JP3747082B2 - 発泡樹脂回収車両 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、包装材等に使用される発泡ポリスチレンなどの発泡樹脂を回収する発泡樹脂回収車両に関する。
【0002】
【従来の技術】
発泡ポリスチレン(いわゆる発泡スチロール)は、スチレンの重合の際に液化ガスなどの発泡剤を加えてビーズ状の成形ペレットにしたもので、加熱(約100℃)することにより、体積が50〜70倍に膨らむ性質を有している。そして、この発泡ポリスチレンのビーズ状成形ペレットは、圧縮加熱成形して包装材料等に加工して使用される。
【0003】
発泡ポリスチレン包装材は、フォームスチレン(FS)あるいは「型物」などと呼ばれているものと、ポリスチレンペーパ(PSP)と呼ばれているものとがある。FSは、その体積の2%程度が樹脂分であって、残りのおよそ98%が空気によって占められた発泡体で、空気を閉じ込めた発泡体構造が優れたクッション性、断熱性、防音性、防水性、衛生性等を示すところから、緩衝包装材、食品容器、魚箱等の包装材や断熱建材などに使用されている。一方、PSPは、体積のおよそ7%程度が樹脂分であって、残りの約93%を空気が占めるシート状の発泡体で、前者と同様の特性を有していて、主に食品包装トレー等に使用されている。
【0004】
このように、発泡ポリスチレンは、軽量で優れた特性を有しており、多量に使用されている。そして、従来、使用済みの発泡ポリスチレンは、ゴミとして処理され、地中に埋めたり焼却したりしていた。ところが、発泡ポリスチレンは、比重が極めて小さく、少ない重量であっても嵩ばるため、輸送コストが高くつくことや、環境問題あるいは資源の有効利用等の問題から、使用済みの発泡ポリスチレンを回収して再利用することが検討されている。
【0005】
従来、発泡ポリスチレンを再利用する場合、回収した発泡ポリスチレンを電気ヒータや高温の油によって加熱したり、摩擦熱によって加熱溶融して減容処理した後、専門業者によってペレット化するようにしている。しかし、加熱による減容処理は、電気や石油系の熱源が必要なために火災の危険がある。また、樹脂を加熱するために臭気が発生し、周囲に不快感を与えるばかりでなく、公害の問題が発生する。
【0006】
さらに、回収した発泡ポリスチレン中には、紙テープや接着剤ばかりでなく、発泡ポリスチレンとよく似た発泡ポリオレフィンの成形品やカット品が混在することが多い。そして、これらの異物が混入した状態で上記の熱減容を行うと、異物とポリスチレンとが一緒の塊となってしまい、再利用が困難となる。このため、回収した発泡ポリスチレンから紙テープや接着剤、発泡ポリオレフィンなどの異物を選別除去する必要があり、この分別は一般に人手によって行っており、多大の労力と時間とを必要としている。さらに、再利用する発泡ポリスチレンは、異物を除去したのちに水洗されるが、水分の混入した樹脂は再利用樹脂として適さないため、上記の熱減容を行う際に水分を除去する必要がある。
【0007】
一方、発泡ポリスチレンを溶媒に溶かして回収する装置を車両に積載することにより、発泡ポリスチレンを移動回収するシステムが提案されている(特開平5−263065号公報)。この公報に記載の回収装置は、容器の下部がd−リモネンなどの溶媒を貯留した貯液槽となっており、容器の上部に発泡ポリスチレンのブロックを投入する投入口が形成してある。この投入口の直下には、ポリスチレンブロックを破砕する破砕機が配置してあって、破砕機によってポリスチレンブロックを破砕したのち、発泡ポリスチレンの破砕物をホッパを介して貯液槽に落下させる。そして、貯液槽に配置したノズルから溶媒を落下する破砕物に噴霧して溶解し、減容するようにしている。
【0008】
この特開平5−263065号公報に記載の装置によれば、発泡ポリスチレン以外の異物が溶媒に溶解することがなく、ゴミや水分が溶解したポリスチレン中に混入した場合でも容易に分離すことが可能であり、溶媒とポリスチレンとを分離することにより、溶解後の樹脂を高い回収率(約98%)で回収することができる。また、発泡ポリスチレンを溶媒に溶解することにより、体積を約1/50に減容することができ、再処理センタなどに輸送する場合に、輸送コストを低減することができる。さらに、加熱することなく溶解して減容することができるため、外熱を与える必要がなく安全で、悪臭を発生することがない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記公報に記載の回収装置は、貯液槽の下部に攪拌子を設けているため、貯液槽に落下した発泡ポリスチレンの溶解に時間がかかる。すなわち、貯液槽に落下した発泡ポリスチレンは、軽いために溶媒の上に浮いてしまい、溶解液との接触があまり充分に行われず、溶解するのに時間がかかる欠点がある。そして、浮いたポリスチレンの溶解速度を大きくするためには、ノズルから常に溶媒を噴霧する必要があり、装置が複雑になるとともに、運転コストが高くなる。また、攪拌子を駆動するモータ等の専用の駆動源を必要とし、装置の重量が大きくなる。また、上記公報に記載のものは、発泡樹脂の回収作業が樹脂の溶解速度に影響されるため、回収作業の効率を充分に上げることができない。
【0010】
本発明は、前記従来技術の欠点を解消するためになされたもので、溶解液と発泡樹脂との撹拌効果を高め、溶解効率を向上できるようにすることを目的としている。
さらに、本発明は、発泡樹脂の回収作業の効率を向上できるようにすること等を目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための本発明に係る発泡樹脂回収車両は、走行体に回転自在に搭載され、後端開口を斜め上方にして軸線が傾斜させられて内部に発泡樹脂の溶解液が貯留される溶解槽と、この溶解槽を正逆回転させる駆動装置と、前記溶解槽の内面に軸線方向に螺旋状に設けられ、正回転時に前記後端開口から投入された前記発泡樹脂を前端側に送りつつ前記溶解液を攪拌し、逆回転時に前記溶解液を前記後端開口から排出する攪拌ブレードと、前記後端開口より下方に設けた前記発泡樹脂の受入れ口を備え、この受入れ口に入れられた前記発泡樹脂を前記後端開口から前記溶解槽内に投入する樹脂投入機とを有する構成となっている。樹脂投入機は、バケットコンベヤ、ベルトコンベヤ、スクリューコンベヤなどのコンベヤやエアシュータ等を利用することができる。
【0014】
【作用】
上記のごとく構成した請求項1に係る本発明は、回転する溶解槽の内面に螺旋状の攪拌ブレードを軸線方向に設けたことにより、溶解槽が正方向に回転するのに伴って攪拌ブレードが溶解槽と一体に回転する。そして、攪拌ブレードは、正方向に回転するときに、溶解槽内の溶解液と発泡樹脂とを上方にすくい上げてばらまくように落下させる。このため、発泡樹脂と溶解液とが満遍なく掻き交ぜられ、溶解液と発泡樹脂との接触を効率よく充分に行うことができ、発泡樹脂の溶解速度を大きくすることができる。しかも、攪拌ブレードは、螺旋状に設けてあるため、溶解槽が正回転する場合、溶解方に投入された発泡樹脂を溶解槽の奥の方に押し込むため、より攪拌(掻き交ぜ)効果を高めることができる。そして、溶解槽が逆回転する場合、攪拌ブレードが溶解槽内の溶解液を後端開口側に送って後端開口から排出するため、溶解槽の回転方向を変えるだけで溶解槽内の溶解液を容易に排出することができ、専用の排出口を設ける必要がなく、構造の簡素化を図ることができる。また、発泡樹脂の受入れ口が後端開口より下方にある樹脂投入機を設けることにより、発泡樹脂を高い位置に持上げることなく地上において溶解槽に投入することができ、発泡樹脂の溶解槽への投入作業が容易となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明に係る発泡樹脂回収車両の好ましい実施の形態を、添付図面に従って詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施の形態に係る発泡樹脂回収車両の一部を切り欠いた要部側面図である。
図1において、回収車両10は、走行体11のシャーシ12に溶解槽14が搭載してある。溶解槽14は、壺形状に形成してあって、開口16側が走行体11の後端側に、底部18が走行体11の前側となるように配置してある。そして、溶解槽14は、後端開口16が走行体11の後方斜め上方に向けられていて、軸線が10〜30度程度傾斜した状態で走行体11に回転自在に支持されている。
【0019】
すなわち、溶解槽14は、底部18の中心部に支持軸20が突設してあって、この支持軸20が軸受22を介してシャーシ12に固定したサポート24に回転自在に支持されている。また、溶解槽14は、開口16よりやや底部18側の外周面にガイドリング26が取り付けてあり、このガイドリング26がシャーシ12に設けた支持架台28上に回転自在に設けた複数の支持ローラ30に支持されている。そして、溶解槽14は、底部18の周囲に、駆動装置を構成する駆動チェーン32が巻き掛けしてあって、この駆動チェーン32を介して図示しない駆動モータの動力が伝達され、正方向と逆方向とに回転するようになっている。なお、溶解槽14の回転駆動は、駆動チェーン32を使用せず、サポート24上に減速機を設置し、この減速機に電気モータや油圧モータまたはエンジン等の駆動源と溶解槽14の支持軸20とを接続して行ってもよい。
【0020】
傾斜した溶解槽14の内部には、例えば発泡樹脂である発泡ポチスチレンを溶解するd−リモネンなどの溶解液34が貯留できるようになっている。そして、溶解槽14の内周面には、螺旋状をなす2条の攪拌ブレード36、38が溶解槽14の軸線方向に設けてある。これらのブレード36、38は、溶解槽14の軸線に対して180度位相をずらせて配置してあって、後述するように溶解槽14が正方向に回転したときに、処理槽14内に投入された発泡樹脂を溶解槽14の奥側である底部18側に移動させ、溶解槽14が逆方向に回転したときに、溶解液34を後端開口16側に移動させて開口16から排出できるようにしてある。
【0021】
溶解槽14の後方には、樹脂投入機40が配置してある。この樹脂投入機40は、支持架台28に設けた逆L字状をなす一対の支持ブラケット42に取り付けてあり、上下方向に配置したバケットコンベヤ44を備えている。バケットコンベヤ44は、コンベヤケース46に収納してある。そして、コンベヤケース46の下部、すなわち溶解槽14の開口16より低い位置には、発泡樹脂をコンベヤケース46内に投入するための受入れ口48が形成してある。また、コンベヤケース48の上部は、受入れ口48からコンベヤケース46内に入れられた発泡樹脂を溶解槽14に投入するためのホッパ部50となっている。そして、ホッパ部50には、溶解槽14側の下部にシュート部52が形成してあり、シュート部52が溶解槽14の開口16の中心部に挿入してあって、シュート部52の先端に形成した投入口54から発泡樹脂を溶解槽14内に投入できるようになっている。さらに、ホッパ部50の上部には、図示しない蓋体によって開閉される開口が設けてあり、この開口を介してホッパ部50内に挿入したホース等によって溶解槽14内に溶解液34を注入できるようにしてある。
【0022】
溶解槽14の後端開口16下部には、溶解槽14から排出される溶解液34を受ける液受け部56が設けてある。この液受け部56は、支持ブラケット42に取り付けてあって、下端部に排出弁58によって開閉される取り出し口60が設けてある。
【0023】
上記のごとく構成した実施の形態の作用を、発泡ポリスチレンの回収を例にして説明する。
まず、回収車両10の溶解槽14内に溶解液34を注入したのち、回収車両10を電気点や小売店などの発泡ポリスチレンの発生場所に移動させる。そして、これらの発生場所において図示しない駆動モータを駆動して溶解槽14を正方向に回転させるとともに、樹脂投入機40のバケットコンベヤ44を起動し、適宜の大きさに粉砕してある発泡ポリスチレンを樹脂投入機40の受入れ口48を介してコンベヤケース46内に投入する。コンベヤケース46内に入れられた発泡ポリスチレンは、バケットコンベヤ44によって上方に運ばれ、ホッパ部50のシュート部52先端に形成した投入口54から溶解槽14内に投入される。溶解槽14に投入された発泡ポリスチレンは、溶解槽14と一体に正方向に回転している攪拌ブレード36、38によって回収車両10の前方側、すなわち図1の左方向に送られつつ溶解液34と攪拌される。溶解槽14の回転速度は調整可能であって、発泡ポリスチレンの投入量に応じて調整され、樹脂を速く投入したい場合には回転速度を大きくする。
【0024】
そして、発泡ポリスチレンの溶解槽14への投入が終了したならば、次の回収場所に移動する。この移動中においては、溶解槽14を例えば数回/分程度のゆっくりした回転速度で回転させる。溶解槽とともに正方向に回転している攪拌ブレード36、38は、解槽14内の溶解液34と発泡ポリスチレンとに溶解槽14の底部18側に移動させる運動を与えるとともに、溶解液34と発泡ポリスチレンとをすくい上げ、ばらまくように落下させる。このため、溶解液34の攪拌が充分に行われるとともに、溶解液34の表面に浮いた発泡ポリスチレンと溶解液34とが充分に掻き交ぜられ、発泡ポリスチレンの溶解を向上することができる。
【0025】
このようにして発泡ポリスチレンの回収を終了した場合、または溶解液34への発泡ポリスチレンの溶解量が所定量、例えば溶解槽14に貯留した溶解液34の全重量の約30%に相当する重量の発泡ポリスチレンを溶解したならば、回収車両10を発泡ポリスチレンのリサイクルプラントに移動する。そして、排出弁60を解放するとともに、溶解槽14を逆方向に回転させる。これにより、螺旋状の攪拌ブレード36、38は、溶解槽14と一体に逆方向に回転して排出ブレードとしての役割をなし、溶解槽14内の溶解液34を後部の開口16側に送り、開口16から液受け部56に排出する。液受け部56に排出された溶解液34は、取り出し口60から容器などに移される。溶解槽14内の発泡ポリスチレンを溶解した溶解液34の排出が完了したならば、新しい溶解液を溶解槽14に注入し、前記と同様に発泡ポリスチレンの回収に向う。
【0026】
なお、回収場所とリサイクルプラントとが離れている場合などは、溶解液34の注入場所などにおいて溶解槽14内の溶解液34をドラム缶等の輸送用容器に移し、輸送用容器をトラックなどによってリサイクルプラントに搬送する。これにより、すべての回収車両10が遠いリサイクルプラントとの間を往復することによるロスを避けることができる。
【0027】
このように、上記実施の形態においては、溶解槽14の内面に設けた螺旋状の攪拌ブレード36、38が溶解液34と発泡ポリスチレンとをすくうように攪拌するため、溶解液34と発泡ポリスチレンとの接触を充分に行うことができ、発泡ポリスチレンの溶解効率を向上することができる。そして、本実施の形態においては、螺旋状の攪拌ブレード36、38が投入された発泡ポリスチレンを溶解槽14の前方側(底部18側)に順次送り込むため、発泡ポリスチレンを効率よく投入することができる。また、溶解槽14を逆回転させることにより、攪拌ブレード36、38が排出機としての役割をなし、特別な排出機構を用いることなく溶解槽14内の溶解液34を開口16から排出でき、構造の簡素化が図れる。さらに、上記の実施の形態おいては、後端開口より低い位置に受入れ口48を有する樹脂投入機40を設置しているため、発泡ポリスチレンを地上において受入れ口48に投入するだけでよく、樹脂の投入作業が容易となる。
【0028】
前記実施の形態においては、バケットコンベヤ44を用いた樹脂投入機40について説明したが、ベルトコンベヤやスクリューコンベヤまたはエアシュータ等を用いた樹脂投入機であってもよい。また、前記実施の形態においては、発泡樹脂が発泡ポリスチレンである場合について説明したが、発泡樹脂は発泡ポリオレフィン等であってもよい。
【0029】
図2は、他の実施の形態を示したものである。
この実施の形態においては、走行体11に搭載した溶解槽70が箱型または円筒型あるいは楕円筒型等に形成してある。この溶解槽70は、底部72が走行体前側より後側が高くなるように傾斜していて、溶解槽70内の溶解液34が前側に容易に流れるようにしてある。そして、溶解槽70は、底部72の前端部がシャーシ12の上面に固定され、後端部がシャーシ12上に設けた支持架台74に固定してある。また、溶解槽70の前端面下部には、排出弁76を備えた排出口78が設けてあり、この排出口78を介して溶解槽70内の溶解液34を取り出すことができるようになっている。さらに、溶解槽70の後端面には、発泡ポリスチレンを投入するための投入口80が形成してある。この投入口80には、蓋84が配置してあって、矢印82のように蓋84を開閉操作することにより、開放、閉鎖することができるようになっている。
【0030】
一方、溶解槽70の内部には、攪拌機86が設けてある。この攪拌機86は、溶解槽70の前後、左右方向に適宜の間隔で配置して複数の鎖88と、これらの鎖88のそれぞれの下端に取り付けた鋼板等の比較的重量のある金属板90とからなる懸垂体によって構成してある。そして、各鎖88は、溶解槽70の天井から懸垂してあって、回収車両10の走行に伴う振動によって金属板90が揺動し、溶解液34を攪拌するようにしてある。すなわち、金属板90は、鎖88に取付けた上部が溶解液34の液面より上方に位置し、下部が溶解液34中に浸るようにしてある。また、金属板90は、溶解槽70の後方側より前方側が長く形成してあって、溶解液34の深さが大きくなる前方側の金属板90がより深く溶解液34中に浸してあり、溶解液34をより深いところまで攪拌できるようにしてある。
【0031】
溶解槽70内の攪拌機86と投入口80との間には、投入口80と対向した位置に押込み機92が設けてある。この押込み機92は、溶解槽70の左右の側板間に渡して回転自在に設けた回転軸94と、この回転軸94の周面に取り付けた4枚の板状羽根96とから構成してある。そして、押込み機92は、矢印98のように図2の時計方向に回転し、投入口80から投入された発泡ポリスチレンを溶解槽70の奥の方、すなわち前方側に押込むようになっている。また、溶解槽70内の後端底面には、断面円弧状をなす波受け板100が溶解槽70の左右方向に配置してある。この波受け板100は、円弧中心側が走行体11の前方側に向けてあって、回収車両10の走行に伴う振動により揺動し、波受け板100に当る溶解液34を前方側に跳ね返し、溶解液34が投入口80から外部に跳ね出るのを防止している。
【0032】
このように構成した本実施の形態おいては、発泡ポリスチレンの発生場所で蓋84を図2の反時計方向に回動させて投入口80を開放し、投入口80から発泡ポリスチレンを溶解槽70内に投入する。また、同時に押込み機92を駆動して投入された発泡ポリスチレンを溶解槽70の前方側に押し込む。その場所での回収作業が終了したならば、蓋84を閉じて次の回収場所に移動する。この回収車両10の移動の際、走行に伴う振動により攪拌機86の金属板90が揺動し、溶解液34を攪拌して発泡ポリスチレンの溶解を促進する。そして、発泡ポリスチレンの回収が終了した場合、または所定量の発泡ポチスチレンを溶解した場合には、前記と同様にして排出口78から溶解槽70内の溶解液34を取り出す。
【0033】
このように、この実施の形態においては、走行に伴う車両の振動を利用して攪拌機86を作動させるようにしているため、攪拌機86を作動させるための特別な駆動源を必要とせず、省エネルギー化を図ることができる。しかも、攪拌機86は、天井から懸垂した鎖88と金属板90とで構成するとともに、金属板90の溶解液34への挿入量を溶解液34の深さに応じて大きくしてあるため、溶解液34の表面に浮ぶ発泡ポリスチレンと溶解液34とを攪拌して両者の接触を良好に行うことができるとともに、溶解液34の深さの深いところでも良好に攪拌することができる。そして、本実施の形態おいては、発泡ポリスチレンの投入口80を溶解槽70の後端面に設けたことにより、樹脂の投入位置を低くすることができ、樹脂の投入が容易となる。しかも、投入口80との対向位置に樹脂の押込み機92を配設したことにより、投入された発泡ポリスチレンを確実に前方側に送ることができ、投入口80の部分に発泡ポリスチレンが溜まるのを避けることができる。
【0034】
なお、前記実施の形態においては、攪拌機86を鎖88と金属板90とによって構成した場合について説明したが、金属板90の代りに金属球などを用いてもよい。
【0035】
図3は、さらに他の実施の形態を示したものである。図3において、走行体11のシャーシ12上には、タンク102が搭載してある。このタンク部102は、箱型または円筒型あるいは楕円筒型に形成してあって、内部に仕切壁104が上下方向に設けてあり、前側(図の左側)が発泡ポリスチレンを溶解する溶解槽106、後側が発泡ポリスチレンを一時的に収納する樹脂収納槽108となっている。この実施の形態の場合、溶解槽106は、タンク部102の容積の約1/5程度となっている。すなわち、樹脂収容槽108の容積が溶解槽106の数倍となっていて、嵩ばる発泡ポリスチレンを相当量収納できるようにしてある。
【0036】
樹脂収納槽108は、後端部に矢印110のように揺動可能な蓋112によって開閉される発泡ポリスチレンの投入口114が設けてある。そして、樹脂収納槽108の内部には、投入口114との対向位置に破砕機116が配設してある。この破砕機116は、上下方向に平行配置した一対の回転軸118、120を有し、これらの回転軸118、120の周面の軸方向および周方向のそれぞれに複数の破砕刃122が取り付けてある。また、各回転軸118、120は、それぞれの軸心を結ぶ線が水平面と傾斜していて、下側の回転軸120が上側の回転軸118より樹脂収納槽108の後方側に位置し、投入口114から投入された発泡ポリスチレンを確実に上下の破砕刃122間に噛み込ませることができるようにしてある。さらに、回転軸118、120は、矢印124、126に示したように、相互に反対方向に異なる回転速度で回転するようになっている。すなわち、下側の回転軸120が上側の回転軸118より大きな回転速度で回転し、投入口114から投入された発泡ポリスチレンを上下の破砕刃122の噛み込み部に効率的に送り込めるようにしてあるとともに、発泡ポリスチレンに連続的な剪断力を与えて破砕するようにしてある。
【0037】
樹脂収納槽108内の底面128は、前側が後側より低くなるように傾斜していて、破砕機116によって破砕された発泡ポリスチレンを走行時の振動などによって自動的に前側に送ることができるようにしてある。そして、樹脂収納槽108の前端部、すなわち溶解槽106の背後部には、樹脂投入機130が配設してある。この樹脂投入機130は、上下方向に配置したスクリューコンベヤ132からなり、下端部に樹脂収納槽108の下部に開口した樹脂受入れ口134を有する。また、上端部には、溶解槽106の上部に開口した投下口136を備えたシュート部138を有していて、樹脂収納槽108内の発泡ポリスチレンを溶解槽106に投入できるようにしてある。なお、図3に示した符号140は、スクリューコンベヤ132を駆動する駆動装置を示す。
【0038】
このように構成した本実施の形態においては、樹脂収納槽108の後端投入口114から投入された発泡ポリスチレンが、破砕機116によって適宜の大きさに破砕されたのち、傾斜している底面128を滑って樹脂収納槽108の前側に移動する。そして、樹脂収納槽108の前側に移動した発泡ポリスチレンは、樹脂受入れ口134からスクリューコンベヤ132の内部に入り、スクリューコンベヤ132によって上方に移送されたのち、シュート部138を介して投下口136から溶解槽106内に投入され、溶解槽106内の溶解液34によって溶解される。また、溶解液34は、走行体11の走行に伴う振動によって攪拌される。
【0039】
溶解槽106への発泡ポリスチレンの供給は、溶解槽106における発泡ポリスチレンの溶解速度に応じて調整され、溶解速度に見合った量が供給されるようになっていて、溶解しきれない発泡ポリスチレンは破砕した状態で一時的に樹脂収納槽108内に貯蔵される。そして、樹脂収納槽108内の発泡ポリスチレンは、発泡ポリスチレンの回収中または回収車両10の移動中、溶解槽106における溶解が進むにしたがって溶解槽106に供給される。このように、本実施の形態おいては、樹脂収納槽108に発泡ポリスチレンを一時的に収納することができるため、溶解槽106における発泡ポリスチレンの溶解速度に左右されることなく発泡ポリスチレンの回収作業を進めることができ、回収作業を迅速に行うことができる。
【0040】
なお、図3の破線に示したように、回転羽根を有する攪拌機142や図2に示した攪拌機86を溶解槽106内に設けてもよい。また、樹脂投入機130は、スクリューコンベヤ130に代えてバケットコンベヤやベルトコンベヤまたはエアシュータ等を使用してもよい。
【0041】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、回転する溶解槽の内面に設けた螺旋状の攪拌ブレードが、溶解槽内の溶解液と発泡樹脂とをすくい上げてばらまくように落下させるため、発泡樹脂と溶解液との攪拌を効率よく充分に行うことができ、発泡樹脂の溶解速度を大きくすることができる。しかも、攪拌ブレードは、螺旋状に設けてあるため、溶解槽が正回転する場合、溶解槽に投入された発泡樹脂を溶解槽の奥の方に押し込み、溶解槽が逆回転すると、溶解槽内の溶解液を後端の開口側に送って排出するため、特別な排出機構を必要とせず、構造の簡素化を図ることができる。また、樹脂投入機を設けたことにより、発泡樹脂の投入口を溶解槽の下の方に設けることができ、地上において発泡樹脂の溶解槽への投入が行え、投入作業が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る発泡樹脂回収車両の一部を切り欠いた要部側面図である。
【図2】他の実施の形態を示す一部を切り欠いた要部側面図である。
【図3】さらに他の実施の形態を示す要部断面図である。
【符号の説明】
10 回収車両
11 走行体
14、70 溶解槽
16 開口
32 駆動装置(駆動チェーン)
34 溶解液
36、38 攪拌ブレード
40 樹脂投入機
44 バケットコンベヤ
48 受入れ口
50 ホッパ部
60 取り出し口
78 排出口
80 投入口
86 攪拌機
88、90 懸垂体(鎖、金属板)
92 押込み機
100 波受け板
106 溶解槽
108 樹脂収納槽
114 投入口
116 破砕機
130 樹脂投入機
132 スクリューコンベヤ
134 樹脂受入れ口
136 投下口
Claims (1)
- 走行体に回転自在に搭載され、後端開口を斜め上方にして軸線が傾斜させられて内部に発泡樹脂の溶解液が貯留される溶解槽と、この溶解槽を正逆回転させる駆動装置と、前記溶解槽の内面に軸線方向に螺旋状に設けられ、正回転時に前記後端開口から投入された前記発泡樹脂を前端側に送りつつ前記溶解液と撹拌し、逆回転時に前記溶解液を前記後端開口から排出する撹拌ブレードと、前記後端開口より下方に設けた前記発泡樹脂の受入れ口を備え、この受入れ口に入れられた前記発泡樹脂を前記後端開口から前記溶解槽内に投入する樹脂投入機とを有していることを特徴とする発泡樹脂回収装置。
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JP20905295A JP3747082B2 (ja) | 1995-07-25 | 1995-07-25 | 発泡樹脂回収車両 |
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JP (1) | JP3747082B2 (ja) |
-
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- 1995-07-25 JP JP20905295A patent/JP3747082B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH0938975A (ja) | 1997-02-10 |
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