JP3748596B2 - レジスト材料及びレジストパターンの形成方法 - Google Patents

レジスト材料及びレジストパターンの形成方法 Download PDF

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  • Materials For Photolithography (AREA)
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はレジスト材料及びそれを用いたレジストパターンの形成方法に関し、更に詳しく述べると、高解像性、高感度、そして優れたドライエッチング耐性を有するポジ型レジストと、それを使用してレジストパターンを形成する方法とに関する。本発明は、高性能のレジストを提供し、このレジストは半導体集積回路等の半導体装置の製造に有利に使用することができる。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体集積回路は集積化が進んで大規模集積回路(LSI)や超大規模集積回路(VLSI)が実用化されており、また、これとともに、集積回路の最少パターンはサブミクロン領域に及び、今後更に微細化する傾向にある。微細パターンの形成には、薄膜を形成した被処理基板上をレジストで被覆し、選択露光を行って所望パターンの潜像を形成した後に、現像してレジストパターンを作り、これをマスクとしてドライエッチングを行い、その後にレジストを除去することにより所望のパターンを得るリソグラフィ技術の使用が必須である。
【0003】
このリソグラフィ技術において使用される露光光源としてg線(波長436nm)、i線(波長365nm)の紫外線光が使用されているが、パターンの微細化に伴い、より波長の短い遠紫外線光、真空紫外線光、電子線(EB)、X線などが光源として使用されるようになってきている。特に最近では、エキシマレーザ(波長248nmのKrFレーザー、波長193nmのArFレーザー)が露光光源として注目されており、微細パターンの形成に有効であると期待されている。なお、この明細書では、「放射線」なる語を用いた場合、これらの様々の光源からの光、すなわち、紫外線、遠紫外線、真空紫外線、電子線、X線、各種レーザー光等を意味するものである。
【0004】
より短波長である真空紫外領域の露光光を用いてサブミクロンパターンを形成するレジスト材料としては、例えば、エステル部にアダマンタン骨格及び酸により脱離する保護基を有するアクリル酸エステル又はα置換アクリル酸エステルの重合体又は共重合体と、光酸発生剤とを混合して用いる化学増幅型放射線感光材料(特開平4−39665号公報参照)や、エステル部にノルボルナン骨格及び酸により脱離する保護基を有するアクリル酸エステル又はα置換アクリル酸エステルの重合体又は共重合体と、光酸発生剤とを混合して用いる化学増幅型放射線感光材料(特開平5−257281号公報参照)や、シクロヘキシルマレイミドの重合体又は共重合体と光酸発生剤との混合物を使用する化学増幅型放射線感光材料(特開平5−257285号公報参照)等がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
これらの化学増幅型放射線感光性材料(化学増幅型レジスト)は高感度、高解像性を容易に達成できた。ところが、化学増幅型レジストには、光酸発生剤から生じた酸が、基板表面に存在することがあるアルカリ性物質のためにレジスト表面と基板との界面において失活することや、化学増幅型レジストの塗布前に基板上に塗布することがある反射防止膜中へ拡散して酸濃度が低下してしまうといった問題があり、そのため半導体装置の生産の実工程に適用するには、大気成分の環境制御や時間管理等のように制御の必要な項目が多かった。そして従来の化学増幅型レジストにおいては、大気成分の環境制御や時間管理のために、環境制御コーターのように特別な装置を使用することや、レジスト膜上にトップコートを形成するための余分な工程を設けることが必要であった。
【0006】
本発明は、特に短波長露光光源を用いて、大気成分の環境制御や時間管理等に煩わされることなく微細パターンを形成することができる新しいレジスト材料の提供を目的とする。本発明のもう一つの目的は、この新しいレジスト材料を使ってレジストパターンを形成する方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のレジスト材料は、トリフルオロメチル置換基又はトリフルオロメチル基を末端に有する置換基と、脂環族又は芳香族炭化水素置換基とを有するアクリレート系の繰り返し単位を含む樹脂を含むレジスト材料である。
【0008】
トリフルオロメチル置換基は、繰り返し単位を構成するアクリレートのα位にあることができ、そしてトリフルオロメチル基を末端に有する置換基は、アクリレート系繰り返し単位のエステル位にあることができる。脂環族又は芳香族置換基は、アクリレート系繰り返し単位のエステル位に存在することができる。トリフルオロメチル基を末端に有する置換基がアクリレート系繰り返し単位のエステル位にある場合には、脂環族又は芳香族置換基はこのアクリレート系繰り返し単位とは別の繰り返し単位のエステル位に存在する。従って、この場合には、レジスト材料を構成する樹脂は、エステル位にトリフルオロメチル基を末端に有する置換基を持つアクリレート系繰り返し単位と、エステル位に脂環族又は芳香族置換基を持つアクリート系繰り返し単位との共重合体となる。トリフルオロメチル置換基が繰り返し単位のアクリレートのα位にある場合には、レジスト材料を構成する樹脂は単独重合体であってもよく、あるいは共重合体であってもよい。後者の場合、両方の置換基を有するアクリレート系繰返し単位とともに共重合体を形成する繰り返し単位は、アクリル酸、アクリル酸エステル及びこれらのα置換体を含む誘導体、スチレン及びその誘導体、又はビニルケトン及びその誘導体から得られる単位等でよいが、とは言えこれらに限定されるものではない。
【0009】
また、本発明のレジストパターン形成方法は、本発明のレジスト材料の溶液を被処理基板上に塗布し、形成したレジスト膜をプリベークし、次いでこのレジスト膜を放射線に選択的に露光して所定のパターンの潜像を形成後、現像液でこのレジストパターンを現像することを含む。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明のレジスト材料の一つの態様は、下記の式(I)で表される繰返し単位を有する樹脂を含むものである。
【0011】
【化3】
Figure 0003748596
【0012】
この式のR1 は脂環族又は芳香族炭化水素基である。R1 で表される脂肪族炭化水素基の例は、次のような化合物を骨格とするものである。
【0013】
(1)アダマンタン又はその誘導体
(2)ノルボルナン又はその誘導体
(3)シクロヘキサン又はその誘導体
(4)パーヒドロアントラセン又はその誘導体
(5)パーヒドロナフタレン又はその誘導体
(6)トリシクロ〔5.2.1.02.6 〕デカン又はその誘導体
(7)ビシクロヘキサン又はその誘導体
(8)スピロ〔4,4〕ノナン又はその誘導体
(9)スピロ〔4,5〕デカン又はその誘導体
【0014】
これらの化合物は、それぞれ次の構造式で表される。
【0015】
【化4】
Figure 0003748596
【0016】
【化5】
Figure 0003748596
【0017】
【化6】
Figure 0003748596
【0018】
またR1 で表される芳香族炭化水素基の例は、次のような化合物を骨格とするものである。
【0019】
(1)ベンゼン又はその誘導体
(2)ナフタレン又はその誘導体
(3)アントラセン又はその誘導体
(4)トリシクロペンタジエン又はその誘導体
(5)フローレン又はその誘導体
【0020】
これらの化合物は、それぞれ次の構造式で表される。
【0021】
【化7】
Figure 0003748596
【0022】
【化8】
Figure 0003748596
【0023】
上記の式(I)の繰り返し単位を有する樹脂は、単独重合体であってもよく、あるいはほかの繰り返し単位をも含む共重合体であってもよい。式(I)の繰り返し単位と別の繰返し単位とからなる樹脂である場合には、その別の繰返し単位は、例えば、アクリル酸、アクリル酸エステル及びこれらのα置換体を含む誘導体、スチレン及びその誘導体、ビニルケトン及びその誘導体から得られる単位等でよい。これらの共重合体においては、式(I)で表される繰返し単位は全繰返し単位のうちの5〜100%、好ましくは20〜100%を占めることができる。
【0024】
式(I)の繰返し単位を有する樹脂の重量平均分子量は、一般には2000〜350万である。重量平均分子量が2000未満では、現像時に露光部と未露光部の現像液への溶解レート差がとれにくく、350万を超えると、露光部が現像液に溶けるようにするには露光量が多くかかり、感度が低下する。重量平均分子量の好ましい範囲は、5万〜100万である。
【0025】
本発明のレジスト材料のもう一つの態様は、下記の式(II)で示される構造を有する樹脂を含むものである。
【0026】
【化9】
Figure 0003748596
【0027】
この式のR1 は先に定義されたとおりであり、pは0〜5の整数、rは0〜5の整数であり、R3 とR4 は炭素数1〜4の炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、水素又はハロゲンであって、R3 とR4 は同一であっても異なっていてもよく、mとnは正の整数である。
【0028】
式(II)の共重合体の重量平均分子量は、一般には2000〜350万である。重量平均分子量が2000未満では、現像時に露光部と未露光部の現像液への溶解レート差がとれにくく、350万を超えると、露光部が現像液に溶けるようにするには露光量が多くかかり、感度が低下する。重量平均分子量の好ましい範囲は、5万〜100万である。また、式(II)の共重合体においては、m:nの比は好ましくは2:8から8:2までであり、より好ましくは4:6から6:4までである。
【0029】
このように、本発明のレジスト材料の樹脂は、トリフルオロメチル置換基又はトリフルオロメチル基を末端に有する置換基と、脂環族又は芳香族炭化水素置換基の両方を有することを特徴としている。トリフルオロメチル基は電子吸引性であることから、この基が存在することにより、樹脂の主鎖の電子密度が低くなり、そのため放射線の露光によって主鎖の分解がより起こりやすくなる。このことから、露光量を多くしなくても、微細なレジストパターンの形成が可能になり、すなわちレジスト材料の感度が高くなる。また、脂環族又は芳香族炭化水素基は、放射線、特にArFエキシマレーザー光に代表される真空紫外線や、電子線のように、より波長の短い放射線の透過を向上させ、更にエッチング耐性も向上させる。こうして、本発明のレジスト材料は、高感度で、高解像性であって、且つエッチング耐性の良好なものとなる。
【0030】
下記の実施例において例示されるように、本発明のレジスト材料の樹脂は、適当な出発物質を使用して、通常の有機合成の手法により容易に調製することができる。
【0031】
本発明のレジスト材料は、架橋剤としてアジド化合物を含有することもできる。アジド化合物が存在すると、レジスト材料を基板に塗布後、形成されたレジスト膜を露光前に加熱して樹脂を硬化させることによって、露光部と未露光部との樹脂の分子量差をより大きくすることができ、感度を更に向上させるのが可能になる。本発明で使用するのに適当なアジド化合物の例としては、次式で示される4,4’−ジアジドカルコンや、
【0032】
【化10】
Figure 0003748596
【0033】
次式で示される2,6−ビス(4’−アジドベンザル)4−メチルシクロヘキサノン、
【0034】
【化11】
Figure 0003748596
【0035】
等を挙げることができる。
【0036】
本発明のレジスト材料を使用してレジストパターンを形成する際には、まずレジストの溶液を被処理基板上に塗布する。ここで使用する被処理基板は、半導体装置及びその他の装置において通常用いられているいかなる基板であってもよく、具体的には、シリコン基板、あるいは表面に酸化膜、ポリシリコン膜、窒化膜、アルミニウム膜等を設けたものなどを挙げることができる。これらの基板は、すでに回路が作りこまれていても、あるいは作りこまれていなくてもよい。これらの基板は場合によっては、レジストとの密着性を向上させるために、例えば、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)などのような密着促進剤で前処理しておくことが好ましい。
【0037】
レジスト溶液の塗布は、スピンコータ、ディップコータ、ローラコータなどのような常用の塗布装置を使用して行うことができる。形成されるレジスト膜の膜厚は、そのレジスト膜の使途などのファクタに応じて広く変更し得るとはいうものの、通常約0.3〜2.0μmの範囲である。
【0038】
次いで、形成されたレジスト膜を、放射線を選択的に露光する前に約40〜230℃の温度で約60〜180秒間にわたってプリベークする。このプリベークには、例えば、ホットプレートのような加熱手段を用いることができる。
【0039】
レジスト膜のプリベーク後、そのレジスト膜を常用の露光装置の放射線で選択的に露光する。適当な露光装置は、市販の紫外線(遠紫外線・真空紫外線)露光装置、X線露光装置、電子ビーム露光装置、エキシマステッパ、その他であるが、特にアルゴンフッ素レーザー光又は電子線を光源とする露光が好ましい。露光条件は、その都度適当な条件を選択することができる。この選択露光の結果、レジストの主成分である樹脂自体が分解して、現像液に対して溶解可能になる。
【0040】
その後、このレジスト膜を適当な有機溶剤系現像液で、常法にしたがって現像する。現像の結果、レジスト膜の露光域が溶解除去せしめられてレジストパターンが形成される。最後に、常法に従って乾燥し、レジストパターンが得られる。
【0041】
本発明のレジスト材料は、耐ドライエッチング性に優れていることから、例えばシリコン酸化膜を四フッ化炭素等のプラズマでドライエッチングする際に、レジストパターンをマスクとして使用して基板加工を行うことができる。
【0042】
【実施例】
次に、実施例を参照して本発明を更に説明する。なお、下記の実施例はほんの一例であって、これによって本発明が限定されるものではないことは言うまでもない。
【0043】
(実施例1)
開始剤のカリウム−t−ブトキシド(モノマーの0.1モル%)を重合容器に仕込み、モノマーの5倍量の溶剤テトラヒドロフランを加えた。−78℃にしたこの反応容器中にα−トリフルオロメチル−1−アダマンチルアクリレートを加え、反応容器内が再び−78℃になってから18−クラウン−6をカリウム−t−ブトキシドと等量加え、−78℃で約4時間にわたって重合させた。重合の完結後、n-ヘキサンを沈殿剤として精製を行なった。次式により表わされるα−トリフルオロメチル−1−アダマンチルアクリレート単独重合体が得られた。
【0044】
【化12】
Figure 0003748596
【0045】
得られた重合体は、重量平均分子量(Mw)が220,000、分散度 (Mw/Mn)が1.21であった。
【0046】
(実施例2)
実施例1において調製したα−トリフルオロメチル−1−アダマンチルアクリレート重合体をシクロヘキサノンに溶解した。得られた溶液を、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)で前処理したシリコン基板上に膜厚1.0μmでスピンコートし、ホットプレート上で150℃で100秒間プリベークした。プリベークの完了後、得られたレジスト膜をArFエキシマ露光装置で波長193nmのArFレーザー光のパターンに選択露光した。続いて、レジスト膜をヘプタンで120秒間現像し、現像液をスピンオフした。露光に用いたレーザー光パターンに相当する所望のレジストパターンが、パターンの剥がれを生じることなく得られた。なお、本例での照射線量のしきいエネルギーEthは350mJ/cm2 であり、0.25μmライン・アンド・スペースを解像した。
【0047】
(実施例3)
実施例2の手順に従ってホットプレート上で150℃で100秒間プリベークした試料を、2週間大気中に放置した後に、実施例2と同様にパターン化した。得られた結果は実施例2と同じであった。
【0048】
(実施例4)
実施例2の手順に従ってレジスト膜を形成し、露光後に、トップコートを施さずに2日間大気中に放置してから、実施例2と同様に現像を行ってレジストパターンを形成した。この場合にも、得られた結果は実施例2と同じであった。
【0049】
(実施例5)
表面に反射防止用の有機膜を設けたシリコン基板を使用し、実施例2と同じ手順で処理を行った。この場合においても、得られた結果はやはり実施例2と同じであった。反射防止膜を用いると化学増幅型レジストの場合に認められるレジストパターンの裾引きは、観測されなかった。
【0050】
(比較例1)
下式で表されるメタクリル酸3−オキソシクロヘキシル−メタクリル酸アダマンチル共重合体(Mw=15,000、式中のm/n比は50/50)
【0051】
【化13】
Figure 0003748596
【0052】
と、下式で示される光酸発生剤
【0053】
【化14】
Figure 0003748596
【0054】
からなる、既に知られている化学増幅型レジストを、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)で前処理したシリコン基板上に膜厚0.7μmになるようにスピンコートし、ホットプレート上で100℃で100秒間プリベークした。更にその上に飽和炭化水素樹脂からなるトップコート膜を塗布し、レジスト膜を先の実施例と同じArFエキシマ露光装置で波長193nmのArFレーザー光のパターンに選択露光した。露光後1分30秒以内に100℃で60秒間ベークし、そしてトップコート膜を溶剤で剥離した。レジスト膜を0.27Nのテトラメチルブチルアンモニウムハイドロキシド(TBAH)水溶液で120秒間現像し、更に純水で30秒間リンスした。露光に用いたレーザー光パターンに相当する所望のレジストパターンが、パターンの剥がれを生じることなく得られた。本例での照射線量のしきいエネルギーEthは13.5mJ/cm2 であり、0.25ライン・アンド・スペースを解像した。
【0055】
ここで、レジスト塗布後トップコートなしで2週間大気中に放置した試料を用いたところ、上記と同じ結果は得られず、パターンは解像しなかった。また、レジスト膜を塗布後に、トップコートを塗布しないで直ちに露光を行ってから2時間大気中に放置すると、やはり上記と同じ結果は得られず、パターンは解像しなかった。更に、表面に反射防止用有機膜を設けたシリコン基板を使用した場合には、形成したレジストパターンに裾引きが観察された。
【0056】
この比較例1と実施例2〜5とを比べると、従来の化学増幅型レジストを用いた場合には、本発明のレジストを用いた場合よりも感度が高いとは言うものの、大気成分の環境制御や時間管理を厳しくするのが不可欠であることが分かる。また、化学増幅型レジストの場合には基板表面に反射防止膜を設けると、酸発生剤から生じた酸がこの膜へ拡散してレジスト膜中の酸濃度が低下し、そのため形成したレジストパターンに裾引きの現象が認められるのに対して、本発明のレジストを用いればそのような有害な現象は認められないことが分かる。
【0057】
(比較例2)
下式で示されるように、α位にトリフルオロメチル基ではなく、メチル基を有する、1−アダマンチルメタクリレート単独重合体を、実施例1のα−トリフルオロメチル−1−アダマンチルアクリレートの代わりに1−アダマンチルメタクリレートを用いて実施例1と同様のやり方でもって調製した。この重合体の重量平均分子量(Mw)は300,000、分散度(Mw/Mn)は1.86であった。
【0058】
【化15】
Figure 0003748596
【0059】
この重合体を使って、実施例2と同じ手順によりレジストパターンを形成した。この場合の照射線量のしきいエネルギーEthは6800mJ/cm2 、0.60μmライン・アンド・スペースを解像した。このように、α位にトリフルオロメチル置換基のないアクリレート樹脂のレジスト材料にあっては、感度、解像力ともに本発明のレジスト材料より格段に劣ることが分かる。
【0060】
(実施例6)
実施例1におけるモノマーのα−トリフルオロメチル−1−アダマンチルアクリレートを、α−トリフルオロメチル−2−アダマンチルアクリレートに替えたことを除いて、実施例1の手順を繰り返し、次式で表されるα−トリフルオロメチル−2−アダマンチルアクリレート単独重合体(Mw=200,000、Mw/Mn=1.24)を得た。
【0061】
【化16】
Figure 0003748596
【0062】
次に、この重合体を用いて、実施例2〜5を繰り返した。いずれの場合にも、照射線量のしきいエネルギーEthは350mJ/cm2 であり、0.25μmライン・アンド・スペースを解像し、実施例2〜5の場合と同じ性能であることが示された。また、反射防止膜を使用した場合にも、レジストパターンの裾引きは認められなかった。
【0063】
(実施例7)
実施例1におけるモノマーのα−トリフルオロメチル−1−アダマンチルアクリレートを、α−トリフルオロメチル−1−メチルアダマンチルアクリレートに替えたことを除き、実施例1の手順を繰り返して、次式で表されるα−トリフルオロメチル−1−メチルアダマンチルアクリレート単独重合体(Mw=310,000、Mw/Mn=1.15)を得た。
【0064】
【化17】
Figure 0003748596
【0065】
次に、この重合体を用いて、実施例2〜5を繰り返した。いずれの場合にも、照射線量のしきいエネルギーEthは350mJ/cm2 、0.25μmライン・アンド・スペースを解像し、実施例2〜5の場合と同じ性能であることが示された。また、反射防止膜を使用した場合にも、レジストパターンの裾引きは観測されなかった。
【0066】
(実施例8)
開始剤のカリウム−t−ブトキシド(モノマーの0.1モル%)を重合容器に仕込み、モノマーの5倍量の溶剤テトラヒドロフランを加えた。−78℃にしたこの反応容器中にα−トリフルオロメチルノルボルニルアクリレートを加え、反応容器内が再び−78℃になってから18−クラウン−6をカリウム−t−ブトキシドと等量加え、−78℃で約4時間にわたって重合させた。重合の完結後、n−ヘキサンを沈殿剤として精製を行なった。これにより、次式で表わされるα−トリフルオロメチルノルボルニルアクリレート単独重合体が得られた。
【0067】
【化18】
Figure 0003748596
【0068】
得られた重合体は、重量平均分子量(Mw)が250,000、分散度 (Mw/Mn)が1.27であった。
【0069】
(実施例9)
実施例8で調製したα−トリフルオロメチルノルボルニルアクリレート重合体をシクロヘキサノンに溶解した。得られた溶液を、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)で前処理したシリコン基板上に膜厚1.0μmでスピンコートし、ホットプレート上で150℃で100秒間プリベークした。プリベーク完了後、得られたレジスト膜を実施例2で使用したの同じArFエキシマ露光装置で波長193nmのArFレーザー光のパターンに選択露光した。続いて、レジスト膜をヘプタンで120秒間現像し、現像液をスピンオフした。露光に用いたレーザー光パターンに相当する所望のレジストパターンが、パターンの剥がれを生じることなく得られた。本例での照射線量のしきいエネルギーEthは360mJ/cm2 であり、0.25μmライン・アンド・スペースを解像した。
【0070】
(実施例10)
実施例9の手順に従ってホットプレート上で150℃で100秒間プリベークした試料を、2週間大気中に放置した後に、実施例9と同様にパターン化した。得られた結果は実施例9と同じであった。
【0071】
(実施例11)
実施例9の手順に従ってレジスト膜を形成し、露光後に、トップコートを施さずに2日間大気中に放置してから、実施例9と同様に現像を行ってレジストパターンを形成した。この場合にも、得られた結果は実施例9と同じであった。
【0072】
(実施例12)
表面に反射防止用の有機膜を設けたシリコン基板を用いて、実施例9と同じ手順に従って処理を行った。この場合にも、得られた結果はやはり実施例9と同じであった。レジストパターンの裾引きも認められなかった。
【0073】
(実施例13(参考例)
開始剤のカリウム−t−ブトキシド(モノマーの0.1モル%)を重合容器に仕込み、モノマーの5倍量の溶剤テトラヒドロフランを加えた。−78℃にしたこの反応容器中にα−トリフルオロメチルナフチルアクリレートを加え、反応容器内が再び−78℃になってから18−クラウン−6をカリウム−t−ブトキシドと等量加え、−78℃で約4時間にわたって重合させた。重合の完結後、n−ヘキサンを沈殿剤として精製を行なった。これにより、次式で表わされるα−トリフルオロメチルナフチルアクリレート単独重合体が得られた。
【0074】
【化19】
Figure 0003748596
【0075】
この重合体は、重量平均分子量(Mw)が320,000、分散度(Mw/Mn)が1.30であった。
【0076】
(実施例14(参考例)
実施例13で調製したα−トリフルオロメチルナフチルアクリレート重合体をシクロヘキサノンに溶解した。この溶液を、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)で前処理したシリコン基板上に膜厚1.0μmでスピンコートし、ホットプレート上で150℃で100秒間プリベークした。プリベークの完了後、得られたレジスト膜をArFエキシマ露光装置で波長193nmのArFレーザー光のパターンに選択露光した。続いて、レジスト膜をヘプタンで120秒間現像し、現像液をスピンオフした。露光に用いたレーザー光パターンに相当する所望のレジストパターンが、パターンの剥がれを生じることなく得られた。照射線量のしきいエネルギーEthは600mJ/cm2 であり、0.25μmライン・アンド・スペースを解像した。
【0077】
(実施例15(参考例)
実施例14の手順に従ってホットプレート上で150℃で100秒間プリベークした試料を、2週間大気中に放置した後に、実施例14と同じようにパターン化した。得られた結果は実施例14と同じであった。
【0078】
(実施例16(参考例)
実施例14の手順に従ってレジスト膜を形成し、露光後に、トップコートを施さずに2日間大気中に放置してから、実施例14と同様に現像を行ってレジストパターンを形成した。この場合にも、得られた結果は実施例14と同じであった。
【0079】
(実施例17(参考例)
表面に反射防止用有機膜を設けたシリコン基板を使用して、実施例14と同じ手順に従って処理を行った。この場合にも、得られた結果はやはり実施例14と同じであった。レジストパターンの裾引きも認められなかった。
【0080】
(実施例18(参考例)
反応容器中でナフチルメタクリレートと2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレートを1:1のモル比で混合し、これらのモノマーの0.1モル%の量の開始剤2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)を加え、そしてモノマーの2倍量の溶剤トルエンに溶かした。この反応系を80℃にし、約8時間にわたって重合させた。重合の完結後、n−ヘキサンを沈殿剤として精製を行なった。次式により表わされるナフチルメタクリレート−2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート共重合体が得られた。
【0081】
【化20】
Figure 0003748596
【0082】
得られた重合体は、共重合比1:1、重量平均分子量(Mw)が210,000、分散度(Mw/Mn)が2.38であった。
【0083】
(実施例19(参考例)
実施例18において調製したナフチルメタクリレート−2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート重合体をシクロヘキサノンに溶解した。得られた溶液を、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)で前処理したシリコン基板上に膜厚1.0μmでスピンコートし、ホットプレート上で150℃で100秒間プリベークした。プリベークの完了後、得られたレジスト膜をArFエキシマ露光装置で波長193nmのArFレーザー光のパターンに選択露光した。続いて、レジスト膜をヘプタンで120秒間現像し、現像液をスピンオフした。露光に用いたレーザー光パターンに相当する所望のレジストパターンが、パターンの剥がれを生じることなく得られた。なお、本例での照射線量のしきいエネルギーEthは780mJ/cm2 であり、0.25μmライン・アンド・スペースを解像した。
【0084】
(実施例20(参考例)
実施例19の手順に従ってホットプレート上で150℃で100秒間プリベークした試料を、2週間大気中に放置した後に、実施例19と同様にパターン化した。得られた結果は実施例19と同じであった。
【0085】
(実施例21(参考例)
実施例19の手順に従ってレジスト膜を形成し、露光後に、トップコートを施さずに2日間大気中に放置してから、実施例19と同様に現像を行ってレジストパターンを形成した。この場合にも、得られた結果は実施例19と同じであった。
【0086】
(実施例22(参考例)
表面に反射防止用有機膜を設けたシリコン基板を使用して、実施例19と同じ手順に従って処理を行った。この場合にも、得られた結果はやはり実施例19と同じであった。レジストパターンの裾引きも認められなかった。
【0087】
(実施例23)
反応容器中で1:1のモル比の2−アダマンチルメタクリレートと2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレートを混合し、開始剤のAIBNをモノマーの0.1モル%加えて、モノマーの2倍量の溶剤トルエンに溶かした。この反応系を80℃にし、約8時間にわたって重合させた。重合の完結後、n−ヘキサンを沈殿剤として精製を行なった。これにより、次式で表わされる2−アダマンチルメタクリレート−2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート共重合体が得られた。
【0088】
【化21】
Figure 0003748596
【0089】
この重合体は、共重合比1:1、重量平均分子量(Mw)が240,000、分散度(Mw/Mn)が2.62であった。
【0090】
(実施例24)
実施例23で調製した2−アダマンチルメタクリレート−2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート重合体をシクロヘキサノンに溶解した。この溶液を、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)で前処理したシリコン基板上に膜厚1.0μmでスピンコートし、ホットプレート上で150℃で100秒間プリベークした。プリベークの完了後、得られたレジスト膜をArFエキシマ露光装置で波長193nmのArFレーザー光のパターンに選択露光した。続いて、レジスト膜をヘプタンで120秒間現像し、現像液をスピンオフした。露光に用いたレーザー光パターンに相当する所望のレジストパターンが、パターンの剥がれを生じることなく得られた。照射線量のしきいエネルギーEthは720mJ/cm2 であり、0.25μmライン・アンド・スペースを解像した。
【0091】
(実施例25)
実施例24の手順に従ってホットプレート上で150℃で100秒間プリベークした試料を、2週間大気中に放置した後に、実施例24と同様にパターン化した。得られた結果は実施例24と同じであった。
【0092】
(実施例26)
実施例24の手順に従ってレジスト膜を形成し、露光後に、トップコートを施さずに2日間大気中に放置してから、実施例24と同様に現像を行ってレジストパターンを形成した。この場合にも、得られた結果は実施例24と同じであった。
【0093】
(実施例27)
表面に反射防止用有機膜を設けたシリコン基板を使用して、実施例24と同じ手順に従って処理を行った。この場合にも、得られた結果はやはり実施例24と同じであった。レジストパターンの裾引きも認められなかった。
【0094】
(実施例28)
実施例23で調製した2−アダマンチルメタクリレート−2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート重合体にこの重合体の5重量%の量の4,4’−ジアジドカルコンを加え、そしてシクロヘキサノンに溶解した。この溶液を、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)で前処理したシリコン基板上に膜厚1.0μmでスピンコートし、ホットプレート上で200℃で150秒間プリベークした。プリベークの完了後、得られたレジスト膜をArFエキシマ露光装置で波長193nmのArFレーザー光のパターンに選択露光した。続いて、レジスト膜をキシレンで180秒間現像し、現像液をスピンオフした。露光に用いたレーザー光パターンに相当する所望のレジストパターンが、パターンの剥がれを生じることなく得られた。照射線量のしきいエネルギーEthは80mJ/cm2 であり、0.25μmライン・アンド・スペースを解像した。
【0095】
(実施例29)
実施例28の手順に従ってホットプレート上で200℃で150秒間プリベークした試料を、2週間大気中に放置した後に、実施例28と同様にパターン化した。得られた結果は実施例28と同じであった。
【0096】
(実施例30)
実施例28の手順に従ってレジスト膜を形成し、露光後に、トップコートを施さずに2日間大気中に放置してから、実施例28と同様に現像を行ってレジストパターンを形成した。この場合にも、得られた結果は実施例28と同じであった。
【0097】
(実施例31)
表面に反射防止用有機膜を設けたシリコン基板を使用して、実施例28と同じ手順に従って処理を行った。この場合にも、得られた結果はやはり実施例28と同じであった。レジストパターンの裾引きも認められなかった。
【0098】
【発明の効果】
従来の短波長露光用の化学増幅型レジスト材料が、大気成分の環境制御や時間管理のために環境制御コーターやトップコートのように特別な装置や膜の使用を必要としていたのと対照的に、本発明のレジスト材料は、基板への塗布後及び現像前等の工程間での放置時間や環境雰囲気に左右されずに、微細パターンを安定して形成するのを可能にする。そしてこのように優れた特性を備えたレジスト材料を用いる本発明のレジストパターン形成方法によれば、環境制御コーターのような特別な装置を使用せずに、しかも簡単な工程管理によって、安定な微細パターンを形成するのが可能になる。

Claims (6)

  1. トリフルオロメチル置換基をα位に有し、脂環族炭化水素置換基をエステル位に有するアクリレート系の繰り返し単位を含む樹脂を含むレジスト材料。
  2. 前記樹脂が下式で示される構造を有する、請求項1記載のレジスト材料。
    Figure 0003748596
    (この式のR 1 は脂環族炭化水素基である)
  3. リフルオロメチル基を末端に有する置換基をエステル位にし、且つα位にハロゲンを有しないアクリレート系の繰り返し単位と、脂環族炭化水素置換基をエステル位に有するアクリレート系の繰り返し単位とを含む樹脂を含むレジスト材料。
  4. 前記樹脂が下式で示される構造を有する、請求項記載のレジスト材料。
    Figure 0003748596
    (この式のR1 は脂環族炭化水素基であり、pは0〜5の整数、rは0〜5の整数であり、R3 とR4 は炭素数1〜4の炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、又は素であって、R3 とR4 は同一であっても異なっていてもよく、mとnは正の整数である)
  5. 前記脂環族炭化水素置換基が、アダマンタンもしくはその誘導体、ノルボルナンもしくはその誘導体、シクロヘキサンもしくはその誘導体、パーヒドロアントラセンもしくはその誘導体、パーヒドロナフタレンもしくはその誘導体、トリシクロ〔5.2.1.02.6 〕デカンもしくはその誘導体、ビシクロヘキサンもしくはその誘導体、スピロ〔4,4〕ノナンもしくはその誘導体、又はスピロ〔4,5〕デカンもしくはその誘導体を骨格とする基である、請求項1から4までのいずれか一つに記載のレジスト材料。
  6. 請求項1からまでのいずれか一つに記載のレジスト材料の溶液を被処理基板上に塗布し、形成したレジスト膜をプリベークし、次いでこのレジスト膜を放射線に選択的に露光して所定のパターンの潜像を形成後、現像液でこのレジストパターンを現像することを含む、レジストパターンの形成方法。
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