JP3242586B2 - 使い捨て着用吸収性物品 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、使い捨て着用吸
収性物品に関し、さらに詳しくは、特に低月令のベビー
や寝たきり老人又は病人の流動性排泄物の漏れ防止に効
果を奏するおむつなどの使い捨て着用物品に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、使い捨ておむつにおいて、排泄物
の腰口縁からの漏れ防止を図るため、おむつの長さ方向
両端部をその肌当接面へ折り返して排泄物を塞き止める
エンドフラップ又はポケットを形成したものが幾つも知
られている（例えば、実開平３−１２２８２３号公報参
照）。

【０００３】こうしたおむつにおいては、一般に、前記
エンドフラップの自由端又は前記ポケットの開口縁には
弾性収縮可能な弾性部材を取り付けて該自由端又は開口
縁が肌当接面から浮き上がらせる性向を付与することに
より、腰口縁の近傍へ流動した排泄物を受容して塞き止
めることができるように構成されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、おむつの着用
者が低月令のベビーや寝たきり老人又は病人であると、
仰向に寝ている場合が少なくないので、着用者の体圧で
前記エンドフラップの自由端又はポケットの開口縁が肌
当接面に接触して閉じた状態になる。こうした状態で
は、前記フラップ又はポケットが所期の機能を奏すこと
ができず、いわゆる軟便や下痢便などの流動性排泄物が
塞き止められず、ひいては、腰口縁からの漏れが生じ
る。

【０００５】ちなみに、公知のおむつにおいては、一般
に、前記欠点に加え、ウエスト回りへ流動した流動性排
泄物を吸収保持する機能を有していないので、その排泄
物が肌当接面で拡散して着用者の腰回りの肌にも妄りに
付着して着用者に不快感を与えるばかりでなく、皮膚病
の原因ともなる。

【０００６】この発明の課題は、公知のおむつが有する
前記問題に鑑み、着用者が仰向に寝ている場合でも、腰
口縁の近傍へ流動した流動性排泄物の腰口縁からの漏れ
を未然に有効に防止することができるようにおむつ等の
着用物品の腰口縁、特に着用物品の後腰回域に創作を施
すことにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】この発明は、前後腰回
域、これら間の股下域、肌当接面及び肌非当接面を有す
る積層パネルを備え、前記積層パネルが、前記肌当接面
に位置する透液性トップシート、前記肌非当接面に位置
する不透液性バックシート及びこれら間に配置された吸
液性コアから構成され、前記前後腰回域の少なくとも後
腰回域の肌当接面に該域の回り方向へ延在する、排泄物
の流出に対する障壁手段が設けられている使い捨て着用
吸収性物品の改良に関する。

【０００８】改良に係るこの発明は、前記障壁手段が、
前記吸液性コアの領域上の前記トップシートの表面から
少なくとも２ｍｍの高さで隆起して前記後腰回域の回り
方向へ延在し、前記トップシート及び吸液性コアの圧縮
弾性回復率よりも高い圧縮弾性回復率を有し、多数の連
続フィラメントであって前記吸液性コアの幅方向へ延び
る吸液性の繊維集合物と、これを被覆する透液性の繊維
不織布とからなるパッド部材から構成される一方、前記
積層パネルの肌当接面に前記吸液性コアの長さ方向へ弾
性収縮可能な可撓性バリヤフラップが同方向へ延在し、
前記バリヤフラップの長さ方向両端部が前記吸液性コア
の幅方向における前記パッド部材の両側部を圧着状態で
被覆することにより、該両側部が前記吸液性コアの両側
縁へ向って次第に低く形成されていることを特徴として
いる。

【０００９】この発明は、さらに具体的には、次の構
成、すなわち、前記繊維不織布が直径２〜１５ｍｍの多
数の開孔を有すること；前記パッド部材の、前記吸液性
コアの領域上の前記トップシート表面からの隆起高さが
２〜５０ｍｍであること；を含む。

【００１０】

【発明の実施の形態】図面を参照し、ベビー用使い捨て
おむつを例に挙げて、この発明に係る物品の実施の形態
を説明すると、以下のとおりである。

【００１１】図１ないし図４において、おむつは、縦長
の扁平形態を有する積層パネル１から構成されている。
積層パネル１は、前後腰回域２，３、これら間の股下域
４、肌当接面５及び肌非当接面６を有しており、これら
両面５，６、幅方向に対向する両側縁７及び長さ方向に
対向する両端縁８で画成されている。積層パネル１は、
幅方向に対向する弾性収縮可能な一対のサイドフラップ
９、長さ方向に対向する弾性収縮可能な一対のエンドフ
ラップ１０、一対のサイドフラップ９上の弾性収縮可能
な一対のバリヤフラップ１１及び後腰回域３におけるエ
ンドフラップ１０の近傍にパッド部材１２を備えてい
る。

【００１２】積層パネル１は、肌当接面５に位置する透
液性トップシート１３、肌非当接面６に位置する不透液
性バックシート１４及びこれら間に配置された吸液性コ
ア１５から構成されている。

【００１３】パッド部材１２は、トップシート１３及び
吸液性コア１５よりもかなり高い圧縮弾性回復率を有
し、ベビーのいわゆる軟便や寝たきり老人又は病人の下
痢便などの流動性排泄物、特に流動性大便が後腰回域３
の端縁８を外方へ超えて漏れることに対する障壁手段と
して設けられている。パッド部材１２は、図２及び図３
に拡大して示されているように、吸液性弾性材１６及び
これを被覆する透液性シート１７から構成されている。
さらに具体的には、吸液性弾性材１６は、多数の連続フ
ィラメントのトウを開繊し、再び軽くほぼ棒状に集束し
て得られるものであって、各フィラメント間の空隙率が
６０〜８５％を占め流動性大便を侵入保持させるのに好
適で、吸液性コア１５の幅方向へ延びており、透液性シ
ート１７は、へその緒がまだ乾いていない低月令のベビ
ーの肌に対する刺激性のない柔軟平滑な表面を有する繊
維不織布であって、その一部分１２ａが端縁８まで延び
るように弾性材１６を巻回状態で被覆している。パッド
部材１２は、部分１２ａにおいて後記弾性部材１８を介
してバックシート部分１４ｂに、かつ、部位１９におい
てトップシート１３に、適宜の接着手段で接合すること
で移動不能に保持されている。パッド部材１２は、その
隆起部、すなわち、弾性材１６が位置する部分の断面形
が円形、楕円形、角形などのいずれであってもよいが、
所期の目的を達成するためには、吸液性コア１５の領域
上のトップシート１３の表面から少なくとも２ｍｍ、好
ましくは５〜５０ｍｍ、さらに好ましくは１０〜３０ｍ
ｍの高さで隆起していることである。また、パッド部材
１２は、少なくとも３０％、好ましくは５０％以上の圧
縮弾性回復率を有していることが、所期の目的を達成す
るうえで有効である。

【００１４】吸液性弾性材１６としては、前記フィラメ
ント、特に疎水性でクリンプを有するものが湿潤下での
高い圧縮弾性回復率をパッド部材１２に付与するうえで
好ましいが、その他の疎水性又は親水性でクリンプを有
する繊維の単なる集合物や、それら繊維がゆるく交絡し
たスパンレースなどの不織布や、オープンセルタイプの
スポンジ質材なども用いられ得る。透液性シート１７に
用いる繊維不織布としては、低月令のベビーの繊細な肌
を考慮すると、ケミカルボンド以外のもの、すなわち、
メルトブローン、スパンレース、ニードルパンチ、サー
マルボンド、スパンボンドなど、特に極細繊維であるメ
ルトブローンの不織布が好ましい。こうした不織布であ
って、図５に示されるように、流動性大便が通過可能な
多数の開孔２０を有するものは、流動性大便をパッド部
材１２内に吸収するうえでさらに好ましいが、特に好ま
しい開孔２０は、直径が２〜１５ｍｍ、開孔率が４０〜
８０％のものである。こうした不織布は、疎水性及び／
又は親水性の繊維からなるものが用いられるが、肌に不
快な湿潤感を与えないうえでは、少なくとも７０重量％
の疎水性繊維からなるものが好ましい。

【００１５】各サイドフラップ９は、着用者の脚回りか
らの排泄物の漏れを防止する機能を有し、吸液性コア１
５の側縁から外方へ延出するバックシート部分１４ａ及
びその上面に位置するバリヤフラップ１１の外側部分１
１ａが適宜の接着手段で互いに接合することで形成さ
れ、部分１４ａ，１１ａの間には積層パネル１の長さ方
向へ弾性収縮可能な、複数本が並列する糸状弾性部材２
１が適宜の接着手段で取り付けられている。

【００１６】各バリヤフラップ１１は、流動性大便をそ
れらバリヤフラップ間で画成される領域に封じ込める機
能を有し、外側部分１１ａ及びこれから吸液性コア１５
側へ延び内側へ折り返された内側部分１１ｂから形成さ
れ、その折り返し部内には積層パネル１の長さ方向へ弾
性収縮可能な、複数本が並列する糸状弾性部材２２が適
宜の接着手段で取り付けられている。各バリヤフラップ
１１は、弾性部材２２の伸長下に内側部分１１ｂの幅方
向中間において外側へ折り返され、その状態において、
積層パネル１の長さ方向における両端部１１ｃが外側部
分１１ａの外面に適宜の接着手段で固定されている。ま
た内側部分１１ｂは、部位２３においてトップシート１
３に適宜の接着手段で接合されている。したがって、内
側部分１１ｂは、弾性部材２２の収縮力で起立する性向
を有している。もとより、内側部分１１ｂは、前述のよ
うに外側へ折り返されることなく、その内面が対向する
積層パネル１の肌当接面５に固定されてもよい。前述の
ように、内側部分１１ｂの両端部１１ｃが固定されるこ
とにより、吸液性コア１５の幅方向におけるパッド部材
１２の両側部１２ｂが両端部１１ｃの加圧下に吸液性コ
ア１５の幅方向側縁へ次第に低く形成されており、した
がって、パッド部材１２の両側部１２ｂと肌当接面５間
に急激な段差が生じず、両側部１２ｂと着用者の肌との
間に排泄物の流動を許すような間隙が形成されることが
ない。

【００１７】各エンドフラップ１０は、おむつを着用者
の腰回りに保持するとともに、腰回りから排泄物の漏れ
を防止する機能を有し、吸液性コア１５の端縁から外方
へ延出するバックシート部分１４ｂ及びその上面に弾性
部材１８を介して位置するパッド部材１２の延長部分１
２ａが適宜の接着手段で互いに接合することで形成され
ている。弾性部材１８は、比較的幅広いスポンジ質のテ
ープからなり、その長さ方向へ弾性収縮可能な状態で部
分１２ａ，１４ｂの間に取り付けられている。弾性部材
１８は、オープンセルタイプのポリウレタンフォーム
が、通気性及び柔軟性において好ましく、おむつの腰口
部が低月令のベビーの腰回りを締め付け過ぎないように
当接するのに適している。こうした特性を有する弾性部
材１８は、前記サイドフラップ９及びバリヤフラップ１
１の弾性部材としても用いられてもよいことは、いうま
でもない。

【００１８】トップシート１３としては、前記パッド部
材１２の透液性シート１７と同効、好ましくは開孔２０
を有する繊維不織布をはじめとして、この種の物品の表
面材として公知の、多数の開孔を有するプラスチックフ
ィルムが用いられる。バックシート１４としては、透湿
性プラスチックフィルム又はこれと繊維不織布とのラミ
ネートシートが用いられる。前記サイド及びエンドフラ
ップ９，１０は、そうした不織布やプラスチックフィル
ムから形成されているので、高度の可撓性を有している
ことが理解されよう。吸液性コア１５としては、主とし
て、木材パルプシートを粉砕して得られるフラップパル
プ及び高吸収性ポリマ粒子の混合物を適宜厚さのパネル
に圧縮成形し、これを液拡散性ティッシュペーパーで被
覆して得られるものが用いられる。したがって、コア１
５は、半剛性を有し、おむつの通常の着用状態では妄り
に形崩れすることがない。ちなみに、高吸収性ポリマー
としては、例えば、澱粉のグラフト重合体、セルロース
変性物、水溶性高分子の架橋物、自己架橋型アクリル酸
アルカリ金属塩ポリマー等、従来、生理用ナプキンや使
い捨ておむつの吸収材料として公知のものを挙げること
ができる。

【００１９】前記の構成を有する積層パネル１であるお
むつは、後腰回域３の両側に取り付けられた公知の感圧
性粘着テープ２４の自由端が、前腰回域２のバックシー
ト１４の外面に剥離可能に接着されることで組み立てら
れる。こうしたおむつは、一般にオープンタイプと称さ
れるが、この発明に係るおむつは、こうしたオープンタ
イプばかりでなく、前後腰回域の両側縁を予め連結した
パンツタイプ（プルアップタイプ）にも適用可能であ
る。

【００２０】図示されていないが、パッド部材１２は、
必要に応じて、前側腰回域２、吸液性コア１５の両側部
のバリヤフラップ１１の内側に又はこれに替えて用いら
れてもよい。また、少なくとも股下域４におけるトップ
シート１３と吸液性コア１５との間に前記連続フィラメ
ントからなる吸液性弾性材１６が介在されていてもよ
い。

【００２１】なお、前述中、各構成部材の接着状態及び
手段について言及しなかったが、それらは当業者には自
明であり、例えば、接着手段としては、ホットメルト接
着剤や加熱又は超音波溶着が挙げられる。

【００２２】

【発明の効果】この発明に係る物品においては、例え
ば、それがおむつである場合、パッド部材が着用者の後
腰回の凹んでいる部位に位置するように設計され得る
が、そうした設計とともに、パッド部材がクッション性
に富むので、パッド部材が肌当接面から隆起していても
着用者に違和感を与えないことは勿論のこと、着用者が
仰向に寝ている場合、パッド部材が着用者の腰に常時弾
性的に密接する状態が保持されるので、流動性大便がパ
ッド部材を外方へ超えて漏れることを未然に防止するこ
とができる。特に、着用者がへその緒がまだ乾いていな
い低月令のベビーである場合、一般におむつはベビーを
締めつけないようにゆるく着用させることが多いが、そ
うした場合、パッド部材が流動性大便に対する塞き止め
効果を発揮するので、この発明は流動性大便を排泄する
低月令のベビー用としてはもとより、流動性大便を排泄
する寝たきり老人又は病人用としても特に好適である。
パッド部材は肌当接面から隆起しているものの、その両
側部と肌当接面との急激な段差が生じないので、着用者
の肌と肌当接面との間に流動性大便の通過を許すような
間隙が形成されない（請求項１）。

【００２３】パッド部材は、流動性大便を塞き止めるば
かりでなく、排泄液とともに吸収することも可能であ
り、その漏れを一層有効に防止することができる（請求
項１）。

【００２４】トップシートも、流動性大便を透過させ得
るので、パッド部材と相まってその漏れ防止に役立つ
（請求項４）。

【図面の簡単な説明】

【図１】一部を切欠した使い捨ておむつの展開平面図。

【図２】図１のＡ−Ａ線拡大断面斜視図。

【図３】図１のＢ−Ｂ線拡大断面斜視図。

【図４】図１のＣ−Ｃ線拡大断面斜視図。

【図５】パッド部材の別形態の部分斜視図。

【符号の説明】

１ 積層パネル ２ 前腰回域 ３ 後腰回域 ４ 股下域 ５ 肌当接面 ６ 肌非当接面 １１ バリヤフラップ １２ パッド部材 １３ トップシート １４ バックシート １５ 吸液性コア １６ 吸液性弾性材 １７ 透液性シート

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 前後腰回域、これら間の股下域、肌当接
   面及び肌非当接面を有する積層パネルを備え、前記積層
   パネルが、前記肌当接面に位置する透液性トップシー
   ト、前記肌非当接面に位置する不透液性バックシート及
   びこれら間に配置された吸液性コアから構成され、前記
   前後腰回域の少なくとも後腰回域の肌当接面に該域の回
   り方向へ延在する、排泄物の流出に対する障壁手段が設
   けられている使い捨て着用吸収性物品において、 前記障壁手段が、前記吸液性コアの領域上の前記トップ
   シートの表面から少なくとも２ｍｍの高さで隆起して前
   記後腰回域の回り方向へ延在し、前記トップシート及び
   吸液性コアの圧縮弾性回復率よりも高い圧縮弾性回復率
   を有し、多数の連続フィラメントであって前記吸液性コ
   アの幅方向へ延びる吸液性の繊維集合物と、これを被覆
   する透液性の繊維不織布とからなるパッド部材から構成
   される一方、前記積層パネルの肌当接面に前記吸液性コ
   アの長さ方向へ弾性収縮可能な可撓性バリヤフラップが
   同方向へ延在し、前記バリヤフラップの長さ方向両端部
   が前記吸液性コアの幅方向における前記パッド部材の両
   側部を圧着状態で被覆することにより、該両側部が前記
   吸液性コアの両側縁へ向って次第に低く形成されている
   ことを特徴とする前記物品。
2. 【請求項２】 前記繊維不織布が、直径２〜１５ｍｍの
   多数の開孔を有する請求項１に記載の物品。
3. 【請求項３】 前記パッド部材の、前記吸液性コアの領
   域上の前記トップシート表面からの隆起高さが２〜５０
   ｍｍである請求項１または２に記載の物品。
4. 【請求項４】 前記トップシートが直径２〜１５ｍｍの
   多数の開孔を有する繊維不織布である請求項１または２
   に記載の物品。