JP3745141B2 - 画像形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法、磁気記録法において形成される静電荷像をトナーを用いて現像する画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法としては、米国特許第2,297,691号明細書、特公昭42−23910号公報及び特公昭43−24748号公報等に記載されている如く多数の方法が知られているが、一般には光導電性物質を利用し、種々の手段により感光体上に電気的潜像(静電潜像)を形成し、次いで該潜像をトナーを用いて現像し、必要に応じて紙等の転写材にトナー画像を転写した後、加熱、加圧、加熱加圧或いは溶剤蒸気などにより定着し、被写物を得るものであり、感光体上に転写されずに残った現像剤は種々の方法でクリーニングされ、上記工程が繰り返されるものである。
【0003】
この内、現像方式としては、シンプルな構造の現像器でトラブルが少なく、寿命も長く、メンテナンスも容易なことから、一成分現像方式が好ましく用いられる。
【0004】
この方法は、磁性トナーをスリーブ上に薄く塗布することによりスリーブとトナーの接触する機会を増し、十分な摩擦帯電を可能にしたこと、磁力によって磁性トナーを支持し、かつ磁石とトナーを相対的に移動させることによりトナー粒子相互の凝集を解くとともにスリーブと十分に摩擦せしめていること、等によって優れた画像が得られるものである。そのため、磁性トナーとスリーブの個々の性能及び相互作用が得られる画像に大きく影響を与える。
【0005】
磁性トナーにおいては、磁性体を含有させることでトナーに磁性を持たせている。このようなことから、磁性体は磁性トナーの現像性及び耐久性に影響を与えており、従来より磁性体に関して、数々の提案が行われている。
【0006】
例えば、特開平8−101529号公報には珪素と亜鉛が含有されている磁性体が提案され、特開平7−175262号公報、特開平5−72801号公報、特開昭62−278131号公報、特開昭61−34070号公報、特開平8−25747号公報、特開平9−59024号公報、特開平9−59025号公報には珪素が含有されている磁性体が提案されており、特開平7−110598号公報、特開平5−281778号公報には珪素とアルミニウムが含有されている磁性体が提案されており、特開平5−345616号公報にはマグネシウムが含有されている磁性体を用いた磁性トナーが提案されている。それぞれ良好な現像性が得られているが、正帯電性磁性トナーに適用した場合や、高速機に適用した場合や、補給を繰り返し長期にわたってコピーボリュウムが非常に多くなる場合や、アモルファスシリコンドラムを用いる場合や、デジタル機などで低電位で反転現像する場合などには、さらなる現像性の向上や耐久性の向上が待望されている。
【0007】
また、スリーブにおいては、例えば、金属、或いはその合金またはその化合物を円筒状に成形し、その表面を電解、ブラスト、ヤスリ等で所定の表面粗さになるように処理したものが用いられる。スリーブの材質としては、長期使用時にその凹凸が摩擦減少してしまうのを防ぐために、比較的高硬度な材料、例えばステンレス鋼(ビッカース硬度Hv≒200)等が多く用いられていた。例えば特開昭57−66455号公報に開示されているように、ステンレス鋼をスリーブの基本材料とし、アルミナ粒子を用いたアランダムブラストをする方法が提案されている。しかしこの場合、スリーブ表面が鋭い凹凸となり易く、長期の使用においては、このくぼみにトナーが埋め込まれ、トナーとの摩擦が十分に行われなくなり、帯電量不足による画像不良が発生する(以下「スリーブ汚染」と称す)場合があった。そのため特開昭57−116372号、特開昭58−11974号及び特開平1−131586号公報に開示されるように、球状粒子(例えばガラスビーズ等)を用いて、ブラストしスリーブ表面を滑らかな凹凸とすることが提案されている。
【0008】
さらに、スリーブ基材としてステンレス鋼を用いた場合は、その熱伝導率の低さから、本体の機内昇温より局部的に歪みが発生し易く、それにより画像にスリーブピッチのムラが発生することがある。特に画像流れ対策として高湿下での感光ドラム表面への吸湿防止のために、感光体に面状発熱体等を内包し、感光体表面を発熱させる場合においては、感光ドラムに対向している現像スリーブの熱変形が顕著に発生する。
【0009】
このため、スリーブ材料には、比較的熱伝導率の高く安価なアルミニウムが主流となってきている。しかし、アルミニウムは硬度が低く(Hv≒100)耐久性が乏しく、表面磨耗による画像劣化を発生させやすい。そのため耐磨耗性を持たせるために特開昭61−219974号公報、特開平3−41485号公報、特開平3−233581号公報及び特開平5−27581号公報等においては、アルミ基体に金属をコートしたりメッキする技術が提案されている。しかし、これらはスリーブ表面の硬度向上により耐久性は良好になるものの、ステンレス鋼と比較して、特にポジトナー(正帯電性トナー)に対する帯電付与能力が小さいものが多く、例えば、長期に使用において選択現像により濃度低下を引き起こしたり、高温高湿環境下においてトナーの帯電量不足により、十分な画像濃度が得られなかったり、更には、従来では問題にならなかった程度の超微量のトナー材料遊離物によっても現像性が著しく低下するものが多い。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、現像性及び耐久性に優れた画像形成方法を提供することにある。
【0011】
更に本発明の目的は、デジタル高速現像あるいは低電位現像においても、良好な現像性と耐久性が得られる画像形成方法を提供することにある。
【0012】
更に本発明の目的は、正帯電性トナーにおいても、良好な現像性と耐久性が得られる画像形成方法を提供することにある。
【0013】
更に本発明の目的は、長期の使用においても、スリーブ汚染が発生せず良好な現像性が得られる画像形成方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
具体的には、本発明は、静電潜像保持体上に静電潜像を形成する潜像形成工程;及び該静電潜像を現像剤担持体表面に担持され、且つ搬送される磁性トナーを有する一成分系現像剤で現像する現像工程;を有する画像形成方法において、
該現像剤担持体は、少なくとも表面に無電解メッキを施されており、
該磁性トナーは、少なくとも結着樹脂及び磁性体を含有しており、
該磁性体が磁性酸化鉄であり、該磁性体は長周期型の元素周期表の第三周期以降の電気陰性度1.0乃至2.5の元素αを0.10乃至4.00重量%含有し、
該磁性体は、(i)複核形状の磁性酸化鉄粒子を60個数%以上有するか、または、(ii)六面体の稜線部が面状の多面体である磁性酸化鉄粒子と、複核形状の磁性酸化鉄粒子とを合わせて60個数%以上有していることを特徴とする画像形成方法に関する。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明に係る磁性トナーの磁性体は磁性酸化鉄であり、元素αは磁性酸化鉄中に取り込まれる形で存在している。本発明では磁性酸化鉄の結晶粒子中の表面から中心まで元素αを含有することで、磁性体の磁気特性のバランスをとり画像濃度を高め、画像カブリを抑制することができ、また結晶粒子表面の電気的特性を制御し帯電安定性を向上させている。さらに、該磁性トナーを摩擦帯電させる現像スリーブとして、メッキを施したものを用いることにより、トナーによるスリーブ汚染を発生させず高耐久性を達成することが可能となる。また本発明の磁性体が複核形状の磁性酸化鉄粒子、六面体或いは八面体の稜線が面状の多面体である磁性酸化鉄粒子と複核形状の磁性酸化鉄粒子を60個数%以上含有することによって、トナー中で結着樹脂との密着性が極めて高まり磁性体の脱落が発生せず遊離磁性体による帯電阻害を起こさないことが明らかになった。
【0017】
更にこの効果をより現わす為には、複核粒子が50個数%以上であることが好ましく、特には60個数%以上である。
【0018】
ここで「複核形状の磁性酸化鉄粒子」とは、複数の粒子核から結晶成長した形状様のもの、親粒子上に小粒子核ができ結晶成長した形状様のもので、粒子上に面と稜線からなる凸部を有するものである。例えば、図1に示す外形輪郭が例示される。六面体あるいは八面体の稜線が面状の多面体とは、例えば、図2に示す外形輪郭が例示される。
【0019】
複核形状の磁性酸化鉄粒子についての好ましい形態は、以下のような形状を示すものである。粒子上の任意の頂点を二点選択し、その二点を結ぶ直線を想定する。この時、この直線に対し磁性体粒子の表面が粒子中心方向にあり、粒子凹部となる側面を有する形状を複核形状とみなす。「複核形状」とは、このような凹部を少なくとも一つ以上有する形状のものを言う。例えば、図3又は図4に示す立体図で表される形状のものが例示される。また、任意の二点を結ぶ直線から粒子表面上に降ろした垂線の表面までの距離が粒子の最大径の1.0〜50.0%以上であることが好ましく、2.0〜40.0%以上であることが更に好ましく、3.0〜30.0%以上であることがより好ましく、4.0〜20.0%以上であることが特に好ましい。図4を参照しながら説明すると、この値は、任意の頂点a,bを結ぶ線分abから粒子表面に降ろした垂線lと粒子表面の交点をc、垂線lと線分abの交点をdとしたとき、線分cdの距離を測定し、粒子の最大径基準でその割合を求めた値である。
【0020】
また、図5の如き二次元投影図上の外形輪郭において上記の条件が満たされれば、本発明の形状は十分に満足するものである。
【0021】
六面体又は八面体の稜線が面状になった磁性酸化鉄についての好ましい形態は、以下のような形状を示すものである。粒子表面の側面を外捜したときに六面体又は八面体が形成される形状をしたものである。例えば、図6又は図7に示す立体図に例示されるものが挙げられる。図6においては、面Xが側面であり、面Yは稜線部が面状になった面であり、この面は平面または曲面である。また図7を参照しながら、六面体又は八面体の稜線部が面状である多面体について説明すると、側面X1を有する多面体1(図7a)に基づいて、側面X2を有する多面体2を外挿する(図7b)。本発明に係る六面体又は八面体の稜線部が面状の多面体においては、この外挿された多面体2(図7c)が、六面体又は八面体である。
【0022】
このような形状を呈する磁性酸化鉄粒子は非常に分散性がよく、均一なトナー粒子を製造することができ、小さな混練シェアでも十分に結着樹脂へ分散でき、材料の選択の幅も広がり、電子写真特性を向上させるばかりでなく、製造安定性を増すことができる。これは、粒子の頂点や稜線が鋭くはないので、粒子同士が分離しやすく、凝集性が少なく、結着樹脂へ均一に分散できるためである。また、この様な磁性酸化鉄粒子は、粒子表面に凹凸があったり、多くの面と稜線を有し、適度な角度を有するため、結着樹脂に対する密着性にも優れ物理的に磁性トナー表面上においても固着されているので、磁性トナー粒子からの脱落を防止できる。さらに、これらの形状により、磁性トナー粒子表面上に面露出できるため、磁性トナー粒子の帯電調整効果をより発揮することができ、磁性トナーの流動性を上げることができ、高速現像において現像性の安定化に大きく寄与する。なお、六面体粒子、八面体粒子及び球状の粒子は40個数%未満で含有していても構わないが、含有量は好ましくは20個数%以下、更に好ましくは10個数%以下であるのが良い。球状粒子が増加すると、磁性トナー粒子から脱離した遊離の磁性体粒子が増え、それらが、スリーブ上に堆積してゆき、スリーブの帯電付与に悪影響を与える。特に、ステンレス鋼スリーブと比較して帯電付与能力の小さいメッキスリーブにおいては、画像濃度の低下を引き起こしやすい六面体又は八面体の粒子が増加すると、磁性トナー粒子表面における磁性トナーの露出が頂点露出となり、帯電調整効果や流動性向上効果が得られにくいと共に、スリーブ表面を削り易く、適度なスリーブ表面粗さを維持することが難しく、それにより画像濃度ムラを発生させやすい。
【0023】
必要とする磁気特性及び電気特性をよりよく出すためには、鉄原子以外の原子αが磁性酸化鉄中に取り込まれる。磁性酸化鉄の結晶格子中にこの原子を鉄原子と置き換えた状態で存在させることが好ましく、鉄原子以外の原子としては、M殻以上を有する周期表第三周期以降の元素αが好ましく使用される。より好ましくは、第三周期、第四周期又は第五周期の元素であり、特に好ましくは、第三周期又は第四周期の元素である。元素αは鉄元素と電気陰性度が近いことが好ましいことから、元素αの電気陰性度は1.0〜2.5であり、好ましくは1.2〜2.3であり、更に好ましくは1.5〜2.1であるのが良い。また元素αは典型元素であることが好ましく、その中でもPブロック元素であることが好ましく、特にIIIB族、IVB族、VB族の元素であることが好ましい。具体的には、好ましい元素αとしては、Si,Al,P,Mg,Ti,V,Cr,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Zr,Sn又はPbであり、更に好ましくは、Si,Al,P,V,Cr,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Zr,Sn又はPbであり、特に好ましい元素αはSi,Al又はPであり、Siが最も好ましい。
【0024】
磁性酸化鉄に取り込まれる元素αは磁性体基準で0.10乃至4.00重量%である。この範囲内にあることで、磁性酸化鉄が本発明の特徴とする磁性体の形状を好ましく呈することが可能となる。また、後述するような元素αの分布による様々な磁気的特性の特徴、電気的特性の特徴、物理的特性の特徴を好ましく発現することが可能となり、優れた電子写真特性を磁性トナーに与えることができる。このような含有量で元素αを含有することにより、過酷な条件下での現像性に優れ、耐久性に優れた磁性トナーを構成するための磁性体を調製することができる。元素αの含有量が4.00重量%を超えると、多面体の面がより曲面になり、球状になってくる。こうなると磁性体は、磁性トナー粒子から遊離しやすくなる。遊離の磁性体が発生すると、長期間用いた場合などに遊離した磁性体がスリーブ表面に蓄積され、スリーブの帯電付与に悪影響を与える。特にメッキスリーブを用いた場合には、トナーが帯電量不足となり画像濃度の低下を引き起こす。またスリーブ表面の削れ方にムラが発生し、スリーブのトナー搬送性が不安定となり画像ムラが発生しやすくなる。元素αの含有量が0.10重量%未満では、磁性トナーは帯電過剰となりやすく、磁性トナー粒子間の帯電のバランスが不均一になりカブリが多くなる。また、スリーブ表面において局部的にトナーが過剰帯電を起こし、静電凝集によるブロッチが発生したりする。好ましくは、0.15乃至3.00重量%であり、より帯電の安定化が図られ、現像性の安定化が達成できる。更に好ましくは0.20乃至2.50重量%であり、より高画像濃度で、カブリの少ない画像が得られる。特に好ましくは0.50乃至2.00重量%である。
【0025】
また、磁性体は元素αを磁性酸化鉄粒子のどの部分にも含有させることによっても好ましい効果が得られ、鉄元素溶解率0から20%までの元素αの溶解率S1が10%以上乃至44%未満であり、鉄元素溶解率80%から全溶(100%)までの元素αの溶解率S2が5%以上乃至30%未満である。このような磁性体は結着樹脂との濡れ性及び親和性が良く、磁性トナー粒子表面上においても磁性体は良好に固着されるので、磁性トナー粒子からの脱落を防ぎ、スリーブへの遊離磁性体の蓄積による帯電付与力の低下、スリーブ削れを良好に防止することができる。特にメッキスリーブを用いた場合は、この効果が顕著である。
【0026】
S1が10%以上乃至44%未満であるときには、残留磁化を比較的小さくすることができ、帯電付与能力の比較的低いスリーブを用いても高画像濃度を得ることができる。また、表面に元素αの酸化物を適度に有する場合もあり、磁性トナー粒子の表面から面露出した際に帯電調整効果が効果的に働き、スリーブ表面でのブロッチを防止し、またトナー粒子同士の密着を防ぎトナー粒子間の流動性を維持できるとともにトナー粒子の帯電安定化に寄与し、耐久経時の現像安定性が得られる。
【0027】
S2が5%以上乃至30%未満であるときには、飽和磁化の大きさを維持し、残留磁化の過度の低下を防ぎ、残留磁化の飽和磁化に対する割合を保持することができ、高画像濃度を維持しながらカブリを抑制できる。また、各磁性体粒子の磁気特性も安定するため、トナー粒子内およびトナー粒子間の磁気特性も均一に安定し、特定な粒子のみが選択的に現像されることも無くなる。また、磁性体粒子の粒径のばらつきも小さくなり、良好な分散性に寄与し、優れた耐久安定性が得られる。
【0028】
S1及びS2が上記条件を満たす発明に係る磁性トナーは、比較的に帯電付与能力の低いメッキスリーブを用いた場合において、特に効果的である。
【0029】
溶解率S1が44%以上になると、磁性体粒子の表面にでてる元素αの酸化物が多くなり、磁性体の単位重量当りの表面積が増大してきて、摩擦電荷の放出が大きくなり電荷の維持性が低下し、磁性トナーを繰り返し補給して使用したり、正帯電性トナーに適用した場合などに、画像濃度ムラ、カブリの発生、濃度低下などの画像欠陥が現れやすい。また、残留磁化の飽和磁化に対する割合が小さくなり、カブリが多くなる。また、結着樹脂との濡れ性が低下し、磁性トナー粒子からの磁性体の脱落が生じやすくなり、スリーブ汚染の原因となりやすくなる。溶解率S1が10%未満の場合は、残留磁化の飽和磁化に対する割合が大きくなり、特にメッキスリーブと共に用いた場合には画像濃度を高くすることが困難である。溶解率S1は好ましくは15乃至42%であり、スリーブ耐久性と現像性のバランスがとりやすくなる。更に好ましくは20乃至40%であり、解像度や鮮鋭さに優れた、より高品質の画像を得ることが可能となる。
【0030】
溶解率S2が30%を超えると、磁性体粒子の表面付近の元素αの含有量が磁性体粒子毎にばらつきやすくなり、帯電性の不安定化の要因となり、ブロッチやカブリの発生など悪影響を及ぼす。一方、溶解率S2が5%未満の場合には磁性体粒子の大きさが揃わなくなり、赤味を帯びたり、磁気特性にばらつきができやすく、均質な磁性トナー粒子ができにくくなり、選択現像を生じやすくなり、特にメッキスリーブと共に用いた場合、現像性の低下が見られる。溶解率S2は、好ましくは5%以上乃至25%未満であることが好ましく、その場合にはより黒色度が安定し、耐久による現像特性の変化が小さくなる。更に好ましくは溶解率S2は10%以上乃至20%未満であることで、高速現像及び高耐久マシンにより好ましく適応し得る。
【0031】
また、元素αの溶解率S1と元素αの溶解率S2においてS1≧S2であることが好ましく、粒子サイズの安定化や複核粒子の生成が促進され、現像性と耐久性がより向上し、帯電バランスのとりにくい正帯電性トナーにおいて特に効果的に現像性を向上させることができる。
【0032】
通常、トナーに用いられる結着樹脂は、負帯電性である。正帯電性トナーの場合は、正荷電性荷電制御剤を結着樹脂中に分散させ正摩擦帯電のトナー粒子を得ている。このようなトナーが摩擦帯電すると、トータルでは正帯電を有するが微視的には負帯電である部位が存在する。これが帯電不均一の要因となり、帯電バランスの崩れたトナー粒子が存在するようになり、カブリを生じるトナーの元になったり、濃度低下の原因となったり、選択現像性を引き起こす引き金となる場合がある。本発明の磁性体は、面露出して、これらの不均一帯電を緩和し、正帯電を均一化かつ安定化できるものである。したがって、本発明の磁性体は正帯電性トナーにより好ましく用いられる。
【0033】
さらに、鉄元素溶解率20%〜80%の元素αの溶解率を鉄元素溶解率20%あたりに換算した溶解率S3が10%以上乃至25%未満であることが好ましく、この場合には元素αの存在割合の変化が滑らかになるので、磁性体の均質化が促進され、磁気特性が粒子毎により安定化するので、磁性トナー粒子毎の磁気特性が安定化する。その結果、選択現像が抑制され、高耐久の磁性トナーを得ることができる。
【0034】
また、元素αがこのような割合で存在しているため、抗磁力が安定し、過度に大きくなることも、また小さくなることもなくなり、カブリ抑制と高画像濃度の両立が図れる。また、分散性の向上及び密着性の向上に働き、帯電安定化や流動性向上に効果を発揮し、優れた現像性及び耐久安定性が得られる。S3が10%未満となると、抗磁力が小さくなりカブリやすくなったり、感光ドラムの削れが懸念されるようになる。S3が25%以上になると抗磁力が大きくなり画像濃度が低くなったり、帯電調整効果が得られにくくなり、流動性向上効果も期待できなくなる。
【0035】
さらに、磁性体の元素αの溶解率S1、元素αの溶解率S2及び元素αの溶解率S3において、S1>S2,S1≧S3及びS3≧S2であることが好ましく、粒子サイズの安定化が促進され、現像性と耐久性向上が達成され、帯電緩和による均一化作用が働き、特に正帯電性トナーにおいて効果が大きい。
【0036】
元素αの酸化物が該磁性体粒子の表面にあって、表面に存在する元素αの量が磁性体基準で0.01乃至1.00重量%であることも好ましく、更には0.02乃至0.75重量%であることが好ましく、更には0.03乃至0.50重量%であることがより好ましい。特には0.05乃至0.50重量%であることが好ましい。また、磁性酸化鉄粒子の表面に存在する元素αが、磁性体全体に含まれる元素αの含有量の2〜25重量%、好ましくは4〜20重量%であると、帯電の保持とリークのバランスがとれ磁性トナー粒子の帯電バッファーの働きをし、反転帯電粒子の発生を抑え、反転部へ飛翔するトナーが減少し、カブリを減少させることができる。磁性酸化鉄粒子の表面に存在する元素αが、2重量%未満である場合は電荷保持能力が勝り、25重量%より多い場合は電荷リーク能力が勝る傾向があることから、上記範囲内で両者のバランスをとるのが良い。
【0037】
また、該磁性体の表面に周期表第2,3,4,5族から選ばれ、両性酸化物または両性水酸化物またはこれらの混合物を形成しており、元素αとは異なる元素βを含有していることも好ましい形態である。元素βの含有率は磁性体基準で0.01重量%以上乃至2.00重量%未満であることが、環境安定性(すなわち低湿下、高湿下での現像性の差を小さくする)を向上させることができるので好ましい。元素βの含有率が0.01重量%未満ではその効果は少なく、2.00重量%以上では流動性が低下し、耐久性に悪影響を及ぼすことがある。好ましい元素としては、B,Al,Si,Cd,Ga,In,Ge,Sn,Pb,As,Sb又はBiがあり、特に好ましくはB,Al又はSiである。
【0038】
また磁性体は、個数平均粒径0.05〜0.50μmが好ましく、さらには0.08〜0.40μmのものが好ましく、特には0.10〜0.30μmのものが好ましい。これらの平均粒径であると、均一分散性が得られる。磁性体のBET比表面積は5.0〜20.0m2/gのものが好ましく用いられ、より好ましくは6.0〜15.0m2/g、特に好ましくは8.0〜12.0m2/gであると現像の環境安定性が向上する。
【0039】
磁性体の磁気特性としては、飽和磁化が75〜100Am2/kgであるものが好ましく、更に好ましくは80〜95Am2/kg、特に好ましくは85〜90Am2/kgであると、カブリの発生を良好に抑制ができる。残留磁化は5.0〜12.0Am2/kgが好ましく、更に好ましくは6.0〜11.0Am2/kgであり、特に好ましくは7.0〜9.0Am2/kgであり、これにより高画像濃度が得られる。抗磁力は5.0〜10.0kA/mであるものが好ましく用いられ、更に好ましくは5.5〜9.0kA/mであり、特に好ましくは6.0〜8.0kA/mであるとデジタル潜像を忠実に現像できる。また、画像濃度を高くし、カブリを少なくするために残留磁化(σr)と飽和磁化(σs)の比σr/σsは0.070〜0.125が好ましく、更に好ましくは0.080〜0.115、特に好ましくは0.085〜0.110である。それぞれの磁気特性は磁場795.8kA/m下で測定した値である。これらの磁性体の配合割合は結着樹脂100重量部に対し、20〜200重量部用いるのが好ましく、より好ましくは40〜150重量部であり、更に好ましくは50〜120重量部である。20重量部未満の場合にはトナーの磁気特性と帯電特性のバランスを取りづらく、カブリが増加したり、帯電過剰となり低湿下でトラブルを起こしやすく、十分な着色力が得られにくくなる。また200重量部を超える場合も、トナーの磁気特性と帯電特性のバランスを取りづらく画像濃度の低下や画質の劣化が見られたり、帯電不足となり、高湿下でトラブルを起こしやすく、十分な定着性を得られにくくなる。
【0040】
以下に、磁性体に係る各物性の測定法を示す。
【0041】
(1)元素αの含有量:
磁性体中の元素Aの含有量は、蛍光X線分析装置SYSTEM3080(理学電機工業(株)製)を使用し、JIS K0119「けい光X線分析通則」に従って、蛍光X線分析を行うことにより測定する。含有量は磁性体を基準とする。
【0042】
(2)鉄元素の溶解率及び元素αの溶解率:
本発明において磁性酸化鉄の鉄元素の溶解率、元素αの溶解率Sは、次のような方法によって求めることができる。例えば、5リットルのビーカーに約3リットルの脱イオン水を入れ、45〜50℃になるようにウォーターバスで加温する。約400mlの脱イオン水でスラリーとした磁性酸化鉄約25gを、約300mlの脱イオン水で水洗しながら、該脱イオン水とともに5リットルビーカー中に加える。
【0043】
次いで、温度を約50℃、撹拌スピードを約3.33S-1に保ちながら、特級塩酸を加え、溶解を開始する。このとき、磁性酸化鉄濃度は約5g/リットル、塩酸水溶液は約3規定となっている。溶解開始から、すべて溶解して透明になるまでの間に数回約20mlサンプリングし、0.1μmメンブランフィルターでろ過し、ろ液を採取する。ろ液をプラズマ発光分光(ICP)によって、鉄元素及び元素αの定量を行う。
【0044】
次式によって、各サンプルごとの鉄元素溶解率及び元素αの溶解率が計算される。
【0045】
【数1】
【0046】
【数2】
【0047】
【0048】
(3)磁性体の形状及び粒径:
電子顕微鏡H−700H(日立製作所製)を用いて、磁性体を50,000倍で撮影し、焼き付け倍率2倍として、最終倍率100,000倍とする。これにより、0.03μm以上の粒子100個をランダムに選び出して、各粒子の最大長(μm)を計測し、その平均をもって個数平均粒径とする。
【0049】
また、電子顕微鏡H−700H及びS−4700を用いて、100,000倍で撮影し、焼き付け倍率2倍として、最終倍率200,000倍とする。これによって0.05μm以上の粒子100個をランダムに選び出して、各粒子の形状を観察し、各形状を有する粒子の存在割合(個数%)を求める。複核形状を有する磁性体の最大凹部の深さは、前記測定で複核形状と判定された粒子について測定したもので、図5において模式的に示すようにして線分cdをとり、求められた線分cdのうち各粒子における最大値の、粒子最大径に対する割合(%)として求められる。なお、後述の表1では測定粒子の平均値を記している。
【0050】
さらに磁性体の粒径の測定、及び、形状の観察においては、必要に応じて、透過型電子顕微鏡(TEM)H−700H、H−800、H−7500(いずれも日立製作所製)又は走査型電子顕微鏡(SEM)S−800又はS−4700(いずれも日立製作所製)を用い、20,000倍〜200,000倍で撮影し、1〜10倍の焼き付け倍率として、任意の倍率で試料を観察することができる。
【0051】
(4)磁性体表面の元素αの含有量:
イオン交換水250mlと試料20gを300mlのポリ容器に入れ、ホモミキサーで良く撹拌し、スラリーを調製する。このスラリー200mlと2規定のNaOH溶液200mlを計量し、1リットルのステンレス容器に入れ撹拌しながら40℃に昇温させ30分保持する。この後、スラリーをろ別し、500ml純水で水洗する。ろ別したケーキを60℃で8時間以上乾燥する。乾燥後、前記(1)の方法でろ別したケーキ中の元素αの含有量を求める。イオン交換水と混合する前の試料中の元素αの含有量と乾燥後の元素αの含有量との差を磁性体表面の元素αの含有量とし、磁性体基準で含有率を出す。
【0052】
(5)元素βの定量:
前記(4)と同様の操作を行い、磁性体基準で含有率を出す。
【0053】
(6)BET比表面積:
BET比表面積は、湯浅アイオニクス(株)製、全自動ガス吸着量測定装置:オートソーブ1を使用し、吸着ガスに窒素を用い、BET多点法により求める。なお、サンプルの前処理としては、50℃で1時間の脱気を行う。
【0054】
(7)磁性体の磁気特性:
磁性体の磁気特性は、「振動試料型磁力計VSM−3S−15」(東英工業社製)を用いて外部磁場795.8kA/mの下で測定した値である。
【0055】
本発明の磁性トナーに使用される結着樹脂としては、下記の重合体の使用が可能である。
【0056】
例えば、ポリスチレン;ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエンの如きスチレン置換体の単重合体;スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエ−テル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体の如きスチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂などが挙げられる。好ましい結着樹脂としては、スチレン系共重合体もしくはポリエステル樹脂がある。
【0057】
スチレン系共重合体のスチレンモノマーに対するコモノマーとしては、例えばアクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、アクリロニトリル、メタクリルニトリル、アクリルアミドのような二重結合を有するモノカルボン酸もしくはその置換体;例えば、マレイン酸、マレイン酸ブチル、マレイン酸メチル、マレイン酸ジメチルのような二重結合を有するジカルボン酸およびその置換体;例えば塩化ビニル、酢酸ビニル、安息香酸ビニルのようなビニルエステル類;例えばエチレン、プロピレン、ブチレンのようなエチレン系オレフィン類;例えばビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトンのようなビニルケトン類;例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルのようなビニルエーテル類が挙げられる。これらのビニル単量体は、単独もしくは2つ以上用いられる。
【0058】
スチレン系重合体またはスチレン系共重合体は架橋されていてもよく、また混合樹脂でもかまわない。
【0059】
結着樹脂の架橋剤としては、主として2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物を用いてもよい。例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリンのような芳香族ジビニル化合物;例えばエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレートのような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホンのようなジビニル化合物;および3個以上のビニル基を有する化合物が挙げられる。これら架橋剤は単独もしくは混合物として用いられる。
【0060】
該スチレン系共重合体の合成方法としては、塊状重合法,溶液重合法,懸濁重合法及び乳化重合法のいずれでも良い。
【0061】
塊状重合法では、高温で重合させて停止反応速度を早めることで、低分子量の重合体を得ることもできるが、反応をコントロールしにくい問題点がある。溶液重合法では溶媒によるラジカルの連鎖移動の差を利用して、また開始剤量や反応温度を調節することで低分子量重合体を温和な条件で容易に得ることができ、GPCのクロマトグラムにおいて分子量5,000〜10万の領域に分子量の極大値を有する低分子量重合体を得る時には好ましい。
【0062】
溶液重合で用いる溶媒としては、キシレン、トルエン、クメン、酢酸セロソルブ、イソプロピルアルコール、ベンゼン等が用いられる。スチレンモノマー混合物の場合はキシレン、トルエン又はクメンが好ましい。重合生成するポリマーによって適宜選択される。
【0063】
反応温度としては、使用する溶媒、開始剤、重合するポリマーによって異なるが、70℃〜230℃で行なうのが良い。溶液重合においては溶媒100重量部に対してモノマー30重量部〜400重量部で行なうのが好ましい。
【0064】
更に、重合終了時に溶液中で他の重合体を混合することも好ましく、数種の重合体をよく混合できる。
【0065】
また、GPCのクロマトグラムにおいて分子量100,000以上の領域に分子量の極大値を有する高分子量重合体や架橋重合体を得る重合法としては、乳化重合法や懸濁重合法が好ましい。
【0066】
このうち、乳化重合法は、水にほとんど不溶の単量体(モノマー)を乳化剤で小さい粒子として水相中に分散させ、水溶性の重合開始剤を用いて重合を行なう方法である。この方法では反応熱の調節が容易であり、重合の行なわれる相(重合体と単量体からなる油相)と水相とが別であるから停止反応速度が小さく、その結果重合速度が大きく、高重合度のものが得られる。さらに、重合プロセスが比較的簡単であること、及び重合生成物が微細粒子であるために、トナーの製造において、着色剤及び荷電制御剤その他の添加物との混合が容易であること等の理由から、トナー用バインダー樹脂の製造方法として他の方法に比較して有利である。
【0067】
しかし、添加した乳化剤のため生成重合体が不純になり易く、重合体を取り出すには塩析などの操作が必要であるので懸濁重合が簡便な方法である。
【0068】
懸濁重合においては、水系溶媒100重量部に対して、モノマー100重量部以下(好ましくは10〜90重量部)で行なうのが良い。使用可能な分散剤としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール部分ケン化物、リン酸カルシウム等が用いられ、水系溶媒に対するモノマー量等で適当量があるが、一般に水系溶媒100重量部に対して0.05〜1重量部で用いられる。重合温度は50〜95℃が適当であるが、使用する重合開始剤、目的とするポリマーによって適宜選択すべきである。また開始剤種類としては、水に不溶或は難溶のものであれば用いることが可能である。
【0069】
これらの重合法において使用する重合開始剤としては、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、クミンパーピバレート、t−ブチルパーオキシラウレート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,4−ビス(t−ブチルパーオキシカルボニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バリレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシ−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、ジ−t−ブチルパーオキシα−メチルサクシネート、ジ−t−ブチルパーオキシジメチルグルタレート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼラート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジエチレングリコール−ビス(t−ブチルパーオキシカーボネート)、ジ−t−ブチルパーオキシトリメチルアジペート、トリス(t−ブチルパーオキシ)トリアジン、ビニルトリス(t−ブチルパーオキシ)シラン等が挙げられる。これらの重合開始剤は単独あるいは併用して使用できる。
【0070】
その使用量はモノマー100重量部に対し、0.05重量部以上(好ましくは0.1〜15重量部)の濃度で用いられる。
【0071】
ポリエステル樹脂の組成は以下の通りである。
【0072】
2価のアルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、また式(A)で表わされるビスフェノール及びその誘導体;
【0073】
【化1】
【0074】
(式中、Rはエチレンまたはプロピレン基を示し、xおよびyはそれぞれ0以上の整数であり、かつ、x+yの平均値は0〜10である。)
【0075】
また式(B)で示されるジオール類;
【0076】
【化2】
【0077】
(式中、R’は−CH2CH2−又は
【0078】
【化3】
を示し、x’及びy’は0以上の整数であり、かつ、x’+y’の平均値は0〜10である。)が挙げられる。
【0079】
2価の酸成分としては、例えばフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸の如きベンゼンジカルボン酸類又はその無水物、低級アルキルエステル;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸類又はその無水物、低級アルキルエステル;n−ドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸の如きアルケニルコハク酸類もしくはアルキルコハク酸類、又はその無水物、低級アルキルエステル;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸類又はその無水物、低級アルキルエステル等のジカルボン酸類及びその誘導体が挙げられる。
【0080】
また、架橋成分としても働く3価以上のアルコール成分と3価以上の酸成分を併用することが好ましい。
【0081】
3価以上の多価アルコール成分としては、例えばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン等が挙げられる。
【0082】
また、3価以上の多価カルボン酸成分としては、例えばトリメリット酸、ピロメリット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸、及びこれらの無水物、低級アルキルエステル;
次式
【0083】
【化4】
【0084】
(式中、Xは炭素数1以上の側鎖を1個以上有する炭素数1〜30のアルキレン基又はアルケニレン基を示す)で表わされるテトラカルボン酸、及びこれらの無水物、低級アルキルエステルの如き多価カルボン酸類及びその誘導体が挙げられる。
【0085】
アルコール成分としては40〜60mol%、好ましくは45〜55mol%、酸成分としては60〜40mol%、好ましくは55〜45mol%であることが好ましい。
【0086】
また3価以上の多価の成分は、全成分中の1〜60mol%であることも好ましい。
【0087】
該ポリエステル樹脂は、上述したアルコール成分及び酸成分を用いて、通常一般に知られている縮重合によって得られる。
【0088】
本発明の磁性トナー中には上記結着樹脂成分の他に、より少ない割合で以下の化合物を含有させてもよい。例えばシリコーン樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、2種以上のα−オレフィンの共重合体などが挙げられる。
【0089】
本発明の該磁性トナーに用いられる結着樹脂のガラス転移点(Tg)は好ましくは45〜80℃、より好ましくは50〜70℃である。
【0090】
本発明のトナーのトルエン可溶結着樹脂成分の酸価は0.5〜50mgKOH/gであることが好ましく、更に好ましくは0.5〜30mgKOH/gであり、特に正帯電性トナーである場合には0.5〜20mgKOH/gであることが好ましい。
【0091】
結着樹脂が酸価を有することで結着樹脂の極性部分と磁性酸化鉄の極性部分の相互作用により磁性体の分散性と密着性をより向上させることができ、耐久性により優れたものとなる。
【0092】
また、酸価を有する結着樹脂は負帯電性を帯びるようになるが、本発明の磁性酸化鉄の存在によりその帯電を緩和するので帯電安定化が促進され、特に正帯電性トナーにおいては、結着樹脂の負帯電性を低減させ、その負帯電による弊害を減少させることができる。
【0093】
本発明において、トナーの可溶樹脂成分の酸価(JIS酸価)は、以下の方法により求める。
【0094】
<酸価の測定>
基本操作はJIS K−0070に準ずる。
1)試料は予め樹脂成分以外の添加物を除去して使用するか、樹脂以外の成分の酸価、含有量を予め求めておく。試料の粉砕品0.5〜2.0(g)を精秤し、樹脂成分の重さをW(g)とする。
2)300(ml)のビーカーに試料を入れ、トルエン/エタノール(4/1)の混合液150(ml)を加え溶解する。
3)0.1規定のKOHのエタノール溶液を用いて、電位差滴定装置を用いて滴定する(例えば、京都電子株式会社製の電位差滴定装置AT−400(win workstation)とABP−410電動ビュレットを用いての自動滴定が利用できる)。
4)この時のKOH溶液の使用量をS(ml)とし、同時にブランクを測定し、この時のKOH溶液の使用量をB(ml)とする。
5)次式により酸価を計算する。fはKOHのファクターである。
【0095】
酸価(mgKOH/g)={(S−B)×f×5.61}/W
【0096】
本発明の磁性トナーに含有されるワックスは、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、オレフィンの共重合物、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、サゾールワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物または、それらのブロック共重合物;カルナバワックス、モンタン酸エステルワックスの如き脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したものなどが挙げられる。さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、あるいは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルカルボン酸類の如き飽和直鎖脂肪酸類;ブランジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸の如き不飽和脂肪酸類;ステアリンアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、あるいは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルアルコール類の如き飽和アルコール類;ソルビトールの如き多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドの如き脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドの如き飽和脂肪酸ビスアミド類、エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドの如き不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドの如き芳香族系ビスアミド類;脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸の如きビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂を水素添加することによって得られるヒドロキシ基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
【0097】
好ましく用いられるワックスとしては、アルキレンを高圧下でラジカル重合あるいは低圧下でチーグラー触媒又はその他の触媒を用いて重合した低分子量のアルキレンポリマー;高分子量のアルキレンポリマーを熱分解して得られるアルキレンポリマー;アルキレンポリマーを重合する際に副生する低分子量アルキレンポリマーを分離精製したもの;一酸化炭素及び水素からなる合成ガスからアーゲ法により得られる炭化水素の蒸留残分から、あるいは、これらを水素添加して得られる合成炭化水素などから、特定の成分を抽出分別したワックスが挙げられる。これらワックスには酸化防止剤が添加されていてもよい。さらに、直鎖状のアルコール、脂肪酸、酸アミド、エステルあるいは、モンタン系誘導体で形成されるワックスが挙げられる。また、脂肪酸等の不純物を予め除去してあるものも好ましい。
【0098】
中でも好ましいものは、エチレンなどのオレフィンを重合したもの及びこの時の副生成物、フィッシャートロプシュワックスなどの炭素数が数千ぐらいまでの炭化水素を母体とするものが良い。また、炭素数が数百ぐらいまでの末端に水酸基をもつ長鎖アルキルアルコールも好ましい。更に、アルコールにアルキレンオキサイドを付加したものも好ましく用いられる。
【0099】
そして、これらのワックスから、プレス発汗法、溶剤法、真空蒸留、超臨界ガス抽出法、分別結晶化(例えば、融液晶析及び結晶ろ別)等を利用して、ワックスを分子量により分別し、分子量分布をシャープにしたワックスは、必要な融解挙動範囲の成分が占める割合が多くなるので更に好ましい。
【0100】
分子量分布のシャープにしたワックスは、適度の可逆性を結着樹脂にもたらし、磁性酸化鉄との密着性をより強固なものとすることができる。
【0101】
この時、離型性を損なわないためにワックスは炭化水素ワックスであることがより好ましい。
【0102】
ワックスの分子量分布はMw/Mnが3.0以下であることが好ましく、より好ましくは2.5以下であり、更に好ましくは、2.0以下である。
【0103】
本発明の磁性トナーに外添剤して用いられる無機微粉体としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン等の無機酸化物や、カーボンブラック、フッ化カーボンなどが粒径の細かい粒子を作りやすい点で好ましい。
【0104】
シリカ、アルミナ、酸化チタンは、トナー表面に分散させた時に細かい粒子となる方が流動性付与性が高くなるので好ましい。平均粒径としては5〜200nmになるものが良く、さらに好ましくは10〜100nmが良い。BET法で測定した窒素吸着による比表面積では20m2/g以上(特に30〜400m2/g)の範囲のものが母体微粉体として好ましく、表面処理された微粉体としては、10m2/g以上(特に20〜300m2/g)の範囲のものが好ましい。
【0105】
これらの微粉体の適用量は、磁性トナー重量に対して、0.03〜5%添加した時に適切な表面被覆率になる。
【0106】
無機微粉体の疎水化度としては、30%以上の値を示すのが好ましい。疎水化処理剤としては、含ケイ素表面処理剤であるシラン化合物とシリコーンオイルが好ましい。
【0107】
例えば、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン等のようなアルキルアルコキシシランや、ジメチルジクロルシラン、トリメチルクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、ヘキサメチルジシラザン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ジビニルジクロルシラン、ジメチルビニルクロルシラン等のシラン化合物を用いることができる。
【0108】
また、以下の正帯電性のものも、帯電量の調整等のため用いても良い。アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジプロピルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤や、アミノ変性のシリコーンオイル等を用いることができる。
【0109】
また、現像性、耐久性を向上させるために次の無機粉体を添加することも好ましい。マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、セリウム、コバルト、鉄、ジルコニウム、クロム、マンガン、ストロンチウム、錫、アンチモンなどの金属酸化物;チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ストロンチウムなどの複合金属酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸アルミニウム等の金属塩;カオリンなどの粘土鉱物;アパタイトなどリン酸化合物;炭化ケイ素、窒化ケイ素などのケイ素化合物;カーボンブラックやグラファイトなどの炭素粉末が挙げられる。なかでも、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化コバルト、二酸化マンガン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸マグネシウムなどが好ましい。
【0110】
更に次のような滑剤粉末を添加することもできる。テフロン、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素樹脂;フッ化カーボンなどのフッ素化合物が挙げられる。
【0111】
本発明の磁性トナーには荷電制御剤を含有することが好ましい。
【0112】
トナーを正荷電性に制御するものとして下記の物質がある。
【0113】
ニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変成物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートなどの四級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料、(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物など)高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイドなどのジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートなどのジオルガノスズボレート類;グアニジン化合物、イミダゾール化合物。これらを単独で或いは2種類以上組合せて用いることができる。これらの中でも、トリフェニルメタン化合物、イミダゾール化合物、カウンターイオンがハロゲンでない四級アンモニウム塩が好ましく用いられる。また一般式(1)
【0114】
【化5】
で表わされるモノマーの単重合体:前述したスチレン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルの如き重合性モノマーとの共重合体を正荷電性制御剤として用いることができる。この場合これらの荷電制御剤は、結着樹脂(の全部または一部)としての作用をも有する。
【0115】
特に下記一般式(2)で表わされるトリフェニルメタンレーキ顔料やイミダゾール化合物が本発明の構成においては好ましい。
【0116】
すなわち、本発明の磁性トナーにおいて、これらの荷電制御剤を有していると、磁性酸化鉄の帯電調整効果とこれらの荷電制御剤の帯電発生効果がほどよくバランスがとれ、耐久性や環境安定性に優れたものとなる。
【0117】
【化6】
【0118】
磁性トナーを負荷電性に制御するものとして下記物質がある。
【0119】
例えば有機金属錯体、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸系の金属錯体がある。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体類などがある。
【0120】
また次に示した一般式(3)で表わされるアゾ系金属錯体が好ましい。
【0121】
【化7】
【0122】
特に中心金属としてはFe又はCrが好ましく、置換基としてはハロゲン、アルキル基、アニリド基が好ましく、カウンターイオンとしては水素、アルカリ金属、アンモニウム、脂肪族アンモニウムが好ましい。またカウンターイオンの異なる錯塩の混合物も好ましく用いられる。
【0123】
あるいは次の一般式(4)に示した塩基性有機酸金属錯体も負帯電性を与えるものであり、本発明に使用できる。
【0124】
【化8】
【0125】
特に中心金属としてはFe,Cr,Si,Zn又はAlが好ましく、置換基としてはアルキル基、アニリド基、アリール基、ハロゲンが好ましく、カウンターイオンは水素、アンモニウム、脂肪族アンモニウムが好ましい。
【0126】
電荷制御剤をトナーに含有させる方法としては、トナー内部に添加する方法と外添する方法がある。これらの電荷制御剤の使用量としては、結着樹脂の種類、他の添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくは結着樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部、より好ましくは0.1〜5重量部の範囲で用いられる。
【0127】
本発明の磁性トナーを作製するには結着樹脂、磁性体、ワックス、荷電制御剤、その他の添加剤等を、ヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合機により充分混合してから加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融混練して樹脂類を互いに相溶せしめた中に構成成分を分散又は溶解せしめ、冷却固化後粉砕及び分級を行って本発明に係る磁性トナーを得ることができる。
【0128】
さらに必要に応じ所望の添加剤をヘンシェルミキサー等の混合機により充分混合し、本発明に係る磁性トナーを得ることができる。
【0129】
本発明に係る磁性体は、粒度分布が揃い、結着樹脂中への分散性にも優れているため、トナーの帯電性を安定化することができる。また近年はトナー粒径の小径化が進んできており、トナーの重量平均粒径9μm以下のような場合でも、帯電均一性が促進され、トナーの凝集性も軽減され、画像濃度の向上、カブリの改善など現像性が向上する。特に重量平均粒径6.0μm以下のトナーにおいてはその効果は顕著であり、極めて高精細な画像が得られる。重量平均粒径は3.0μm以上である方が十分な画像濃度が得られて好ましい。一方でトナーの小粒径化が進むと磁性体の遊離も生じやすくなるが、本発明のトナーは、結着樹脂との密着性に優れているので磁性体の遊離も生じにくくスリーブ汚染等のトラブルが抑制される。
【0130】
本発明の磁性トナーの重量平均粒径は、コールターマルチサイザー(コールター社製)を用い、電解液はISOTON R−II(1%NaCl水溶液、コールターサイエンティフィックジャパン社製)を用いて測定する。測定法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤を0.1〜5ml加え、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散機で約1〜3分間分散処理を行い、前記測定装置により、体積、個数を測定して、体積平均粒径を算出する。
【0131】
重量平均粒径が6.0μmより大きい場合は100μmアパーチャーを用い2〜60μmの粒子を測定し、重量平均粒径3.0〜6.0μmの場合は50μmのアパーチャーを用い1〜30μmの粒子を測定し、重量平均粒径3.0μm未満の場合は30μmアパーチャーを用い0.6〜18μmの粒子を測定する。
【0132】
次に本発明の現像剤担持体であるスリーブの構成を説明する。
【0133】
本発明の現像剤担持体である現像スリーブは、円筒状基体と、該基体表面を被膜するメッキ層を有する。その基体材料の硬度はJIS Z2244に記載のビッカース硬度Hvが50〜150の比較的柔らかい材料であることが好ましい。ビッカース硬度Hvが50未満である場合、ブラスト処理時にスリーブに歪みを生じ、また、ビッカース硬度Hvが150を超える場合は、ブラスト処理において表面が不均一な凹凸となり易く、更に凹部に微少なクラックの発生が多くなる。それにより、トナーが局部的に帯電され、ブロッチやカブリの発生原因となりやすい。
【0134】
現像スリーブの基体材料としては、具体的には、アルミニウム合金であることが好ましい。これらの材料は、低硬度であると共に、比較的安価であり、熱伝導率が高いため熱による歪みが少なく画像ムラが発生しずらい。
【0135】
更に本発明の現像スリーブは、球状粒子(例えばガラスビーズ等)によりブラスト処理されることが好ましい。球状粒子により処理されることにより、処理後のスリーブ表面が滑らかな凹凸となり、凹部へのトナー詰まりがなく、スリーブ汚染を発生させない。
【0136】
更に該球状粒子は、その番定がJIS R6001に記載による#100〜800であることが好ましい。#100未満を用いる場合、表面の凹凸が着きづらく、所望の表面粗さを得ることができない。また番定が#800を超えるものを用いる場合、処理後の表面の凹凸が鋭くなりやすく、スリーブ汚染を発生させやすい。
【0137】
また、ブラスト処理後のスリーブ表面粗さは、JIS B0601に記載の中心線平均粗さ(Ra)で0.2〜3.5μmであることが好ましい。Raが0.2μm未満ではスリーブ近傍のトナーの帯電量が高くなりすぎ、鏡映力によりトナーがスリーブ上に引きつけられ、新たなトナーがスリーブから帯電付与を受けられず、現像性が不十分となる。Raが3.5μmを超えると、スリーブ上のトナー量が増加しすぎてトナーが十分な帯電量を得られず、かつ不均一な帯電となり、画像濃度の低下や濃度ムラの原因となる。
【0138】
更に本発明の現像スリーブは、ブラスト処理後に無電解メッキを施すことが好ましい。電気メッキの場合、凹凸粗面とした表面に対しては、電解の集中する凸部に優先的に付着するため、凸部のみメッキ層が厚くなってしまい、均一なメッキ層を形成することができない。無電解メッキとすることにより凹凸粗面に関わらず均一に精度よくメッキ層を形成し、メッキ前後で表面粗さの変化量を小さくすることができる。
【0139】
更に無電解メッキの硬度が、ビッカース硬度にてHv300以上であることが耐磨耗性の観点から好ましく、具体的には、Ni−P、Ni−B、Cr、Pd−P等が好ましい。特に磁性トナーと共に用いる場合は、非磁性のNi−P或いはNi−Bが好ましく、その場合P含有量が5〜15wt%、B含有量が2〜8wt%、Pd−PではP含有量が2〜15wt%で用いることが、トナーへの帯電付与の面から好ましい。ここで、P含有量及びB含有量は、JIS H 8645に記載のメッキ被膜の化学成分含有率試験法に乗っ取り測定する。
【0140】
またメッキ厚としては1〜50μmとすることが好ましい。メッキ厚が1μm未満である場合、高耐磨耗性を満足することが難しく、また、メッキ厚が50μmを超える場合、下地の表面性をメッキ後に継承することが難しい。
【0141】
またメッキ処理後も、表面粗さはRa換算で0.2〜3.5μmの範囲を保持していることが好ましい。
【0142】
次に、図8及び図9を参照しながら、本発明の画像形成方法を説明する。一次帯電器2で潜像担持体(感光体)1表面を負極性又は正極性に帯電し、アナログ露光又はレーザ光による露光5により静電荷像(例えば、イメージスキャニングによるデジタル潜像)を形成し、磁性ブレード11と、磁極N1,N2,S1及びS2を有する磁石23を内包している現像剤担持体(現像スリーブ)4とを具備する現像器9の磁性トナー13で静電荷像を反転現像又は正規現像により現像する。現像部において感光体1の導電性基体16と現像スリーブ4との間で、バイアス印加手段12により交互バイアス、パルスバイアス及び/又は直流バイアスが印加されている。磁性トナー像は、中間転写体を介して、又は介さずに転写材へ転写される。転写紙Pが搬送されて、転写部にくると転写帯電器3により転写紙Pの背面(感光体側と反対面)から正極性または負極性の帯電をすることにより、感光体表面上の負荷電性磁性トナー像又は正荷電性磁性トナー像が転写紙P上へ静電転写される。除電手段22で除電後、感光体1から分離された転写紙Pは、ヒータ21を内包している加熱加圧ローラ定着器7により転写紙P上のトナー画像は、定着される。
【0143】
転写工程後の感光体1に残留する磁性トナーは、クリーニングブレード8を有するクリーニング手段で除去される。クリーニング後の感光体1は、イレース露光6により除電され、再度、一次帯電器2により帯電工程から始まる工程が繰り返される。
【0144】
潜像担持体(例えば感光ドラム)1は感光層15及び導電性基体16を有し、矢印方向に動く。現像剤担持体4である非磁性円筒の現像スリーブ4は、現像部において潜像担持体1表面と同方向に進むように回転する。非磁性の円筒状の現像スリーブ4の内部には、磁界発生手段である多極永久磁石(マグネットロール)23が回転しないように配されている。現像器9内の磁性トナー13は現像スリーブ4に塗布され、かつ現像スリーブ4の表面と磁性トナー粒子との摩擦によって、磁性トナー粒子はトリボ電荷が与えられる。さらに鉄製の磁性ドクターブレード17を円筒状の現像スリーブ4の表面に近接して(間隔50μm〜500μm)、多極永久磁石の一つの磁極位置に対向して配置することにより、磁性トナー層の厚さを薄く(30μm〜300μm)かつ均一に規制して、現像部における感光体1と現像スリーブ4の間隙と同等又は間隙よりも薄い磁性トナー層を形成する。現像スリーブ4の回転速度を調節することにより、現像スリーブ表面速度が感光体1の表面の速度と実質的に等速、もしくはそれに近い速度となるようにする。磁性ドクターブレード17として鉄のかわりに永久磁石を用いて対向磁極を形成してもよい。現像部において現像スリーブ4に交流バイアスまたはパルスバイアス手段12により印加してもよい。この交流バイアスはfが200〜4,000Hz、Vppが500〜3,000Vであれば良い。
【0145】
現像部における磁性トナー粒子の転移に際し、感光体面の静電的力及び交流バイアス又はパルスバイアスの作用によって磁性トナー粒子は静電荷像側に移行する。
【0146】
磁性ブレード11のかわりに、シリコーンゴムの如き弾性材料で形成された弾性ブレードを用いて押圧によって磁性トナー層の層厚を規制し、現像スリーブ上に磁性トナーを塗布しても良い。
【0147】
本発明においては、潜像担持体としてシリコン感光ドラムを使用し、デジタル潜像をプラスの摩擦電荷を有する正帯電性磁性トナーで反転現像する画像形成方法が特に好ましい。
【0148】
【実施例】
以下、具体的実施例によって本発明を説明するが、本発明はなんらこれに限定されるものではない。
【0149】
(磁性体の製造例)
磁性体は、鉄塩をアルカリ溶液で鉄コロイドにし、酸化により磁性体を生成させる工程において、元素α、βの水溶液の添加時期、添加量、添加方法、pHの値や時間を調整し、酸化条件、加熱条件を変え種々の磁性体を調製した。
【0150】
例えば磁性体1は、次のように合成される。
【0151】
3.0mol/リットルの水酸化ナトリウム水溶液20リットルを入れた反応容器中に、Fe2+が1.5mol/リットルである硫酸第一鉄水溶液20リットルを加え、温度を95℃として、水酸化第一鉄塩コロイドを含有する第一鉄塩懸濁液を生成させた。
【0152】
ここに、毎分100リットルの空気を通気させながら、ケイ素分を28g有するケイ酸ナトリウム水溶液0.2リットルを60分かけて滴下した。その後30分撹拌してマグネタイトを含む第一鉄懸濁液を得た。
【0153】
次に6.0mol/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10.0とした。さらに毎分100リットルの空気を通気させながら、ケイ素分を28g有するケイ酸ナトリウム水溶液0.1リットルを30分かけて滴下してその後30分撹拌してマグネタイト粒子を生成させた。
【0154】
次に0.5mol/リットルの硫酸アルミニウム水溶液150mlを添加し十分に撹拌したのち、マグネタイトを濾別した。このマグネタイトを水洗・乾燥後、解砕して磁性体1とした。
【0155】
本実施例において調製した磁性体の組成を表1及び2に示し、諸物性を表3に示す。
【0156】
【表1】
【0157】
【表2】
【0158】
【表3】
【0159】
<現像スリーブの製造例1>
現像スリーブとしては、外径32.0mm,肉厚0.65mm,ビッカース硬度Hv=110のアルミニウム合金円筒管の表面を球形ガラスビーズ砥粒(#600)を用いブラストマシンにより、2.45×10-1MPa(2.5kgf/cm)のブラスト圧でブラスト処理を行い、表面粗さがRz表記で4.5μmにした。その後、洗浄・乾燥工程を経て、脱脂、ジンケート処理にて前処理を行った後、9wt%のPを含むNi−P無電解メッキを施した。ここでメッキ層を20μmに形成した。これを乾燥炉にて120℃で30分間乾燥硬化させた。得られたスリーブの表面粗さRaは6点平均で0.53μmであり、表面のビッカース硬度Hv=455であった。このスリーブにマグネットを挿入し、両端にフランジを取り付け現像スリーブAとした。
【0160】
<現像スリーブの製造例2>
現像スリーブとしては、外径32.0mm,肉厚0.65mm,ビッカース硬度Hv=105のアルミニウム合金円筒管の表面を球形ガラスビーズ砥粒(#300)を用いブラストマシンにより、3.92×10-1MPa(4.0kgf/cm)のブラスト圧でブラスト処理を行い、表面粗さがRz表記で3.8μmにした。その後、洗浄・乾燥工程を経て、脱脂、ジンケート処理にて前処理を行った後、Ni−B(P8%)無電解メッキを施し、Crメッキ層を2μm形成した。これを乾燥炉にて120℃で30分間乾燥硬化させた。得られたスリーブの表面粗さRaは6点平均で0.56μmであり、表面のビッカース硬度Hv=615であった。このスリーブにマグネットを挿入し、両端にフランジを取り付け現像スリーブBとした。
【0161】
<現像スリーブの製造例3>
現像スリーブとしては、外径32.0mm,肉厚0.8mm,ビッカース硬度Hv=198のステンレス鋼円筒管の表面を不定形アルミナ砥粒(#600)を用いブラストマシンにより、3.92×10-1MPa(4.0kgf/cm)のブラスト圧でブラスト処理を行った。このブラスト処理スリーブの表面粗さRaは6点平均で1.12μmであった。このスリーブにマグネットを挿入し、両端にフランジを取り付け現像スリーブCとした。
【0162】
[実施例1]
スチレン−ブチルアクリレート共重合体(結着樹脂) 100重量部
磁性体1 90重量部
トリフェニルメタン系レーキ顔料(正荷電性制御剤) 2重量部
フィッシャートロプシュワックス(離型剤) 4重量部
上記材料をヘンシェルミキサーで前混合した後、130℃に設定した二軸混練押し出し機によって、溶融混練した。得られた混練物を冷却し、カッターミルで粗粉砕した後、ジェット気流を用いた微粉砕機で粉砕し、得られた微粉砕粉末をコアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級し、重量平均粒径7.24μmの磁性トナー粒子を得た。この磁性トナー粒子100重量部に対し、アミノ変性シリコーンで疎水化処理したBET比表面積90m2/gのシリカを0.8重量部外添混合して正帯電性磁性トナーを得た。
【0163】
この磁性トナーを、市販のアモルファスシリコンドラムを有する電子写真複写機NP6085(キヤノン株式会社製;プロセススピード513mm/s)を使用して反転現像できるようにバイアス、その他を改造した改造機(非画像部ドラム電位400V,画像部ドラム電位100V,現像バイアスDC分300V,画像電位コントラスト200Vに設定)を用いて、現像スリーブを本発明の現像スリーブの製造例1に示した現像スリーブAに交換し、温度15℃,湿度10%RHの低温低湿環境に引き続き、温度32.5℃,湿度80%RHの高温高湿で、それぞれ100,000枚の複写試験を行い、以下の各評価試験を行った。評価結果を表4及び5に示す。
【0164】
1)画像濃度
「マクベス反射濃度計」(マクベス社製)で、SPIフィルターを使用して、直径5mm丸の画像を反射濃度測定を行った。
【0165】
2)カブリ
「反射濃度計」(リフレクトメーター モデルTC−6DS 東京電色社製)を用いて、画像形成前の転写紙の反射濃度(Dr)と、ベタ白画像をコピーした後の反射濃度の最悪値を(Ds)とを測定し、その差分(Ds−Dr)をカブリ値として評価した。
【0166】
3)スリーブコート性評価
低温低湿環境下、高温高湿環境下での100,000枚の複写試験中、現像スリーブのトナーコート状態を目視し、ブロッチの発生状態によって評価した。
◎:ブロッチが全く発生していない。
○:ブロッチがスリーブ端部にわずかに発生している。
△:ブロッチが極わずかに発生しているが画像には影響しない。
×:ブロッチがはっきりと発生しており画像に影響する。
【0167】
4)スリーブ汚染試験
低温低湿環境下、高温高湿環境下での100,000枚の複写した後、現像スリーブの表面の一部をエタノール拭き取り洗浄し、この洗浄した現像スリーブを用いて再度ベタ黒プリントし、エタノール拭き清掃前後のベタ黒画像の画像濃度を測定し、その差を算出することによりスリーブ汚染を評価した。
◎:差0.03未満
○:差0.03〜0.10
△:差0.10〜0.20
×:差0.20以上
【0168】
5)スリーブ削れ量
低温低湿環境下、高温高湿環境下での100,000枚の複写した後、現像スリーブの表面をエタノール拭き取り洗浄し、この洗浄した現像スリーブのスリーブ粗さ(Ra−F)と、未使用時のスリーブ表面粗さ(Ra−S)を測定し、その差分(Ra−S)−(Ra−F)をスリーブ削れ量として評価した。
【0169】
[参考例1〜4]
実施例1において、表4及び5に示すとおりに磁性体1を磁性体2〜5に変更する以外は、実施例1と同様にしてトナー2〜5を製造した。この各トナーについて実施例1と同様にして各評価を行った。評価結果を表4及び5に示す。
【0170】
[比較例1及び2]
実施例1において、表4及び5に示すとおりに磁性体1を磁性体6及び7に変更する以外は、実施例1と同様にしてトナー6及び7を製造した。この各トナーについて実施例1と同様にして各評価を行った。評価結果を表4及び5に示す。
【0171】
[参考例5]
ポリエステル樹脂 100重量部
磁性体5 90重量部
モノアゾ鉄錯体(負荷電性制御剤) 2重量部
ポリプロピレンワックス(離型剤) 4重量部
上記材料をヘンシェルミキサーで前混合した後、130℃に設定した二軸混練押し出し機によって、溶融混練した。得られた混練物を冷却し、カッターミルで粗粉砕した後、ジェット気流を用いた微粉砕機で粉砕し、得られた微粉砕粉末をコアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級し、重量平均粒径7.45μmの磁性トナー粒子を得た。この磁性トナー粒子100重量部に対し、ヘキサメチルジシラザンで疎水化処理したBET比表面積160m2/gのシリカを1.0重量部外添混合して負帯電性磁性トナー8を得た。
【0172】
この磁性トナーを、電子写真複写機NP6085(キヤノン株式会社製)を使用して温度15℃,湿度10%RHの低温低湿環境及び温度32.5℃,湿度80%RHの高温高湿で、それぞれ100,000枚の複写試験を行い、実施例1と同様にして評価した。評価結果を表4及び5に示す。
【0173】
[参考例6〜10]
実施例1において、表4及び5に示すとおりに磁性体1を磁性体8〜12に変更する以外は、実施例1と同様にしてトナー7〜11を製造した。この各トナーについて実施例1と同様にして各評価を行った。評価結果を表4及び5に示す。
【0174】
[実施例2]
実施例1において、表4及び5に示す通りに現像スリーブAを現像スリーブBに変更する以外は、実施例1と同様にして各評価を行った。評価結果を表4及び5に示す。
【0175】
[比較例3]
実施例1において、表4及び5に示す通りに現像スリーブCに変更する以外は、実施例1と同様にして各評価を行ったところスリーブピッチの濃度ムラが発生した。評価結果を表4及び5に示す。
【0176】
[比較例4及び5]
比較例3において、表4及び5に示すとおりに磁性体1を磁性体13及び14に変更する以外は、実施例1と同様にしてトナー14及び15を製造した。この各トナーについて実施例1と同様にして各評価を行った。評価結果を表4及び5に示す。
【0177】
【表4】
【0178】
【表5】
【0179】
【発明の効果】
本発明の画像形成方法により、高速現像、デジタル現像或いは低電位現像においても、良好な現像性や耐久性が得られ、また長期の使用においても、現像スリーブの歪みによる画像ムラが発生せず、現像スリーブ汚染による濃度低下を発生させず、優れた電子写真特性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】磁性酸化鉄粒子が、複核粒子である場合の外輪郭の例を示す図である。
【図2】磁性酸化鉄粒子が、六面体の稜線が面状の多面体又は八面体の稜線が面状の多面体である場合の外輪郭の例を示す図である。
【図3】磁性酸化鉄粒子が複核粒子である場合の例を示す立体図である。
【図4】磁性酸化鉄粒子が複核粒子である場合の例を示す立体模式図である。
【図5】磁性酸化鉄粒子が複核粒子である場合の外輪郭を示す二次元投影図である。
【図6】磁性酸化鉄粒子が、稜線が面状となった多面体の例を示す立体図である。
【図7】側面外挿の例を示す立体模式図である。
【図8】本発明の画像形成方法を実施するための画像形成装置の一具体例を示す概略的説明図である。
【図9】図8の画像形成装置における現像部の拡大図である。
【符号の説明】
1 潜像担持体(感光体)
2 一次帯電器
3 転写帯電器
4 現像スリーブ
5 露光
7 定着器
13 磁性トナー
23 磁石
P 転写紙
a,b 任意の頂点
c 垂線と粒子表面の交点
d 線分abと垂線の交点
l 垂線
X 側面
Y 稜線が面状となった面
X1 側面
X2 外挿多面体の側面
Claims (2)
- 静電潜像保持体上に静電潜像を形成する潜像形成工程;及び該静電潜像を現像剤担持体表面に担持され、且つ搬送される磁性トナーを有する一成分系現像剤で現像する現像工程;を有する画像形成方法において、
該現像剤担持体は、少なくとも表面に無電解メッキを施されており、
該磁性トナーは、少なくとも結着樹脂及び磁性体を含有しており、
該磁性体が磁性酸化鉄であり、該磁性体は長周期型の元素周期表の第三周期以降の電気陰性度1.0乃至2.5の元素αを0.10乃至4.00重量%含有し、
該磁性体は、(i)複核形状の磁性酸化鉄粒子を60個数%以上有するか、または、(ii)六面体の稜線部が面状の多面体である磁性酸化鉄粒子と、複核形状の磁性酸化鉄粒子とを合わせて60個数%以上有していることを特徴とする画像形成方法。 - 該現像剤担持体は、無電解Ni−Pメッキまたは無電解Ni−Bメッキまたは無電解Crメッキを施すことを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
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