JP3747499B2 - 燃料噴射ポンプの支持構造 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は燃料噴射ポンプ、特に燃料噴射ポンプのカム軸の端部に別体として、あるいは一体的に延長して形成した駆動軸の先端支持構造の改良に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
ディーゼルエンジンの燃料噴射ポンプは、エンジンの高出力化と排気ガスを清浄化するために噴射圧力を増加することが要望され、その結果、ポンプの駆動トルクが増大しており、そのためにポンプ軸（あるいはカム軸）の先端に更に中空軸からなる駆動軸を延長して設け、この駆動軸の先端を軸受によって支持した、所謂先端支持構造によって大きなトルク伝達しながら曲げ応力に対応している。
【０００３】
具体的に従来技術を説明すると、図３及び図４に示すようにエンジンのシリンダブロック１に固定あるいは一体的に設けたフランジ１ａに開口した取付穴２の外側面を覆うように、中央部に軸受１４を固定したキャップ状のブラケット１１のフランジ部１２をボルト１３で固定する。
一方、燃料噴射ポンプＰのポンプ本体３の中央部に延長したカム軸７の端部に形成したテーパー面に中空状の駆動軸８を嵌合固定する。そしてポンプ本体３の端部のポンプブラケット４のフランジ部５にリング状の突起部６を形成し、駆動軸８の先端を軸受１４に支持させた状態で突起部６を取付穴２にインロー嵌合してボルトを締結して前記フランジ１ａに対して燃料噴射ポンプＰを先端支持構造によって固定している。
【０００４】
また、駆動軸８にはポンプブラケット４の内部に位置してタイマ機構９（タイマウエイトは図示せず）を固定するとともに駆動ギヤ１０を前記取付穴２より外方に位置するように固定し、エンジンによって駆動されるギヤと、この駆動ギヤ１０を介して燃料噴射ポンプＰを駆動するようになっている。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
前記構造の燃料噴射ポンプＰの支持構造によると、この燃料噴射ポンプＰをエンジンのシリンダブロック１に設けたフランジ１ａの片面にキャップ状のブラケット１１を図４に示すように矢印ａ方向から固定し、他面に燃料噴射ポンプＰを矢印ｂ方向より取付ける組立作業が必要である。この組立作業にはポンプブラケット４の端部に形成したフランジ部５とリング状の突起部６とをフランジ１ａの取付穴２にインロー嵌合しながら駆動ギヤ１０の中心部より突出している駆動軸８の先端をブラケット１１の中央に固定してある軸受１４に圧入固定する必要がある。
【０００６】
このように、シリンダブロック１の側面に突出して設けてあるフランジ１ａの一方より燃料噴射ポンプＰを、他方よりキャップ状のブラケット１１を位置させ、前記燃料噴射ポンプＰの駆動軸８の先端を軸受１４によって支持する必要があることから、この軸受１４を有しない通常の燃料噴射ポンプの支持構造に比較して、取付け方法が煩雑になり、エンジンの製造コストが増加するとともにメンテナンス上も不利になる欠点がある。
【０００７】
本発明は、従来の燃料噴射ポンプをエンジンに組込む際の問題点を解消し、簡単な構造で確実に固定することができる燃料噴射ポンプの支持構造を提供することを目的とする。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
前記従来技術の問題点を解消するための本発明に係る燃料噴射ポンプの支持構造は、カム軸より延長した駆動軸の端部に動力伝達手段を設けたディーゼルエンジン用燃料噴射ポンプにおいて、ポンプ本体の端部のポンプブラケットにキャップ状の支持ブラケットを固定しており、この支持ブラケットはキャップ部と、このキャップ部の端部に拡開するフランジ部とを有し、前記キャップ部は前記動力伝達手段の外周を覆うとともに、前記駆動軸の端部を支持する軸受を内蔵して、このエンジンに設けたブラケットの取付け穴内に嵌入支持するとともに、前記フランジ部を前記ポンプブラケットの端部とエンジンに設けたブラケットとで挟み込んで固定して構成している。
【０００９】
駆動軸は、カム軸をそのまま延長しても良く、また、カム軸の先端に別体の軸を接続したものであっても良い。更に動力伝達手段は、ギヤ、プーリー、チエンホイール等を使用することができる。
【００１０】
前記のように燃料噴射ポンプの駆動軸にタイマ機構及び駆動ギヤを固定し、更にこの駆動軸の先端を軸受で支持した状態でキャップ状の支持ブラケットを固定して先端支持の状態に組立てた燃料噴射ポンプを、シリンダブロックのフランジに固定するので極めて簡単な構造で、簡単にエンジンに燃料噴射ポンプを組込むことができる。
【００１１】
【発明の実施の形態】
次に、図１及び図２を参照して本発明の実施の形態について説明する。
燃料噴射ポンプＰの本体の端部に形成したポンプブラケット４ａのフランジ部５ａの端面の周方向にネジ孔１５を所定の間隔で開口しておく。
そしてキャップ部１６ａと、このキャップ部１６ａの周囲に拡開したフランジ部１６ｂからなるキャップ状の支持ブラケット１６を前記フランジ部５ａの端面に接当した状態で、このフランジ部１６ｂの円錐穴内に皿ボルト１５ａを挿入してネジ穴１５内に螺合して、前記ポンプブラケット４ａの端面に支持ブラケット１６を固定する。
【００１２】
カム軸７の先端部に中空状の駆動軸８ａの円錐穴を嵌合し、このカム軸７の先端に設けたネジにナット１７を螺合して固定し、そしてこの駆動軸８ａにタイマ機構９ａと駆動ギヤ１０ａをピン１８で位置決めして取付けている。
更に、支持ブラケット１６の中央部に開口した支持穴に軸受１４ａを固定しておき、この支持ブラケット１６をポンプブラケット４ａの端面に固定する際に、前記駆動軸８ａの先端にこの軸受１４ａを嵌合してこの駆動軸８ａの先端支持を行なう。
【００１３】
図１及び図２に示すように、ポンプ本体３ａの端部のポンプブラケット４ａの開口部側にキャップ状の支持ブラケット１６を固定して燃料噴射ポンプＰを組上げる。そしてシリンダブロック１Ａの側部に一体的あるいは別体として設けたフランジ１ｂの取付穴２ａ内に前記支持ブラケット１６のキャップ部１６ａを矢印ｃで示すように、一方向から挿入する。
【００１４】
そして図示しないボルトを前記フランジ１ｂに開口した穴２０を貫通してポンプブラケット４ａに設けたネジ穴に螺合することによって燃料噴射ポンプＰをシリンダブロック１Ａの側部に固定する。
前記のようにポンプブラケット４ａ内に突出している駆動軸８ａにタイマ機構９ａと駆動ギヤ１０ａを固定し、更にキャップ状の支持ブラケット１６の中心部に設けた軸受１４ａをこの駆動軸８ａに嵌合（圧入）してフランジ部１６ｂをポンプブラケット４ａの端面に固定する作業は、燃料噴射ポンプＰをエンジンのシリンダブロック１Ａに固定する以前に、極めて簡単に行うことができる。
【００１５】
【発明の効果】
請求項１の発明により、カム軸７を延長した駆動軸８ａの先端を支持ブラケット１６に設けた軸受１４ａで支持した状態で燃料噴射ポンプＰを組上げておき、この組立状態でエンジンのシリンダブロック１Ａに設けたフランジ１ｂに一方向から挿入して固定することができる。
【００１６】
従って、燃料噴射ポンプＰの取付け作業を極めて容易に行うことができ、また、前記のように駆動軸の先端の支持構造は極めて簡単なものである上に、組立ても容易であるので製造コストを低下させ、メンテナンスも容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施の形態を示す燃料噴射ポンプの支持構造の要部の断面図である。
【図２】シリンダブロックに設けたフランジに燃料噴射ポンプを取付ける状態を示す説明図である。
【図３】従来の燃料噴射ポンプの支持構造の要部の断面図である。
【図４】従来の燃料噴射ポンプの組立方法を示す説明図である。
【符号の説明】
１Ａ シリンダブロック １ｂ フランジ ２ａ 取付穴
３ａ ポンプ本体 ４ａ ポンプブラケット ５ａ フランジ部
８ａ 駆動軸 ９ａ タイマ機構 １０ａ 駆動ギヤ
１１ ブラケット １４ 軸受 １６ 支持ブラケット
１６ａ キャップ部 １６ｂ フランジ部 １７ ナット
１８ ピン ２０ 穴

Claims (1)

1. カム軸より延長した駆動軸の端部に動力伝達手段を設けたディーゼルエンジン用燃料噴射ポンプにおいて、ポンプ本体の端部のポンプブラケットにキャップ状の支持ブラケットを固定しており、この支持ブラケットはキャップ部と、このキャップ部の端部に拡開するフランジ部とを有し、前記キャップ部は前記動力伝達手段の外周を覆うとともに、前記駆動軸の端部を支持する軸受を内蔵して、このエンジンに設けたブラケットの取付け穴内に嵌入支持するとともに、前記フランジ部を前記ポンプブラケットの端部とエンジンに設けたブラケットとで挟み込んで固定して構成していることを特徴とする燃料噴射ポンプの支持構造。

Images