JP3744845B2 - 吸収性物品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、違和感のない優れた装着感が得られると共に、湿潤時に、隆起部が着用者の体液排出部や臀裂に対して良好にフィットし、優れた漏れ防止性が得られる吸収性物品に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、生理用ナプキン等の吸収性物品として、着用者の肌側に位置する肌当接面に隆起部を形成し、着用者の体液排出部や臀裂に対するフィット性を向上させたものが知られている。
しかし、斯かる吸収性物品においては、体液吸収により隆起部の圧縮弾性が低下し、体液排出部や臀裂に対する隆起部のフィット性が低下する問題がある。
また、特表平9−507772号公報には、表面シート、裏面シート及びこれら両シート間に介在された吸収体を具備し、該吸収体と該裏面シートとの間に非吸収性の内部バネを配置した吸収性物品が記載されており、この吸収性物品によれば、表面シート及び吸収体を該裏面シートに対して繰り返し弾性的に変位させることができる。
しかし、この吸収性物品においては、内部バネが着用者に違和感を与え、装着感を悪化させる恐れがある。また、形成される隆起部は、特に湿潤時において、体液排出部や臀裂に対する隆起部のフィット性が不充分である。
【0003】
従って、本発明の目的は、違和感のない優れた装着感が得られると共に、湿潤時に、隆起部が着用者の体液排出部や臀裂に対して良好にフィットし、優れた漏れ防止性が得られる吸収性物品を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、隆起部形成用の弾性体が内部に配置された吸収性物品であって、前記弾性体は、吸収性物品の厚み方向及び幅方向に圧縮されており、その圧縮状態が、水解性及び/又は水溶性のシートによって保持されており、前記シートが、吸収した液体に接触して少なくともその一部が該液体に分散及び/又は溶解することにより、該弾性体の圧縮状態が解除されて、該吸収性物品の一部が隆起するようになされている吸収性物品を提供することにより、上記の目的を達成したものである(以下、第1発明というときは、この発明をいう)。
【0005】
また、本発明は、隆起部形成用の弾性体が内部に配置された吸収性物品であって、前記弾性体は、吸収性物品の厚み方向及び幅方向に圧縮されており、その圧縮状態が、水溶性の接着剤により所定箇所を封止したシート材によって保持されており、前記接着剤が、吸収した液体に接触して溶解することにより、該弾性体の圧縮状態が解除されて、該吸収性物品の一部が隆起するようになされている吸収性物品を提供することにより、上記の目的を達成したものである(以下、第2発明というときは、この発明をいう)。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づいて詳細に説明する。
先ず、第1発明の一実施形態である生理用ナプキン1について図1及び図2を参照して説明する。
生理用ナプキン1は、図1に示すように、液透過性の表面シート2、液不透過性の裏面シート3及びこれら両シート2、3間に介在された液保持性の吸収体4を備えており、表面シート2と吸収体4との間に隆起部形成用の弾性体5が配置されている。
【0007】
弾性体5は、水解性又は水溶性のシート6によって圧縮状態に保持されている。より詳細に説明すると、弾性体5は、多孔性の柔軟性材料からなり、平面視して縦長矩形状の平板状をなしている。弾性体5は、筒状体であっても良いが、ナプキン1の携帯性の観点から平板状であることが好ましい。
弾性体5は、厚み方向及び幅方向に圧縮された状態で、シート6からなる筒状体、即ち矩形状のシート6の両側縁部同士を接着剤、ヒートシール等の接合手段により接合して形成した筒状体の内部に配置されている。尚、シート6の側縁部同士の接合部は図示を省略した。
【0008】
本発明(第1及び第2発明)において水解性とは、水中で離解して水中に分散する性質をいい、水溶性とは水中に溶解する性質をいう。水解性及び/又は水溶性のシートには、一部分のみが水解性及び/又は水溶性のものも含まれる。
【0009】
水解性のシートの構成材料としては、従来公知の水解紙と同様のものを用いることができ、例えばパルプ繊維又はパルプ繊維とレーヨン繊維との混合物を原料として得られたシートに、ポリビニルアルコール(以下、PVAという)やカルボキシメチルセルロース(以下、CMCという)等の水溶性バインダを施してなる水解紙が挙げられる。また、PVA繊維、パルプ繊維、綿、レーヨン若しくはテンセル等の再生セルロース繊維、ポリエチレン(以下、PEという)繊維、ポリプロピレン(以下、PPという)繊維又はポリエチレンテレフタレート(以下、PETという)繊維等を原料とする紙若しくは不織布又はこれらの複合体も用いることができる。
【0010】
水溶性のシートの構成材料としては、PVAフィルム、PVA繊維、パルプ繊維、レーヨン繊維、PE繊維、PP繊維、PET繊維等を原料とする紙若しくは不織布、又はこれらの複合体等が用いられる。
【0011】
弾性体5としては、嵩高の不織布を折り畳んだもの(例えば2つ折り又は3つ折りしたもの)や、多孔性の柔軟性部材(ポリウレタン発泡成形体等)等が挙げられるが、特に弾性回復に要する時間が短いことから多孔性の柔軟性部材が好ましい。また、弾性体5は、弾性部材(糸状、帯状、フィルム状)と他の材料(不織布や繊維ウエブ等)との複合体であっても良く、例えば単数又は複数の糸状の弾性部材をホットメルト型粘着剤等を用いて不織布に伸長状態にて固定してなる複合体を用いることもできる。
また、弾性体は、吸液により膨張するものであることが、より高い隆起部を生じさせることができることから好ましい。
【0012】
本実施形態の生理用ナプキン1は、通常のナプキンと同様にパンティー等の着衣に固定して用いられる。
本実施形態の生理用ナプキン1によれば、図2(a)に示すように、使用開始時の非湿潤状態において、肌当接面11は平坦であるか又は弾性体5を配置した部位がわずかに膨らんでいる程度であり、装着時に違和感が生じない。
他方、ナプキン1が排出された体液(経血等)を吸収し、水解性又は水溶性のシート6がその体液に接触すると、図2(b)に示すように、該シート6の少なくとも一部が該体液中に分散又は溶解し、弾性体5の圧縮状態が解除される。これにより、弾性体5が弾性回復して膨張し、その結果、肌当接面11の中央部に隆起部12が生じる。
本実施形態の生理用ナプキン1においては、このようにして隆起部12を生じさせるため、予め高さの高い隆起部を肌当接面に形成した従来のナプキンとは異なり、着用者に違和感を与えることがない。しかも湿潤状態に生じる隆起部12は、大小の吸収体を積層したり吸収体の一部を肉厚にして形成した従来の隆起部とは異なり湿潤時にへたることがなく、着用者の体液排出部や臀裂等に良好にフィットして、優れた漏れ防止効果を発現する。
【0013】
次に、第2発明の一実施形態である生理用ナプキン1’について図3を参照して説明する。
生理用ナプキン1’については、上述した生理用ナプキン1と異なる点について説明し、同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。特に説明しない点については、上述した生理用ナプキン1と同様である。
【0014】
生理用ナプキン1’においては、図3に示すように、表面シート2と吸収体4との間に配された弾性体5が、水溶性の接着剤7により所定箇所を封止したシート材8によって圧縮状態に保持されている。
より詳細に説明すると、弾性体5は、厚み方向及び幅方向に圧縮された状態で、水溶性の接着剤7を用いて所定箇所を封止して形成したシート材8からなる筒状体、即ち矩形状のシート8の両側縁部81,81同士を接着剤7により接合して形成した筒状体の内部に配置されている。接着剤7による封止は、封止しなければ開口して弾性体5の圧縮状態が解除されてしまう部位を、開口しないように固定することを意味する。
【0015】
水溶性の接着剤7としては、PVAやアクリル系接着剤、CMCが代表的であるが、アクリル系接着剤やCMCを用いた場合には、加工工程上、水分を除去する工程が必要となるため、加工設備の簡略化の観点からは、水分除去工程の不要なPVAホットメルト型接着剤が好ましい。
【0016】
本実施形態の生理用ナプキン1’によれば、図3(a)に示すように、使用開始時の非湿潤状態において、肌当接面11は平坦であるか又は弾性体5を配置した部位がわずかに膨らんでいる程度であり、着用時に違和感が生じない。
他方、ナプキン1’が排出された体液(経血等)を吸収し、水溶性の接着剤7がその体液に接触すると、図3(b)に示すように、接着剤7が該体液中に溶解し、該接着剤7により封止されていた部分が開口して、弾性体5の圧縮状態が解除される。これにより、弾性体5が弾性回復して膨張し、その結果、肌当接面11の中央部に隆起部12が生じる。
本実施形態の生理用ナプキン1’においては、このようにして隆起部12を生じさせるため、予め高さの高い隆起部を肌当接面に形成した従来のナプキンとは異なり、着用者に違和感を与えることがない。しかも湿潤状態に生じる隆起部12は、大小の吸収体を積層したり吸収体の一部を肉厚にして形成した従来の隆起部とは異なり湿潤時にへたることがなく、着用者の体液排出部や臀裂等に良好にフィットして、優れた漏れ防止効果を発現する。
【0017】
上述した各実施形態の各部の構成材料について説明すると、表面シート2、裏面シート3及び吸収体4としては、それぞれ、生理用ナプキンや使い捨ておむつ等の吸収性物品に従来用いられているものを特に制限なく用いることができる。
【0018】
また、シート材7としては、生理用ナプキンや使い捨ておむつ等の吸収性物品の表面シート2や吸収体4の一部に従来用いられている不織布や紙、開孔フィルム等を特に制限なく用いることができる。
【0019】
本発明(第1及び第2発明)は、上述した各実施形態に制限されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能である。
本発明における弾性体は、吸収性物品の少なくとも厚み方向に圧縮された状態で保持されていることが好ましく、圧縮状態の厚みaと圧縮状態を解除されて膨張した後の厚みbの比(b/a)は1以上、特に1.5〜2.0であることが好ましい。また、弾性体5は、吸収体4の内部、吸収体4と裏面シート3との間等に配置することもできる。
また、第1発明における弾性体は、水解性又は水溶性のシートと非水解性又は非水溶性のシートを組み合わて形成した袋や筒体内に保持されていても良い。例えば、水解性のシート材と非水解性のシート材の周縁部同士を接合して形成した袋内に弾性体5が圧縮状態で保持されていても良い。
本発明における吸収性物品は、生理用ナプキンの他、パンティーライナー、使い捨ておむつ、失禁パッド等であっても良い。
【0020】
【発明の効果】
本発明の吸収性物品は、違和感のない優れた装着感が得られると共に、湿潤時に、隆起部が着用者の体液排出部や臀裂に対して良好にフィットし、優れた漏れ防止性が得られるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、第1発明の一実施形態である生理用ナプキンを一部破断して示す斜視図である。
【図2】図2は、図1のX−X断面を模式的に示す断面図で、図2(a)は非湿潤時、図2(b)は湿潤時の断面を示す図である。
【図3】図3は、第2発明の一実施形態である生理用ナプキンを示す図で、図3(a)は図2(a)相当図、図3(b)は図2(b)相当図である。尚、図3(a)の円内は部分拡大図である。
【符号の説明】
1,1’ 生理用ナプキン(吸収性物品)
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収体
5 弾性体
6 水解性又は水溶性のシート
7 水溶性の接着剤
8 シート材
Claims (3)
- 隆起部形成用の弾性体が内部に配置された吸収性物品であって、
前記弾性体は、吸収性物品の厚み方向及び幅方向に圧縮されており、その圧縮状態が、水解性及び/又は水溶性のシートによって保持されており、
前記シートが、吸収した液体に接触して少なくともその一部が該液体に分散及び/又は溶解することにより、該弾性体の圧縮状態が解除されて、該吸収性物品の一部が隆起するようになされている吸収性物品。 - 隆起部形成用の弾性体が内部に配置された吸収性物品であって、
前記弾性体は、吸収性物品の厚み方向及び幅方向に圧縮されており、その圧縮状態が、水溶性の接着剤により所定箇所を封止したシート材によって保持されており、
前記接着剤が、吸収した液体に接触して溶解することにより、該弾性体の圧縮状態が解除されて、該吸収性物品の一部が隆起するようになされている吸収性物品。 - 前記弾性体は、多孔性の柔軟性材料からなる請求項1又は2記載の吸収性物品。
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