JP4237282B2 - 喫煙品の灰特性および喫煙品用巻紙の灰特性を改善する方法 - Google Patents
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- A24D1/02—Cigars; Cigarettes with special covers
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は一般に、喫煙品を構成するのに使用される紙の灰（アッシュ）特性を改善する方法に関する。本発明は、特に、約０．１５ミクロン〜約０．５ミクロンの粒径の炭酸カルシウムフィラーを紙に添加することによって、シガレット（巻きタバコ）ペーパの灰特性を改善する方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来より、シガレットなどの喫煙品は、筒状刻みタバコを白色巻紙（ラッピングペーパ）で巻くことにより製造される。通常、喫煙品は、喫煙できるよう一端部にフィルタを具備する。フィルタは、白色巻紙に接着されるチッピングペーパにより喫煙品へ取り付けられている。喫煙品の製造に使用される巻紙およびチッピングペーパは、一般に、亜麻(flax)または他のセルロース系繊維から製造され、炭酸カルシウムなどのフィラーを含有する。
【０００３】
また、シガレット巻紙およびチッピングペーパは共に、シガレットを保持するのに使用される一方で、シガレットの数多くの物理的な性質および特性に寄与し、また制御する。例えば、シガレット巻紙は、シガレットが燃焼する速度、シガレット一本につき吸う回数、および一回吸う毎に搬送されるタールの量に影響を及ぼす。巻紙の影響を受けるシガレットの他の特性は、シガレットが燃焼した際に生成される灰の外観および特性である。理想的に、シガレットの灰は凝集性がある(cohesive)べきであり、シガレットから剥がれ落ちるべきではなく、美的に好ましい外観を有しているべきである。
【０００４】
シガレット灰の質は一般に、四つの基準に基づいて灰を評価することによって決定される。第一の基準は灰の色である。一般に、白い灰ほど、より美的な外観で、従ってより好ましい。
【０００５】
シガレット灰の他の重要な特性の一つは、その凝集性および過度な剥がれ落ちを阻止する能力である。灰は、シガレットを指で軽くたたいたり、灰皿に軽く打ちつけたりしない限り、シガレットから剥がれ落ちるべきではない。さらに、シガレットを軽くたたいた後には、灰は塊状で脱離すべきで、粉砕すべきではない。
【０００６】
シガレット灰を評価するのに用いられた他の二つの基準は、ほとんどが巻紙に依存するものであり、筒状刻みタバコの灰の特性に依存するものではない。例えば、シガレット灰はまた、シガレットが燃焼した際に、巻紙に現れる黒こげのライン(char line) の厚みによって評価される。黒こげのラインが細いほど好ましい。
【０００７】
最後の基準は、シガレットを吸った際に、巻紙が灰から下流側に（フィルタの方向に）汚色する程度による。高品質巻紙は、シガレットを吸っているときに、シガレットの長さ全体に亘って汚色または変色しない。
【０００８】
【発明が解決しようとする課題】
過去において、喫煙品の灰特性を改善するために種々の方法が考案されてきた。例えば、灰の外観を改善するためになされた従来の努力の成果には、巻紙を製造するのに使用されるセルロース系繊維の種類の変更がある。また、灰の改質剤を、紙または刻みタバコに添加することが行われた。特に、過去においては、紙の中に澱粉または塩を添加することが提案されてきた。残念ながら、灰の改質剤はシガレットの味に悪影響を与える可能性がある。
【０００９】
従って、シガレットの他の特性に影響を与えずに、シガレットの灰特性を改善する方法の出現が要望されている。特に、紙の気体透過性、または紙が組み込まれているシガレットの味、燃焼速度、吸う回数、または吸う毎に搬送されるタールの量に悪影響を及ぼすことなく巻紙の灰特性を改善する方法の出現が望まれている。
【００１０】
【課題を解決するための手段】
本発明の第１の態様は、喫煙品用の巻紙の灰特性を改善する方法において、中央粒径が約０．１５ミクロン〜約０．５ミクロンの間にある炭酸カルシウムを有するフィラーを巻紙へ添加する工程を有することを特徴とする方法にある。
【００１１】
本発明の第２の態様は、第１の態様において、前記炭酸カルシウムは、中央粒径が約０．２ミクロン〜約０．４ミクロンの間にあることを特徴とする方法にある。
【００１２】
本発明の第３の態様は、第１の態様において、前記炭酸カルシウムは、中央粒径が約０．２５ミクロン〜約０．３５ミクロンの間にあることを特徴とする方法にある。
【００１３】
本発明の第４の態様は、第１の態様において、前記フィラーが、約２０重量％〜約４０重量％の量で前記巻紙に添加されることを特徴とする方法にある。
【００１４】
本発明の第５の態様は、第１の態様において、前記巻紙は、約１８ｇｓｍ（グラム／平方メートル）〜約６０グラム／平方メートルの基本重量を有することを特徴とする方法にある。
【００１５】
本発明の第６の態様は、第１の態様において、前記巻紙は、コレスタ単位で約５〜約８０の気体透過性を有することを特徴とする方法にある。
【００１６】
本発明の第７の態様は、第１の態様において、さらに、アルカリ金属塩、酢酸塩、リン酸塩、およびこれらの混合物からなる群から選択される燃焼制御添加剤で前記巻紙を被覆する工程を有することを特徴とする方法にある。
【００１７】
本発明の第８の態様は、第７の態様において、前記燃焼制御添加剤は、クエン酸塩からなり、前記クエン酸塩は、約０．３重量％〜約１２重量％の量で前記巻紙に添加されることを特徴とする方法にある。
【００１８】
本発明の第９の態様は、基本重量が約１８グラム／平方メートル〜約６０グラム／平方メートルの喫煙品用巻紙の灰特性を改善する方法において、中央粒径が約０．１５〜約０．５ミクロンの範囲の炭酸カルシウムから本質的になるフィラーを、約２０重量％〜約４０重量％の量で前記巻紙に添加する工程を有することを特徴とする方法にある。
【００１９】
本発明の第１０の態様は、第９の態様において、前記炭酸カルシウムは、中央粒径が約０．２ミクロン〜約０．４ミクロンの間にあることを特徴とする方法にある。
【００２０】
本発明の第１１の態様は、第９の態様において、前記フィラーは、約２５重量％〜約３５重量％の量で前記巻紙へ添加されることを特徴とする方法にある。
【００２１】
本発明の第１２の態様は、第９の態様において、前記巻紙は、基本重量が、約２２グラム／平方メートル〜約３２グラム／平方メートルであることを特徴とする方法にある。
【００２２】
本発明の第１３の態様は、第９の態様において、前記巻紙は、コレスタ単位で約５〜約８０の気体透過性を有することを特徴とする方法にある。
【００２３】
本発明の第１４の態様は、第９の態様において、前記巻紙は、コレスタ単位で約１５〜約５５の気体透過性を有することを特徴とする方法にある。
【００２４】
本発明の第１５の態様は、第９の態様において、さらに、燃焼制御添加剤を前記巻紙に添加する工程を有することを特徴とする方法にある。
【００２５】
本発明の第１６の態様は、第１５の態様において、前記燃焼制御添加剤は、クエン酸塩からなることを特徴とする方法にある。
【００２６】
本発明の第１７の態様は、第１６の態様において、前記クエン酸塩が、約０．３重量％〜約３重量％の量で前記巻紙に添加されることを特徴とする方法にある。
【００２７】
本発明の第１８の態様は、喫煙品の灰特性を改善する方法において、前記喫煙品に組み込まれる巻紙に炭酸カルシウムを有するフィラーを添加する工程を具備し、前記炭酸カルシウムは約０．１５ミクロン〜約０．５ミクロンの中央粒径を有し、前記フィラーは約２０重量％〜約４０重量％の量で前記巻紙へ添加され、前記巻紙は基本重量が約１８グラム／平方メートル〜約６０グラム／平方メートルであり且つコレスタ単位で約１５〜約５５の気体透過性を有し、前記巻紙はクエン酸塩で被覆されていることを特徴とする方法にある。
【００２８】
本発明の第１９の態様は、第１８の態様において、前記炭酸カルシウムは、中央粒径が約０．２５ミクロン〜約０．３５ミクロンの間にあることを特徴とする方法にある。
【００２９】
本発明の第２０の態様は、第１８の態様において、前記フィラーは約２５重量％〜約３５重量％の量で前記巻紙に含有されることを特徴とする方法にある。
【００３０】
本発明は、従来技術の構成および方法のあらゆる不利益を認識し対処する。
【００３１】
本発明は一般に、極端に制限された範囲の粒径を有するフィラーを紙中に添加することによって巻紙の灰特性を改善する方法に関する。好ましい一実施形態においては、フィラー材料は、約０．１５ミクロン〜約０．５ミクロンの中央粒径を有する炭酸カルシウムである。このフィラーを添加した巻紙は、期せずして、より大きい粒径またはより小さい粒径の炭酸カルシウムフィラーを用いて製造された巻紙より、より白色でより凝集性を有する灰を提供する。
【００３２】
参考としてここに組み込まれるサンダースら(Sanders et al.)の米国特許第５，１６１，５５１号で開示されているように、過去において、炭酸カルシウムフィラーは、巻紙の灰特性を改善する目的で使用された。特に、サンダースらは、巻紙の中に約０．０２ミクロンと約２ミクロンの間の中央粒径を有する炭酸カルシウムの使用を開示している。サンダースらは、紙の灰特性は、フィラーの粒径を低減するか、または紙中のフィラーの含有量を増大するかの何れかによって改善することができると教示する。サンダースらは、粒径に関して、シガレットの灰は、炭酸カルシウムの粒径が約０．０７ミクロンの場合に最も改善されると教示する。
【００３３】
しかしながら、サンダースらに反して、本発明者らは思いもかけず、巻紙の灰特性は、上述の参考文献で教示されたような０．０７ミクロンとは異なり、約０．１５ミクロン〜約０．５ミクロンの範囲の中央粒径を有する炭酸カルシウムを紙中に添加した場合に優れていることを知見した。また、本発明者らは、フィラーの粒径が上述した臨界範囲から増大または低減した場合には、灰の特性に悪影響がでることを知見した。このような知見は、粒子が小さいほど灰特性が改善されると教示するサンダースらと相反するものである。
【００３４】
さらに、サンダースらは、巻紙の灰は、フィラーの含有量が増大した場合に改善されると教示する。残念ながら、フィラーの含有量を増大させると、喫煙品の燃焼速度、吸う回数、タールの搬送量に悪影響を及ぼす可能性がある。また、フィラーを増量することは紙の強度を低下させ、シガレット高速製造機で搬送される際に、紙がより破れ易くなる。一方、本発明によれば、紙中のフィラー全体のレベルを変更または修正することなく、紙の灰特性を改善することができる。言い換えれば、本発明によると、紙の灰特性を、フィラーの粒径の単独の作用として改善することができる。
【００３５】
従って、本発明の目的は、シガレット紙および当該紙を組み込んでいるシガレットの灰特性を改善する方法を提供することである。
【００３６】
本発明の他の目的は、フィラーの含有量を増大することなく、シガレット紙の灰特性を改善する方法を提供することである。
【００３７】
さらに、本発明の他の目的は、極度に限定された範囲の中央粒径を有する炭酸カルシウムフィラーを紙の中に添加することにより、シガレット紙の灰特性を改善する方法を提供することである。
【００３８】
また、本発明の他の目的は、約０．１５ミクロン〜約０．５ミクロンの中央粒径を有する炭酸カルシウムフィラーを紙の中に添加させることによって、シガレット紙の灰特性を改善する方法を提供することである。
【００３９】
さらに、本発明の他の目的は、シガレット灰の白さおよび凝集性を改善する方法を提供することである。
【００４０】
本発明のこれらおよび他の目的は、喫煙品の巻紙の灰特性を改善する方法を提供することによって達成される。その方法は炭酸カルシウムからなるフィラーを巻紙の中に添加する工程を含む。この炭酸カルシウムは、約０．１５ミクロン〜約０．５ミクロン、好ましくは、約０．２ミクロン〜約０．４ミクロン、さらに好ましくは、約０．２５ミクロン〜約０．３５ミクロンの範囲の中央粒径を有する。フィラーは、約２０重量％〜約４０重量％、より好ましくは、約２５％重量％〜約３５重量％の量で巻紙へ添加することができる。
【００４１】
本発明によれば、巻紙は、約１８グラム／平方メートル〜約６０グラム／平方メートルまでの基本重量を有することができるが、典型的には、約２２グラム／平方メートル〜３２グラム／平方メートルである。巻紙はコレスタ単位(Coresta units) で、約５〜約８０の気体透過性を有することができる。
【００４２】
一実施形態において、巻紙に燃焼制御添加剤を被覆することができる。燃焼制御添加剤は、例えば、アルカリ金属塩、酢酸塩、リン酸塩、またはこれらの混合物である。燃焼制御添加剤は、例えば、クエン酸塩であり、約０．３重量％〜約１２重量％の量で紙に添加することができる。
【００４３】
また、本発明は、喫煙品の灰特性を改善する方法に関するものである。喫煙品の灰は、約０．１５ミクロン〜約０．５ミクロンの中央粒径を有する炭酸カルシウムフィラーを、喫煙品を構成するのに用いられる巻紙に添加することによって改善される。巻紙の中に前記炭酸カルシウムフィラーを添加することにより、喫煙品の灰特性は、上述したものより大きいまたは小さい粒径の炭酸カルシウムフィラーを含有する巻紙で製造された喫煙品から形成される灰より、予想外に、より白色で且つより凝集性を有する。
【００４４】
本発明の他の目的、特長、および態様についてさらに説明する。
【００４５】
【発明の実施の形態】
この説明は、あくまで例示的な実施例の説明にすぎず、例示的な構成に具現化されている本発明のより広範な態様を限定する意図のものではないことは、当業者に理解されるであろう。
本発明は一般に、巻紙の灰特性、および巻紙を組み込んだ喫煙品の灰特性を改善する方法に関する。灰特性は、極度に限定された臨界的な範囲の中央粒径を有する炭酸カルシウムフィラーを、紙に添加することにより改善される。特に、炭酸カルシウムの中央粒径は、約、０．１５ミクロン〜約０．５ミクロン、特に、約０．２ミクロン〜約０．４ミクロンの間であるべきである。さらに、紙の灰特性は、紙に含有されるフィラーの量を増加させることなく改善される。
【００４６】
上述した限定された範囲に中央粒径を有する炭酸カルシウムフィラーを巻紙に添加することにより、紙の灰特性は、より小さくまたはより大きい粒径のフィラーを含有する紙と比較して、驚くほど、予想に反して改善された。この知見は、灰特性は０．０７ミクロンの粒径が最も有効であると教示するサンダースらの米国特許第５，１６１，５５１号を考慮すると、特に予想外なものである。このように、サンダースらは、本発明および個々に開示する改善とはかけ離れたものを教示する。
【００４７】
本発明によって製造された喫煙品の巻紙は、より小さくまたはより大きい粒径の炭酸カルシウムを含有する巻紙と比較して、燃焼した際に、より白色の灰を示す。不明なことではあるが、より白色の灰の外観は、ある程度は、本発明で使用される炭酸カルシウムフィラーの粒径が可視光の波長の約半分に一致するという事実による可能性がある。炭酸カルシウムは、この粒径の範囲内で、より白色の灰の外観を形成する光の散乱により効果的であると思われる。他の思いがけぬ利益は、多くの従来技術の構成より、灰がより凝集性を有することである。
【００４８】
本発明に基づいて製造されたシガレット巻紙の構成をより詳細に説明する。一般に、巻紙は、例えば、亜麻、軟材または硬材から得られるセルロース系繊維から製造することができる。紙の特性を適宜変化させるため、セルロース系繊維の種々の混合物を用いることができる。また、繊維が精製される程度も変化させることができる。
【００４９】
巻紙へ添加されるフィラー総充填量は、約２０重量％〜約４０重量％、特に、約２５重量％〜約３５重量％の範囲にすることができる。フィラーは、完全に炭酸カルシウム粒子から製造してもよいし、または異種の材料の混合物から製造してもよい。しかしながら、ほとんどの用途において、フィラーは、本質的に、所望の範囲の粒径を有する炭酸カルシウムであるべきである。本発明により、総フィラー含有量を増大または低減する必要なく、紙の灰特性を、実質的にまた予想に反して改善することができる。
【００５０】
本発明によって製造された喫煙品用の巻紙の気体透過性は、一般に、コレスタ単位で、約５〜約８０とすることができる。ほとんどの用途において、気体透過性は、コレスタ単位で約１５〜約５５の範囲とすべきである。
【００５１】
シガレット巻紙の基本重量は、通常、約１８グラム／平方メートル〜約６０グラム／平方メートル、特に、約２２グラム／平方メートル〜約３２グラム／平方メートルの範囲にある。本発明による巻紙は、これらの範囲の何れかの範囲内でも製造することができる。また、シガレット紙は、燃焼制御添加剤を用いて処理してもよい。このような燃焼制御添加剤としては、例えば、アルカリ金属塩、酢酸塩、リン酸塩、またはこれらの混合物を用いることができる。特に好ましい燃焼制御添加剤は、クエン酸カリウムとクエン酸ナトリウムとの混合物である。燃焼制御添加剤は、約０．３重量％〜約１２重量％、特に、約０．３重量％〜約３重量％の範囲の量で紙に添加することができる。
【００５２】
上述したように、本発明は、紙および紙を組み込んで構成された喫煙品の灰特性を改善する炭酸カルシウムフィラーを巻紙に添加することに関する。上述したように、炭酸カルシウムフィラーは、約０．１５ミクロン〜約０．５ミクロン、特に、約０．２ミクロン〜約０．４ミクロンの中央粒径を有する必要がある。ここで用いられたように、フィラーの粒径は、例えば、セディグラフ(Sedigraph) を用いる沈降法(sedimentation procedure) よって測定され、決定される。
【００５３】
一実施形態において、炭酸カルシウムフィラーは、水と混合してフィラースラリーを形成することができる。次いで、スラリーは紙を形成する際にセルロース系繊維の懸濁液へ添加することができる。例えば、繊維懸濁液は、蒸煮がまで煮沸され、洗浄され、漂白され、精製された繊維完成紙料(furnish) から調製することができる。巻紙を形成するため、得られたたスラリーと繊維懸濁物との混合物を一枚のスクリーンまたは一セットのスクリーンに広げ、乾燥させる。
【００５４】
また、紙を形成する際に繊維懸濁液へ添加することに加えて、炭酸カルシウムフィラーを形成された後の紙の表面に被覆することもできる。
【００５５】
本発明で使用できる、特に商業的に入手可能な炭酸カルシウムフィラーの一つは、マサチューセッツ州、アダムス(Adams, Massachusetts)のスペシャルティ・ミネラルズ・インコーポレイテッド(Specialty Minerals, Inc.)によって市販されているウルトラパック(ULTRAPAQUE)である。ウルトラパックは中央粒径が約０．３ミクロンの菱面体の軽質炭酸カルシウム粒子を含有する。炭酸カルシウム粒子は約７．５ｍ２ ／ｇの表面積を有する。
【００５６】
本発明は後述の実施例を参照することによって、より深く理解されるであろう。
【００５７】
（実施例１）
１．９ミクロンの中央粒径を有するアルバカー(ALBACAR) ５９７０炭酸カルシウムフィラーを添加した巻紙の灰特性を、約０．３ミクロンの中央粒径を有するウルトラパック(ULTRAPAQUE)炭酸カルシウムフィラーを添加した紙の灰と比較した。アルバカー５９７０フィラーとウルトラパックフィラーの両者は、マサチューセッツ州、アダムス(Adams, Massachusetts)のスペシャルティ・ミネラルズ・インコーポレイテッド(Specialty Minerals, Inc.)から入手した。
【００５８】
アルバカ５９７０フィラーとウルトラパックフィラーとを、下記の混合で添加して巻紙を製造した。
【００５９】
【表１】
【００６０】
実施例の全ての巻紙は、基本重量が２５グラム／平方メートルで、総フィラー量が２８重量％である。また、各実施例は、０．６重量％のクエン酸塩を含有する。
【００６１】
次いで、上述した巻紙を用いて、研究用シガレット製造機でシガレットを製造した。各シガレットに点火し、静的状態で燃焼させた。シガレットを燃焼させながら、灰を確認し、評価した。また、形成された灰の写真を撮影した。
【００６２】
この実験から、紙中のウルトラパックの量を増加させるほど、灰は顕著により白くなり、凝集性もやや高まることが判った。
【００６３】
（実施例２）
また、シガレット巻紙を代表するハンドシート（手巻き用シート）を、あるセットでは約０．３ミクロンの中央粒径を有するウルトラパック炭酸カルシウムフィラーを添加して、また別のセットでは約０．０７ミクロンの中央粒径を有するマルチフェックス(MULTIFEX)炭酸カルシウムフィラーを添加して製造した。マルチフェックスフィラーは、マサチューセッツ州、アダムス(Adams, Massachusetts)のスペシャルティ・ミネラルズ・インコーポレイテッド(Specialty Minerals, Inc.)から入手した。ハンドシートは全て、約３０重量％のフィラー含有量で、約２７グラム／平方メートルの基本重量を有する。
【００６４】
ハンドシートを手巻きしてシガレットとした。シガレットに点火し、自然に燃焼させた。シガレットが燃焼するにつれて形成された灰を観察し評価した。
【００６５】
この実施例から、ウルトラパック(ULTRAPAQUE)フィラーを添加した紙で巻いたシガレットから形成された灰は、マルチフェックス(MULTIFEX)フィラーを添加した紙で巻いたシガレットから形成された灰と比較して、顕著に且つ予想外により白さを増した。また、ウルトラパック(ULTRAPAQUE)フィラーを含有するシガレットの灰は、マルチフェックス(MULTIFEX)フィラーを含有するシガレットの灰より、多少凝集性が高まった。
【００６６】
本発明のこれらのおよび他の変更および変形は、特に添付した請求項に示された本発明の趣旨および範囲から離れることなく、当業者により実施されるであろう。さらに、種々の実施例の態様の解釈は、全体および部分的に置換可能であると理解されるであろう。さらに、上述した説明は単に例示であり、添付した請求項にさらに記載されている本発明を限定を意図するものではないことは当業者により理解されるであろう。
【発明の属する技術分野】
本発明は一般に、喫煙品を構成するのに使用される紙の灰（アッシュ）特性を改善する方法に関する。本発明は、特に、約０．１５ミクロン〜約０．５ミクロンの粒径の炭酸カルシウムフィラーを紙に添加することによって、シガレット（巻きタバコ）ペーパの灰特性を改善する方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来より、シガレットなどの喫煙品は、筒状刻みタバコを白色巻紙（ラッピングペーパ）で巻くことにより製造される。通常、喫煙品は、喫煙できるよう一端部にフィルタを具備する。フィルタは、白色巻紙に接着されるチッピングペーパにより喫煙品へ取り付けられている。喫煙品の製造に使用される巻紙およびチッピングペーパは、一般に、亜麻(flax)または他のセルロース系繊維から製造され、炭酸カルシウムなどのフィラーを含有する。
【０００３】
また、シガレット巻紙およびチッピングペーパは共に、シガレットを保持するのに使用される一方で、シガレットの数多くの物理的な性質および特性に寄与し、また制御する。例えば、シガレット巻紙は、シガレットが燃焼する速度、シガレット一本につき吸う回数、および一回吸う毎に搬送されるタールの量に影響を及ぼす。巻紙の影響を受けるシガレットの他の特性は、シガレットが燃焼した際に生成される灰の外観および特性である。理想的に、シガレットの灰は凝集性がある(cohesive)べきであり、シガレットから剥がれ落ちるべきではなく、美的に好ましい外観を有しているべきである。
【０００４】
シガレット灰の質は一般に、四つの基準に基づいて灰を評価することによって決定される。第一の基準は灰の色である。一般に、白い灰ほど、より美的な外観で、従ってより好ましい。
【０００５】
シガレット灰の他の重要な特性の一つは、その凝集性および過度な剥がれ落ちを阻止する能力である。灰は、シガレットを指で軽くたたいたり、灰皿に軽く打ちつけたりしない限り、シガレットから剥がれ落ちるべきではない。さらに、シガレットを軽くたたいた後には、灰は塊状で脱離すべきで、粉砕すべきではない。
【０００６】
シガレット灰を評価するのに用いられた他の二つの基準は、ほとんどが巻紙に依存するものであり、筒状刻みタバコの灰の特性に依存するものではない。例えば、シガレット灰はまた、シガレットが燃焼した際に、巻紙に現れる黒こげのライン(char line) の厚みによって評価される。黒こげのラインが細いほど好ましい。
【０００７】
最後の基準は、シガレットを吸った際に、巻紙が灰から下流側に（フィルタの方向に）汚色する程度による。高品質巻紙は、シガレットを吸っているときに、シガレットの長さ全体に亘って汚色または変色しない。
【０００８】
【発明が解決しようとする課題】
過去において、喫煙品の灰特性を改善するために種々の方法が考案されてきた。例えば、灰の外観を改善するためになされた従来の努力の成果には、巻紙を製造するのに使用されるセルロース系繊維の種類の変更がある。また、灰の改質剤を、紙または刻みタバコに添加することが行われた。特に、過去においては、紙の中に澱粉または塩を添加することが提案されてきた。残念ながら、灰の改質剤はシガレットの味に悪影響を与える可能性がある。
【０００９】
従って、シガレットの他の特性に影響を与えずに、シガレットの灰特性を改善する方法の出現が要望されている。特に、紙の気体透過性、または紙が組み込まれているシガレットの味、燃焼速度、吸う回数、または吸う毎に搬送されるタールの量に悪影響を及ぼすことなく巻紙の灰特性を改善する方法の出現が望まれている。
【００１０】
【課題を解決するための手段】
本発明の第１の態様は、喫煙品用の巻紙の灰特性を改善する方法において、中央粒径が約０．１５ミクロン〜約０．５ミクロンの間にある炭酸カルシウムを有するフィラーを巻紙へ添加する工程を有することを特徴とする方法にある。
【００１１】
本発明の第２の態様は、第１の態様において、前記炭酸カルシウムは、中央粒径が約０．２ミクロン〜約０．４ミクロンの間にあることを特徴とする方法にある。
【００１２】
本発明の第３の態様は、第１の態様において、前記炭酸カルシウムは、中央粒径が約０．２５ミクロン〜約０．３５ミクロンの間にあることを特徴とする方法にある。
【００１３】
本発明の第４の態様は、第１の態様において、前記フィラーが、約２０重量％〜約４０重量％の量で前記巻紙に添加されることを特徴とする方法にある。
【００１４】
本発明の第５の態様は、第１の態様において、前記巻紙は、約１８ｇｓｍ（グラム／平方メートル）〜約６０グラム／平方メートルの基本重量を有することを特徴とする方法にある。
【００１５】
本発明の第６の態様は、第１の態様において、前記巻紙は、コレスタ単位で約５〜約８０の気体透過性を有することを特徴とする方法にある。
【００１６】
本発明の第７の態様は、第１の態様において、さらに、アルカリ金属塩、酢酸塩、リン酸塩、およびこれらの混合物からなる群から選択される燃焼制御添加剤で前記巻紙を被覆する工程を有することを特徴とする方法にある。
【００１７】
本発明の第８の態様は、第７の態様において、前記燃焼制御添加剤は、クエン酸塩からなり、前記クエン酸塩は、約０．３重量％〜約１２重量％の量で前記巻紙に添加されることを特徴とする方法にある。
【００１８】
本発明の第９の態様は、基本重量が約１８グラム／平方メートル〜約６０グラム／平方メートルの喫煙品用巻紙の灰特性を改善する方法において、中央粒径が約０．１５〜約０．５ミクロンの範囲の炭酸カルシウムから本質的になるフィラーを、約２０重量％〜約４０重量％の量で前記巻紙に添加する工程を有することを特徴とする方法にある。
【００１９】
本発明の第１０の態様は、第９の態様において、前記炭酸カルシウムは、中央粒径が約０．２ミクロン〜約０．４ミクロンの間にあることを特徴とする方法にある。
【００２０】
本発明の第１１の態様は、第９の態様において、前記フィラーは、約２５重量％〜約３５重量％の量で前記巻紙へ添加されることを特徴とする方法にある。
【００２１】
本発明の第１２の態様は、第９の態様において、前記巻紙は、基本重量が、約２２グラム／平方メートル〜約３２グラム／平方メートルであることを特徴とする方法にある。
【００２２】
本発明の第１３の態様は、第９の態様において、前記巻紙は、コレスタ単位で約５〜約８０の気体透過性を有することを特徴とする方法にある。
【００２３】
本発明の第１４の態様は、第９の態様において、前記巻紙は、コレスタ単位で約１５〜約５５の気体透過性を有することを特徴とする方法にある。
【００２４】
本発明の第１５の態様は、第９の態様において、さらに、燃焼制御添加剤を前記巻紙に添加する工程を有することを特徴とする方法にある。
【００２５】
本発明の第１６の態様は、第１５の態様において、前記燃焼制御添加剤は、クエン酸塩からなることを特徴とする方法にある。
【００２６】
本発明の第１７の態様は、第１６の態様において、前記クエン酸塩が、約０．３重量％〜約３重量％の量で前記巻紙に添加されることを特徴とする方法にある。
【００２７】
本発明の第１８の態様は、喫煙品の灰特性を改善する方法において、前記喫煙品に組み込まれる巻紙に炭酸カルシウムを有するフィラーを添加する工程を具備し、前記炭酸カルシウムは約０．１５ミクロン〜約０．５ミクロンの中央粒径を有し、前記フィラーは約２０重量％〜約４０重量％の量で前記巻紙へ添加され、前記巻紙は基本重量が約１８グラム／平方メートル〜約６０グラム／平方メートルであり且つコレスタ単位で約１５〜約５５の気体透過性を有し、前記巻紙はクエン酸塩で被覆されていることを特徴とする方法にある。
【００２８】
本発明の第１９の態様は、第１８の態様において、前記炭酸カルシウムは、中央粒径が約０．２５ミクロン〜約０．３５ミクロンの間にあることを特徴とする方法にある。
【００２９】
本発明の第２０の態様は、第１８の態様において、前記フィラーは約２５重量％〜約３５重量％の量で前記巻紙に含有されることを特徴とする方法にある。
【００３０】
本発明は、従来技術の構成および方法のあらゆる不利益を認識し対処する。
【００３１】
本発明は一般に、極端に制限された範囲の粒径を有するフィラーを紙中に添加することによって巻紙の灰特性を改善する方法に関する。好ましい一実施形態においては、フィラー材料は、約０．１５ミクロン〜約０．５ミクロンの中央粒径を有する炭酸カルシウムである。このフィラーを添加した巻紙は、期せずして、より大きい粒径またはより小さい粒径の炭酸カルシウムフィラーを用いて製造された巻紙より、より白色でより凝集性を有する灰を提供する。
【００３２】
参考としてここに組み込まれるサンダースら(Sanders et al.)の米国特許第５，１６１，５５１号で開示されているように、過去において、炭酸カルシウムフィラーは、巻紙の灰特性を改善する目的で使用された。特に、サンダースらは、巻紙の中に約０．０２ミクロンと約２ミクロンの間の中央粒径を有する炭酸カルシウムの使用を開示している。サンダースらは、紙の灰特性は、フィラーの粒径を低減するか、または紙中のフィラーの含有量を増大するかの何れかによって改善することができると教示する。サンダースらは、粒径に関して、シガレットの灰は、炭酸カルシウムの粒径が約０．０７ミクロンの場合に最も改善されると教示する。
【００３３】
しかしながら、サンダースらに反して、本発明者らは思いもかけず、巻紙の灰特性は、上述の参考文献で教示されたような０．０７ミクロンとは異なり、約０．１５ミクロン〜約０．５ミクロンの範囲の中央粒径を有する炭酸カルシウムを紙中に添加した場合に優れていることを知見した。また、本発明者らは、フィラーの粒径が上述した臨界範囲から増大または低減した場合には、灰の特性に悪影響がでることを知見した。このような知見は、粒子が小さいほど灰特性が改善されると教示するサンダースらと相反するものである。
【００３４】
さらに、サンダースらは、巻紙の灰は、フィラーの含有量が増大した場合に改善されると教示する。残念ながら、フィラーの含有量を増大させると、喫煙品の燃焼速度、吸う回数、タールの搬送量に悪影響を及ぼす可能性がある。また、フィラーを増量することは紙の強度を低下させ、シガレット高速製造機で搬送される際に、紙がより破れ易くなる。一方、本発明によれば、紙中のフィラー全体のレベルを変更または修正することなく、紙の灰特性を改善することができる。言い換えれば、本発明によると、紙の灰特性を、フィラーの粒径の単独の作用として改善することができる。
【００３５】
従って、本発明の目的は、シガレット紙および当該紙を組み込んでいるシガレットの灰特性を改善する方法を提供することである。
【００３６】
本発明の他の目的は、フィラーの含有量を増大することなく、シガレット紙の灰特性を改善する方法を提供することである。
【００３７】
さらに、本発明の他の目的は、極度に限定された範囲の中央粒径を有する炭酸カルシウムフィラーを紙の中に添加することにより、シガレット紙の灰特性を改善する方法を提供することである。
【００３８】
また、本発明の他の目的は、約０．１５ミクロン〜約０．５ミクロンの中央粒径を有する炭酸カルシウムフィラーを紙の中に添加させることによって、シガレット紙の灰特性を改善する方法を提供することである。
【００３９】
さらに、本発明の他の目的は、シガレット灰の白さおよび凝集性を改善する方法を提供することである。
【００４０】
本発明のこれらおよび他の目的は、喫煙品の巻紙の灰特性を改善する方法を提供することによって達成される。その方法は炭酸カルシウムからなるフィラーを巻紙の中に添加する工程を含む。この炭酸カルシウムは、約０．１５ミクロン〜約０．５ミクロン、好ましくは、約０．２ミクロン〜約０．４ミクロン、さらに好ましくは、約０．２５ミクロン〜約０．３５ミクロンの範囲の中央粒径を有する。フィラーは、約２０重量％〜約４０重量％、より好ましくは、約２５％重量％〜約３５重量％の量で巻紙へ添加することができる。
【００４１】
本発明によれば、巻紙は、約１８グラム／平方メートル〜約６０グラム／平方メートルまでの基本重量を有することができるが、典型的には、約２２グラム／平方メートル〜３２グラム／平方メートルである。巻紙はコレスタ単位(Coresta units) で、約５〜約８０の気体透過性を有することができる。
【００４２】
一実施形態において、巻紙に燃焼制御添加剤を被覆することができる。燃焼制御添加剤は、例えば、アルカリ金属塩、酢酸塩、リン酸塩、またはこれらの混合物である。燃焼制御添加剤は、例えば、クエン酸塩であり、約０．３重量％〜約１２重量％の量で紙に添加することができる。
【００４３】
また、本発明は、喫煙品の灰特性を改善する方法に関するものである。喫煙品の灰は、約０．１５ミクロン〜約０．５ミクロンの中央粒径を有する炭酸カルシウムフィラーを、喫煙品を構成するのに用いられる巻紙に添加することによって改善される。巻紙の中に前記炭酸カルシウムフィラーを添加することにより、喫煙品の灰特性は、上述したものより大きいまたは小さい粒径の炭酸カルシウムフィラーを含有する巻紙で製造された喫煙品から形成される灰より、予想外に、より白色で且つより凝集性を有する。
【００４４】
本発明の他の目的、特長、および態様についてさらに説明する。
【００４５】
【発明の実施の形態】
この説明は、あくまで例示的な実施例の説明にすぎず、例示的な構成に具現化されている本発明のより広範な態様を限定する意図のものではないことは、当業者に理解されるであろう。
本発明は一般に、巻紙の灰特性、および巻紙を組み込んだ喫煙品の灰特性を改善する方法に関する。灰特性は、極度に限定された臨界的な範囲の中央粒径を有する炭酸カルシウムフィラーを、紙に添加することにより改善される。特に、炭酸カルシウムの中央粒径は、約、０．１５ミクロン〜約０．５ミクロン、特に、約０．２ミクロン〜約０．４ミクロンの間であるべきである。さらに、紙の灰特性は、紙に含有されるフィラーの量を増加させることなく改善される。
【００４６】
上述した限定された範囲に中央粒径を有する炭酸カルシウムフィラーを巻紙に添加することにより、紙の灰特性は、より小さくまたはより大きい粒径のフィラーを含有する紙と比較して、驚くほど、予想に反して改善された。この知見は、灰特性は０．０７ミクロンの粒径が最も有効であると教示するサンダースらの米国特許第５，１６１，５５１号を考慮すると、特に予想外なものである。このように、サンダースらは、本発明および個々に開示する改善とはかけ離れたものを教示する。
【００４７】
本発明によって製造された喫煙品の巻紙は、より小さくまたはより大きい粒径の炭酸カルシウムを含有する巻紙と比較して、燃焼した際に、より白色の灰を示す。不明なことではあるが、より白色の灰の外観は、ある程度は、本発明で使用される炭酸カルシウムフィラーの粒径が可視光の波長の約半分に一致するという事実による可能性がある。炭酸カルシウムは、この粒径の範囲内で、より白色の灰の外観を形成する光の散乱により効果的であると思われる。他の思いがけぬ利益は、多くの従来技術の構成より、灰がより凝集性を有することである。
【００４８】
本発明に基づいて製造されたシガレット巻紙の構成をより詳細に説明する。一般に、巻紙は、例えば、亜麻、軟材または硬材から得られるセルロース系繊維から製造することができる。紙の特性を適宜変化させるため、セルロース系繊維の種々の混合物を用いることができる。また、繊維が精製される程度も変化させることができる。
【００４９】
巻紙へ添加されるフィラー総充填量は、約２０重量％〜約４０重量％、特に、約２５重量％〜約３５重量％の範囲にすることができる。フィラーは、完全に炭酸カルシウム粒子から製造してもよいし、または異種の材料の混合物から製造してもよい。しかしながら、ほとんどの用途において、フィラーは、本質的に、所望の範囲の粒径を有する炭酸カルシウムであるべきである。本発明により、総フィラー含有量を増大または低減する必要なく、紙の灰特性を、実質的にまた予想に反して改善することができる。
【００５０】
本発明によって製造された喫煙品用の巻紙の気体透過性は、一般に、コレスタ単位で、約５〜約８０とすることができる。ほとんどの用途において、気体透過性は、コレスタ単位で約１５〜約５５の範囲とすべきである。
【００５１】
シガレット巻紙の基本重量は、通常、約１８グラム／平方メートル〜約６０グラム／平方メートル、特に、約２２グラム／平方メートル〜約３２グラム／平方メートルの範囲にある。本発明による巻紙は、これらの範囲の何れかの範囲内でも製造することができる。また、シガレット紙は、燃焼制御添加剤を用いて処理してもよい。このような燃焼制御添加剤としては、例えば、アルカリ金属塩、酢酸塩、リン酸塩、またはこれらの混合物を用いることができる。特に好ましい燃焼制御添加剤は、クエン酸カリウムとクエン酸ナトリウムとの混合物である。燃焼制御添加剤は、約０．３重量％〜約１２重量％、特に、約０．３重量％〜約３重量％の範囲の量で紙に添加することができる。
【００５２】
上述したように、本発明は、紙および紙を組み込んで構成された喫煙品の灰特性を改善する炭酸カルシウムフィラーを巻紙に添加することに関する。上述したように、炭酸カルシウムフィラーは、約０．１５ミクロン〜約０．５ミクロン、特に、約０．２ミクロン〜約０．４ミクロンの中央粒径を有する必要がある。ここで用いられたように、フィラーの粒径は、例えば、セディグラフ(Sedigraph) を用いる沈降法(sedimentation procedure) よって測定され、決定される。
【００５３】
一実施形態において、炭酸カルシウムフィラーは、水と混合してフィラースラリーを形成することができる。次いで、スラリーは紙を形成する際にセルロース系繊維の懸濁液へ添加することができる。例えば、繊維懸濁液は、蒸煮がまで煮沸され、洗浄され、漂白され、精製された繊維完成紙料(furnish) から調製することができる。巻紙を形成するため、得られたたスラリーと繊維懸濁物との混合物を一枚のスクリーンまたは一セットのスクリーンに広げ、乾燥させる。
【００５４】
また、紙を形成する際に繊維懸濁液へ添加することに加えて、炭酸カルシウムフィラーを形成された後の紙の表面に被覆することもできる。
【００５５】
本発明で使用できる、特に商業的に入手可能な炭酸カルシウムフィラーの一つは、マサチューセッツ州、アダムス(Adams, Massachusetts)のスペシャルティ・ミネラルズ・インコーポレイテッド(Specialty Minerals, Inc.)によって市販されているウルトラパック(ULTRAPAQUE)である。ウルトラパックは中央粒径が約０．３ミクロンの菱面体の軽質炭酸カルシウム粒子を含有する。炭酸カルシウム粒子は約７．５ｍ２ ／ｇの表面積を有する。
【００５６】
本発明は後述の実施例を参照することによって、より深く理解されるであろう。
【００５７】
（実施例１）
１．９ミクロンの中央粒径を有するアルバカー(ALBACAR) ５９７０炭酸カルシウムフィラーを添加した巻紙の灰特性を、約０．３ミクロンの中央粒径を有するウルトラパック(ULTRAPAQUE)炭酸カルシウムフィラーを添加した紙の灰と比較した。アルバカー５９７０フィラーとウルトラパックフィラーの両者は、マサチューセッツ州、アダムス(Adams, Massachusetts)のスペシャルティ・ミネラルズ・インコーポレイテッド(Specialty Minerals, Inc.)から入手した。
【００５８】
アルバカ５９７０フィラーとウルトラパックフィラーとを、下記の混合で添加して巻紙を製造した。
【００５９】
【表１】
実施例の全ての巻紙は、基本重量が２５グラム／平方メートルで、総フィラー量が２８重量％である。また、各実施例は、０．６重量％のクエン酸塩を含有する。
【００６１】
次いで、上述した巻紙を用いて、研究用シガレット製造機でシガレットを製造した。各シガレットに点火し、静的状態で燃焼させた。シガレットを燃焼させながら、灰を確認し、評価した。また、形成された灰の写真を撮影した。
【００６２】
この実験から、紙中のウルトラパックの量を増加させるほど、灰は顕著により白くなり、凝集性もやや高まることが判った。
【００６３】
（実施例２）
また、シガレット巻紙を代表するハンドシート（手巻き用シート）を、あるセットでは約０．３ミクロンの中央粒径を有するウルトラパック炭酸カルシウムフィラーを添加して、また別のセットでは約０．０７ミクロンの中央粒径を有するマルチフェックス(MULTIFEX)炭酸カルシウムフィラーを添加して製造した。マルチフェックスフィラーは、マサチューセッツ州、アダムス(Adams, Massachusetts)のスペシャルティ・ミネラルズ・インコーポレイテッド(Specialty Minerals, Inc.)から入手した。ハンドシートは全て、約３０重量％のフィラー含有量で、約２７グラム／平方メートルの基本重量を有する。
【００６４】
ハンドシートを手巻きしてシガレットとした。シガレットに点火し、自然に燃焼させた。シガレットが燃焼するにつれて形成された灰を観察し評価した。
【００６５】
この実施例から、ウルトラパック(ULTRAPAQUE)フィラーを添加した紙で巻いたシガレットから形成された灰は、マルチフェックス(MULTIFEX)フィラーを添加した紙で巻いたシガレットから形成された灰と比較して、顕著に且つ予想外により白さを増した。また、ウルトラパック(ULTRAPAQUE)フィラーを含有するシガレットの灰は、マルチフェックス(MULTIFEX)フィラーを含有するシガレットの灰より、多少凝集性が高まった。
【００６６】
本発明のこれらのおよび他の変更および変形は、特に添付した請求項に示された本発明の趣旨および範囲から離れることなく、当業者により実施されるであろう。さらに、種々の実施例の態様の解釈は、全体および部分的に置換可能であると理解されるであろう。さらに、上述した説明は単に例示であり、添付した請求項にさらに記載されている本発明を限定を意図するものではないことは当業者により理解されるであろう。
Claims (18)
- 喫煙品用の巻紙の灰の白色性および凝集性を改善する方法において、
中央粒径が０．２ミクロン〜０．４ミクロンの間にある炭酸カルシウムを有するフィラーを２５重量％〜３５重量％の量で巻紙へ添加する工程を有することを特徴とする方法。 - 請求項１記載の方法において、前記炭酸カルシウムは、中央粒径が０．２５ミクロン〜０．３５ミクロンの間にあることを特徴とする方法。
- 請求項１記載の方法において、前記フィラーが、２０重量％〜４０重量％の量で前記巻紙に添加されることを特徴とする方法。
- 請求項１記載の方法において、前記巻紙は、１８グラム／平方メートル〜６０グラム／平方メートルの基本重量を有することを特徴とする方法。
- 請求項１記載の方法において、前記巻紙は、コレスタ単位で５〜８０の気体透過性を有することを特徴とする方法。
- 請求項１記載の方法において、さらに、アルカリ金属塩、酢酸塩、リン酸塩、およびこれらの混合物からなる群から選択される燃焼制御添加剤で前記巻紙を被覆する工程を有することを特徴とする方法。
- 請求項６記載の方法において、前記燃焼制御添加剤は、クエン酸塩からなり、前記クエン酸塩は、０．３重量％〜１２重量％の量で前記巻紙に添加されることを特徴とする方法。
- 基本重量が１８グラム／平方メートル〜６０グラム／平方メートルの喫煙品用巻紙の灰特性を改善する方法において、
中央粒径が０．２ミクロン〜０．４ミクロンの間の範囲の炭酸カルシウムから本質的になるフィラーを、２０重量％〜４０重量％の量で前記巻紙に添加する工程を有することを特徴とする方法。 - 請求項８記載の方法において、前記フィラーは、２５重量％〜３５重量％の量で前記巻紙へ添加されることを特徴とする方法。
- 請求項８記載の方法において、前記巻紙は、基本重量が、２２グラム／平方メートル〜３２グラム／平方メートルであることを特徴とする方法。
- 請求項８記載の方法において、前記巻紙は、コレスタ単位で５〜８０の気体透過性を有することを特徴とする方法。
- 請求項８記載の方法において、前記巻紙は、コレスタ単位で１５〜５５の気体透過性を有することを特徴とする方法。
- 請求項８記載の方法において、さらに、燃焼制御添加剤を前記巻紙に添加する工程を有することを特徴とする方法。
- 請求項１３記載の方法において、前記燃焼制御添加剤は、クエン酸塩からなることを特徴とする方法。
- 請求項１４記載の方法において、前記クエン酸塩が、０．３重量％〜３重量％の量で前記巻紙に添加されることを特徴とする方法。
- 喫煙品の灰の白色性および凝集性を改善する方法において、
前記喫煙品に組み込まれる巻紙に炭酸カルシウムを有するフィラーを添加する工程を具備し、前記炭酸カルシウムは０．２ミクロン〜０．４ミクロンの中央粒径を有し、前記フィラーは２５重量％〜３５重量％の量で前記巻紙へ添加され、前記巻紙は基本重量が１８グラム／平方メートル〜６０グラム／平方メートルであり且つコレスタ単位で１５〜５５の気体透過性を有し、前記巻紙はクエン酸塩で被覆されていることを特徴とする方法。 - 請求項１６記載の方法において、前記炭酸カルシウムは、中央粒径が０．２５ミクロン〜０．３５ミクロンの間にあることを特徴とする方法。
- 請求項１６記載の方法において、前記フィラーは２５重量％〜３５重量％の量で前記巻紙に含有されることを特徴とする方法。
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