JP2001246258A - メタノールの部分酸化反応による水素製造触媒及びその製造法 - Google Patents

メタノールの部分酸化反応による水素製造触媒及びその製造法

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JP2001246258A JP2000061037A JP2000061037A JP2001246258A JP 2001246258 A JP2001246258 A JP 2001246258A JP 2000061037 A JP2000061037 A JP 2000061037A JP 2000061037 A JP2000061037 A JP 2000061037A JP 2001246258 A JP2001246258 A JP 2001246258A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 メタノールの部分酸化反応による水素製造触
媒及びその製造法を提供する。 【解決手段】 Cu,Zn,Alの各硝酸塩水溶液の混
合物とNaOH水溶液及びNaCO3 水溶液を反応させ
て、共沈法により沈澱物を生成させ、これをエージン
グ、濾過、洗浄、乾燥してCuZnAl層状複水酸化物
からなる触媒前駆体を調製し、次いで、これを空気雰囲
気で熱分解してCuZnAl酸化物を得ることを特徴と
するCuZnAl酸化物触媒の製造方法、前記の方法で
製造したCuZnAl酸化物触媒、及びこのCuZnA
l酸化物触媒を用いて、メタノールを空気共存下での部
分酸化反応により水素ガスに変換することを特徴とする
水素ガスの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、新規なCuZn
Al酸化物触媒、その製造方法、及びこの触媒を用い
て、メタノールの部分酸化反応により水素を製造する方
法に関するものであり、さらに詳しくは、メタノールの
部分酸化反応による水素の製造法において、COを全く
含まない、あるいは極僅かなCOしか含まない水素ガス
の生成を可能とする、新しいCuZnAl酸化物触媒、
この触媒をハイドロタルサイト様層状複水酸化物から製
造する方法、及びこの触媒を用いて、高い選択率で水素
ガスを製造する方法に関するものである。本発明は、新
規CuZnAl酸化物触媒、この触媒をハイドロタルサ
イト様層状複水酸化物の熱分解により調製する方法、及
びこの触媒を用いたメタノールの空気共存下での部分酸
化反応による水素製造法を提供する。
【0002】
【従来の技術】化石燃料の枯渇が危惧される中、今日、
化石燃料に変わる新エネルギー源として水素が注目され
ている。水素は燃料電池の燃料となり、電気エネルギー
に変えられる。この場合、発電後の廃棄物は水のみであ
り、地球温暖化対策の点からもクリーンなエネルギー源
である。また、環境に負荷を与える窒素酸化物、イオウ
酸化物、炭化水素等も排出されず、環境に優しいエネル
ギー源である。燃料電池は大型で大出力の固定式及び小
型で軽量の移動式の両方式が有るが、自動車等での使用
が検討されている燃料電池は後者の移動式である。ここ
で問題となるのは、如何にして水素を得るかということ
である。その解決策の一つは、触媒を用いた以下のいづ
れかの反応により、メタノールから水素を得る方法であ
る。 (1)メタノールの分解反応 CH3OH ⇔ 2H2 + CO △H = +92.0kJ/mol (2)メタノールの水蒸気改質反応 CH3OH + H2O ⇔ 3H2 + CO2 △H = +49.4kJ/mol (3)メタノールの部分酸化反応 CH3OH + (1/2)O2 ⇔ 2H2 + CO2 △H = −192.2kJ/mol △H :反応熱
【0003】上記反応で、得られた水素を燃料電池に導
入して電気に変換する際、ガス中にCOが痕跡(20p
pm)程度でも含まれると、それが燃料電池のPt電極
にダメージを与え、出力が急激に低下するという問題が
ある。したがって、水素ガス中にはCOが含まれないこ
とが望まれる。ところが、(1)の反応では水素と共に
大量のCOが生成し、(2)の反応でも(1)の反応ほ
どではないが、100ppm以上のCOが生成する。ま
た、(3)の反応でも数10ppmのCOが生成し、そ
のままでは燃料電池の燃料としては使用出来ない。水素
ガス中のCOを除去するために、水蒸気を導入する、水
性ガスシフト(water−gas shift)反応
(WGSR)(4)又は酸化反応(5)が行われるが、
それに伴い、装置の大型化及びコスト高になるという新
たな問題が生じる。この(4)及び(5)の反応式を以
下に示す。 (4)COの水性ガスシフト反応 CO + H2O ⇔ H2 + CO2 (5)COの酸化反応 CO + (1/2)O2 ⇔ CO2
【0004】したがって、新規触媒の開発によりCOを
発生させない水素製造法が待たれるところである。とこ
ろで、メタノールの部分酸化反応による水素製造方法と
して、CuOZnO触媒を使用する方法がある(T. Hua
ng and S. Wang, Appl. Catal., Vol.24,(1986) p.287.
)。この方法は、Cu:Zn(wt%)比=82:1
8〜7:93にてテスト実施した結果、Cu:Zn=4
0:60の触媒が、反応温度220〜290℃で最も高
活性を示した。しかし、触媒の活性劣化が1時間以内に
急速に生じた。また、酸素/メタノール比の増加と共に
CO濃度が増加した。
【0005】また、CuZn酸化物、CuZnAl酸化
物触媒による方法(L. Alejo, R. lago, M. A. Pena an
d J. L. G. Fierro, Appl. Catal., Vol.162 (1997) p.
281.)がある。このCuZn−酸化物触媒は、Cu:Z
n=20:80〜40:60であり、CuZnAl酸化
物−触媒は、Cu:Zn:Al=40:55:15であ
る。ここでは、触媒前駆体:Zn5 (CO32 (O
H)6 、Cu2 (CO3 )(OH)2 、Zn3 Cu2
(CO32 (OH)6 の混合物が加熱後ZnO,Cu
O混合物となる。反応温度は200〜230℃であり、
酸素/メタノール比は0.06である。さらに、Pd担
持ZnO触媒による方法(M. L. Cubeiro and J. L. G.
Fierro, J. Catal., Vol.179 (1998) p.150. )があ
る。このPd担持ZnO触媒のPd濃度は1〜5wt%
であり、反応温度は230〜270℃である。しかし、
この方法は、非常に高濃度(20〜40mol%)のC
Oを副生する。このように、従来、メタノールの部分酸
化反応による水素製造方法が種々報告されているが、C
Oを発生させない水素製造法としてはさらに改良すべき
問題があり、その開発が強く求められる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このような状況の中
で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、メタノール
の部分酸化反応による高選択率の水素製造法を開発する
ことを目標として鋭意研究を進めたところ、(1) ハイド
ロタルサイト様層状複水酸化物を共沈法で作製し、それ
を約450℃で加熱することによりCuZnAl酸化物
触媒を調製する方法を見出し、また、(2) このCuZn
Al酸化物触媒を用いて、メタノールの部分酸化反応を
行ったところ、COを全く含まない、あるいは極僅かな
COしか含まない水素ガスの生成に成功し、本発明を完
成するに至った。すなわち、本発明は、メタノールの部
分酸化反応による水素製造に用いる新規CuZnAl酸
化物触媒を提供することを目的とするものである。ま
た、本発明は、この触媒を用いて、COを発生させない
水素ガスを製造する方法を提供することを目的とするも
のである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明は、以下の技術的手段から構成される。 (1)Cu,Zn,Alの各硝酸塩水溶液の混合物とN
aOH水溶液及びNaCO3 水溶液を反応させて、共沈
法により沈澱物を生成させ、これをエージング、濾過、
洗浄、乾燥してCuZnAl層状複水酸化物からなる触
媒前駆体を調製し、次いで、これを空気雰囲気で熱分解
してCuZnAl酸化物を得ることを特徴とするCuZ
nAl酸化物触媒の製造方法。 (2)出発溶液中のCu,Zn,Alの分子比が(Cu
+Zn)/Al=2〜5である、請求項1に記載のCu
ZnAl酸化物触媒の製造方法。 (3)前記(1)又は(2)に記載の方法により製造さ
れる、メタノールの部分酸化反応による水素製造用Cu
ZnAl酸化物触媒。 (4)前記(1)又は(2)に記載の方法で製造したC
uZnAl酸化物触媒を用いて、メタノールを空気共存
下での部分酸化反応により水素ガスに変換することを特
徴とする水素ガスの製造方法。 (5)酸素/メタノール(モル比)が0.20〜0.4
2である、前記(4)に記載の水素ガスの製造方法。 (6)反応温度が200〜245℃である、前記(4)
に記載の水素ガスの製造方法。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に、本発明についてさらに詳
細に説明する。本発明の新規触媒は、CuZnAl酸化
物からなる。このCuZnAl酸化物触媒は、次のよう
にして製造される。出発材料として、Cu,Zn,Al
の各硝酸塩を調製する。このCu,Zn,Alの各硝酸
塩水溶液の混合物とNaOH水溶液及びNaCO3 水溶
液を反応させて、共沈法により沈澱物を生成させる。こ
の場合、上記混合物を攪拌しながら、これにNaOH水
溶液、NaCO3 水溶液、あるいはNaOH水溶液とN
aCO3 水溶液の混合液を少しづつ添加し、共沈法によ
り沈澱物を生成させる。NaOH水溶液、NaCO3
溶液は、個別的にあるいは同時的に添加すればよく、そ
れらの添加方法は、特に制限されない。出発溶液中のC
u,Zn,Alの分子比は(Cu+Zn)/Al=2〜
5であることが好ましい。
【0009】次に、上記沈澱物を例えば、約65℃前後
でエージングし、濾過後、これを脱イオン水などで濾液
のpHが中性になるまで洗浄し、乾燥してCuZnAl
層状複水酸化物(ハイドロタルサイト様層状複水酸化
物)からなる触媒前駆体を調製する。次に、このハイド
ロタルサイト様層状複水酸化物からなる触媒前駆体を空
気雰囲気で例えば、450℃で熱分解してCuZnAl
酸化物を調製する。熱分解の方法及び条件は、好適に
は、例えば、上記触媒前駆体を電気炉に入れ、室温から
約10℃min-1程度で約450℃まで昇温後約5時間
保持する方法が例示されるが、これらは、上記触媒前駆
体が熱分解する加熱温度、加熱時間を採用すればよく、
特に制限されない。次に、本発明の方法では、上記方法
で製造したCuZnAl酸化物触媒を用いて、メタノー
ルを空気共存下で部分酸化反応により水素ガスに変換す
ることによりCOを発生させることなく水素ガスを生成
させる。この場合、酸素/メタノール(モル比)は、好
適には0.20〜0.50であり、この範囲において高
CO2 選択率で水素ガスが生成する。また、反応温度
は、200〜245℃、さらに好適には200〜230
℃である。
【0010】
【実施例】次に、実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定され
るものではない。 実施例1 本実施例では、触媒前駆体/触媒を調製した。 1)方法 Cu,Zn,Alの各硝酸塩水溶液の混合物(Cu,Z
n,Alの分子比が(Cu+Zn)/Al=2〜5にな
るように混合)を撹拌しながらNaOH水溶液(濃度;
約2M)、NaCO3 水溶液(濃度;約0.3M)、あ
るいはNaOH水溶液(濃度;約2M)とNaCO3
溶液(濃度;約0.3M)の混合液を室温でpHが約9
一定になるようにして少しづつ添加し、沈殿物を得た。
次に、沈殿物を65℃、30分間、撹拌しながらエージ
ングし、濾過後、沈殿物を脱イオン水で濾液のpHが7
になるまで数回(3〜5回)洗浄した後、70℃で乾燥
して、CuZnAl−層状複水酸化物(触媒前駆体、こ
の層状複水酸化物をLDHと呼ぶ)を調製した。次に、
このCuZnAl−層状複水酸化物(触媒前駆体)を空
気雰囲気の電気炉で、450℃、5時間加熱してCuZ
nAl−酸化物(本発明の触媒)を調製した。
【0011】2)結果 本実施例で合成した触媒前駆体(70℃乾燥後、加熱
前)の化学組成及びXRD相を表1に示す。この表中、
LDHは層状複水酸化物を意味する。また、本実施例で
合成した触媒(450℃加熱後)の物理、化学的特性を
表2に示す。さらに、図1に、本実施例で合成した触媒
前駆体及び触媒のX線回折図(加熱前及び450℃加熱
後)を示す。
【0012】
【表1】
【0013】
【表2】
【0014】実施例2 (メタノールの部分酸化反応による水素ガス製造) 1)装置 本実施例の触媒実験に使用した部分酸化反応触媒実験装
置を図2に示す。この装置は次の構成からなる。 構成:小型電気炉7、石英ガラス製反応管(直径:4m
mφ)8、マイクロフィーダー(メタノール供給装置)
5、ガスクロマトグラフィー(ガス分析器)10、記録
計(ガスクロマトグラフィーの出力を記録)11、アル
ゴンガスボンベ1、空気(酸素濃度;20.2%、窒素
濃度;79.8%)ボンベ2、温度コントローラー9、
リボンヒーター6、流量調整器3、4
【0015】2)実験条件及び方法 実験条件を次に示す。 (a)実験方法:実験は、常圧固定床流通式により以下
の条件で行った。 触媒使用量:100mg、 触媒粒子径:0.25〜0.30mmφ、 反応温度:200〜245℃の範囲 (b)還元法:測定に先立ちCuZnAl−酸化物触媒
の還元を行った。すなわち、石英ガラス製反応管に詰め
られたCuZnAl−酸化物触媒100mgに水素を1
0cm3 min-1で流しながら、触媒温度を室温から3
00℃まで5℃min-1で昇温した。300℃で2時間
保持した後、測定温度まで降温し、測定に入った。 (c)測定方法:メタノール(液体)をマイクロフィー
ダーを用いて1.5又は2.0cm3-1の割合で触媒
層に導入した。空気(酸素;20.2vol%、窒素;
79.8vol%)を10〜20cm3 min-1、キャ
リアーガスとしてアルゴンガスを40cm3 min-1
導入した。空気、アルゴンガス中のメタノール濃度は2
0vol%以下に押さえた。反応生成物はオンラインで
繋がった2台のガスクロマトグラフィー(TC検出器
付)で分析した。1台目のガスクロマトグラフィーはポ
ラパックQの充填された2m長さのカラムが付いてお
り、水、メタノール、ホルムアルデヒド、蟻酸メチル、
ジメチルエーテルの分析を行った。2台目のガスクロマ
トグラフィーはモレキュラーシーブ13Xの充填された
2m長さのカラムが付いており、水素、空気、一酸化炭
素、二酸化炭素、メタンの分析を行った。測定データは
反応開始後5〜7時間後のものを使用した。
【0016】3)触媒 CuZnAl−2LDHcal 触媒を使用した。還元操作
を実施した後、測定を開始した。メタノールの部分酸化
反応を反応温度、アルゴン及び空気の流量を変えて測定
した結果、触媒は200℃で高活性を示した。主生成物
は水素、二酸化炭素、副生成物は一酸化炭素(少量)で
あり、その他は検出されなかった。メタノール空間速度
(WHSV)*の触媒性能に及ぼす効果を図3に示す。
酸素/メタノール=0.25(モル比)** にて測定
した。
【0017】メタノール転化率は0.20〜0.35m
olh-1-1までWHSVの増加と共に減少し、それ以
上(0.42molh-1-1)までは変化が無かった。
一方、生成物(水素、二酸化炭素、水、一酸化炭素)の
選択率にはメタノール空間速度は影響しなかった。水素
及び二酸化炭素の選択率は0.20〜0.42molh
-1-1の測定した全範囲においてほぼ100%であっ
た。また、水及び一酸化炭素の選択率はほぼ0%であっ
た。 *:メタノールの供給速度(molh-1)/触媒重量
(g)=molh-1-1 **:メタノールの部分酸化反応; CH3 OH+(1/2)O2 ⇔2H2 +CO2 を完結させるには、酸素/メタノール=0.5モル/1
モル=0.5(モル比)でなければならない。
【0018】酸素/メタノール(モル比)の触媒性能に
及ぼす効果を図4に示す。WHSV=0.30molh
-1-1、反応温度=200℃にて測定した。メタノール
転化率は酸素/メタノール(モル比)が0.20から
0.42まで増加すると共に、27から40%に増加し
た。この範囲において一酸化炭素は生成されず、二酸化
炭素の選択率は100%であった。酸素/メタノール比
が0.28以上に増えると水の選択率が徐々に増加し、
それと共に水素の選択率は減少した。これは、生成した
水素が余分な酸素と反応することによる。 H2 + (1/2)O2 ⇔ H2O
【0019】実施例3 (反応温度の触媒性能に及ぼす効果)次の条件で、反応
温度の触媒性能に及ぼす効果を調べた。 反応温度:200〜245℃、 触媒:CuZnAl−2LDHcal ,CuZnAl−3
LDHcal ,CuZnAl−4LDHcal ,CuZnA
l−42LDHcal WHSV=0.30molh-1g -1, 酸素/メタノール
=0.29(モル比) その結果を図5に示す。メタノール転化率は、CuZn
Al−2LDHcal ,CuZnAl−3LDHcal ,C
uZnAl−4LDHcal では反応温度の上昇と共に向
上した。245℃でCuZnAl−4LDHcal のメタ
ノール反応率は約80%であった。しかし、CuZnA
l−42LDHcal では、上昇率は小さく、245℃で
減少した。(図5(a))
【0020】反応生成物の選択率も反応温度(200〜
245℃)に依存した。水素の選択率は反応温度の上昇
と共に増加し、全ての触媒において200〜245℃の
範囲で90mol%以上であった。特に、CuZnAl
−4LDHcal 及びCuZnAl−42LDHcal では
200℃において98mol%、215℃以上において
100mol%であった。(図5(b))
【0021】一方、二酸化炭素の選択率は、200℃に
おいてCuZnAl−3LDHcal ,CuZnAl−4
LDHcal ,CuZnAl−42LDHcal が100m
ol%、CuZnAl−2LDHcal が98mol%で
あり、反応温度の上昇と共に減少した。一酸化炭素は2
00℃では生成されなかったが、生成物中に含まれる一
酸化炭素の割合は反応温度の上昇と共に増加した。これ
は、次の反応; CO+ H2 O ⇔ H2 +CO2 の逆水性ガスシフト(reverse water−g
as shift )反応(右から左への反応)が高い
反応温度で起きることによる(図5(c))。
【0022】実施例4 (触媒の安定性)次の条件で、触媒の安定性を調べた。 反応温度:200℃、反応時間:4〜24時間 触媒:CuZnAl−2LDHcal ,CuZnAl−3
LDHcal ,CuZnAl−4LDHcal ,CuZnA
l−42LDHcal WHSV=0.35molh-1g -1, 酸素/メタノー
ル=0.29(モル比)
【0023】その結果を図6に示す。メタノール転化率
は時間と共に少しずつ減少する傾向であるが、CuZn
Al−4LDHcal はほとんど変わらなかった。(図6
(a)) 水素選択率は、反応開始4時間後でCuZnAl−2L
DHcal ,CuZnAl−3LDHcal ,CuZnAl
−4LDHcal は98mol%、24時間後で87〜9
2mol%であった。また、CuZnAl−42LDH
cal は90〜95mol%であった。(図6(b)) 4〜24時間の範囲で、二酸化炭素選択率は95〜10
0mol%、一酸化炭素選択率は0〜5mol%であっ
た。なお、CuZnAl−4LDHcal ,CuZnAl
−42LDHcal 両触媒において50ppm以下の痕跡
程度の一酸化炭素が生成した。(図6(c)) 以上の結果より、触媒の安定性については問題ないこと
が確認された。
【0024】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明は、メタノー
ルの部分酸化反応による水素製造触媒、その製造法、及
びこの触媒を用いて、メタノールの部分酸化反応により
水素ガスを製造する方法に係るものであり、本発明によ
り、1)メタノールの部分酸化反応による水素製造用の
新規CuZnAl酸化物触媒を提供することができる、
2)この触媒を用いて、メタノールの部分酸化反応を行
うことにより、COを発生させないで水素ガスを製造す
ることができる、3)メタノールの部分酸化反応により
COを全く含まない、あるいは極僅かなCOしか含まな
い水素ガスを生成することができる、4)新エネルギー
源としての水素ガスの新しい生産方法を提供できる、等
の効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る触媒前駆体(上段)/触媒(下
段)のXRDパターンを示す。
【図2】実施例で用いた装置の説明図である。
【図3】メタノール空間速度(WHSV)の触媒性能に
及ぼす効果を示す。
【図4】酸素/メタノール(モル比)の触媒性能に及ぼ
す効果を示す。
【図5】反応温度の触媒性能に及ぼす効果を示す。
【図6】触媒の安定性を調べた結果を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 尾崎 利彦 愛知県名古屋市北区八代町2丁目109番地 八代寮202号 Fターム(参考) 4G040 EA02 EA07 EC01 EC08 4G069 AA02 AA08 AA09 BB06A BB06B BB12A BB12B BB12C BC16A BC16B BC16C BC31A BC31B BC31C BC35A BC35B BC35C CC25 FA08 FB09 5H027 AA02 BA16

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Cu,Zn,Alの各硝酸塩水溶液の混
    合物とNaOH水溶液及びNaCO3 水溶液を反応させ
    て、共沈法により沈澱物を生成させ、これをエージン
    グ、濾過、洗浄、乾燥してCuZnAl層状複水酸化物
    からなる触媒前駆体を調製し、次いで、これを空気雰囲
    気で熱分解してCuZnAl酸化物を得ることを特徴と
    するCuZnAl酸化物触媒の製造方法。
  2. 【請求項2】 出発溶液中のCu,Zn,Alの分子比
    が(Cu+Zn)/Al=2〜5である、請求項1に記
    載のCuZnAl酸化物触媒の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の方法により製造
    される、メタノールの部分酸化反応による水素製造用C
    uZnAl酸化物触媒。
  4. 【請求項4】 請求項1又は2に記載の方法で製造した
    CuZnAl酸化物触媒を用いて、メタノールを空気共
    存下での部分酸化反応により水素ガスに変換することを
    特徴とする水素ガスの製造方法。
  5. 【請求項5】 酸素/メタノール(モル比)が0.20
    〜0.50である、請求項4に記載の水素ガスの製造方
    法。
  6. 【請求項6】 反応温度が200〜245℃である、請
    求項4に記載の水素ガスの製造方法。
JP2000061037A 2000-03-06 2000-03-06 メタノールの部分酸化反応による水素製造触媒及びその製造法 Expired - Lifetime JP3482459B2 (ja)

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