JP4845297B2 - 自動変速装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動変速装置に係り、詳しくは、自動クラッチと、その自動クラッチを介してエンジンに接続される自動変速機とを備え、車両運転状態に応じてアクチュエータを駆動することにより自動クラッチ及び自動変速機を制御する自動変速装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、マニュアルミッションを搭載した車(M/T車)において、クラッチの開放及び係合や、トランスミッションにおける変速段の切り替えを自動的に行うようにした自動変速装置が実用化されている。この自動変速装置には、手動変速モードと自動変速モードとがあり、シフトレバーの操作により自動変速モードが選択される場合、その時々のアクセルペダルの操作量や車両速度等に応じてアクチュエータが駆動されてトランスミッションにおける変速段の切り替えが行われる。例えば、所定速度で走行中にアクセルペダルが離され(アクセルオフされ)、エンジン出力の低下により急激なエンジンブレーキがかかってしまう場合、現在の変速段からアップシフトを行う。このアップシフトにより、車両における燃費の向上や操作性の向上が図られる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記アップシフトを行った直後に、アクセルペダルが踏み込まれた時(アクセルオンされた時)、そのアクセル操作に応じた車両加速を実現するために、ダウンシフトを行う(キックダウンさせる)必要がある。しかしながら、自動変速機における変速段の切り替えには時間がかかり、車両運転者のアクセル操作に対して走行駆動系への動力伝達に遅れが生じてドライバビリティが悪化してしまう。
【0004】
また、アクセルオフに伴う変速段のアップシフトを禁止する方法も考えられるが、この場合には、変速段の維持によりエンジンブレーキが必要以上に加わることとなり、燃費や操作性の悪化が問題となる。
【0005】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、アクセル操作に伴う動力の伝達を的確に行うことができる自動変速装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、クラッチと、該クラッチの開放及び係合を操作するクラッチ用アクチュエータとを有する自動クラッチと、エンジンに前記自動クラッチを介して接続される変速機であって、変速段の切り替えを操作する変速用アクチュエータを有する自動変速機と、前記クラッチ用アクチュエータ及び変速用アクチュエータを駆動して前記自動クラッチ及び自動変速機を制御する制御手段とを備えた自動変速装置において、アクセルの操作量を減少させるよう該アクセルが操作されたとき、前記制御手段は、前記自動変速機における変速段を維持するとともに、前記クラッチを滑らせるよう前記クラッチ用アクチュエータを駆動する。
【0007】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の自動変速装置において、前記制御手段は、走行駆動系からの動力の伝達によりエンジンが回転されるとき、前記クラッチを滑らせるよう前記クラッチ用アクチュエータを駆動する。
【0008】
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の自動変速装置において、車両運転状態に応じて変速段の切り替えを判断するための変速線データが予め設定され、前記制御手段は、前記変速線データに基づいて変速段のアップシフトの要否を判定し、アップシフトが必要であり、前記エンジンの出力トルクが所定値以下であるとき、前記クラッチを滑らせるよう前記クラッチ用アクチュエータを駆動する。
【0009】
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、アクセルの操作量を減少させるよう該アクセルが操作されたとき、制御手段により自動変速機における変速段が現状のまま維持されるとともに、クラッチを滑らせるようクラッチ用アクチュエータが駆動される。つまり、アクセルが離され(アクセルオフされ)、エンジンブレーキがかかる状態となる場合、従来のようにアップシフトを行うことなく、クラッチのスリップ制御が実施される。このスリップ制御により、エンジン回転数が低減されて、燃費の向上や操作性の向上が図られる。またその直後に、アクセルが踏み込まれ(アクセルオンされ)、加速が必要となる場合には、クラッチを係合させることで動力伝達が迅速に行われる。つまり、変速用アクチュエータを駆動して変速段を切り替える必要がなく、その変速段の切り替えに伴う応答性の悪化が回避される。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、走行駆動系からの動力伝達によってエンジンが回転されているとき、クラッチのスリップ制御が実施される。このようにすれば、燃費や操作性の向上を図るために的確なタイミングでスリップ制御が行われる。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、車両運転状態に応じて変速段の切り替えを判断するための変速線データが予め設定されており、変速線データに基づいて変速段のアップシフトの要否が判定される。そして、アップシフトが必要であり、エンジンの出力トルクが所定値以下であるときに、クラッチのスリップ制御が実施される。このようにすれば、スリップ制御をより的確に実施することが可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に従って説明する。図1は、本実施形態における車両制御システムの概略構成図である。同車両制御システムにおいて、エンジン10の出力軸(クランクシャフト)に自動クラッチ20が組み付けられ、その自動クラッチ20を介して自動変速機30が接続されている。
【0013】
エンジン10には、吸入空気量を調節するスロットルバルブ11と、スロットルバルブ11の開度(スロットル開度)を検出するためのスロットルセンサ12と、スロットルバルブ11を開閉駆動するスロットル用アクチュエータ13とが配設されている。また、車両運転者により踏み込み操作されるアクセルペダル14には、アクセルペダル14の操作量(アクセル開度)を検出するアクセルセンサ15が設けられている。そして、このアクセルセンサ15にて検出したアクセル開度に基づいてスロットル用アクチュエータ13が駆動され、車両運転者によるアクセル操作に応じたエンジン出力が得られるようになっている。
【0014】
自動クラッチ20は、機械式(乾燥単板式)の摩擦クラッチ21と、クラッチレバー22と、摩擦クラッチ21の係合及び開放を操作するクラッチ用アクチュエータ23とを備えている。クラッチ用アクチュエータ23は、その駆動源として直流電動モータ24を備え、同モータ24の駆動によりロッド25を前方又は後方に移動させる。そして、このロッド25の移動に連動してクラッチレバー22が動き、摩擦クラッチ21における動力が伝達又は遮断される。
【0015】
具体的には、ロッド25が前方に移動され同ロッド25によりクラッチレバー22が図1の右側に押されると、摩擦クラッチ21は開放状態(エンジン10側のフライホイール16からクラッチディスク21aを離した状態)となる。逆に、ロッド25が後方に移動されクラッチレバー22が戻されると、摩擦クラッチ21は係合状態(フライホイール16にクラッチディスク21aを押し付けた状態)となる。また、自動クラッチ20には、アクチュエータ23のロッド25の移動量(ストローク量)を検出するクラッチ係合センサ26が設けられており、このクラッチ係合センサ26にて検出されるストローク量に基づいてクラッチ21の係合状態が判断される。例えば、車両発進時において摩擦クラッチ21を係合させる場合、アクチュエータ23が駆動されロッド25のストローク量が制御される。これにより、クラッチ21の伝達トルクが調節されて車両加速が的確に得られるようになっている。
【0016】
本実施形態における自動変速機30は、図2に示すように、前進5段・後進1段の平行軸歯車式変速機であって、入力軸31及び出力軸32を備えるとともに、3対(6個)の変速ギヤ列G1〜G5,Grと3個のスリーブ34,35,36とを備えている。自動変速機30の入力軸31は、摩擦クラッチ21の出力部に動力伝達可能に連結され、出力軸32は、車軸(図示略)に動力伝達可能に連結されている。また、自動変速機30には、出力軸32の回転数を検出する回転センサ37が設けられており、この出力軸32の回転数に基づいて車両の速度(車速)が求められる。
【0017】
図2において、右方に配置された対の変速ギヤ列では、1速のギヤ列G1と4速のギヤ列G4とが対向して設けられ、これらギヤ列の間にスリーブ34が設けられている。また、図2の中央に配置された対の変速ギヤ列では、2速のギヤ列G2と5速のギヤ列G5とが対向して設けられ、これらギヤ列の間にスリーブ35が設けられている。さらに、図2の左方に配置された対の変速ギヤ列では、3速のギヤ列G3とリバースのギヤ列Grとが対向して設けられ、これらギヤ列の間にスリーブ36が設けられている。各スリーブ34〜36は、シンクロナイザーリングやクラッチハブ等とともにシンクロメッシュ機構を構成している。つまり、本実施形態における自動変速機30は、シンクロメッシュ式(等速同期噛み合い式)のトランスミッションであり、スリーブ34〜36が出力軸32の軸方向に移動されることによりギヤが噛み合い特定の変速ギヤ列(変速段)における動力伝達が可能となる。
【0018】
例えば、自動変速機30において、スリーブ34が1速のギヤ列G1側に移動されると、同1速のギヤ列G1における動力伝達が可能となり、スリーブ34が4速のギヤ列G4側に移動されると、同4速のギヤ列G4における動力伝達が可能となる。スリーブ35及びスリーブ36も同様に、対の変速ギヤ列のいずれか一方のギヤ列側に移動することにより、その移動したギヤ列における動力伝達が可能となる。また、各スリーブ34〜36が対の変速ギヤ列における中立位置に移動されると、各ギヤ列での動力伝達が不能となる。
【0019】
自動変速機30における操作機構は、図3のシフトパターンに沿って操作されるシフトレバー38を備える。また、シフトレバー38の各シフト位置には、同レバー38の操作位置を検出する位置センサ39a〜39fが設けられている。
【0020】
ここで、位置センサ39aは、シフトレバー38がNレンジ(全てのギヤ列にて動力伝達を不能とするためのニュートラルレンジ)に操作されたことを検出する。位置センサ39bは、シフトレバー38がRレンジ(リバースのギヤ列Grにて動力伝達を可能とするためのリバースレンジ)に操作されたことを検出する。位置センサ39cは、シフトレバー38がDレンジ(自動変速モードで1速〜5速のいずれかのギヤ列にて動力伝達を可能とするためのドライブレンジ)に操作されたことを検出する。位置センサ39dは、シフトレバー38がMレンジ(手動変速モードで1速〜5速のいずれかのギヤ列にて動力伝達を可能とするためのマニュアルレンジ)に操作されたことを検出する。位置センサ39eは、シフトレバー38が+レンジ(アップシフト側のギヤ列にて動力伝達を可能とするためのアップレンジ)に操作されたことを検出する。位置センサ39fは、シフトレバー38が−レンジ(ダウンシフト側のギヤ列にて動力伝達を可能とするためのダウンレンジ)に操作されたことを検出する。これらの位置センサにて検出されるシフト位置に基づいて自動変速機30における変速段が切り替えられる。
【0021】
また、図2に示すように、自動変速機30は、変速段の切り替えを操作するために3つの変速用アクチュエータ41,42,43を備える。変速用アクチュエータ41はシフトホーク44を介してスリーブ34を移動させ、変速用アクチュエータ42はシフトホーク45を介してスリーブ35を移動させる。また、変速用アクチュエータ43はシフトホーク46を介してスリーブ36を移動させる。各アクチュエータ41〜43は、減速機付きモータと、同モータの回転軸に設けられたピニオンと、同ピニオンと噛合してシフトホーク44〜46と一体的に移動するラックとを備える。そして、モータが回転駆動すると、ピニオン及びラックによりシフトホーク44〜46が出力軸32の軸方向に移動され、スリーブ34〜36が押し動かされるようになっている。
【0022】
自動変速機30には、各スリーブ34〜36の移動位置を検出する位置センサ47a,47b,47cが設けられており、同センサ47a〜47cにて検出した移動位置に基づき各ギヤ列での動力断続状態が判断される。
【0023】
図1の車両制御システムは、各種制御を司る制御手段として電子制御装置(ECU)50を備える。本実施形態では、ECU50と、自動クラッチ20と、自動変速機30とにより自動変速装置が構成されている。
【0024】
ECU50は、周知のマイクロコンピュータを中心に構成されており、同ECU50には、上述したスロットルセンサ12、アクセルセンサ15等の各種センサやスロットル用アクチュエータ13、クラッチ用アクチュエータ23、変速用アクチュエータ41〜43が接続されている。ECU50は、各種センサの検出信号を取り込み、それにより車両運転状態(スロットル開度、アクセル開度、車速、シフト位置等)を検知する。そして、ECU50は、その車両運転状態に基づいて、スロットル用アクチュエータ13、クラッチ用アクチュエータ23及び変速用アクチュエータ41〜43を駆動する。
【0025】
具体的には、ECU50は、アクセルセンサ15の検出値によりアクセルペダル14の操作量(アクセル開度)を取得し、そのアクセル開度に基づいてスロットル用アクチュエータ13を駆動する。これにより、エンジン10への吸入空気量が調節され、車両運転者のアクセル操作に応じたエンジン出力が得られるようになっている。
【0026】
また、自動変速機30における変速時において、ECU50は、クラッチ用アクチュエータ23を駆動してクラッチ21を開放し、スロットル用アクチュエータ13を駆動してスロットルバルブ11を閉じる。さらに、変速用アクチュエータ41〜43を駆動して、自動変速機30における動力伝達の可能なギヤ列(変速段)を切り替える。例えば、1速から2速への変速の場合、ECU50は、自動変速機30の変速用アクチュエータ41を駆動しスリーブ34を中立位置に移動させてニュートラル(全てのギヤ列での動力伝達が不能)とする。その後、変速用アクチュエータ42を駆動しスリーブ35を2速のギヤ列G2側に移動させ、同ギヤ列G2により動力伝達可能な状態とする。そして、クラッチ用アクチュエータ23を駆動してクラッチ21を係合させ、スロットル用アクチュエータ13を駆動してスロット開度をアクセル開度に対応する開度となるように復帰させる。このようにして、自動変速機30における変速が自動的に行われ、同変速機30を介してエンジン出力が走行駆動系(駆動輪等)に伝達される。
【0027】
次に、本実施形態における自動変速装置の動作を説明する。なおここでは、車両運転者によりシフトレバー38がDレンジに操作され、自動変速モードが設定された場合の動作例を説明する。
【0028】
図4には、1速→2速への変速線を示している。なお、図4において、横軸は車速であり、縦軸はアクセル開度である。従来の自動変速装置では、車速が上昇したり、アクセル開度が減少したりして変速線を越えた場合(例えば、P1点→P2点へ移行する場合やP1点→P3点に移行する場合)、変速段が1速から2速へのアップシフトが行われる。これに対し、本実施形態では、車速が上昇して変速線を越える場合(P1点→P2点の場合)には1速から2速へアップシフトが行われるが、アクセル開度が減少して変速線を越える場合(P1点→P3点の場合)にはアップシフトが行われることなく、クラッチ21のスリップ制御が実施される。なお、1速→2速への変速線以外にも2速→3速等の変速線(図示せず)が設定されており、2速、3速等の他の変速段でも同様に、アクセル開度が減少して変速線を越える場合には、アップシフトが行われることなくクラッチ21のスリップ制御が実施される。
【0029】
より詳しくは、図4に示す1速→2速への変速線や、2速→3速等の他の変速線に対応するマップデータがECU50内のメモリに予め格納されており、それらマップデータに基づいて所定の変速線を越えたか否かが判定される。ここで、アクセル開度が減少して変速線を越える場合にはエンジンの出力トルク(エンジントルク)が負の値となることから、エンジントルクが負の値のときにクラッチ21のスリップ制御が実施される。
【0030】
図5は、エンジン回転数とスロットル開度とエンジントルクとの関係を示している。ECU50のメモリには、この関係に対応するマップデータが予め格納されており、同マップデータを用いて、スロットル開度及びエンジン回転数に応じたエンジントルクが求められる。例えば、図5のP11点では、正の値のエンジントルクが求められ、その状態からスロットルバルブ11が閉じられて(スロットル開度が減少して)P12点に移行する場合に負の値のエンジントルクが求められる。エンジントルクが負の値である場合には、車両において走行駆動系からの動力によりエンジン10が回されている状態、つまり、エンジンブレーキがかかる状態となっている。そのため、本実施形態では、エンジントルクが負の値である場合、自動変速機30における変速段のアップシフトを行う代わりに、クラッチ21を滑らせて燃費及び操作性の向上を図るようにしている。
【0031】
ここで、クラッチ21のスリップ制御を実現するためにECU50が実行する処理について図6のフローチャートを用いて説明する。なお、図6の処理は、自動変速モードの場合において所定時間毎に実行される。
【0032】
先ず、ステップ100において、ECU50は、現在動力を伝達している変速段に基づいてアップシフト側の変速線データを選択する。例えば、現在の変速段が1速である場合、アップシフト側の変速線として図4に示す1速→2速への変速線(マップデータ)を選択し、続くステップ110において、車速及びアクセル開度に基づいて現在の車両運転状態がその変速線を越えているか否かを判定する。ここで、否定判定した場合は本処理を終了し、肯定判定した場合は、ステップ120に移行する。
【0033】
そして、ECU50は、ステップ120において、スロットル開度とエンジン回転数に基づいて、エンジントルクを求め、そのトルクが所定値(具体的には「0」)よりも小さいか否かを判定する(トルク<0)。同ステップ120において、否定判定した場合、ECU50はステップ130に移行して、変速段のアップシフトを実施する。具体的には、上述したように、自動クラッチ20のクラッチ用アクチュエータ23を駆動し、自動変速機30の変速用アクチュエータ41〜43を駆動する。
【0034】
一方、ステップ120において肯定判定した場合は、ステップ140に移行してクラッチ21のスリップ制御を実施した後本処理を終了する。このスリップ制御において、クラッチ21における伝達力がほぼ「0」(具体的には、完全係合時における伝達トルクの数%程度)となるようにクラッチ用アクチュエータ23が駆動される。同スリップ制御は、エンジントルクが「0」以上となったときに終了される。
【0035】
次に、本実施形態における自動変速装置の動作例を図7のタイムチャートを用いて説明する。図7において、エンジン10の出力軸の回転数(エンジン回転数)Neを実線で示し、自動変速機30の入力軸31の回転数(入力回転数)Ntを2点鎖線で示している。
【0036】
車両がアイドリング状態で停車しているとき、時刻t1で車両を発進すべくアクセルペダル14が踏み込まれると、それに応じてエンジン出力が増しエンジン回転数Neが上昇する。このとき、クラッチ21が係合されることにより、自動変速機30の入力回転数Ntが徐々に増加してエンジン回転数Neと一致するようになる。
【0037】
その後、時刻t2でアクセルペダル14が離される(アクセルオフされる)と、エンジントルクが負の値となり、エンジンブレーキがかかる状態、すなわち、走行駆動系の動力によりエンジン10が回される状態である旨が判定される。このとき、クラッチ21における伝達力がほぼ「0」となるようにクラッチ用アクチュエータ23が駆動される。これにより、クラッチ21を滑らせて、自動変速機30の入力回転数Ntに対してエンジン回転数Neを低下させる。
【0038】
また、その直後の時刻t3でアクセルペダル14が再び踏み込まれると、エンジントルクが正の値となり、エンジン回転数Neが上昇する。エンジントルクが正の値となることにより、クラッチ21のスリップ制御が終了され、クラッチ用アクチュエータ23が駆動されてクラッチ21が係合される。このクラッチ21の係合により、自動変速機30の入力回転数Ntとエンジン回転数Neとが一致する。またこのとき、自動変速機30の入力回転数Ntは、エンジン回転数Neに対し高回転側で維持されているため、クラッチ21の係合が迅速に行われてエンジントルクが同クラッチ21を介して自動変速機30に伝達される。
【0039】
なお、車両運転者によりシフトレバー38がMレンジに操作され、手動変速モードが選択された場合、上記図6の処理は実行されることはない。つまり、手動変速モードの場合、シフトレバー38の操作に応じてアップシフトやダウンシフトが行われる。
【0040】
このように本実施の形態は、以下の特徴を有する。
(1)自動変速モードで車両が走行しているときに、アクセルオフに伴いエンジンブレーキがかかる場合(図7の時刻t2)、現状の変速段を維持したままクラッチ用アクチュエータ23を駆動してクラッチ21を滑らせるようにした。これにより、変速段のアップシフトを行う場合と同様に、エンジン回転数Neが低減されて、燃費及び操作性を向上することができる。その直後(図7の時刻t3)において、アクセルオンされ、車両の加速が必要となる場合には、クラッチ用アクチュエータ23が駆動されてクラッチ21を係合させることにより、自動変速機30を介して走行駆動系に動力が伝達されて車両を迅速に加速させることができる。このようにすれば、自動変速機30において変速段を切り替える必要がなく、応答性の悪化を防止することができる。よって、車両運転者のアクセル操作に伴う動力の伝達を的確に行うことができる。
【0041】
(2)スロットル開度とエンジン回転数に基づいてエンジントルクを求め、そのトルクが負の値である場合に、クラッチ21のスリップ制御を行うようにした。このようにすれば、走行駆動系からの動力によりエンジン10が回転され、エンジンブレーキがかかるときに、クラッチ21のスリップ制御を的確に実施できる。つまり、燃費の向上や操作性の向上を図るために的確なタイミングでスリップ制御を実施できる。
【0042】
(3)変速段の切り替えを判断するための変速線(マップデータ)が予め設定されており、同変速線(マップデータ)に基づいて変速段のアップシフトの要否が判定される。そして、アップシフトが必要であり、エンジントルクが負の値であるときにクラッチ21のスリップ制御が実施される。このようにすれば、スリップ制御をより的確なタイミングで実施できる。
【0043】
(4)スリップ制御時において、クラッチ21における伝達トルクがほぼ0となるようクラッチ21を滑らせるようにした。ここで、クラッチ21における伝達トルクがほぼ0となる状態では、クラッチ21の摩耗は殆どなく、また、アクセル操作に応じたクラッチ21の係合を迅速に行うことが可能となるので、実用上好ましいものとなる。
【0044】
なお、上記以外に次の形態にて具体化できる。
・上記実施形態では、エンジントルクを求め、エンジントルクが負の値となったとき、スリップ制御を実施するものであったが、これに限定するものではない。例えば、アクセル開度の変化を求めるようにし、アクセル開度の減少度合に基づいてスリップ制御を実施するようにしてもよい。つまり、アクセル操作量に基づき、その操作量が減少されるときにスリップ制御を実施するようにしてもよい。なお、上記実施形態における車両制御システムでは、アクセルペダル14の操作量を検出するものであったが、アクセルペダル14以外のアクセル(操作部材)を用いたシステムにも本発明は適用できる。このようにしても、エンジンブレーキがかかる場合に、スリップ制御を実施することができ、燃費及び操作性を向上できる。
【0045】
・上記実施形態では、クラッチ21の伝達トルクをほぼ「0」となるようクラッチ21のスリップ制御を実施したが、変速段、車速等の車両運転状態に応じてクラッチ21の伝達トルクを調整できるよう構成してもよい。このようにすれば、従来のアップシフトの場合と同じ感覚を車両運転者に与えるようエンジン回転数の低下度合等を調節できるので、実用上好ましいものとなる。
【0046】
・上記実施形態において、自動変速機30は前進5段・後進1段の平行軸歯車式変速機であるが、これに限定されるものではない。例えば、前進4段・後進1段等の他の変速機に具体化してもよい。また、自動変速機30は3つの変速用アクチュエータ41〜43を備えるものであったが、2つの変速用アクチュエータを備える自動変速機に本発明を適用してもよい。
【0047】
上記実施の形態から把握できる技術思想について、以下にその効果とともに記載する。
(イ)請求項1〜3のいずれか1項に記載の自動変速装置において、前記制御手段は、前記エンジンの出力トルクが負の値であるときに、前記クラッチを滑らせるよう前記クラッチ用アクチュエータを駆動することを特徴とする自動変速装置。この場合、エンジンの出力トルクが負の値となり、エンジンブレーキがかかる状態であるときに、クラッチのスリップ制御を的確に行うことができる。
【0048】
(ロ)請求項1〜3のいずれか1項に記載の自動変速装置において、前記クラッチにおける伝達トルクがほぼ0となるようクラッチを滑らせることを特徴とする自動変速装置。この場合、クラッチの伝達トルクがほぼ0となる状態では、クラッチの摩耗は殆どない。また、アクセル操作に応じたクラッチの係合を迅速に行うことが可能である。
【0049】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、アクセル操作に伴う動力の伝達を的確に行うことができる自動変速装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態における車両制御システムの概略構成図。
【図2】図1の自動変速機の概略構成図。
【図3】自動変速機を操作するシフトレバー及びシフトパターンの説明図。
【図4】1速→2速への変速線を示す説明図。
【図5】エンジン回転数とスロットル開度とエンジントルクとの関係を示す特性図。
【図6】ECUの処理を説明するためのフローチャート。
【図7】自動変速装置の動作例を説明するためのタイムチャート。
【符号の説明】
10…エンジン、14…アクセルペダル、20…自動クラッチ、21…摩擦クラッチ、23…クラッチ用アクチュエータ、30…自動変速機、34,35,36…スリーブ、41,42,43…変速用アクチュエータ、50…制御手段としてのECU。
Claims (3)
- クラッチと、該クラッチの開放及び係合を操作するクラッチ用アクチュエータとを有する自動クラッチと、
エンジンに前記自動クラッチを介して接続される変速機であって、変速段の切り替えを操作する変速用アクチュエータを有する自動変速機と、
前記クラッチ用アクチュエータ及び変速用アクチュエータを駆動して前記自動クラッチ及び自動変速機を制御する制御手段と
を備えた自動変速装置において、
前記制御手段は、アクセルの操作量を減少させるよう該アクセルが操作されたとき、前記自動変速機における変速段を維持するとともに、前記クラッチを滑らせるよう前記クラッチ用アクチュエータを駆動することを特徴とする自動変速装置。 - 請求項1に記載の自動変速装置において、
前記制御手段は、走行駆動系からの動力の伝達によりエンジンが回転されるとき、前記クラッチを滑らせるよう前記クラッチ用アクチュエータを駆動することを特徴とする自動変速装置。 - 請求項2に記載の自動変速装置において、
車両運転状態に応じて変速段の切り替えを判断するための変速線データが予め設定され、
前記制御手段は、前記変速線データに基づいて変速段のアップシフトの要否を判定し、アップシフトが必要であり、前記エンジンの出力トルクが所定値以下であるとき、前記クラッチを滑らせるよう前記クラッチ用アクチュエータを駆動することを特徴とする自動変速装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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