JP3750027B2 - 灰の減容処理方法及びその装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、都市ごみ等の焼却灰を溶融し減容する設備に係り、特に設備の簡素化と省エネルギー化とを図るのに好適な灰の減容処理方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より都市ごみ等の焼却灰は埋立などに使用されていたが、最近、ごみ処理量の増加によって埋立用地の確保が困難となってきたことに伴い、灰(例えば焼却灰)の溶融固化による減容処理が求められている。しかし、灰の溶融温度は1300〜1500℃と非常に高いため、灰を溶融するのに1500〜1700℃の高温火炎を有するバーナが使用される。溶融した灰自身の温度が1300〜1500℃にもなるため、溶融炉より排出される高温排ガスの温度も1300〜1500℃以上となる。
【0003】
この高温排ガス中には灰の溶融時に気化した塩素及びアルカリ類が大量に含まれているため、金属材料に対する腐食性が強く通常の熱交換器では熱回収が困難で、多くの場合、溶融炉からの高温排ガスは熱回収されることなく、単に煙道中に水を噴射しガス温度を下げて除塵するのみで大気中に排出していた。灰の溶融炉における数少ない熱回収技術として灰と高温燃焼ガスとを直接接触させ、灰を予熱し減容処理する図3に示す技術が公知となっている。
【0004】
図3に示すように、灰ホッパ16より弁17を経て送給された灰がフィーダ31を経由して造粒機32に送られる。その際に水、場合によっては固化剤を含む水が配管30を経由してフィーダ31に供給され、灰に混合される。造粒機32で造粒された造粒灰11は溶融炉13の受入ホッパ34に入る。受入ホッパ34の下部より流出した造粒灰11はその安息角により定まる傾斜角度を持つ斜面を形成する。その斜面をバーナ7で加熱し表面を溶融する。溶融された造粒灰11は斜面を流下し灰ピット15に滴下される。灰ピット15には水が入れられており、滴下した溶融灰は急冷されて減容され底部に沈積される。
【0005】
燃料管6からの油が送風機1より送気された空気とともにバーナ7で燃焼され、バーナ7からの高温燃焼ガスは灰予熱ゾーン35内の造粒灰11の斜面の未溶融部を通り、受入ホッパ34の下部より造粒灰11を予熱しながら上方に流れ、高温排ガスとなって排出配管33を経由し図示しない後段の排煙処理設備に入る。すなわち、下向きに流れる造粒灰と上向きに流れる高温燃焼ガスとは向流で接触しながら流れ、熱交換する。
【0006】
しかし、前記従来技術による灰の溶融減容設備には、以下に示す種々の問題点がある。
a.受入ホッパ34の下部より溶融炉13の炉内に流出した造粒灰11の斜面の全面が溶融灰で覆われてしまうと高温燃焼ガスが造粒灰11の斜面を通過し受入ホッパ34に入ることができない。その結果、バーナ7からの高温燃焼ガスの逃げ場がなくなるため溶融炉13の炉内圧力が高くなり炉外にガスもれを生じる恐れがある。
b.受入ホッパ34内の造粒灰11の層(移動層)を通過する高温燃焼ガスの温度は1300〜1500℃にもなるため、移動層下部の造粒灰11の粒子が半溶融状態となり焼結して粘着性を帯び、受入ホッパ34内の造粒灰11が円滑に下方に移動することができず閉塞する恐れがある。
c.高温燃焼ガス中の低沸点物(アルカリ塩類、鉛、カドミウムなど)が受入ホッパ34内の温度降下にともない造粒灰11の表面に凝縮し粘着するため、受入ホッパ34内の造粒灰11が粘着性を帯びて円滑に移動することができず閉塞する恐れがある。
【0007】
d.灰の組成及び性状変化などにより造粒灰11の強度が低下し移動層内で粉化する、あるいは運転操作を誤ったため高温燃焼ガス量が一時的に増加し移動層を通過するガス流速が増加し、受入ホッパ34内の移動層部が流動化する、などのトラブルにより受入ホッパ34内の大量の造粒灰11が一気に流れ出て(フラッシング)溶融炉13内に充満し運転不能となる恐れがある。
e.灰の性状、特に造粒性及び固化性は焼却するごみの種類により千差万別といってもよく、地域的にも季節的にも大きく変動しかつ事前の予測が難しい。従って、水のみを使用したのでは年間を通じて確実に灰を造粒し固化することはできない。事前に性状把握がほとんど不可能なごみの焼却灰を確実に造粒し固化しようとすれば、大量の固化剤を定常的に加える必要がある。しかし、この場合、余分な固化剤を加えることにより灰量が増加し、本来の目的である溶融による灰の減容効果が減殺されてしまう。
f.灰の種類によっては造粒後、数日間もの間、養生を行わないと十分な強度を得ることができない場合があり、そのような灰を処理する場合には新たに養生設備を追設する必要を生じる恐れがある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来の灰の減容処理方法にあっては、溶融炉内に流出した造粒灰の斜面の全面が溶融灰で覆われると、高温燃焼ガスが造粒灰の斜面を通過して受入ホッパに入ることができず、バーナからの高温燃焼ガスにより溶融炉内圧力が高くなり炉外にガスもれが生ずる恐れがある。また受入ホッパ内を通過する高温燃焼ガスにより層下部の造粒灰が半溶融状態となって粘着性を帯び、あるいは高温燃焼ガス中の低沸点物が造粒灰の表面に凝縮して粘着性を帯び円滑に下方に移動することができず閉塞する恐れがある。
【0009】
そして灰の組成及び性状変化などにより層内で粉化する、運転操作を誤ったため高温燃焼ガス量が一時的に増加し流動化する、などのトラブルにより受入ホッパ内の大量の造粒灰が一気に流れ出て溶融炉内に充満し運転不能となる恐れがある。
【0010】
また灰の性状は事前の予測が難しく、水のみを使用したのでは確実に灰を造粒し固化することはできない恐れがあり、大量の固化剤を定常的に加えると灰量が増加し、溶融による灰の減容効果が減殺される問題点がある。
【0011】
本発明の目的は、簡単なシステムで、メインテナンスが容易でかつ熱エネルギーの節約可能な灰の減容処理方法及びその装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するため、本発明に係る灰の減容処理方法は、溶融炉で燃焼手段により灰を予熱しかつ溶融して減容する灰の減容処理方法において、溶融炉より排出する高温排ガスの少なくとも一部をエジェクターで誘引し、エジェクターの駆動流体と高温排ガスとの混合により温度調節された混合ガスをエジェクターより出口配管へ排出し、出口配管内に灰を導入しかつ灰を混合ガスにより予熱しながら気流搬送し、灰を分離回収して溶融炉へ供給する構成とする。
【0013】
そしてエジェクターの出口配管に、導入された灰と混合ガスとにより固気2相流が形成され、固気2相流を、集塵装置を通過させて分離回収した灰を溶融炉へ供給する構成でもよい。
【0014】
また溶融炉をバーナ式溶融炉で形成するとともに燃焼手段をバーナにより形成し、集塵装置を通過させることにより灰を分離回収した後のガスを、バーナの燃焼用空気の一部として使用する構成でもよい。
【0015】
さらに溶融炉を電気抵抗式溶融炉で形成するとともに燃焼手段を電極により形成し、集塵装置を通過させることにより灰を分離回収した後のガスを、電気抵抗式溶融炉で発生した発生ガス中の可燃分の燃焼用空気の一部として使用する構成でもよい。
【0016】
そして溶融炉からの高温排ガスを排出する高温煙道とエジェクターとに接続する連絡煙道に制御弁を設けた大気吸引配管を接続し、制御弁により大気の吸引量を調節しエジェクターより排出される混合ガスの温度及び圧力を制御する構成でもよい。
【0017】
さらにエジェクターより排出される混合ガスの温度及び圧力を所定の範囲に保つようにエジェクターの駆動流体量を制御する構成でもよい。
【0018】
そして灰の減容処理装置においては、溶融炉で燃焼手段により灰を予熱しかつ溶融する灰の減容処理装置において、溶融炉からの高温排ガスの少なくとも一部を駆動流体により誘引し駆動流体と高温排ガスとの混合ガスを排出するエジェクターと、駆動流体と高温排ガスとを調節し混合ガスを制御する制御手段と、混合ガスが流通する出口配管に前記灰を導入する灰導入手段と、出口配管に接続され混合ガスにより灰を予熱しながら気流搬送する搬送手段とを備えた構成とする。
【0019】
また搬送手段は、導入された灰を混合ガスにより予熱しながら気流搬送する固気2相流を形成させる搬送配管と、この固気2相流を通過させて分離回収した灰を溶融炉に供給する集塵装置とよりなる構成でもよい。
【0020】
さらに溶融炉をバーナ式溶融炉で形成するとともに燃焼手段をバーナにより形成し、集塵装置は、灰を分離回収した後のガスを、バーナの燃焼用空気の一部として使用可能に前記バーナ式溶融炉へ導出するものである構成でもよい。
【0021】
そして溶融炉を電気抵抗式溶融炉で形成するとともに燃焼手段を電極により形成し、集塵装置は、灰を分離回収した後のガスを、電気抵抗式溶融炉で発生した発生ガス中の可燃分の燃焼用空気の一部として使用可能に電気抵抗式溶融炉へ導出するものである構成でもよい。
【0022】
また溶融炉からの高温排ガスを排出する高温煙道とエジェクターとに接続する連絡煙道に制御弁を設けた大気吸引配管を接続し、制御手段は、制御弁により大気の吸引量を調節し前記エジェクターより排出される混合ガスの温度及び圧力を制御するものである構成でもよい。
【0023】
さらに制御手段は、エジェクターより排出される混合ガスの温度及び圧力を所定の範囲に保つようにエジェクターの駆動流体量を制御するものである構成でもよい。
【0024】
【作用】
本発明によれば、機械的稼動部分がなく高温に耐えるエジェクターを用い、駆動流体により高温排ガスを誘引させ、駆動流体と高温排ガスとを混合して混合ガスとしてエジェクターより排出させ、微粉の灰と混合ガスとを接触して搬送中に灰粒子と混合ガスとの間に熱交換を行わせる。その際、常温の空気あるいは排煙処理設備の下流より誘引した低温の排ガスが駆動流体として使用される。混合ガスは焼結などのトラブルを防止しながら灰粒子を搬送し予熱させる。駆動流体のみでは高温排ガスが十分冷却されない場合は、高温排ガスの高温煙道とエジェクターとを接続する連絡煙道に制御弁を有する大気吸引配管を接続し、大気を吸引することにより混合ガスの温度及び圧力が制御される。そして混合ガスにより気流搬送されかつ熱交換された灰は集塵装置に送られ、分離された灰が溶融炉に供給される。
【0025】
以上のように、灰の移動層に高温燃焼ガスを通過させる必要がないため、元々微粉で通気性が悪い灰の通気性を改善するための造粒といった前処理を行う必要がなくなる。従って、灰の造粒に伴う灰の固化性及び造粒性の維持と改善及びフラッシング等を生じない安定な移動層の維持といった問題が回避される。また高温燃焼ガスを直接、灰に接触させないため、灰の部分溶融や燃焼などのトラブルも避けられる。
【0026】
【実施例】
本発明の一実施例を図1を参照しながら説明する。図1に示すように、溶融炉(バーナ式溶融炉又は電気抵抗式溶融炉)で燃焼手段(バーナ又は電極)により灰を予熱しかつ溶融して減容する灰の減容処理方法であって、溶融炉13からの高温排ガスの少なくとも一部をエジェクター25により誘引し、高温排ガスとエジェクター25の駆動流体とをエジェクタ25で混合し、混合されて温度調節された混合ガスをエジェクター25より出口配管18へ排出し、出口配管18内に灰を導入しかつ灰を混合ガスにより予熱しながら気流搬送し、灰を分離回収して溶融炉13へ供給する構成とする。そしてエジェクター25の出口配管18に、導入された灰と混合ガスとにより固気2相流が形成され、この固気2相流を、サイクロンなどの集塵装置9を通過させて分離回収した灰を溶融炉13に供給するものとする。
【0027】
すなわち溶融炉(バーナ式溶融炉)13の燃焼用空気は送風機1より弁4及び配管3を経由してバーナ7に送気される。燃料である油は配管6を経てバーナ7に送られる。バーナ7からの高温燃焼ガスは灰の加熱と溶融とに使用された後、高温煙道14を経由して排出される。溶融灰11は斜面を流下し灰ピット15に滴下する。滴下した溶融灰11は灰ピット15内の水で冷却され固化される。
【0028】
送風機27で昇圧し制御弁24で調節された空気を駆動流体とするエジェクター25により、連絡煙道10を経て高温煙道14より1300〜1500℃の高温燃焼ガスを吸引し、駆動流体と混合した700〜800℃以下の混合ガスを出口配管18に送り出す。その際、エジェクター25は、高温煙道14に近接して設置する方が高価な高温煙道部分を短くするといった点で経済的である。また、エジェクター25の駆動流体として空気の代りに他の低温煙道から吸引し昇圧した燃焼ガスを使用してもよい。
【0029】
制御手段は、エジェクター25と高温煙道14との間に制御弁23を設けた大気吸引配管26が接続してあり、温度計20及び圧力計21によりエジェクター25の出口配管18内の混合ガスの温度及び圧力を検出し、検出した温度及び圧力に応じて演算制御器22を介して制御弁24及び/又は制御弁23を開閉することにより、エジェクター25より排出する混合ガスの温度及び圧力を所定の範囲に制御するものとする。
【0030】
そしてエジェクター25出口の混合ガス温度が設定温度よりも高くなり過ぎた場合は演算制御器22を介して制御弁24及び/又は制御弁23を開け、常温の大気の吸引量を増加する。エジェクター25の出口配管18内の圧力は灰ホッパ16よりダブルロータリー弁29を経て供給される灰の供給量の多寡により変動するが、正常に搬送されていればある圧力変動幅内に入っている。灰の搬送量が0の場合は配管の圧力損失のみで最も低圧の状態である。常に灰が一時的に多量に供給された場合には、灰を搬送できずダブルロータリー弁29の出口よりサイクロン9に至る搬送配管19が閉塞し、エジェクター25の出口配管18内の圧力が設定上限値を超える。この場合には、制御弁24を開けて搬送配管19内に閉塞した灰を吹き飛ばすなどの操作を行う。
【0031】
灰ホッパ16とダブルロータリー弁29とよりなる灰導入手段を経由して灰がエジェクター25の出口配管18に送り込まれ、出口配管18と接続する搬送配管19内でガスと熱交換しつつ気流搬送され、搬送配管19とともに搬送手段を形成するサイクロン9に至る。サイクロン9では灰と搬送気体とが分離されて灰は溶融炉13の受入ホッパ34に送られ、さらに溶融炉13内に至りバーナ7で溶融される。一方、分離された搬送気体は配管8を経由してバーナ7の近傍に吹き込まれ燃焼用空気として使用される。
【0032】
本実施例によれば、灰を、温度調節した混合ガスと搬送配管内で接触し、熱交換させることにより灰の過度な予熱による部分溶融や焼結といったトラブルを避けることができ、かつ灰の通気性を改善するため水及び固化剤を使用して造粒するプロセスを必要とせず、簡単なシステムで信頼性高く灰を予熱できる。
【0033】
次に本発明の他の実施例を図2を参照しながら説明する。図2は本発明を電気抵抗式溶融炉に適用した際の系統図である。図2に示すように、灰ホッパ16よりダブルロータリー弁29を経由して定量排出された灰は、出口配管18内に入りエジェクター25からの混合ガスにより搬送配管19内を気流搬送され、サイクロン9でガスと灰とに分離されダブルロータリー弁44で圧力シールを行いながら電気抵抗式溶融炉40に供給される。
【0034】
電気抵抗式溶融炉40は、電極41に電圧をかけて灰45に通電しその時のジュール熱により灰45を昇温し溶融する方式の溶融炉である。従って、燃焼用空気を必要としない。しかし、灰45中に含まれる低沸点のアルカリ塩類、鉛及びカドミウムが高熱によりガス化しガスが発生する。これらをパージするため送風機27より弁46及び配管47を経由して少量の空気が電気抵抗式溶融炉40内に送られる。この空気中に含まれる酸素は灰中に含まれる未燃カーボンと反応しCO2及びCOとなる。空気量が多すぎると残存O2により電気抵抗式溶融炉40内が酸化性雰囲気となる。その場合、カーボンを主成分とする電極41が急速に酸化焼損するため、パージ空気量は電気抵抗式溶融炉40内に酸素が残存しない程度に抑える必要がある。すなわち、配管48より排出される発生ガス中に多量のCOが残存する状態、いわゆる還元性雰囲気で運転することになる。
【0035】
このCOを完全燃焼させるため通常はLPGなどを燃料とするダクトバーナ42により発生ガスを処理している。溶融炉発生ガスを配管48を経てダクトバーナ42に送り、サイクロン9で分離したガス中に含まれる酸素を、配管43を経て供給されるLPGを燃料とするダクトバーナ42を用いて発生ガス中のCOなどの可燃分とともに完全に焼却する。ダクトバーナ42からの高温排ガスは高温煙道14を経て図示しない排煙処理設備に導かれる。高温煙道14には連絡煙道10が接続されエジェクター25に連通している。さらに、連絡煙道10には制御弁23を設けた大気吸引配管26が接続されており、エジェクター25出口の混合ガスの温度及び圧力に応じて大気吸引量が制御される。エジェクター25には送風機27より空気が駆動流体として制御弁24を経由して送られる。高温煙道14からの高温排ガス、大気吸引配管26より吸引した空気及び送風機27より送られた空気の3種類の気体がエジェクター25で混合され温度調節される。この混合ガスは出口配管18及び搬送配管19を経由してサイクロン9に送られるが、その途中に灰ホッパ16とダブルロータリー弁29とよりなる灰導入手段を介して灰が出口配管18内に定量供給される。出口配管18と接続する搬送配管(搬送手段)19内で灰と混合ガスの熱交換により灰が予熱されつつサイクロン9に送られる。サイクロン9では前述のように灰と混合ガスが分離され灰はダブルロータリー弁29を通じて電気抵抗式溶融炉40に送り込まれる。
【0036】
本発明によれば下記の効果がある。
a.水と灰の混練機能を持たせたフィー及び造粒機のような機械的可動部分が多い機器を使用する必要がなく、構造がシンプルでメインテナンスがほとんど不要のエジェクターを使用した簡素な設備であるため設備費および運転経費を低減できる。
b.構造上、下記(イ)(ロ)(ハ)(ニ)に示すトラブルの発生を皆無にできるため、設備の安全性及び信頼性を向上できる。
【0037】
(イ)受入ホッパの下部より溶融炉内に流出した造粒灰の斜面の全面が溶融灰で覆われてしまうと高温の燃焼ガスが造粒灰の斜面を通過し受入ホッパに入ることができない。その結果、バーナの高温燃焼ガスの逃げ場がなくなるため溶融炉の炉内圧力が高くなり炉外にガスもれが生ずる。
【0038】
(ロ)受入ホッパ内の造粒灰の層(移動層)を通過する高温燃焼ガスの温度は1300〜1500℃にもなるため、移動層下部の造粒灰粒子が半溶融状態となり焼結して粘着性を帯び、受入ホッパ内の造粒灰が円滑に下方に移動することができず閉塞する。
【0039】
(ハ)燃焼ガス中の低沸点物(アルカリ塩類、鉛、カドミウムなど)が受入ホッパ内の温度降下にともない造粒灰の表面に凝縮し粘着するため造粒灰受入ホッパ34内の造粒灰が粘着性を帯び円滑に移動することができず閉塞する。
【0040】
(ニ)灰の組成及び性状変化などにより造粒灰の強度が低下し移動層内で粉化する。あるいは運転操作を誤ったため燃焼ガス量が一時的に増加し移動層を通過するガス流速が増加し、受入ホッパ内の移動層部が流動化する、などのトラブルにより受入ホッパ内の大量の造粒灰が一気に流れ出て(フラッシング)溶融炉内に充満し運転不能となる恐れがある。
【0041】
c.灰の溶融に対し余分な水である固化剤を加える必要がないため、溶融処理量をミニマムに抑えることができ、溶融エネルギーの節約及び溶融灰の排出量の軽減ができる。
【0042】
d.造粒性及び固化性などの灰の性状とは無関係に灰を予熱し溶融できるため、灰の性状変化に対応するための余分な設備や薬剤が不要となり、運転及びメインテナンスが容易となる。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、溶融炉の高温排ガスをエジェクターにより誘引し、エジェクターの駆動流体と高温排ガスとの混合流体により灰を予熱しかつ気流搬送して溶融炉へ供給するため、構造が簡単になるとともに溶融炉のガスもれ、閉塞及び造粒灰のフラッシングなどのトラブルが防止されて安全性及び信頼性が向上するとともに、熱エネルギーを節約できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を適用したバーナ式溶融炉の系統を示す構成図である。
【図2】本発明の他の実施例を適用した電気抵抗式溶融炉の系統を示す構成図である。
【図3】従来の技術の灰予熱式溶融炉の系統を示す図である。
【符号の説明】
7 バーナ
10 連絡煙道
9 集塵装置
11 溶融灰
13 バーナ式溶融炉
14 高温煙道
15 灰ピット
16 灰ホッパ
18 出口配管
19 搬送配管
23 制御弁
24 制御弁
25 エジェクター
29 ダブルロータリー弁
40 電気抵抗式溶融炉
41 電極
44 ダブルロータリー弁
45 灰
Claims (2)
- 溶融炉で燃焼手段により灰を予熱しかつ溶融して減容する灰の減容処理方法において、前記溶融炉より排出する高温排ガスの少なくとも一部をエジェクターで誘引し、該エジェクターの駆動流体と前記高温排ガスとの混合により温度調節された混合ガスを前記エジェクターより出口配管へ排出し、該出口配管内に前記灰を導入しかつ該灰を前記混合ガスにより予熱しながら気流搬送し、前記灰を分離回収して前記溶融炉へ供給することを特徴とする灰の減容処理方法。
- 溶融炉で燃焼手段により灰を予熱しかつ溶融する灰の減容処理装置において、前記溶融炉からの高温排ガスの少なくとも一部を駆動流体により誘引し該駆動流体と前記高温排ガスとの混合ガスを排出するエジェクターと、前記駆動流体と前記高温排ガスとを調節し前記混合ガスを制御する制御手段と、前記混合ガスが流通する出口配管に前記灰を導入する灰導入手段と、該出口配管に接続され前記混合ガスにより前記灰を予熱しながら気流搬送する搬送手段とを備えたことを特徴とする灰の減容処理装置。
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