JP3750328B2 - 自動変速機の変速制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動変速機の変速を制御する装置に関し、特に低速段側クラッチの解放及び高速段側クラッチの係合によるクラッチツウクラッチ変速のパワーオンアップシフトを実行する自動変速機の変速装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動変速機の特定の変速を実行する場合、2つのクラッチ(広義のクラッチで通常のクラッチとブレーキを含む)の係合と解放を同時に行わなければならないことがよくある(いわゆるクラッチツウクラッチ変速)。この場合に、低速段側クラッチと高速段側クラッチの油圧の制御を的確にとらないと、出力軸トルクが落ち込んだり、エンジンが吹き上がったりする。
【0003】
特開平6−341535号の公報には、パワーオン状態のときのクラッチツウクラッチのアップシフトを実行する場合の制御の例が示されている。この例では、アップシフトの指令が発生した際に、変速中のエンジンの吹き上がりを防止するため、エンジンの吹き上がり状態を検出し、この結果に基づいて吹き上がり量が予め定められた範囲内になるようにリニアソレノイドバルブを用いて高速段側クラッチ又は低速段側クラッチの油圧の制御を行っている。
【0004】
しかしながら、リニアソレノイドバルブを用いるためには、電子制御装置からのデジタル信号をアナログ信号に変換しなければならない等、装置構成が複雑となり、コストもかかるため、近年では電子制御装置からのデジタル信号でそのまま制御できるデューティソレノイドバルブが広く用いられるようになってきている。
【0005】
即ち、所定のデューティパルス周期でオンとオフを繰り返すデューティパルスに応じた油圧を発生するデューティソレノイドバルブを備え、各デューティパルス周期におけるデューティパルスのオン時間とオフ時間の割合を制御することによって、被制御油圧をデューティ制御する油圧制御機器が開発されている。
【0006】
ところで、前記特開平6−341535号の公報で開示された装置を含め、従来の装置においては、クラッチツウクラッチ変速を実行する際に発生するエンジンの吹き上がり状態によって係合側クラッチと解放側クラッチの油圧の制御を行っている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、リニアソレノイドバルブ又はデューティソレノイドバルブを備えた油圧制御装置において、エンジン吹き上がり状態に基づいて、低速段側クラッチの解放と高速段側クラッチの係合を行うクラッチツウクラッチのアップシフトを制御しようとする場合には、以下のような問題がある。
【0008】
第1の問題点は、2つのクラッチを制御するためにエンジン吹き上がり量に基づいて算出される制御値が、正確性に欠けるということである。
【0009】
即ち、自動変速機を搭載する車両は、エンジンと自動変速機の間には流体を内蔵しているトルクコンバータを介在してあるので、その流体を介して回転を伝達することにより、クラッチの係合あるいは解放の状態が必ずしもエンジンの回転速度の変化に反映しない。このことにより、正確な制御値を算出することが難しくなり、2つのクラッチの双方が所定の容量を持ち得ない状態や、双方が所定の容量以上に容量を持った引摺り状態(いわゆるタイアップ状態)が発生してしまう可能性が高くなる。
【0010】
第2の問題点は、変速時間が長くかかってしまうことである。
【0011】
従来の技術では、2つのクラッチの油圧を同時に操作している状態になっているが多く、そのため各油圧が不安定になり易くなり、又、油圧の応答の遅れや、細かな脈動等により実際の制御量が指令した制御量と異なることもある。これらの事情と、前述したエンジン吹き量を指標としていることが重なって、その制御量を修正するために時間が多くかかってしまっていた。
【0012】
第3の問題点は、例えば気温・気圧等の異なる場所での使用や、ドライバのアクセル操作(加速・減速)により要求の変更等による環境や状況の変化があった場合に、常に同様の制御を行うと、大きな変速ショックを伴うことがあるということである。
【0013】
即ち、自動変速機を搭載している車両は、いつも同じ環境の下で使用(制御)されていることは少なく、前記エンジンの吹き上がり方は変速毎に異なる。そのため、該エンジン吹き上がり量をある一定の範囲内に制御するというやり方では当該変速に最適な制御ができなくなり、変速ショックが発生してしまうという問題があった。
【0014】
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたものであって、クラッチツウクラッチにおける係合側クラッチと解放側クラッチの油圧の制御を変速毎に適正化することによって、変速時間を短くしながら特に2つのクラッチの同時係合による引摺り状態(タイアップ状態)を少なくし、変速ショックの低減を実現して、スムーズな変速を常に可能にする自動変速機の変速制御装置を提供することをその課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、低速段側クラッチの解放及び高速段側クラッチの係合によるクラッチツウクラッチのパワーオンアップシフトを実行する自動変速機の変速制御装置において、前記パワーオンアップシフトを実行すべき判断があったことを検出する手段と、該判断があったときに、前記低速段側クラッチを解放させるための油圧低下を、前記高速段側クラッチを係合させるための油圧上昇より相対的に速い速度で実行することにより、自動変速機の入力軸回転速度が低速段同期回転速度より高くなるスリップ現象を発生させる第1変速制御手段と、該スリップ現象におけるスリップ量が、第1所定値S1(S1>0)以上になったことを検出する第1検出手段と、該第1検出手段によりスリップ量が第1所定値S1以上になったことが検出されたときに、低速段側クラッチの油圧を、スリップ量が該第1所定値S1に維持されるようにフィードバック制御する第2変速制御手段と、該第2変速制御手段によるフィードバック制御実行中に、前記スリップ量が第2所定値S2(S1>S2>0)以下になったことを検出する第2検出手段と、該第2検出手段によりスリップ量が第2所定値S2以下になったことが検出されたら、低速段側クラッチの油圧を急速ドレンする第3変速制御手段とを備え、前記第2変速制御手段によるフィードバック制御におけるフィードバックゲインを、スリップ量が前記第1所定値S1より小さいときには、大きいときより大きく設定することにより、変速時間の短縮と2つのクラッチの同時係合による引摺り状態発生による変速ショックを低減するようにしたものである。
【0016】
請求項2に記載の発明は、低速段側クラッチの解放及び高速段側クラッチの係合によるクラッチツウクラッチのパワーオンアップシフトを実行する自動変速機の変速制御装置において、前記パワーオンアップシフトを実行すべき判断があったことを検出する手段と、該判断があったときに、前記低速段側クラッチを解放させるための油圧低下を、前記高速段側クラッチを係合させるための油圧上昇より相対的に速い速度で実行することにより、自動変速機の入力軸回転速度が低速段同期回転速度より高くなるスリップ現象を発生させる第1変速制御手段と、該スリップ現象におけるスリップ量が、第1所定値S1(S1>0)以上になったことを検出する第1検出手段と、該第1検出手段によりスリップ量が第1所定値S1以上になったことが検出されたときに、低速段側クラッチの油圧を、スリップ量が該第1所定値S1に維持されるようにフィードバック制御する第2変速制御手段と、該第2変速制御手段によるフィードバック制御実行中に、前記スリップ量が第2所定値S2(S1>S2>0)以下になったことを検出する第2検出手段と、該第2検出手段によりスリップ量が第2所定値S2以下になったことが検出されたら、低速段側クラッチの油圧を急速ドレンする第3変速制御手段とを備え、前記クラッチツウクラッチ変速が実行されている途中にアクセルペダル踏込量の変更があったときは、これに伴って前記第1所定値S1及び第2所定値S2のうち、少なくとも一方の値を変更することにより、ドライバのアクセル操作の変更があっても、出力軸トルクの急激な変化を効果的に抑えることができる。
【0017】
請求項3に記載の発明は、前記第2変速制御手段によるフィードバック制御を開始するときの初期油圧指示値を、前記第1検出手段による検出が行われたときに現に出力されていた油圧指示値より油圧の応答遅れに相当する分だけ高く設定することにより、油圧の応答の遅れによる変速ショックを低減できる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、前記第2変速制御手段によるフィードバック制御を実行する際の指標となるスリップ量として、実際に検出されたスリップ量をなました値を用いることにより、脈動の影響のないより適正な制御値を得ることができる。
【0019】
請求項4に記載の発明は、前記第2変速制御手段によるフィードバック制御を実行している間、高速段側クラッチの油圧を、該高速段側クラッチが容量を持ち得るぎりぎりの値に維持することにより、更なる変速ショックの低減を実現するものである。即ち、低速段側クラッチの油圧は、高速段側クラッチの油圧が動いていない状態でフィードバック制御されるため、該制御がそれだけ安定して実行される。又、高速段側クラッチも少しずつ容量を増大できる。その結果、クラッチの掴み換えが非常に円滑に行われ、変速ショックを低減できる。
【0021】
請求項6に記載の発明は、前記第3変速制御手段による低速段側クラッチの急速ドレンを行った後、入力軸回転速度のスリップ量が再び前記第1所定値S1以上になったことが前記第1検出手段によって検出されたときは、前記第2変速制御手段、前記第2検出手段、前記第3変速制御手段による同一作業を繰り返すことにより、油圧の脈動等による誤動作やノイズ等による誤って急速ドレンを開始してしまった場合でも、エンジンが吹き上がってしまうのを効果的に防止することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0023】
以下に説明する実施形態は、クラッチ係合圧をデューティソレノイドバルブにより制御することによって、クラッチ・ツウ・クラッチ制御を行う自動変速機の変速制御装置に関する。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態に係る自動変速機の変速制御装置の概略構成図である。
【0025】
この自動変速機は、トルクコンバータ2及び変速部4を備える。トルクコンバータ2は、図示せぬエンジン出力軸10と連結されたポンプ12と、一方向クラッチ14により変速機のケース15に連結されたステータ16及びタービン18を含む。タービン18は変速機の入力軸20と連結され、変速機の入力軸20は、ハイギヤクラッチCH(高速段側クラッチ)を介してハイギヤ対22に連結されると共に、ローギヤクラッチCL(低速段側クラッチ)を介してローギヤ対24に連結されている。ハイギヤ対22は駆動側ギヤ22aと従動側ギヤ22bとからなり、ローギヤ対24は駆動側ギヤ24aと従動側ギヤ24bとからなる。
【0026】
各ギヤ対22、24の従動側ギヤ22b、24bは変速機の出力軸26に連結され、常時同一回転をしている。
【0027】
各クラッチCH、CLの解放あるいは係合は、油圧制御装置30内のデューティソレノイドバルブ(後述)がコンピュータ40からの指令に基づいて駆動されることによって実行される。コンピュータ40には、各種センサ群50からの信号、例えば車速センサ51からの車速信号(出力軸26の回転速度の信号)、スロットルセンサ52からのスロットル開度信号(アクセル開度信号:エンジン負荷信号)、シフトポジションスイッチ53からのシフトポジション信号、ブレーキスイッチ54からのフットブレーキ信号等の基本的な信号の他に、入力軸速度センサ55からの変速機入力軸20の回転速度(タービン回転速度)NTの信号や油温センサ56からの油温検出信号等が入力されている。
【0028】
図2に、ハイギヤクラッチCHの油圧制御回路を示す。なお、ローギヤクラッチCLの構造も基本的にはこれと同一である。この実施形態では、パワーオンアップシフト(運転者がアクセルペダルを踏んで加速している際に行われるアップシフト)のクラッチ・ツウ・クラッチ制御に本発明を適用している。この場合ハイギヤクラッチCHが係合側クラッチ、ローギヤクラッチCLが解放側クラッチとなる。
【0029】
コンピュータ40によって制御されるデューティソレノイドバルブ60(60h、60l)には、油路L1よりライン圧PLが導入される。デューティソレノイドバルブ60は、そのデューティパルス周期におけるオン信号、オフ信号の割合に応じて、油路L2からローギヤクラッチCLの油圧室62へライン圧PLを導入すると共に、油路L3からドレンする。
【0030】
ハイギヤクラッチCHあるいはローギヤクラッチCLは、多板式クラッチであり、油圧室62に油圧PhiあるいはPloが導入されるとピストン63が移動し、クラッチ板66が押圧された結果、該クラッチ板66と相手側のクラッチ板68が係合する構成とされている。なお、油路L2にはアキュムレータ70が設けられている。
【0031】
ここで、ピストン63が移動してクラッチ板66が相手側のクラッチ板68に接触するまでの空走期間は、いわば無駄時間に相当するものであるため、この期間をできるだけ短くするために変速初期にデューティソレノイドバルブ60にデューティ比100%の信号(完全油圧供給指令)を所定時間T0 だけ出力する。これがいわゆる「ファーストクイックフィル」と呼ばれる操作である。
【0032】
本発明は、ハイギヤクラッチCHとローギヤクラッチCLの油圧の制御を適正に行うことによってクラッチツウクラッチ変速をよりスムーズに行うようにする。
【0033】
本発明の油圧の制御において、ローギヤクラッチCLを解放させるための油圧低下を、ハイギヤクラッチCHを係合させるための油圧上昇より相対的に若干速い速度で実行させるように制御を行う。そのことにより、自動変速機の入力軸20の回転速度(タービン回転速度)NTが、低速段同期回転速度より高くなる状態になる。この状態のことを、本実施形態では「クラッチスリップ状態」や「クラッチスリップ現象」又は単に「クラッチスリップ」と言い、その「クラッチスリップ」の度合いを表わす「クラッチスリップ量」を制御することによって変速時の過度のエンジンの吹き上がりを防止し、又、急激な出力軸トルクの変化を抑え、更には2つのクラッチの引摺り状態の発生時間を低減し、スムーズで速い変速を達成する。
【0034】
なお、本実施形態の「クラッチスリップ量」は従来の発明での「エンジン吹き量」とは異なる。前述したように、「エンジン吹き量」とは、図1においてエンジン出力軸10に設置されたセンサにより検出された値(いわゆるエンジン回転速度)に基づいて規定される概念の「量」である。一方、本実施形態の「クラッチスリップ量」とは、自動変速機の入力軸20の回転速度が低速段同期回転速度よりどれだけ大きくなったかという概念の「量」をいう。即ち、自動変速機の入力軸20にセンサを設け、その検出された値と、自動変速機の出力軸回転速度及びギヤ比から求まる低速段同期回転速度との差として求められる量である。
【0035】
本発明に係る「クラッチスリップ量」は従来の「エンジン吹き量」と異なり、エンジンと自動変速機の間のトルクコンバータ2の影響を受けていないので、それだけ係合クラッチ及び解放クラッチを制御する制御値の正確性が高い。
【0036】
以下、本発明の実施形態の作用を説明する。
【0037】
図3は、アップシフトの変速タイムチャートである。このタイムチャートは高速段側デューティ比(ハイギヤクラッチCHの油圧制御のためのデューティソレノイドバルブ60(60h)へ出力するデューティ比)と、低速段側デューティ比(ローギヤクラッチCLの油圧制御のためのデューティソレノイドバルブ60(60l)へ出力するデューティ比)と、タービン回転速度NT(=変速機入力回転速度)とクラッチスリップ量との相互の関係を示している。
【0038】
図のAで示す部分がファーストクイックフィルに相当しており、デューティ比が100%とされることによりハイギヤクラッチCHにライン圧が100%供給される。なお、デューティ比が0%のときは各クラッチCH、CLの油圧はドレンされる。
【0039】
但し、回路構成によっては、デューティ比が100%のときに完全ドレン、0%のときに完全供給とされることもある。これはオン(100%)、オフ(0%)に対するドレンポートと供給ポートとの対応が逆になっているときに生じるもので、この場合はデューティ比を0%とすることによってファーストクイックフィルが実現される。
【0040】
このクラッチツウクラッチアップシフトは、ハイギヤクラッチCHが解放、ローギヤクラッチCLが係合の状態から、ハイギヤクラッチCHが係合、ローギヤクラッCLが解放の状態に切換えることにより実現される。
【0041】
時刻t0 において、このアップシフトを実行すべき走行状態であると判断されると、公知の多重変速に対処するためのタイマT1 が経過した後、時刻t1 においてローギヤ側デューティ比を50%程度の値に低下させる指令を出す(変速制御開始指令)。
【0042】
ローギヤクラッチCLの油圧はしばらくこの約50%の値を維持する。一方、ハイギヤクラッチCHは、時刻t2 までデューティ比0%を維持し、時刻t2 からファーストクイックフィルを開始するべくデューティ比100%の状態にする。時刻t1 からt2 まで時間Ts だけデューティ比0%を維持するのは、次の理由による。クラッチツウクラッチに関わる2つのクラッチ圧を独立に制御するタイプの自動変速機においては、ハイギヤクラッチCHとローギヤクラッチCLの同時係合によるダブルロック状態(調圧ソレノイドのフェイル等で発生する)を回避するために、通常ダブルロック防止用のフェイルセーフバルブが設けられている。このフェイルセーフバルブは、一方のクラッチ圧が所定値以下にならない限り、他方(もう一方)のクラッチへのアプライ(油圧供給)を禁止する構成となっている。従って、変速開始時点で先ずローギヤクラッチCLのクラッチ圧が所定値以下になるのを待ってからハイギヤクラッチCHのクラッチ圧のファーストクイックフィルを開始する必要があり、この待ち時間のためにt1 からt2 の間はハイギヤクラッチCH側のデューティ比を0%としている。
【0043】
ファーストクイックフィルは、ここではタイマセットした所定時間T0 だけ作動させる。ファーストクイックフィルが終了したらハイギヤクラッチCHのデューティ比は、該ハイギヤクラッチCHが容量をもたない程度のレベルPhi 1に一旦落としておき、時刻t3 から高速段側デューティ比を漸次上昇させる。ローギヤクラッチCLは、これを解放させるためのデューティ比の低下を時刻t4 から開始する。
【0044】
ここで、図3におけるIV部の拡大及び各クラッチCL、CHの油圧を図4に示す。
【0045】
高速段側デューティ比は、時刻t3 から上昇させる。ローギヤクラッチCLは油圧の応答の速度の違い等を考慮して、時刻t4 より油圧を低下させる。このときに、コンピュータ40は、ハイギヤクラッチCHを係合させるための油圧上昇をローギヤクラッチCLの油圧低下より相対的に速い速度で実行させるようにすることにより、結果として時刻t7 で前述した「クラッチスリップ」を発生させる(第1の変速制御手段)。
【0046】
クラッチスリップ量Scが増大し始めると、コンピュータ40は前述した計算を実行することにより、該クラッチスリップ量Scが所定値S1 (第1所定値S1 >0)以上になったことを時刻t8 で検出する(第1の検出手段)。その後、ローギヤクラッチCLは、該スリップ量Scを所定値S1 に維持するようにフィードバック制御される(第2変速制御手段)。ローギヤクラッチCLがフィードバック制御実行中は、ハイギヤクラッチCHは容量を持ち得るぎりぎりの値を維持するように制御される。このことによって、ハイギヤクラッチCHは少しずつその容量を増大でき、変速ショックが低減できる。又、クラッチスリップ量Scが前記所定値S2 以下になって低速段側を急速にドレンした場合に、素早く安定容量になるまで立ち上がることができるようになり、エンジンの吹き上がりを防止できると共に、変速時間の短縮につながる。
【0047】
更に、ローギヤクラッチCLがフィードバック制御(時間T6 )をしている間に、ハイギヤクラッチCHは大きな動作をしないため、油圧の変動(脈動等)も最小限に抑制でき、ローギヤクラッチCLの油圧をフィードバック制御を安定して実行することが可能となる。
【0048】
やがて、ハイギヤクラッチCHが相応の容量を持ってくると、スリップ量Scを所定値S1 に維持するフィードバック制御ができなくなり、その結果、時刻t9 においてクラッチスリップ量Scが所定値S2 (第2所定値S2 :S1 >S2 >0)以下になったことが検出される(第2検出手段)。
【0049】
なお、このフィードバック制御が実行されてもクラッチスリップ量Scは、現実には図の破線のようにはならず、図の実線で示すように、所定値S1 を過ぎてからもなお増大を続け、やがてフィードバック制御とハイギヤクラッチCHの容量増大に伴って所定値S1 を横切るようにして、そのまま所定値S2 以下にまで下降して行く特性となることが多い。
【0050】
こうして、クラッチスリップ量が所定値S2 以下になった場合には、フィードバック制御(時間T6 )を終了し、低速段側デューティ比は0%にし、ローギヤクラッチCLの油圧を急速ドレン(完全ドレン)する。
【0051】
この場合において(時刻t9 のとき)、スリップ量Scが零より大きい所定値S2 (即ちクラッチスリップが未だ発生している状態)でローギヤクラッチCLの油圧を(ハイギヤクラッチCH側とは無関係に)急速ドレンを行っているところが従来とは大きく異なるところである。これは、発明者等の試験・研究により、この段階ではハイギヤクラッチCHは既に相当量の容量を持っており、従って、ここで急速ドレンを行っても2つのクラッチの合計容量が必要容量に満たない状態になって、エンジン吹きが再度発生するということはほとんどないという知見が得られたためである。
【0052】
なお、所定値S2 はS1 と零との間であれば、設計思想に応じて適宜に設定されてよい。所定値S2 がS1 に近ければ近いほど変速時間は短縮できるようになるが、一方、それだけ再度エンジン吹きが発生する確率も高くなることになる。
【0053】
図4において、時刻t9 にてローギヤクラッチCLの油圧を急速ドレンを行った場合の特性を太線、行わなかった場合の特性を細線で示す。
【0054】
急速ドレンを行った場合(太線)には、時刻t9 にて低速段側デューティ比を0%(完全ドレン)状態にする。それに伴い、ローギヤクラッチCLの油圧は、(ドレンなので)若干のみの遅れをもって時刻t10でほぼ完全ドレン状態であるPlo2となる。時刻t9 から時刻t10までが引摺り状態(弱いタイアップ状態)に相当し、その時間はT7 である。
【0055】
一方、急速ドレンを行わず、例えば従来のように、エンジン吹き量(本実施形態ではクラッチスリップ量Sc)が収まる(零になる)まではフィードバック制御をし、エンジン吹き量が零になってから時刻t11にて低速段側デューティ比を0%(完全ドレン)とした場合(細線)は、時刻t12でローギヤクラッチCLの油圧がドレン状態のPlo2となる。この場合タイアップ状態(時刻t11から時刻t12)の時間はT8 となる。
【0056】
結局、時刻t9 において、急速ドレンを行った場合と行わなかった場合とでは、引摺り区間がT7 <T8 となり、急速ドレンを行うことにより、引摺り区間(時間)が減少され、クラッチ引摺り状態の発生に伴う変速ショックを低減でき、又、全体の変速時間の短縮も達成できる。ここまでクラッチツウクラッチの実質的な掴み替えが終了する。
【0057】
図3に戻る。ハイギヤクラッチCHは、時刻t17でタービン回転速度NTが低速段側同期回転速度より所定値α以上小さくなったことにより、イナーシャ相の開始が検出されると、該タービン回転速度NTが、高速段同期回転速度付近になるまで所定の速度で低下するようにフィードバック制御し(期間T3)、高速段側デューティ比を上昇させていく。
【0058】
最終的には、タービン回転速度NTが高速段同期回転速度と略同一になり(時刻t18)、それから回転同期判定タイマT4が経過する時刻t19までフィードバック制御を続け、更に所定時間T5(ドレン完了タイマ)が経過した時刻t20をもって変速完全終了時と判断する。以後は高速段側デューティ比を100%、低速段側デューティ比を0%に固定する。
【0059】
この実施形態に係わる速度制御では、この他、幾つかの工夫が施されている。
【0060】
図5の(A)は、フィードバック制御開始付近の従来の特性を定性的に示したものである。前述したように、時刻t4 にて低速段側デューティ比が減少を始めるが、ローギヤ側クラッチCLの油圧は油圧の応答の遅れにより、時間T6 を経過した時刻t5 から減圧を開始する。一方、ローギヤクラッチCLのデューティ比は、クラッチスリップ量Scが所定値S1 を超えたことが検出されてから、クラッチスリップ量ScをS1 に維持するように時刻t8 よりフィードバック制御される。このフィードバック制御は、減圧し過ぎたためにクラッチスリップ量Scが所定値S1 を超えたことをトリガとして開始されるものであるため、開始直後は減圧を中止(多くの場合増圧に転換)する制御となる。
【0061】
しかし、実際には図5の(A)で示すように、油圧の応答の遅れにより、ローギヤクラッチCLの油圧はフィードバック開始時期である時刻t8 を過ぎても、しばらくは減圧が続き、油圧がアンダーシュートしてしまう(D部)。そのことにより、スリップ量Scの増大を引き起こし、低速段側デューティ比のフィードバック制御に悪影響を与えてしまう。又、ローギヤクラッチCLの油圧のアンダーシュートが大きくなるため、これから回復する際に、減圧方向からそれだけ急に増圧方向へと変化するので、大きな変速ショックを引き起こす可能性がある。そこで、油圧の応答の遅れによる油圧のアンダーシュートを防止するために、クラッチスリップ量が所定値S1を超えたことが検出された時点である時刻t8 において、フィードバック制御を開始する初期油圧指示値(時刻t8 の直後における低速段側クラッチのデューティ比)を、そのとき現に出力されていた油圧指示値(時刻t8 における低速段側クラッチのデューティ比)より油圧の応答遅れT6に相当する分の所定値βだけ高く設定するようにする。このようにすることで、図5(B)に示すように、ローギヤクラッチCLの油圧のアンダーシュートの発生を効果的に抑えることができる(図5(B)のE部)。又、そのアンダーシュートを抑えることによって、クラッチスリップ量Scの増大を抑えることができ、変速ショックの低減を低減できると共に、多くの場合、変速時間の短縮も同時に達成できる。
【0062】
なお、前記所定値βは、ローギヤクラッチCL油圧がアンダーシュートしないように実験データ等で値を予め設定しておいてもよい。又、車両の走行状況の変化等により、仮に油圧のバランスが崩れアンダーシュートが発生してしまった場合には、より適正な所定値βを決めるべく、学習機能を持たせてもよい。
【0063】
図6は、フィードバック制御中における特性を別の観点で定性的に示した図である。クラッチスリップ量ScのFで表わされるグラフ線は、実際に検出されているクラッチスリップ量Scの検出値(即値)である。このクラッチスリップScにおける初期の振動が大きいのは、それまで大きくスリップしていたローギヤクラッチCLがフィードバック制御の開始によって再係合方向に変換されるため、ローギヤクラッチCLあるいはそれに接続されている軸等がねじれと解放を繰り返すためである。
【0064】
そのため、第2変速制御手段によるフィードバック制御を実行する際の指標となるスリップ量Scとして、検出値をそのまま用いると適正なフィードバック制御を行うことができない恐れがある。そこで、フィードバック制御の指標となるスリップ量Scとして実際の検出値(グラフF)をなました値(グラフf)を用いることにする。そのようにすることによって低速段側デューティ比は、クラッチスリップ量のなました値から偏差量を算出することで、gで示すように滑らかなグラフ(なまし無しはG)となることで、フィードバック制御の安定化が図れる。
【0065】
なお、なました値とは、例えば前何回かの検出値の加重平均を取ってもよいし、振動の一次遅れから求めた値でもよく、要するに図6で示すように振動するグラフを滑らかにした値であればよい。
【0066】
図7は、第2変速制御手段によるフィードバック制御におけるスリップ量Scが、所定値S1 を下回ったときにおけるフィードバックゲイン(偏差量)を大きくとった場合の制御例を示した図である。前述したように、スリップ量Scは時刻t8 で所定量S1 に達し、ハイギヤクラッチCHが容量を持ち始める時刻t9 までは所定値S1 に維持されるようになっている。「フィードバックゲインを、スリップ量Scが所定値S1 より小さいときは、大きいときよりも大きく設定する」というのは、スリップ量Scが所定値S1 より大きいときはゆっくり(小さく)と増圧し、所定値S1 より小さいときは速く(大きく)減圧するということである。その結果、例えば時刻t8 からt9 までの間に、即ちハイギヤクラッチCHが未だ十分容量を持っていないときに、破線で示すように何等かの原因でスリップ量ScがS1 を下回ったときは、若干の下廻りに対して大きく減圧されるので、該減圧によりスリップ量Scを所定値S1 に直ぐに戻す(維持する)ことができる。
【0067】
一方、ハイギヤクラッチCHが容量を持ち始めた時刻t9 ′以降では、クラッチスリップ量Scは所定値S1 に維持されることができなくなって降下を始めるが、この場合は、ハイギヤクラッチCHは十分に容量を持ってきているので、減圧してもスリップ量Scは所定値S1 には戻れない。従って、所定値S1 に維持しようとする第2変速制御手段によるフィードバック制御の機能により、ローギヤクラッチCLの油圧はどんどん減圧されるが、そのときのフィードバックゲインが大きく設定されていることから、ローギヤクラッチCLの油圧は急速ドレンされる所定値S2 に向かって一層速い速度で降下できるようになる。
【0068】
ここで、スリップ量Sc、低速段側デューティ比、ハイギヤ、ローギヤクラッチCH、CLの油圧において、所定値S1 より小側のフィードバックゲインを大きくしたときを太線で示し、フィードバックゲインを一定のままのときを細線で示す。
【0069】
フィードバックゲインを一定の状態で行った場合(細線)、スリップ量Scが時刻t9 ′で所定値S1 を下回った後、時刻t11で実質ドレンに達するまでに時間T11を要し、引摺り区間T12もそれだけ長くなっている。
【0070】
一方、所定値S1 を下回ったときのフィードバックゲインを大きくとった場合(太線)、スリップ量Scが時刻t9 ′で所定値S1 を下回った後、時刻t13で実質ドレンに達するまで時間T13しかかかっておらず、引摺り区間T14も短く済んでいる。
【0071】
即ち、スリップ量Scが所定値S1 を下回ったときのフィードバックゲインを大きくとることにより、それだけ引摺り区間を短縮でき(T12>T14)、変速ショックの低減と変速時間の短縮を達成できる。
【0072】
なお、ここでいう「フィードバックゲインを大きくする」という概念には、文字通り「偏差に対する(狭義の)ゲインを大きくする」ことの他、「狭義のゲイン自体は同一とし、検出された偏差の方に対し、これに所定値を掛けたり、加えたりする操作を行う」ものも含まれるものとする。
【0073】
図8はクラッチツウクラッチ変速が実行されている途中に、アクセルペダルを踏み込んだ場合の制御を表わした図である。図に示すように、時刻t21においてアクセルが踏み込まれる(スロットル開度が更に開けられる)と、スリップ量Scは一時的に大きくなるが、所定値S1に維持しようとする(スリップ量Scを抑える)ため、ローギヤクラッチCLの油圧は図のHで示すように増圧を急速に行い、出力軸トルクを急激に盛り上がらせてしまう。
【0074】
この出力軸トルクの急激な盛り上がりを解消するために、アクセルペダルの踏み込み量(本実施形態ではスロットルを更に開の方向)の変更があった場合には、これに伴って所定値S1 及び所定値S2 のうち、少なくとも一方の値(本実施形態ではS1 のみ)を変更することにする。このように、所定値S1 を適正に変更した所定値をN1 とし、その変更に伴って変更されるものを図9に太線で示す。又、所定値を一定としたまま、アクセル操作があった場合を細線で示す。
【0075】
このように所定値S1 を適正な所定値N1 に変更することにより、スリップ量Scを制御することによって出力軸トルクの急激な盛り上がりを、図9のJで示すように抑えることができる。この結果、わずかに変速時間が長くなるが、大きく変速ショックを抑えることができ、又、各クラッチや部品等に苛酷なトルクを掛けることなく、スムーズな変速が可能になる。
【0076】
ところで、前述したように、フィードバック制御実行中にハイギヤクラッチCHは容量を持ち得るぎりぎりの値(直ぐに係合を始められる状態)にあるので、スリップが未だ発生している状態(なぜならばS2 >0)で急速ドレンを実行してもスリップ量Scが再び上昇を開始する可能性が極めて低い。しかし、スリップ量Scが再び第1の所定値S1 以上になったことが検出される場合もあると考えられ、そのような場合には、以降第2変速制御手段と第2検出手段と、第3変速制御手段による同一作業を繰り返すように設定しておくとよい。このことにより、クラッチのつかみ替えタイミングが予定より大きくずれた場合でも、スリップ量Scが異常に増大してエンジンが大きく吹き上がることはない。
【0077】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、低速段側クラッチを解放させるための油圧低下を、高速段側クラッチを係合させるための油圧上昇より相対的に速い速度で実行することにより、スリップ現象を発生させ、そのスリップ現象を零ではない所定量(所定値)以下になった場合に、低速段側クラッチの油圧を急速ドレンすることにより、低速段側クラッチと高速段側クラッチの同時係合による引摺り状態を防止することができ、変速制御にかかる時間が短縮され、且つ変速ショックを緩和することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用された自動変速機を表わす概略構成図
【図2】上記自動変速機における係合側クラッチの周辺を示す油圧制御回路
【図3】上記自動変速機におけるアップシフトの変速タイムチャート
【図4】図3における主要部の詳細図
【図5】図3における油圧の応答の遅れを明確に表わす図
【図6】図3における主要部の制御値をなました図
【図7】フィードバック制御におけるフィードバックゲインを大きくとった場合の制御例を表わす図
【図8】アクセルを踏み込んだ場合の制御を表わす図
【図9】第2検出手段が再度検出した場合の制御を表わす図
【符号の説明】
2…トルクコンバータ
4…変速部
10…エンジン出力軸
12…ポンプ
14…一方向クラッチ
15…ケース
16…ステータ
18…タービン
20…変速機入力軸
22…ハイギヤ対
24…ローギヤ対
26…変速機出力軸
30…油圧制御装置
40…コンピュータ
50…各種センサ群
60…デューティソレノイドバルブ
CH…ハイギヤクラッチ
CL…ローギヤクラッチ
62…油圧室
63…ピストン
66…クラッチ板
68…相手側クラッチ板
Phi…ハイギヤクラッチの油圧
Plo…ローギヤクラッチの油圧
PL…ライン圧

Claims (6)

  1. 低速段側クラッチの解放及び高速段側クラッチの係合によるクラッチツウクラッチのパワーオンアップシフトを実行する自動変速機の変速制御装置において、
    前記パワーオンアップシフトを実行すべき判断があったことを検出する手段と、
    該判断があったときに、前記低速段側クラッチを解放させるための油圧低下を、前記高速段側クラッチを係合させるための油圧上昇より相対的に速い速度で実行することにより、自動変速機の入力軸回転速度が低速段同期回転速度より高くなるスリップ現象を発生させる第1変速制御手段と、
    該スリップ現象におけるスリップ量が、第1所定値S1(S1>0)以上になったことを検出する第1検出手段と、
    該第1検出手段によりスリップ量が第1所定値S1以上になったことが検出されたときに、低速段側クラッチの油圧を、スリップ量が該第1所定値S1に維持されるようにフィードバック制御する第2変速制御手段と、
    該第2変速制御手段によるフィードバック制御実行中に、前記スリップ量が第2所定値S2(S1>S2>0)以下になったことを検出する第2検出手段と、
    該第2検出手段によりスリップ量が第2所定値S2以下になったことが検出されたら、低速段側クラッチの油圧を急速ドレンする第3変速制御手段とを備え、
    前記第2変速制御手段によるフィードバック制御におけるフィードバックゲインを、スリップ量が前記第1所定値S1より小さいときには、大きいときより大きく設定することを特徴とする自動変速機の変速制御装置。
  2. 低速段側クラッチの解放及び高速段側クラッチの係合によるクラッチツウクラッチのパワーオンアップシフトを実行する自動変速機の変速制御装置において、
    前記パワーオンアップシフトを実行すべき判断があったことを検出する手段と、
    該判断があったときに、前記低速段側クラッチを解放させるための油圧低下を、前記高速段側クラッチを係合させるための油圧上昇より相対的に速い速度で実行することにより、自動変速機の入力軸回転速度が低速段同期回転速度より高くなるスリップ現象を発生させる第1変速制御手段と、
    該スリップ現象におけるスリップ量が、第1所定値S1(S1>0)以上になったことを検出する第1検出手段と、
    該第1検出手段によりスリップ量が第1所定値S1以上になったことが検出されたときに、低速段側クラッチの油圧を、スリップ量が該第1所定値S1に維持されるようにフィードバック制御する第2変速制御手段と、
    該第2変速制御手段によるフィードバック制御実行中に、前記スリップ量が第2所定値S2(S1>S2>0)以下になったことを検出する第2検出手段と、
    該第2検出手段によりスリップ量が第2所定値S2以下になったことが検出されたら、低速段側クラッチの油圧を急速ドレンする第3変速制御手段とを備え、
    前記クラッチツウクラッチ変速が実行されている途中にアクセルペダル踏込量の変更があったときは、これに伴って前記第1所定値S1及び第2所定値S2のうち、少なくとも一方の値を変更することを特徴とする自動変速機の変速制御装置。
  3. 請求項1または2において、
    前記第2変速制御手段によるフィードバック制御を開始するときの初期油圧指示値を、前記第1検出手段による検出が行われたときに現に出力されていた油圧指示値より油圧の応答遅れに相当する分だけ高く設定することを特徴とする自動変速機の変速制御装置。
  4. 請求項3において、
    前記第2変速制御手段によるフィードバック制御を実行している間、高速段側クラッチの油圧を、該高速段側クラッチが容量を持ち得るぎりぎりの値に維持することを特徴とす る自動変速機の変速制御装置。
  5. 請求項3において、
    前記第2変速制御手段によるフィードバック制御を実行する際の指標となるスリップ量として、実際に検出されたスリップ量をなました値を用いることを特徴とする自動変速機の変速制御装置。
  6. 請求項において、
    前記第3変速制御手段による低速段側クラッチの急速ドレンを行った後、入力軸回転速度のスリップ量が再び前記第1所定値S1以上になったことが前記第1検出手段によって検出されたときは、前記第2変速制御手段、前記第2検出手段、前記第3変速制御手段による同一作業を繰り返すことを特徴とする自動変速機の変速制御装置。
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