JP3745739B2 - 均一な整形煎餅の製造方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
この発明は、煎餅用生地を焼成後、脆く固化した煎餅の中央2分割又は3分割にし、これに味付けして整形煎餅とする、均一な整形煎餅の製造方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば特開昭53−81678号公報に見られるように、煎餅等の平焼菓子の成形を鉤形切断刃を用いて行う装置が知られている。この形式の切断刃による成形は、自動焼菓子機に導入される未硬化の平焼菓子に対し十字状の鉤形切断刃を押圧して、丸形平焼菓子を十字状に切断するものである。
【0003】
また、特許第2949496号の明細書には煎餅の連続分割装置が記載されており、この発明において分割される前の不整形煎餅は、煎餅生地を焼成後又は焼成味付け後、整形移送中の煎餅の表面中央部に集中的衝撃力を付与し、これにより不整形に分割し、その後味付けして不整形煎餅とするものである。
【0004】
上記従来公知の煎餅製造方法又は装置にあって、前者においては十字状の鉤形切断刃を用いて成形するために必要な形状に成形することは可能であるけれども、切断される平焼菓子が未硬化ものであるために、その後の自動焼菓子機によって焼成味付けされる製品は従来周知の煎餅と同様、菓子の表面にのみ味付けされた煎餅となる。
【0005】
一方、後者にあっては、煎餅の表面に集中的衝撃力を付与して分割される未整形の煎餅は、既に焼成され又は焼成後に味付けされているため、その後、分割工程後に再度味付けをすることによって食味の良好な煎餅を得ることができるけれども、焼成後の煎餅の表面中央部に集中衝撃力を加えて自由に分割するものであるため、当然に不整形の煎餅が製造されるわけであり、均一性のない、一般的にいわゆる屑煎餅とされるものと類似のものとなり、一般製品としての販売に不向きのものとなっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、上記のごとき従来公知の煎餅製造方法の不具合を解決し、一度焼成された丸形又は角形の素焼煎餅(この明細書においては、一度焼成されただけの煎餅又は一度焼成された後に味付けされた煎餅であって、その後切断加工及び味付け加工がなされる煎餅を、素焼煎餅と呼ぶ。)を均一な形に切断することによって、一枚ずつ個別包装することができる商品価値の高い煎餅の製造方法及び装置を提供するものであって、このような方法及び装置によって製造された煎餅は切断後の味付けによって、その焼成後の切断部分から生地の内部にまで味が浸透し、美味な煎餅を得ることを目的としている。
また、一度焼成された丸形又は角形の煎餅生地、すなわち素焼煎餅は固化して脆いため、これを不均一に破砕することなく2分割又は3分割するための、適切な切断手段をも提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明の方法に係る構成は、大判の素焼煎餅を複数に切断分割し、これに味付けをした後、乾燥包装する形式の整形煎餅の製造方法であって、煎餅生地を焼成した後、または煎餅生地の焼成後に、味付け、乾燥した後、整列し、ロータリーカッターにより切断成形し、冷却、味付け、乾燥工程の後、個別に包装して製品とすることを特徴とするものであり、成形後の形状が半月状又は矩形状である。
また、整形煎餅の製造装置に係る発明は、大判の素焼煎餅を移送する第1段のコンベアベルトと、該コンベアベルト上で素焼煎餅を整列する複数のガイドと、上記第1段のコンベアベルトに続く位置で整列された素焼煎餅を夫々1個づつ受取り、該素焼煎餅の両側部を上下方向から挾圧しながら移動するために、上記各ガイド毎に設けられた上下に夫々一対の左右のベルト対からなる第2段のコンベアベルト群と、該上下に夫々一対の左右のベルト対間に各々設置されるロータリーカッターとを有し、該上下各一対のベルト間に挾圧された状態で大判の素焼煎餅がロータリーカッターに押圧されることにより切断整形され、その後味付け工程に移送されることを特徴とする整形煎餅の製造装置である。
そして、上記第2段のコンベアベルト群における各上方のベルトは、その駆動モーターと共に可動フレーム上に固定され、その挾圧力を調節自在とする構成である。
【0008】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の形態を図1〜図8によって説明する。
図1は、この発明に係る煎餅製造工程の流れを説明するフロー図であって、煎餅生地を最初に焼成する工程が含まれる。この場合に、煎餅生地の形状は円形も方形もあるが、次の段階において2分割又は3分割に切断することを前提とした大きさである。
【0009】
次に一度焼成された煎餅生地は整列されてそのまま切断機に送られる場合と、該切断前に、1回目の味付け、乾燥工程を施す場合とがあるが、この明細書で言う素焼煎餅とされる。続く切断工程はこの発明の重要な工程の1つであって、詳細は後述するけれども、一般的に上記大形の素焼煎餅を2個又はそれ以上に分割して、該分割された形状がそのままこの発明による煎餅の最終的商品形状に近いものとされるものである。
この様に切断された素焼煎餅は、本来の味付け工程である冷却、味付け、乾燥の各工程が施されると共に、通常の包装工程に従って個別包装されて製品として完成する。このため、矩形又は半月状の煎餅とすることができる。
【0010】
図2は、上記素焼煎餅を切断する工程の概略を模式的に示している。例えば第1段目のコンベア用ベルトV1域により、多数の素焼煎餅S1が矢印A方向に移送され、次の切断部コンベア用ベルトV2域に送られる。切断部コンベア用ベルトV2上にはガイドG1,G2が配置され、例えばコンベア用ベルトV1上の4列の素焼煎餅のうち両側2列づつの煎餅S1を、夫々対応する切断部位置に整列させながら移送するものである。
【0011】
しかしながら、該ガイドG1,G2の設置位置は必ずしも切断部コンベア用ベルトV2上である必要はない。このようにして切断部において例えば2分割された、この場合半月状の素焼煎餅S2,S2は、次のシューターSHによって、次工程である本来の味付け工程部に移送されるものである。なお、図中の符号C1,C2は、この発明に使用されるロータリーカッターを模式的に示しているが、必ずしも2個に限定されるものではない。
【0012】
図3は、上記図2における切断部に設置したロータリーカッターC1,C2を用い、円形の素焼煎餅S1又は方形の素焼煎餅S1を、夫々切断する様子を示している。すなわち、詳細は後述するけれども、例えばロータリーカッターC1に対して素焼煎餅S1を矢印B方向に押し当て、該ロータリーカッターC1はいわゆる回転鈎型のカッターであり、その鈎歯によって焼成後の脆い素焼煎餅を破損させることなく切断するものである。なお、図3における(A)は円形の素焼煎餅を、(B)は矩形の素焼煎餅を加工する場合を示している。
【0013】
図4〜図8は、この発明の整形煎餅の製造装置における、素焼煎餅の切断部を中心的に開示している。
先ず平面図である図4及び側面図である図5において、モーターM1により駆動されるコンベア用ベルトV1上には、上述のごとく多数の素焼煎餅S1〜S1が矢印A方向に搬送される。そして、この実施例にあっては合計4個のガイドG1〜G4が上記コンベア用ベルトV1の後方上に配置されているので、該多数の素焼煎餅S1〜S1はこれらいずれかのガイドにより順次整列され、後段の切断部分に移送される。各ガイドG1〜G4は、それぞれ一対のガイド板からなっており、その出口側開口の巾は図示しないガイド板の間隔調整手段によって、素焼煎餅S1の巾又は外径に合わせて調整される。
【0014】
図5に明らかなように、上記切断部にはコンベア用ベルトV2が設けられ、後に詳述するように上方の挾圧用ベルトV3と協働して、素焼煎餅S1をロータリーカッターCに供給する。そして、該切断部においてロータリーカッターCで切断成形された煎餅(S2、図3参照)は、シューターSH等により次工程に送給される。
【0015】
上記切断部の構造は図6〜図8により明確に示されている。
図6において、上下のコンベア用ベルトV2及び挾圧用ベルトV3はそれぞれプーリによって同期的に駆動されるが、これらの上方及び下方のベルトは図4及び図8に明らかなごとく、各ガイドの出口部に設けられた例えば4個のロータリーカッターC1〜C4の両側に一対ずつ設けられている。そして、各ガイドの出口部から一枚ずつ送り出された素焼煎餅S1の両側部を上下のベルトV2及びV3により、上下から挾圧しながら移動し、上記対応するロータリーカッターCに押圧する。
【0016】
上方の挾圧用ベルトV3(実際は後述するように各ロータリーカッターCに対して一対である)は、ベルト駆動用プーリであるP4,P5に巻き掛けられており、更にプーリP4の軸に設けられた他のプーリ(図示せず)は、上方に設けたプーリP7とタイミングV6によって連動されていて、モータM3によって駆動されるものである。
また、図5、図6に示すローラR1はコンベア用ベルトV2の張力を調整するテンションローラであり、該ローラR1は概略図示のごとく、その支持位置を上下に調節可能とされている。
【0017】
図7は、上記コンベア用ベルトV2とその駆動モータM2の関係及びロータリーカッターCとその駆動モータM4との関係を示している。図8をも参照すると特に明らかなように、駆動モータM2,M2及びM4,M4は略同一軸線上に配置されて固定フレームF1に固定設置されていて、モータM4,M4はそれぞれに対応するロータリーカッターC1,C2及びC3,C4の各回動軸とベルトV4,V4で連結され、モータM2,M2はそれぞれ対応するコンベア用ベルトV2,V2の駆動プーリにベルトV7,V7で連結されている。
【0018】
図8は、図6に示すこの発明の主要構成部分である素焼煎餅切断機構部分の出口正面を示している。図6及び図8から明らかなように、この実施例にあっては、素焼煎餅切断用ロータリーカッターC(例えば4個)を駆動するモータM4,M4と該素焼煎餅を移送するコンベア用ベルトV2,V2を駆動するモータM2,M2は、夫々別個のモータとして設けられている。
【0019】
図8において、固定フレームF1の上方に夫々スプリングSP(図6参照)を介して上下動自在に設けられた可動フレームF2〜F2には、各々モータM3〜M3が設けられており、これらの各モーターM3,M3と前述した各一対の挾圧用ベルトV3,V3とは、その駆動軸に設けられているプーリにタイミングベルトV6を巻回することにより連結されている。
従って、この実施例における素焼煎餅切断用ロータリーカッター(図6参照)は4個設けられており、その各々のロータリーカッターC1〜C4の両側に各一対のコンベア用ベルトV2,V2と挾圧用ベルトV3,V3とが配置されることとなる。このため、素焼煎餅S1の両側部を夫々上下のベルトV2,V3によって確実に挾持した状態でロータリーカッターC1〜C4に押圧移送され、硬くて脆い素焼煎餅を正確に切断することができる。
【0020】
固定フレームF1と可動フレームF2との関係は図6及び図8において概略記載されているけれども、各ガイドG1〜G4の夫々の出口部分には、夫々固定フレームF1の前後方向に例えば一対植設された支柱に対して、ブッシュを移動可能に嵌挿すると共に、該ブッシュによって可動フレームF2を支持する構造とすることができる。そして、該可動フレームF2は上記支柱に対して夫々スプリングSPによって支持され、駆動モータM3〜M3及び挾圧用ベルトV3,V3等は全て該可動フレームF2に固定支持されるものである。
【0021】
ここで重要なことは、例えば上記スプリングSPの上端位置をナット等で移動調節することにより、上記挾圧用ベルトV3の挾圧力を調整できることである。
従って、加工される素焼煎餅の厚さ等に応じて該スプリングSPの上端位置である支持位置を自在に調節できると共に、素焼煎餅の厚さのバラツキ等による挾圧力の変動も吸収することができる。
【0022】
【発明の効果】
この発明の整形煎餅の製造方法によれば、焼成後の素焼煎餅を切断成形し、その後味付けを行うことにより煎餅内部にまで味付けでき、美味な整形煎餅が得られることはもちろんのこと、焼成後の脆くて硬い素焼煎餅を確実に整形することができ、商品価値の極めて高い整形煎餅を得ることができた。
また、この発明の整形煎餅製造装置によると、脆くて硬い素焼煎餅を確実に切断整形できると共に、種々の厚さ及び大きさの素焼煎餅に対応でき、商品価値の高い多種類の整形煎餅を加工整形することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る煎餅製造工程のフロー図である。
【図2】素焼煎餅の切断工程を示す模式図である。
【図3】素焼煎餅の切断状態説明図である。
【図4】素焼煎餅切断装置の平面図である。
【図5】素焼煎餅切断装置の側面図である。
【図6】切断装置部分の概略側面図である。
【図7】切断部分の移送ベルト及びロータリーカッターの駆動説明図である。
【図8】図4に示す部分の出口側正面図である。
【符号の説明】
C,C1,C2 ロータリーカッター
F1 固定フレーム
F2 可動フレーム
G1,G2,G3,G4 ガイド
M1,M2,M3,M4 モーター
P4,P5,P7 プーリ
R1 ベルト駆動用ローラ
S1,S2 素焼煎餅
SH シューター
SP スプリング
V1,V2 コンベア用ベルト
V3 挾圧用ベルト
V6 タイミングベルト
Claims (5)
- 大判の素焼煎餅を複数に切断分割し、これに味付けをした後、乾燥包装する形式の整形煎餅の製造方法であって、
煎餅生地を焼成した後、または煎餅生地の焼成後に、味付け、乾燥した後、整列し、ロータリーカッターにより切断成形し、冷却、味付け、乾燥工程の後、個別に包装して製品とすることを特徴とする整形煎餅の製造方法。 - 上記成形後の形状が半月状である請求項1記載の整形煎餅の製造方法。
- 上記成形後の形状が矩形状である請求項1記載の整形煎餅の製造方法。
- 大判の素焼煎餅を移送する第1段のコンベアベルトと、
該コンベアベルト上で素焼煎餅を整列する複数のガイドと、
上記第1段のコンベアベルトに続く位置で整列された素焼煎餅を夫々1個づつ受取り、該素焼煎餅の両側部を上下方向から挾圧しながら移動するために、上記各ガイド毎に設けられた上下に夫々一対の左右のベルト対からなる第2段のコンベアベルト群と、
該上下に夫々一対の左右のベルト対間に各々設置されるロータリーカッターとを有し、
該上下各一対のベルト間に挾圧された状態で大判の素焼煎餅がロータリーカッターに押圧されることにより切断整形され、その後味付け工程に移送されることを特徴とする整形煎餅の製造装置。 - 上記第2段のコンベアベルト群における各上方のベルトは、その駆動モーターと共に可動フレーム上に固定され、その挾圧力を調節自在であることを特徴とする請求項4記載の整形煎餅の製造装置。
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