JP3749635B2 - 建築用パネルの製造方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、間仕切パネル、外壁パネル、床パネルなどの建築用パネルの製造方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
間仕切パネルなどの建築用パネルは、石膏ボードなどの建築用面部材を金属下地材などに取付けて製造する場合、従来は、釘やビスなどを用いて建築用面部材と金属下地材とを取り付けていた。また、接着剤で取付けることなども行われていた。
【0003】
しかしながら、釘やビスなどを用いた従来の建築用パネルの製造方法では、釘やビスそのものやそれら釘打ち部やビス止め部の凹凸が目立つものになっていた。このため、この建築用パネルに壁紙などによる内装や装飾の仕上げをする際に、釘打ち部やビス止め部をパテで埋める作業が必要となり、多大な労力を要していた。
【0004】
また、接着剤を用いる場合、接着剤の固化による固定に時間が長くかかるため接着剤単独で用いられることはなく、釘やビスによる固定を併用するのが通常であった。しかも、この場合の釘やビスの打点数は、釘やビスを単独で使用した場合に比べて若干少なくなる程度であるため、上述のパテ埋め作業に多大な労力を要することに変わりがなかった。
【0005】
そこで、特開平8−73818号公報には、熱可塑性樹脂からなるホットメルト型の接着剤を用い、誘導加熱により、接着作業を迅速に行なう建築用パネルの製造方法が提案されている。これは酢酸ビニル樹脂などを主成分とするホットメルト型接着剤を用いて、この接着剤を誘導加熱により加熱溶融して内装用面部材と金属下地部材などを接着している。この誘導加熱の際には、建築用パネル部材をプレスしていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開平8−73818号公報に記載のホットメルト型接着剤を用いて誘導加熱により接着する技術は、接着面の全ての接着剤を溶融しなければならず、しかも、そのホットメルト型接着剤の熱可塑性樹脂の特性として、いったん溶融すると周りの温度が低くなるまでは固まらず、接着固定に時間がかかっていた。また、全ての接着剤の加熱溶融のためには、接着剤の熱可塑性樹脂の分解温度に近い150〜200℃での厳密な温度管理を必要とし、エネルギーコストが大きくなるとともに、建築現場においては温度管理が十分にできず、接着不良を招く恐れがあった。加えて、耐久性や長期信頼性、耐熱性についても十分なものではなかった。
【0007】
また、これらの問題を解決するために、熱硬化性樹脂や反応性ホットメルト型の接着剤を用いる場合もあるが、これらの接着剤は高価になる問題があった。
【0008】
また、上記特開平8−73818号公報に記載の誘導加熱により接着する建築用パネルの製造技術は、誘導コイルを有する高周波発振器で誘導加熱するのみで、接着する建築用面部材などをプレスしていなかったから、建築用面部材に歪み、反りなどが残り、寸法精度のよい建築用パネルが得られない問題があった。
【0009】
また、誘導加熱では、被加熱材と誘導コイルの距離を一定にすることが重要で、被加熱材の少しの凹凸でも加熱の温度が変化し、制御が困難であった。更に、一方のみからの誘導加熱は、下地が金属の場合、加熱面の急激な加熱のため、片側にのみ熱線膨張が起こり、下地が反るという問題が発生し、良好な接着が行なわれない。このため、接着不足や反った状態及び内部ストレスがかかった状態で固定され、寸法精度が悪い、耐久性に劣るなどの問題があった。
【0010】
更に近年、建物の内部における空気中の化学物質による居住者の健康への影響が大きな問題となっている。これは、内装材、間仕切パネル、家具などから発生するホルムアルデヒドやトルエン、キシレンなどの揮発物質や防腐剤、防虫剤を居住者が呼吸により体内に吸い込むことが原因と言われている。このような物質は、特に新築あるいは改築や改装直後の住宅、マンション、アパートにおいて発生量が多く、非常に長い時間をかけて徐々に減っていくと言われている。このため、人体に有害な溶剤を用いた溶剤型の接着剤の使用も問題がある。更に、溶剤型の接着剤は、接着構造物からその溶剤を乾燥除去するために、大掛かりな加熱乾燥炉を必要とする問題がある。
【0011】
本発明は、上記従来技術の問題を解消し、製造が簡単で、パテ埋め作業などが必要なく、寸法精度がよく、人体の健康に対して安全な建築用パネルの製造方法及び装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の本発明は、金属下地部材と建築用面部材との間に接着剤を介した建築用パネル部材を、誘導コイルが埋設されたプレス型材でプレスしながら誘導加熱して、金属下地部材と建築用面部材とを接着固定する建築用パネルの製造方法であって、前記プレス型材は、建築用パネル部材に連続的に接触してこの建築用パネル部材を移動させながらプレス及び誘導加熱すると共に、接着剤が水系接着剤であることを特徴とする建築用パネルの製造方法である。水系接着剤とは、水を溶媒とする接着剤や水を分散媒とするエマルジョン接着剤などのことである。
【0013】
請求項2記載の本発明は、接着剤がアクリルエマルジョン系接着剤であることを特徴とする請求項1記載の建築用パネルの製造方法である。アクリルエマルジョン系接着剤とは、接着成分としてアクリル系重合体又は共重合体などを用いたエマルジョンである。
【0014】
請求項3記載の本発明は、誘導コイルが埋設されたプレス型材により一方面から上記金属下地部材を誘導加熱するとともに、他方面からもプレス型材で加熱することを特徴とする請求項1又は2記載の建築用パネルの製造方法である。
【0015】
請求項4記載の本発明は、金属下地部材と建築用面部材との間に接着剤が介された建築用パネル部材に、誘導コイルが埋設されたプレス型材が連続的に接触してこの建築用パネル部材を移動させながら、プレスし且つ誘導加熱すると共に、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の方法によって製造することを特徴とする建築用パネルの製造装置である。
【0016】
本発明において金属下地部材とは、一般に建築用パネルの建築用面部材を受ける下地材として用いられるものであり、鉄、炭素鋼の他、鉄とマンガン、ニッケル、クロム、珪素、燐、硫黄、アルミニウムなどとの合金鋼、ステンレス鋼などの鋼板類、亜鉛めっき鋼板などのめっき鋼板類、アルミニウム板、アルミニウム型材、などからなる。金属下地部材の形状は、板材、形材、管材、桟材、枠材、梁材、柱材などそのパネルの用途により種々の形状になされてよい。金属下地部材は、建築用面部材を実質的に接着できる平坦な面があるものが好ましい。例えば、枠材などとして用いる場合は、溝形、リップ溝形、Z形、角形、ハット形、山形などの形状になされる。誘導加熱のための誘導発熱体としては、鋼板、めっき鋼板など鋼板類や形鋼類が発熱効率がよく好ましい。金属下地部材の厚みとしては、0.1〜10mmの範囲が好ましい。特に好ましくは0.5〜7mmの範囲である。薄すぎると金属下地部材の製造が難しく、強度も低くなり。厚すぎると誘導加熱による加熱温度制御が難しくなる。
【0017】
本発明において建築用面部材とは、一般に建築用パネルの面材として用いられる部材であり、例えば、石膏ボード、木板、合板、珪酸カルシウム板、木片セメント板、ロックウール板、フローリング材、ALC、ガラス、プラスチック、金属及びそれらの加工部材、煉瓦、タイル、石材などがあげられる。
【0018】
本発明において誘導加熱とは、電磁誘導により上記金属下地部材に渦電流を発生させこれを誘導発熱体として加熱するものであり、高周波のものが加熱効率がよく好ましい。誘導加熱装置としては、誘導コイルを有する誘導加熱発生部と電源の制御部とを分けたものが、小型になり、操作性、作業性もよいので好ましい。誘導加熱発生部の誘導コイルの形状は誘導加熱の目的対象により円形、長円形、楕円形、長方形などになされる。これらの誘導コイルはプレス型材に埋設される。また、上記誘導加熱とは別に反対側から加熱してもよい。
【0019】
プレス型材としては、非磁性物質からなるものが誘導加熱に影響がなく好ましく、木、ゴム、プラスチック等の有機物質、岩石、コンクリート、GRC等の無機物質、アルミニウム、銅、チタン等の金属物質などがある。特に好ましくは有機物質のプラスチック材料であり、高強度、耐熱性、耐圧縮性に優れたものがよい。具体的には、塩化ビニル樹脂、高分子量ポリエチレン、フッ素樹脂などであり、また、FRPなどの繊維強化したもの、不飽和ポリエステル、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタンなどの硬化反応や架橋反応させたものもよい。また、特に誘導加熱に問題なければ、低磁性物質も使用できる。
【0020】
プレス型材への誘導コイルの埋設については、溝を予め掘りその溝に誘導コイルを嵌め込む方法、型材の半型と半型とで誘導コイルを挟む方法、型材の成形時に誘導コイルを内部に埋設する方法などが例示できる。
【0021】
プレス型材の大きさや形状は、プレスする建築用パネルと誘導コイルに合わせるが、プレス型材の一部に誘導コイルを埋設する場合や、プレスする建築用パネルの形状によって適当な形に変形してもよい。例えば、円柱形ロールの中に誘導コイルを埋設したロール形状のプレス型材、プレス型材をキャタピラ(登録商標、以下同じ)状に連続させたもの、この連続プレス型材の一部又は全ての加圧部に誘導コイルを埋設するもの、誘導コイルの埋設されたプレス型材と埋設されないプレス型材とを有するキャタピラ状のもの、などが例示できる。
【0022】
本発明における接着剤としては、金属下地部材と建築用面部材とを誘導加熱により接着固定するものであり、このとき誘導加熱する前にある程度両者を粘着保持できる初期粘着力のあるものが好ましい。
【0023】
本発明における接着剤として、水系接着剤を用いれば、接着固定性発現のための温度制御が非常に容易となる。即ち、水系接着剤では、水分がある間は温度上昇が100℃に抑えられるので、誘導加熱の温度制御が例えば80〜120℃の範囲のラフなものでも可能となる。
【0024】
また、本発明における接着剤として、エマルジョン系接着剤を用いれば、その分散媒の除去を容易にすることができ、耐久性、耐熱性、長期信頼性に優れ、低コストとなり、環境問題なども生じないものにできる。除去が困難で長期にわたり逸散する溶媒などを用いないので、有利な接着剤となる。
【0025】
本発明における接着剤として、アクリル系接着剤を用いれば、その接着性及び柔軟性により、接着の作業性、接着強度の優れたものにできる。
【0026】
本発明の請求項2におけるアクリルエマルジョン系接着剤としては、主成分としてアクリル系重合体又は共重合体などを用いる。このアクリル系重合体又は共重合体とは、アルキル(メタ)アクリレート又はこのアルキル(メタ)アクリレートと共重合可能なモノマーを重合して得られる樹脂である。上記アルキル(メタ)アクリレートとしては、アルキル基の炭素数が1〜12のものが好ましく、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどがあげられ、好適に用いられる。アルキル基の炭素数が小さすぎると、密着性や初期粘着力が不十分となることがあり、アルキル基の炭素数が大きすぎると、接着強度や耐熱性が不十分となることがある。上記アルキル(メタ)アクリレートと共重合可能なモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート等があげられ、好適に用いられる。これらの反応性モノマーを共重合すると、自己架橋型(自己硬化型)樹脂となり、接着成分自身が自己架橋して硬化し強固なものになるので、耐熱性、耐溶剤性、耐クリープ性などが向上し好ましい。上記アクリルエマルジョン系接着剤にするには、上記重合を乳化重合とすればよい。
【0027】
本発明に用いる接着剤の粘度としては、500〜100000mPa・sの範囲にするのが好ましい。更に好ましくは、3000〜40000mPa・sの範囲である。粘度が小さすぎると、接着剤の塗工時に粘性が低く、たれなどの現象が起こり、また、初期粘着力も小さくなり、接着の作業性に支障がでる。粘度が大きすぎると、塗工が難しくなるなど取り扱いが困難になる。粘度の測定法は、JISK6833に準拠し、接着剤温度が23℃時、BH型粘度計(株式会社トキメック製)を用い、回転数10rpmで測定した値とした。
【0028】
本発明に用いる接着剤の構造粘性としては、2.5以上が好ましく、更に好ましくは3.0〜5.0の範囲である。構造粘性が小さいとレベリング性が悪くなる。構造粘性は、上記粘度の測定法により、回転数2rpmで測定した値と回転数20rpmで測定した値の比で表した。
【0029】
本発明に用いる接着剤には、無機充填剤を添加したり、粘度調整や接着力調整のために他の化合物を添加してよい。無機充填剤は、接着成分に対し5〜50重量%の範囲で加えるのが好ましい。接着剤中に無機充填剤が存在すると粘度の調整ができるだけでなく、耐熱性を高めることができる。無機充填剤が多すぎると、接着強度が低下する。無機充填剤としては、クレー、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、金属粉末などが好適に用いられる。無機充填剤に鉄やステンレスなどの金属粉末を用いると、接着剤の誘導加熱発熱体としての作用を発揮し、誘導加熱が促進され好ましい。
【0030】
本発明の請求項3における他方面からプレス型材で加熱する方法としては、特に限定されず、例えば上記の電磁誘導加熱、マイクロ波加熱、ヒーター加熱、熱風加熱、赤外線加熱、などがあげられる。
【0031】
【作用】
請求項1記載の建築用パネルの製造方法は、金属下地部材と建築用面部材との間に接着剤を介した建築用パネル部材を、誘導コイルが埋設されたプレス型材でプレスしながら誘導加熱して、金属下地部材と建築用面部材とを接着固定する際に、プレス型材が建築用パネル部材に連続的に接触してこの建築用パネル部材を移動させながらプレス及び誘導加熱するから、金属下地部材が誘導コイルの誘導加熱により加熱され、これにより同時に接着剤が加熱されて接着固定が迅速に行なわれ、しかも金属下地部材と建築用面部材とはプレス型材でプレスされて、反り、歪みなどが解消されるとともに、誘導コイルと金属下地部材との距離も正確に制御でき接着精度がよく、寸法精度のよい建築用パネルが得られる。
【0032】
さらに、接着剤が水系接着剤であるから、誘導加熱の温度制御が100℃近辺のラフなものでよく、更に製造が容易となり、発生するのは水やその蒸気であり人体に無害であるから、人体の健康や環境に対して安全である。しかも、製造に使用する誘導加熱装置は、例えば150℃以下の加熱能力の低いものでよいため、コンパクトで省電力なものにできる。
【0033】
請求項2記載の建築用パネルの製造方法は、請求項1において、接着剤がアクリルエマルジョン系接着剤であるから、その分散媒の除去が容易で確実となり、耐久性、耐熱性、長期信頼性に優れ、低コストとなり、人体の健康や環境に対して安全なものとなる。上記の接着剤がアクリル系接着剤であるから、接着性と柔軟性に優れ、地震などによる振動や変位に対して追随性が増し、更に接着強度の優れたものになる。上記の接着剤が水系アクリルエマルジョン系接着剤の場合は、更に耐久性、耐熱性、長期信頼性に優れ、低コストとなり、人体の健康や環境に対して安全なものとなる。
【0034】
更に、上記の接着剤の粘度が500〜100000mPa・sであると、取り扱いが容易で初期粘着力に優れ、接着の作業性がよいものとなる。
【0035】
請求項3記載の建築用パネルの製造方法は、請求項1又は2において、誘導コイルが埋設されたプレス型材により一方面から上記金属下地部材を誘導加熱するとともに、他方面からもプレス型材で加熱するから、金属下地部材が一方面から誘導加熱されるのに加えて他方面から加熱されて、線膨張による反り、内部ストレスなどが緩和され、より迅速に接着固定され製造速度が向上するとともに、プレスされて更に歪み、反り等が解消され、より寸法精度のよい建築用パネルが得られる。
【0036】
請求項4記載の建築用パネルの製造装置は、金属下地部材と建築用面部材との間に接着剤が介された建築用パネル部材に、誘導コイルが埋設されたプレス型材が連続的に接触してこの建築用パネル部材を移動させながら、プレスし且つ誘導加熱すると共に、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の方法によって製造するから、建築用パネル部材の金属下地部材と接着剤と建築用面部材とが連続的に誘導加熱されて接着固定されると共に連続的にプレスされて歪み、反り等が解消され、寸法精度のよい建築用パネルが連続生産できる。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明で製造される建築用パネルを示す側面図、図2は本発明の実施例の建築用パネルの製造方法を説明する斜視図、図3は本発明の建築用パネルの製造方法及び装置の説明図である。図4及び図5は本発明の他の実施例を示す説明図である。
【0038】
図1の建築用パネルNは内壁パネルとして使用されるものである。金属下地部材1と建築用面部材2との間に接着剤3を介し、誘導加熱により金属下地部材1を加熱し、金属下地部材1と建築用面部材2とを接着剤3で接着固定している。
【0039】
金属下地部材1は、図2にも示すように、上下の横桟11、12の間に縦桟13、13…がかしめ接合によって連結されて枠体になっている。
【0040】
金属下地部材1は、肉厚0.5mmの亜鉛めっき鋼板からなる。横桟11、12は高さ(縦幅)が70mmで厚み(横幅)が50mmの溝形鋼であり、その長さが90cmである。縦桟13、13…は50mm角の角形鋼管であり、その長さが256cmである。
【0041】
建築用面部材2は、厚み12mmの石膏ボードであり、幅が90cm、長さが270cmである。
【0042】
接着剤3は、粘度が12000mPa・sの自己架橋型(自己硬化型)の水系アクリルエマルジョン系接着剤を、金属下地部材1の接着面に200g/m2 の割合で塗布し、誘導加熱して固化させるものである。
【0043】
この建築用パネルの製造方法を説明する。
図3に示すように、接着剤塗布工程で、金属下地部材1の上面の全面に上記水系アクリルエマルジョン系接着剤からなる接着剤3を200g/m2 の割合で塗布した。接着剤3は、エチルアクリレートと少量のメチルメタアクリレートとメタアクリル酸と2−ヒドロキシエチルアクリレートを乳化重合したものに無機充填剤としてクレーを25重量%と粘度調整剤としてポリビニルアルコール等を添加し、粘度が12000mPa・sでPHが7.0に調整したものを用いた。PHを7.0に調整したのは、接着剤3が金属下地部材1の発錆に影響しないように配慮したのである。
【0044】
次に、建築用面部材2のセット工程で、上記の金属下地部材1の接着剤3の上から、石膏ボードからなる建築用面部材2を被せて接着した。そうすると、金属下地部材1と建築用面部材2とが接着剤3の初期粘着力により所定の位置に保持される。
【0045】
次いで、プレス誘導加熱工程で、キャタピラ形の連続プレス誘導加熱装置4に、上記金属下地部材1と建築用面部材2との間に接着剤3が介された建築用パネル部材を通し、連続的にプレスすると共に誘導加熱を行なった。
【0046】
連続プレス誘導加熱装置4は、上下のキャタピラ形状の連続プレス誘導加熱部41、42を有している。各連続プレス誘導加熱部41、42は、多数のプレス型材43、43…が連結されてキャタピラ形状になされている。プレス型材43は塩化ビニル樹脂からなり誘導コイル44が埋設されており、プレスと同時に誘導加熱ができるようになっている。誘導コイル44に高周波電流を送り誘導加熱するのである。
【0047】
連続プレス誘導加熱装置4により、建築用パネル部材を上下から連続的にプレスすると共に、上側の連続プレス誘導加熱部41により、建築用面部材2の側から金属下地部材1及び接着剤3を約110℃でその各位置が10秒以上にわたり加熱されるように誘導加熱した。また、下側の連続プレス誘導加熱部42からも金属下地部材1を補助的に誘導加熱した。その結果、金属下地部材1に熱膨張の差による反り、内部ストレスなどがなく、しかも迅速に接着剤3が固化し、金属下地部材1と建築用面部材2とが接着固定された。また、連続的なプレスにより更に歪み、反り等のない寸法精度のよい建築用パネルNが得られた。
【0048】
このように、この建築用パネルの製造方法は、金属下地部材1と建築用面部材2との間に接着剤3を介し、これらを誘導コイル44が埋設されたプレス型材43、43…でプレスしながら誘導加熱して、金属下地部材1と建築用面部材2とを接着固定するから、金属下地部材1が誘導コイル44の誘導加熱により加熱され、これにより同時に接着剤3が加熱されて接着固定が迅速に行なわれる。しかも金属下地部材1と建築用面部材2とはプレス型材43、43…でプレスされて、反り、歪みなどが解消されるとともに、誘導コイル44と金属下地部材1との距離も正確に制御できて接着精度がよく、寸法精度のよい建築用パネルNが得られる。
【0049】
この建築用パネルの製造方法は、接着剤3が水系接着剤であるから、誘導加熱の温度制御が100℃近辺のラフなものでよく、更に製造が容易となり、発生するのは水やその蒸気であり人体に無害であるから、人体の健康や環境に対して安全である。しかも、製造に使用する連続プレス誘導加熱装置4は、例えば130℃以下の加熱能力の低いものでよいため、省電力なものにできる。
【0050】
更に、接着剤3がアクリルエマルジョン系接着剤であるから、その分散媒の水の除去が容易で確実で、耐久性、耐熱性、長期信頼性に優れ、低コストとなり、接着性と柔軟性に優れ、地震などによる振動や変位に対して追随性が増し、更に接着強度の優れたものになる。
【0051】
更に、上記の接着剤3の粘度が500〜100000mPa・sの範囲内の12000mPa・sであるから、取り扱いが容易で初期粘着力に優れ、接着取付の作業性がよいものになっている。
【0052】
この建築用パネルの製造方法は、上側の連続プレス誘導加熱部41の誘導コイル44が埋設されたプレス型材43、43…により一方面から上記金属下地部材1を誘導加熱するとともに、下側の連続プレス誘導加熱部42のプレス型材43、43…により他方面からも補助的に誘導加熱するから、金属下地部材1が上から誘導加熱されるのに加えて下からも加熱されて、熱膨張の差による反り、内部ストレスなどもなく、より迅速に接着固定されて製造速度が向上する。しかも、上下からプレスされて歪み、反り等が解消され、より寸法精度のよい建築用パネルNが得られる。
【0053】
この建築用パネルの製造装置は、誘導コイル44が埋設されたプレス型材43、43…を多数有するキャタピラ形状の上下の連続プレス誘導加熱部41、42からなる連続プレス誘導加熱装置4になっており、金属下地部材1と建築用面部材2との間に接着剤3が介された建築用パネル部材に連続的に接触してプレスすると共に誘導加熱するようになされているから、建築用パネル部材の金属下地部材1と接着剤3と建築用面部材2とが連続的に誘導加熱されて接着固定されるともに連続的にプレスされて歪み、反り等が解消され、寸法精度のよい建築用パネルが連続生産できる。
【0054】
この建築用パネルの製造方法は、金属下地部材1と建築用面部材2との接着面に接着剤3を塗布し、この金属下地部材1と建築用面部材2とを誘導加熱により接着固定させたから、金属下地部材1と建築用面部材2との固定を迅速に行なえるとともに、建築用面部材2を釘やビスで仮止めして傷つけることがない。したがって、パテ埋め作業を必要としない。
【0055】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。例えば、建築用パネルNを製造する場合に、金属下地部材1の両面に建築用面部材2、2を同時に誘導加熱により接着剤3で接着固定してもよい。また、接着剤3は建築用面部材2側に塗布してもよいし、建築用面部材2と金属下地部材1の両方に塗布してもよい。
【0056】
また、建築用パネルの製造装置は、図4に示すように、誘導コイル44が埋設されたロール形状のプレス型材43aを用いて、連続的にプレスすると共に誘導加熱してもよい。また、図5に示すように、誘導コイル44が埋設された平板形状のプレス型材43bを用いて、プレスすると共に誘導加熱してもよい。
【0057】
【発明の効果】
請求項1記載の建築用パネルの製造方法は、金属下地部材と建築用面部材との間に接着剤を介した建築用パネル部材を、誘導コイルが埋設されたプレス型材でプレスしながら誘導加熱して、金属下地部材と建築用面部材とを接着固定する際に、プレス型材が建築用パネル部材に連続的に接触してこの建築用パネル部材を移動させながらプレス及び誘導加熱するから、接着固定が迅速に行なわれ、しかもプレスされて、反り、歪みなどがなく、誘導コイルと金属下地部材との距離が正確に制御でき、接着精度がよく、寸法精度のよい建築用パネルが生産性よく得られる。しかも、建築用面部材を釘やビスで仮止めする必要やパテ埋め作業も必要としない。
【0058】
さらに、接着剤が水系接着剤であるから、誘導加熱の温度制御が100℃近辺のラフなものでよく、更に製造が容易となり、人体の健康や環境に対して安全であり、省電力なものにできる。
【0059】
請求項2記載の建築用パネルの製造方法は、請求項1において、接着剤がアクリルエマルジョン系接着剤であるから、耐久性、耐熱性、長期信頼性に優れ、低コストとなり、地震などによる振動や変位に対して追随性が増し、更に接着強度が優れ、人体の健康や環境に対して安全である。
【0060】
請求項3記載の建築用パネルの製造方法は、請求項1又は2において、プレス型材により一方面から上記金属下地部材を誘導加熱するとともに、他方面からもプレス型材で加熱するから、金属下地部材に反り、内部ストレスがなく、より迅速に接着固定され製造速度が向上するとともに、プレスされて更に歪み、反り等が解消され、より寸法精度のよい建築用パネルが得られる。
【0061】
請求項4記載の建築用パネルの製造装置は、金属下地部材と建築用面部材との間に接着剤が介された建築用パネル部材に、誘導コイルが埋設されたプレス型材が連続的に接触してこの建築用パネル部材を移動させながら、プレスし且つ誘導加熱すると共に、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の方法によって製造するから、建築用パネル部材の金属下地部材と接着剤と建築用面部材とが連続的に誘導加熱されて接着固定されると共に連続的にプレスされて歪み、反り等が解消され、寸法精度のよい建築用パネルが連続生産できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明で製造される建築用パネルを示す側面図である。
【図2】本発明の実施例の建築用パネルの製造方法を説明する斜視図である。
【図3】本発明の建築用パネルの製造方法及び装置の説明図である。
【図4】本発明の他の実施例を示す説明図である。
【図5】本発明の他の実施例を示す説明図である。
【符号の説明】
N 建築用パネル
1 金属下地部材
2 建築用面部材
3 接着剤
4 連続プレス誘導加熱装置
41 上側の連続プレス誘導加熱部
42 下側の連続プレス誘導加熱部
43、43a、43b プレス型材
44 誘導コイル
Claims (4)
- 金属下地部材と建築用面部材との間に接着剤を介した建築用パネル部材を、誘導コイルが埋設されたプレス型材でプレスしながら誘導加熱して、金属下地部材と建築用面部材とを接着固定する建築用パネルの製造方法であって、
前記プレス型材は、建築用パネル部材に連続的に接触してこの建築用パネル部材を移動させながらプレス及び誘導加熱すると共に、接着剤が水系接着剤であることを特徴とする建築用パネルの製造方法。 - 接着剤がアクリルエマルジョン系接着剤であることを特徴とする請求項1記載の建築用パネルの製造方法。
- 誘導コイルが埋設されたプレス型材により一方面から上記金属下地部材を誘導加熱するとともに、他方面からもプレス型材で加熱することを特徴とする請求項1又は2記載の建築用パネルの製造方法。
- 金属下地部材と建築用面部材との間に接着剤が介された建築用パネル部材に、誘導コイルが埋設されたプレス型材が連続的に接触してこの建築用パネル部材を移動させながら、プレスし且つ誘導加熱すると共に、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の方法によって製造することを特徴とする建築用パネルの製造装置。
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