 同変容例に係る土砂等除去装置の一部切欠全体正面図である。
【図6】 同変容例に係る土砂等除去装置の一部切欠全体正面図である。
【図7】 同変容例に係る土砂等除去装置の一部切欠全体正面図である。
【図8】 従来の土砂等除去装置の全体正面図である。
【図9】 従来の他の土砂等除去装置の全体正面図である。
【図10】 同要部拡大断面正面図である。
【符号の説明】
A ピット
A1 ピット
A2 ピット
A3 ピット
B 土砂等堆積レベル
B1 土砂等堆積レベル
B2 土砂等堆積レベル
B3 土砂等堆積レベル
C 停留水レベル
C1 停留水レベル
C2 停留水レベル
C3 停留水レベル
10 土砂等除去装置
11 底面
12 吸上げポンプ
13 土砂等吸引開口
14 土砂等排出開口
15 排出管
16 インペラケーシング
17 インペラ
18 水密モータ
19 水溜り空間
20 土砂等崩落流入防止用周壁
21 ポンプ支持台
22 出力軸
23 攪拌羽根取付軸
24 攪拌羽根
25 紐状物巻付防止用平板
26 紐状物巻付防止用筒
27 吸水管
28 下端開口
29 上端開口
29a 吸水補助ストレーナ
30 土砂等除去装置
30A 土砂等除去装置
30B 土砂等除去装置
30C 土砂等除去装置
30D 土砂等除去装置
31 底面
32 吸上げポンプ
33 土砂等吸引開口
34 土砂等排出開口
35 排出管
36 インペラケーシング
37 インペラ
38 水密モータ
39 水溜まり空間
40 筒状ストレーナ
41 土砂等崩落流入防止用周壁
42 水溜り空間
43 ポンプ支持台
44 出力軸
45 攪拌羽根取付軸
46 攪拌羽根
47 吸水管
48 吸水補助ストレーナ
49 吸水開口
50 無孔周壁
51 水溜り空間
52 水溜り空間
53 吸水開口
54 吸水管
55 吸水管
56 土砂等崩落流入防止用周壁
57 吸水開口
58 筒状ストレーナ
59 吸水開口
60 水溜り空間
61 水溜り空間
62 無孔周壁
63 水溜り空間
64 水溜り空間
Claims (10)
- 内部にモータ駆動のインペラを収納すると共に、下面中央に吸引開口を有するインペラケーシングと、
上端が前記インペラケーシングの下部に連設され、下端が開口し、かつ全周面にわたって無孔の筒状体から構成され、内部に水溜まり空間を形成する土砂等崩落流入防止用周壁と、
上端開口が土壌堆積レベルより上方で水中に開口し、他端開口が前記水溜まり空間に連通連結されている吸水管を具備することを特徴とする土砂等除去装置。 - 前記土砂等崩落流入防止用周壁は下端開口に底板を具備し、該底板には複数の土砂等流入孔が形成されていることを特徴とする請求項1記載の土砂等除去装置。
- 前記モータの出力軸を前記インペラケーシングの吸引開口及び前記土砂等崩落流入防止用周壁を貫通して下方に伸延させて攪拌羽根取付軸を形成し、該攪拌羽根取付軸の先端に攪拌羽根を固着したことを特徴とする請求項1または2に記載の土砂等除去装置。
- 前記インペラケーシングの水溜まり空間側下面に紐状物巻付防止用平板を取り付けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の土砂等除去装置。
- 前記攪拌羽根取付軸の外周面に紐状物巻付防止用筒を取り付けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の土砂等除去装置。
- 内部にモータ駆動のインペラを収納すると共に、下面中央に吸引開口を有するインペラケーシングと、
上端が前記インペラケーシングの下部に連結されると共に下端が開口した筒状ストレーナと、
前記ストレーナの周りに配設される全周面にわたって無孔の筒状体から構成され、該筒状体の上端が前記インペラケーシングの下部に連設されると共に下端が前記筒状ストレーナの下端面と略同一位置まで達し、その内部に前記筒状ストレーナの内部を含めて水溜まり空間を形成する土砂等崩落流入防止用周壁と、
上端開口が土壌堆積レベルより上方で水中に開口し、他端開口が前記水溜まり空間に連通連結されている吸水管を具備することを特徴とする土砂等除去装置。 - 前記モータの出力軸を前記インペラケーシングの吸引開口及び前記筒状ストレーナを貫通して下方に伸延させて攪拌羽根取付軸を形成し、該攪拌羽根取付軸の先端に攪拌羽根を固着したことを特徴とする請求項6記載の土砂等除去装置。
- 前記吸水管の前記他端開口は前記土砂等崩落流入防止用周壁に設けた吸水開口に連通連結されることを特徴とする請求項6または7に記載の土砂等除去装置。
- 前記吸水管の前記他端開口は前記土砂等崩落流入防止用周壁を貫通し、前記筒状ストレーナに設けた吸水開口に連通連結されることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の土砂等除去装置。
- 前記吸水管を複数個設け、その内の1又は2以上の吸水管の他端開口は前記土砂等崩落流入防止用周壁に設けた吸水開口に連通連結されると共に残りの1又は2以上の吸水管の他端開口は前記土砂等崩落流入防止用周壁を貫通し、前記筒状ストレーナに設けた吸水開口に連通連結されることを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載の土砂等除去装置。
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