JP3753665B2 - Cvd装置及び方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、反応ガスを反応室内に供給し、ガスヘッドを通じてサセプタ上の半導体基板に噴射し、化学反応により薄膜を形成するCVD装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のCVD装置の一例の断面図を図4に示す。枚葉式常圧CVD装置1は、反応室2内に反応ガス3(図中実線矢印)を供給するガス供給管4と、反応室2内に配置し半導体基板5を載置する昇降動作可能なサセプタ6と、それに対向して配置し半導体基板5に反応ガス3を噴射するガスヘッド7と、反応済みのガス8(図中破線矢印)を反応室2外部に排気するガス排気管9とで構成されている。
【0003】
また、反応室2には、開閉扉10が設けられており、半導体基板5の搬入および搬出ができるようになっている。また、サセプタ6には、サセプタ6を介して半導体基板5を加熱するヒータ部11が配設されており、サセプタ6と共に昇降機構12により昇降動作する。尚、昇降機構12は、サセプタ6に連結した支持軸13と、その支持軸13を上下動作させるエアシリンダ装置14と、支持軸13の周囲に取付けたベローズ15とで構成され、反応室2の気密性を保持しつつサセプタ6を昇降動作可能としている。また、ガス供給管4には、反応室2内に反応ガス3を供給した累積供給時間を計測するタイマ16が取付けられており、反応ガス3の累積供給量の代わりに供給時間が把握できるようになっている。また、ガスヘッド7には、反応ガス3を均一に噴射するように多数の噴射孔17が設けてある。
【0004】
次に、上述の枚葉式常圧CVD装置1の動作について説明する。先ず、図4(a)に示すように、昇降機構12を作動しサセプタ6を待機位置まで下げ、開閉扉10を開け、成膜予定の半導体基板5を反応室2内に搬入しサセプタ6上に載置する。
【0005】
次に、図4(b)に示すように、昇降機構12を作動しサセプタ6を予め設定した狙いの膜厚さが得られるヘッド間隔w1(サセプタ6とガスヘッド7との間隔)となる位置まで上げる。尚、この間、ヒータ部11は、サセプタ6を介して半導体基板5を予め設定した温度まで加熱する。
【0006】
次に、ガス供給管4から例えば、SiH4とO2とを混合した反応ガス3を供給しガスヘッド7を通して半導体基板5に噴射し、化学反応により、狙いの膜厚さh1のSiO2膜を形成する。その後、反応ガス3の供給を停止し、反応ガス3の代わりに窒素ガスN2(図示せず)を供給し、強制的に反応済みのガス8を排気管9から反応室2外部に排出し反応室2内をパージ(清掃)する。
【0007】
次に、サセプタ6を待機位置まで下げ、開閉扉10を開け、成膜済みの半導体基板5を反応室2の外部に搬出する。以上の動作を繰り返し、順次、次の半導体基板5に成膜処理を施す。
【0008】
しかしながら、上述の化学反応で生成されるSiO2の微粒子は、半導体基板5に付着するだけでなく、反応室2の内壁やガスヘッド7表面にも付着し徐々に堆積して無視できない厚さにまで成長する。特にガスヘッド7に堆積する生成物18の厚さが厚くなるとガスヘッド7が見かけ上、サセプタ6に接近する格好となり、予め設定したヘッド間隔w1が小さくなる方向に変化するため、ガスヘッド7から噴射する反応ガス3の流速や流路に変化を与え、ひいては半導体基板5に形成する膜厚さh1のばらつきの要因となる虞があった。そこで、これを防止するためガスヘッド7に堆積した不所望な生成物18を定期的に清掃する必要があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来のCVD装置及び方法においては、ガスヘッドとサセプタとの間のヘッド間隔を、予め設定した狙いの膜厚さが得られるヘッド間隔に固定して成膜処理を施していたが、半導体基板の処理枚数の増加に伴いガスヘッド表面に不所望な生成物が堆積し、見かけ上、予め設定したヘッド間隔が小さくなる方向に変化するため、ガスヘッドから噴射する反応ガスの流速や流路に変化を与え、ひいては半導体基板上に形成する膜厚さのばらつきの要因となる虞があった。また、このため、定期的にガスヘッドを清掃してやる必要があった。
【0010】
本発明の目的は、半導体基板の処理枚数の増加に伴いガスヘッド表面に堆積する生成物の厚さが徐々に厚くなっていき、見かけ上、ヘッド間隔が小さく変化しても、反応ガスの流速や流路を一定に保ち、ばらつきの少ない膜厚さが得られるとともに、ガスヘッドの清掃に掛かる工数を削減できるCVD装置及び方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明のCVD装置は、反応室の内部に反応ガスを供給するガス供給部と、反応室内に配置し半導体基板を載置する昇降動作可能なサセプタと、サセプタに対向して配置しガス供給部からの反応ガスを半導体基板に噴射するガスヘッドとを具備し、半導体基板に化学反応により薄膜を形成するCVD装置において、サセプタとガスヘッドとの間のヘッド間隔を、予め取得した相関データに基づいて制御するヘッド間隔制御部を備えたことを特徴とするCVD装置である。
【0012】
本発明のCVD方法は、反応室の内部に反応ガスを供給し、反応ガスをガスヘッドを通じてサセプタ上の半導体基板に噴射し、半導体基板に化学反応により薄膜を形成するCVD方法において、サセプタとガスヘッドとの間のヘッド間隔を、予め取得した相関データに基づいて制御することを特徴とするCVD方法である。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明のCVD装置の一例の断面図を図1に示す。尚、図4と同一部分には同一符号を用いて説明を省略する。枚葉式常圧CVD装置101は、反応室2内に反応ガス3(図中実線矢印)を供給するガス供給管4と、反応室2内に配置し半導体基板5を載置する昇降動作可能なサセプタ6と、それに対向して配置し半導体基板5に反応ガス3を噴射するガスヘッド7と、サセプタ6とガスヘッド7との間のヘッド間隔を制御するヘッド間隔制御部102と、反応済みのガス8(図中破線矢印)を反応室2外部に排気する排気管9とで構成されている。
【0014】
また、ヘッド間隔制御部102は、反応室2内に供給した反応ガス3の積算供給時間を計測するタイマ16と、そのタイマ16からの信号に基づきサセプタ6を自在な高さ位置に制御可能なエアシリンダ装置14とに接続されており、予め取得した相関データに基づいてエアシリンダ装置14を作動する。
【0015】
ここで、予め取得しておく相関データについて詳述する。相関データは次の2つの相関データから成る。先ず、図2(a)に示した第1の相関データは、反応室に供給した反応ガスの積算供給時間と、その変化に伴って変化する半導体基板に形成される膜厚さとの相関データである。この第1の相関データの取得方法は、ガスヘッドに生成物がまったく無い状態(積算供給時間がゼロ)をスタートとして積算を開始し、何時間か毎に、実際に成膜処理した半導体基板の膜厚さを測定して得る。即ち、これは、反応ガスの積算供給量の増加に伴いガスヘッド上に堆積する生成物の厚さが、再現性よく、増加することに着目している。尚、ここでは、反応ガスの積算供給量の代わりにタイマで計測が比較的容易な積算供給時間を代用特性として用いている。
【0016】
次に、図2(b)に示した第2の相関データは、ヘッド間隔と、その変化に伴って変化する半導体基板に形成される膜厚さとの相関データである。この第2の相関データの取得方法は、ガスヘッドに生成物が極めて少ない状態(理想的には全くない状態)において、予め設定した狙いの膜厚さが得られるヘッド間隔w1から、ヘッド間隔を少しづつ増加方向に何水準か変化させ、水準毎に実際に成膜処理した半導体基板の膜厚さを測定して得る。即ち、これは、ヘッド間隔の増加に伴い半導体基板に形成される膜厚さが、再現性よく、減少することに着目している。
【0017】
そして、これらの第1及び第2の相関データをヘッド間隔制御部102に入力しておく。尚、第1及び第2の相関データから、積算供給時間とヘッド間隔との相関データを求めて、これを入力してもよい。
【0018】
次に、上述の枚葉式常圧CVD装置101の動作について図1及び図3を用いて説明する。先ず、図1(a)に示すように、昇降機構12を作動しサセプタ6を待機位置まで下げ、開閉扉10を開け、成膜予定の半導体基板5を反応室2内に搬入しサセプタ6上に載置する。
【0019】
次に、図1(b)に示すように、昇降機構12を作動し、サセプタ6をヘッド間隔制御部102により制御されたヘッド間隔になる上昇位置まで上げる。即ち、ヘッド間隔制御部102は、タイマ16からその時点の積算供給時間t1を信号として取込み、図3(a)に示すように、第1の相関データに基づき、積算供給時間t1における、狙いの膜厚さh1との差d1を読取り、次に、図3(b)に示すように、第2の相関データに基づき、差d1を相殺するような補正したヘッド間隔w2の値を読取る。そして、エアシリンダ装置14を作動しサセプタ6をヘッド間隔が補正したヘッド間隔w2になる高さ位置まで上げる。このようにすると、ガスヘッド7表面に生成物18が堆積しても、ヘッド間隔を適切な間隔に補正できる。また、この補正によりある程度の生成物18の堆積が許容できるためガスヘッドの定期清掃の期間を延長できる。尚、この間、ヒータ部11は、サセプタ6を介して半導体基板5を予め設定した温度まで加熱する。
【0020】
次に、ガス供給管4から例えば、SiH4とO2とを混合した反応ガス3を供給しガスヘッド7を通して半導体基板5に噴射し、化学反応により、狙いの膜厚さh1のSiO2膜を形成する。その後、反応ガス3の供給を停止し、反応ガス3の代わりに窒素ガスN2(図示せず)を供給し、強制的に反応済みのガス8を排気管9から反応室2外部に排出し反応室2内をパージ(清掃)する。
【0021】
次に、サセプタ6を待機位置まで下げ、開閉扉10を開け、成膜済みの半導体基板5を反応室2の外部に搬出する。以上の動作を繰り返し、順次、次の半導体基板5に成膜処理を施す。
【0022】
尚、上記では、積算供給量の代わりに積算供給時間を相関データとして用いた例で説明したが、流量計(図示せず)を使用して直接、積算供給量を相関データとして用いる構成としてもよい。但し、積算供給時間を用いるとCVD装置の稼動時間の状況を把握できて好適である。また、ヘッド間隔を反射型センサ(図示せず)などを用いて直接、測定する構成も考えられるが、ガスヘッド7に堆積する生成物18の厚みは部位によってかなり不均一なため正確に計測することは非常に困難であり、上述した相関データを用いて制御することが望ましい。また、上記では、枚葉式常圧CVD装置を用いて説明したが、特にこれに限るものではなく、ガスヘッドとサセプタとを対向して配置する構成のCVD装置であれば適用可能であり、同様の効果が得られる。
【0023】
【発明の効果】
本発明のCVD装置によれば、半導体基板の処理枚数の増加に伴いガスヘッド表面に堆積する生成物の厚さが徐々に厚くなっていき、見かけ上、ヘッド間隔が小さく変化しても、予め取得した相関データに基づきヘッド間隔制御部によりヘッド間隔を補正するためガスヘッドから噴射する反応ガスの流速や流路を一定に保つことができ、ばらつきの少ない膜厚さが得られるとともに、ガスヘッドの清掃に掛かる工数を削減できる。また、予め取得する相関データを、反応ガスの積算供給量の代わりに積算供給時間を代用して得るとCVD装置の稼動時間の状況を把握できてよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に基づくCVD装置の一例の断面図
【図2】 本発明に基づくCVD装置のヘッド間隔を制御するために予め取得する相関データの説明図
【図3】 図2の相関データを用いたCVD方法の説明図
【図4】 従来のCVD装置の一例の断面図
【符号の説明】
2 反応室
3 反応ガス
4 ガス供給管
5 半導体基板
6 サセプタ
7 ガスヘッド
101 CVD装置
102 ヘッド間隔制御部
Claims (6)
- 反応室の内部に反応ガスを供給するガス供給部と、前記反応室内に配置し半導体基板を載置する昇降動作可能なサセプタと、前記サセプタに対向して配置し前記ガス供給部からの反応ガスを前記半導体基板に噴射するガスヘッドとを具備し、前記半導体基板に化学反応により薄膜を形成するCVD装置において、前記サセプタと前記ガスヘッドとの間のヘッド間隔を、予め取得した相関データに基づいて制御するヘッド間隔制御部を備えたことを特徴とするCVD装置。
- 前記相関データは、2つの相関データから成り、第1の相関データは、前記ヘッド間隔を一定とし、前記反応室内に供給した前記反応ガスの積算供給量と、その変化に伴って変化する前記半導体基板に形成される膜厚さとの相関データであり、第2の相関データは、前記積算供給量が極めて少ない時点における前記ヘッド間隔と、その変化に伴って変化する前記半導体基板に形成される膜厚さとの相関データであることを特徴とする請求項1に記載のCVD装置。
- 前記積算供給量の代わりに、前記反応室の内部に前記反応ガスを供給した積算供給時間を代用することを特徴とする請求項2に記載のCVD装置。
- 反応室の内部に反応ガスを供給し、前記反応ガスをガスヘッドを通じてサセプタ上の半導体基板に噴射し、前記半導体基板に化学反応により薄膜を形成するCVD方法において、前記サセプタと前記ガスヘッドとの間のヘッド間隔を、予め取得した相関データに基づいて制御することを特徴とするCVD方法。
- 前記相関データは、2つの相関データから成り、第1の相関データは、前記ヘッド間隔を一定とし、前記反応室内に供給した前記反応ガスの積算供給量と、その変化に伴って変化する前記半導体基板に形成される膜厚さとの相関データであり、第2の相関データは、前記積算供給量が極めて少ない時点における前記ヘッド間隔と、その変化に伴って変化する前記半導体基板に形成される膜厚さとの相関データであることを特徴とする請求項4に記載のCVD方法。
- 前記積算供給量の代わりに、前記反応室の内部に前記反応ガスを供給した積算供給時間を代用することを特徴とする請求項4に記載のCVD方法。
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