JP3753410B2 - バッテリのケーブル端子接続構造 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に自動車搭載の電源バッテリにおいて、電線・ケーブル端末を正負両極の電極ポストに接続する部分のケーブル端子接続構造に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、この種のケーブル端子接続構造の従来例として特開平８−３３９８５１号公報に記載の装置がある。これを図４（ａ），（ｂ）で概略的に示す。
【０００３】
バッテリ本体１に正負両電極のポスト２が立ち上げてあって、それら正負極の両電極ポスト２に対応するケーブル３がこの端末の端子金具４を介して接続される。平面図の同図（ｂ）で明らかなように、端子金具４は、この金具本体４ａの末端に設けたかしめ部４ｂを、ケーブル端部の絶縁被覆を剥離して露出させた導体３ａにかしめなどして固着している。金具本体４ａの先端部は円形に形成されて平行に戻るポスト巻き付け部４ｃとなっており、このポスト巻き付け部４ｃを上記電極ポスト２に巻き付かせるようになっている。また、金具本体４ａの平行となっている部分には支軸ピン５が設けられている。支軸ピン５の一端側にはレバー６がこの長手方向の一端側で回動自在に軸支され、レバー６の他端部は支軸ピン７を介して箱形状の保護カバー８に回動自在に軸支されている。
【０００４】
かかる構造により、ケーブル接続作業に臨んで、端子金具４のポスト巻き付け部４ｃを電極ポスト２に巻き込むようにして上方から落とし込む。それから、保護カバー８を、同図（ａ）でいう右端部を押し下げるようにして時計廻り方向である矢印Ａ方向へ回動させる。このカバー押し下げ操作でレバー６が支軸ピン５の軸周りで回動し、端子金具４の金具本体４ａがポスト巻き付け部４ｃを縮径させる方向へ圧縮を受けて、電極ポスト２をきつく抱きしめる。このようにして、バッテリ本体１上の電極ポスト２にケーブル３を電気的に接続する。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この図４（ａ），（ｂ）の従来構造にあっては、次のいくつかの点に問題がある。
【０００６】
１つは、一般に端子金具はもともと単体でケーブル端部にかしめなどして固着されて次工程の機器接続に備えるのが、取り扱いには便利な面もある。ところが、かかる従来構造の端子金具４の場合、それにレバー６を介して箱形状の保護カバー８が連結されて一体化されている。そのため、電極ポスト２への接続に臨んでは、その複雑な端子金具側の一体化構造を取り扱うことになり、作業が非常に煩わしい。それにも増して、端子金具４，レバー６，保護カバー８、それに支軸ピン５，７といったように部品点数が多く、コスト的にも不利である。
【０００７】
また１つは、図４（ａ）の状態から保護カバー８を押し下げ、ポスト２に対してケーブル接続完了状態とした後でもロックが働かず、不用意に保護カバーが跳ね上がってしまって端子金具４が電極ポスト２から外れる事態が生じることである。
【０００８】
さらに、問題点の１つに、端子金具４と保護カバー８が直に結合しておらず、片側のレバー６を介してピンヒンジ構造となっていることである。したがって、特に支軸ピン７を支点にして保護カバー８の捻れや歪みが生じやすく、ケーブル接続完了後も不安定である。そのため、端子金具４の露出も考えられ、保護カバー８が絶縁機能を果たさない。
【０００９】
したがって、本発明の目的は、部品点数を削減して簡易な構造とすることで操作や取り扱い性を高め、ケーブル接続後は安定したロック状態を維持して所要の絶縁性を維持できるようにしたバッテリのケーブル端子接続構造を提供することにある。
【００１０】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明にかかる請求項１に記載のバッテリのケーブル端子接続構造は、バッテリ本体１に立ち上げて設けた正極および負極の各電極ポスト２に、ケーブル１０をこの端部に固着した端子金具２０を介して接続し、その接続部全体を絶縁性の保護カバー３０で覆って収容してなっているものであって，前記端子金具２０は、前記電極ポスト２を外側から締め付ける円環状のポスト巻き付け部２３を有し、このポスト巻き付け部２３による締め付けを押し倒し動作によってロック状態にするためのロックレバー２５を有し，前記保護カバー３０は、前記ポスト巻き付け２３部に当接させたカバー基端部を支点にして先端部を押し倒すことによって前記端子金具２０を覆って収容可能な長箱形状に形成され、前記長箱形のカバー本体３１の基端縁に前記端子金具２０のポスト巻き付け部２３の縁端に当接させて押し倒しの支点となる金具ロック爪部３８が設けられ、また、カバー本体３１の上面一部を開口して前記ロックレバー２５が通り抜けできるキャップ収容長孔３４が形成され、このキャップ収容長孔３４を開閉可能に設けたレバー操作キャップ部３３を閉じる方向へ押し倒し操作して前記ロックレバー２５を垂直位置から水平位置のロック位置まで押し倒し可能であり、さらにそのレバー操作キャップ部３３の先端の外壁面に突設したキャップロック凸部３３ａを前記カバー本体３１の先端部に設けたキャップロック凹部３７に係合させることにより、レバー操作キャップ部３３をカバー本体に対してロック状態にするように構成してなり，前記長箱形の保護カバー３０の押し倒し方向への操作動作に前記ロックレバー２５を追従させてロック位置まで押し倒すことにより、保護カバー３０の内部に端子金具２０および前記ケーブル１０の端部を収容して絶縁保護するとともに、電極ポスト２に前記ポスト巻き付け部２３を巻き付けた端子金具２０がロック状態となるように構成したことを特徴とする。
【００１１】
以上の構成によると、ケーブル端部に固着した端子金具２０と、これを収容保護する保護カバー３０は別体である。すなわち、両部材を連結する部材は設けられていないから、それだけ部品点数を削減でき、作業中の取り扱いも容易であるし、連結部材が介在したことで従来のように押し倒し中の保護カバー３０にぶれなどの偏り動作が解消できる。一方、電極ポスト２に端子金具２０のポスト巻き付け部２３を落とし込んで仮決め状態から、保護カバー３０をそのポスト巻き付け部２３に引っかけて支点にしながら押し倒し操作すれば、その動作に追従して端子金具２０側のロックレバー２５が電極ポスト２に押し当てられ、自動的に電極ポスト２と端子金具２０と保護カバー３０の３つの部材が三位一体でロックされる。すなわち、接続作業がほぼワンタッチで簡易に行え、しかも接続完了後に従来のように保護カバー３０が浮いたり跳ね上がる懸念もなく、電極ポスト２に接続状態の端子金具２０を確実に絶縁保護する。
さらに、保護カバー３０はプラスチック成形の特性を生かしてカバー本体３１にレバー操作キャップ部３３を起倒自在となるよう一体成形できるし、カバー本体３１とレバー操作キャップ部３３とを凹凸嵌合させるために、キャップロック凸部３３ａ，凹部３７を型成形しておくだけであるから、嵌合やロックのために特別な機構部品を用いずとも端子金具２０の接続後の絶縁保護が簡易かつ確実に行うことができ、構造全体が非常にシンプルとなる。
【００１２】
また、請求項２に記載のバッテリのケーブル端子接続構造は、バッテリ本体１に立ち上げて設けた正極および負極の各電極ポスト２に、ケーブル１０をこの端部に固着した端子金具２０を介して接続し、その接続部全体を絶縁性の保護カバー３０で覆って収容してなっているものであって，前記端子金具２０は、前記電極ポスト２を外側から締め付ける円環状のポスト巻き付け部２３を有し、このポスト巻き付け部２３による締め付けを押し倒し動作によってロック状態にするためのロックレバー２５を有し、前記ポスト巻き付け部２３の円環状根元部に支軸ピン２４を介して前記ロックレバー２５がほぼ垂直位置から水平位置のロック位置までのほぼ９０゜の角度範囲を押し倒し方向へ回動可能に軸支され、そのロックレバー２５の長手方向の基端部が前記電極ポスト２に押し当てられるカム面を有するロックカム部２５ｂとなっており、前記保護カバー３０は、前記ポスト巻き付け部２３に当接させたカバー基端部を支点にして先端部を押し倒すことによって前記端子金具２０を覆って収容可能な長箱形状に形成され、前記長箱形のカバー本体３１の基端縁に前記端子金具２０のポスト巻き付け部２３の縁端に当接させて押し倒しの支点となる金具ロック爪部３８が設けられ、また、カバー本体３１の上面一部を開口して前記ロックレバー２５が通り抜けできるキャップ収容長孔３４が形成され、このキャップ収容長孔３４を開閉可能に設けたレバー操作キャップ部３３を閉じる方向へ押し倒し操作して前記ロックレバー２５を垂直位置から水平位置のロック位置まで押し倒し可能であり、さらにそのレバー操作キャップ部３３の先端の外壁面に突設したキャップロック凸部３３ａを前記カバー本体３１の先端部に設けたキャップロック凹部３７に係合させることにより、レバー操作キャップ部３３をカバー本体３１に対してロック状態にするように構成してなり，前記長箱形の保護カバー３０の押し倒し方向への操作動作に前記ロックレバー２５を追従させてロック位置まで押し倒すことにより、保護カバー３０の内部に端子金具２０および前記ケーブル１０の端部を収容して絶縁保護するとともに、電極ポスト２に前記ポスト巻き付け部２３を巻き付けた端子金具２０がロック状態となるように構成したことを特徴とする。
【００１３】
以上の構成により、電極ポスト２に仮決めされた状態の端子金具２０に被せる方向へ保護カバー３０を押し倒し操作するだけで、それに連動して端子金具２０側のロックレバー２５が垂直位置から水平位置のロック位置となり、ロックレバー２５のロックカム部２５ｂのカム面で電極ポスト２を押圧すると、梃子力やカム作用力のモーメントが効いて堅固なロック状態にすることができる。
【００１４】
また、請求項３に記載のバッテリのケーブル端子接続構造は、前記保護カバー３０のカバー本体３１の側壁内面に、前記ロックレバー２５をこの下方から当接してロック状態にするレバーロック凸部３３ｃを設けたことを特徴とする。
ことを特徴とする請求項２又は３に記載のバッテリのケーブル端子接続構造。
【００１５】
以上の構成により、この場合も保護カバー３０のカバー本体内側にレバーロック凸部３３ｃを一体成形しておけば、このレバーロック凸部３３ｃによって端子金具２０側のロックレバー２５をロックすることができる。
【００１６】
また、請求項４に記載のバッテリのケーブル端子接続構造は、前記保護カバー３０のカバー本体３１の側壁内面に、前記ロックレバー２５をこの下方から当接してロック状態にするレバーロック凸部３３ｃを設けたことを特徴とする。
【００１７】
以上の構成により、この場合も保護カバー３０のカバー本体内側にレバーロック凸部３３ｃを一体成形しておけば、このレバーロック凸部３３ｃによって端子金具２０側のロックレバー２５をロックすることができる。
【００１８】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかるバッテリのケーブル端子接続構造の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【００１９】
図１〜図３は、本実施の形態によるケーブル端子接続構造を示している。バッテリ本体１の上面蓋部に正極（＋）用と負極（−）用の電力取出し端子である電極ポスト２が垂直に立ち上げて設けられている。
【００２０】
かかる正負両極の各電極ポスト２にそれぞれ対応するケーブル１０が端部に固着した端子金具２０を介して接続される。ケーブル１０の端部は絶縁体が剥離されて導体１１を露出させており、この導体１１に端子金具２０の金具本体２１の基端に設けたかしめ部２２がかしめなどして固着されている。
【００２１】
端子金具２０の金具本体２１は、先端が輪環状のポスト巻き付け部２３として形成され、そこから平行に戻る屈曲した形状となっている。ポスト巻き付け部２３は上記電極ポスト２に図の上方から落とし込むようにして巻き付けられるだけの内径を有し、このポスト巻き付け部２３の根元部となる金具本体２１に細長いロックレバー２５が基端部で支軸ピン２４を介して回動可能に軸支されている。レバー基端部はレバー本体２５ａの幅から出っ張ったロック・カム部２５ｂとして形成され、その外面はカム面として支軸ピン２４の中心軸線から偏心した婉曲形状となっている。
【００２２】
一方、上記端子金具２０およびケーブル１０の端部を含めて収容可能な大きさおよび形状の絶縁性の保護カバー３０が備わっている。
【００２３】
図１で明らかなように、この保護カバー３０は樹脂成形品であり、カバー本体３１の上面が閉塞された長箱形である。カバー本体３１の上面では、樹脂成形によって可能となるのであるが、レバー操作キャップ部３３が長手方向の基端部で薄肉ヒンジ部３２でつながって起き上がりできるよう形成されている。レバー操作キャップ部３２を起立させた跡のカバー本体３１の上面では、その長手方向に長く穿たれた形状のキャップ収容長孔３４が形成される。したがって、レバー操作キャップ部３３を水平方向の元位置に戻してキャップ収容長孔３４を埋めた形にすると、面一になってカバー本体３１の上面が平坦となる。
【００２４】
また、カバー本体３１の基端部は上記電極ポスト２と端子金具２０側のポスト巻き付け部２３を収容し得る円形空間を有するドーム形状となっており、そのドーム下縁に複数個の金具ロック爪部３８が内側に突出して成形されている。それらの金具ロック爪部３８は上記端子金具２０に設けたポスト巻き付け部２３の下端縁に引っかけて係合できるようになっている。
【００２５】
また、かかるレバー操作キャップ部３３は、図示のように先端部から後方へ断面コ字形のボックス形状となっており、その先端部前壁の外面に突出させてキャップロック凸部３３ａが設けられている。このキャップロック凸部３３ａは、カバー本体３１の上面が面一で平坦になっている状態で、そのカバー本体３１の長箱形先端の前壁に設けたキャップロック凹部３７に係合し、レバー操作キャップ部３３をカバー本体３１に対して面一にロック状態にできるようになっている。また、レバー操作キャップ部３３の先端部側壁の外面にも突出させてキャップロック凸部３３ｂが設けられ、カバー本体３１の先端部側壁に設けたキャップロック凹部３６に係合し、やはりレバー操作キャップ部３３をロック状態にする。
【００２６】
また、レバー操作キャップ部３３では、その先端部側壁の内面に突出させてレバーロック凸部３３ｃが設けられ、後述するように、上記ロックレバー２５のレバー本体２５ａをレバー操作キャップ部３３の内側に抱き込んで保持させた状態をロックできるようになっている。
【００２７】
さらに、レバー操作キャップ部３３においては、その先端部前壁に上記キャップロック凹部３７と並んでケーブル挿通口３５が設けられ、ここからケーブル１０を通して端子金具２０を保護カバー３０の内部に収容した形にできるようになっている。
【００２８】
次に、以上の構成による本実施の形態のケーブル端子接続構造について、バッテリ本体１上の電極ポスト２にケーブル１０を電気的に接続する組立態様および作用を説明する。
【００２９】
まず、図１に示すように、電極ポスト２に接続する作業に臨んで、あらかじめケーブル１０の端部の導体１１に端子金具２０がこのかしめ部２２を固着させて準備される。その際、端子金具２０のロックレバー２５は金具本体２１に対してほぼ垂直に起立させた状態でセットされている。そうした端子金具２０を先端部のポスト巻き付け部２３をバッテリ本体１上の電極ポスト２に落とし込むようにして巻き込むことにより、仮決めする。
【００３０】
続いて、保護カバー３０では、レバー操作キャップ部３３をカバー本体３１の上面から引き起こしてほぼ垂直位置にセットする。その状態で保護カバー３０のカバー本体３１の基端部ドーム下縁の金具ロック爪部３８を上記仮決め状態の端子金具２０のポスト巻き付け部２３の下端縁に引っかけて係合させる。そうした金具ロック爪部３８を回動支点にして保護カバー３０全体を、図でいう時計廻り方向へ押し倒しながら回動操作する。
【００３１】
保護カバー３０を押し倒し操作すると、その動作に追従して端子金具２０側のロックレバー２５が同方向へ引き倒され、支軸ピン２４を回動中心にして基端部のロック・カム部２５ｂがその外周カム面で電極ポスト２に押し当てられる。保護カバー３０の押し倒しによって、そのカバー本体３１の前端のケーブル挿通口３５がケーブル１０の端部付近に上からはまり込み、カバー本体３１の内部に包覆するようにして収容する。
【００３２】
この間の保護カバー３０の押し倒し操作にあっては端子金具２０との間に、従来例の図４で示されたレバー６のごとき連結部材が介在していない。それだけ、カバー本体３１は押し倒し操作中にぶれやふらつきによる偏り動作もなく、安定姿勢でもって操作できる。
【００３３】
また、ロック・カム部２５ｂが電極ポスト２に押し当て中、保護カバー３０側の金具ロック爪部３８が端子金具２０側のポスト巻き付け部２３の下端縁に咬み込む形で当接しているから、この当接部を梃子支点にしてロック・カム部２５ｂのカム面による電極ポスト２への押し当て力が高められる。すなわち、ロックレバー２５のレバー本体２５ａに保護カバー３０のカバー本体３１が押し倒される力が力点として働くと、梃子の作用により、支軸ピン２４が梃子支点となり、ロック・カム部２５ｂのカム面と、ポスト巻き付け部２３の下端縁に咬み込んだ金具ロック爪部３８が作用点としてそれぞれ作用する。
【００３４】
ロックレバー２５がほぼ水平方向に押し倒されると、電極ポスト２に対するロック・カム部２５ｂのロックが終了し、端子金具２０が電極ポスト２に強固に接続される。同時に、保護カバー３０側ではレバー操作キャップ部３３がカバー本体３１上面のキャップ収容長孔３４にはまり込んで面一になる。それにより、レバー操作キャップ部３３側の各キャップロック凸部３３ａ，３３ｂはカバー本体３１側の各キャップロック凹部３６，３７に凹凸嵌合する。
【００３５】
かかる凹凸嵌合と同期して、押し倒し動作中のレバー操作キャップ部３３とロックレバー２５とが相対的に位置ずれする。その間、レバー操作キャップ部３３がほぼ水平なロック位置に達するまで（図３参照）、ロックレバー２５のレバー本体２５ａをレバー操作キャップ部３３側のレバーロック凸部３３ｃが下方から当接することで保持する。
【００３６】
以上一連の動作で、保護カバー３０の押し倒し操作とほぼ一体的に端子金具２０側のロックレバー２５がロック位置へ回動することにより、端子金具２０の電極ポスト２に対する強固な結合と、その結合によるケーブル端子接続部全体の絶縁保護を確実に行うことができ、その間の作業も簡易かつ能率的である。
【００３７】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明にかかる請求項１に記載のバッテリのケーブル端子接続構造は、ケーブル端部に固着した端子金具とこれを収容保護する保護カバーは別体であり、両部材を連結する部材は設けられていないから、それだけ部品点数を削減できる。また、電極ポストに端子金具のポスト巻き付け部を落とし込んで仮決め状態から、保護カバーをそのポスト巻き付け部に引っかけて梃子支点にしながら押し倒し操作すれば、その動作に追従して端子金具側のロックレバーが電極ポストに押し当てられ、自動的に電極ポストと端子金具と保護カバーの３つの部材が三位一体でロックされる。すなわち、接続作業がほぼワンタッチで簡易に行え、しかも接続完了後に従来のように保護カバーが浮いたり跳ね上がる懸念もなく、電極ポストに接続状態の端子金具を確実に絶縁保護する。
【００３８】
また、請求項２に記載のバッテリのケーブル端子接続構造は、電極ポストに仮決め状態の端子金具に対して、被せる方向へ保護カバーを押し倒し操作するだけで、それに連動して端子金具側のロックレバーが垂直位置から水平位置のロック位置となり、ロックレバーのロックカム部のカム面で電極ポストを押圧すると、梃子力やカム作用力のモーメントが効いて堅固なロック状態にすることができる。
【００３９】
また、請求項３に記載のバッテリのケーブル端子接続構造は、保護カバーはプラスチック成形の特性を生かしてカバー本体にレバー操作キャップ部を起倒自在となるよう一体成形できるし、カバー本体とレバー操作キャップ部とを凹凸嵌合させるために、キャップロック凸部，凹部を型成形しておくだけであるから、嵌合やロックのために特別な機構部品を用いずとも端子金具の接続後の絶縁保護が簡易かつ確実に行うことができ、構造全体が非常にシンプルとなる。
【００４０】
また、請求項４に記載のバッテリのケーブル端子接続構造は、この場合も保護カバーのカバー本体内側にレバーロック凸部を一体成形しておけば、カバー本体の押し倒し動作に連動して端子金具側のロックレバーが押し倒されると同時にそのレバーロック凸部でロックでき、接続組立作業の簡易なワンタッチ操作を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明にかかる実施の形態のケーブル端子接続構造を示す分解斜視図である。
【図２】バッテリ本体上の電極ポストに仮決め状態の端子金具に対して保護カバーを被せてロック状態にする前の段階を示す側面断面図であり、図中二点鎖線で示すロックレバーの水平ロック状態を図３の矢印Ａ−Ａ線からの側面図で示している。
【図３】電極ポストに対して端子金具をこのロックレバーによって本締めして接続した態様を示す平面断面図である。
【図４】同図（ａ），（ｂ）は、従来構造における接続完了前の態様を示す部分断面による側面図と平面図である。
【符号の説明】
１ バッテリ本体
２ 正負極の電極ポスト
１０ ケーブル
１１ 導体
２０ 端子金具
２１ 金具本体
２２ かしめ部
２３ ポスト巻き付け部
２４ 支軸ピン
２５ ロックレバー
２５ａ レバー本体
２５ｂ ロック・カム部
３０ 保護カバー
３１ カバー本体
３２ 薄肉ヒンジ部
３３ レバー操作キャップ部
３３ａ，３３ｂ キャップロック凸部
３３ｃ レバーロック凸部
３４ キャップ収容長孔
３５ ケーブル挿通口
３６，３７ キャップロック凹部
３８ 金具ロック爪部
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に自動車搭載の電源バッテリにおいて、電線・ケーブル端末を正負両極の電極ポストに接続する部分のケーブル端子接続構造に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、この種のケーブル端子接続構造の従来例として特開平８−３３９８５１号公報に記載の装置がある。これを図４（ａ），（ｂ）で概略的に示す。
【０００３】
バッテリ本体１に正負両電極のポスト２が立ち上げてあって、それら正負極の両電極ポスト２に対応するケーブル３がこの端末の端子金具４を介して接続される。平面図の同図（ｂ）で明らかなように、端子金具４は、この金具本体４ａの末端に設けたかしめ部４ｂを、ケーブル端部の絶縁被覆を剥離して露出させた導体３ａにかしめなどして固着している。金具本体４ａの先端部は円形に形成されて平行に戻るポスト巻き付け部４ｃとなっており、このポスト巻き付け部４ｃを上記電極ポスト２に巻き付かせるようになっている。また、金具本体４ａの平行となっている部分には支軸ピン５が設けられている。支軸ピン５の一端側にはレバー６がこの長手方向の一端側で回動自在に軸支され、レバー６の他端部は支軸ピン７を介して箱形状の保護カバー８に回動自在に軸支されている。
【０００４】
かかる構造により、ケーブル接続作業に臨んで、端子金具４のポスト巻き付け部４ｃを電極ポスト２に巻き込むようにして上方から落とし込む。それから、保護カバー８を、同図（ａ）でいう右端部を押し下げるようにして時計廻り方向である矢印Ａ方向へ回動させる。このカバー押し下げ操作でレバー６が支軸ピン５の軸周りで回動し、端子金具４の金具本体４ａがポスト巻き付け部４ｃを縮径させる方向へ圧縮を受けて、電極ポスト２をきつく抱きしめる。このようにして、バッテリ本体１上の電極ポスト２にケーブル３を電気的に接続する。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この図４（ａ），（ｂ）の従来構造にあっては、次のいくつかの点に問題がある。
【０００６】
１つは、一般に端子金具はもともと単体でケーブル端部にかしめなどして固着されて次工程の機器接続に備えるのが、取り扱いには便利な面もある。ところが、かかる従来構造の端子金具４の場合、それにレバー６を介して箱形状の保護カバー８が連結されて一体化されている。そのため、電極ポスト２への接続に臨んでは、その複雑な端子金具側の一体化構造を取り扱うことになり、作業が非常に煩わしい。それにも増して、端子金具４，レバー６，保護カバー８、それに支軸ピン５，７といったように部品点数が多く、コスト的にも不利である。
【０００７】
また１つは、図４（ａ）の状態から保護カバー８を押し下げ、ポスト２に対してケーブル接続完了状態とした後でもロックが働かず、不用意に保護カバーが跳ね上がってしまって端子金具４が電極ポスト２から外れる事態が生じることである。
【０００８】
さらに、問題点の１つに、端子金具４と保護カバー８が直に結合しておらず、片側のレバー６を介してピンヒンジ構造となっていることである。したがって、特に支軸ピン７を支点にして保護カバー８の捻れや歪みが生じやすく、ケーブル接続完了後も不安定である。そのため、端子金具４の露出も考えられ、保護カバー８が絶縁機能を果たさない。
【０００９】
したがって、本発明の目的は、部品点数を削減して簡易な構造とすることで操作や取り扱い性を高め、ケーブル接続後は安定したロック状態を維持して所要の絶縁性を維持できるようにしたバッテリのケーブル端子接続構造を提供することにある。
【００１０】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明にかかる請求項１に記載のバッテリのケーブル端子接続構造は、バッテリ本体１に立ち上げて設けた正極および負極の各電極ポスト２に、ケーブル１０をこの端部に固着した端子金具２０を介して接続し、その接続部全体を絶縁性の保護カバー３０で覆って収容してなっているものであって，前記端子金具２０は、前記電極ポスト２を外側から締め付ける円環状のポスト巻き付け部２３を有し、このポスト巻き付け部２３による締め付けを押し倒し動作によってロック状態にするためのロックレバー２５を有し，前記保護カバー３０は、前記ポスト巻き付け２３部に当接させたカバー基端部を支点にして先端部を押し倒すことによって前記端子金具２０を覆って収容可能な長箱形状に形成され、前記長箱形のカバー本体３１の基端縁に前記端子金具２０のポスト巻き付け部２３の縁端に当接させて押し倒しの支点となる金具ロック爪部３８が設けられ、また、カバー本体３１の上面一部を開口して前記ロックレバー２５が通り抜けできるキャップ収容長孔３４が形成され、このキャップ収容長孔３４を開閉可能に設けたレバー操作キャップ部３３を閉じる方向へ押し倒し操作して前記ロックレバー２５を垂直位置から水平位置のロック位置まで押し倒し可能であり、さらにそのレバー操作キャップ部３３の先端の外壁面に突設したキャップロック凸部３３ａを前記カバー本体３１の先端部に設けたキャップロック凹部３７に係合させることにより、レバー操作キャップ部３３をカバー本体に対してロック状態にするように構成してなり，前記長箱形の保護カバー３０の押し倒し方向への操作動作に前記ロックレバー２５を追従させてロック位置まで押し倒すことにより、保護カバー３０の内部に端子金具２０および前記ケーブル１０の端部を収容して絶縁保護するとともに、電極ポスト２に前記ポスト巻き付け部２３を巻き付けた端子金具２０がロック状態となるように構成したことを特徴とする。
【００１１】
以上の構成によると、ケーブル端部に固着した端子金具２０と、これを収容保護する保護カバー３０は別体である。すなわち、両部材を連結する部材は設けられていないから、それだけ部品点数を削減でき、作業中の取り扱いも容易であるし、連結部材が介在したことで従来のように押し倒し中の保護カバー３０にぶれなどの偏り動作が解消できる。一方、電極ポスト２に端子金具２０のポスト巻き付け部２３を落とし込んで仮決め状態から、保護カバー３０をそのポスト巻き付け部２３に引っかけて支点にしながら押し倒し操作すれば、その動作に追従して端子金具２０側のロックレバー２５が電極ポスト２に押し当てられ、自動的に電極ポスト２と端子金具２０と保護カバー３０の３つの部材が三位一体でロックされる。すなわち、接続作業がほぼワンタッチで簡易に行え、しかも接続完了後に従来のように保護カバー３０が浮いたり跳ね上がる懸念もなく、電極ポスト２に接続状態の端子金具２０を確実に絶縁保護する。
さらに、保護カバー３０はプラスチック成形の特性を生かしてカバー本体３１にレバー操作キャップ部３３を起倒自在となるよう一体成形できるし、カバー本体３１とレバー操作キャップ部３３とを凹凸嵌合させるために、キャップロック凸部３３ａ，凹部３７を型成形しておくだけであるから、嵌合やロックのために特別な機構部品を用いずとも端子金具２０の接続後の絶縁保護が簡易かつ確実に行うことができ、構造全体が非常にシンプルとなる。
【００１２】
また、請求項２に記載のバッテリのケーブル端子接続構造は、バッテリ本体１に立ち上げて設けた正極および負極の各電極ポスト２に、ケーブル１０をこの端部に固着した端子金具２０を介して接続し、その接続部全体を絶縁性の保護カバー３０で覆って収容してなっているものであって，前記端子金具２０は、前記電極ポスト２を外側から締め付ける円環状のポスト巻き付け部２３を有し、このポスト巻き付け部２３による締め付けを押し倒し動作によってロック状態にするためのロックレバー２５を有し、前記ポスト巻き付け部２３の円環状根元部に支軸ピン２４を介して前記ロックレバー２５がほぼ垂直位置から水平位置のロック位置までのほぼ９０゜の角度範囲を押し倒し方向へ回動可能に軸支され、そのロックレバー２５の長手方向の基端部が前記電極ポスト２に押し当てられるカム面を有するロックカム部２５ｂとなっており、前記保護カバー３０は、前記ポスト巻き付け部２３に当接させたカバー基端部を支点にして先端部を押し倒すことによって前記端子金具２０を覆って収容可能な長箱形状に形成され、前記長箱形のカバー本体３１の基端縁に前記端子金具２０のポスト巻き付け部２３の縁端に当接させて押し倒しの支点となる金具ロック爪部３８が設けられ、また、カバー本体３１の上面一部を開口して前記ロックレバー２５が通り抜けできるキャップ収容長孔３４が形成され、このキャップ収容長孔３４を開閉可能に設けたレバー操作キャップ部３３を閉じる方向へ押し倒し操作して前記ロックレバー２５を垂直位置から水平位置のロック位置まで押し倒し可能であり、さらにそのレバー操作キャップ部３３の先端の外壁面に突設したキャップロック凸部３３ａを前記カバー本体３１の先端部に設けたキャップロック凹部３７に係合させることにより、レバー操作キャップ部３３をカバー本体３１に対してロック状態にするように構成してなり，前記長箱形の保護カバー３０の押し倒し方向への操作動作に前記ロックレバー２５を追従させてロック位置まで押し倒すことにより、保護カバー３０の内部に端子金具２０および前記ケーブル１０の端部を収容して絶縁保護するとともに、電極ポスト２に前記ポスト巻き付け部２３を巻き付けた端子金具２０がロック状態となるように構成したことを特徴とする。
【００１３】
以上の構成により、電極ポスト２に仮決めされた状態の端子金具２０に被せる方向へ保護カバー３０を押し倒し操作するだけで、それに連動して端子金具２０側のロックレバー２５が垂直位置から水平位置のロック位置となり、ロックレバー２５のロックカム部２５ｂのカム面で電極ポスト２を押圧すると、梃子力やカム作用力のモーメントが効いて堅固なロック状態にすることができる。
【００１４】
また、請求項３に記載のバッテリのケーブル端子接続構造は、前記保護カバー３０のカバー本体３１の側壁内面に、前記ロックレバー２５をこの下方から当接してロック状態にするレバーロック凸部３３ｃを設けたことを特徴とする。
ことを特徴とする請求項２又は３に記載のバッテリのケーブル端子接続構造。
【００１５】
以上の構成により、この場合も保護カバー３０のカバー本体内側にレバーロック凸部３３ｃを一体成形しておけば、このレバーロック凸部３３ｃによって端子金具２０側のロックレバー２５をロックすることができる。
【００１６】
また、請求項４に記載のバッテリのケーブル端子接続構造は、前記保護カバー３０のカバー本体３１の側壁内面に、前記ロックレバー２５をこの下方から当接してロック状態にするレバーロック凸部３３ｃを設けたことを特徴とする。
【００１７】
以上の構成により、この場合も保護カバー３０のカバー本体内側にレバーロック凸部３３ｃを一体成形しておけば、このレバーロック凸部３３ｃによって端子金具２０側のロックレバー２５をロックすることができる。
【００１８】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかるバッテリのケーブル端子接続構造の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【００１９】
図１〜図３は、本実施の形態によるケーブル端子接続構造を示している。バッテリ本体１の上面蓋部に正極（＋）用と負極（−）用の電力取出し端子である電極ポスト２が垂直に立ち上げて設けられている。
【００２０】
かかる正負両極の各電極ポスト２にそれぞれ対応するケーブル１０が端部に固着した端子金具２０を介して接続される。ケーブル１０の端部は絶縁体が剥離されて導体１１を露出させており、この導体１１に端子金具２０の金具本体２１の基端に設けたかしめ部２２がかしめなどして固着されている。
【００２１】
端子金具２０の金具本体２１は、先端が輪環状のポスト巻き付け部２３として形成され、そこから平行に戻る屈曲した形状となっている。ポスト巻き付け部２３は上記電極ポスト２に図の上方から落とし込むようにして巻き付けられるだけの内径を有し、このポスト巻き付け部２３の根元部となる金具本体２１に細長いロックレバー２５が基端部で支軸ピン２４を介して回動可能に軸支されている。レバー基端部はレバー本体２５ａの幅から出っ張ったロック・カム部２５ｂとして形成され、その外面はカム面として支軸ピン２４の中心軸線から偏心した婉曲形状となっている。
【００２２】
一方、上記端子金具２０およびケーブル１０の端部を含めて収容可能な大きさおよび形状の絶縁性の保護カバー３０が備わっている。
【００２３】
図１で明らかなように、この保護カバー３０は樹脂成形品であり、カバー本体３１の上面が閉塞された長箱形である。カバー本体３１の上面では、樹脂成形によって可能となるのであるが、レバー操作キャップ部３３が長手方向の基端部で薄肉ヒンジ部３２でつながって起き上がりできるよう形成されている。レバー操作キャップ部３２を起立させた跡のカバー本体３１の上面では、その長手方向に長く穿たれた形状のキャップ収容長孔３４が形成される。したがって、レバー操作キャップ部３３を水平方向の元位置に戻してキャップ収容長孔３４を埋めた形にすると、面一になってカバー本体３１の上面が平坦となる。
【００２４】
また、カバー本体３１の基端部は上記電極ポスト２と端子金具２０側のポスト巻き付け部２３を収容し得る円形空間を有するドーム形状となっており、そのドーム下縁に複数個の金具ロック爪部３８が内側に突出して成形されている。それらの金具ロック爪部３８は上記端子金具２０に設けたポスト巻き付け部２３の下端縁に引っかけて係合できるようになっている。
【００２５】
また、かかるレバー操作キャップ部３３は、図示のように先端部から後方へ断面コ字形のボックス形状となっており、その先端部前壁の外面に突出させてキャップロック凸部３３ａが設けられている。このキャップロック凸部３３ａは、カバー本体３１の上面が面一で平坦になっている状態で、そのカバー本体３１の長箱形先端の前壁に設けたキャップロック凹部３７に係合し、レバー操作キャップ部３３をカバー本体３１に対して面一にロック状態にできるようになっている。また、レバー操作キャップ部３３の先端部側壁の外面にも突出させてキャップロック凸部３３ｂが設けられ、カバー本体３１の先端部側壁に設けたキャップロック凹部３６に係合し、やはりレバー操作キャップ部３３をロック状態にする。
【００２６】
また、レバー操作キャップ部３３では、その先端部側壁の内面に突出させてレバーロック凸部３３ｃが設けられ、後述するように、上記ロックレバー２５のレバー本体２５ａをレバー操作キャップ部３３の内側に抱き込んで保持させた状態をロックできるようになっている。
【００２７】
さらに、レバー操作キャップ部３３においては、その先端部前壁に上記キャップロック凹部３７と並んでケーブル挿通口３５が設けられ、ここからケーブル１０を通して端子金具２０を保護カバー３０の内部に収容した形にできるようになっている。
【００２８】
次に、以上の構成による本実施の形態のケーブル端子接続構造について、バッテリ本体１上の電極ポスト２にケーブル１０を電気的に接続する組立態様および作用を説明する。
【００２９】
まず、図１に示すように、電極ポスト２に接続する作業に臨んで、あらかじめケーブル１０の端部の導体１１に端子金具２０がこのかしめ部２２を固着させて準備される。その際、端子金具２０のロックレバー２５は金具本体２１に対してほぼ垂直に起立させた状態でセットされている。そうした端子金具２０を先端部のポスト巻き付け部２３をバッテリ本体１上の電極ポスト２に落とし込むようにして巻き込むことにより、仮決めする。
【００３０】
続いて、保護カバー３０では、レバー操作キャップ部３３をカバー本体３１の上面から引き起こしてほぼ垂直位置にセットする。その状態で保護カバー３０のカバー本体３１の基端部ドーム下縁の金具ロック爪部３８を上記仮決め状態の端子金具２０のポスト巻き付け部２３の下端縁に引っかけて係合させる。そうした金具ロック爪部３８を回動支点にして保護カバー３０全体を、図でいう時計廻り方向へ押し倒しながら回動操作する。
【００３１】
保護カバー３０を押し倒し操作すると、その動作に追従して端子金具２０側のロックレバー２５が同方向へ引き倒され、支軸ピン２４を回動中心にして基端部のロック・カム部２５ｂがその外周カム面で電極ポスト２に押し当てられる。保護カバー３０の押し倒しによって、そのカバー本体３１の前端のケーブル挿通口３５がケーブル１０の端部付近に上からはまり込み、カバー本体３１の内部に包覆するようにして収容する。
【００３２】
この間の保護カバー３０の押し倒し操作にあっては端子金具２０との間に、従来例の図４で示されたレバー６のごとき連結部材が介在していない。それだけ、カバー本体３１は押し倒し操作中にぶれやふらつきによる偏り動作もなく、安定姿勢でもって操作できる。
【００３３】
また、ロック・カム部２５ｂが電極ポスト２に押し当て中、保護カバー３０側の金具ロック爪部３８が端子金具２０側のポスト巻き付け部２３の下端縁に咬み込む形で当接しているから、この当接部を梃子支点にしてロック・カム部２５ｂのカム面による電極ポスト２への押し当て力が高められる。すなわち、ロックレバー２５のレバー本体２５ａに保護カバー３０のカバー本体３１が押し倒される力が力点として働くと、梃子の作用により、支軸ピン２４が梃子支点となり、ロック・カム部２５ｂのカム面と、ポスト巻き付け部２３の下端縁に咬み込んだ金具ロック爪部３８が作用点としてそれぞれ作用する。
【００３４】
ロックレバー２５がほぼ水平方向に押し倒されると、電極ポスト２に対するロック・カム部２５ｂのロックが終了し、端子金具２０が電極ポスト２に強固に接続される。同時に、保護カバー３０側ではレバー操作キャップ部３３がカバー本体３１上面のキャップ収容長孔３４にはまり込んで面一になる。それにより、レバー操作キャップ部３３側の各キャップロック凸部３３ａ，３３ｂはカバー本体３１側の各キャップロック凹部３６，３７に凹凸嵌合する。
【００３５】
かかる凹凸嵌合と同期して、押し倒し動作中のレバー操作キャップ部３３とロックレバー２５とが相対的に位置ずれする。その間、レバー操作キャップ部３３がほぼ水平なロック位置に達するまで（図３参照）、ロックレバー２５のレバー本体２５ａをレバー操作キャップ部３３側のレバーロック凸部３３ｃが下方から当接することで保持する。
【００３６】
以上一連の動作で、保護カバー３０の押し倒し操作とほぼ一体的に端子金具２０側のロックレバー２５がロック位置へ回動することにより、端子金具２０の電極ポスト２に対する強固な結合と、その結合によるケーブル端子接続部全体の絶縁保護を確実に行うことができ、その間の作業も簡易かつ能率的である。
【００３７】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明にかかる請求項１に記載のバッテリのケーブル端子接続構造は、ケーブル端部に固着した端子金具とこれを収容保護する保護カバーは別体であり、両部材を連結する部材は設けられていないから、それだけ部品点数を削減できる。また、電極ポストに端子金具のポスト巻き付け部を落とし込んで仮決め状態から、保護カバーをそのポスト巻き付け部に引っかけて梃子支点にしながら押し倒し操作すれば、その動作に追従して端子金具側のロックレバーが電極ポストに押し当てられ、自動的に電極ポストと端子金具と保護カバーの３つの部材が三位一体でロックされる。すなわち、接続作業がほぼワンタッチで簡易に行え、しかも接続完了後に従来のように保護カバーが浮いたり跳ね上がる懸念もなく、電極ポストに接続状態の端子金具を確実に絶縁保護する。
【００３８】
また、請求項２に記載のバッテリのケーブル端子接続構造は、電極ポストに仮決め状態の端子金具に対して、被せる方向へ保護カバーを押し倒し操作するだけで、それに連動して端子金具側のロックレバーが垂直位置から水平位置のロック位置となり、ロックレバーのロックカム部のカム面で電極ポストを押圧すると、梃子力やカム作用力のモーメントが効いて堅固なロック状態にすることができる。
【００３９】
また、請求項３に記載のバッテリのケーブル端子接続構造は、保護カバーはプラスチック成形の特性を生かしてカバー本体にレバー操作キャップ部を起倒自在となるよう一体成形できるし、カバー本体とレバー操作キャップ部とを凹凸嵌合させるために、キャップロック凸部，凹部を型成形しておくだけであるから、嵌合やロックのために特別な機構部品を用いずとも端子金具の接続後の絶縁保護が簡易かつ確実に行うことができ、構造全体が非常にシンプルとなる。
【００４０】
また、請求項４に記載のバッテリのケーブル端子接続構造は、この場合も保護カバーのカバー本体内側にレバーロック凸部を一体成形しておけば、カバー本体の押し倒し動作に連動して端子金具側のロックレバーが押し倒されると同時にそのレバーロック凸部でロックでき、接続組立作業の簡易なワンタッチ操作を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明にかかる実施の形態のケーブル端子接続構造を示す分解斜視図である。
【図２】バッテリ本体上の電極ポストに仮決め状態の端子金具に対して保護カバーを被せてロック状態にする前の段階を示す側面断面図であり、図中二点鎖線で示すロックレバーの水平ロック状態を図３の矢印Ａ−Ａ線からの側面図で示している。
【図３】電極ポストに対して端子金具をこのロックレバーによって本締めして接続した態様を示す平面断面図である。
【図４】同図（ａ），（ｂ）は、従来構造における接続完了前の態様を示す部分断面による側面図と平面図である。
【符号の説明】
１ バッテリ本体
２ 正負極の電極ポスト
１０ ケーブル
１１ 導体
２０ 端子金具
２１ 金具本体
２２ かしめ部
２３ ポスト巻き付け部
２４ 支軸ピン
２５ ロックレバー
２５ａ レバー本体
２５ｂ ロック・カム部
３０ 保護カバー
３１ カバー本体
３２ 薄肉ヒンジ部
３３ レバー操作キャップ部
３３ａ，３３ｂ キャップロック凸部
３３ｃ レバーロック凸部
３４ キャップ収容長孔
３５ ケーブル挿通口
３６，３７ キャップロック凹部
３８ 金具ロック爪部
Claims (3)
- バッテリ本体に立ち上げて設けた正極および負極の各電極ポストに、ケーブルをこの端部に固着した端子金具を介して接続し、その接続部全体を絶縁性の保護カバーで覆って収容してなっているバッテリのケーブル端子接続構造であって，
前記端子金具は、前記電極ポストを外側から締め付ける円環状のポスト巻き付け部を有し、このポスト巻き付け部による締め付けを押し倒し動作によってロック状態にするためのロックレバーを有し，
前記保護カバーは、前記ポスト巻き付け部に当接させたカバー基端部を支点にして先端部を押し倒すことによって前記端子金具を覆って収容可能な長箱形状に形成され、前記長箱形のカバー本体の基端縁に前記端子金具のポスト巻き付け部の縁端に当接させて押し倒しの支点となる金具ロック爪部が設けられ、また、カバー本体の上面一部を開口して前記ロックレバーが通り抜けできるキャップ収容長孔が形成され、このキャップ収容長孔を開閉可能に設けたレバー操作キャップ部を閉じる方向へ押し倒し操作して前記ロックレバーを垂直位置から水平位置のロック位置まで押し倒し可能であり、さらにそのレバー操作キャップ部の先端の外壁面に突設したキャップロック凸部を前記カバー本体の先端部に設けたキャップロック凹部に係合させることにより、レバー操作キャップ部をカバー本体に対してロック状態にするように構成してなり，
前記長箱形の保護カバーの押し倒し方向への操作動作に前記ロックレバーを追従させてロック位置まで押し倒すことにより、保護カバーの内部に端子金具および前記ケーブルの端部を収容して絶縁保護するとともに、電極ポストに前記ポスト巻き付け部を巻き付けた端子金具がロック状態となるように構成したことを特徴とするバッテリのケーブル端子接続構造。 - バッテリ本体に立ち上げて設けた正極および負極の各電極ポストに、ケーブルをこの端部に固着した端子金具を介して接続し、その接続部全体を絶縁性の保護カバーで覆って収容してなっているバッテリのケーブル端子接続構造であって，
前記端子金具は、前記電極ポストを外側から締め付ける円環状のポスト巻き付け部を有し、該ポスト巻き付け部による締め付けを押し倒し動作によってロック状態にするためのロックレバーを有し、前記ポスト巻き付け部の円環状根元部に支軸ピンを介して前記ロックレバーがほぼ垂直位置から水平位置のロック位置までのほぼ９０゜の角度範囲を押し倒し方向へ回動可能に軸支され、前記ポスト巻き付け部による締め付けを押し倒し動作によってロック状態にするためのロックレバーを有し、該ロックレバーの長手方向の基端部が前記電極ポストに押し当てられるカム面を有するロックカム部となっており、先端部が自由端となっており，
前記保護カバーは、前記ポスト巻き付け部に当接させたカバー基端部を支点にして先端部を押し倒すことによって前記端子金具を覆って収容可能な長箱形状に形成され、前記長箱形のカバー本体の基端縁に前記端子金具のポスト巻き付け部の縁端に当接させて押し倒しの支点となる金具ロック爪部が設けられ、また、カバー本体の上面一部を開口して前記ロックレバーが通り抜けできるキャップ収容長孔が形成され、このキャップ収容長孔を開閉可能に設けたレバー操作キャップ部を閉じる方向へ押し倒し操作して前記ロックレバーを垂直位置から水平位置のロック位置まで押し倒し可能であり、さらにそのレバー操作キャップ部の先端の外壁面に突設したキャップロック凸部を前記カバー本体の先端部に設けたキャップロック凹部に係合させることにより、レバー操作キャップ部をカバー本体に対してロック状態にするように構成してなり，
前記長箱形の保護カバーの押し倒し方向への操作動作に前記ロックレバーを追従させてロック位置まで押し倒すことにより、保護カバーの内部に端子金具および前記ケーブルの端部を収容して絶縁保護するとともに、電極ポストに前記ポスト巻き付け部を巻き付けた端子金具がロック状態となるように構成したことを特徴とするバッテリのケーブル端子接続構造。 - 前記保護カバーのカバー本体の側壁内面に、前記ロックレバーをこの下方から当接してロック状態にするレバーロック凸部を設けたことを特徴とする請求項１ 又は２に記載のバッテリのケーブル端子接続構造。
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