JP3743986B2 - 感放射線性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、感放射線性樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、アルゴンフルオライド(ArF)エキシマレーザー光の遠紫外線を用いる超微細加工に有用なレジストとして好適な感放射線樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
集積回路素子の製造に代表される微細加工の分野において、より高い集積度を得るために、最近ではサブハーフミクロンオーダー(0.4μm以下)の微細加工を可能にするリソグラフィー技術の開発が進められているが、近い将来にはサブクオーターミクロン(0.20μm以下)レベルの超微細加工技術が必要になる。従来のリソグラフィープロセスに使用されている代表的なレジストは、g線、i線等の紫外線を用いているが、それらの放射線を使用してサブクオーターミクロンレベルのリソグラフィーを行うことは極めて困難である。
【0003】
それ故、サブクオーターミクロンレベルの微細加工を実現するために、より波長の短い放射線の利用が検討されている。この様な放射線としては水銀灯の輝線スペクトル、KrFまたはArFエキシマレーザー光等に代表される遠紫外線や、X線、電子線等を挙げることができる。これらの内、特に注目されているのがアルゴンフルオライド(ArF)エキシマレーザー光(波長193nm)のような遠紫外線である。
【0004】
このような遠紫外線の照射に適したレジストとして使用される感放射線性樹脂組成物として、保護基(酸解離性の官能基)を有する化合物と感放射線性酸発生剤とからなる化学増幅系組成物が数多く提案されている。
【0005】
これらの化学増幅系組成物は、保護基を有する化合物が、光照射によって生じた酸の作用により、保護基切断されるために、レジストパターンが形成される。
これらの化学増幅系組成物は、かかる遠紫外線に対して、レジストの基本物性を落とさずして、レジストとしての遠紫外線透過性のコントロールを十分行うことができないという欠点を有していた。例えば感放射線性酸発生剤を多く添加すると遠紫外線の吸収が大きくなり、そのためレジスト上層部では遠紫外線の照射量が多く下層部では少なく、現像後のレジストパターンは、上部が細く下部にいくほど太い台形状になり、十分な解像度が得られない等の問題がある。
【0006】
これに対して、感放射線性酸発生剤を少量しか添加しないと、遠紫外線の吸収は小さく、発生する酸の量が保護基に対して相対的に少なくなり保護基切断が有効に行われず、それ故、現像後のレジストパターンが形成されないか、または形成されても十分な解像度が得られない等の問題がある。また、この場合、組成物の膜厚に対する感度依存性が大きくなり、常に所望する寸法精度を得ることが難かしくなる。
また、従来の化学増幅系組成物からなるレジストは、放射線照射による定在波やハレーション(ノッチング)の発生があり、また、パターン形状がT型状となることも大きな問題となっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、レジストとしての遠紫外線透過性のコントロールを十分行うことができ、定在波およびハレーションの低減が大きく、現像性、パターン形状等の良好な、かつ十分なドライエッチング耐性を有する化学増幅型レジストとして好適な感放射線性樹脂組成物を提供することにある。
本発明の他の目的および利点は、以下の説明から明らかになろう。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、
(A)酸の作用により保護基を脱離してアルカリ可溶性となる樹脂、ここで酸の作用により保護基を脱離してアルカリ可溶性となる樹脂はアルカリ現像液に可溶である樹脂中のアルカリ現像液と親和性を示す官能基がカルボキシル基でありそしてその水素原子の少なくとも1部を、酸の作用により容易に脱離する1種以上の保護基で置換した、それ自体としてはアルカリ不溶性またはアルカリ難溶性の樹脂であり、また上記アルカリ現像液に可溶である樹脂が、カルボキシル基を有する少なくとも1種の単量体の重合性二重結合が開裂した繰返し単位のみからなるかあるいはそれとカルボキシル基を有しない単量体の重合性二重結合が開裂した繰返し単位からなる付加重合系樹脂でありそして該カルボキシル基を有しない単量体が(メタ)アクリロイルオキシ基含有化合物である、
(B)感放射線性酸発生剤および
(C)親水性官能基を有し且つ炭素数5以上25以下のアリサイクリック系低分子化合物を含有しそしてArFエキシマレーザー光の透過率がレジスト被膜1μm換算で35〜90%であることを特徴とするArFエキシマレーザー光露光用感放射線性樹脂組成物によって達成される。
【0009】
以下、本発明の感放射線性樹脂組成物を構成する各成分について説明する。
酸の作用により保護基を脱離してアルカリ可溶性となる樹脂(以下、「樹脂(A)」という)
樹脂(A)は、アルカリ現像液に可溶である樹脂(以下、「アルカリ可溶性樹脂」という)中のアルカリ現像液と親和性を示す官能基であるカルボキシル基の水素原子の少なくとも1部を、酸の作用により容易に脱離する1種以上の保護基で置換した、それ自体としてはアルカリ不溶性またはアルカリ難溶性の樹脂である。ここで言う「アルカリ不溶性またはアルカリ難溶性の樹脂」とは、本発明の感放射線性樹脂組成物を用いて、レジストパターンを形成する際に採用されるアルカリ現像条件下で、酸の作用により保護基を脱離してアルカリ可溶性となる樹脂のみを用いて形成された膜を現像した場合、当該膜の初期膜厚の50%以上が現像後に残存する性質を意味する。
【0010】
酸の作用により容易に脱離する保護基としては、例えばt−ブチル基、t−ブトキシカルボニル基、アセチル基、1−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基、1−ブトキシエチル基、1−ペントキシエチル基、テトラヒドロピラニル基、メチルテトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、メチルテトラヒドロフラニル基、カルボブトキシメチル基、カルボブトキシエチル基、カルボブトキシプロピル基、トリアルキルシリル基等を挙げることができる。これらのうち、t−ブチル基、t−ブトキシカルボニル基、1−エトキシエチル基、1−ブトキシエチル基、テトラヒドロピラニル基、メチルテトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基およびメチルテトラヒドロフラニル基が好ましい。
【0011】
樹脂(A)中への酸の作用により容易に脱離する保護基の導入率(酸の作用により保護基を脱離してアルカリ可溶性となる樹脂中の酸性官能基と保護された酸性官能基との合計数に対する保護された酸性官能基の数の割合)は、保護基やアルカリ可溶性樹脂の種類により一概には規定できないが、通常15〜100モル%、さらに好ましくは20〜100モル%である。樹脂(A)のゲルパーミェーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算重量平均分子量(以下、「Mw」という)は、レジスト組成物の所望の特性に応じて変わるが、好ましくは2,000〜100,000、さらに好ましくは5,000〜60,000である。Mwが2,000未満では、製膜性が悪化する傾向があり、Mwが100,000を超えると現像性、解像度等が悪化する傾向がある。
また、樹脂(A)の分散度(Mw/ポリスチレン換算数平均分子量)は、好ましくは1〜5、さらに好ましくは1〜3である。
【0012】
樹脂(A)は、例えば予め製造したアルカリ可溶性樹脂に1種以上の保護基を導入することによって製造できる。また、1種以上の保護基を有する単量体の(共)重合、1種以上の保護基を有する重縮合成分の(共)重縮合によって製造することもできる。樹脂(A)は、単独でまたは2種以上一緒に使用することができる。またこれらの樹脂(A)は、樹脂(A)と本発明における低分子化合物(C)の合計のうちの、好ましくは50〜98重量%、特に好ましくは70〜98重量%で配合される。
【0013】
前記アルカリ可溶性樹脂としては、アルカリ現像液と親和性を示す官能基として、カルボキシル基(酸性官能基)を有する、アルカリ現像液に可溶な樹脂が好ましく用いられる。
このようなアルカリ可溶性樹脂としては、酸性官能基を有する少なくとも1種の単量体(以下、「単量体(a)」という)の重合性二重結合が開裂した繰り返し単位を有する付加重合系樹脂(以下、「付加重合系樹脂」という)を挙げることができる。
【0014】
前記単量体(a)の具体例としては、例えば
i )4−カルボキシビニルナフタレン、5−カルボキシビニルナフタレン、4−カルボキシ−α−メチルビニルナフタレン、5−カルボキシ−α−メチルビニルナフタレン、4−カルボキシ−2−メトキシビニルナフタレン、5−カルボキシ−2−メトキシビニルナフタレン等のカルボキシル基を有するナフタレン誘導体;および
(ii)(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸等のカルボキシル基を有する鎖状の化合物、
を挙げることができる。
【0015】
このような付加重合系樹脂としては、カルボキシビニルナフタレン、カルボキシメチルビニルナフタレン、カルボメトキシビニルナフタレン、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸から選ばれる少なくとも1種の重合性二重結合が開裂した繰り返し単位を有する付加重合系樹脂が好ましい。
【0016】
前記付加重合系樹脂は、前記単量体(a)の重合性二重結合が開裂した繰り返し単位のみから構成されてもよいが、生成した樹脂がアルカリ可溶性である限りにおいて、カルボキシル基を有しない単量体(以下、「単量体(b)」という)である(メタ)アクリロイルオキシ基含有化合物の重合性二重結合が開裂した他の繰り返し単位をさらに有することもできる。
【0017】
このような単量体(b)の具体的な例としては、例え
(iii)(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸モノグリセロール、(メタ)アクリル酸トリシクロデカニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸ノルボニル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸アダマンチルオキシメチル等の(メタ)アクリロイルオキシ基含有化合
挙げることができる。
【0018】
本発明においては、レジストのアルカリ現像液に対するアルカリ溶解性を適宜調整する目的で、単量体(a)と単量体(b)とから得られる共付加重合系樹脂をアルカリ可溶性樹脂として用いることが特に好ましい。このような共付加重合系樹脂中における単量体(a)から誘導される繰り返し単位の含有率は、必要に応じて含有される他の繰り返し単位の種類により一概に規定できないが、通常2〜95モル%、さらに好ましくは、5〜80モル%である。
さらに前記付加重合系樹脂は、前記酸性官能基を有する単量体の付加(共)重合によって得る方法の他に、例えばt−ブチル基、t−ブトキシカルボニル基、アセチル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、カルボブトキシメチル基、カルボブトキシエチル基、カルボブトキシプロピル基、トリアルキルシリル基等の保護基で、カルボキシ基の水素原子を置換した官能基を有する単量体の重合性二重結合が開裂した繰り返し単位を有する付加重合系樹脂を得た後、その保護基を加水分解することにより、目的の付加重合系樹脂を得ることもできる。また、樹脂(A)は、前記の保護基を一部加水分解することによっても直接得ることができる。このような繰り返し単位を形成する単量体の具体的な例としては、例え
ix アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸t−ブチル等のカルボキシル基が保護基で保護された単量体を挙げることができる。
【0019】
前記付加重合系樹脂を製造するための付加(共)重合は、単量体(a)、必要に応じて用いる単量体(b)および反応煤質の種類に応じて、ラジカル重合開始剤、アニオン重合触媒、配位アニオン重合触媒、カチオン重合触媒等の重合開始剤あるいは重合触媒を適宜に選択し、塊状重合、溶液重合、沈殿重合、乳化重合、懸濁重合、塊状−懸濁重合等の適宜の重合形態で実施することができる。
【0020】
放射線性酸発生剤(B)
本発明に使用される感放射線性酸発生剤は、放射線照射(以下、「露光」という)により酸を発生する化合物である。この酸の作用によって、樹脂(A)に存在する特定の保護基が脱離し、その結果組成物の照射線照射部(以下、「露光部」という)がアルカリ現像液に対して易溶性となり、ポジ型のレジストパターンを形成することができる。このような感放射線性酸発生剤としては、例えばア)オニウム塩、イ)ハロゲン含有化合物、ウ)ジアゾケトン化合物、エ)スルホン化合物、オ)スルホン酸化合物等を挙げることができる。より具体的には以下の化合物を挙げることができる。
【0021】
ア)オニウム塩
ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、ピリジニウム塩等を挙げることができ、好ましくは、ジフェニルヨードニウムトリフレート、ジフェニルヨードニウムピレンスルホネート、ジフェニルヨードニウムドデシルベンゼンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフレート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムドデシルベンゼンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムナフタレンスルフォネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムトリフレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムナフタレンスルホネート、(ヒドロキシフェニル)ベンゼンメチルスルホニウムトルエンスルホネート、1−(ナフチルアセトメチル)チオラニウムトリフレート、シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウムトリフレート、ジシクロヘキシル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウムトリフレート、ジメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウムトリフレート等を挙げることができる。
【0022】
イ)ハロゲン含有化合物
ハロアルキル基含有炭化水素化合物、ハロアルキル基含有ヘテロ環状化合物等を挙げることができ、好ましくは、1,1−ビス(4−クロロフェニル)−2,2,2−トリクロロエタン、フェニル−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、ナフチル−ビス−(トリクロロメチル)−s−トリアジン等を挙げることができる。
【0023】
ウ)ジアゾケトン化合物
1,3−ジケト−2−ジアゾ化合物、ジアゾベンゾキノン化合物、ジアゾナフトキノン化合物等を挙げることができ、好ましくは、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニルクロリド、2,3,4,4−テトラヒドロベンゾフェノンの1、2ーナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンの1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル等を挙げることができる。
エ)スルホン化合物
β−ケトスルホン、βスルホニルスルホン等を挙げることができ、好ましくは、4−トリスフェナシルスルホン、メシチルフェナシルスルホン、ビス(フェニルスルホニル)メタン等を挙げることができる。
オ)スルホン酸化合物
アルキルスルホン酸エステル、アルキルスルホン酸イミド、ハロアルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、イミノスルホナート等を挙げることができ、好ましくは、ベンゾイントシレート、ピロガロールのトリストリフレート、ニトロベンジル−9,10−ジエトキシアントラセン−2−スルホネート、トリフルオロメタンスルホニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボジイミド、Nーヒドロキシスクシンイミドトリフレート、1,8ーナフタレンジカルボン酸イミドトリフレート等を挙げることができる。
【0024】
これらの感放射線性酸発生剤のなかでも、特にジフェニルヨードニウムトリフレート、ビス(4−tert-ブチルフェニル )ヨードニウムトリフレート、トリフェニルスルホニウムトリフレート、シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウムトリフレート、ジシクロヘキシル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウムトリフレート、ジメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウムトリフレート、1−(ナフチルアセトメチル)チオラニウムトリフレート、トリフルオロメタンスルホニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボジイミド、N−ヒドロキシスクシイミドトリフレート、1,8−ナフタレンジカルボン酸イミドトリフレート等が好ましい。
【0025】
これらの感放射線性酸発生剤は単独または2種以上一緒にて使用される。その使用量は、感度および現像性の維持の観点から、樹脂(A)と低分子化合物(C)の合計100重量部に対して通常0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜7重量部である。この場合、感放射線性酸発生剤の使用量が0.1重量部未満では、感度および現像性が低下する傾向があり、また10重量部を超えると、放射線の透過率が低下して、矩形のレジストパターンを得られ難くなる傾向がある。
【0026】
低分子化合物(C)
本発明において使用されるの低分子化合物は、親水性官能基を有し且つ炭素数5以上25以下のアリサイクリック系低分子化合物(以下、「化合物(イ)」という)である。
【0027】
化合物(イ)における親水性官能基としては、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基等が挙げられる。これらのうち、水酸基およびカルボキシル基が好ましい。
なお、化合物(イ)における炭素数は、5以上25以下であるが、好ましくは5以上20以下、さらに好ましくは10以上25以下、特に好ましくは5以上15以下である。
【0028】
化合物(イ)としては、例えば1−アダマンタノール、3−アダマンタノール、1−アダマンタンメタノール、3−アダマンタンメタノール、1,3−ジアダマンタノール、1−アダマンタンメタノール、3−アダマンタンメタノール、1,3−アダマンタンジメタノール、1−アダマンタンカルボン酸、3−アダマンタンカルボン酸、1,3−アダマンタンジカルボン酸、1−アダマンタン酢酸、3−アダマンタン酢酸、1,3−アダマンタンジ酢酸、3−メチル−2−ノルボルナンメタノール、ミルタノール、カンファリックアシッド、シス−ビシクロ[3.3.0]オクタン−2−カルボキシリックアシッド、2−ヒドロキシ−3−ピナノン、カンファニックアシッド、3−ヒドロキシ−4,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−酢酸、1,5−デカリンジオール、4,8−ビス(ヒドロキシ)トリシクロ[5.2.1.026]デカン、ボルネオール、1−ノルアダマンタンカルボン酸、3−ノルアダマンタンカルボン酸、2−ノルボルナン酢酸、2,3−ノルボルナンジオール、1,3−ノルボルナンジオール、2,5−ノルボルナンジオール、2,6−ノルボルナンジオール、4−ペンチルビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボン酸、ピナンジオール等を挙げることができる。これらのうち、1−アダマンタンメタノール、3−アダマンタンメタノール、1−アダマンタンカルボン酸、3−アダマンタン酢酸、シス−ビシクロ[3.3.0]オクタン−2−カルボキシリックアシッド、2−ヒドロキシ−3−ピナノン、カンファニックアシッド、3−ヒドロキシ−4,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−酢酸、1,5−デカリンジオール、4,8−ビス(ヒドロキシ)トリシクロ[5.2.1.026]デカン、2,3−ノルボルナンジオール、4−ペンチルビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボン酸等が好ましい。これらの化合物(イ)は、単独でもしくは2種以上一緒に使用することができる。化合物(イ)は、特にパターン形状を良好にするための効果がある。
【0032】
分子化合物(C)は、樹脂(A)と低分子化合物(C)の合計のうちの、好ましくは2〜50重量%、特に好ましくは2〜30重量%配合される。
【0033】
また、本発明の感放射線性樹脂組成物には、必要に応じてさらに各種添加剤を添加することができる。
この様な添加剤としては、例えば塗布性、現像性等を改良する作用を示す界面活性剤を挙げることができる。このような界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のノニオン系界面活性剤、市販品としては、例えばKP341(商品名、信越化学工業製)、ポリフローNo.75,No.95(商品名、共栄社油脂化学工業製)のほか、エフトップEF301、同EF303、同EF352(以上新秋田化成製)、メガファックF171、同F173(以上、大日本インキ製)、フロラードFC430、同FC431(以上、住友スリーエム製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(以上、旭硝子製)等が挙げられる。
【0034】
界面活性剤の配合量は、樹脂(A)と低分子化合物(C)の合計100重量部に対して、通常2重量部以下である。
本発明の感放射線性樹脂組成物には、感放射線性酸発生剤から発生する酸に対してルイス塩基として作用する化合物(以下、「ルイス塩基化合物」という)を添加することができる。これよりレジストパターンの側壁の垂直性をより効果的に改善することができる。
このようなルイス塩基化合物としては、例えば含窒素塩基性化合物、含窒素塩基性化合物の塩類、カルボン酸類、アルコール類等を挙げることができる。これらのうち、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリn−ブチルアミン、トリn−ヘキシルアミン、トリエタノールアミン、トリフェニルアミン、アニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、1−ナフチルアミン、2−ナフチルアミン、ジフェニルアミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ピロリジン、ピペリジン等のアミン化合物;イミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール、チアベンダゾール等のイミダゾール化合物;ピリジン、2−メチルピリジン、4−エチルピリジン、2−フェニルピリジン、4−フェニルピリジン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、キノリン、アクリジン等のピリジン化合物;プリン、1、3、5−トリアジン、トリフェニルトリアジン、1、2、3−トリアゾール、1、2、4−トリアゾール、ウラゾール等の含窒素複素環化合物の如き窒素塩基性化合物が好ましい。
これらのルイス塩基化合物の使用量は、感放射線性酸発生剤100重量部に対して、通常5重量部以下である。この場合、ルイス塩基化合物の使用量が5重量部を超えると、レジストとしての感度が低下する傾向がある。
またその他の添加剤としては、ハレーション防止剤、接着助剤、保存安定剤、消泡剤等が挙げられる。
【0035】
本発明の感放射線性樹脂組成物は、樹脂(A)、感放射線性酸発生剤(B)、低分子化合物(C)を含有し、必要に応じ各種添加剤等をさらに含有することができる。使用に際しては、例えば固形分濃度が5〜50重量%になるように溶剤に溶解した後、通常、例えば孔径0.2μm程度のフィルターで濾過することによって溶液として調製される。
【0036】
前記溶液の調製に使用される溶剤としては、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、シクロヘキサノン、2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸メチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルブチレート、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等が挙げられる。
【0037】
さらに前記溶剤は、必要に応じて、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、アセトニルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1−オクタノール、1−ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、蓚酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、フェニルセロソルブアセテート等の高沸点溶剤と併用することもできる。
これらの溶剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用される。
【0038】
レジストパターンの形成方法
本発明の感放射線性樹脂組成物を用いてレジストパターンを形成する際には、前記溶液として調製された組成物を、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の適宜の塗布手段によって、例えばシリコンウエハー、アルミニウムで被覆されたウエハー等の基板上に塗布することによりレジスト被膜を形成し、場合により予めプレベークを行ったのち、所定のレジストパターンを形成するように該レジスト被膜に露光する。この場合の放射線としては、好ましくはArFエキシマレーザー(193nm)が使用される。そして、この際の該レジスト被膜のArFエキシマレーザー光の透過率は、レジスト組成の所望の特性に応じて変わるが、レジスト被膜1μm換算で、好ましくは51〜90%、特に好ましくは51〜85%である。透過率が51%未満では、パターン形成、解像度等が悪化する傾向がある。
【0039】
本発明においては、露光後に加熱処理(以下「露光後ベーク」という)を行うことが好ましい。この露光後ベークにより、保護基の切断により、例えばカルボキシル基生成反応がレジスト被膜中にて円滑に進行する。そのベーク温度は、感放射線性樹脂組成物を構成する樹脂(A)、感放射線性酸発生剤(B)、低分子化合物(C)および各種添加剤の種類や配合量によって変わるが、通常30〜200℃であり、好ましくは50〜170℃である。
なお、本発明においては、感放射線性樹脂組成物の潜在能力を最大限に引き出すために、例えば特公平6−12452号公報等に開示されているように、使用される基板上に有機系あるいは無機系の反射防止膜を形成しておくこともでき、また、環境雰囲気中に含まれる塩基性不純物の影響を防止するため、例えば特開平5−188598号公報等に開示されているようにレジスト膜上に保護膜を設けることもでき、あるいはこれらの技術を併用することもできる。
【0040】
次いで、レジスト膜を現像液で現像することにより、レジストパターンを形成させる。
使用される現像液としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノナン等のアルカリ性化合物の少なくとも1種を溶解したアルカリ性水溶液が好ましい。該アルカリ性水溶液の濃度は、通常10重量%以下である。この場合、アルカリ性水溶液の濃度が10重量%を超えると未露光部も現像液に溶解し、好ましくない。
【0041】
また、前記アルカリ性水溶液からなる現像液には、例えば有機溶剤を添加することもできる。前記有機溶剤の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、3−メチル−2−シクロペンタノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン等のケトン類、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ブチルアルコール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、1,4−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジメチロール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソアミル等のエステル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、フェノール、アセトニルアセトン、ジメチルホルムアミド等を挙げることができる。これらの有機溶剤の使用量は、アルカリ性水溶液100容量部に対して100容量部以下が好ましい。この場合、有機溶剤の使用量が100容量部を超えると、現像性が低下し、露光部の現像残りが著しくなり好ましくない。
また、現像液には、界面活性剤等を適量添加することもできる。なお、アルカリ性水溶液からなる現像液で現像した後は、一般に水で洗浄して乾燥する。
【0042】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例および比較例における各測定は、下記の要領で行った。
【0043】
Mwおよび分散度:
東ソー(株)製GPCカラム(G2000HXL 2本、G3000HXL 1本、G4000HXL 1本)を用い、流量1.0ml/分、溶出溶媒テトラヒドロフラン、カラム温度40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフ法により測定した。
【0044】
放射線透過率:
感放射線性樹脂組成物を石英ガラス上にスピンコートにより塗布し、90℃にて保持したホットプレート上で1分間ベークして得た膜厚1μmのレジスト被膜について、波長193nmにおける吸光度から、透過率を算出して、遠紫外線領域における透明性の尺度とした。
【0045】
感度:
各組成物の溶液を、シリコンウエハ−上にスピナ−を用いて塗布したのち、100℃にて保持したホットプレ−ト上で、2分間予備焼成を行って、厚さ1.1μmのレジスト膜を形成した。このレジスト膜に、マスクパターンを介し、(株)ニコン製ArFエキシマレーザー露光機(レンズの開口数;0.55)を用い、露光量を変化させて、波長193nmのArFエキシマレーザーにより露光した。次いで、100℃に保持したホットプレート上で、1分間露光後焼成を行った後、0.238重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により、25℃で60秒間現像し、水洗し、乾燥してウェハー上にポジ型レジストパターンを形成した。その際、線幅0.30μmのライン・アンド・スペースパターン(1L1S)を1対1の幅に形成する露光量(最適露光量)を感度とした。
【0046】
解像度:
最適露光量で露光した時に解像されている最小のレジストパターンの寸法を解像度とした。
現像性:
スカムや現像残りの程度を、走査型電子顕微鏡を用いて調べた。
【0047】
パターン形状:
線幅0.30μmのライン・アンド・スペースパターン(1L1S)の方形状断面の下辺の寸法Laと上辺の寸法Lbとを走査型電子顕微鏡を用いて測定し、0.85≦Lb/La≦1である場合を、パターン形状が良好であるとした。但し、0.85≦Lb/La≦1であっても、パターン形状が裾を引いていたり、逆テーパー状となっている場合は、良好とはみなさなかった。
【0048】
合成例1−4
樹脂(A)の合成
合成例1
トリシクロデカニルメタクリレートとt−ブチルメタクリレートとメタクリル酸との共重合体、(A−1)の合成
三方活栓付き300mlナス型フラスコ中にアルゴンガス雰囲気下で、乾燥テトラヒドロフラン80ml中にトリシクロデカニルメタクリレート(以下、「TCDMA」と記す)15g(0.068mol)、t−ブチルメタクリレート(以下、「TBMA」と記す)11.58g(0.068mol)およびメタクリル酸(以下、「MAA」と記す)9.66g(0.034mol)を溶解した。TCDMA、TBMAおよびMAAの仕込み比は40:40:20(モル比)とした。そこへ重合開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル0.918g(0.0056mol)のテトラヒドロフラン溶液30mlを加え、60ないし70℃で1時間加熱し重合反応を行った。その後、反応溶液を1リットルのヘキサン中に注加することで、再沈を2回繰り返した。析出した重合体の沈殿を回収し、2mmHg、40℃で24時間減圧乾燥を行うことにより、TCDMAとTBMAとMAAとの共重合体(A−1)の白色粉末を15.0g得た。このときの共重合比は原料の仕込み比と同じであった。なお、共重合比は1H−NMR測定により求めた。Mwは49,600、分散度は2.17であった。
【0049】
合成例2
トリシクロデカニルメタクリレートとテトラヒドロピラニルメタクリレートとメタクリル酸との共重合体、(A−2)の合成
三方活栓付き300mlナス型フラスコ中にアルゴンガス雰囲気下で、乾燥テトラヒドロフラン80ml中にTCDMA18.8g(0.085mol)、テトラヒドロピラニルメタクリレート(以下、「THPMA」と記す)8.69g(0.051mol)およびMAA1.47g(0.017mol)を溶解した。TCDMA、THPMAおよびMAAの仕込みモル比は50:30:10とした。そこへ重合開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル0.918g(0.0056mol)のテトラヒドロフラン溶液30mlを加え、60ないし70℃で1時間加熱した。その後反応溶液を1リットルのヘキサン中に注加することで、再沈を2回繰り返した。析出した重合体の沈殿を回収し、2mmHg、40℃で24時間減圧乾燥を行うことにより、TCDMAとTHPMAとMAAとの共重合体(A−2)の白色粉末を16.5g得た。このときの共重合比は原料の仕込み比と同じであった。Mwは50,000、分散度は2.00であった。
【0050】
合成例3
トリシクロデカニルメタクリレートとt−ブトキシカルボニルメタクリレートとメタクリル酸との共重合体、(A−3)の合成
(1)アルカリ可溶性樹脂(a−1)の合成
三方活栓付き300mlナス型フラスコ中にアルゴンガス雰囲気下で、乾燥テトラヒドロフラン80ml中にTCDMA22.5g(0.102mol)、およびMAA5.88g(0.068mol)を溶解した。TCDMA、およびMAAの仕込みモル比は60:40とした。そこへ重合開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル0.918g(0.0056mol)のテトラヒドロフラン溶液30mlを加え、60ないし70℃で1時間加熱した。その後反応溶液を1リットルのヘキサン中に注加することで、再沈を2回繰り返した。析出した重合体の沈殿を回収し、2mmHg、40℃で24時間減圧乾燥を行うことにより、TCDMAとMAAとの共重合体(「(a−1)共重合体」と記す)の白色粉末を20.5g得た。このときの共重合比は原料の仕込み比と同じであった。Mwは15,000、分散度は1.90であった。
(2)保護基の導入
三方活栓付き300mlナス型フラスコ中にアルゴンガス雰囲気下で、乾燥ジオキサン80ml中に(a−1)共重合体28.4gにジ−t−ブチルジカーボネート10.30g(0.051mol)、トリエチルアミン5.15g(0.051mol)を溶解し60ないし70℃で7時間加熱攪拌した。その後反応溶液を1リットルのヘキサン中に注加することで、再沈を2回繰り返した。析出した重合体の沈殿を回収し、2mmHg、40℃で24時間減圧乾燥を行うことにより、TCDMA−t−ブトキシカルボニルメタクリレート−MAA共重合体(A−3)の白色粉末を18.0g得た。このときのTCDMA−:tーブトキシカルボニルメタクリレート:MAAのモル比は60:30:10であった。Mwは18,000、分散度は1.90であった。
【0051】
合成例4
4−ヒドロキシビニルナフタレンと4−(1’−エトキシエチル)ビニルナフタレンとの共重合体、(A−4)の合成
(1)アルカリ可溶性樹脂(a−2)の合成
三方活栓付き300mlナス型フラスコ中にアルゴンガス雰囲気下で、乾燥テトラヒドロフラン80ml中に4−ヒドロキシビニルナフタレン(以下、「4−HVN」と記す)11.56g(0.068mol)、を溶解した。そこへ重合開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル0.918g(0.0056mol)のテトラヒドロフラン溶液30mlを加え、60ないし70℃で8時間加熱した。その後反応溶液を1リットルのヘキサン中に注加することで、再沈を2回繰り返した。析出した重合体の沈殿を回収し、2mmHg、40℃で24時間減圧乾燥を行うことによりポリ(4−HVN)(以下、「(a−2)重合体」と記す)の白色粉末を10.0g得た。Mwは20,000、分散度は2.17であった。
(2)保護基の導入
三方活栓付き300mlナス型フラスコ中にアルゴンガス雰囲気下で、乾燥ジオキサン80ml中に(a−2)共重合体11.3gにエチルビニルエーテル1.47g(0.020mol)、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム0.265g(0.001mol)を入れ、室温で24時間撹拌した。その後反応溶液を、トリエチルアミンを用いて中和し、1リットルのヘキサン中に注加することで、再沈を2回繰り返した。析出した重合体の沈殿を回収し、2mmHg、40℃で24時間減圧乾燥を行うことにより、ポリ(4−HVN−4−(1’−エトキシエチル)ビニルナフタレン)共重合体(A−4)の白色粉末を10.0g得た。このときの4−HVN:4−(1’−エトキシエチル)ビニルナフタレンのモル比は70:30であった。Mwは21,000、分散度は2.10であった。
【0052】
実施例1−、比較例1−2
前記合成例で合成された樹脂(A)ならびに感放射線性酸発生剤(B)、低分子化合物(C)および溶剤を混合して、均一溶液とした後、孔径0.2μmのメンブランフィルターでろ過し、表1に示す組成物の溶液を調製した。ここで部は重量に基づく。
ここで使用した樹脂(A)ならびに感放射線性酸発生剤(B)、低分子化合物(C)および溶剤の種類は下記のとおりである。
【0053】
感放射線性酸発生剤(B)
(B−1);シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウムトリフレート
(B−2);トリフルオロメタンスルホニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボジイミド
(B−3);1,8−ナフタレンジカルボン酸イミドトリフレート
低分子化合物(C)
(C−1);1−アダマンタンカルボン酸
(C−2);4,8−ビス(ヒドロキシ)トリシクロ[5.2.1.026]デカ

α;2−ヘプタノン
β;2−ヒドロキシプロピオン酸エチル
【0054】
【表1】
Figure 0003743986
【0055】
上記各組成物の性能を下記表2に示した。
なお、実施例1〜および比較例1〜2のすべてにおいて、残膜率は96%以上であった。
【0056】
【表2】
Figure 0003743986
【0057】
【発明の効果】
本発明の感放射線性樹脂組成物は、レジストとしての遠紫外線透過性のコントロールを十分行うことができ、定在波およびハレーションの低減が大きく、現像性、パターン形状等の良好な、かつ十分なドライエッチング耐性を有する。従って、本発明の感放射線性樹脂組成物は、特に、今後さらに、高集積化が進むと考えられる集積回路製造用の化学増幅型レジストとして極めて有用である。
【0058】
本発明の好ましい態様を記載すれば以下のとおりである。
1. (A)酸の作用により保護基を脱離してアルカリ可溶性となる樹脂、ここで酸の作用により保護基を脱離してアルカリ可溶性となる樹脂はアルカリ現像液に可溶である樹脂中のアルカリ現像液と親和性を示す官能基がカルボキシル基でありそしてその水素原子の少なくとも1部を、酸の作用により容易に脱離する1種以上の保護基で置換した、それ自体としてはアルカリ不溶性またはアルカリ難溶性の樹脂であり、また上記アルカリ現像液に可溶である樹脂が、カルボキシル基を有する少なくとも1種の単量体の重合性二重結合が開裂した繰返し単位のみからなるかあるいはそれとカルボキシル基を有しない単量体の重合性二重結合が開裂した繰返し単位からなる付加重合系樹脂でありそして該カルボキシル基を有しない単量体が(メタ)アクリロイルオキシ基含有化合物である、
(B)感放射線性酸発生剤および
(C)親水性官能基を有し且つ炭素数5以上25以下のアリサイクリック系低分子化合物を含有しそしてArFエキシマレーザー光の透過率がレジスト被膜1μm換算で35〜90%であるArFエキシマレーザー光照射用感放射線性樹脂組成物。
. 酸の作用により脱離する保護基がt−ブチル基、t−ブトキシカルボニル基、アセチル基、1−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基、1−ブトキシエチル基、1−ペントキシエチル基、テトラヒドロピラニル基、メチルテトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、メチルテトラヒドロフラニル基、カルボブトキシメチル基、カルボブトキシエチル基、カルボブトキシプロピル基およびトリアルキルシリル基よりなる群から選ばれる上記1に記載の樹脂組成物。
. 酸の作用により保護基を脱離してアルカリ可溶性となる樹脂が、アルカリ現像液に可溶である樹脂中のアルカリ現像液と親和性を示す官能基の水素原子の15〜100モル%が、保護基で置換されている上記に記載の樹脂組成物。
. アルカリ現像液に可溶である樹脂が、酸性官能基を有する少なくとも1種の単量体またはそれと酸性官能基を有さない単量体の重合性二重結合が開裂した繰返し単位からなる重合体または共重合体である上記に記載の樹脂組成物。
. 感放射線性酸発生剤が、オニウム塩、ハロゲン含有化合物、ジアゾケトン化合物、スルホン化合物またはスルホン酸化合物である上記1に記載の樹脂組成物。

Claims (2)

  1. (A)酸の作用により保護基を脱離してアルカリ可溶性となる樹脂、ここで酸の作用により保護基を脱離してアルカリ可溶性となる樹脂はアルカリ現像液に可溶である樹脂中のアルカリ現像液と親和性を示す官能基がカルボキシル基でありそしてその水素原子の少なくとも1部を、酸の作用により容易に脱離する1種以上の保護基で置換した、それ自体としてはアルカリ不溶性またはアルカリ難溶性の樹脂であり、また上記アルカリ現像液に可溶である樹脂が、カルボキシル基を有する少なくとも1種の単量体の重合性二重結合が開裂した繰返し単位のみからなるかあるいはそれとカルボキシル基を有しない単量体の重合性二重結合が開裂した繰返し単位からなる付加重合系樹脂でありそして該カルボキシル基を有しない単量体が(メタ)アクリロイルオキシ基含有化合物である、
    (B)感放射線性酸発生剤および
    (C)親水性官能基を有し且つ炭素数5以上25以下のアリサイクリック系低分子化合物を含有しそしてArFエキシマレーザー光の透過率がレジスト被膜1μm換算で51〜90%であることを特徴とするArFエキシマレーザー光露光用感放射線性樹脂組成物。
  2. 親水性官能基を有し且つ炭素数5以上25以下のアリサイクリック系低分子化合物が1−アダマンタンメタノール、1−アダマンタンカルボン酸、3−アダマンタン酢酸、シス−ビシクロ[3.3.0]オクタン−2−カルボキシリックアシッド、2−ヒドロキシ−3−ピナノン、カンファニックアシッド、3−ヒドロキシ−4,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−酢酸、1,5−デカリンジオール、4,8−ビス(ヒドロキシ)トリシクロ[5.2.1.026]デカン、2,3−ノルボルナンジオールまたは4−ペンチルビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボン酸である請求項1に記載の感放射線性樹脂組成物。
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