JP3748226B2

JP3748226B2 - 灰の飛散性が低減されたシガレット用巻紙

Info

Publication number: JP3748226B2
Application number: JP2001548814A
Authority: JP
Inventors: 康男田中; 淳史長尾
Original assignee: Japan Tobacco Inc
Current assignee: Japan Tobacco Inc
Priority date: 1999-12-27
Filing date: 2000-12-25
Publication date: 2006-02-22
Anticipated expiration: 2020-12-25
Also published as: DK1270812T3; CA2395793A1; ATE380480T1; EP1270812A1; AU2224201A; EP1270812B1; ES2293933T3; CA2395793C; CN1247856C; US20020189626A1; KR20020069207A; WO2001048318A1; PT1270812E; CN1415039A; TW504372B; KR100520795B1; DE60037456T2; EP1270812A4; US6830053B2; DE60037456D1

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シガレット用巻紙に係り、特には、燃焼により生成する灰の飛散特性が改善されたシガレット用巻紙に関する。
【０００２】
【従来の技術】
シガレットは、タバコ刻み等のタバコ充填材を巻紙で巻装して提供される。このシガレット用巻紙は、木材、亜麻等のパルプから構成され、巻紙の不透明度や白色度を増加させ、また燃焼性を高めるために炭酸カルシウム等の填料や燃焼性を制御するために助燃剤が添加される。このようにして製造されるシガレット用巻紙は、シガレットの燃焼特性を規制するばかりでなく、燃焼により生成するシガレットの灰の特性、特に飛散特性をも制御する。
【０００３】
シガレットの灰は、シガレットから容易にはがれ落ちて飛散すると周囲を汚染する恐れがある。このシガレットの灰の飛散を抑制するために、従来から、シガレット巻紙についていくつかの改善提案がなされている。例えば、特開平１１−３６１９３号公報は、特定の粒子サイズを有する炭酸カルシウムを巻紙に添加することを開示している。また、米国特許第５，１６１，５５１号は、特定の粒子サイズを有する炭酸カルシウムを増大した量で巻紙に添加することを開示している。
【０００４】
しかしながら、炭酸カルシウムは、巻紙の燃焼には必要であるが、その量を多くし過ぎると、シガレットの香喫味に影響を与えるとともに、巻紙の燃焼速度を速め、また巻紙の強度を低下させてシガレットの巻上げに支障をきたす恐れがある。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、炭酸カルシウム等の燃焼促進性を有する填料や助燃剤の量を増加させることなくシガレット灰の飛散性を低減し得るシガレット用巻紙を提供することを目的とする。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、巻紙を亜麻パルプで構成し、その亜麻パルプのじん皮成分を増加させると、使用する炭酸カルシウム等の燃焼促進性を有する填料や助燃剤の量を増加させることなくシガレット灰の飛散を有意に抑制できることを見いだした。本発明はこの知見に基づく。
【０００７】
従って、本発明は、亜麻パルプじん皮を６０重量％以上含有する亜麻パルプから構成されたことを特徴とする、灰の飛散性が低減されたシガレット用巻紙を提供する。
【０００８】
本発明のシガレット用巻紙は、２０〜７０ｇ／ｃｍ²の坪量を有し得る。
【０００９】
また、本発明のシガレット用巻紙は、燃焼促進性を有する填料または燃焼助剤をさらに含有することができる。
【００１０】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、シガレット巻紙の燃焼により生成する灰の飛散機構について調べたところ、まず、燃焼熱により巻紙が収縮し、この収縮が巻紙の灰とタバコ刻みの灰との接触抵抗点に作用して灰にひび割れを引き起こし、その結果、細かな破片となった灰が落下することを見いだした。かくして、巻紙の飛散性は、巻紙の燃焼熱による収縮、および燃焼により巻紙から生成する灰におけるひび割れの数が少ないほど、灰飛散性は低いものとなる。
【００１１】
本発明のシガレット用巻紙を構成するパルプは亜麻パルプである。
【００１２】
本発明のシガレット用巻紙を構成する亜麻パルプにおいて、じん皮成分は６０重量％以上である。残部は、木質部である。本発明に使用される亜麻パルプは、刈り取り、種子・小枝の除去、精錬、乾燥、砕茎、打麻、切線等の工程を通じて製造されるが、特に砕茎工程によりじん皮成分の割合を調節することができる。
【００１３】
本発明により、シガレット用巻紙を構成する亜麻パルプにおいてじん皮成分を６０重量％以上とすることにより、炭酸カルシウム等の燃焼促進性を有する填料や助燃剤の量を増加させることなくシガレット灰（特に巻紙自体から生成する灰）の飛散性を大幅に低減することができる。例えば、炭酸カルシウムの添加量を一定にした場合、亜麻パルプ中のじん皮成分を４５重量％から８０重量％に増加させるだけで、シガレット灰の飛散率は、約３０％以上低減する。この低減率は、炭酸カルシウム等の燃焼促進性を有する填料の配合量を２倍以上に（例えば、炭酸カルシウムとして通常４．５ｇ／ｍ²の配合量を９ｇ／ｍ²に）増加させないと達成し得ないものであり、また助燃剤（例えばクエン酸塩）の添加量を１０倍以上に（例えば、通常１％弱の添加料を１０％に）増加させないと達成し得ないものである。亜麻パルプ中のじん皮成分の割合は、７０重量％以上であることが好ましく、７５重量％以上であることがより好ましく、８０重量％以上であることが特に好ましい。
【００１４】
本発明のシガレット用巻紙は、炭酸カルシウム等の燃焼促進性を有する填料や助燃剤を添加／塗布することができる。助燃剤としては、アルカリ金属塩等の通常のシガレット用巻紙に使用されているいずれの助燃剤をも使用することができるが、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウムあるいはそれらの混合物が特に好ましい。炭酸カルシウムは、例えば平均粒径約０．２〜０．５μｍのものを用いることができる。炭酸カルシウムは、その配合割合が多いほど、灰飛散性の低減に寄与するが、標準的には、１０〜３５重量％添加することができる。助燃剤も、その配合割合が多いほど、灰飛散性の低減に寄与するが、これを添加する場合、標準的には、０．７〜１．３重量％の割合で巻紙に添加される。いずれにしろ、本発明に従い亜麻パルプ中のじん皮成分を６０重量％以上とすることによりシガレット灰の飛散性は有意に低減されるので、これら燃焼促進性を有する填料や助燃剤の使用量はそれに応じて減少させることができ、あるいはこれら燃焼促進性を有する填料や助燃剤をさらに添加することにより、シガレット灰の飛散性をより一層低減させることができる。
【００１５】
通常、本発明のシガレット用巻紙は、２０ｇ／ｍ²〜７０ｇ／ｍ²の坪量を有する。
【００１６】
本発明において、燃焼時の巻紙の収縮率は、鈴木正太郎らにより学術雑誌Fire Science and Technology, pp 499-504 (1992)において発表された"BURNING PROCESS OF CELLULOSIC FIBERS COMPOSING FILTER PAPER DURING FLAME SPREAD"と題する論文に記述された手法に基づいて測定することができる。すなわち、シガレットからタバコ刻みを抜き取った円筒状巻紙を縦に置き、その上端に着火して自然燃焼条件下で円筒状巻紙を燃焼させたときの燃焼線（紙が黒くなってゆくchar lineまたはleading edge）の進行速度と収縮に伴って移動する点の移動速度（生成した灰領域における１点の移動速度）を１００倍程度の拡大観察下で測定し、前者で後者を除することによって求めることができる。燃焼線の進行速度は、単位時間当たりの燃焼進行量に相当し、収縮に伴って移動する点の移動速度は、単位時間当たりの収縮移動量に相当する。従って、両者は時間経過量が共通であるから、前者で後者を除することにより、単位燃焼進行量当たりの収縮移動量、すなわち巻紙の燃焼収縮率が求められる。
【００１７】
また、本発明において灰におけるひび割れの数は、シガレットをその先端（着火端）を上にして縦置きし、先端に着火し、自然燃焼条件下でシガレットを燃焼させたとき、シガレットの先端から１０ｍｍの位置から先端から４０ｍｍまでの位置までの長さ領域でシガレット中央付近の幅５ｍｍの区域（長さ３０ｍｍ、幅５ｍｍの区域）において生成した灰に発生したひびの数を約３５倍拡大観察下で目視により観察することにより測定される。ひびは、その大小によらずに１つのひびは１つと数える。但し、１つの小さなひびが広がったものは１つのひびであるが、２段にわたって形成されたひびや元のひびを起点に新たに形成されたひびは、つながっているものでも２つのひびと数える。
【００１８】
さらに、本発明において、シガレット灰の飛散率は、次のようにして測定することができる。すなわち、シガレット試料を振動モデュールに取付け、その先端から１０ｍｍの長さまで自然燃焼させる間に、喫煙者がシガレットを手に持って動かしている状況を模擬するために周波数１６０Ｈｚ、加速度１４Ｇの条件で連続駆動して振動させるようにコントロールユニットにより振動モデュールを駆動する。飛散した灰の量を測定し、先端から１０ｍｍまで燃焼したときに生成する灰の総重量に対する飛散灰量を飛散率として算出する。同仕様の５本のシガレット試料についてこの測定を行う。シガレット灰の飛散性の低減率は、参照のシガレット（例えば、通常品）の飛散率［Ａ（％）］と目的のシガレットの飛散率［Ｂ（％）］の差（Ａ−Ｂ）を参照のシガレットの飛散率［Ａ（％）］で除した値［（Ａ−Ｂ）／Ａ）］を％単位で示すことによって得られる。なお、シガレットの先端から１０ｍｍまでの長さを燃焼したときに生成する灰は、主に巻紙部分の灰である。
【００１９】
【実施例】
以下本発明を実施例により説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
実施例１
下記表１に示す仕様の亜麻パルプからなるシガレット用巻紙を製造し、この巻紙を用いてフィルター付きシガレットを巻き上げた。各シガレットは、いずれも、円周２５ｍｍ、全長８４ｍｍであり、タバコ刻みの充填量は、０．７０ｇであった。上に記載した方法により各巻紙の燃焼収縮率を測定するために、シガレットからタバコ刻みを抜き取った。上に記載した方法によりシガレットの燃焼により生成する灰におけるひびの数を測定するために、各シガレットをそのまま用いた。結果を表１に併記する。
【００２０】
【表１】

【００２１】
表１に示す結果から、亜麻パルプにおけるじん皮の含有率を増加させることにより、巻紙の燃焼収縮率が減少し、ひび割れ数が減少することがわかる。このことは、亜麻パルプにおけるじん皮の含有率を増加させることによりシガレット灰の飛散率が減少することを指示している。
【００２２】
実施例２
下記表２に示す仕様の亜麻パルプからなるシガレット用巻紙を製造し、フィルター付きシガレットを巻き上げた。各シガレットは、いずれも、円周２５ｍｍ、全長８４ｍｍであり、タバコ刻みの充填量は、０．７０ｇであった。なお、比較例のシガレットは、通常品に相当する。
【００２３】
得られたシガレットについて、上記シガレット灰飛散測定方法によりシガレット灰の飛散率等を求めた。結果を表２に併記する。
【００２４】
【表２】

【００２５】
表２に示す結果から、本発明のシガレット用巻紙は、その灰飛散率が大幅に減少することがわかる。本実施例の巻紙の灰飛散性の低減率は、比較例の巻紙に対して約３０％と算出される。
【００２６】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明のシガレット用巻紙は、燃焼促進性を有する填料や助燃剤の添加量を増加させることなくシガレット灰の飛散性を大幅に低減させることができる。

Claims

亜麻パルプじん皮を６０重量％以上含有する亜麻パルプから構成されたことを特徴とする、灰の飛散性が低減されたシガレット用巻紙。
２０〜７０ｇ／ｃｍ ² の坪量を有することを特徴とする請求項１に記載のシガレット用巻紙。
燃焼促進性を有する填料または燃焼助剤をさらに含有することを特徴とする請求項１または２に記載のシガレット用巻紙。
前記亜麻パルプが、前記亜麻パルプじん皮を８０重量％以上含有することを特徴とする請求項１〜３のいずれか１項に記載のシガレット用巻紙。