JP3751247B2 - 合成ガス製造触媒及びその製造方法、並びに合成ガス製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はメタノールを分解して水素を含む合成ガスを製造する方法と、その方法に用いる触媒及びその触媒の製造方法に関するものである。
水素、一酸化炭素及びそれらを含む合成ガス(COとH2の1:2又は任意の組成の混合ガス)は化学工業の原料であるだけでなく、水素は今後の燃料電池の原料として重要なものである。
水素(合成ガスを含む)を製造する方法の1つとして、メタノールを分解する方法が検討されている。メタノールから水素製造を行なうプロセスは自動車用燃料電池の水素源としても期待されている。
【0002】
【従来の技術】
メタノールから水素を製造する際に触媒が使用されるが、その触媒で最も活性なものとしては、Pt/CeO2(Imamura et al., Catalysis Today, 50 (1999) 369)、Pd/CeO2(Matsumura et al, J. Mol. Catal., A, 153(2000) 165) などが知られている。Ni触媒も知られており、Niの担持量が40%と高いのものが報告されている(Matsumura et al. J. Mol. Catal., A, 152(2000) 157)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
PtやPdを用いる触媒の問題点は高価な貴金属を使用することである。
そこで、高価な貴金属を使用しない触媒を考えると、Ni触媒が候補に挙がる。Ni触媒の担体としては、一般的なものとしてSiO2やAl2O3がまず考えられる。しかし、これらの担体を用いたNi触媒では、メタノールを分解してCOとH2を生成させることはできるが、生成したCOとH2からメタンが生成し、水素の選択率が低下する問題がある。
本発明は、メタノールを分解して水素を生成させるのに効果的に作用する担体を用いたNi触媒及びその製造方法、並びにその触媒を用いた合成ガスの製造方法を提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記目的を達成するために、Ni触媒の新しい担体について検討を加え、ダイヤモンドが優れた性能を示すことを見いだした。
本発明の触媒は、メタノールを分解して合成ガスを製造するための触媒であって、ダイヤモンドを担体とし、その表面に触媒金属としてはニッケルのみを担持したことを特徴とする合成ガス製造触媒である。
その合成ガス製造触媒は、酸化ダイヤモンドを担体として、ニッケル塩を含浸担持した後、水素還元することにより製造することができる。
【0005】
市販のダイヤモンド表面は完全に炭素のみでなく、酸素などが付いている。そこで、ダイヤモンド表面を均一化するために高温の水素ガスで処理すると、ダイヤモンドの最表面の炭素に水素がつく。その状態のものを「水素化ダイヤモンド」という。水素化ダイヤモンドを所定の条件で酸化すると、見かけ上、最初の市販品と余り変わりがないが、一定の処理を施しているので、市販品のロットなどの影響を受けないで本反応に最適なダイヤモンドを調製することができる。
【0006】
本発明の合成ガスの製造方法は、ダイヤモンドを担体とし、その表面にニッケルを担持した触媒の存在下でメタノールを分解することを特徴とする方法である。
本発明では下記の式(1)によってメタノールを分解し、合成ガスを製造する。その際、本発明の触媒を使用すると、反応温度250〜300℃の比較的低温でも迅速に合成ガスを生成することができる。
【0007】
触媒
CH3OH → CO + 2H2 (1)
本発明の触媒は、担体として熱伝導性の優れたダイヤモンドを用いていることによって、始動時に低温から短時間で水素を発生させることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
触媒の全重量に対するニッケルの担持範囲がNiOとして0.1wt%から20wt%の範囲であることが好ましい。ニッケルの担持量がこの範囲よりも小さくなると触媒活性が低下して反応速度が低下する。また、ニッケルの担持量がこの範囲よりも大きくなるとダイヤモンド担体の特性が損なわれ、生成したCOとH2からメタンが生成し、水素の選択率が低下してくる。
担体のダイヤモンドは、粉末でも単結晶でもよい。粉末には単結晶も含まれているが、結晶が合体したようなものや、欠陥のあるものも含まれている。一方、単結晶は欠陥のないものを指している。
本発明の製造方法においては、メタンの生成を抑えるためには、原料メタノールの分解の際に水を共存させることが好ましい。
【0009】
【実施例】
触媒調製:
実施例で使用した触媒は次のようにして調製した。
工業用ダイヤモンド粉末(平均粒子径0.5μm)の表面を清浄にするため、酸洗浄を行い、乾燥後、水素気流下900℃において1時間処理し、水素化ダイヤモンドを得た。この水素化ダイヤモンドを空気気流下450℃にて1時間酸化処理した。
この酸化処理したダイヤモンドの所定量を、所定量の硝酸ニッケルの水溶液に一昼夜浸漬した後、過剰の水を蒸発させ、乾燥後、空気気流下400℃で焼成を行なって金属塩を酸化物に変換して、酸化ダイヤモンド担持触媒を調製した。
この触媒は、使用直前に水素気流下400〜500℃で還元したものを用いた。最適水素還元温度は500℃であった。
なおここに記した実験例は一例であって、温度や反応時間は厳密にこの温度や時間を必要とするものではない。
【0010】
反応の方法:
実施例における反応は固定床流通系反応装置を用いた。上記のように調製した触媒を粉末のままで、200mgを反応管に充填し反応に供した。反応管は内径10mm、長さ250mmの石英ガラス製反応管であり、触媒充填後、縦型電気炉に設置した。反応管の内部に挿入した熱電対により触媒層の温度を測定するとともに電気炉の温度を制御した。
【0011】
反応にあたり、アルゴンを不活性ガスとしてメタノール蒸発器に通じ、原料をアルゴンに同伴させて反応管に供給した。
生成ガスは未反応メタノールをトラップに捕集した後、ガス状生成物をオンラインガスクロマトグラフにより成分分析し、あらかじめ作成した検量線により定量した。
【0012】
反応系に水を共存させる反応では、メタノールとともに水を供給し、触媒層でメタノールと反応させた。反応生成物は出口に設けた水分離器により水蒸気を凝縮させた後、未反応メタノールをトラップに捕集した後、ガス状生成物をオンラインガスクロマトグラフにより成分分析し、あらかじめ作成した検量線により定量した。
合成ガスを実機の規模で製造するときは、メタノールを直接ポンプにより触媒層へ供給するようにすればよい。
【0013】
(実施例1)
種々の担体に担持したニッケル触媒を用いてメタノールを分解して合成ガスを得た結果を表1に示す。
【表1】
表1のデータを得た反応条件は次の通りである。触媒担持量は上に示したように200mgで、酸化物NiOに換算した触媒成分の担持量は5wt%である。使用直前の水素還元は500℃で1時間行なった。反応温度は300℃、反応時間は1時間で、メタノール供給量は10〜11mmol/時間とした。
【0014】
実験番号1はダイヤモンド担持Ni触媒を用いたときの結果である。メタノール転化率78.9%と高いメタノール転化率を与え、水素と一酸化炭素の比も1.7と高い値を示した。メタンや二酸化炭素などの副生成物も少なく、良好な触媒であることが示されている。
【0015】
(比較例1)
表1の実験番号2から8に他の担体を用いて実施例1と同じ反応条件でメタノールを分解し、Ni触媒の担体の影響を調べた。その結果、シリカ(SiO2)を除いて、ダイヤモンドを担体に用いた実施例の触媒が最も高い活性が得られた。
ただし、シリカを担体に用いたときには、反応後に触媒層が黒く変色しており、炭素質が析出することが分かった。
このことから、ダイヤモンドは本反応に最適の担体である。
【0016】
(実施例2)
本発明のダイヤモンド担持Ni触媒において、Ni担持量を変化させたときの反応の結果を表2に示す。反応条件は、Ni担持量以外は実施例1における反応条件と同じである。実験番号1は表1に示したものである。
【表2】
その結果、Ni担持量の増加に伴いメタノール転化率は増大し、NiO担持量9wt%の時に100%転化した。しかし、メタンの生成量が増加し水素の割合が低下した。
【0017】
(実施例3)
ダイヤモンド担持Ni触媒を用いたメタノールの分解を反応温度を変えて行なった結果を表3に示す。ダイヤモンド担持Ni触媒としてはNi担持量が酸化物換算で5wt%のものを用い、反応温度を除いて実施例1での反応と同じ反応条件で反応を行なった。
【表3】
反応温度325oCにおいて、転化率100%に達したが水素の収率は低下しメタンが生成した。反応温度は300oCが最適であった。
【0018】
(比較例2)
ダイヤモンド担持Ni触媒がメタノール分解に高活性を示すことは上記の実施例で分かったが、ダイヤモンド担体を用いた他の金属触媒について探索を行なった結果を表4の実験番号13から18に示す。表4中の実験番号12−3は表3に示した実施例である。反応条件は、触媒金属以外は実施例1のものと同じであり、触媒担持量はすべて酸化物換算で5wt%とした。
【表4】
表4の結果から、この反応の触媒金属としてはNiが最適であることが分かった。
【0019】
(実施例4)
この反応系において水を共存させたときの効果を調べるために、メタノールと水を同時にダイヤモンド担持Ni触媒上に供給した。実施例1と同反応条件とし、モル比で1:1の割合で水とメタノールの混合液を触媒上に供給した。
あらかじめ水素還元した200mgの5wt%ダイヤモンド担持Ni触媒上へ325℃において1時間に11mmolのメタノールと水をそれぞれ供給した。メタノールの転化率は100%となり、20mmolのH2と9mmolのCOと0.17mmolのメタンが生成し、水を供給しなかったときにメタンの生成量が著しく高温で増加したのに対して、水がメタンの生成を著しく抑制する作用をしていることが分かった。
【0020】
【発明の効果】
本発明では、ダイヤモンドを担体とし、その表面にニッケルを担持した触媒を用いてメタノールを分解し、合成ガスを製造するようにしたので、高いメタノール転化率を与え、水素と一酸化炭素の比も高い値を示し、メタンや二酸化炭素などの副生成物も少なく、良好な反応を行なうことができる。
本発明の触媒を使用してメタノールから合成ガスを製造すれば、小規模な合成ガス、水素の製造にも適し、移動体用燃料電池の水素源として車載可能な水素発生源とすることができるなどの利点を備えた合成ガス製造方法とすることができる。
Claims (5)
- メタノールを分解して合成ガスを製造するための触媒であって、
ダイヤモンドを担体とし、その表面に触媒金属としてはニッケルのみを担持したことを特徴とする合成ガス製造触媒。 - 触媒の全重量に対するニッケルの担持範囲がNiOとして0.1wt%から20wt%の範囲である請求項1に記載の合成ガス製造触媒。
- 請求項1又は2に記載の合成ガス製造触媒を製造する方法であって、
ダイヤモンドを担体として、ニッケル塩を含浸担持した後、水素還元することを特徴とする合成ガス製造触媒の製造方法。 - 請求項1又は2に記載の合成ガス製造触媒の存在下でメタノールを分解して合成ガスを製造することを特徴とする合成ガスの製造方法。
- 原料メタノールの分解の際に水を共存させる請求項4に記載の合成ガスの製造方法。
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