JP3745535B2 - 超音波計測方法及び装置 - Google Patents

超音波計測方法及び装置 Download PDF

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    • G01HMEASUREMENT OF MECHANICAL VIBRATIONS OR ULTRASONIC, SONIC OR INFRASONIC WAVES
    • G01H5/00Measuring propagation velocity of ultrasonic, sonic or infrasonic waves, e.g. of pressure waves

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波計測方法及び装置に係り、気体、液体、固体等の測定対象物の音速を測定し、測定対象物が気体、液体である場合にはそれらの成分、濃度、弾性率等を求め、測定対象物が固体である場合にはその弾性率、強度、疲労、応力、履歴、寿命等を求めるに好適な超音波計測方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
超音波による音速計測方法は超音波送信部から測定対象物内に超音波を送信し、この送信波に基づいて生ずる反射信号を超音波受信部で受信し、その受信波より求められる伝搬時間(t)と伝搬距離(L)に基づいて測定対象物の絶対音速(V)を求める。
【0003】
従来の音速計測方法としては、シングアラウンド方法、オーバーラップ方法等がある。
【0004】
シングアラウンド方法は、計測安定性、自動計測等の要求により使用されているが、伝搬時間(t)を計測すると(図4)、
=2t+2t+2t …(1)
:電気的遅延時間
:送信板伝搬時間
となり、真に必要な伝搬時間(t)以外にt、tを含む。送信板伝搬時間(t)は温度、圧力等の外的要因の影響を受け易く、電気的遅延時間(t)は電気回路系及び部品毎の個差の影響があり、高精度及び互換性を得るのが困難である。
【0005】
オーバーラップ方法は、相対する送信板と受信板に挟まれる測定対象物内で、超音波送信部から送信された送信波に基づいて順次生ずる多重反射信号の多重波伝搬時間to1、to2(図3)を測定することにより、伝搬時間(t)が
=(to2−to1)÷2 …(2)
で求められる。然しながら、現実の問題として、製造上、反射板と送信板を完全な平行に設置することは困難で、圧力、外力によっても平行度は変化し、この平行度に対するずれ、角度により測定誤差が発生する。
【0006】
また、反射板の反射率が小さい場合、多重波を利用する方法では受信波の信号エネルギが小さく、計測が不安定となり計測不能になることもある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、超音波の伝搬時間を、外的要因の影響を受けにくい方法で高精度に安定的に計測可能とすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の本発明は、第1と第2の超音波センサを対向配置し、それら両超音波センサの表面のそれぞれに第1と第2の反射板を設け、それら両反射板の対向間隔を距離Lとし、測定対象物内で、第1超音波センサから送信した超音波を第2超音波センサで受信するまでの時間tと、第1超音波センサから送信した超音波を第2反射板で反射し、第1超音波センサで受信するまでの時間tと、第2超音波センサから送信した超音波を第1超音波センサで受信するまでの時間tと、第2超音波センサから送信した超音波を第1反射板で反射し、第2超音波センサで受信するまでの時間tのそれぞれを計測し、測定対象物内での距離Lにおける超音波の伝搬時間tを、t=(t−t+t−t)/2で求め、測定対象物の絶対音速Vを、V=L/tで求めるようにしたものである。
【0009】
請求項2に記載の本発明は、第1と第2の超音波センサを対向配置し、それら両超音波センサの表面のそれぞれに第1と第2の反射板を設け、それら両反射板の対向間隔を距離Lとしてなる超音波計測装置であって、測定対象物内で、第1超音波センサから送信した超音波を第2超音波センサで受信するまでの時間tと、第1超音波センサから送信した超音波を第2反射板で反射し、第1超音波センサで受信するまでの時間tと、第2超音波センサから送信した超音波を第1超音波センサで受信するまでの時間tと、第2超音波センサから送信した超音波を第1反射板で反射し、第2超音波センサで受信するまでの時間tのそれぞれを計測する時間計測回路と、測定対象物内での距離Lにおける超音波の伝搬時間tを、t=(t−t+t−t)/2で求め、測定対象物の絶対音速VをV=L/tで求める演算処理回路とを有してなるようにしたものである。
【0010】
【作用】
本発明にあっては、図1に示す如く、センサ1(第1超音波センサ)とセンサ2(第2超音波センサ)を対向配置し、それら両センサ1、2の表面のそれぞれに反射板1(第1反射板)、反射板2(第2反射板)を設け、それら両反射板1、2の対向間隔を距離Lとし、両反射板1、2に挟まれる測定対象物を気体、液体、もしくは固体とするものである。そして、センサ1より超音波を送信し、センサ2で受信する迄の時間(t)を計測する。センサ1より送信し、反射板2で反射し、センサ1で受信した時間(t)を計測する。センサ2より送信し、センサ1て受信した時間(t)を計測する。センサ2より送信し、反射板1で反射し、センサ2で受信した時間(t)を計測する。それらのデータに基づき
Figure 0003745535
の演算を行なうことにより測定対象物中の伝搬時間(t)が求められる。
【0011】
但し、te1、te2は電気的遅延時間であり、ta1、ta2は樹脂製反射板等の内部を透過する反射板伝搬時間とする。
【0012】
本発明では、反射板1と反射板2の間隔である伝搬距離をLとするとき、測定対象物の絶対音速Vを、
V=L÷t …(4)
で求める。
【0013】
(メリット1)
本発明によれば、センサ1とセンサ2を対向配置したから、反射板1、2の平行度に角度ずれがあっても、音速計測を従来方法に比して以下の如くに高精度にできる。
【0014】
即ち、従来のオーバーラップ方法では、図5の送信板と受信板の平行度にずれ角度(θ)があるとき(図2)、センサは、
【数1】
Figure 0003745535
の距離の伝搬時間を計測しており、測定誤差(ε)は、
【数2】
Figure 0003745535
となり、sinθ≒θとおくと
Figure 0003745535
となる。
【0015】
これに対し、本発明方法では、反射板1、2の平行度にずれ角度θがあるとき(図2)、センサ1、2は、
【数3】
Figure 0003745535
Figure 0003745535
の距離の伝搬時間を計測しており、測定誤差(ε)は
【数4】
Figure 0003745535
となる。
【0016】
εとεを比較すると
【数5】
Figure 0003745535
となるから、本発明方法によれば、従来方法に比して誤差が1/4、精度は4倍になる。
【0017】
(メリット2)
本発明によれば、センサから測定対象物への不純物やイオンの析出を防止したり、センサの耐食性を向上するために、反射板を合成樹脂製とする場合にも、計測時の全送受信過程における超音波の反射回数を最大1回(t、t検出時の反射回数)とし、音速計測を従来方法に比して以下の如くに高精度且つ安定化できる。
【0018】
即ち、反射板を合成樹脂等にした場合、超音波の反射率(R)は
【数6】
Figure 0003745535
となる。但し Z:水の音響インピーダンス
:合成樹脂(PFA)の音響インピーダンス
【0019】
このとき、本発明方法では、t、t検出時の超音波の反射回数は0回、t、t検出時の超音波の反射回数は1回であり、全送受信過程における超音波の反射回数は最大1回となり、その反射率Rnは、
Rn=R =1/3.3 …(12)
である。これに対し、従来のオーバーラップ方法では、図5のto1検出時の超音波の反射回数は1回、to2検出時の超音波の反射回数は3回であり、全送受信過程における超音波の反射回数は最大3回となり、その反射率Ruは、
Ru=R =1/36 …(13)
となる。本発明方法によれば、従来方法に比して、全送受信過程での総合的な反射率が10倍以上になり、10倍以上の受信波の信号エネルギを得ることが可能となるから、安定した計測ができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
図3は超音波計測装置を示すブロック図である。
【0021】
超音波計測装置は、超音波送受信装置100、計測回路200とを有して構成される。
【0022】
超音波送受信装置100は、センサ1を備える反射板1とセンサ2を備える反射板2とを距離Lを介して対向配置し、この間を測定対象物(気体、液体又は固体)を満たすようにしている。また、超音波送受信装置100は、温度センサ101を備えている。
【0023】
計測回路200は、第1と第2の送信回路201A、201B、第1と第2の受信回路202A、202B、スイッチ1〜4(sw−1〜4)、AGC回路203、検波回路204、信号選択回路205、信号選択制御回路206、位相比較回路207、電圧−周波数変換回路208、時間計測回路209、絶対音速演算ユニット210、温度計測回路211、演算処理ユニット212、出力部213で構成される。
【0024】
計測回路200は、時間計測回路209とを用いて、下記(1)〜(4)により、本発明の時間t〜tを計測する。
(1)時間t
sw−1、sw−4を閉じ、センサ1より超音波を送信し、これをセンサ2で受信し、この間の伝搬時間(t)を計測する。
【0025】
このとき、計測回路200は、t(t〜tも同じ)を例えば以下の如くに求める。
【0026】
超音波を、センサ1より送信し、センサ2と受信回路202Bで受信する。sw−4、AGC回路203を経て検波回路204で検波し、信号選択回路205で信号を取出す。
【0027】
位相比較回路207、電圧−周波数変換回路208、信号選択制御回路206はPLLを構成しており、送信から受信の時間(t)をn倍した時間を1周期とした周波数(f)に変換する。その周期毎に信号選択制御回路206からsw−1、送信回路201Aを経てセンサ1より超音波を送信する。計測に多重波の影響が無いような時間を得るよう整数nを設定する。
【0028】
周波数(f)を、時間計測回路209で計測し、伝搬時間(t )を求める。
【0029】
(2)時間t
sw−1、sw−3を閉じ、センサ1より超音波を送信し、これを反射板2で反射させた後、センサ1で受信し、この間の伝搬時間(t)を計測する。
【0030】
(3)時間t
sw−2、sw−3を閉じ、センサ2より超音波を送信し、これをセンサ1で受信し、この間の伝搬時間(t)を計測する。
【0031】
(4)時間t
sw−2、sw−4を閉じ、センサ2より超音波を送信し、これを反射板1で反射させた後、センサ2で受信し、この間の伝搬時間(t)を計測する。
【0032】
次に、計測回路200は、絶対音速演算ユニット210を用いて、上記(1)、(2)、(3)、(4)で求めた時間(t、t、t、t)を前述(3)式で演算処理し、反射板1、2の間の距離Lにおける超音波の伝搬時間tを求める。
【0033】
そして、計測回路200は、演算処理ユニット212を用いて、絶対音速演算ユニット210が求めた伝搬時間tを前述(4)式で演算処理し、絶対音速(V)を求める。また、計測回路200は、温度センサ101、温度計測回路211により測定対象物の温度Tを計測し、この温度Tと絶対音速Vとから、測定対象物の水分、濃度等の情報を得て出力部213より出力する。
【0034】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、超音波の伝搬時間を、外的要因の影響を受けにくい方法で高精度に安定的に計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の超音波対向型センサを示す模式図である。
【図2】図2は超音波計測装置を示すブロック図である。
【図3】図3は本発明方法と従来方法の計測誤差原理を示す模式図である。
【図4】図4は従来のシングアラウンド方法を示す模式図である。
【図5】図5は従来のオーバーラップ方法を示す模式図である。

Claims (2)

  1. 第1と第2の超音波センサを対向配置し、それら両超音波センサの表面のそれぞれに第1と第2の反射板を設け、それら両反射板の対向間隔を距離Lとし、
    測定対象物内で、第1超音波センサから送信した超音波を第2超音波センサで受信するまでの時間tと、第1超音波センサから送信した超音波を第2反射板で反射し、第1超音波センサで受信するまでの時間tと、第2超音波センサから送信した超音波を第1超音波センサで受信するまでの時間tと、第2超音波センサから送信した超音波を第1反射板で反射し、第2超音波センサで受信するまでの時間tのそれぞれを計測し、
    測定対象物内での距離Lにおける超音波の伝搬時間tを、t=(t−t+t−t)/2で求め、測定対象物の絶対音速Vを、V=L/tで求めることを特徴とする超音波計測方法。
  2. 第1と第2の超音波センサを対向配置し、それら両超音波センサの表面のそれぞれに第1と第2の反射板を設け、それら両反射板の対向間隔を距離Lとしてなる超音波計測装置であって、
    測定対象物内で、第1超音波センサから送信した超音波を第2超音波センサで受信するまでの時間tと、第1超音波センサから送信した超音波を第2反射板で反射し、第1超音波センサで受信するまでの時間tと、第2超音波センサから送信した超音波を第1超音波センサで受信するまでの時間tと、第2超音波センサから送信した超音波を第1反射板で反射し、第2超音波センサで受信するまでの時間tのそれぞれを計測する時間計測回路と、
    測定対象物内での距離Lにおける超音波の伝搬時間tを、t=(t−t+t−t)/2で求め、測定対象物の絶対音速VをV=L/tで求める演算処理回路とを有してなることを特徴とする超音波計測装置。
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