JP3750313B2 - 溶接構造 - Google Patents

溶接構造 Download PDF

Info

Publication number
JP3750313B2
JP3750313B2 JP28795797A JP28795797A JP3750313B2 JP 3750313 B2 JP3750313 B2 JP 3750313B2 JP 28795797 A JP28795797 A JP 28795797A JP 28795797 A JP28795797 A JP 28795797A JP 3750313 B2 JP3750313 B2 JP 3750313B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
less
tip
welding
welded
overlapping
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP28795797A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH11104865A (ja
Inventor
秀彰 白井
義典 近江
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Denso Corp
Original Assignee
Denso Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Denso Corp filed Critical Denso Corp
Priority to JP28795797A priority Critical patent/JP3750313B2/ja
Priority to US09/154,588 priority patent/US6221505B1/en
Priority to DE19845465.1A priority patent/DE19845465B4/de
Publication of JPH11104865A publication Critical patent/JPH11104865A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3750313B2 publication Critical patent/JP3750313B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Welding Or Cutting Using Electron Beams (AREA)
  • Butt Welding And Welding Of Specific Article (AREA)
  • Laser Beam Processing (AREA)

Description

【0001】
【技術分野】
本発明は,疲労強度に優れる重ね合わせ溶接構造及びその溶接方法に関する。
【0002】
【従来技術】
2つの部材の溶接構造としては,従来より種々の継手形状のものがある。そのなかでも重ね合わせ継手の溶接構造は,溶接すべき2つの部材の溶接位置決めが容易であることなどから広く用いられている。
従来の重ね合わせ継ぎ手を有する溶接構造としては,図9に示すごとく,第1部材11と第2部材12とを重ね合わせ,次いで第1部材11の外表面から溶接熱源8を照射して第2部材12まで連なる溶融凝固部91を形成した溶接構造9が知られている。なお,この場合の溶接熱源としては,例えばレーザビーム,電子ビーム等がある。
【0003】
【解決しようとする課題】
しかしながら,上記従来の溶接構造においては,次の問題がある。
即ち,上記重ね合わせ継手の溶接構造においては,図9に示すごとく,溶融凝固部91と第1,第2の部材11,12の境界面に,いわゆる切り欠き部99が2箇所形成される。
【0004】
上記の切り欠き部99が存在する場合には,部材11,12に種々の応力が作用した場合に,その応力が上記切り欠き部99に集中する。そして,その応力集中が原因となって,図9に示すごときクラック98等が発生するという不具合が生じやすい。
【0005】
また,例えば,図10に示すごとく,薄板状の第1部材11とブロック状の第2部材12との重ね合わせ溶接構造において,薄板状の第1部材11側から溶接熱源を照射して形成した通常の溶融凝固部91の他に,溶接熱源8を反対側の第2部材12の端面に照射してすみ肉を形成する方法がある(実開昭60−60175号公報)。
【0006】
この場合には,上記すみ肉の形成によって溶接構造が強化される。しかしながら,依然として溶融凝固部91における切り欠き部99が2箇所存在し,ここへの応力集中の発生は避けられない。また,割れ感受性の高い材料であるマルテンサイト系ステンレス鋼等の溶接の場合,溶融部の希釈率が不適切な場合には接合部に割れが発生する。この点において,すみ肉溶接の場合には,希釈率の制御が難しいため,割れ防止が困難である。
【0007】
本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,応力集中を緩和することができ,疲労強度に優れた重ね合わせ継手を有する溶接構造及びその溶接方法を提供しようとするものである。
【0008】
【課題の解決手段】
請求項1の発明は,第1部材と第2部材とを重ね合わせ溶接してなる溶接構造において,
重ね合わせ部における上記第1部材の先端部には,該第1部材の外表面に溶接熱源を照射して上記第1部材と第2部材とを溶融凝固させてなる先端溶接部を形成してあり,かつ,該先端溶接部の先端面と上記第2部材表面との角度は90度以上に設けてあり,
上記第1部材は,重量%において,C:0.12%以下,Si:3.00%以下,Mn:1.25%以下,P:0.04%以下,S:0.03%以下,Cr:20.00%以下,Al:5.00%以下を含有してなるフェライト系ステンレス鋼よりなり,
一方,上記第2部材は,重量%において,C:1.20%以下,Si:1.00%以下,Mn:1.25%以下,P:0.04%以下,S:0.03%以下,Cr:18.00%以下を含有するマルテンサイト系ステンレス鋼よりなり,
かつ,溶接前における重ね合わせ面を境界として,上記先端溶接部の第1部材寄りの断面積及び第2部材寄りの断面積をそれぞれA及びBとして,希釈率Sを(B/(A+B))×100(%)により表した場合,希釈率Sは30%以下であることを特徴とする溶接構造にある。
また,請求項2の発明は,第1部材と第2部材とを重ね合わせ溶接してなる溶接構造において,
重ね合わせ部における上記第1部材の先端部には,該第1部材の外表面に溶接熱源を照射して上記第1部材と第2部材とを溶融凝固させてなる先端溶接部を形成してあり,かつ,該先端溶接部の先端面と上記第2部材表面との角度は90度以上に設けてあり,
上記第1部材は,重量%において,C:0.05%以下,Si:0.30%以下,Mn:1.25%以下,P:0.04%以下,S:0.03%以下,Ni:40.00〜50.00%,残部FeよりなるNi系合金鋼よりなり,
一方,上記第2部材は,重量%において,C:1.20%以下,Si:1.00%以下,Mn:1.25%以下,P:0.04%以下,S:0.03%以下,Cr:18.00%以下を含有するマルテンサイト系ステンレス鋼よりなり,
かつ,溶接前における重ね合わせ面を境界として,上記先端溶接部の第1部材寄りの断面積及び第2部材寄りの断面積をそれぞれA及びBとして,希釈率Sを(B/(A+B))×100(%)により表した場合,希釈率Sは45%以下であることを特徴とする溶接構造にある。
【0009】
本発明において最も注目すべきことは,上記第1部材の先端部には,上記先端溶接部を設けたことである。
この先端溶接部は,第1部材の外表面に溶接熱源を照射して形成してある。この点において,第1部材の先端面側における第2部材との境界部に溶接熱源を照射するすみ肉溶接とは異なる。
【0010】
そのため,上記先端溶接部は,すみ肉溶接の場合と異なり,第1部材の先端面から外表面にかけて全体的に溶融凝固され,スムーズなR形状となっている。
また,先端溶接部の先端面の上記第2部材表面となす角度は,90度以上である。90度未満の場合には応力集中の回避を十分に行うことができないという問題がある。
また,上記先端溶接部は,上記第1部材及び第2部材を溶融凝固させて形成したものであり,いわゆる溶接棒等を用いたものではない。
【0011】
また,上記第1部材及び第2部材としては,例えば後述する円筒部材と丸棒部材との組み合わせ,あるいは板材と板材との組み合わせ等,種々の形状の部材の組み合わせ形態をとることができる。
【0012】
次に,本発明の作用につき説明する。
本発明の溶接構造においては,上記第1部材の先端部に上記先端溶接部を形成してある。そのため,上記重ね合わせ部における第1部材の先端部には,非溶融部分が残存せず,溶融凝固された上記先端溶接部がむき出し状態で存在している。また,上記先端溶接部は,上記のごとくスムーズなR形状で形成され,かつ,その先端面は90度以上の角度を持って第2部材とつながっている。
【0013】
そのため,上記先端溶接部の先端側には,従来のような切り欠き部が形成されない。
それ故,本発明の溶接構造においては,上記重ね合わせ部における上記第1部材の先端面側への応力集中を回避することができる。
【0014】
したがって,本発明によれば,重ね合わせ継手を有する溶接構造における応力集中を緩和することができ,疲労強度に優れた溶接構造を得ることができる。
【0015】
次に,請求項3の発明のように,上記第1部材には,重ね合わせ部における上記第2部材の先端面に当接させるためのリブ部を設けてあることが好ましい。この場合には,第1部材と第2部材を互いに圧縮する応力が発生した場合に,上記リブ部の存在によって溶接部分への応力負荷を軽減することができる。それ故,溶接構造の疲労強度を更に向上させることができる。
【0016】
また,上記請求項1の発明では,上記第1部材は,重量%において,C:0.12%以下,Si:3.00%以下,Mn:1.25%以下,P:0.04%以下,S:0.03%以下,Cr:20.00%以下,Al:5.00%以下を含有してなるフェライト系ステンレス鋼よりなり,一方,上記第2部材は,重量%において,C:1.20%以下,Si:1.00%以下,Mn:1.25%以下,P:0.04%以下,S:0.03%以下,Cr:18.00%以下を含有するマルテンサイト系ステンレス鋼よりなり,かつ,溶接前における重ね合わせ面を境界として,上記先端溶接部の第1部材寄りの断面積及び第2部材寄りの断面積をそれぞれA及びBとして,希釈率Sを(B/(A+B))×100(%)により表した場合,希釈率Sは30%以下とする。
【0017】
この場合には,先端溶接部の組成を割れにくい組成に維持することができ,溶接構造をさらに疲労強度の高いものにすることができる。
ここで,上記第1部材としてのフェライト系ステンレス鋼,及び第2部材としてのマルテンサイト系ステンレス鋼の成分組成の限定理由等について説明する。
【0018】
(第1部材:フェライト系ステンレス鋼)
C:0.12%以下,
Cは材料強度を確保するため添加する。一方,0.12%を超える場合には加工性,磁気特性を低下させるという問題がある。
【0019】
Si:3.00%以下,
Siは磁気特性上において透磁率を上げる効果があるため添加する。一方,添加量が3.00%を超える場合には,材料特性上もろくなるという問題がある。
Mn:1.25%以下,
Mnは鋼を製造する際に脱酸元素として添加する。一方,添加量が1.25%を超える場合には材料の加工性が低下するという問題がある。
【0020】
P:0.04%以下,
Pは割れ感受性を高める元素であるため,その添加量が0.04%を超える場合には溶接性を低下させるという問題がある。
S:0.03%以下,
Sは溶融金属の粘度を低下させ,割れ感受性を高める元素であるため,その添加量を極力抑える。特に添加量が0.03%を超える場合には溶接性等を低下させるという問題がある。
【0021】
Cr:20.00%以下,
Crは耐食性を付与するために添加する。一方,その添加量が20.00%を超える場合には材料特性的に脆くなり冷間加工時の加工性が低下し,また,コストアップにもつながるという問題がある。
Al:5.00%以下,
Alは磁気特性上における比抵抗を上げる働きがあるため添加する。一方,その添加量が5.00%を超える場合には加工性を低下させる等の問題がある。
【0022】
(第2部材:マルテンサイト系ステンレス鋼)
C:1.20%以下,
Cは材料強度及び硬さを必要とする場合の主要元素となるため添加する。一方,その添加量が1.20%を超える場合には,その溶接性や耐食性に有害となるという問題がある。
【0023】
Si:1.00%以下,
Siは脱酸剤及び強化元素として添加する。一方,その添加量が1.00%を超える場合には材料特性を脆くするという問題がある。
Mn:1.25%以下,
Mnは鋼を製造する際に脱酸元素として添加する。一方,その添加量が1.25%を超える場合には材料の加工性を低下させるという問題がある。
【0024】
P:0.04%以下,
Pは割れ感受性を高める元素であるため,その添加量が0.04%を超える場合には溶接性を低下させるという問題がある。
S:0.03%以下,
Sは溶融金属の粘度を低下させ,割れ感受性を高める元素であるため,その添加量を極力抑える。特に添加量が0.03%を超える場合には溶接性等を低下させるという問題がある。
【0025】
Cr:18.00%以下,
Crは耐食性を付与する主要な元素であるため添加する。一方,その添加量が18.00%を超える場合には材料特性上脆くなるという問題がある。
【0026】
次に,上記希釈率S,即ち(B/(A+B))×100(%)は30%以下であることが好ましい。30%を超える場合には,先端溶接部が脆くなって割れやすくなるという問題がある。
【0027】
次に,上記請求項2の発明では,上記第1部材は,重量%において,C:0.05%以下,Si:0.30%以下,Mn:1.25%以下,P:0.04%以下,S:0.03%以下,Ni:40.00〜50.00%,残部FeよりなるNi系合金鋼よりなり,一方,上記第2部材は,重量%において,C:1.20%以下,Si:1.00%以下,Mn:1.25%以下,P:0.04%以下,S:0.03%以下,Cr:18.00%以下を含有するマルテンサイト系ステンレス鋼よりなり,かつ,溶接前における重ね合わせ面を境界として,上記先端溶接部の第1部材寄りの断面積及び第2部材寄りの断面積をそれぞれA及びBとして,希釈率Sを(B/(A+B))×100(%)により表した場合,希釈率Sは45%以下であるという構成にする
【0028】
この場合にも,先端溶接部の組成を割れにくい組成に維持することができ,溶接構造をさらに疲労強度の高いものにすることができる。
ここで,上記第1部材としてのNi系合金鋼の成分組成の限定理由等について説明する。なお,第2部材としてのマルテンサイト系ステンレス鋼における成分組成の限定理由は上記と同様である。
【0029】
(第1部材:Ni系合金鋼)
C:0.05%以下,
Cは材料硬度を確保するために添加する。一方,その添加量が0.05%を超える場合には磁気的特性の低下につながるという問題がある。
Si:0.30%以下,
Siは脱酸剤及び強化元素として添加する。一方,その添加量が0.30%を超える場合には材料特性が脆くなるという問題がある。
【0030】
Mn:1.25%以下,
Mnは鋼を製造する際,脱酸元素として添加する。一方,その添加量が1.25%を超える場合には材料の加工性が低下するという問題がある。
P:0.04%以下,
Pは割れ感受性を高める元素であるため,その添加量が0.04%を超える場合には溶接性を低下させるという問題がある。
【0031】
S:0.03%以下,
Sは溶融金属の粘度を低下させ,割れ感受性を高める元素であるため,その添加量を極力抑える。特に添加量が0.03%を超える場合には溶接性等を低下させるという問題がある。
【0032】
Ni:40〜50%,
Niは耐食性及び磁気特性上の主要元素として添加する。一方,その添加量が40%未満の場合又は50%を超える場合にはいずれも耐食性又は磁気特性を低下させるという問題がある。
【0033】
次に,この場合の上記希釈率Sは45%以下であることが好ましい。45%を超える場合には,先端溶接部が脆くなって割れやすくなるという問題がある。そのためより好ましくは40%以下がよい。
【0034】
次に,請求項4の発明のように,上記溶接熱源は,レーザビーム,電子ビーム,アークのいずれかであることが好ましい。これにより,溶接熱源の照射位置を容易に制御することができ,上記先端溶接部の形成を容易に行うことができる。
【0035】
また,請求項5の発明のように,上記第1部材は,内孔を有する円筒部材であると共に,上記内孔内には第2部材の先端面を当接させるためのリブ部を有しており,一方,上記第2部材は上記第1部材の内孔に圧入可能な外径を有する丸棒材であり,かつ,上記重ね合わせ部は上記第2部材を上記第1部材の内孔内に圧入すると共に上記第2部材の先端面を上記リブ部に当接させることにより形成してある構造をとることができる。
【0036】
この場合には,上記先端溶接部による応力集中緩和効果に加えて,上記圧入による接合力と,上記リブ部による圧縮応力の軽減効果を得ることができる。それ故,筒状部材と丸棒部材の溶接構造を強固かつ疲労強度に優れたものとすることができる。
【0037】
次に第1部材と第2部材とを重ね合わせ溶接する方法において,上記第1部材と上記第2部材とを重ね合わせて重ね合わせ部を形成し,次いで,該重ね合わせ部における上記第1部材の先端部の外表面に溶接熱源を照射し,上記第1部材と第2部材とを溶融凝固させてなる先端溶接部を形成することを特徴とする溶接方法がある。
この溶接方法によれば,上記の優れた溶接構造を得ることができる。
【0038】
また上記第1部材には,上記第2部材の先端面に当接させるためのリブ部を予め設けておき,該リブ部に上記第2部材を当接させた状態で上記重ね合わせ部を形成することが好ましい。これにより,上記の圧縮応力に対する疲労強度に優れた溶接構造を容易に得ることができる。
【0039】
また,上記溶接熱源はレーザビームであり,かつ,上記第1部材へのレーザビーム照射位置は,該第1部材の先端面から0.35mm±0.05mmの範囲及び先端面から1.0mm±0.1mmの範囲の2箇所であることが好ましい。これにより,適度な形状の先端溶接部を形成することができる。
【0040】
即ち,上記第1のレーザビーム照射位置が0.35mm±0.05mmの範囲を超える場合には,いずれも第1部材の先端面をスムーズな形状にに溶融凝固させることが困難であるという問題がある。また,上記第2のレーザビーム照射位置が先端から0.85+0.1mmを超える場合には先端溶接部が2つの部分に分断されるという問題がある。
【0041】
また上記第1部材としては内孔を有すると共に該内孔内に第2部材の先端面を当接させるためのリブ部を有する円筒部材を準備し,一方,上記第2部材としては上記第1部材の内孔に圧入可能な外径を有する丸棒材を準備し,次いで,上記第2部材を上記第1部材の内孔内に圧入すると共に上記第2部材の先端面を上記リブ部に当接させることにより上記重ね合わせ部を形成し,次いで,上記第1部材にレーザビームを照射して上記先端溶接部を形成することが好ましい。
この場合には,円筒部材と丸棒部材の溶接構造を強固かつ疲労強度に優れたものにすることができる。
【0042】
【発明の実施の形態】
実施形態例1
本発明の実施形態例にかかる溶接構造及び溶接方法につき図1〜図5を用いて説明する。
本例の溶接構造1は,図1,図2に示すごとく,円筒状の第1部材11と丸棒状の第2部材12とを重ね合わせ溶接してなる溶接構造である。
重ね合わせ部10における第1部材11の先端部には,第1部材11の外表面117に溶接熱源を照射して第1部材11と第2部材12とを溶融凝固させてなる先端溶接部15を形成してある。また,この先端溶接部15の先端面151と第2部材12表面との角度は90度以上に設けてある。
【0043】
以下,これを詳説する。
本例の第1部材11は,図2(a)に示すごとく,内孔110を有する円筒部材であって,Ni系合金鋼よりなる。また,第2部材12は,図2(b)に示すごとく,第1部材11の内孔に圧入可能な外径を有する中実丸棒材であって,マルテンサイト系ステンレス鋼よりなる。
表1には第1部材11の,表2には第2部材12の化学成分範囲をそれぞれ示してある。
【0044】
【表1】
Figure 0003750313
【0045】
【表2】
Figure 0003750313
【0046】
次に,第1部材11と第2部材12とを溶接するに当たっては,図3に示すごとく,まず第2部材12を第1部材11の内孔110内に圧入する。これにより,溶接すべき重ね合わせ部10が形成される。
次いで,図4に示すごとく,重ね合わせ部10における第1部材11の先端部の外周面117に溶接熱源としてのレーザビーム8を照射する。このとき,第1部材11の先端面116には直接レーザビーム8を照射しない。また本例のレーザビーム8としては,YAGレーザを用いた。
【0047】
また,レーザビーム照射位置は,図4に示すごとく,第1部材11の先端面116からL1(0.35mm)の距離とL2(0.85mm)の距離のところの2箇所である。また,レーザビーム8の照射は,上記照射位置を維持しながら第1部材11の全周にパルス的に行った。その結果,図1に示すごとく,第1部材11の先端部には,先端溶接部15が形成され,いわゆるスポット溶接がなされた。なお,レーザビームの照射を連続的に行っていわゆるシーム溶接を行うこともできる。
【0048】
この先端溶接部15は,その先端面150と第2部材12表面との間の角度αが90度以上となるように設けられた。
また,先端溶接部15の希釈率Sは35%となった。即ち,図5に示すごとく,先端溶接部15の断面を,溶接前の重ね合わせ部境界面105により区分けした場合の第1部材11寄りの部分の断面積をA,第2部材12寄りの部分の断面積をBとして,希釈率Sを(B/(A+B))×100(%)により表した場合,希釈率Sは35%となった。
【0049】
次に,本例の作用につき説明する。
本例により得られた溶接構造においては,第1部材11の先端部に先端溶接部15を形成してある。また,先端溶接部15は,図1に示すごとく,スムーズなR形状で形成され,かつ,その先端面151は90度以上の角度を持って第2部材12とつながっている。
【0050】
そのため,先端溶接部15の先端側には,従来のような切り欠き部が形成されない。それ故,重ね合わせ部10における第1部材11の先端面側への応力集中は確実に回避することができる。
また,先端溶接部15の希釈率Sは35%である。そのため,先端溶接部15は比較的高い靱性を確保することができ,溶接部の割れによるトラブルを回避することができる。
さらに本例においては第1部材11と第2部材12とを圧入してある。
【0051】
したがって,本例によれば,重ね合わせ継手を有する溶接構造における応力集中を緩和することができ,疲労強度に優れた溶接構造を得ることができる。
【0052】
実施形態例2
本例は,図6〜図8に示すごとく,実施形態例1とは異なる形状の第1部材21と,第2部材22とを重ね合わせ溶接する例である。
第1部材21は,図6(a)に示すごとく,大径部211と小径部212を有すると共に,軸方向に貫通する内孔210を有している。また,内孔210内には,内方に突出したリング状のリブ部214を設けてある。
【0053】
第2部材22は,図6(b)に示すごとく,大径中実部221と小径中実部222とを有する。また,小径中実部222の外径は,上記第1部材21の内孔210内に圧入可能な大きさに設けてある。
そして,溶接を行うに当たっては,図7に示すごとく,第2部材22の小径中実部222を第1部材21の内孔210内に圧入すると共に第2部材22の先端面223をリブ部214に当接させた状態で重ね合わせ部10を形成した。
【0054】
そして,図8に示すごとく,実施形態例1と同様にして第1部材21の外表面217にレーザビーム8を照射し,先端溶接部15を形成した。その他は実施形態例1と同様とした。
この場合には,上記リブ部14への第2部材22の当接によって,第1部材21及び第2部材に圧縮方向の応力が作用した際の応力を緩和することができる。それ故,実施形態例1の場合よりもさらに強固な溶接構造を得ることができる。その他は実施形態例1と同様の効果が得られる。
【0055】
なお,上記の実施形態例1,2においては,上記第1部材11,21として表1に記載のNi系合金鋼を用いたが,これに代えて表3に示すフェライト系ステンレス鋼を用いても同様の効果が得られる。
ただし,この場合には,上記希釈率Sを30%以下とすることが好ましい。
【0056】
【表3】
Figure 0003750313

【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例1の溶接構造を示す説明図。
【図2】実施形態例1における,(a)第1部材の斜視図,(b)第2部材の斜視図。
【図3】実施形態例1における,第1部材と第2部材との重ね合わせ部を形成した状態を示す説明図。
【図4】実施形態例1における,レーザビームの照射位置を示す説明図。
【図5】実施形態例1における,先端溶接部の希釈率を示す説明図。
【図6】実施形態例2における,(a)第1部材の断面図,(b)第2部材の正面図。
【図7】実施形態例2における,第1部材と第2部材との重ね合わせ部を形成した状態を示す説明図。
【図8】実施形態例2の溶接構造を示す説明図。
【図9】従来例の溶接構造及び不具合点を示す説明図。
【図10】従来例における,他の溶接構造を示す説明図。
【符号の説明】
1...溶接構造,
10...重ね合わせ部,
11,21...第1部材,
110,210...内孔,
116...先端面
117,217...外表面,
15...先端溶接部,
12,22...第2部材,
214...リブ部,
8...レーザビーム,

Claims (5)

  1. 第1部材と第2部材とを重ね合わせ溶接してなる溶接構造において,
    重ね合わせ部における上記第1部材の先端部には,該第1部材の外表面に溶接熱源を照射して上記第1部材と第2部材とを溶融凝固させてなる先端溶接部を形成してあり,かつ,該先端溶接部の先端面と上記第2部材表面との角度は90度以上に設けてあり,
    上記第1部材は,重量%において,C:0.12%以下,Si:3.00%以下,Mn:1.25%以下,P:0.04%以下,S:0.03%以下,Cr:20.00%以下,Al:5.00%以下を含有してなるフェライト系ステンレス鋼よりなり,
    一方,上記第2部材は,重量%において,C:1.20%以下,Si:1.00%以下,Mn:1.25%以下,P:0.04%以下,S:0.03%以下,Cr:18.00%以下を含有するマルテンサイト系ステンレス鋼よりなり,
    かつ,溶接前における重ね合わせ面を境界として,上記先端溶接部の第1部材寄りの断面積及び第2部材寄りの断面積をそれぞれA及びBとして,希釈率Sを(B/(A+B))×100(%)により表した場合,希釈率Sは30%以下であることを特徴とする溶接構造。
  2. 第1部材と第2部材とを重ね合わせ溶接してなる溶接構造において,
    重ね合わせ部における上記第1部材の先端部には,該第1部材の外表面に溶接熱源を照射して上記第1部材と第2部材とを溶融凝固させてなる先端溶接部を形成してあり,かつ,該先端溶接部の先端面と上記第2部材表面との角度は90度以上に設けてあり,
    上記第1部材は,重量%において,C:0.05%以下,Si:0.30%以下,Mn:1.25%以下,P:0.04%以下,S:0.03%以下,Ni:40.00〜50.00%,残部FeよりなるNi系合金鋼よりなり,
    一方,上記第2部材は,重量%において,C:1.20%以下,Si:1.00%以下,Mn:1.25%以下,P:0.04%以下,S:0.03%以下,Cr:18.00%以下を含有するマルテンサイト系ステンレス鋼よりなり,
    かつ,溶接前における重ね合わせ面を境界として,上記先端溶接部の第1部材寄りの断面積及び第2部材寄りの断面積をそれぞれA及びBとして,希釈率Sを(B/(A+B))×100(%)により表した場合,希釈率Sは45%以下であることを特徴とする溶接構造。
  3. 請求項1又は2において,上記第1部材には,重ね合わせ部における上記第2部材の先端面に当接させるためのリブ部を設けてあることを特徴とする溶接構造。
  4. 請求項1〜3のいすれか1項において,上記溶接熱源は,レーザビーム,電子ビーム,アークのいずれかであることを特徴とする溶接構造。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項において,上記第1部材は,内孔を有する円筒部材であると共に,上記内孔内には第2部材の先端面を当接させるためのリブ部を有しており,一方,上記第2部材は上記第1部材の内孔に圧入可能な外径を有する丸棒材であり,かつ,上記重ね合わせ部は上記第2部材を上記第1部材の内孔内に圧入すると共に上記第2部材の先端面を上記リブ部に当接させることにより形成してあることを特徴とする溶接構造。
JP28795797A 1997-10-03 1997-10-03 溶接構造 Expired - Lifetime JP3750313B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28795797A JP3750313B2 (ja) 1997-10-03 1997-10-03 溶接構造
US09/154,588 US6221505B1 (en) 1997-10-03 1998-09-17 Lap joint welding arrangement and a related welding method for forming the same
DE19845465.1A DE19845465B4 (de) 1997-10-03 1998-10-02 Überlappunsstoß-Schweißanordnung sowie diesbezügliches Schweißverfahren zur Ausbildung derselben

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28795797A JP3750313B2 (ja) 1997-10-03 1997-10-03 溶接構造

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH11104865A JPH11104865A (ja) 1999-04-20
JP3750313B2 true JP3750313B2 (ja) 2006-03-01

Family

ID=17723941

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP28795797A Expired - Lifetime JP3750313B2 (ja) 1997-10-03 1997-10-03 溶接構造

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3750313B2 (ja)

Families Citing this family (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3799599B2 (ja) * 2001-02-26 2006-07-19 株式会社デンソー 溶接装置および溶接方法
DE102009013110B4 (de) 2008-03-20 2018-02-08 Denso Corporation Laserschweissstruktur und Laserschweissverfahren
JP4676512B2 (ja) * 2008-05-27 2011-04-27 日立オートモティブシステムズ株式会社 溶接方法および燃料噴射弁
JPWO2013157269A1 (ja) * 2012-04-20 2015-12-21 日本特殊陶業株式会社 圧力センサ付きグロープラグ
ES2569908T3 (es) * 2013-03-14 2016-05-13 BSH Hausgeräte GmbH Procedimiento para la unión de dos paneles de chapa de un aparato electrodoméstico con soldadura láser a solapa de diferentes aceros inoxidables; aparato electrodoméstico correspondiente
WO2014162646A1 (ja) * 2013-04-04 2014-10-09 株式会社キーレックス 燃料給油管の組立方法及び給油管組立装置
JP2016190255A (ja) * 2015-03-31 2016-11-10 株式会社デンソー 接合体、接合方法、及び、接合装置
KR20180104723A (ko) * 2016-01-28 2018-09-21 신닛테츠스미킨 카부시키카이샤 겹침 용접 이음매의 피로 강도 향상 방법, 겹침 용접 이음매의 제조 방법 및 겹침 용접 이음매
JP2020099934A (ja) * 2018-12-25 2020-07-02 トヨタ自動車株式会社 溶接継手
CN110102924B (zh) * 2019-06-12 2021-10-22 中国核动力研究设计院 一种用于控制校正大型箱体结构件角焊缝变形的方法
JPWO2021111966A1 (ja) * 2019-12-05 2021-06-10

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS60206565A (ja) * 1984-03-30 1985-10-18 Kawasaki Steel Corp パイプさし込み溶接フランジの溶接方法
JPH043174Y2 (ja) * 1986-05-21 1992-01-31
JP3243906B2 (ja) * 1993-09-30 2002-01-07 凸版印刷株式会社 半導体装置と外部端子との接合方法
JPH08197269A (ja) * 1995-01-25 1996-08-06 Amada Co Ltd 表面処理鋼板のレーザー溶接による接合方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH11104865A (ja) 1999-04-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1742760B1 (en) Weld filler for welding dissimilar alloy steels and method of using same
JP3750313B2 (ja) 溶接構造
CA3079810A1 (en) Solid wire for gas-shielded arc welding of thin steel sheet
WO2005037480A1 (ja) 耐脆性破壊発生特性に優れた大入熱突合せ溶接継手
JPH07314174A (ja) ステンレスクラッド鋼管の造管溶接方法
KR20220038116A (ko) 이재 접합 구조체의 제조 방법 및 이재 접합 구조체
CA2017759A1 (en) Method of welding stainless steel studs
WO2020105325A1 (ja) 接合構造体及び接合構造体の製造方法
WO2022185884A1 (ja) 異材接合用アークスポット溶接法及び異材溶接継手
WO2002096590A1 (en) Highly ductile reduced imperfection weld for ductile iron and method for producing same
JP6782580B2 (ja) アークスポット溶接方法
JP2022135926A (ja) 異材接合用アークスポット溶接法及び異材溶接継手
JP3190224B2 (ja) ステンレスクラッド鋼用潜弧溶接ワイヤ
JPH0833997A (ja) 溶接部およびその近傍の塗装後耐食性を高めるガスシールドメタルアーク溶接方法
JPS5937157B2 (ja) ステンレスクラツド鋼継手の片面溶接方法
JP2002283080A (ja) 鋼系材料とアルミニウム系材料との接合方法
KR102065227B1 (ko) 스테인리스강용 용접재료 및 이를 이용하여 용접된 물품
JP4331340B2 (ja) 低合金鋼鋼材に使用する炭酸ガス用フラックス入りワイヤ
Smith Arc welding of carbon steels
JP2024068661A (ja) ガスシールドアーク溶接用ソリッドワイヤ、ガスシールドアーク溶接継手の製造方法、及び自動車用足回り部品
KR20030071634A (ko) 용접이음 강도를 향상시키는 용접재료
JPH0299280A (ja) クラッド鋼の溶接方法
JPS6216745B2 (ja)
JP2004249360A (ja) 疲労強度に優れた鋼管結合体及び加工方法
JPH1110343A (ja) 鉄系焼結材の接合方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050701

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050705

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050831

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20051115

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20051128

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091216

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091216

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101216

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111216

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121216

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131216

Year of fee payment: 8

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term