JP3745584B2 - 工作機械における主軸のシール構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主軸にワークや工作工具を取付けて回転駆動する工作機械における主軸のシール構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、旋盤等、ワークや工作工具を取付けて回転駆動するための主軸を有する工作機械において、主軸は、軸保持部材に対して軸受を介して回転可能に支持され、伝達機構等を介してモータ等の駆動源に接続されている。
【0003】
このような構造では、加工による粉塵やクーラント等の異物が主軸と軸保持部材との隙間を通じて機械内部に侵入する虞れがある。そのため、この隙間をシールして異物の侵入を防ぐことにより、機械の正常動作や耐久性を確保する必要がある。
【0004】
かかるシール構造の一つとして、本願出願人は、前後軸受部材を介して軸保持部材の中空部分に回転可能に支持された主軸の略中央部分(前後軸受部材の中間部分)に細溝等の気体の圧送部を設け、主軸が回転駆動されると、これに伴い中空部分の空気を主軸に沿って軸端部側に圧送して上記隙間から吐出させ、この気体圧により上記隙間への異物の侵入を防止するようにしたシール構造を開発し、提案している(特開平11−277362号公報参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記シール構造は、気体圧により異物の侵入を防止する非接触のシール構造であるため、接触式のシール構造のような焼き付きの心配がなく、しかも、特別なポンプ等を用いることなく気体を圧送することができるという特徴がある。しかし、一方で、次のような問題が残されている。
【0006】
すなわち、工作機械では、主軸の前端部にワークや工作工具が取付けられて作業が行われるため、主軸の前端側からクーラント等の異物が侵入し易いが、従来の構造では、主軸の中間部分に形成された圧送部から前端側の隙間までシール用の気体を圧送するものであるため、気体圧の発生源である圧送部から異物の侵入口である隙間までの距離が長く、その間での圧損が大きい。そのため、異物の侵入を阻止するのに十分な噴圧を確保するのが難しいという問題がある。
【0007】
また、従来構造では、圧送部から軸受部材内部の空間を通って上記隙間へ気体を圧送するため、軸受部分にオイルミストを吹き付けて潤滑を行う場合は特に問題とならないが、軸受部分をグリース潤滑する場合には、上記気体の通過によってグリースが劣化し易いという問題もある。
【0008】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、主軸前端側の隙間からのクーラント等の異物の侵入をより確実に防止すること、また軸受部材を潤滑するためのグリースの劣化を避けながらシールができるようにすることを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明のシール構造は、前端部にワーク又は工作工具の取付部を具備した主軸が軸受部材を介して軸保持部材に回転可能に支持され、主軸又はその前端部に固定された部材と軸保持部材の前端部との間に隙間が存在する工作機械における主軸のシール構造において、上記主軸の前端部であって、かつ上記軸受部材のうち最も前側の軸受部材よりも前端側の部分に設けられ、該主軸の回転に伴って上記隙間に軸保持部材の内側から気体を圧送する圧送部と、上記主軸のうち最も前側の上記軸受部材よりも後端側の部分に設けられて、該主軸の回転に伴って気体を圧送する副圧送部と、上記軸保持部材に設けられて、上記副圧送部により圧送される気体を上記軸受部材を迂回して上記圧送部の上流側に案内するバイパス通路とが設けられているものである(請求項1)。
【0010】
この構造によると、作業が行われる主軸前端部の隙間近傍に圧送部が設けられているため、主軸の中間部にのみ圧送部を備える従来構造に比べ、上記隙間から吐出される気体の噴圧を高めることができる。特に、副圧送部で事前に気体が加圧されるので、上記圧送部での圧送作用が補強され、上記隙間からの噴圧が効果的に高められる。しかも、副圧送部で圧送される気体が軸受部材内部の空間を通ることがなく、そのため軸受部材をグリース潤滑する場合でも、グリースの劣化を防止することができる。
【0011】
この場合、バイパス通路は、上記軸受部材の近傍を通っているのが好ましい(請求項2)。
【0012】
この構造によれば、副圧送部で圧送される気体により軸受部材に対する冷却作用が発揮され、軸受部材の焼き付き防止等の効果が得られる。
【0013】
また、請求項1又は2記載のシール構造においては、主軸に、該主軸の回転駆動に伴い主軸の後端部に気体を圧送する後方向圧送部を設けるようにしてもよい(請求項3)。
【0014】
この構造によれば、主軸の後端側に形成される軸保持部材と主軸等との隙間から気体が吐出され、その結果、主軸の後端側の隙間をその気体圧によりシールすることができる。
【0015】
なお、請求項1乃至3の何れかに記載のシール構造においては、主軸前端部の圧送部として、主軸に羽根車を固定するのが好ましい(請求項4)。
【0016】
この構造によれば、効率良く気体を圧送することができるため、効果的に上記隙間からの噴圧を高めることができる。
【0017】
この場合、主軸等と軸保持部材の前端部との隙間として、主軸の径方向内側から外側に向って延びる隙間を形成し、羽根車がその回転による遠心力で隙間に沿って径方向外側に気体を圧送するように構成するのが好ましい(請求項5)。
【0018】
この構造によると、仮に上記隙間に異物が侵入した場合でも、羽根車により異物が跳ね返されて外部に排出されることとなる。そのため、異物が隙間内に残存することがなく、実質的な異物の侵入を防止することができる。
【0019】
なお、請求項5記載のシール構造において、羽根車は、軸保持部材と協働して主軸の径方向内側から外側に向って延びる隙間を構成し、この隙間側の表面に、主軸を中心として径方向外側に延びる複数の羽根を備えた構成とすることができる(請求項6)。
【0020】
この構造によれば、羽根車が、上記隙間を構成する部材として兼用されるため、合理的な構成が達成される。この場合、羽根車は、主軸に固定されて軸保持部材を径方向外側から覆うカバーに形成されているのが望ましい(請求項7)。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0022】
図1及び図2は、本発明のシール構造が適用される内面研削盤の一例を示したものである。この内面研削盤1(以下、研削盤1と略す)は、ベッド6を備え、このベッド6上に砥石テーブル8及びテーブル台10が設置されている。
【0023】
砥石テーブル8は、砥石テーブル駆動モータ9によりベッド6上をX軸方向にスライド駆動されるようになっており、この砥石テーブル8上には、砥石軸3を保持するホイールヘッド7と、このホイールヘッド7の砥石軸3を回転駆動する砥石駆動モータ7aとが固定されている。上記砥石軸3はX軸方向に延び、その先端に砥石3aが固定されている。本発明のシール構造はこのホイールヘッド7に適用されており、その構造については後に詳述する。
【0024】
テーブル台10上には切込みテーブル2がY軸方向にスライド可能に設置され、切込みモータ5によってスライド駆動されるようになっている。切込みテーブル2上には、X軸方向に延びる軸を保持する軸ヘッド4と、その軸を回転駆動する軸駆動モータ4aとが固定され、上記軸の先端に、ワークWを保持するチャック4bが設けられている。
【0025】
従って、この研削盤1では、砥石軸3を回転駆動し、かつワークWを回転駆動しながら、ワークW内に砥石3aを挿入し、かつ切込みモータ5によりワークWをY軸方向に移動させてその内周面に砥石3aを押付けることによりワークWの内周面を研削できるようになっている。
【0026】
また、上記砥石3aの側方には、ドレス用ダイヤモンド11aを保持するドレス装置11が配置されている。このドレス装置11は、前記切込みテーブル2側に固定され、この切込みテーブル2の駆動により、砥石3aに対して進退できるようになっている。そして、砥石3aを回転駆動した状態で上記ドレス用ダイヤモンド11aに砥石3aの外周面を接触させることにより、砥石3aをドレス(目立て)できるようになっている。
【0027】
なお、同図中12は、カバーで、上記主軸ヘッド4やホイールヘッド7等はいずれもこのカバー12内に配置されており、主軸ヘッド4へのワークWの脱着は、カバー12に設けられた開閉カバー13を開くことにより行われるようになっている。このように研削盤1のほぼ全体がカバー12で覆われていることにより研削時に発生する粉塵等の外部飛散が防止されるようになっている。
【0028】
図3は、上記ホイールヘッド7の具体的な構成を断面図で示している。
【0029】
この図に示すように、ホイールヘッド7には、主軸15を支持するケーシング16が設けられ、これが砥石テーブル8上にボルトナットで固定されている。
【0030】
ケーシング16には、X軸方向(同図では左右方向)に貫通する中空部17が形成され、上記主軸15がこの中空部17に挿通されている。そして、主軸15の前後両端部分がそれぞれボールベアリング20a,20bを介して支持されることにより、主軸15がケーシング16に対して回転可能に保持されている。なお、当実施の形態においては、上記ケーシング16、後述する押え部材27及びカバー部材28等により主軸15の軸保持部材が構成されている。
【0031】
主軸15の前端部(同図では左側端部)には砥石軸3の取付部22が設けられている。この取付部22には、主軸15と同軸上にねじ孔22aが形成されており、このねじ孔22aに砥石軸3が螺合装着されることにより砥石軸3が主軸15に取付けられるようになっている。
【0032】
また、主軸15の前端部には、上記ベアリング20a側から順にスペーサ25および羽根車26(圧送部)が外嵌、固定され、上記ベアリング20aの内輪部がこれら羽根車26等により主軸15に固定されている。なお、上記ケーシング16の前端部(同図の左側端部)にはリング状の押え部材27が固定されており、ベアリング20aの外輪部がこの押え部材27によりケーシング16に固定されている。
【0033】
上記羽根車26は、図4及び図5に示すように、中心に上記主軸15とねじ結合するねじ孔26aを有した円盤状の部材で、上記押え部材27に対して向かい合わせに配置されている。
【0034】
上記羽根車26の外周縁部には、主軸15の後端(同図では右側)に向ってフランジ26bが突設されている。このフランジ26bは、図4に示すように上記押え部材27と、この押え部材27の外側に配設されて上記ケーシング16の前端部に外嵌固定される筒状のカバー部材28との間に介入している。これにより羽根車26と上記押え部材27及びカバー部材28との間に、主軸15側からその径方向外側に延び、さらに横U字状に延びて主軸15の前端側に向って開口(この部分を入口29aという)するラビリンス状の隙間29を形成している。つまり、このように羽根車26と押え部材27等との間の隙間29がラビリンス状に形成されることにより、切粉やクーラント等の異物が上記ケーシング16等の内部に侵入し難くなるように構成されている。
【0035】
上記羽根車26には、さらに押え部材27に対向する面に、その中心軸回りに複数の羽根26cが形成されている。これらの羽根26cは、主軸15の回転駆動(図5では時計回りの回転駆動)に伴い、上記隙間29の空気(気体)を遠心力により主軸15の径方向内側から外側に向って圧送するように構成されている。
【0036】
なお、上記押え部材27には、その内部に、上記隙間29に開口する通路27aが形成されており、この通路27aがケーシング16に形成される後記通路37に連通している。また、カバー部材28のうちホイールヘッド7の下部に相当する部分には、図4に示すように上記隙間29と外部とを連通する水抜き用の小穴28aが形成されており、隙間29内に溜まった水分がこの小穴28aを通じて流下するようになっている。
【0037】
一方、主軸15の後端部は、図3に示すようにケーシング16から大きく外側へ突出しており、この突出部分にプーリ24が装着されている。そして、このプーリ24と砥石駆動モータ7aのプーリ7bとにわたって平ベルト24a(図1及び図2に示す)が装着されており、上記砥石駆動モータ7aの駆動によりその回転力が主軸15に伝達されるようになっている。
【0038】
また、主軸15の後端部には、カラー31が挿入され、このカラー31が主軸15に装着されたボルト部材42により抜け止めされている。カラー31の前方には、ナット部材30が挿入され、これによりベアリング20bの内輪が主軸15に固定されている。そして、ケーシング16の後端面にリング部材32が固定されることにより、ナット部材30とケーシング16との隙間が外部から塞がれている。なお、図3中、符号34はスプリングで、ベアリング20b等を介して主軸15を上記プーリ24側に付勢するようになっている。
【0039】
また、上記主軸15において、両ベアリング20a,20bの中間部分には細軸部分が形成され、この細軸部分を挟んで前後両側に、主軸15の回転駆動に伴って中空部17内の空気を軸方向に圧送する二つの圧送部40,41(副圧送部)が形成されている。これら圧送部40(副圧送部),41(後方向圧送部)は、それぞれ主軸15に逆方向の螺旋状の溝40a,41aが形成されることにより構成されており、前側の圧送部40は、中空部17内の空気を主軸15の前端部に向って圧送するように、また、後側の圧送部41は、中空部17内の空気を主軸15の後端部に圧送するようにそれぞれ構成されている。なお、圧送部40,41の具体的な構造はこの例に限定されるものではなく、主軸15の回転に伴い気体を圧送できれば如何なる構造であってもよく、例えば、主軸15に対して
軸方向に延びる細溝を周方向に所定の間隔で平行に形成したものでもよい。
【0040】
また、上記ケーシング16には、主軸15の両圧送部40,41の間にケーシング16の内外を連通する通路36が形成されており、この通路36がホース39及びフィルター39aを介して上記カバー12の外部に連通している。これにより、上記両圧送部40,41により中空部17内の空気が圧送されると、これに伴ってカバー12の外部からケーシング16内に空気が導入されるように構成されている。
【0041】
さらに、ケーシング16には、上記通路36を挟んでその前後両側に、中空部17と平行に延びる通路37,38が形成されている。
【0042】
これら通路37,38のうち、前側の通路37は、中空部17の上記圧送部40の前端部分と上記押え部材27の通路27aとを連通するように形成されている。これにより圧送部40で圧送される空気を上記ベアリング20aを迂回して上記隙間29に導入するように構成されている。一方、通路37,38のうち、後側の通路38は、中空部17における上記圧送部41の後端部分と上記ナット部材30に対応する部分とを連通するように形成されている。これにより圧送部41で圧送される空気を上記ベアリング20bを迂回して、上記ナット部材30とケーシング16との隙間に導入し、さらに上記リング部材32とカラー31との隙間33から外部に吐出させるように構成されている。すなわち、これら通路37,38等により本発明のバイパス通路が構成されている。なお、通路37には、図4に示すように、カバー部材28の上記小穴28aに対応する小穴37aが形成されており、通路37内の水分が小穴37aを通じて流下し、さらに小穴28aを通じて外部に導出されるようになっている。なお、図示を省略するが、通路38にも同様に水抜き用の小穴が形成されている。
【0043】
次に、上記ホイールヘッド7の作用効果について説明する。
【0044】
以上のように構成されたホイールヘッド7において、研削作業時に主軸15が回転駆動されると、これに伴い中空部17内の空気が主軸15の圧送部40,41で前後両側に圧送され、図3中に矢印で示すように上記通路37,38を通じて上記隙間29,33に導入される。また、主軸15の前端部において、主軸15と一体に羽根車26が回転し、これにより上記隙間29内の空気がさらに図4中に矢印で示すように隙間29の入口29aに向けて圧送される。
【0045】
このように空気が圧送されると、主軸15の前端側では、隙間29の入口29aから空気が吐出し、この空気圧によりケーシング16内へのクーラントや粉塵等の異物の侵入が阻止されることとなる。一方、主軸15の後端側では、通路38を通じて上記隙間33から空気が吐出されることにより、その空気圧で同様にケーシング16内への異物の侵入が阻止されることとなる。つまり、主軸15の回転駆動により圧送される空気の圧力により主軸15がシールされることとなる。
【0046】
特に、研削作業が行われる主軸15の前端部側では、上述のように羽根車26により隙間29の入口近傍で空気が圧送されるため(すなわち、異物の侵入口近傍に空気の圧送部が設けられているため)、隙間29の入口29aから高圧で空気を吐出させることができる。しかも、隙間29が上述のように主軸15の径方向外側に延びる形状とされ、羽根車26の回転による遠心力で径方向内側から外側に向って空気を圧送するように構成されているので、仮に入口29aから異物が侵入した場合でも、該異物は、羽根車26により跳ね返されて確実に外部に排出される。従って、極めて高いシール性能が発揮されることとなる。
【0047】
また、上記圧送部40,41により圧送される空気が上述のように通路37,38を通じてベアリング20a,20bを迂回して上記隙間29,33に案内され、また、羽根車26による空気の圧送も、上述のようにベアリング20aの外側で行われるため、圧送される空気が直接ベアリング20a,20bの内部を通過することがない。そのため、ベアリング20a,20bをグリース潤滑する場合でも、グリースの劣化を効果的に防止することができ、その結果、ベアリング20a,20bの耐久性を向上させることができるという効果もある。
【0048】
さらに、主軸15の圧送部40,41で圧送される空気が、上述のようにベアリング20a,20bの近傍を通過するようにしているので、ベアリング20a,20bに対する冷却効果が発揮され、その結果、ベアリング20a,20bの焼き付き等が防止されるという効果もある。
【0049】
なお、上記ホイールヘッド7の主軸前端部分の構成としては、図3〜図5に示した構造以外に、図6〜図8に示すような構成を採用することもできる。以下、この例について説明する。
【0050】
この構成では、上記押え部材27として、図6に示すように前端側に溝45を有した筒状の押え部材27が設けられ、この溝45を前方から塞ぐ形でカバー部材28が設けられており、主軸15の上記圧送部40から圧送される空気の通路37と上記溝45の内部とを押え部材27に形成された通路27を介して連絡している。
【0051】
一方、羽根車26としては、図6及び図7に示すような複数の羽根26dを周囲に有した羽根車26が設けられ、同図に示すように、各羽根26dを押え部材27の上記溝45内部に配置した状態で上記主軸15に羽根車26が固定されている。そして、この羽根車26と押え部材27との間にラビリンス状の隙間46を形成している。なお、羽根車26の各羽根26dは、軸流羽根であって、主軸15の後端側から前端側(図6では右側から左側)に向って空気を圧送するように構成されている。
【0052】
すなわち、この構成では、主軸15の回転駆動に伴い圧送部40で圧送された空気が、図6中に矢印で示すように通路37を通じて隙間46に導入される。そして、ここで羽根車26の回転に伴いさらに主軸15に沿ってその前端側に圧送され、上記隙間46の入口46aから外部に吐出される。
【0053】
このような図6〜図8に示す構成においても、異物の侵入口である隙間46の入口近傍で空気を圧送するため、図3等に示した実施の形態と同様に、入口46aから高圧の空気を吐出させることができる。なお、この構成では、図6中に符号27bで示すように押え部材27に水抜き用の小穴が形成されている。
【0054】
以上は、本発明の実施の形態であってその具体的な構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、以下のような構成を採用することもできる。
【0055】
(1)主軸15の後端側(プーリ24側)においても、隙間33の近傍に上記羽根車26等の空気圧送用の構成を設けるようにしてもよい。このようにすれば、プーリ24側からの異物の侵入をより効果的に防止することが可能となる。
【0056】
(2)主軸15の後端側において、異物の侵入の虞れがない場合には、圧送部41等、主軸後端側に空気を圧送するための構成を省略するようにしてもよい。
【0057】
(3)羽根車26の具体的な構成は、上記実施の形態に示したものに限定されず、空気を効果的に圧送できれば如何なる構成であってもよい。但し、図3〜図4に示した羽根車26の構成によれば、上述のように遠心力で効果的に異物を跳ね返すことができるのでシール効果を高める上で有利であり、また、押え部材27と協働して隙間29を形成する隙間構成部材としての機能をも兼ね備えるので合理的な構造を達成できるとう利点がある。また、羽根車26が径方向外側から押え部材27を覆うように形成されている、すなわち軸保持部材を外側から覆うカバーとしての機能を兼ね備えているのでこの点でも合理的である。
【0058】
(4)主軸前端部における空気の圧送部の構成は、上記のように羽根車26を主軸15に設ける以外に、圧送部40,41と同様に、主軸15に螺旋状の溝等を形成して空気を圧送する構成としてもよい。但し、羽根車によれば空気を効率良く圧送することができるため、高い噴圧を得る上では羽根車を用いるのが望ましい。
【0059】
なお、上記実施の形態では、本発明のシール構造を内面研削盤1に適用した例について説明したが、本発明のシール構造は、内面研削盤1以外の工作機械の主軸のシール構造としても、勿論、適用可能である。
【0060】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の工作機械における主軸のシール構造は、主軸の前端部であって、かつ上記軸受部材のうち最も前側の軸受部材よりも前端側の部分に、この主軸の回転に伴って主軸(又はその前端部に固定された部材)と軸保持部材の前端部との間の隙間にその内側から気体を圧送する圧送部を設けるとともに、最も前側の上記軸受部材よりも後端側の部分に、主軸の回転駆動に伴い気体を圧送する副圧送部とを設け、この副圧送部により圧送される気体を、上記軸受部材を迂回するバイパス通路を通じて上記圧送部の上流側に案内するようにしているため、主軸の中間部分にのみ圧送部を備える従来構造に比べ、上記隙間からの気体の噴圧を効果的に高めることができる。そのため、主軸前端側の隙間からのクーラント等の異物の侵入をより確実に防止することができるという効果がある。しかも、気体が軸受部分内部を通ることがなくなり、軸受部材をグリース潤滑する場合でも該グリースの劣化を防止することができる。従って、軸受部材の耐久性向上に貢献することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかるシール構造が適用される内面研削盤を示す平面図である。
【図2】 上記内面研削盤を示す正面図である。
【図3】 上記内面研削盤におけるホイールヘッドの構造を示す断面図である。
【図4】 ホイールヘッドの主軸前端部分(砥石の取付部側)の構造を示す拡大断面図である。
【図5】 羽根車の構造を示す図4のA矢視図である。
【図6】 ホイールヘッドの主軸前端部分(砥石の取付部側)における構造の変形例を示す断面図である。
【図7】 羽根車の構造を示す図6のB矢視図である。
【図8】 羽根の形状を示す図7のC矢視図である。
【符号の説明】
1 内面研削盤
3 砥石軸
3a 砥石
7 ホイールヘッド
15 主軸
16 ケーシング(軸保持部材)
17 中空部
20a,20b ボールベアリング(軸受部材)
22 取付部
24 プーリ
26 羽根車(圧送部)
26b フランジ
26c 羽根
27 押え部材(軸保持部材)
28 カバー部材(軸保持部材)
29 隙間(軸保持部材と主軸との隙間)
29a 入口
Claims (7)
- 前端部にワーク又は工作工具の取付部を具備した主軸が軸受部材を介して軸保持部材に回転可能に支持され、主軸又はその前端部に固定された部材と軸保持部材の前端部との間に隙間が存在する工作機械における主軸のシール構造において、
上記主軸の前端部であって、かつ上記軸受部材のうち最も前側の軸受部材よりも前端側の部分に設けられ、該主軸の回転に伴って上記隙間に軸保持部材の内側から気体を圧送する圧送部と、上記主軸のうち最も前側の上記軸受部材よりも後端側の部分に設けられて、該主軸の回転に伴って気体を圧送する副圧送部と、上記軸保持部材に設けられて、上記副圧送部により圧送される気体を上記軸受部材を迂回して上記圧送部の上流側に案内するバイパス通路とが設けられていることを特徴とする工作機械における主軸のシール構造。 - 請求項1記載の工作機械における主軸のシール構造において、
上記バイパス通路は、上記軸受部材の近傍を通っていることを特徴とする工作機械における主軸のシール構造。 - 請求項1又は2記載の工作機械における主軸のシール構造において、
上記主軸に、該主軸の回転駆動に伴い主軸の後端部に気体を圧送する後方向圧送部がさらに設けられていることを特徴とする工作機械における主軸のシール構造。 - 請求項1乃至3の何れかに記載の工作機械における主軸のシール構造において、
主軸前端部の上記圧送部として、上記主軸に羽根車が固定されていることを特徴とする工作機械における主軸のシール構造。 - 請求項4記載の工作機械における主軸のシール構造において、
主軸又はその前端部に固定された部材と軸保持部材の前端部との隙間として、主軸の径方向内側から外側に向って延びる隙間が形成され、上記羽根車がその回転による遠心力で上記隙間に沿って径方向外側に気体を圧送するように構成されていることを特徴とする工作機械における主軸のシール構造。 - 請求項5記載の工作機械における主軸のシール構造において、
上記羽根車は、軸保持部材と協働して主軸の径方向内側から外側に向って延びる上記隙間を構成するとともに、上記隙間側の表面に、主軸を中心として径方向外側に延びる複数の羽根を備えていることを特徴とする工作機械における主軸のシール構造。 - 請求項5又は6記載の工作機械における主軸のシール構造において、
上記羽根車は、上記主軸に固定されて軸保持部材を径方向外側から覆うカバーに形成されていること特徴とする主軸のシール構造。
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