JP3750151B2 - エンジンの燃料制御装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、エンジンの燃料制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
燃料噴射式のエンジンでは、一般にエンジンの吸入空気量とエンジン回転数に基づいて燃料量を演算し、これに加速増量,暖気増量,吸気温補正といった各種の補正を加えて最終的な燃料量を設定するといった制御が行われる。そして、その設定された噴射量すなわち要求燃料量に相当する噴射パルスによりインジェクタが駆動され、吸気通路に燃料が噴射される。
【0003】
ところで、吸気通路への燃料の噴射は、通常は吸気弁が開くまでに要求燃料噴射量を噴き終えるようタイミングが設定され、また、特殊な場合では吸気行程で噴くようタイミングが設定される場合もあるが、いずれにしても、上記のようにして設定された要求噴射量というのは、吸気通路に噴射された燃料の全量が今回の吸気行程において直接燃焼室に吸入されることを前提としたものである。しかし、吸気通路内に燃料を噴射するエンジンの場合、燃料の気化・霧化が十分でないため、インジェクタから噴射された燃料の全部がその吸気行程で燃焼室に吸入されるというものではなく、直入分として一部は今回の吸気行程で直接燃焼室に吸入されるが、他は一旦吸気通路の内壁面に付着し次回以降の吸気行程で持ち去られて燃焼室に吸入される。それゆえ、各吸気行程で燃焼室に吸入される燃料の量は、今回噴射された燃料のうちの直入分に、前回以前に噴射され吸気通路の内壁面に付着していた燃料が気化して今回の吸気行程で吸入される持ち去り分を加えたものであって、上記要求燃料量をそのまま噴射したのでは、実際に燃焼室に吸入される燃料量との間にずれが生じるため要求されるエンジン性能が得られない。
【0004】
そこで、インジェクタから噴射された燃料が今回の吸気行程で直接燃焼室に吸入される直入分と、前回以前に噴射され吸気通路の内壁面に付着していた燃料が気化して燃焼室に吸入される持ち去り分を推定して、その推定した値に基づいた補正(所謂インマニウエット補正)を行うことにより、特に加速時や減速時のような過渡状態での燃料噴射量設定の精度を高めようという試みがなされている。
【0005】
例えば特開平5−187288号公報に記載されたものでは、直入分と持ち去り分を推定するのに、吸気弁近傍での流速及びそれに起因する圧力変動が吸気弁の開閉タイミング等によって変化し、それによって直入率および持ち去り率が変化するということから、直入分および持ち去り分を吸気弁のバルブタイミングに応じて例えば高速バルブタイミング用と低速バルブタイミング用に別個に設けたマップによって設定するようにしている。
【0006】
また、特開平5−55618号公報に記載されたものでは、EGR導入による吸気ポート壁温上昇の影響を補償して燃料噴射量を適切に設定し空燃比のずれの発生を防止できるよう、EGRバルブが開かれているときには直入率および持ち去り率を増加方向に補正するようにしている。
【0007】
また、それとは別に、省エネルギーおよび低公害の推進のため一層の燃費向上を達成することがエンジンに課せられた重要な課題であり、その一つの手段として、例えば吸気弁の開閉時期を早くすることにより吸気弁と排気弁との開弁オーバラップ期間を変更するバルブタイミング変更手段を設け、これを運転状態に応じて制御して、低速低負荷時に開弁オーバラップ期間を大きくし、運転中の吸入負圧を小さくしてエンジンのポンピングロスを減少させるようにする可変バルブタイミング(VVT)制御が知られている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
インジェクタから噴射された燃料が今回の吸気行程で直接燃焼室に吸入される直入分と、前回以前に噴射され吸気通路の内壁面に付着していた燃料が気化して燃焼室に吸入される持ち去り分を推定して、その推定した値に基づいた補正を行うことにより、特に加速時や減速時のような過渡状態での燃料噴射量設定の精度を高めるように試みが従来からあり、一方、燃費向上を目的とした可変バルブタイミング制御が従来から知られていることは上述の通りであるが、これら二つの技術を併用しようとするとつぎのような問題が発生する。
【0009】
すなわち、低速低負荷時に例えば吸気弁の開閉時期を早めて開弁オーバーラップ期間を大きくしポンピングロスを低減する可変バルブタイミング制御を行うエンジンにおいて、噴射された燃料が今回の吸気行程で直接燃焼室に吸入される直入分と前回以前に噴射され吸気通路の内壁面に付着していた燃料が気化して燃焼室に吸入される持ち去り分の推定値に基づく上述のような燃料噴射量の補正を行うと、低速低負荷で開弁オーバーラップ期間が大きくなる領域では排気の吹き返しによる所謂内部EGRによって吸気質量流量が増加し、また吸気温度が上昇するため、通常の開弁オーバーラップ期間で運転している時と比べて補正のための直入率および持ち去り率の要求値がずれる。
【0010】
直入率および持ち去り率は主として温度条件(冷却水温)と充填効率によって定まるものであって、そのうち、直入率は、温度条件でいえば低温ほど燃料噴霧の粒径が大きくなり燃料粘度が大きくなって吸気ポート内壁面に付着する割合が増えるため小さくなり、高温になると、噴霧の粒径が小さくなり燃料粘度が小さくなるため大きくなる。また、充填効率でいえば、低負荷で充填効率が小さいと吸気質量流量が小さく、噴射された燃料を燃焼室に運び込む運動エネルギーが小さくなるために直入率は小さくなり、高負荷で充填効率が大きいと、吸気質量流量が大きくて運動エネルギーが大きくなり、また噴霧の拡がりが狭くなるために直入率が大きくなる。また、持ち去り率は、温度条件でいえば低温ほど一旦付着した燃料が気化しにくく、燃料粘度も大きくて流れにくいために小さくなり、高温になると、気化しやすくなり、また、燃料粘度が小さくなるため、持ち去り率が大きくなる。また、充填効率との関係でいえば、低負荷で充填効率が小さいと吸気質量流量が小さく、付着している燃料を持ち去る運動エネルギーが小さいために持ち去り率は小さくなり、高負荷で充填効率が大きいと、吸気質量流量が大きくて運動エネルギーが大きくなるために持ち去り率が大きくなる。そこで、噴射量補正のための直入率の要求値および持ち去り率の要求値を推定するのに、上記特性に基づいて冷却水温と充填効率をパラメータとするマップを設定するが、低速低負荷で開弁オーバーラップ期間が大きくなると、内部EGRによって吸気質量流量が増加するとともに吸気温度が上昇することによって直入率と持ち去り率はマップ値より大きな値となるので、マップで推定した要求値では適正な補正ができなくなる。
【0011】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであって、直入率および持ち去り率に基づいて燃料噴射量を補正するようにしたエンジンの燃料制御装置において、開弁オーバーラップ期間の変更に伴うそれら直入率および持ち去り率の変化に対応して適正な補正を行えるようにすることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明によるエンジンの燃料制御装置は、図1にその構成を示すように、吸気弁と排気弁とが同時に開弁状態にある開弁オーバーラップ期間を運転状態に応じて変更するバルブタイミング変更手段を備えたエンジンの燃料制御装置であって、エンジンの燃焼室に連通する吸気通路に燃料を噴射するインジェクタと、エンジンの運転状態を検出する運転状態検出手段と、インジェクタにより噴射する燃料の量をエンジンの運転状態に基づいて設定する燃料噴射量設定手段と、インジェクタから噴射される燃料が吸気通路に付着することなく直接的に今回の吸気行程で前記燃焼室に吸入される直入分と前回以前に噴射され前記吸気通路の内壁面に付着していた燃料が気化して今回の吸気行程で前記燃焼室に吸入される持ち去り分とをエンジンの運転状態に応じて所定の推定特性に基づいて算出し、その算出した直入分および持ち去り分の値に基づいて燃料噴射量の設定値を補正する燃料噴射量補正手段と、直入分および持ち去り分の推定特性のうち少なくとも一方を開弁オーバーラップ期間の変更に伴って変更する推定特性変更手段を備えたことを特徴とする。
【0013】
上記構成において、インジェクタは吸気行程の前に燃料噴射を終了するよう制御されるものであってよく、推定特性変更手段は開弁オーバーラップ期間が大きい程前記直入分および持ち去り分の推定特性のうち少なくとも持ち去り分の推定特性を算出値が相対的に大きくなるよう変更するものであってよい。
【0014】
また、推定特性変更手段は開弁オーバーラップ期間が大きい程直入分の推定特性を算出値が相対的に大きくなるよう変更するものであってよい。
【0015】
また、バルブタイミング変更手段は低速低負荷時に開弁オーバーラップ期間を大きくするものであってよい。
【0016】
また、バルブタイミング変更手段は吸気弁および排気弁のうち少なくとも吸気弁の開弁タイミングを変えるものであってよい。
【0017】
【作用】
吸気弁と排気弁の開弁オーバーラップ期間は、例えば吸気弁および排気弁のうち少なくとも吸気弁の開弁タイミングを変えることによりエンジンの運転状態に応じて変更され、例えば低速低負荷時にはポンピングロスを低減し燃費を向上させるよう開弁オーバーラップ期間が大きくされる。また、インジェクタによりエンジンの吸気通路に噴射される燃料の量は基本的には運転状態検出手段の出力に基づいて設定される。そして、インジェクタから噴射される燃料が吸気通路内壁に付着することなく直接的に今回の吸気行程で燃焼室に吸入される直入分と前回以前に噴射され吸気通路内壁に付着していた燃料が気化して今回の吸気行程で燃焼室に吸入される持ち去り分とがエンジンの運転状態に基づいて予め設定された推定特性に基づいて算出され、その算出値に基づいて燃料噴射量の設定値が補正される。また、その際、開弁オーバーラップ期間の変更に伴う直入分および持ち去り分の変化に対応して適正な補正が行えるよう、開弁オーバーラップ期間の変更に伴って直入分および持ち去り分の推定特性のうちの少なくとも一方が変更される。
【0018】
開弁オーバーラップ期間の変更に伴う推定特性の変更は、例えば開弁オーバーラップ期間が大きい程少なくとも持ち去り分について算出値が相対的に大きくなるよう推定特性を変更するものとされ、あるいは、開弁オーバーラップ期間が大きい程直入分について算出値が相対的に大きくなるよう推定特性を変更するものとされ、あるいは開弁オーバーラップ期間が大きいほど持ち去り分と直入分の両方について算出値が大きくなるよう推定特性を変更するものとされ、その結果、低速低負荷時等において開弁オーバーラップ期間が大きくなった状態で、内部EGRによる吸気質量流量の増加と吸気温度の上昇に起因して直入率と持ち去り率が大きくなり通常時の推定特性からずれるのに対応した適正な補正が可能となる。
【0019】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図2〜図6に基づいて説明する。
【0020】
図2は本発明の一実施例のシステム図である。図において、1はエンジン本体であり、シリンダ室2を形成するシリダブロック3と、コネクティングロッド4を介し図示しない出力軸(クランクシャフト)に連結されてシリンダ2内を往復移動するよう配置されたピストン5と、シリンダ室2の一端を覆いピストン5のヘッドとの間に燃焼室を画定するようシリダブロック3に連結されたシリンダヘッド6とで構成されている。そして、シリンダヘッド6には燃焼室凹部7が形成され、該燃焼室凹部7に開口するよう左右に吸気ポート8および排気ポート9が形成され、それらポート8.9の燃焼室側開口部にはポペット式の吸気弁10および排気弁11がそれぞれ配置されている。また、シリンダヘッド6には中央部に点火プラグ12が配置されている。そして、吸気ポート8の上流には図示しないエアクリーナとの間に吸気通路13が設けられ、該吸気通路13には、サージタンク13aが設けられて、サージタンク13aより上流側には上流側から順に、吸入空気量を検出するホットワイヤ式のエアフローセンサ14と、吸気量を調整するスロットル弁15が設けられ、サージタンク13aの下流には燃料噴射用のインジェクタ16が配設されている。また、排気ポート9には排気通路17が接続され、排気通路17の途中には触媒コンバータ18が設けられている。
【0021】
シリンダヘッド6の上部には、出力軸に同期して回転し吸気弁10および排気弁11を駆動してそれぞれ所定のタイミングで吸気ポート8および排気ポート9を開閉するよう、吸気用カム19および排気用カム20が配設されている。このうち、吸気用カム19は、軸方向に移動することによってバルブタイミイグおよびリフト量を変更可能なカムプロフィールを有するもので、可変バルブタイミイグ機構21を構成している。
【0022】
コントロールユニット22には、エアフローセンサ3からの吸入空気量信号,図示しないディストリビュータに付設されたクランク角センサ23からのクランク角信号および回転信号,シリンダブロック3に付設された水温センサ24からの冷却水温信号等が制御情報として入力される。
【0023】
可変バルブタイミイグ機構21はコントロールユニット21により制御される。そして、低速低負荷時には燃費向上のため吸気弁10と排気弁11の開弁オーバーラップ期間を大きくしポンピングロスを減少させるよう、吸気弁10の開閉時期が通常よりも早められる。
【0024】
一方、インジェクタ16による燃料噴射量はやはりコントロールユニット21によって制御される。燃料噴射量の制御では、よく知られているようにエンジン回転数と吸入空気量に基づいて基本噴射量が設定され、それに水温等による補正が加えられる。また、インジェクタ16から噴射される燃料が吸気ポート8近傍の通路内壁に付着することなく直接的に今回の吸気行程で燃焼室に吸入される直入分と前回以前に噴射され通路内壁に付着していた燃料が気化して今回の吸気行程で吸入される持ち去り分とがエンジンの運転状態に基づいて予め設定された推定特性(マップ)に基づいて算出され、その算出値に基づいて燃料噴射量の設定値が補正される。また、その際、低速低負荷時で開弁オーバーラップ期間が大きくなった状態では、内部EGRによる吸気質量流量の増加と吸気温度の上昇に起因して直入率と持ち去り率が大きくなり通常時の推定特性からずれるので、開弁オーバーラップ期間の変更に伴う直入分および持ち去り分の変化に対応して適正な補正が行えるよう、開弁オーバーラップ期間の変更に伴って直入分および持ち去り分の推定特性(マップ)が変更される。すなわち、低速低負荷時で開弁オーバーラップ期間が大きい時には、直入分および持ち去り分の値が通常より大きくなるよう推定特性(マップ)が変更される。なお、直入分および持ち去り分のうちの一方を変更するようにしてもよく、その場合は、持ち去り分を変更するのがよい。
【0025】
図3に示すように、あるサイクルにおいてインジェクタ16から吸気ポート8内(吸気通路13内)に噴射された燃料は、そのサイクルの吸気行程(今回の吸気行程)で直接的にシリンダ室2内(燃焼室凹部7内)に入る直入分F1と、そのサイクルでは直接的にシリンダ室2内に入らずに吸気ポート8の内壁に付着する付着分F2とに分かれる。そして、吸気ポート8の内壁には、付着分F2が蓄積されて燃料溜まり(以下、これをインマニウェットF3という)が形成される。そして、このインマニウェットF3の燃料保持量(インマニウェット量という)の一部が吸入空気の流れによりあるいは重力により、気化してあるいは液状のままでシリンダ室2内に持ち去される。これが持ち去り分F4である。したがって、あるサイクルにおいてシリンダ室2内に供給される燃料の量は、直入分F1に持ち去り分F4を加えたものとなる。そこで、各サイクルにおいて、直入分F1と持ち去り分F4の合計が要求燃料量(目標空燃比を保持するのに必要な燃料の量)と一致するよう燃料噴射量が設定される。
【0026】
すなわち、燃料噴射量の制御においては、実際に噴射すべき燃料噴射量(噴射パルス幅)をτeとし、要求燃料量(パルス幅相当)をτaとし、インマニウェット量(パルス幅相当)をτmとし、直入分F1の燃料噴射量(パルス幅相当)τeに対する比率をα(以下、これを直入率αという)とし、持ち去り分F4のインマニウェット量τmに対する比率をβ(以下、これを持ち去り率βという)として、次の式1および式2を満たすように燃料噴射量τeが設定される。
【数1】
τa=α・τe+β・τm…………………………………………………式1
【数2】
τm(i)=(1−α)・τe(i−1)+(1−β)・τm(i−1)…………………………………………………式2
なお、式2において、τm(i)は今回のτmであり、τe(i−1)は前回のτeであり、τm(i−1)は前回のτmである。そこで、各サイクルにおいて、まず式2により今回のτmが演算され、続いて、このτmを用いて式1によりτeが演算される。
【0027】
直入率αはエンジン水温(thw)とインジェクタ取り付け部位における吸気流速(Qcyl)をパラメータとしたマップで求められ、持ち去り率βもまたエンジン水温(thw)と吸気流速(Qcyl)のマップで求められる。図4は吸気流速(Qcyl)を吸気充填効率(Ce)に置き換えて示す直入率αのマップであり、図5は同じく吸気流速(Qcyl)を吸気充填効率(Ce)に置き換えて示す持ち去り率βのマップである。ここで、直入率αおよび持ち去り率βはバルブタイミングによって二通りに設定される。すなわち、開弁オーバーラップ期間が大きなるよう吸気弁10の開閉時期が早められ時は、図4および図5にそれぞれ破線で示すように、通常時に対して直入率αがずれた設定とされ、持ち去り率βもずれた設定とされる。
【0028】
要求燃料量τaの設定は次のように行われる。
【0029】
まず、吸入空気量Qとエンジン回転数Nとから次の式3および式4により吸気充填効率Ceが演算される。
【数3】
Ce0=Ka・Q/N………………………………………………………式3
【数4】
Ce=Kc・Ce’+(1−Kc)・Ce0……………………………式4
なお、式3および式4において、Ce0はなまし前のCeであり、Kaは換算係数(定数)であり、Kcはなまし係数(定数)であり、Ce’は前回のCeである。
【0030】
また、吸気充填効率Ceとエンジン回転数Nとに基づいて次の式5により、吸気流速Qcylが演算される。
【数5】
Qcyl=(1/Ka)・Ce・N…………………………………………式5
なお、式5においてKaは換算係数(定数)である。
【0031】
また、冷却水温Twに応じて暖機増量率Cwが演算される。ここで、暖機増量率Cwは冷却水温Twに対する特性を示すマップが予め記憶されていて、そのマップを検索することにより演算される。
【0032】
そして、次の式6によって要求噴射量τaが演算される。
【数6】
τa=Kf・Cw・Ce…………………………………………………式6
なお、式6においてKfは燃料噴射定数である。
【0033】
また、燃料噴射量τeは、次の式7によって演算される。
【数7】
τe(i)=[τa(i)−β・τm(i)]/α…………………式7
【0034】
そして、バッテリ電圧Vsに応じて無効噴射時間(パルス幅)τvが演算され、τeにτvを加えた噴射パルス幅で燃料噴射が実行される。
【0035】
図6はこの実施例の燃料噴射制御の制御ルーチンを示すフローチャートである。この制御ルーチンはステップS1〜S16からなり、クランク角信号に基づいて上死点毎に実行される。そして、ステップS1でエアフローセンサ14の出力信号Q(吸入空気量)を読み込み、次いで、ステップS2でエンジン回転数Nを読み込む。
【0036】
次に、ステップS3で前述の式3により吸気充填効率Ce0(なまし前の値)を演算し、次いで、ステップS4で前述の式4によりなまし処理をした吸気充填効率Ceを求める。
【0037】
そして、ステップS5で前述の式5によりインジェクタ取り付け部位における吸気流速Qcylを演算し、次いで、ステップS6で冷却水温Twを読み込む。
【0038】
次に、ステップS7で可変バルブタイミング機構21を吸気弁の開閉時期を早めるよう制御する吸気弁早め条件が成立しているか否かを判定する。
【0039】
そして、吸気弁早め条件が成立しているときは、ステップS8で図4のマップに基づいて吸気弁早め時の直入率α1を算出し、ステップS9で図5のマップに基づいて吸気弁早め時の持ち去り率β1を算出する。
【0040】
また、吸気弁早め条件が成立していないときは、ステップS10で図4のマップに基づいて通常時の直入率α2を算出し、ステップS11で図5のマップに基づいて通常時の持ち去り率β2を算出する。
【0041】
その後、ステップS12でマップにより冷却水温に応じた燃料増量率を演算する。
【0042】
次に、ステップS13で上述の式6により要求噴射量τaを演算する。
【0043】
次に、ステップS14でバッテリ電圧Vsを読み込む。そして、ステップS15でバッテリ電圧Vsに応じて無効噴射時間τvを演算する。なお、無効噴射時間τvはバッテリ電圧Vsが低いほど長くなるよう設定するものである。
【0044】
次に、ステップS16で上述の式7により燃料噴射量τe演算し、τeにτvを加えた噴射パルス幅で噴射を実行する。そして、リターンする。
【0045】
【発明の効果】
本発明は以上のように構成されているので、運転状態により開弁オーバーラップ期間を変更するバルブタイミング制御を行うエンジンにおいて直入率および持ち去り率を考慮した燃料制御を行うに際し、開弁オーバーラップ期間の変更に伴うそれら直入率および持ち去り率の変化に対応して適正な噴射量設定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るエンジンの燃料制御装置の全体構成図である。
【図2】本発明の一実施例のシステム図である。
【図3】本発明の一実施例における噴射燃料の挙動を示す模式図である。
【図4】本発明の一実施例における直入率の推定特性を示す図である。
【図5】本発明の一実施例における持ち去り率の推定特性を示す図である。
【図6】本発明の一実施例における燃料噴射制御を実行するフローチャートである。
【符号の説明】
1 エンジン本体
2 シリンダ室
7 燃焼室凹部
8 吸気ポート
9 排気ポート
10 吸気弁
11 排気弁
13 吸気通路
16 インジェクタ
21 可変バルブタイミング機構
22 コントロールユニット
Claims (5)
- 吸気弁と排気弁とが同時に開弁状態にある開弁オーバーラップ期間を運転状態に応じて変更するバルブタイミング変更手段を備えたエンジンの燃料制御装置であって、エンジンの燃焼室に連通する吸気通路に燃料を噴射するインジェクタと、エンジンの運転状態を検出する運転状態検出手段と、前記インジェクタにより噴射する燃料の量をエンジンの運転状態に基づいて設定する燃料噴射量設定手段と、前記インジェクタから噴射される燃料が前記吸気通路に付着することなく直接的に今回の吸気行程で前記燃焼室に吸入される直入分と前回以前に噴射され前記吸気通路の内壁面に付着していた燃料が気化して今回の吸気行程で前記燃焼室に吸入される持ち去り分とをエンジンの運転状態に応じて所定の推定特性に基づいて算出し、その算出した直入分および持ち去り分の値に基づいて前記燃料噴射量の設定値を補正する燃料噴射量補正手段と、前記直入分および持ち去り分の推定特性のうち少なくとも一方を前記開弁オーバーラップ期間の変更に伴って変更する推定特性変更手段を備えたことを特徴とするエンジンの燃料制御装置。
- 前記インジェクタは吸気行程の前に燃料噴射を終了するよう制御されるものであり、前記推定特性変更手段は前記開弁オーバーラップ期間が大きい程前記直入分および持ち去り分の推定特性のうち少なくとも持ち去り分の推定特性を算出値が相対的に大きくなるよう変更するものである請求項1記載のエンジンの燃料制御装置。
- 前記推定特性変更手段は前記開弁オーバーラップ期間が大きい程前記直入分の推定特性を算出値が相対的に大きくなるよう変更するものである請求項1または2記載のエンジンの燃料制御装置。
- 前記バルブタイミング変更手段は低速低負荷時に前記開弁オーバーラップ期間を大きくするものである請求項1,2または3記載のエンジンの燃料制御装置。
- 前記バルブタイミング変更手段は前記吸気弁および前記排気弁のうち少なくとも吸気弁の開弁タイミングを変えるものである請求項4記載のエンジンの燃料制御装置。
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