JP3752658B2 - 建物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低階高であっても高天井高を確保することが可能な建物に関する。
【0002】
【従来の技術】
高さ制限のある地域に建物を設ける場合、制限内で階数を可及的に多くするためには各階の階高を小さくする必要がある。たとえば、高さ制限が10mとされる第1種住居専用地域に3階建ての建物を計画する場合、各階の階高は3.3m程度が限度となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、建物の階高を単に小さくした場合には天井高もそのまま小さくなって快適性や居住性を損なってしまうことがあるし、それを避けるために天井高を大きくしたり二重天井を省略して直天井仕上げとすると、設備関係機器類や配管配線類の設置や納まりが困難になる場合がある。
【0004】
上記事情に鑑み、本発明は低階高でも有効天井高を大きく確保することが可能な建物を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明の建物は、居室に隣接している廊下に面してダクトシャフトを設け、屋上に設けた空調機から、前記ダクトシャフト内に設けた竪ダクト、前記廊下の天井裏空間に設けた横引きダクト、廊下と居室との間にある大梁に設けた梁貫通孔、前記大梁の側面に取り付けた吹出口を通して居室内に給気を吹き出す構成とした建物であって、前記居室を前記廊下の片側に配置し、前記居室の天井面を直天井仕上げとするとともに、該居室の床面を直床仕上げとし、前記廊下に二重天井を設け、前記居室の両側に位置する柱をいずれも桁行方向の幅がスパン方向の幅に比して大きい偏平断面とし、前記柱間に架設したスパン方向の大梁を幅寸法が成寸法よりも大きい偏平断面とし、前記廊下に面して外周部に位置する柱を2本の単位柱を近接配置した組柱として、それら単位柱の間に前記ダクトシャフトを設けてなることを特徴とする。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1の発明の建物において、前記横引きダクトに可変風量制御装置を設けたことを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態を図1〜図3を参照して説明する。本実施形態の建物は鉄筋コンクリート造の3階建の学校であって、廊下1の片側に教室2(通常の授業を行うための普通教室)を並べて配置するという平面プランが採用されているものである。この建物は高さ制限が10mである第1種住居専用地域に建てられるものであり、図1および図3に示すように1階および2階の階高を3,250mm、3階の階高を3,350mm、1階の床レベルをGL+100mmとすることで全高を9,950mmとして制限内に収まるようにしている。
【0008】
図2における符号3,4は教室2の両側に位置する柱であり、これらの柱3,4としては桁行方向の幅がスパン方向の幅に比して十分に大きい偏平断面のものが用いられている。5は柱3,4間に架設されたスパン方向の大梁であり、この大梁5は幅寸法が成寸法よりも十分に大きい偏平断面のものとされている。6は柱3間に架設された桁行方向の大梁、7は大梁6と間柱8との間に架設された小梁である。9は廊下1の外周部に位置する柱であり、この柱9としては2本の単位柱9a,9aが近接配置された組柱が用いられ、それら2本の単位柱9aの間には、後述する竪ダクト10の設置スペースとしてのダクトシャフト11が設けられている。
【0009】
符号12は教室2間を区画している間仕切壁、図1における符号13は教室2と廊下1とを区画している間仕切壁である。これら間仕切壁12,13はたとえばスチール製のパーティション等の乾式工法によるものであって、必要に応じて撤去や位置変更を行い得るものである。14はバルコニーであり、このバルコニー14は冬季にはサンルームとして使用可能とされている。
【0010】
教室2の天井面は直天井仕上げとされて通常のような二重天井は設けられておらず、上階のスラブの下面に適宜の仕上げ(たとえばひる石吹き付け等)を施すのみとされている。また、教室2の床面もスラブの上面に適宜の床仕上げ材(たとえばフローリング等)を直貼りした直床仕上げとされている。そのような直天井仕上げ、直床仕上げとすることにより、スラブ厚と天井仕上げ、床仕上げに要する寸法は200mm足らずで済み、したがって上記のように階高を3,250mmと十分に小さく設定しても、大梁5および小梁7の位置を除いた部分における有効天井高は3,000mm以上と十分に大きく確保できるものとなっており、しかも大梁5を梁成の小さい偏平梁としているのでその梁下寸法も通常断面の梁の場合に比べて大きくなり、教室として十分に快適な環境が得られるものとなっている。
【0011】
ところで、各教室2には空調設備を設けるのであるが、上記のように教室2の天井を直天井として二重天井を省略しているために、通常のように空調機やダクト、配管等を二重天井内に隠蔽するようなことができず、それらを天井面に露出状態で設置することは見苦しいものであるし教室にはそぐわないものであるので許されず、したがってこの建物では教室2の空調設備として以下のような構成を採用している。
【0012】
すなわち、図1に示すように、屋上には空調機20が設けられるとともに主ダクト21が横引きされ、主ダクト21から分岐接続された上記の竪ダクト10が上記のダクトシャフト11内に設置されている。また、廊下1には簡易な二重天井が設けられてその天井裏空間には各教室2ごとに横引きダクト22が大梁6に添うように設けられ、その横引きダクト22は可変風量制御装置23(いわゆるVAVユニット)を介して竪ダクト10に接続されている。そして、上記の大梁6には梁貫通孔24が設けられてその側面には吹出口25であるノズルが設けられ、空調機20からの給気は主ダクト21、竪ダクト10、横引きダクト22、梁貫通孔24を通して吹出口25から教室2内に吹き出されるようになっている。教室2からの還気は廊下1の要所に設けた還気用の竪ダクト(図示せず)により空調機20に戻すようにすれば良い。また、教室2に対する換気のために空調機20には所要量の外気を取り込むようにすれば良い。
【0013】
上記のような空調設備を採用することにより、教室2内に二重天井を設けずとも空調設備を支障なく設置できて冷暖房および換気を支障なく行うことができ、それ故にこの建物では上記のように教室2の天井を直天井とすることが可能となって、低階高であっても有効天井高を十分に大きくすることができたのである。
【0014】
特に、上記実施形態では教室2ごとに可変風量制御装置23を設置したので、教室2ごとに最適な温度制御が可能であり、通常の定風量温度制御方式に比較して省エネルギー効果も得られる。ただし、本発明における空調方式やその制御方式は上記実施形態に限定されるものではなく適宜の変更が可能である。
【0015】
また、上記実施形態は低階高で高天井高が必要とされる建物として第1種住居専用地域に設ける3階建ての学校を対象としたが、本発明はそれに限らず、任意の用途、規模、構造、形態の建物に広く適用できることはいうまでもない。
【0016】
【発明の効果】
請求項1の発明の建物は、居室に隣接している廊下に面してダクトシャフトを設け、屋上に設けた空調機からダクトシャフト内に設けた竪ダクト、廊下の天井裏空間に設けた横引きダクト、廊下と居室との間にある大梁に設けた梁貫通孔、大梁の側面に取り付けた吹出口を通して居室内に給気を吹き出す構成とし、特に、居室を廊下の片側に配置し、居室の天井面を直天井仕上げとするとともにその床面を直床仕上げとし、廊下に二重天井を設け、居室の両側に位置する柱をいずれも偏平断面とするとともに、それら柱間に架設したスパン方向の大梁を偏平断面とし、廊下に面して外周部に位置する柱を2本の単位柱を近接配置した組柱としてそれら単位柱の間にダクトシャフトを設けたので、教室に対する空調を支障なく行うことができるとともに、教室を直天井仕上げとすることが可能となり、それ故に低階高で高天井高の建物を実現することができる。
【0017】
請求項2の発明は、横引きダクトに可変風量制御装置を設けたので、最適な制御が可能であるし省エネルギー効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態である建物の概略構成を示す側断面図である。
【図2】 同、平面図(梁伏図)である。
【図3】 同、部分正断面図である。
【符号の説明】
1 廊下
2 教室(居室)
3,4 柱
5 大梁
6 大梁
9 柱(組柱)
9a 単位柱
10 竪ダクト
11 ダクトシャフト
20 空調機
21 主ダクト
22 横引きダクト
23 可変風量制御装置(VAVユニット)
24 梁貫通孔
25 吹出口

Claims (2)

  1. 居室に隣接している廊下に面してダクトシャフトを設け、屋上に設けた空調機から、前記ダクトシャフト内に設けた竪ダクト、前記廊下の天井裏空間に設けた横引きダクト、廊下と居室との間にある大梁に設けた梁貫通孔、前記大梁の側面に取り付けた吹出口を通して居室内に給気を吹き出す構成とした建物であって、
    前記居室を前記廊下の片側に配置し、
    前記居室の天井面を直天井仕上げとするとともに、該居室の床面を直床仕上げとし、
    前記廊下に二重天井を設け、
    前記居室の両側に位置する柱をいずれも桁行方向の幅がスパン方向の幅に比して大きい偏平断面とし、
    前記柱間に架設したスパン方向の大梁を幅寸法が成寸法よりも大きい偏平断面とし、
    前記廊下に面して外周部に位置する柱を2本の単位柱を近接配置した組柱として、それら単位柱の間に前記ダクトシャフトを設けてなることを特徴とする建物。
  2. 請求項1記載の建物において、前記横引きダクトに可変風量制御装置を設けたことを特徴とする建物。
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