JP3747736B2 - 機械式自動変速機の変速制御装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【従来の技術】
近年、自動車等の車両の変速機として、摩擦クラッチと平行2軸式変速機とからなる手動変速機を自動化した、いわゆる機械式自動変速機が開発されている。このような機械式自動変速機では、エンジンから駆動輪までの駆動力伝達系に流体クラッチ(トルクコンバータ)が介在しないため、トルクコンバータを用いた自動変速機よりも伝達効率が高く、燃費の向上を図ることができる。また、トルクコンバータ特有のスリップ感がないためドライバビリティも向上する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような機械式自動変速機では、変速操作を行なう際、先ず、アクチュエータにより駆動されてクラッチが切断されるが、このクラッチの切断の際には、駆動輪から分離されて負荷の軽くなったエンジンが吹き上がらないように、スロットルはアクセルペダル開度とは無関係にアクチュエータにより閉方向に駆動される(これをスロットルを戻すという)。
【0003】
そして、クラッチ切断後に、ギアチェンジ(変速段の切り換え)が完了すると、クラッチが再び接続されるとともに、スロットルはアクチュエータにより開方向に駆動されてアクセル開度に応じた開度に復帰し、これにより変速操作が終了する。このクラッチ接続の際、クラッチにより接続されるクラッチ入力軸及びクラッチ出力軸の各回転速度に差があるとショックが発生するため、このようなショックを抑制すべく、クラッチ入力側の回転速度(=エンジン回転速度)が、クラッチ出力側の回転速度(=トランスミッション入力軸回転速度)と略等しくなるようにスロットル開度が制御されるとともに、クラッチの完全接続後にスロットルの復帰が行なわれる。
【0004】
しかしながら、スロットルが復帰してからエンジントルクが立ち上がるまでには応答遅れがあるため、このようにスロットルの復帰がクラッチの完全接続後に行なわれると、再加速まで時間がかかってしまうという課題がある。
なお、特許2505753号公報には、シフトアップ時、クラッチの入力側の回転速度と出力側の回転速度との差が所定値以下になったときクッラチを締結することにより、クッラチ締結時のショックを抑制できるようにした技術が開示されているが、上述の課題を何ら解決しうるものではない。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、変速段の切り換え後、車体を速やかに加速させることができるようにした、機械式自動変速機の変速制御装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このため、請求項1記載の本発明の機械式自動変速機の変速制御装置では、目標変速段設定手段により目標変速段が設定されると、摩擦クラッチの接合状態及び変速機構の変速状態をそれぞれ制御することにより変速段の切り換えが行なわれるが、この変速段の切り換えの際、入力軸回転速度検出手段の検出情報に基づき、目標エンジン回転速度設定手段により、シフトアップ時及びキックダウン時は、現在の変速段から目標変速段への切り換え直後における目標エンジン回転速度が、目標変速段における入力軸回転速度よりも高く、且つ、目標変速段よりも1段低い変速段における入力軸回転速度よりも低く設定されるので、エンジン回転速度が、目標変速段における入力軸回転速度よりも適度に高い回転速度に制御されて、摩擦クラッチが接続されると、変速機構の入力軸が、エンジン出力軸により直ちに駆動される。
【0007】
請求項2記載の本発明の機械式自動変速機の変速制御装置では、前記のシフトアップ時及びキックダウン時における目標エンジン回転速度が、目標変速段における入力軸回転速度と目標変速段よりも1段低い変速段における入力軸回転速度との平均値に設定されるので、エンジン回転速度が、目標変速段における入力軸回転速度よりもより適度に高い回転速度に制御される。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面により、本発明の一実施形態としての機械式自動変速機の変速制御装置について説明すると、図1はその機能的な構成を示す制御ブロック図、図2はそのクラッチアクチュエータの構成を示す模式図、図3はそのシフトセレクトアクチュエータの構成を示す模式図、図4はそのアップシフト時の動作を説明するための図であって、時間の経過にともなう車両の各状態量の変化を示すタイムチャート、図5はその目標エンジン回転速度の設定方法を説明するためのフローチャート、図6はそのキックダウン時の動作を説明するための図であって、時間の経過にともなうエンジン回転速度の変化を示すタイムチャートである。
【0009】
まず、機械式自動変速機について説明すると、この機械式自動変速機は、トルクコンバータ等の流体クラッチをそなえた自動変速機とは異なり、摩擦クラッチ(以下、単にクラッチともいう)と平行2軸式変速機(変速機構)とをそなえた一般的な手動変速機に対し、ドライバの代わりにクラッチ操作及び変速操作を行なうアクチュエータや電子制御スロットル(いわゆるドライブバイワイヤシステム)等が付設されており、これらのアクチュエータ等の作動を適宜制御することにより、自動変速が実行されるように構成されている。
【0010】
ここで、本実施形態の機械式自動変速機の変速制御装置について説明すると、この変速制御装置は、図1に示すように、自動変速機のコントローラ(A/T−ECU、以下単にECUという)30と、各種センサ類10〜15と、アクチュエータ6〜8と、図示しないスロットルとから構成されており、ECU30には、変速判定部1,変速実行部2,クラッチアクチュエータ駆動制御部3,シフトセレクトアクチュエータ駆動制御部4及びスロットルアクチュエータ駆動制御部5が設けられている。
【0011】
なお、スロットルアクチュエータ駆動制御部5は、図示しないアクセルペダルに電気的に接続されており、アクセル開度θAに応じてスロットル開度θSを制御するモードと、アクセル開度θAとは独立してスロットル開度θSを制御するモードとをそなえている。
また、車両側には、上述したセンサ類として、変速機本体の入力軸回転速度(以下、T/M入力軸回転速度という)NTを検出するとともに車速センサとして機能する入力軸回転速度センサ(入力軸回転速度検出手段,以下、車速センサともいう)10,アクセル開度θA又はアクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセル開度センサ11,エンジン回転速度を検出するエンジン回転速度センサ12,スロットルの開度θSを検出するスロットル開度センサ13及びクラッチのレリーズストローク及びレリーズ液圧(流体圧、、レリーズ圧という)PRをそれぞれ検出するレリーズストロークセンサ14,レリーズ液圧センサ15が設けられている。
【0012】
なお、入力軸回転速度センサ10は、実際には変速機の出力軸の回転速度情報を検出するセンサにより構成され、T/M入力軸回転速度NTは、この回転速度情報及び変速機の変速比に基づいて算出される。
そして、変速判定部1には、目標変速段設定機能(目標変速段設定手段)1Aがそなえられており、変速判定部1では、上記車速センサ10及びスロットル開度センサ13からの検出情報に基づいて、目標変速段設定手段1Aにより目標変速段が設定されるとともに、シフトアップ又はシフトダウンのタイミングが判定(変速判定)される。
【0013】
また、変速実行部2では、変速判定部1からの変速指示を受けて各アクチュエータ駆動制御部3〜5に対して制御信号が設定されるようになっている。さらに、変速実行部2には、目標エンジン回転速度設定機能(目標エンジン回転速度設定手段)2Aがそなえられており、この目標エンジン回転速度設定手段2Aでは、後述するように、シフトアップ時及びキックダウン時には、ギアチェンジ後のエンジン回転速度合わせにおいて目標エンジン回転速度NE0を設定するようになっている。
【0014】
また、変速機側には、上述したように、クラッチの断接を行なうクラッチアクチュエータ6と、変速機本体の変速段を切り換えるためのシフトセレクトアクチュエータ7と、電子制御スロットルのスロットル開度を変更するためのスロットルアクチュエータ8とが設けられている。なお、このスロットルアクチュエータ8は、例えばステッパモータにより構成される。
【0015】
そして、各アクチュエータ駆動制御部3〜5では、上記変速実行部2からの制御信号に応じてクラッチアクチュエータ6,シフトセレクトアクチュエータ7及びスロットルアクチュエータ8の作動を制御するようになっている。具体的には、変速判定部1で変速判定されると、▲1▼スロットルの戻し操作,▲2▼クラッチ切断操作,▲3▼ギアチェンジ(変速段の切り換え),▲4▼エンジン回転速度合わせ,▲5▼クラッチ接続操作の順に各操作が実行されるようになっており、変速実行部2では、変速操作実行時に最適なタイミングで各アクチュエータ6〜8が作動するように各駆動制御部3〜5に制御信号を設定するようになっているのである。
【0016】
次に、クラッチアクチュエータ6及びシフトセレクトアクチュエータ7の構成についてそれぞれ図2及び図3を用いて簡単に説明する。
図2に示すように、クラッチアクチュエータ6には、クラッチレリーズシリンダ61が設けられており、このクラッチレリーズシリンダ61のプッシュロッド(駆動軸)61bの先端には図示しないレリーズフォークが接続されている。そして、このクラッチレリーズシリンダ61の室61aに対する作動流体(本実施形態では作動油)の給排状態を制御することでクラッチレリーズシリンダ61のプッシュロッド61bを進退させてクラッチの係合状態を制御するようになっている。なお、ここでは室61aに作動油が供給されてクラッチレリーズシリンダ61のプッシュロッド61bが図中右方向に伸長すると(即ち、レリーズストロークが大きくなると)、クラッチが切れるように構成されている。
【0017】
また、図示するように、室61aとオイルタンク62の間には、油圧源(オイルポンプ)63,調圧弁(レギュレータ)64,油圧供給用のソレノイド65及び油圧排出用のソレノイド66等が設けられており、上記クラッチアクチュエータ駆動制御部3によりこれら2つのソレノイド(開閉弁)65,66がそれぞれデューティ制御されるようになっている。そして、このように2つのソレノイド65,66をオンオフ制御することにより室61aへの油圧供給状態が変更されて、クラッチの断接が行なわれるようになっている。
【0018】
例えば、ソレノイド65をオン(開)にするとともにソレノイド66をオフ(閉)として室61aに作動油を供給することでクラッチが切断される。また、上記とは逆にソレノイド65をオフ(閉)にするとともにソレノイド66をオン(開)として室61aの作動油をオイルタンク62にドレーンすることでクラッチが接続される。また、図2に示すように、両ソレノイド65,66をともにオフ(閉)にした場合には、クラッチの状態が保持されるのである。
【0019】
なお、上述したように、クラッチアクチュエータ6には、クラッチレリーズシリンダ61のプッシュロッド61bの位置(レリーズストローク)を検出するストロークセンサ14と、室61aに供給される作動油の圧力(レリーズ圧PR)を検出する圧力センサ15とが付設されており、これらのセンサ14,15の検出情報はクラッチアクチュエータ駆動制御部3にフィードバックされるようになっている。
【0020】
次に図3を用いてシフトセレクトアクチュエータ7について説明すると、このシフトセレクトアクチュエータ7は、シフトアクチュエータ71とセレクトアクチュエータ72とをそなえている。このうち、シフトアクチュエータ71は、その作動方向が、手動変速機におけるシフトレバーの前後方向(シフト方向)に対応するように設けられ、セレクトアクチュエータ72は、その作動方向が、シフトレバーの左右方向(セレクト方向)に対応するように設けられている。
【0021】
また、これらのアクチュエータ71,72は、いずれも3つの位置をとりうる3位置油圧パワーシリンダとして構成されており、これらのシフト方向の3位置とセレクト方向の3位置とを組み合わせることにより、手動変速機のシフトパターンに対応した動作で変速段を切り換えることができるようになっている。
ここで、アクチュエータ71,72の構成について、シフトアクチュエータ71を例に簡単に説明すると、アクチュエータ71内には受圧面積の異なる2つのピストン71a,71bが設けられている。ピストン71a,71bに作用する力は、油圧が一定であれば受圧面積に応じて大きくなるので、ピストン71a,71bに対してそれぞれ独立して油圧を作用させることにより、アクチュエータ71の作動位置を図中の上中下で示すような3位置に切り換えることができるようになっている。なお、アクチュエータ72も、このようなアクチュエータ71と同様に構成されている。
【0022】
また、図示するように、各アクチュエータ71,72とオイルタンク73との間には、油圧源(オイルポンプ)74,調圧弁(レギュレータ)75及びソレノイド76〜79等が設けられており、上記のクラッチアクチュエータ6と同様に、各ソレノイド76〜79をデューティ制御することにより上記各ピストン71a,71bへの作動油供給状態が適宜切り換えられるようになっている。そして、これによりアクチュエータ71,72の作動位置が切り換えられて、変速段が切り換えられるようになっているのである。
【0023】
さて、上述したように、本変速制御装置では、変速判定部1で変速判定されると、▲1▼スロットルの戻し操作,▲2▼クラッチ切断操作,▲3▼ギアチェンジ(変速段の切り換え),▲4▼エンジン回転速度合わせ,▲5▼クラッチ接続操作の各操作がこの順に実行され変速制御が行なわれる。
ここで、本発明の変速制御装置の特徴であるエンジン回転速度合わせについてさらに説明すると、ギアチェンジ前に切断されたクラッチを再び接続する際に、クラッチにより接続されるエンジン出力軸とT/M入力軸との各回転速度NE,NTの速度差(=|Ne−NT|)が大きいとショックが発生するため、エンジン回転速度合わせでは、このようなショックを抑制すべく、エンジン回転速度NEが、T/M入力軸回転速度NTと略一致するように、スロットルアクチュエータ駆動制御部5により、スロットル開度θSがアクセル開度θAとは無関係に制御されるようになっている。
【0024】
このようなエンジン回転速度NEの制御は、上述したように目標エンジン回転速度設定手段2Aによりエンジン回転速度の目標値(目標エンジン回転速度)NE0を設定することにより行なわれるようになっている。特に、シフトアップ時及びキックダウン時には、目標エンジン回転速度NE0は、目標変速段における(即ち、ギアチェンジ後であってエンジン回転速度合わせ時での)T/M入力軸回転速度NT(i)よりも高く、且つ目標変速段よりも1段低い変速段における入力軸回転速度NT(i-1)よりも低く設定されるようになっており、ここでは、下式(1)に示すように、目標エンジン回転速度NE0を、T/M入力軸回転速度NT(i),NT(i-1)の平均値に設定するようになっている。
【0025】
NE0=〔NT(i)+NT(i-1)〕/2 …(1)
なお、目標変速段よりも1段低い変速段におけるT/M入力軸回転速度NT(i-1)とは、入力軸回転速度センサ10からの回転速度情報に対し、目標変速段(ギアチェンジ後であってエンジン回転速度合わせ時の変速段)よりも1段低い変速段のギア比を用いて演算された計算上の回転速度をいう。
【0026】
このように目標エンジン回転速度NE0を設定することにより、シフトアップ時及びキックダウン時には車両をすみやかに加速させることができるのである。つまり、この場合には、目標エンジン回転速度NE0が、目標変速段におけるT/M入力軸回転速度(=その時点でのトランスミッション入力軸の実回転速度)NT(i)よりも高く、且つ、この目標変速段よりも1段低い変速段におけるT/M入力軸回転速度NT(i-1)よりは低く設定されて、目標エンジン回転速度NE0が、トランスミッション入力軸の実回転速度NT(i)よりも適度に高めに設定される。ここで、トルクは、回転速度の速い方から遅い方に伝達されるという特性を有しており、このような特性を利用することでクラッチ接続直後からエンジントルクを変速機以降に伝達することができ、すみやかに車両を再加速することができるのである。
【0027】
なお、本変速制御装置では、第1変速段へのキックダウンは、車体に大きなショックが発生する虞があるため禁止されている。
本発明の一実施形態としての機械式自動変速機の変速制御装置は上述のように構成されているので、例えば図4に示すように、5つのフェーズ(段階)により段階的に変速制御(ここではシフトアップ)が実行される。つまり、フェーズ0(変速制御待機状態)で、変速判定部1から変速指示が変速実行部2に出力されると、フェーズ1に移行する。
【0028】
フェーズ1では、スロットルが戻され始めるとともに、クラッチアクチュエータ駆動制御部3によりソレノイド65が制御されて、クラッチレリーズシリンダ61への作動油の供給が開始され、レリーズ圧PRが破線で示すように上昇してレリーズストロークが実線で示すように伸長され、クラッチ結合度(クラッチ結合度については後述する)が0から1に引き上げられる。
【0029】
そして、レリーズ圧PRは、必要レリーズ圧PR0まで上昇すると一旦必要レリーズ圧PR0で保持され、したがって、レリーズストロークが停止されクラッチは半クラッチ状態に保持される。このため、エンジン回転速度Neに対してT/M入力軸回転速度NTが低下する。
そして、フェーズ1において、スロットル戻し操作によりスロットルがスロットル戻し判定開度θS0まで閉じると、フェーズ1からフェーズ2に移行し、クラッチレリーズシリンダ61への作動油の供給が再開され、これにより、図4中に破線で示すようにレリーズ圧PRが上昇し、レリーズストロークが伸長して、それまで半クラッチ状態に保持されていたクラッチが切断される(クラッチ結合度が3よりも引き上げられる)。
【0030】
ここで、クラッチ結合度について説明すると、クラッチ結合度とは、クラッチの断接状態の目安となるもので、レリーズストロークに応じて一義的に決定される。クラッチ結合度は5段階に設定され、クラッチ結合度0(ゼロ)は、クラッチが完全に接続された状態を示し、クラッチ結合度1は、クラッチは接続境界(即ち、クラッチ結合度がこれよりも大きくなると係合していたクラッチが滑り接触し始める状態)を示し、クラッチ結合度3は、クラッチ切断境界(即ち、クラッチ結合度がこれよりも小さくなると切断されていたクラッチが滑り接触し始める状態)を示し、クラッチ結合度4はクラッチが完全に切断された状態を示し、クラッチ結合度2では、クラッチ結合度1,3の中間の状態を示す。
【0031】
そして、レリーズストロークセンサ14の検出情報に基づき、クラッチ結合度が所定の結合度(ここでは結合度3)でありクラッチが切断点に到達したことが検出されると、フェーズ3に移行する。
フェーズ3では、レリーズストロークが伸長してクラッチが完全に切断される(クラッチ結合度が4になる)。また、変速実行部2からシフトセレクトアクチュエータ駆動制御部4に対して制御信号が出力され、シフトセレクトアクチュエータ駆動制御部4によりシフトセレクトアクチュエータ7が制御されてギヤチェンジ(ここではシフトアップ)が行なわれ、これに応じてT/M入力軸回転速度NTが大きく減少する。そして、図示しないシフトポジションセンサにより、変速段のシフトポジションが所定位置にあることが検出されると、フェーズ4に移行する。
【0032】
フェーズ4では、その後行なわれるクラッチ接続の際のショックを抑制すべく、エンジン回転速度NeがT/M入力軸回転速度NTと略一致するように、スロットルアクチュエータ駆動制御部5によりスロットルの開度が制御され、エンジン回転速度NeとT/M入力軸回転速度NTとの差が所定値以下になると、フェーズ5に移行する。この際、エンジン回転速度Neは、目標エンジン回転速度Ne0となるように制御されるが、このような目標エンジン回転速度Ne0の設定は、例えば図5のフローチャートに示すようにして行なわれる。
【0033】
つまり、先ず、ステップA10で、入力軸回転速度センサ10の検出情報及び変速比に基づきT/M入力軸回転速度NTが計算され、ステップA20に進む。ステップA20では、変速判定部1により判定された変速操作がシフトアップか否かが判定され、図4の例のようにシフトアップであればステップA30に進み、上式(1)に示すように、目標エンジン回転速度NE0は、目標変速段におけるT/M入力軸回転速度NT(i)、即ちフェーズ4におけるT/M入力軸回転速度NTと、目標変速段よりも1段低い変速段における入力軸回転速度NT(i-1)との平均値に設定される。
【0034】
そして、図4に示すように、スロットル戻し操作によりスロットルが全閉とされているため、エンジン回転速度NEが低下して、このままでは、エンジン回転速度NEはT/M入力軸回転速度NT(i)よりも低下してしまうが、本エンジン回転合わせでは、目標エンジン回転速度NE0が、目標変速段におけるT/M入力軸回転速度NT(i)よりも高く、且つ、目標変速段よりも1段低い変速段における入力軸回転速度NT(i-1)よりも低い回転速度に設定されるので、スロットルが開方向に駆動され、エンジン回転速度NEは、T/M入力軸回転速度NTよりも適度に高い回転速度に保持される。
【0035】
フェーズ5では、クラッチアクチュエータ駆動制御部3の制御によりレリーズ圧及びレリーズストロークを減少させ、これによりクラッチが接続され、また、クラッチが完全接続される直前から、スロットル開度θSが、アクセル開度θAと一致するように、スロットルアクチュエータ駆動制御部5によりスロットルアクチュエータ8の作動が制御され、変速制御が終了する。なお、フェーズ5において、レリーズ圧PRが必要レリーズ圧PR0付近となるクラッチ接続境界ではレリーズストロークの勾配(変化速度)を減少させて変速ショックを抑制している。
【0036】
さて、図5において、ステップA20で、変速操作はシフトアップではないと判定された場合には、ステップA40に進み、変速操作がキックダウンか否かが判定され、キックダウンであればステップA30に進み、シフトアップ時と同様に、上式(1)により目標エンジン回転速度NE0が設定される。一方、キックダウンでなければ(即ちシフトダウンであれば)、そのままリターンする。
【0037】
図6は、キックダウン時のエンジン回転速度合わせの一例を示す図であるが、シフトアップ時と同様に、上式(1)に示すように設定されるので、エンジン回転速度NEは、T/M入力軸回転速度NTよりも適度に高い回転速度に保持される。
したがって、本変速制御装置によれば、以下のような利点を得ることができる。
【0038】
つまり、エンジン回転速度合わせにおいては、シフットアップ時やキックダウン時のように加速が要求されている場合には、目標エンジン回転速度NE0が、目標変速段におけるT/M入力軸回転速度NT(i)(即ち、エンジン回転速度合わせ時のT/M入力軸回転速度NT)と、目標変速段よりも1段低い変速段における入力軸回転速度NT(i-1)との平均値に設定される。
【0039】
したがって、エンジン回転速度NEが、T/M入力軸回転速度NT(i)よりも適度に高い回転速度に設定されるようになるので、クラッチ接続時のショックを抑制しつつも、図4に示すように、クラッチ接続後は、スロットル開度θSの復帰によるエンジントルクの立ち上がりに先行してエンジン回転(エンジン慣性)により車体を速やかに再加速させることができるという利点がある。
【0040】
また、目標エンジン回転速度NE0は、目標変速段におけるT/M入力軸回転速度NT(i)と、目標変速段よりも1段低い変速段における入力軸回転速度NT(i-1)との平均値に設定されるので、シフットアップ時には、エンジン回転速度NEは、図4に示すように、ギアチェンジ前よりも低速側に制御されて、エンジンの空ぶかしを確実に防止することができるという利点もある。
【0041】
さらに、目標エンジン回転速度NE0は、T/M入力軸回転速度NT(i)よりも高い回転速度に設定されるが、目標エンジン回転速度NE0はギアチェンジ前後の変速段に応じて(ギヤ比に応じて)設定されるので、T/M入力軸回転速度NT(i)に対する目標エンジン回転速度NE0のかかる増分を、変速段に応じて適宜に設定することができるという利点がある。
【0042】
なお、本発明の機械式自動変速機の変速制御装置は、上述の実施形態のものに限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。例えば、上述の実施形態では、目標エンジン回転速度NE0は、目標変速段におけるT/M入力軸回転速度NT(i)と、目標変速段よりも1段低い変速段における入力軸回転速度NT(i-1)との平均値としているが、クラッチ接続時にショックを発生させない範囲内で、目標エンジン回転速度NE0をT/M入力軸回転速度NT(i)よりも高く設定できるのであれば、他の手法により目標エンジン回転速度NE0を設定するように構成しても良い。
【0043】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1記載の本発明の機械式自動変速機の変速制御装置によれば、変速段の切り換えが行なわれる際、目標エンジン回転速度設定手段により、目標エンジン回転速度が、目標変速段における入力軸回転速度よりも高く設定されるので、摩擦クッラチが接続されると、変速機構の入力軸が、エンジン出力軸により直ちに駆動されて、変速段の切り換え後、車体を速やかに加速させることができるという利点がある。
【0044】
また、シフトアップ時及びキックダウン時は、目標エンジン回転速度が、目標変速段における入力軸回転速度よりも高く、且つ目標変速段よりも1段低い変速段における入力軸
回転速度よりも低く設定されるので、エンジン回転速度が、目標変速段における入力軸回転速度よりも適度に高い回転速度に制御され、摩擦クラッチを接続する際のショックを抑制することができるという利点がある。
【0045】
さらに、シフトアップ時には、目標エンジン回転速度が、変速制御前のエンジン回転速度よりも低く設定されるようになるので、エンジンの空ぶかしを防止できるという利点もある。また、目標エンジン回転速度を変速段に応じて適宜に設定することができるという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としての機械式自動変速機の変速制御装置の機能的な構成を示す制御ブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態としての機械式自動変速機の変速制御装置にかかるクラッチアクチュエータの構成を示す模式図である。
【図3】本発明の一実施形態としての機械式自動変速機の変速制御装置にかかるシフトセレクトアクチュエータの構成を示す模式図である。
【図4】本発明の一実施形態としての機械式自動変速機の変速制御装置におけるアップシフト時の動作を説明するための図であって、時間の経過にともなう車両の各状態量の変化を示すタイムチャートである。
【図5】本発明の一実施形態としての機械式自動変速機の変速制御装置にかかる目標エンジン回転速度の設定方法を説明するためのフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態としての機械式自動変速機の変速制御装置におけるキックダウン時の動作を説明するための図であって、時間の経過にともなうエンジン回転速度の変化を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
1A 目標変速段設定手段
2A 目標エンジン回転速度設定手段
10 入力軸回転速度センサ(入力軸回転速度検出手段)
Claims (2)
- 摩擦クラッチと変速機構とを有し、該摩擦クラッチの接合状態及び該変速機構の変速状態をそれぞれ制御することにより変速操作を行なう機械式自動変速機の変速制御装置において、
該変速機構の入力軸の回転速度を検出する入力軸回転速度検出手段と、
該変速機構の目標変速段を設定する目標変速段設定手段と、
エンジンの目標回転速度を設定する目標エンジン回転速度設定手段とをそなえ、
該目標エンジン回転速度設定手段は、現在の変速段から該目標変速段への切り換え直後における該目標エンジン回転速度を、シフトアップ時及びキックダウン時には、該目標変速段における該入力軸回転速度よりも高く、且つ、該目標変速段よりも1段低い変速段における該入力軸回転速度よりも低く設定する
ことを特徴とする、機械式自動変速機の変速制御装置。 - 前記のシフトアップ時及びキックダウン時における該目標エンジン回転速度は、該目標変速段における該入力軸回転速度と該目標変速段よりも1段低い変速段における該入力軸回転速度との平均値に設定される
ことを特徴とする、請求項1記載の機械式自動変速機の変速制御装置。
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JP2000117984A JP3747736B2 (ja) | 2000-04-19 | 2000-04-19 | 機械式自動変速機の変速制御装置 |
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JP2000117984A JP3747736B2 (ja) | 2000-04-19 | 2000-04-19 | 機械式自動変速機の変速制御装置 |
Publications (2)
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