JP3746982B2 - 発酵乳原料の殺菌方法及び発酵乳の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、殺菌の工程において2段階の異なる条件を組合せた加熱処理を行うことを特徴とする発酵乳原料の殺菌方法及び該殺菌方法を利用した発酵乳の製造方法に関し、長時間発酵の発酵乳の製造に好適に利用できる。
【0002】
尚、本発明において長時間発酵とは、乳酸菌スターターを添加した時から、所定の発酵温度で保持した発酵乳原料のpHが4.8に到達するまでに要する時間が10時間以上である発酵を意味する。
【0003】
また、本発明において固形状発酵乳とは、流動性のない組織を有する発酵乳を意味する。このような固形状発酵乳としては、例えば、殺菌した発酵乳原料をあらかじめ容器に充填し、その後スターターを添加し発酵して製造するプレーンヨーグルトやハードヨーグルト、後記する糊状発酵乳にゼラチンや寒天等のゲル化剤を加えて固めた発酵乳等を例示することができる。
【0004】
本発明において糊状発酵乳とは、組織に流動性はあるものの粘度が高く、スプーン等を使用して食される発酵乳を意味する。例えば、タンクに殺菌した発酵乳原料及びスターターを添加して発酵し、生じたカードを破砕し、このまま又はこれに果肉や甘味料等を混合して容器に充填して製造するソフトヨーグルト等を例示することができる。
【0005】
本発明において液状発酵乳とは、組織に流動性があって粘度が低く、もっぱら飲用される発酵乳を意味する。この液状発酵乳としては、糊状発酵乳と同様に、タンクに殺菌した発酵乳原料及びスターターを添加して発酵し、生じたカードをホモゲナイザーでより細かく破砕し、飲める状態にしたものが例示でき、このまま又はこれに甘味料や果汁等を加えて嗜好性を高めた発酵乳飲料等も含まれ、具体例としては、ドリンクヨーグルト等を例示することができる。
【0006】
【従来の技術】
メチニコフが発酵乳の一種であるヨーグルトの健康増進効果を主張して以来、世界中の研究者により発酵乳が有する健康増進効果が証明されてきた。我が国においても健康志向の風潮の高まりと共にヨーグルトの消費は年々増大し、発酵乳製品の研究開発が活発に行われ、市場における発酵乳製品の種類も多様化している。
【0007】
発酵乳は、一般に哺乳類の乳を主原料とし、これを乳酸菌、ビフィズス菌、酵母等(以下、乳酸菌等と記載することがある。)によって発酵させて得られる製品であり、製品の組成によって、(1)乳成分のみを原料として発酵させたプレーン発酵乳、(2)甘味料、香料、チョコレート、コーヒー等で味付けをしたフレーバード発酵乳、(3)フルーツを添加したフルーツ入り発酵乳、等に分類される。また、製品の性状によって、(1)固形状発酵乳、(2)糊状発酵乳、(3)液状発酵乳、等に分類される。このような分類の組合せにより、乳幼児から老人に至るまでの幅広い消費者年齢層に対して、それぞれの嗜好に適した発酵乳製品が製造されている。
【0008】
発酵乳は、発酵乳原料を調製した後、発酵乳原料の加熱及び冷却からなる殺菌(均質化を含むことがある)、乳酸菌スターター添加、発酵、冷却の各工程の順に製造される。
【0009】
発酵乳原料の殺菌の工程は、病原菌などの有害菌を死滅させること、乳酸菌の培地としての性質を改善すること、発酵乳の離水を防ぎカードを固くすること等を目的としている。従来、発酵乳原料の殺菌では、85℃以上95℃以下の温度まで昇温し、5分から15分の間保持して加熱処理すること(以下、このような殺菌方法を『従来殺菌法』と記載する。)が行われていた(ミルク総合辞典、第238頁、朝倉書店、1992年)。この理由は、仮に極端に高温の加熱条件で発酵乳原料を殺菌した場合には、発酵後の発酵乳の組織が著しく軟弱になるという問題があったためである。
【0010】
この従来殺菌法は、耐熱性菌(芽胞菌等)を死滅させるための操作ではなく、あくまでも一般細菌を死滅させるための操作である。すなわち、仮に芽胞菌が殺菌後の発酵乳原料に残存していたとしても、その後の発酵工程においてpH低下により芽胞菌は全て死滅してしまうため、一般の発酵乳製品の製造には現実的に問題はなく、このために従来殺菌法の加熱条件でも十分だったのである。
【0011】
また、前記の発酵の工程においては、発酵の時間の長短によって、短時間発酵と長時間発酵に区分することが可能である。
【0012】
ここで長時間発酵とは、殺菌後の発酵乳原料に乳酸菌スターターを添加した時から、所定の発酵温度で保持した発酵乳原料のpHが4.8に到達するまでに要する時間が10時間以上である発酵であり、本発明では、長時間発酵以外のものを短時間発酵と表記して区別するものとする。
【0013】
このような、短時間発酵と長時間発酵とは、菌株の種類によって使い分けられており、長時間発酵には酸生成の少ない菌種を使用することが好ましいとされている。
【0014】
また、一般に、長時間発酵には様々な利点があると言われている。例えば、発酵後の発酵乳の製品中では乳酸菌が生存しているが、このような発酵乳製品は、低温下で保存していても乳酸菌によって乳酸が産生されることがあり、この場合は、発酵乳製品が流通している間でも産生された乳酸によって発酵乳の酸度は上昇(アフターアシディフィケーション)し、風味が変化する。この点において、酸生成の少ない菌種を利用した長時間発酵を発酵乳の製造に適用することによって、短時間発酵に比して、前記アフターアシディフィケーションは効果的に抑制することができる。
【0015】
また、乳酸菌の中でも、人体に有用な菌(プロバイオティクス)は発育に長時間を要するものが多く、このような有用菌には長時間発酵が好適であるとされる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記の従来殺菌法は、一般よりも発酵時間が長い発酵乳、即ち長時間発酵乳を製造するためには、適していないという問題があった。
【0017】
すなわち、このような長時間発酵乳の場合は、仮に従来殺菌法によって発酵乳原料を殺菌した場合には、発酵乳原料中に耐熱性菌(芽胞菌等)が残存してしまい、長時間発酵を行っている間にこれらの耐熱性菌が増殖してしまって、風味異常を起こすという問題がある。従って、従来殺菌法は、もっぱら短時間発酵を行う発酵乳にしか採用されることがなく、適用範囲が狭いものでしかなかった。
【0018】
一方、長時間発酵についてみれば、前記従来殺菌法に換えて、一般の牛乳の殺菌に使用される超高温瞬間殺菌法(UHT殺菌法)を採用し、発酵乳原料を120℃で2秒以上の時間保持して加熱処理したとすれば、耐熱性菌を死滅させて、風味異常を防止することができる。
【0019】
しかしながら、この場合には、発酵後の発酵乳の組織が著しく軟弱になるという問題が残されていた。そこで、良好な組織を得るために、ゼラチン、寒天等のゲル化剤を添加する方法が考えられたが、この場合においてもゲル化剤の過剰使用により乳本来の味が損なわれる等の問題がさらに残されていた。
【0020】
また、十分に耐熱性菌を死滅させるために、120℃の温度条件で加熱処理時間を長くすると、条件によっては加熱臭や過加熱による風味不良が生じるようになり、場合によっては発酵乳製品としての価値が低下してしまうという問題も生じる。
【0021】
換言すれば、長時間発酵は、アフターアシディフィケーションを効果的に抑制できるというメリットや発育に長時間を必要とする有用菌(プロバイオティクス)の使用が可能となるにもかかわらず、耐熱性菌による風味異常を防止するために超高温瞬間殺菌法による殺菌を使用せざるを得ず、その結果、組織が良好であることが必要とされる固形状発酵乳や糊状発酵乳には適用することができず、仮に適用したとしても、ゼラチンや寒天等のゲル化剤を使用する必要があり、良好な風味と両立させることが困難であった。このため、長時間発酵は主として組織が軟弱な液状発酵乳等に適用されていた。
【0022】
したがって、固形状発酵乳や糊状発酵乳など発酵乳の形状の分類に左右されずに適用することが可能であり、長時間発酵による発酵乳の製造に適した耐熱性菌等を死滅させることが可能な殺菌方法が望まれていた。
【0023】
一方、短時間発酵乳においては、前記のように、殺菌後の発酵乳原料に耐熱性菌が生残していても致命的な問題とはならないが、工程管理の上からは、例えば、耐熱性菌が減少するほど、発酵工程へ移行させるまでの時間が長くてもよくなるために、管理がしやすく作業負担を軽減できるというメリットも有している。つまり、短時間発酵乳においても、殺菌後の発酵乳の耐熱性菌を可及的に減少させたいというニーズは存在していた。
【0024】
本発明者らは長時間発酵による固形状発酵乳や糊状発酵乳を実用化させるべく鋭意研究を行った結果、発酵乳原料の殺菌の工程において、2段階の異なる条件で加熱処理する工程を組合せることによって、発酵乳原料中の耐熱性菌を死滅させることが可能となり、長時間発酵によっても風味が損なわれずにかつ良好な組織を維持したまま固形状発酵乳や糊状発酵乳を特段のゲル化剤や増粘剤等を用いずとも製造できることを見出した。また、この殺菌法の改善によって、短時間発酵や液状発酵乳等の製造における発酵乳原料の工程管理の作業負担を軽減したり、加熱臭や過加熱による風味不良を防止できるという効果を有することも見出し、本発明を完成した。
【0025】
本発明の第一の目的は、長時間発酵による風味のよい固形状発酵乳や糊状発酵乳を実用化させ得るとともに、短時間発酵や液状発酵乳等の製造に適応した場合、発酵乳原料の工程管理の作業負担を軽減でき、風味不良を防止できるという利点を有する発酵乳原料の殺菌方法を提供することである。
【0026】
本発明の第二の目的は、長時間発酵による風味のよい固形状発酵乳や糊状発酵乳を実用化させ得るとともに、短時間発酵や液状発酵乳等の製造に適応した場合、発酵乳原料の工程管理の作業負担を軽減でき、風味不良を防止できる発酵乳の製造方法を提供することである。
【0027】
本発明の第三の目的は、第二の目的で提供された製造方法により製造した発酵乳を提供することである。
【0028】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決する本発明の第一の発明は、90℃以上100℃以下の所定温度まで昇温して5分以上保持する第1の加熱処理を行い、次いで110℃以上115℃以下の所定温度まで昇温して2秒以上15秒以下保持する第2の加熱処理を行い、冷却することを特徴とする発酵乳原料の殺菌方法であって、第1の加熱処理に続けて第2の加熱処理を行うことを望ましい態様とする。
【0029】
前記課題を解決する本発明の第二の発明は、発酵乳原料を調製し、前記第一の発明の発酵乳原料の殺菌方法で殺菌し、乳酸菌スターターを添加し、所定の発酵温度で保持して発酵することを特徴とする発酵乳の製造方法であり、発酵が長時間発酵であることを望ましい態様としている。
【0030】
前記課題を解決する本発明の第三の発明は、前記第二の発明の発酵乳の製造方法により製造した発酵乳であり、発酵乳が固形状発酵乳又は糊状発酵乳であることを望ましい態様としている。
【0031】
【発明の実施の形態】
次に、本発明について詳記するが、本明細書において百分率は特に断りのない限り重量による表示である。
【0032】
まず、本発明における第一の発明である発酵乳原料の殺菌方法について説明する。
本発明の殺菌方法は、少なくとも第1の加熱処理と第2の加熱処理との2段階の条件で加熱処理を行うことを特徴としている。
【0033】
すなわち、第1の加熱処理は、発酵乳原料の熱変性を目的として、90℃以上100℃以下の所定温度まで昇温して5分以上保持して加熱処理を行う。加熱処理時間は、5分未満では熱履歴が不足して発酵乳原料の熱変性が十分に行えないことから、5分以上の時間で適宜設定することが可能である。尚、その中でも特に95℃で5分以上加熱処理することが望ましい。
【0034】
次いで、第2の加熱処理を、芽胞菌等の耐熱性菌を殺菌することを目的として、110℃以上115℃以下の所定温度まで昇温して2秒以上15秒以下保持して加熱処理を行う。
【0035】
第1の加熱と第2の加熱の間に、発酵乳原料を冷却する工程を加えることも可能であるが、冷却せずに連続的に加熱処理することが望ましい。尚、発酵乳原料の殺菌工程の前後に、熱履歴に大きな影響を及ぼさない程度の別の目的による加熱処理を適宜追加することは差し支えない。
【0036】
前記条件に基づいた加熱処理を行うためには、プレート式殺菌機、チューブラー式殺菌機などを使用することが望ましい。
【0037】
本発明において加熱処理の条件は、最終的に得られる発酵乳の食感や、耐熱性菌の生残リスクに影響を与えるので、当該条件に基づいた加熱処理による熱履歴を保つことが重要である。
【0038】
次に本発明における第二の発明である発酵乳の製造方法について説明する。
本発明の発酵乳に使用される原料は、発酵乳の製造において通常用いられているものであればよく、例えば、牛乳、馬乳、山羊乳、羊乳などの生乳、脱脂乳、脱脂粉乳や全脂粉乳を溶解した還元乳、乳蛋白質、乳清蛋白質等が挙げられる。また、必要に応じてバターやクリーム等の脂肪分を含有する原料を用いることもできる。
【0039】
さらに、前記発酵乳原料にはその他の食品素材、すなわち、各種糖質や乳化剤、増粘剤、甘味料、酸味料、果汁等、香料等を配合してもよい。具体的には、ショ糖、果糖、ブドウ糖、デキストリン、還元麦芽糖等の糖類;ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、ラクチトール、還元水飴、還元麦芽糖水飴等の糖アルコール;オレンジ果汁、レモン果汁、リンゴ果汁、ストロベリー果汁、ブルーベリー果汁等の果汁類;ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、レシチン等の乳化剤;ペクチン、寒天、ゼラチン、カラギーナン、グアーガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム等の増粘(安定)剤等が挙げられる。
【0040】
次いで、発酵乳原料を第一の発明の発酵乳原料の殺菌方法に従って殺菌する。加熱殺菌後、常法に従って、発酵乳原料を冷却し、乳酸菌スターターを添加した後、適当な容器に充填し、所定の温度で保持して発酵させる。発酵後、発酵を終了させるために常法のとおり冷却し、固形状の静置型発酵乳にすることが可能である。
【0041】
尚、本発明の発酵乳の製造法において、前記の発酵乳原料は、55〜70℃で10〜25MPaの均質圧で均質化を行うことができる。この均質化の処理は第1の加熱処理の途中の段階、又は第2の加熱処理の後等、製品に応じて適宜選択することが可能である。本発明において、均質圧条件は最終的に得られる発酵乳の組織に影響を与えることが考えられるので、良好な組織を得るためには、前記均質化の条件を満たす均質化処理を行うことが好ましい。
【0042】
本発明においては発酵は、長時間発酵であることが好ましい。この場合、発酵に使用する菌としては、ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)やストレプトコッカス・クレモリス(Streptococcus cremoris)等の酸生成の少ない菌種を採用することが好ましく、またpHが4.8に到達した後も適宜発酵を続け、所望のpHに調整することができる。このような発酵は、16〜24時間行うことが好ましい。
【0043】
更に、本発明は、長時間発酵に適するだけでなく、従来の例えば3〜7時間で発酵が完了する通常の短時間発酵にも適することは言うまでもない。この場合、本発明の殺菌の工程によって耐熱性菌が死滅しているため、発酵に移行させるまでの時間が長くなっても問題が起きにくい。したがって、工程管理の面でゆとりができ、長時間発酵又は短時間発酵のいずれの場合にも利点が大きい。
【0044】
また、本発明によれば、発酵乳のカードを1.0MPa以下の均質圧で破砕するなどして糊状の攪拌型発酵乳を製造することも可能であり、該攪拌型発酵乳に、例えばチョコレートやフルーツソース、果肉などを混合して、フレーバード発酵乳やフルーツ入り発酵乳などを製造することも可能である。
【0045】
また、前記UHT殺菌法に比して、最高でも115℃という温度での加熱処理で済むために、加熱臭や過加熱による風味不良を効果的に防止できる利点がある。
【0046】
次に試験例を示して本発明を詳細に説明する。
〔試験例1〕
本試験は、発酵乳の殺菌における加熱処理温度の違いによる耐熱性菌数の影響を検討するために行った。
(1)試料の調製及び試験方法
後記する実施例1と同様の組成の発酵乳原料を使用し、次の点を除き実施例1と同様の殺菌を行った。すなわち、該発酵乳原料1ml当たり耐熱性菌〔バチルス・ズブチリス:Bacillus subtilis(ATCC6633)〕が10個含まれるように添加し、ミニプレート熱交換器(パワーポイント社製)を使用して、第1の加熱処理を85℃、90℃、95℃、100℃、105℃の各温度条件でそれぞれ10分間保持して行った後、次いで第2の加熱処理を105℃、110℃、115℃、120℃、加熱無し(即ち、第2の加熱処理を行わない。)、の各温度条件でそれぞれ2秒間保持して行った。加熱後、冷却した各発酵乳原料を無菌的に100mlサンプリングし、37℃で5時間保温して増菌した後、サンプル1mlを標準寒天培地上に塗布して培養し、発酵乳原料中の耐熱性菌数を測定した。
【0047】
(2)試験結果
本試験の結果は表1に示すとおりである。表1は、各温度条件で保持加熱したときの耐熱性菌数を示す。その結果、表1から明らかなとおり、第1の加熱処理が85℃以下、第2の加熱処理が105℃以下の条件では、熱履歴が不足し、耐熱性菌を死滅させることはできないことが判明した。
【0048】
したがって、第1の加熱処理を90℃以上の温度条件で行い、第2の加熱処理を110℃以上の温度条件で行ったときに、耐熱性菌は完全に死滅することが判明した。
【0049】
【表1】
【0050】
〔試験例2〕
本試験は、発酵乳の殺菌における加熱処理温度の違いによる発酵乳の粘度への影響を検討するために行った。
(1)試料の調製及び試験方法
後記する実施例1と同様の組成の発酵乳原料を使用し、試験例1と同様の加熱処理を行った。加熱後、38℃まで冷却した後、各発酵乳原料10kgに対してストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)からなるヨーグルトスターター(ハンセン社製)を60g添加して均一に混合した。これを37℃で24時間発酵させた後、氷水中で攪拌しながら15℃まで速やかに冷却して発酵を終了させた。発酵乳をホモゲナイザー(三丸機械社製)を使用して1.0MPa以下の圧力で均質化し、紙カップに充填して糊状発酵乳を調製し、10℃で1日間放置した。その後、B型粘度計(東京計器社製)を使用し、4番ローターを用いて、10℃において60回転/分の条件で各試料毎に5回測定して平均値を算出した。
【0051】
(2)試験結果
本試験の結果は表2に示すとおりである。表2は、発酵乳の粘度を示す。その結果、発酵乳の食感に適する粘度3000cp以上を示す加熱処理条件は、第1の加熱処理が85℃で、第2の加熱処理が105℃以上110℃以下の温度条件で行った場合、及び第1の加熱処理が90℃以上100℃以下で、第2の加熱処理が105℃以上115℃以下の温度条件で行った場合であり、これらの温度条件で加熱処理を行い発酵乳を調製したときに、良好な組織を有する発酵乳が得られることが判明した。
【0052】
尚、試験例1の結果(表1)と試験例2の結果(表2)の総合評価を表3に示す。表3の中で、表1において耐熱性細菌を死滅させ、かつ表2において粘度が3000cp以上である温度条件を◎で表し、一方の条件をクリアしたものを○で、いずれの条件をもクリアしなかったものを×でそれぞれ表す。
【0053】
その結果、耐熱性菌が死滅するとともに、安全でかつ良好な組織を有する発酵乳が得られる加熱処理の温度条件は、第1の加熱処理が90℃以上100℃以下、かつ第2の加熱処理が110℃以上115℃以下の温度条件(表3中の◎で表された範囲)であることが明らかとなった。
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】
〔試験例3〕
本発明は、長時間発酵により製造した糊状発酵乳の風味を確認するために行った。
(1)試料の調製
後記する実施例1と同様の組成の発酵乳原料を使用し、試験例2と同様の加熱処理及び発酵を行って糊状発酵乳の試料を調製した。
【0057】
(2)試験方法
20歳から40歳までの男女20人からなる風味パネルにより次の評価方法によって各試料の官能的試験を行った。
即ち、各試料を
風味不良 :0点
風味やや不良:1点
風味やや良 :2点
風味良 :3点
の4段階に評価し、各試料の評価点を平均値を算出して、0.5点未満を不良、0.5点以上1.5点未満をやや不良、1.5点以上2.5点未満をやや良、2.5点以上を良として判定した。
【0058】
(3)試験結果
本試験の結果は表4に示すとおりである。表4は官能試験の結果を示す。表4から明らかなとおり、第2の加熱処理を行わないことを意味する第2加熱における加熱無しでは、発酵乳原料中に残存する芽胞菌によって、長時間発酵中に発酵乳の異常発酵が起こり、風味不良が生じていた。また、第2の加熱処理の温度を105℃で行った場合、芽胞菌の死滅は不十分であったため、若干の異常発酵があり、発酵乳の風味はやや不良であった。第2の加熱処理の温度を110℃又は115℃で行った場合は、発酵乳の風味は概ね良好であった。さらに、第2の加熱処理の温度を120℃で行った場合は、芽胞菌による異常発酵は生じなかったが、加熱臭や過加熱の影響により、風味は不良であった。
【0059】
【表4】
【0060】
〔試験例4〕
本試験は、発酵乳製造における第2の加熱処理の時間の違いによる耐熱性菌数の影響を検討するために行った。
(1)試料の調製及び試験方法
後記する実施例1と同様の組成の発酵乳原料を使用し、次の点を除き実施例1と同様の殺菌を行った。即ち、該発酵乳原料1ml当たり耐熱性菌〔バチルス・ズブチリス:Bacillus subtilis(ATCC6633)〕が10個含まれるように添加し、ミニプレート熱交換器(パワーポイント社製)を使用して、第1の加熱処理を90℃で10分間行い、次いで第2の加熱処理を110℃及び115℃の各温度で、0秒、2秒、5秒、10秒、15秒、及び30秒の各時間でそれぞれ行い、試験例1と同様の方法で各試料の耐熱性菌の数を測定した。
【0061】
(2)試験結果
本試験の結果は表5に示すとおりである。表5は、110℃及び115℃で各時間で第2の加熱処理を行ったときの耐熱性菌数を示す。その結果、表5から明らかなとおり、第2の加熱処理において110℃及び115℃の温度条件で、耐熱性菌を死滅させるには少なくとも2秒以上加熱することが必要であることが確認された。
【0062】
【表5】
【0063】
〔試験例5〕
本試験は、発酵乳製造における第2の加熱処理の時間の違いによる発酵乳の粘度への影響を検討するために行った。
(1)試料の調製及び試験方法
後記する実施例1と同様の組成の発酵乳原料を使用し、試験例4と同様の加熱処理を行った。加熱後、38℃に冷却した後、試験例2と同様の方法でヨーグルトスターターを添加して発酵させた。冷却後、試験例2と同様の方法で発酵乳の粘度を測定した。
【0064】
(2)試験結果
本試験の結果は表6に示すとおりである。表6は、発酵乳の粘度を示す。その結果、表6から明らかなとおり、第2の加熱処理においては30秒以上加熱すると発酵乳の粘度は低下することが確認された。
【0065】
尚、試験例4の結果(表5)と試験例5の結果(表6)の総合評価を表7に示す。尚、表7の結果は表3と同様の評価方法に基づいて評価したものである。その結果、耐熱性菌が死滅するとともに、安全でかつ良好な組織を有する本発明の発酵乳が得られるためには、◎で表された第2の加熱処理の時間が2秒以上15秒以下の時間であることが判明した。
【0066】
【表6】
【0067】
【表7】
【0068】
〔試験例6〕
本試験は、発酵乳製造における第2の加熱処理の時間の違いによる発酵乳の風味を確認するために行った。
(1)試料の調製
後記する実施例1と同様の組成の発酵乳原料を使用し、試験例5と同様の方法で加熱処理及び発酵を行って糊状発酵乳の試料を調製した。
【0069】
(2)試験方法
試験例3と同様の方法で風味パネルにより官能試験を行った。
【0070】
(3)試験結果
本試験の結果は表8に示すとおりである。表8は官能試験の結果を示す。表8から明らかなとおり、第2の加熱処理を行わないことを意味する加熱時間0秒では、発酵乳原料に残存する芽胞菌により、長時間発酵中に異常発酵が起こり、風味不良が生じていた。また、第2の加熱処理の温度を110℃又は115℃で、加熱時間を2〜15秒間行った場合、発酵乳の風味は良好であった。さらに、第2の加熱処理の時間を30秒以上行った場合、芽胞菌による異常発酵は生じなかったが、加熱臭や過加熱の影響により、風味はやや不良であった。
【0071】
【表8】
【0072】
次に実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0073】
【実施例】
〔実施例1〕
市販の脱脂粉乳(森永乳業社製)9.6kg、45%クリーム(森永乳業社製)6.6kg、WPI(乳清蛋白質分離物:ミライ社製)0.7kg、砂糖(三井製糖社製)6kg、及び水76.5kgを均一に混合し溶解して発酵乳原料を調製し、70℃に加温してホモゲナイザー(三丸機械社製)を使用して15MPaの圧力で均質化した。次いでミニプレート熱交換器(パワーポイント社製)を使用して、第1の加熱処理を95℃で5分間行い、第2の加熱処理を110℃で2秒間行った後、38℃に冷却し、ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)からなるヨーグルトスターター(ハンセン社製)を0.6kg添加して均一に混合した。これを37℃で24時間発酵させた後、氷水中で攪拌しながら15℃まで速やかに冷却して発酵を終了させた。冷却後の発酵乳をホモゲナイザーを使用して1.0MPa以下の圧力で均質化し、紙カップに充填して糊状発酵乳を製造した。この発酵乳は、芽胞菌等の耐熱性菌は一切検出されず、食するのに好適な4200cpの粘度を示し、微細かつクリーミーな組織を有していた。
【0074】
〔実施例2〕
市販の脱脂粉乳(森永乳業社製)9.9kg、無塩バター(森永乳業社製)3.5kg、砂糖(三井製糖社製)6kg、及び水80kgを均一に混合し溶解して発酵乳原料を調製し、70℃に加温してホモゲナイザー(三丸機械社製)を使用して15MPaの圧力で均質化した。次いでミニプレート熱交換器(パワーポイント社製)を使用して、第1の加熱処理を95℃で10分間行い、第2の加熱処理を115℃で2秒間行った後、38℃に冷却し、ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)からなるヨーグルトスターター(ハンセン社製)を0.6kg添加して均一に混合した。これを紙カップに充填し、37℃で24時間発酵させた後、5℃の冷蔵庫で冷却して発酵を終了させて固形状発酵乳を製造した。この発酵乳は、芽胞菌等の耐熱性菌は一切検出されず、食するのに好適な、なめらかな組織を有していた。
【0075】
〔実施例3〕
市販の脱脂粉乳(森永乳業社製)9.6kg、45%クリーム(森永乳業社製)6.6kg、WPI(乳清蛋白質分離物:ミライ社製)0.7kg、砂糖(三井製糖社製)6kg、及び水76.5kgを均一に混合し溶解して発酵乳原料を調製し、70℃に加温してホモゲナイザー(三丸機械社製)を使用して15MPaの圧力で均質化した。次いで、ミニプレート熱交換器(パワーポイント社製)を使用して、第1の加熱処理を95℃で5分間行い、第2の加熱処理を110℃で2秒間行った後、38℃に冷却し、ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)からなるヨーグルトスターター(ハンセン社製)を0.6kg添加して均一に混合した。これを37℃で5時間発酵させた後、氷水中で攪拌しながら15℃まで速やかに冷却して発酵を終了させた。冷却後の発酵乳をホモゲナイザーを使用して1.0MPa以下の圧力で均質化し、紙カップに充填して糊状発酵乳を製造した。この発酵乳は、芽胞菌等の耐熱性菌は一切検出されず、食するのに好適な4000cpの粘度を示し、微細かつクリーミーな組織を有していた。
【0076】
【発明の効果】
以上記載したとおり、本発明は殺菌の工程において2段階の異なる条件による加熱処理を組合せたことを特徴とする発酵乳原料の殺菌方法、該発酵乳原料の殺菌方法を用いた発酵乳の製造方法、及び発酵乳に関するものであり、本発明により奏される効果は次のとおりである。
(1)芽胞菌等の耐熱性菌を確実に死滅させた発酵乳原料を調製することが可能である。
(2)長時間発酵であるにもかかわらず、風味及び組織が良好な発酵乳を製造することが可能である。
(3)長時間発酵又は短時間発酵のいずれであっても、発酵乳原料の工程管理の作業負担を軽減でき、また、加熱臭や過加熱による風味不良を防止できる。
(4)工業規模において、簡便に応用することができ、安価で発酵乳を製造することが可能である。
Claims (6)
- 90℃以上100℃以下の所定温度まで昇温して5分以上保持する第1の加熱処理を行い、次いで110℃以上115℃以下の所定温度まで昇温して2秒以上15秒以下保持する第2の加熱処理を行い、冷却することを特徴とする発酵乳原料の殺菌方法。
- 第1の加熱処理に続けて第2の加熱処理を行う請求項1に記載の発酵乳原料の殺菌方法。
- 発酵乳原料を調製し、請求項1又は請求項2に記載の発酵乳の殺菌方法によって殺菌し、乳酸菌スターターを添加し、所定の発酵温度で保持して発酵することを特徴とする発酵乳の製造方法。
- 発酵が長時間発酵である請求項3に記載の発酵乳の製造方法。
- 請求項3又は請求項4に記載の製造方法により製造した発酵乳。
- 発酵乳が固形状発酵乳又は糊状発酵乳である請求項5に記載の発酵乳。
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