JP3755574B2 - 空調装置の通風口構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車室内のリアシェルフパネルに設けられた空調装置の通風口構造に関するものである。
【0002】
【関連する背景技術】
近年の車両には、車室内のリアシェルフパネルに空調装置の通風口を設け、その通風口から後部座席の乗員に冷気を供給して、リアウインドからの直射日光による照付け感を和らげるように配慮したものがある。図4はこのような通風口構造を備えた車両のリアシェルフパネルを後方より見た断面図を示しており、図中の31は後部座席のヘッドレストを表し、Pは乗員を表している。空調装置のユニット32は車両のトランクルームS2内に配設されて、リアシェルフパネル33の下面に吊下・固定されている。ユニット32内には略U字状の流通路34が形成され、流通路34の左右一対の開口部34aは、シェルフトリム35上の左右に設けられた吹出口36及び吸込口37を介してそれぞれ車室S1内に向けて開口している。流通路34内には、フィルタ38、モータ39にて回転駆動されるシロッコファン39a、図示しないコンプレッサから冷媒が供給されるエバポレータ40が設けられている。
【0003】
このように構成された空調装置の通風口構造では、冷房時においてモータ39にてシロッコファン39aが回転駆動されると、車室内の空気が吸込口37から吸い込まれてフィルタ38を経て矢印で示すように流通路34内を流通し、エバポレータ40にて冷却された後に冷風として吹出口36から車室S1内に吹き出される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記した空調装置の通風口構造は、吹出口37と吸込口38を左右に配置した関係上、後部座席付近において左右方向の雰囲気温度に不均衡が生じる。つまり、吹出口36からの冷風は主にその直前に着座する右側の乗員Pに対して供給され、左側の乗員Pにはほとんど供給されないため、左側の乗員Pが直射日光による照付け感を感じるにも拘わらず、右側の乗員Pが冷房の効き過ぎによる肌寒さを感じる等の不具合を発生する場合があった。
【0005】
本発明の目的は、後部座席の雰囲気温度の不均衡を解消して、快適な車内環境を実現することができる空調装置の通風口構造を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明では、車両の座席とリアウインドとの間に設けられたリアシェルフパネルに配設された左右一対の冷風吹出口と、冷風吹出口の後側に配設された左右一対の空気吸込口と、空調装置ユニットに設けられて、内部にファンおよびエバポレータを備えた主流通路と、空調装置ユニットに設けられて、左右の空気吸込口とそれぞれ連通すると共に、集合路を介して相互に集合して主流通路の一端と連通する一対の吸込連通路と、空調装置ユニットに設けられて、主流通路の他端から分岐路を介して分岐して左右の空気吹出口とそれぞれ連通する一対の吹出連通路と、冷風吹出口に設けられて斜め前方に冷風を案内する風向調整部材とを備えた。
【0007】
従って、車室内の空気は左右の空気吸込口から吸込連通路内に流入した後に集合路を経て集合し、主流通路内を流通してエバポレータにて冷却され、その後に分岐路により分岐されて、左右の吹出連通路を経て冷風として冷風吹出口から車室内に吹き出される。
このように冷風吹出口の後側に空気吸込口が位置していることから、冷風吹出口からの冷風の吹出、及び空気吸込口への車室内の空気の吸込は左右均等に行われて、左右の乗員に対して略同一の冷房条件が実現される。又、このような冷風吹出口と空気吸込口との位置関係から、冷風の吹出と吸込は互いに妨げられることなく行われ、冷風吹出口から吹出された冷風は、風向調整部材の案内により斜め前方に吹き出されて乗員の頭上に到達し、その後に、リアウインドに沿って下方に移動して空気吸込口に吸い込まれ、その結果、リアウインドに沿ったループ状の経路を冷風が循環して、左右の乗員の頭部が直接的に冷やされる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を独立したトランクを備える3ボックス型車両の空調装置の通風口構造に具体化した一実施形態を説明する。
図1は実施形態の空調装置の通風口構造を示すリアシェルフの平面図、図2は同じく通風口構造を示す図1のII−II線断面図、図3は同じく通風口構造を示す図1のIII−III線断面図である。これらの図に示すように、車室S1内の後部座席1の直後には車体の一部を構成するリアシェルフパネル2が形成され、そのリアシェルフパネル2の直上はルーフ3と連続するリアウインド4にて覆われている。リアシェルフパネル2上にはシェルフトリム5が重なり合った状態で配設され、このシェルフトリム5の左右に形成された取付孔5aには、それぞれ合成樹脂材料にて製造されたガーニッシュ6が上方より嵌入・固定されている。これらのガーニッシュ6はそれぞれ後部座席1の左右のヘッドレスト1aの直後に位置している。各ガーニッシュ6の前側半分には吹出口7a,7bが設けられ、後側半分には吸込口8a,8bが設けられ、これらの吹出口7a,7b及び吸込口8a,8bは、シェルフトリム5の上側(車室S1内)とリアシェルフパネル5の下側(トランクルームS2内)とをそれぞれ連通させている。
【0009】
図3に示すように、各吹出口7a,7b内には複数の風向調整板9が左右方向に形成され、これらの風向調整板9は後部座席1の乗員の頭部に冷風が向く角度に設定されている。同様に、各吸込口8a,8b内には複数の風向調整板10が左右方向に形成され、これらの風向調整板10はほぼ直立した姿勢となるように角度設定されている。
【0010】
車両のトランクルームS2内には空調装置のユニット11が配設され、このユニット11は図示しないブラケットによりリアシェルフパネル2の下面に吊下・固定されている。ユニット11のケーシング12は合成樹脂材料にて製造され、ケーシング12の左側及び右側には、それぞれ上方に開口する吹出開口部13a,13b(吹出連通路)と吸込開口部14a,14b(吸込連通路)が前後に併設されている。左右の吹出開口部13a,13bは前記した左右のガーニッシュ6の吹出口7a,7bに接続され、又、左右の吸込開口部14a,14bは左右のガーニッシュ6の吸込口8a,8bに接続されている。
【0011】
特に図2に示すように、ケーシング6内において左右の吸込開口部14a,14bは集合路15を介して相互に連通し、又、左側の吸込開口部14aは主流通路16を介して右側の吹出開口部13bと連通すると共に、その主流通路16は分岐路17を介して左側の吹出開口部13aと連通している。主流通路16内には、フィルタ18、モータ19にて回転駆動されるシロッコファン19a、図示しないコンプレッサから冷媒が供給されるエバポレータ20が設けられている。
【0012】
尚、図示はしないが、この主流通路16にはダンパにて開閉される強制換気用の排気口が設けられ、例えば喫煙等に伴って排気口が開放されると、車室内の空気が主流通路16からトランクルームS2内を経て外部に排出されて、強制的に換気されるようになっている。
以上のように構成された空調装置の通風口構造において、空調装置のコントロールパネルが運転者にて操作されて、後部座席1の冷房が指定されると、コンプレッサからの冷媒がエバポレータ20に供給されると共に、モータ19にてシロッコファン19aが回転駆動される。その結果、車室内の空気は左右のガーニッシュ6の吸込口8a,8bを経てケーシング12の左右の吸込開口部14a,14b内に流入した後に集合路15を経て集合し、更にフィルタ18を経て主流通路16内を流通してエバポレータ20にて冷却される。その後の空気は分岐路17により分岐されて、左右の吹出開口部13a,13bを経て冷風として左右のガーニッシュ6の吹出口7a,7bから車室S1内に吹き出される。
【0013】
ここで、図1に示すように、左右のガーニッシュ6が後部座席1の左右の乗員Pの直後に位置し、且つ、図3に示すように、各ガーニッシュ6において吹出口7a,7bの後側に吸込口8a,8bが位置していることから、吹出口7a,7bからの冷風の吹出、及び吸込口8a,8bへの車室S1内の空気の吸込は左右均等に行われて、左右の乗員Pに対して常に同一の冷房条件(雰囲気温度や冷風の流れ等)が実現される。
【0014】
又、このように吹出口7a,7bが吸込口8a,8bの前側に位置し、且つ、吹出口7a,7bの風向調整板9が後部座席1の乗員の頭部に向く角度に設定されていることから、図3に示すように、吹出口7a,7bからの冷風は吸込口8a,8bに妨げられることなく斜め前方に吹出されて、乗員Pの頭上に到達する(矢印Aで示す)。乗員Pの頭上には前部座席のフェイスレベルやデフロスタからの冷風がルーフ3に沿って流れているため(矢印Bで示す)、この冷風と共に吹出口7a,7bからの冷風はリアウインド4に沿って下方に移動して吸込口8a,8bに吸い込まれる(矢印Cで示す)。吸込口8a,8bは吹出口7a,7bの後側に位置することから、吹出口7a,7bから吹き出される冷風に妨げられることなく吸込口8a,8bへの吸込みが行われ、吸い込まれた冷風は直立した風向調整板10により直下の吸込開口部14a,14bへと案内される。
【0015】
以上によりリアウインド4に沿ったループ状の経路を冷風が循環することになり、この冷風により乗員Pの頭部を直接的に冷やすことができる。よって、リアウインド4からの直射日光による照付け感を確実に防止して、快適な車内環境を実現することができる。
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限るものではない。例えば、上記実施形態では、3ボックス型車両の空調装置の通風口構造に具体化したが、本発明を2ボックス型車両に適用して、そのカーゴスペースに配置されたシェルフトリムに吹出口7a,7bと吸込口8a,8bを設けてもよい。
【0016】
又、上記実施形態では、吸込口7a,7b及び吹出口8a,8bを備えたガーニッシュ6を左右に配置したが、シェルフトリム5の左右中央に単一のガーニッシュ6を設けてもよい。
更に、上記実施形態では、後部座席1専用の空調装置のユニット11をトランクルームS2内に設け、そのユニット11を吹出口7a,7b及び吸込口8a,8bに直接的に接続したが、例えば、この後部用のユニット11を廃止した上で、吹出口7a,7bと吸込口8a,8bを前部座席用の空調装置のユニットにダクトを介して接続し、この前部用のユニットを利用して後部座席1に対する冷房を実施するようにしてもよい。
【0017】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の空調装置の通風口構造によれば、冷風吹出口の後側に空気吸込口を位置させることにより、左右の乗員に対して略同一の冷房条件を実現して左右の不均衡を防止できる上に、冷風をリアウインドに沿ってループ状の経路に循環させて乗員の頭部を直接的に冷やし、リアウインドからの直射日光による照付け感を確実に防止して、快適な車内環境を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の空調装置の通風口構造を示すリアシェルフの平面図である。
【図2】同じく通風口構造を示す図1のII−II線断面図である。
【図3】同じく通風口構造を示す図1のIII−III線断面図である。
【図4】従来の空調装置の通風口構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1 後部座席
2 リアシェルフパネル
4 リアウインド
7a,7b 吹出口
8a,8b 吸込口
9 風向調整板(風向調整部材)
11 ユニット
13a,13b 吹出開口部(吹出連通路)
14a,14b 吸込開口部(吸込連通路)
Claims (1)
- 車両の座席とリアウインドとの間に設けられたリアシェルフパネルに配設された左右一対の冷風吹出口と、
上記冷風吹出口の後側に配設された左右一対の空気吸込口と、
空調装置ユニットに設けられて、内部にファンおよびエバポレータを備えた主流通路と、
上記空調装置ユニットに設けられて、上記左右の空気吸込口とそれぞれ連通すると共に、集合路を介して相互に集合して上記主流通路の一端と連通する一対の吸込連通路と、
上記空調装置ユニットに設けられて、上記主流通路の他端から分岐路を介して分岐して上記左右の空気吹出口とそれぞれ連通する一対の吹出連通路と、
上記冷風吹出口に設けられて斜め前方に冷風を案内する風向調整部材と
を備えたことを特徴とする空調装置の通風口構造。
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