JP3753093B2 - 車両用回転電機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、乗用車やトラック等に搭載される車両用回転電機に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年のエンジンルームは、車両走行抵抗の低減のためのスラントノーズ化や車室内居住空間の確保のニーズにより狭小化の傾向にあり、車両用交流発電機等の補機類の搭載スペースに余裕がなくなるとともに、車両用交流発電機の周囲の温度も高くなってきている。また、燃費向上のためにアイドリング時のエンジン回転数は下げられ、これに伴って車両用交流発電機の回転数も下がってきているが、その一方で安全制御機器等の電気負荷が増加している。したがって、小型、高出力の特に低回転領域での出力特性の優れた車両用交流発電機が求められている。
【0003】
また、車外騒音低減の社会的要請や車室内静粛性向上による商品性向上の狙いから、近年ますますエンジン騒音が低下してきており、比較的高速で回転する車両用交流発電機の回転によって生じるファン騒音や風切り音、発電時の磁気的騒音が耳障りな状況になってきている。高出力化、高効率化のためには、まず最大の発熱源である固定子において、巻線抵抗値を低減して熱損失を低減することが考えられる。このためには、断面積が大きい巻線導体を使用するとともに、固定子鉄心のスロット内での導体の占有面積率(以下、「占積率」と称する)を向上させることが必要である。
【0004】
占積率の向上に対しては、あらかじめスロット内に収納される導体を部分的にほぼ矩形形状断面となるように成形したり、断面形状がほぼ矩形形状の平角導体を用いる等の方法が考えられる。固定子巻線を平角導体で構成することにより、スロット内での占積率を向上させて固定子巻線の低抵抗化を図り、低回転領域での出力特性を改善した車両用交流発電機が知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、導体の一部の断面形状をほぼ矩形形状とする従来方法では、部分的に導体の断面形状を成形する工程が必要になるため、大幅なコストアップになるという問題があった。
【0006】
また、断面形状がほぼ矩形形状の平角導体を用いる従来方法では、この導体が収納される固定子鉄心が通常はプレス成形によって製造されることを考えると、スロットの四隅部分は、ある程度丸みを帯びることになるため、矩形形状断面を有する導体の周囲に隙間が生じ、スロット内での占積率を十分に向上させることができないという問題があった。この問題を解決するためには、実開昭56−17856号公報に開示された電機子のように、スロット内の内・外導体断面をR形状とすることが考えられる。しかし、この公報に開示された電機子の巻線を連続線で実現しようとすると、導線の成形工程や巻線工程で導体の向きを調整する必要が生じ、生産が困難であるだけでなく、大幅なコストの上昇を伴うことになる。
【0007】
また、平角導体は、特に角部において、丸形導体に対して絶縁被膜厚が不均一になり易く、また、タイヤによる跳ね上げや冷却風の流れに沿って車両用交流発電機の内部に侵入した異物の干渉によって、被膜が損傷し易い問題があり、丸形導体と同程度の耐久性を確保するためには、被膜材質を変更して耐傷性を向上させる等のコストアップを伴う何らかの対策が必要となる。
【0008】
また、平角導体で構成された固定子巻線のコイルエンド部を通風冷却する際には、冷却風の流れを乱し易く、車両用交流発電機のファン騒音を悪化させる要因ともなる。
上述した問題を解決するために、全ての平角導体の角部R寸法を所望の耐久性、静粛性を確保できるまで大きく設定することが考えられるが、一方ではスロット内での占積率を十分に向上させることができなくなるという問題が生じる。
【0009】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、ほぼ矩形断面を有する導体を用いて固定子巻線を構成した場合に、占積率の向上による高出力化、騒音低減、耐久性向上が可能であるとともに、生産性の向上によるコスト低減が可能な車両用回転電機を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、本発明の車両用回転電機は、回転駆動される回転子と、回転子と対向配置される固定子鉄心とこの固定子鉄心に装備された固定子巻線とを有する固定子と、回転子および固定子を支持するフレームとを備えており、固定子巻線は、ほぼ矩形断面形状を有する複数の電気導体で構成されており、固定子鉄心に形成されたスロットの最外層に配置された電気導体の外周側角部のR寸法と、スロットの最内層に配置された導体の内周側角部のR寸法の少なくとも一方を、それ以外の電気導体の角部のR寸法より大きくしている。スロット内の電気導体は、最外層の外周側角部と最内層の内周側角部の少なくとも一方がR形状に形成されているため、各スロットの四隅部分に生じる隙間を少なくすることができる。これにより、占積率が向上するため、固定子巻線の低抵抗化による高出力化が可能になる。また、スロット内壁面とセグメント導体との間の接触面積を増やすことができるため、熱伝導性が向上し、温度低減およびこれに伴うさらなる高出力化が可能になる。
【0011】
また、上述した固定子巻線は、固定子鉄心の軸方向端面より軸方向に突出する端部において、最内周側に配置される電気導体の内周側角部のR寸法と、最外周側に配置される電気導体の外周側角部のR寸法の少なくとも一方を、それ以外の電気導体の角部のR寸法より大きくすることが望ましい。これにより、タイヤによる跳ね上げや冷却風の流れに沿って車両用回転電機の内部に侵入した異物の干渉による絶縁被膜の損傷を抑制して、耐久性向上を図ることができる。また、最内周側および最外周側の間に配置されている電気導体は、最内周側および最外周側の電気導体の間で保護されており、被膜材質の品質レベルを落としてコストダウンを図ることも可能になる。
【0012】
また、上述した電気導体は、スロットに配置される2つの直線部と、2つの直線部をつなぐターン部とを含むほぼU字状のセグメント導体であり、他のセグメント導体と直線部の端部同士を接合することによって固定子巻線が構成されていることが望ましい。これにより、部分的に角部のR形状が異なる電気導体を容易に製造することができるため、生産性の向上およびこれに伴うコストの低減が可能になる。
【0013】
また、上述した電気導体の直線部は、スロット内において、最内層、最外層および最内層と最外層の間に配置される中間層をなして、径方向に一列で配置されていることが望ましい。これにより、電気導体同士の干渉を抑制して、占積率を向上させることができる。また、電気導体の周方向幅をスロットの周方向幅とほぼ等しく設定することで、スロットを形成している固定子鉄心の歯部に当接させて、熱伝達を行い、固定子巻線の放熱性を向上させることができる。
【0014】
また、上述したスロット内において、最内層に配置される直線部の内周側角部のR寸法および最外層に配置される直線部の外周側角部のR寸法は、中間層に配置される直線部の角部のR寸法より大きく、かつ、対向するスロットの内壁部のR寸法とほぼ等しいことが望ましい。これにより、最内層、最外層に配置される電気導体の放熱性を向上させることができ、さらに占積率を向上させることができる。また、電気導体と固定子鉄心の間に絶縁部材を介在させる構造や、固定子鉄心に絶縁塗装を施す構造においては、スロットの内壁のR部での電気導体の角部が干渉することで発生する応力を軽減することができるため、絶縁部材の破れ等の不具合も解消することができる。
【0015】
また、上述したスロット内において、最内層に配置される直線部の断面積および最外層に配置される直線部の断面積を、中間層に配置される直線部の断面積より小さくすることが望ましい。これにより、スロット内でスロット内壁面に接触する面積が比較的大きい最内層の導体と、最内層と最外層の間に位置してスロット内壁面に接触する面積が比較的小さい中間層の導体の温度を均一化することができ、部分的な発熱による絶縁皮膜の劣化を抑制することができる。
【0016】
また、上述した固定子鉄心の軸方向端面より軸方向に突出する端部において、最内周側に配置される電気導体の内周側角部のR寸法が、それ以外の電気導体の角部のR寸法より大きく設定されており、回転子は、少なくとも一方の端面に、固定子巻線の端部に送風する送風手段を有することが望ましい。スロットから露出した部分についても最内層の内周側角部がR形状に形成されているため、この部分に冷却風が流れてきたときに、乱流が発生しにくくなる。このため、冷却風の流れが円滑になり、固定子巻線のコイルエンド内部まで冷却風を導くことが容易となり、高い冷却性を実現するとともに、ファン騒音の低減が可能になる。
【0017】
また、上述した固定子鉄心の軸方向端面より軸方向に突出する端部において、最内周側に配置される電気導体の内周側角部のR寸法が、それ以外の電気導体の角部のR寸法より大きく設定され、回転子は、一方の端面に、固定子巻線の端部に送風する送風手段を有しており、他方の端面をフレームの吸入窓外周部の内壁面と対向した状態で接近させることが望ましい。これにより、内壁面にファンシュラウドの機能を持たせて回転子のポールコアのファン効果を増すことができるため、冷却ファン等からなる送風手段によって送風して冷却を行う場合に比べて、部品点数や加工工数を増やすことなく、同等の冷却性を達成することができ、高出力化が可能となる。また、さらなるファン騒音低減も可能になる。
【0018】
また、上述した回転子は、少なくとも一方の端面に、固定子巻線の端部に送風する送風手段を有しており、固定子鉄心の端部において、最内周側に配置される電気導体の断面積が他の電気導体の断面積より小さいことが望ましい。これにより、固定子の端部で外側に露出していて比較的冷却性が良い最内層の導体と、最内層と最外層の間に位置する比較的冷却性が悪い中間層の導体の温度を均一化することができ、部分的発熱による絶縁皮膜の劣化を抑制することができる。
【0019】
また、上述したスロットに収容された電気導体は、スロットの内壁面にほぼ全周において対向させて配列されていることが望ましい。固定子鉄心の内壁面と電気導体との接触面積が増すため、固定子巻線から固定子鉄心への熱伝導性を向上させることができ、固定子巻線の温度低減が可能になる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した一実施形態の車両用交流発電機について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施形態の車両用交流発電機の全体構成を示す図である。図1に示す車両用交流発電機1は、固定子2、回転子3、フレーム4、ブラシ装置5、整流装置6、リヤカバー7等を含んで構成されている。
【0021】
固定子2は、固定子鉄心22と、固定子鉄心22に形成された複数のスロット内に備わった電気導体としての複数のセグメント導体を相互に接合することにより形成された固定子巻線23と、固定子鉄心22と固定子巻線23との間を電気絶縁する絶縁部材としてのインシュレータ24とを備えている。固定子2の詳細については後述する。
【0022】
回転子3は、絶縁処理された銅線を円筒状かつ同心状に巻き回した界磁巻線31を、それぞれが6個の爪部を有するポールコア32によって、回転軸33を通して両側から挟み込んだ構造を有している。また、フロント側のポールコア32の端面には、フロント側から吸い込んだ冷却風を軸方向および径方向に吐き出す送風手段としての冷却ファン35が溶接等によって取り付けられている。同様に、リヤ側のポールコア32の端面には、リヤ側から吸い込んだ冷却風を径方向に吐き出す送風手段としての冷却ファン36が溶接等によって取り付けられている。また、回転軸33のリヤ側端部近傍には、界磁巻線31の両端に電気的に接続された2つのスリップリング37、38が形成されており、これらのスリップリング37、38を介してブラシ装置5から界磁巻線31に対して給電が行われる。
【0023】
フレーム4は、固定子2および回転子3を収容しており、回転子3が回転軸33を中心に回転可能な状態で支持されているとともに、回転子3のポールコア32の外周側に所定の隙間を介して配置された固定子2が固定されている。また、フレーム4は、固定子鉄心22の軸方向端面から突出した固定子巻線23に対向した部分に冷却風の吐出窓41を有し、軸方向端面に吸入窓42を有している。
【0024】
ブラシ装置5は、整流装置6から回転子3の界磁巻線31に励磁電流を流すためのものであり、回転子3の回転軸33に形成されたスリップリング37、38のそれぞれに押圧するブラシ51、52を有する。整流装置6は、三相の固定子巻線23の出力電圧である三相交流電圧を整流して直流の出力電力を得るためのものである。リヤカバー7は、リヤ側のフレーム4の外側に取り付けられるブラシ装置5、整流装置6、ICレギュレータ9等の電気部品を覆って、これらを保護するためのものである。
【0025】
上述した構造を有する車両用交流発電機1は、ベルト等を介してプーリ8にエンジン(図示せず)からの回転力が伝えられると回転子3が所定方向に回転する。この状態で回転子3の界磁巻線31に外部から励磁電圧を印加することにより、ポールコア32のそれぞれの爪部が励磁され、固定子巻線23に三相交流電圧を発生させることができ、整流装置6に設けられた出力端子60からは所定の直流電流が取り出される。
【0026】
次に、固定子2の詳細について説明する。図2は、固定子2の部分的な断面図である。
本実施形態の固定子鉄心22は、薄い鋼板を積層することにより形成されている。積層される各鋼板は、あらかじめプレス加工によってスロット25が形成されており、各スロット25間の歯先部26には周方向に磁束収集用突起部27が形成されている。このように、プレス加工によってスロット25を形成する場合には、各スロットの四隅部分28は所定の円弧形状(R形状)を有することになり、プレス型の寿命等を考慮すると、この円弧の半径(R寸法)を極端に小さくすることはできない。
【0027】
また、固定子鉄心22のスロット25に装備された固定子巻線23は、複数のセグメント導体により構成され、各スロット25には複数本(本実施形態では6本)の電気導体が収容されている。また、一のスロット25内の6本の電気導体は、固定子鉄心22の径方向について内側から第1層から第6層までが一列に配列されている。これら各層の電気導体は、ほぼU字状のセグメント導体の2本の直線部に対応している。第1層が最内層、第6層が最外層、それ以外の第2〜第5層が中間層に対応している。
【0028】
図3は、固定子巻線23を構成するセグメント導体の斜視図である。図3に示すように、セグメント導体231は、矩形断面を有する1本の直線状の電気導体をほぼU字状に折り曲げることにより形成され、2つの直線部231a、231bと、U字状の折り返し部分であるターン部231cと、これらの間をつなぐ斜行部231fとを有している。
【0029】
2つの直線部231a、231bは、1磁極ピッチ離れた2つのスロット25に収容される。例えば、一方の直線部231aが一のスロット25に収容されて第1層(最内層)の電気導体となる場合には、他方の直線部231bはこのスロット25と1磁極ピッチ離れた他のスロット25に収容されて第6層(最外層)の電気導体となる。また、一方の直線部231aが一のスロット25に収容されて第2層の電気導体となる場合には、他方の直線部231bはこのスロット25と1磁極ピッチ離れた他のスロット25に収容されて第5層の電気導体となる。一方の直線部231aが一のスロット25に収容されて第3層の電気導体となる場合には、他方の直線部231bはこのスロット25と1磁極ピッチ離れた他のスロット25に収容されて第4層の電気導体となる。
【0030】
このように、本実施形態では、2つの直線部231a、231bの径方向の間隔が異なる3種類のセグメント導体231が用いられている。各セグメント導体231は、各スロット25に収容された後に、2つの直線部231a、231bの反ターン部側が折り曲げられ、その端部が、さらに1磁極ピッチ離れた他のスロット25から延びる別のセグメント導体231の端部と接合される。このようにして複数のセグメント導体231の端部同士を接合することにより1相分の巻線が形成され、このような巻線を電気角で互いに120度ずらしたものを3種類備えることにより、一組の三相巻線となる。
【0031】
ところで、直線部231a、231bがスロット25の最内層と最外層に配置される一のセグメント導体231の内周側および外周側の角部のR寸法は、他のセグメント導体231の角部のR寸法より大きく設定されている。また、スロット25内においては、最内周側に配置されるセグメント導体231の内周側角部のR寸法と最外周側に配置されるセグメント導体231の外周部角部のR寸法は、他のセグメント導体231の角部のR寸法より大きく、かつ、スロット25の四隅部分28のR寸法とほぼ同一に設定されている。
【0032】
特に、本実施形態では、図3に示したように、1本の直線状の電気導体をほぼU字状に折り曲げることによりセグメント導体231が形成されるため、第1層の電気導体の内周側角部と第6層の電気導体の外周側角部は、この1本の直線状の電気導体において同じ側に配置されている。したがって、2箇所の角部の半径が大きな値に設定されるとともに、他の2箇所の角部がほぼ直角に形成された1本の直線状の電気導体をほぼU字状に折り曲げることにより、図2に示した第1層および第6層の電気導体を同時につくることができるため、生産性の向上によるコストの低減が可能になる。しかも、このセグメント導体231は、第2層から第5層までの各電気導体に対応する他のセグメント導体231と大きさが異なっているため、組み付け時における選別が容易であり、誤組み付けを防止することができる。
【0033】
このように、本実施形態の車両用交流発電機では、固定子鉄心22の各スロット25に第1層から第6層の電気導体が収容されており、この中で第1層の電気導体の内周側角部の形状と第6層の電気導体の外周側角部の形状がスロット25の四隅部分28の形状に合わせて円弧形状に形成されている。したがって、スロット25と各電気導体との間に生じる隙間をほどんどなくすことができ、占積率を高めることが可能になる。これにより、固定子巻線23の抵抗値を低減して熱損失を抑えることができ、高出力化を実現することができる。
【0034】
また、固定子鉄心22の端面から突出した固定子巻線23のコイルエンドに着目すると、回転子3と対向する第1層の電気導体の内径側角部が円弧形状に形成されているため、これらの角部が直角に近い形状を有する場合に比べて、冷却ファン35、36によって発生する冷却風が流れる際の通風抵抗が減少する。このため、ファン騒音の低減が可能になる。また、風量が増すため、固定子巻線23の温度低減が可能になる。
【0035】
また、固定子鉄心22の各スロット25内では、電気導体と固定子鉄心22の壁面との間の対向面積が増えるため、熱伝導性を向上させることができ、固定子巻線23のさらなる温度低減が可能になる。また、占積率が増すことにより、固定子2全体の剛性を高めることが可能になり、発電時に生じる磁気的騒音を低減することができる。
【0036】
さらに、第1層の電気導体の内周側角部をスロット25の四隅部分28の形状に合わせて円弧形状にすることにより、スロット25の内周側開口部が電気導体の平面部によって塞がれるため、固定子鉄心22の内周面をより円滑円筒面に近づけることができる。これにより、回転時にポールコア32によって発生する遠心風と固定子鉄心22内周の凹凸によって生じる風切り音を低減することができる。
【0037】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施形態では、図2に示したように各スロット25内に収容された電気導体の断面は長方形形状であり、その長辺側がスロット25の内周側開口部を塞ぐように配置されているが、図4に示すように、スロット25内において複数本の電気導体を径方向に沿って一列に配列するとともに、この短辺側がスロット25の内周側開口部を塞ぐように配置してもよい。
【0038】
このような長方形断面の電気導体の縦積み配列を採用する場合には、図2に示したような長方形断面の電気導体の横積み配列を採用した場合や正方形断面の電気導体を用いる場合に比べて、スロット25内における電気導体と固定子鉄心22の壁面との間の対向面積の割合を大きくすることができるため、固定子巻線23から固定子鉄心22への熱伝導性をさらに向上させることが可能になる。また、長方形断面の電気導体の縦積み配列を採用した場合には、固定子鉄心22から突出する固定子巻線23のコイルエンドの軸方向寸法を長くすることなく、すなわち固定子巻線23の抵抗値を増加させることなく、周方向に隣接する各電気導体間の隙間を増やすことができる。これは、1スロット当たりの電気導体数が4本の場合のコイルエンド形状の斜視図である図5からも明らかである。これにより、冷却ファン35、36によって生じる遠心方向の冷却風に対する通風抵抗を低減することができ、冷却風量の増加による冷却性の向上や高出力化が可能となる。なお、図6は図5に示した固定子巻線のコイルエンドの要部拡大図であり、図7は図6のVII−VII線拡大断面図である。これらの図で示すように、固定子鉄心22の軸方向端面より軸方向に突出する電気導体においても、最内周の角部と最外周の角部のR寸法が他の部分のR寸法よりも大きく設定されている。
【0039】
また、上述した実施形態では、固定子巻線23の抵抗値が大幅に下がることにより冷却性に余裕が生じるため、回転子3に設けられた冷却ファン35、36のいずれか一方を省略することができる。この場合に、部品点数や加工点数の低減により、コストダウンおよび小型化が可能になる。
【0040】
この場合に、例えば図8に示すように、冷却ファンが備わっていない回転子3のプーリ側端面を、フレーム4の吸入窓42の外周部の内壁面43に接近させて対向させることが望ましい。この内壁面43がファンシュラウドとし機能するため、ポールコア32の爪部の根本部分のファン能力が増す。これにより、冷却ファンを固定子2の両端面に設ける場合に比べて、部品点数や加工点数を低減するとともに、同等の冷却性能を実現することができる。
【0041】
また、上述した実施形態では、第1層の電気導体の内周側角部と第6層の電気導体の外周側角部のみを円弧形状に形成したが、図9に示すように、これらの各電気導体の全ての角部を円弧形状にしてもよい。この場合には、これらの電気導体に対応するセグメント導体の成形が容易になるとともに、直線状のセグメント導体をほぼU字状に折り曲げる際に方向性がなくなるため、生産性を向上させることができる。
【0042】
また、上述した実施形態では、車両用交流発電機について説明したが、セグメント導体を用いた固定子巻線を有する場合には車両用交流発電機以外の他の車両用回転電機に本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態の車両用交流発電機の全体構成を示す図である。
【図2】固定子の部分的な断面図である。
【図3】固定子巻線を構成するセグメント導体の斜視図である。
【図4】固定子の変形例を示す部分的な断面図である。
【図5】固定子巻線のコイルエンドを示す部分的な斜視図である。
【図6】図5に示した固定子巻線のコイルエンドの要部拡大図である。
【図7】図6のVII−VII線拡大断面図である。
【図8】車両用交流発電機の変形例を示す断面図である。
【図9】固定子の他の変形例を示す部分的な断面図である。
【符号の説明】
1 車両用交流発電機
2 固定子
3 回転子
4 フレーム
5 ブラシ装置
6 整流装置
7 リヤカバー
22 固定子鉄心
23 固定子巻線
25 スロット
26 歯先部
27 磁束収集用突起部
231 セグメント導体

Claims (10)

  1. 回転駆動される回転子と、前記回転子と対向配置される固定子鉄心とこの固定子鉄心に装備された固定子巻線とを有する固定子と、前記回転子および前記固定子を支持するフレームとを備える車両用回転電機において、
    前記固定子巻線は、ほぼ矩形断面形状を有する複数の電気導体で構成されており、
    前記固定子鉄心に形成されたスロットの最外層に配置された前記電気導体の外周側角部のR寸法と、前記スロットの最内層に配置された前記電気導体の内周側角部のR寸法の少なくとも一方を、それ以外の前記電気導体の角部のR寸法より大きくすることを特徴とする車両用回転電機。
  2. 請求項1において、
    前記固定子巻線は、前記固定子鉄心の軸方向端面より軸方向に突出する端部において、最内周側に配置される前記電気導体の内周側角部のR寸法と、最外周側に配置される前記電気導体の外周側角部のR寸法の少なくとも一方を、それ以外の前記電気導体の角部のR寸法より大きくすることを特徴とする車両用回転電機。
  3. 請求項1または2において、
    前記電気導体は、前記スロットに配置される2つの直線部と、前記2つの直線部をつなぐターン部とを含むほぼU字状のセグメント導体であり、他の前記セグメント導体と前記直線部の端部同士を接合することによって前記固定子巻線が構成されていることを特徴とする車両用回転電機。
  4. 請求項3において、
    前記電気導体の前記直線部は、前記スロット内において、最内層、最外層および前記最内層と前記最外層の間に配置される中間層をなして、径方向に一列で配置されていることを特徴とする車両用回転電機。
  5. 請求項4において、
    前記スロット内において、前記最内層に配置される前記直線部の内周側角部のR寸法および前記最外層に配置される前記直線部の外周側角部のR寸法は、前記中間層に配置される前記直線部の角部のR寸法より大きく、かつ、対向する前記スロットの内壁部のR寸法とほぼ等しいことを特徴とする車両用回転電機。
  6. 請求項5において、
    前記スロット内において、前記最内層に配置される前記直線部の断面積および前記最外層に配置される前記直線部の断面積を、前記中間層に配置される前記直線部の断面積より小さくしたことを特徴とする車両用回転電機。
  7. 請求項2において、
    前記固定子鉄心の軸方向端面より軸方向に突出する端部において、最内周側に配置される前記電気導体の内周側角部のR寸法が、それ以外の前記電気導体の角部のR寸法より大きく設定されており、
    前記回転子は、少なくとも一方の端面に、前記固定子巻線の端部に送風する送風手段を有することを特徴とする車両用回転電機。
  8. 請求項2において、
    前記固定子鉄心の軸方向端面より軸方向に突出する端部において、最内周側に配置される前記電気導体の内周側角部のR寸法が、それ以外の前記電気導体の角部のR寸法より大きく設定されており、
    前記回転子は、一方の端面に、前記固定子巻線の端部に送風する送風手段を有しており、他方の端面を前記フレームの吸入窓外周部の内壁面と対向した状態で接近させることを特徴とする車両用回転電機。
  9. 請求項1〜6のいずれかにおいて、
    前記回転子は、少なくとも一方の端面に、前記固定子巻線の端部に送風する送風手段を有しており、
    前記固定子鉄心の端部において、最内周側に配置される前記電気導体の断面積が他の前記電気導体の断面積より小さいことを特徴とする車両用回転電機。
  10. 請求項1〜9のいずれかにおいて、
    前記スロットに収容された前記電気導体は、前記スロットの内壁面にほぼ全周において対向させて配列されていることを特徴とする車両用回転電機。
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