JP3968509B2 - 感放射線性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は感放射線性樹脂組成物に関する。本発明の感放射線性樹脂組成物は、特に今後微細化が進行する集積回路素子の製造に極めて好適に使用することができる。
【0002】
【従来の技術】
最近、集積回路素子の製造に代表される微細加工の分野では、より高い集積度を得るために、0.20μm以下のレベルでの微細加工が可能なリソグラフィー技術が必要とされている。そして、従来のリソグラフィープロセスでは、一般に放射線としてi線等の近紫外線が用いられているが、この近紫外線では、サブクオーターミクロンレベルの微細加工が極めて困難であると言われている。そこで、0.20μm以下のレベルでの微細加工を可能とするために、より波長の短い放射線の利用が検討されている。このような短波長の放射線としては、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、X線、電子線等を挙げることができる。そして、これらのうち、特にKrFエキシマレーザー(波長248nm)あるいはArFエキシマレーザー(波長193nm)が注目されている。
【0003】
このようなエキシマレーザーによる照射に適したレジストとして、酸解離性基を有する成分と、活性光線又は放射線の照射(以下、「露光」という。)により酸を発生する成分(以下、「酸発生剤」という。)とによる化学増幅効果を利用したレジスト(以下、「化学増幅型レジスト」という。)が数多く提案されている。例えば、特開昭59−45439号公報には、カルボン酸をt−ブトキシカルボニル基で保護した重合体又はフェノール性水酸基をt−ブトキシカルボニル基で保護した重合体と、酸発生剤と、を含有するレジストが提案されている。該レジストは、露光により発生した酸の作用により、重合体中のt−ブトキシカルボニル基が解離する。その結果、該重合体はカルボキシル基又はフェノール性水酸基からなる酸性基を有するようになり、レジスト被膜の露光領域がアルカリ現像液に易溶性となるという現象を利用したものである。そして、従来の化学増幅型レジストの多くは、フェノール系樹脂をベースとしている。
【0004】
しかし、フェノール系樹脂をベースとする化学増幅型レジストの場合、放射線として遠紫外線を使用すると、樹脂中の芳香族環に起因して遠紫外線が吸収されるため、露光された遠紫外線がレジスト被膜の下層部まで十分に到達できないという欠点がある。そのため、露光量がレジスト被膜の上層部では多く、下層部では少なくなり、その結果、現像後のレジストパターンの上部が細く下部にいくほど太い台形状になり、十分な解像度が得られない等の問題が生じる。このように現像後のレジストパターンが台形状となった場合、次の工程、即ち、エッチングやイオンの打ち込み等を行う際に、所望の寸法精度が達成できずに問題となる。また、レジストパターン上部の形状が矩形でないと、ドライエッチングによるレジストの消失速度が速くなり、エッチング条件の制御が困難になる問題もある。
【0005】
一方、レジストパターンの形状は、レジスト被膜の放射線透過率を高めることにより改善することができる。例えば、ポリメチルメタクリレートに代表される(メタ)アクリレート系樹脂は、遠紫外線に対しても透明性が高く、放射線透過率の観点から非常に好ましい樹脂であり、特開平4−226461号公報には、メタクリレート系樹脂を使用した化学増幅型レジストが提案されている。しかし、この組成物は微細加工性能の点では優れているものの、芳香族環を有しないため、ドライエッチング耐性が低いという欠点がある。よって、この場合も高精度のエッチング加工を行うことが困難であり、放射線に対する透明性とドライエッチング耐性とを兼ね備えたものとは言えない。
【0006】
また、化学増幅型レジストの放射線に対する透明性を損うことなくドライエッチング耐性を改善する方法の一つとして、レジスト中の樹脂成分に、芳香族環に代えて脂肪族環を導入する方法が知られている。例えば、特開平7−234511号公報には、脂肪族環を有する(メタ)アクリレート系樹脂を使用した化学増幅型レジストが提案されている。
【0007】
しかしながら、化学増幅型レジストにおいては、酸解離性基がレジストの機能に大きな影響を及ぼすことが知られている。即ち、今日では、露光により発生した酸により解離する保護基の解離反応速度がレジスト性能、例えば、感度、解像度、露光マージン、フォーカス許容性等に大きく影響を及ぼすことが知られている。例えば、酸により比較的解離し易い基(例えば、テトラヒドロピラニル基等のアセタール系官能基等)を有する樹脂成分では、化学増幅型レジストの基本物性、特に感度やパターン形状は良好であるが、組成物としての保存安定性に難点がある。一方、酸により比較的解離し難い基(例えば、t−ブチル基、t−ブトキシカルボニル基等のt−ブチル系官能基等)を有する樹脂成分では、逆に保存安定性は良好であるが、化学増幅型レジストの基本物性、特に感度やパターン形状が損なわれるという欠点がある。また、化学増幅型レジスト中の樹脂成分に脂肪族環が導入されている場合、樹脂自体の疎水性が非常に高くなり、基板に対する接着性の面でも問題がある。
【0008】
更に、化学増幅型レジストを用いてレジストパターンを形成する際には、酸解離性基の解離を促進するため、通常、露光後に加熱処理されるが、普通、その加熱温度が変化するとレジストパターンの線幅もある程度変動するのが避けられない。しかし、近年における集積回路素子の微細化を反映して、露光後の加熱温度の変化に対しても線幅の変動(即ち、温度依存性)が小さいレジストの開発も強く求められるようになってきた。
【0009】
このような状況の下、集積回路素子における微細化の進行に対応しうる技術開発の観点から、露光マージンやフォーカス許容性等の露光ウインドウの点で優れ、且つ、パターン形状等のレジストとしての基本物性に優れた化学増幅型レジストの開発が強く求められていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、露光マージンやフォーカス許容性等の露光ウインドウの点で優れると共に、パターン形状、エッチング耐性等、レジストとしての基本物性にも優れた化学増幅型レジストとして有用な感放射線性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の感放射線性樹脂組成物は、(A)酸解離性基の解離によりアルカリ可溶性となる酸解離性基含有樹脂(以下、「樹脂(A)」という。)と、(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生させる化合物(以下、「酸発生剤(B)」という。)と、(C)フェノール性化合物と、を含有する感放射線性樹脂組成物であって、
上記(A)酸解離性基含有樹脂が、繰り返し単位として下記一般式(1)〜(4)のうちの少なくとも1種を有する樹脂であり、
上記(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生させる化合物が、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネートであり、
上記(C)フェノール性化合物が、下記式(C−1)〜(C−3)のうちの少なくとも1種であることを特徴とする。
【化3】
【化4】
[上記一般式(1)〜(3)中、R 1 、R 3 及びR 5 は水素原子又はメチル基を示し、R 2 、R 4 及びR 6 は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状アルキル基を示す。また、上記一般式(4)中、R 7 は水素原子又はメチル基を示し、R 8 及びR 9 は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状アルキル基を示し、R 8 及びR 9 は相互に結合した環状構造を有していてもよい。]
【0012】
【発明の効果】
本発明の感放射線性樹脂組成物は、上記構成を備えることにより、例えばKrFエキシマレーザーやArFエキシマレーザーに代表される遠紫外線に感応する化学増幅型レジストとして、高い透明性、解像度及びドライエッチング耐性を有すると共に、特に高い露光マージンを発現する。また、レジストとした場合の感度及びパターン形状、並びに基板に対する接着性が良好である。本発明の感放射線性樹脂組成物は、今後微細化が進行すると予想される集積回路素子の製造に極めて好適に使用できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について更に詳細に説明する。
<1>樹脂(A)
本発明の上記樹脂(A)は、酸解離性基を含有し、酸の作用により上記酸解離性基が解離することによってアルカリ可溶性となる樹脂である。上記樹脂(A)は、上記酸解離性基が解離する前はアルカリ不溶性又はアルカリ難溶性である。ここで、上記「アルカリ不溶性又はアルカリ難溶性」とは、この樹脂を含有する感放射線性樹脂組成物から形成されたレジスト被膜からレジストパターンを形成する際に採用されるアルカリ現像条件下で、該レジスト被膜の代わりに樹脂のみを用いた被膜を現像した場合に、該被膜の初期膜厚の50%以上が現像後に残存する性質を意味する。
【0014】
上記樹脂(A)中に含まれる上記酸解離性基は、酸の作用により保護基が解離し、その結果、上記樹脂(A)をアルカリ可溶性とすることができる基である。
【0015】
上記樹脂(A)は、下記一般式(1)〜(4)のうちの少なくとも1種を繰り返し単位として有する構造である。
【0016】
【化2】
【0017】
上記一般式(1)〜(3)中、R1、R3及びR5は水素原子又はメチル基を示し、R2、R4及びR6は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状アルキル基を示す。また、上記式(4)中、R7は水素原子又はメチル基を示し、R8及びR9は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状アルキル基を示し、R8及びR9は相互に結合した環状構造を有していてもよい。ここで、上記炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。かかる構成を有することにより、バランスのとれたレジスト性能を有する組成物が得られることから好ましい。
【0018】
また、上記一般式(1)〜(4)の繰り返し単位のうち、好ましい繰り返し単位としては、以下の構造のものが例示される。
【0019】
【化3】
【0020】
上記樹脂(A)中で上記一般式(1)〜(4)で示される繰り返し単位が占める割合については特に限定はなく、必要に応じて種々の割合とすることができる。通常は、上記樹脂(A)中10〜60モル%、好ましくは10〜50モル%、更に好ましくは20〜50モル%である。上記一般式(1)〜(4)で示される繰返し単位の割合を10モル%以上とすると、レジストとした際の現像性や基板への接着性を向上させることができるので好ましく、一方、60モル%以下とすると、レジストとしての解像度を向上させることができるので好ましい。
【0023】
また、上記樹脂(A)は、上記酸解離性基を有する繰り返し単位以外の繰り返し単位(以下、「他の繰り返し単位」という。)を1種以上有していてもよい。上記他の繰り返し単位を与える重合性不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸ノルボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカニル、(メタ)アクリル酸テトラシクロデカニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシアダマンチル、(メタ)アクリル酸アダマンチルメチル等の有橋式炭化水素骨格を有する(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸カルボキシノルボルニル、(メタ)アクリル酸カルボキシトリシクロデカニル、(メタ)アクリル酸カルボキシテトラシクロデカニル等の不飽和カルボン酸の有橋式炭化水素骨格を有するカルボキシル基含有エステル類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−メチルプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸シクロプロピル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸4−メトキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−シクロペンチルオキシカルボニルエチル、(メタ)アクリル酸2−シクロヘキシルオキシカルボニルエチル、(メタ)アクリル酸2−(4−メトキシシクロヘキシル)オキシカルボニルエチル等の有橋式炭化水素骨格を持たない(メタ)アクリル酸エステル類:α−ヒドロキシメチルアクリル酸メチル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸エチル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸n−プロピル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸n−ブチル等のα−ヒドロキシメチルアクリル酸エステル類;(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、クロトンニトリル、マレインニトリル、フマロニトリル、メサコンニトリル、シトラコンニトリル、イタコンニトリル等の不飽和ニトリル化合物;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、クロトンアミド、マレインアミド、フマルアミド、メサコンアミド、シトラコンアミド、イタコンアミド等の不飽和アミド化合物;N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−ビニル−ε−カプロラクタム、N−ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール等の他の含窒素ビニル化合物;(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、メサコン酸等の不飽和カルボン酸(無水物)類;(メタ)アクリル酸2−カルボキシエチル、(メタ)アクリル酸2−カルボキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−カルボキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−カルボキシブチル、(メタ)アクリル酸4−カルボキシシクロヘキシル等の不飽和カルボン酸の有橋式炭化水素骨格を持たないカルボキシル基含有エステル類;α−(メタ)アクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン、α−(メタ)アクリロイルオキシ−β−フルオロ−γ−ブチロラクトン、α−(メタ)アクリロイルオキシ−β−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトン、α−(メタ)アクリロイルオキシ−β−メチル−γ−ブチロラクトン、α−(メタ)アクリロイルオキシ−β−エチル−γ−ブチロラクトン、α−(メタ)アクリロイルオキシ−竅Cβ−ジメチル−γ−ブチロラクトン、α−(メタ)アクリロイルオキシ−β−メトキシ−γ−ブチロラクトン、β−(メタ)アクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン、α−フルオロ−β−(メタ)アクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン、α−ヒドロキシ−β−(メタ)アクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン、α−メチル−β−(メタ)アクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン、α−エチル−β−(メタ)アクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン、α,α−ジメチル−β−(メタ)アクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン、α−メトキシ−β−(メタ)アクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン、α−(メタ)アクリロイルオキシ−δ−メバロノラクトン等の酸解離性基を持たない(メタ)アクリロイルオキシラクトン化合物等の単官能性単量体や、1,2−アダマンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−アダマンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−アダマンタンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニルジメチロールジ(メタ)アクリレート等の有橋式炭化水素骨格を有する多官能性単量体;メチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ビス(2−ヒドロキシプロピル)ベンゼンジ(メタ)アクリレート、1,3−ビス(2−ヒドロキシプロピル)ベンゼンジ(メタ)アクリレート等の有橋式炭化水素骨格を持たない多官能性単量体等の多官能性単量体を挙げることができる。
【0024】
上記樹脂(A)の分子量については特に限定はないが、通常は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(以下、「GPC」という。)によるポリスチレン換算重量平均分子量(以下、「Mw」という。)で3000〜30000、好ましくは4000〜30000、更に好ましくは4000〜25000、特に好ましくは5000〜25000、最も好ましくは5000〜20000である。上記樹脂(A)のMwを3000以上とすると、レジストとした際の耐熱性をより向上させることができ、30000以下とすると、レジストとした際の現像性をより向上させることができるので好ましい。また、上記樹脂(A)のMwと、GPCによるポリスチレン換算数平均分子量(以下、「Mn」という。)との比(Mw/Mn)についても、必要に応じて種々の値とすることができる。通常は、この比が1〜5、好ましくは1〜4、更に好ましくは1〜3である。
【0025】
上記樹脂(A)の製造方法は特に限定はないが、通常は、ヒドロパーオキシド類、ジアルキルパーオキシド類、ジアシルパーオキシド類、アゾ化合物、遷移金属触媒等と共にラジカル重合開始剤を使用し、必要に応じて連鎖移動剤の存在下、適当な溶媒中で各繰返し単位に対応する重合性不飽和単量体を重合することにより得ることができる。上記重合における反応条件としては、例えば、反応温度は通常0〜120℃、好ましくは0〜90℃とすることができ、また、反応時間は、通常1〜48時間、好ましくは1〜24時間とすることができる。
【0026】
また、上記重合に使用される溶媒としては、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン及びn−デカン等のアルカン類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のアルキルケトン類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン及びノルボルナン等のシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン及びクメン等の芳香族炭化水素類;クロロブタン類、ブロモヘキサン類、ジクロロエタン類、ヘキサメチレンジブロミド及びクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル及びプロピオン酸メチル等の飽和カルボン酸エステル類;テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン類及びジエトキシエタン類等のエーエル類等を挙げることができる。これらの溶媒は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0027】
更に、上記樹脂(A)は、ハロゲン、金属等の不純物が少ないほど、レジストとした場合の感度、解像度、プロセス安定性及びパターン形状等をさらに改善することができるので好ましい。そこで、上記樹脂(A)を製造後、不純物を除去するための精製を行うことが好ましい。上記樹脂(A)の精製法としては、例えば、再沈殿、水洗、液々抽出等の化学的精製法や、これらの化学的精製法と限外ろ過、遠心分離等の物理的精製法との組み合わせ等を挙げることができる。
【0028】
<2>酸発生剤(B)
本発明の上記酸発生剤(B)は、露光により酸を発生させるという作用を有するものである。そして、その酸の作用によって、上記樹脂(A)中の上記酸解離性基を解離させてレジスト被膜の露光部をアルカリ現像液に易溶性とし、ポジ型のレジストパターンを形成することができる。上記酸発生剤(B)としては220nm以下の波長の活性光線又は放射線の照射により酸を発生することができる化合物である1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネートが用いられる。
【0035】
上記酸発生剤(B)の含有量は、上記樹脂(A)100質量部に対して好ましくは0.1〜20質量部、より好ましくは0.5〜20質量部、更に好ましくは0.5〜10質量部である。この含有量の合計を0.1質量部以上とすると、感度及び現像性の低下を防止することができるので好ましく、一方、20質量部以下とすると、放射線に対する透明性の低下を防止して、矩形のレジストパターンが得られ易くなるので好ましい。
【0036】
<3>フェノール性化合物(C)
本発明の上記フェノール性化合物(C)は、露光部分の溶解性及び上記酸発生剤(B)からの酸発生効率を高める効果を有しており、本発明の感放射線性樹脂組成物の高感度化に有効である。また、一般にフェノール性化合物は193nmに吸収を有することから、本発明の上記フェノール性化合物(C)は、パターニング後のレジスト形状を制御する際にも有用である。
【0037】
上記フェノール性化合物(C)は、ベンゼン環に水酸基を有する構造を持つ化合物であり、下記式(C−1)〜(C−3)のうちの少なくとも1種である。
【化5】
【0046】
<4>その他の成分
本発明の感放射線性樹脂組成物には、酸拡散制御剤を配合することができる。該酸拡散制御剤は、露光により上記酸発生剤(B)から生じる酸のレジスト被膜中における拡散現象を制御し、非露光領域における好ましくない化学反応を抑制する作用を有する。よって、上記酸拡散制御剤を配合することにより、得られる感放射線性樹脂組成物の貯蔵安定性がさらに向上させることができる。また、上記酸拡散制御剤を配合することにより、レジストとしての解像度がさらに向上させると共に、露光から現像処理までの引き置き時間(PED)の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができる。その結果、プロセス安定性に極めて優れた感放射線性樹脂組成物が得られるので好ましい。
【0047】
上記酸拡散制御剤としては、レジストパターンの形成工程中の露光や加熱処理により塩基性が変化しない含窒素有機化合物が好ましい。上記含窒素有機化合物としては、例えば、下記一般式(10)で表される化合物(以下、「含窒素化合物(イ)」という。)、同一分子内に窒素原子を2個有する化合物(以下、「含窒素化合物(ロ)」という。)、窒素原子を3個以上有するポリアミノ化合物や重合体(以下、これらをまとめて「含窒素化合物(ハ)」という。)、アミド基含有化合物、ウレア化合物及び含窒素複素環化合物等を挙げることができる。そして、これらの含窒素有機化合物のうち、含窒素化合物(イ)、含窒素化合物(ロ)及び含窒素複素環化合物が好ましい。また、上記酸拡散制御剤は、1種単独で用いてもよく、また、2種以上を併用してもよい。
【0048】
【化12】
【0049】
上記一般式(10)において、各R10、R11及びR12は相互に独立に水素原子、置換若しくは非置換の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基又は置換若しくは非置換のアラルキル基を示す。ここで、置換若しくは非置換の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基としては、例えば、炭素数1〜12、好ましくは1〜6のものが挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
【0050】
上記含窒素化合物(イ)は、具体的には、例えば、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、シクロヘキシルアミン等のモノ(シクロ)アルキルアミン類;ジ−n−ブチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、ジ−n−ヘキシルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジ−n−ノニルアミン、ジ−n−デシルアミン、シクロヘキシルメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジ(シクロ)アルキルアミン類;トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、メチルジシクロヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン等のトリ(シクロ)アルキルアミン類;アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、ナフチルアミン等の芳香族アミン類等が挙げられる。
【0051】
上記含窒素化合物(ロ)は、具体的には、例えば、エチレンジアミン、N,N,N',N’−テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,4−ビス〔1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル〕ベンゼン、1,3−ビス〔1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル〕ベンゼン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス(2−ジエチルアミノエチル)エーテル等が挙げられる。
【0052】
上記含窒素化合物(ハ)は、例えば、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、2−ジメチルアミノエチルアクリルアミドの重合体等が挙げられる。
【0053】
上記アミド基含有化合物は、具体的には、例えば、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−オクチルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−ノニルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−デシルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジシクロヘキシルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−1−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−N−メチル−1−アダマンチルアミン、N,N−ジ−t−ブトキシカルボニル−1−アダマンチルアミン、N,N−ジ−t−ブトキシカルボニル−N−メチル−1−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニルヘキサメチレンジアミン、N,N,N’N’−テトラ−t−ブトキシカルボニルヘキサメチレンジアミン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,7−ジアミノヘプタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,8−ジアミノオクタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,9−ジアミノノナン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,10−ジアミノデカン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,12−ジアミノドデカン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N−t−ブトキシカルボニルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−メチルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−フェニルベンズイミダゾール等のN−t−ブトキシカルボニル基含有アミノ化合物の他、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
【0054】
上記ウレア化合物は、具体的には、例えば、尿素、メチルウレア、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、1,1,3,3−テトラメチルウレア、1,3−ジフェニルウレア、トリ−n−ブチルチオウレア等が挙げられる。
【0055】
上記含窒素複素環化合物は、具体的には、例えば、イミダゾール、ベンズイミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−フェニルベンズイミダゾール等のイミダゾール類;ピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−エチルピリジン、4−エチルピリジン、2−フェニルピリジン、4−フェニルピリジン、2−メチル−4−フェニルピリジン、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、キノリン、4−ヒドロキシキノリン、8−オキシキノリン、アクリジン等のピリジン類;ピペラジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン等のピペラジン類のほか、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、キノザリン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、モルホリン、4−メチルモルホリン、1,4−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
【0056】
上記酸拡散制御剤の配合量は、上記樹脂(A)100質量部に対して、通常15質量部以下、好ましくは10質量部以下、更に好ましくは8質量部以下、より好ましくは5質量部以下、特に好ましくは0.001〜5質量部、最も好ましくは0.2〜5質量部である。上記酸拡散制御剤の配合量を15重量部以下とすることにより、レジストとしての感度や露光部の現像性の低下を抑制することができるので好ましい。また、上記酸拡散制御剤の配合量を0.001重量部以上とすることにより、プロセス条件によるレジストとしてのパターン形状や寸法忠実度の低下を抑制することができるので好ましい。
【0057】
また、本発明の感放射線性樹脂組成物には、酸解離性基を有する脂環族添加剤を1種又は2種以上を併用配合することができる。該脂環族添加剤はドライエッチング耐性、パターン形状、基板との接着性等をさらに改善する作用を示す。ここで、「酸解離性基」とは、酸の作用により保護基が解離する基であり、例えば、酸の作用によって解離してカルボキシル基、ヒドロキシル基、スルホン酸基等を形成する基が挙げられる。上記脂環族添加剤を配合する場合、その配合量は、上記樹脂(A)100質量部に対して、通常50質量部以下、好ましくは40質量部以下、更に好ましくは30質量部以下である。上記脂環族添加剤の配合量を50質量部以下とすることにより、レジストとしての耐熱性の低下を防ぐことができるので好ましい。
【0058】
上記脂環族添加剤としては、例えば、1−アダマンタンカルボン酸t−ブチル、1−アダマンタンカルボン酸t−ブトキシカルボニルメチル、1,3−アダマンタンジカルボン酸ジ−t−ブチル、1−アダマンタン酢酸t−ブチル、1−アダマンタン酢酸t−ブトキシカルボニルメチル、1,3−アダマンタンジ酢酸ジ−t−ブチル、2,5−ジメチル−2,5−ジ(アダマンチルカルボニルオキシ)−n−ヘキサン等のアダマンタン誘導体類;デオキシコール酸t−ブチル、デオキシコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、デオキシコール酸2−エトキシエチル、デオキシコール酸2−シクロヘキシルオキシエチル、デオキシコール酸3−オキソシクロヘキシル、デオキシコール酸テトラヒドロピラニル、デオキシコール酸メバロノラクトンエステル等のデオキシコール酸エステル類;リトコール酸t−ブチル、リトコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、リトコール酸2−エトキシエチル、リトコール酸2−シクロヘキシルオキシエチル、リトコール酸3−オキソシクロヘキシル、リトコール酸テトラヒドロピラニル、リトコール酸メバロノラクトンエステル等のリトコール酸エステル類等が挙げられる。
【0059】
また、本発明の感放射線性樹脂組成物には、界面活性剤を配合することができる。該界面活性剤は、塗布性、現像性等を改良する作用を示す。上記界面活性剤を配合する場合、その配合量は、上記樹脂(A)及び酸発生剤(B)の合計100質量部に対して、通常2質量部以下、好ましくは1.5質量部以下、更に好ましくは1質量部以下である。また、上記界面活性剤は、1種単独で用いてもよく、また、2種以上を併用してもよい。
【0060】
上記界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のノニオン系界面活性剤のほか、以下商品名で、KP341(信越化学工業(株)製)、ポリフローNo.75,同No.95(共栄社化学(株)製)、エフトップEF301,同EF303,同EF352(トーケムプロダクツ(株)製)、メガファックスF171,同F173(大日本インキ化学工業(株)製)、フロラードFC430,同FC431(住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG710,サーフロンS−382,同SC−101,同SC−102,同SC−103,同SC−104,同SC−105,同SC−106(旭硝子(株)製)等が挙げられる。
【0061】
更に、上記以外の添加剤についても、本発明の目的を阻害しない範囲で、必要に応じて適宜配合することができる。上記以外の添加剤としては、例えば、ハレーション防止剤、接着助剤、保存安定化剤、消泡剤等を配合することができる。
【0062】
<5>感放射線性樹脂組成物溶液の調製
本発明の感放射線性樹脂組成物は、通常はその使用に際して溶剤に溶解し、その後、必要に応じて、孔径0.2μmのフィルター等でろ過することにより、感放射線性樹脂組成物溶液として調製される。該感放射線性樹脂組成物溶液中の本発明の感放射線性樹脂組成物の濃度は、通常、全固形分濃度が5〜50質量%、好ましくは5〜40質量%、より好ましくは5〜30質量%、特に好ましくは5〜25重量%である。
【0063】
上記溶剤としては、例えば、2−ブタノン、2−ペンタノン、3−メチル−2−ブタノン、2−ヘキサノン、4−メチル−2−ペンタノン、3−メチル−2−ペンタノン、3,3−ジメチル−2−ブタノン、2−ヘプタノン、2−オクタノン等の直鎖状又は分岐状のケトン類;シクロペンタノン、3−メチルシクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−メチルシクロヘキサノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン、イソホロン等の環状のケトン類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−i−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−i−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−sec−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシプロピオン酸n−プロピル、2−ヒドロキシプロピオン酸i−プロピル、2−ヒドロキシプロピオン酸n−ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸i−ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸sec−ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸t−ブチル等の2−ヒドロキシプロピオン酸アルキル類;3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル等の3−アルコキシプロピオン酸アルキル類の他、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、トルエン、キシレン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸メチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、3−メチル−3−メトキシブチルブチレート、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ベンジルエチルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、カプロン酸、カプリル酸、1−オクタノール、1−ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、しゅう酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン等が挙げられる。
【0064】
就中、直鎖状又は分岐状のケトン類、環状のケトン類、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、2−ヒドロキシプロピオン酸アルキル類及び3−アルコキシプロピオン酸アルキル類が塗布性及び溶剤に対する組成物の溶解性の点から好ましい。また、上記溶剤は、1種単独で用いてもよく、また、2種以上を併用してもよい。
【0065】
<6>レジストパターンの形成方法
本発明の感放射線性樹脂組成物は、特に化学増幅型レジストとして有用である。上記化学増幅型レジストでは、露光により酸発生剤(B)から発生した酸の作用によって、樹脂(A)中の酸解離性基の保護基が解離する。これにより、レジストの露光部のアルカリ現像液に対する溶解性が高くなる。その結果、上記露光部がアルカリ現像液によって溶解、除去され、ポジ型のレジストパターンを得ることができる。
【0066】
本発明の感放射線性樹脂組成物からレジストパターンを形成する際には、組成物溶液を回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の適宜の塗布手段によって、例えば、シリコンウエハー、アルミニウムで被覆されたウエハー等の基板上に塗布することによりレジスト被膜を形成する。そして、場合により予め加熱処理(以下、「PB」という。)を行った後、所定のレジストパターンを形成するように該レジスト被膜に露光する。露光の際に使用される活性光線又は放射線としては使用される酸発生剤の種類等に応じて、例えば、220nm以下の波長のものを適宜選定して使用でき、特にArFエキシマレーザー(波長193nm)が好ましく挙げられる。
【0067】
本発明の感放射線性樹脂組成物からレジストパターンを形成する際には、露光後に加熱処理(以下、「PEB」という。)を行うと、上記樹脂(A)中の酸解離性基の解離反応が円滑に進行するので好ましい。上記PEBの加熱条件は、感放射線性樹脂組成物の配合組成によって異なるが、通常30〜200℃、好ましくは50〜170℃である。
【0068】
本発明の感放射線性樹脂組成物からレジストパターンを形成する際には、感放射線性樹脂組成物の潜在能力を最大限に引き出すため、例えば、特公平6−12452号公報等に開示されているように、使用される基板上に有機系又は無機系の反射防止膜を形成しておくこともできる。また、環境雰囲気中に含まれる塩基性不純物等の影響を防止するため、例えば、特開平5−188598号公報等に開示されているように、レジスト被膜上に保護膜を設けることもできる。更に、これらの技術は併用することもできる。
【0069】
次いで、露光されたレジスト被膜を現像することにより、所定のレジストパターンを形成する。現像に使用される現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、けい酸ナトリウム、メタけい酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等のアルカリ性化合物の少なくとも1種を溶解したアルカリ性水溶液が好ましい。
【0070】
また、上記アルカリ性水溶液からなる現像液には、例えば、有機溶媒を添加することもできる。上記有機溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルi−ブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、3−メチルシクロペンタノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン等のケトン類;メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、1,4−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジメチロール等のアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸i−アミル等のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類や、フェノール、アセトニルアセトン、ジメチルホルムアミド等を挙げることができる。上記有機溶媒は1種単独で用いてもよく、また、2種以上を併用してもよい。
【0071】
上記アルカリ性水溶液の濃度は、通常10質量%以下、好ましくは8質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。アルカリ性水溶液の濃度が10質量%を超えると、非露光部も現像液に溶解するおそれがあるので好ましくない。また、上記アルカリ性水溶液からなる現像液に上記有機溶媒を添加する場合、上記有機溶媒の使用量は、上記アルカリ性水溶液に対して好ましくは100容量%以下、更に好ましくは80容量%以下である。上記有機溶媒の使用量が100容量%を超えると、現像性が低下して、露光部の現像残りが多くなるおそれがあるので好ましくない。
【0072】
また、上記アルカリ性水溶液からなる現像液には、界面活性剤等を適量添加することもできる。尚、アルカリ性水溶液からなる現像液で現像した後は、一般に、水で洗浄して乾燥する。
【0073】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示して、本発明の実施の形態を更に具体的に説明する。但し、本発明はこれらの実施例に何ら制約されるものではない。ここで、「部」は、特記しない限り重量基準である。
【0074】
(1)樹脂(A−1)〜(A−3)の合成
以下に示す方法により、樹脂(A−1)〜(A−3)の合成を行った。尚、樹脂(A−1)〜(A−3)のMwは、東ソー株式会社製GPCカラム(G2000HXL 2本、G3000HXL 1本、G4000HXL 1本)を用い、流量1.0ミリリットル/分、溶出溶媒テトラヒドロフラン、カラム温度40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。
【0075】
▲1▼樹脂(A−1)
2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート56.31g(55モル%)及び5−(2,6−ノルボルナンカルボラクトン)メタクリレート43.69g(45モル%)をメチルエチルケトン100gに溶解し、更にアゾビスイソ吉草酸メチル3.50g(4モル%)を投入してモノマー溶液を調製した。そして、100gのメチルエチルケトンを投入した500mlの三口フラスコを30分窒素パージした。窒素パージ後、反応釜を攪拌しながら70℃に加熱し、事前に調製した上記モノマー溶液を滴下漏斗を用いて、10ml/5minの速度で滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を5時間実施した。重合終了後、重合溶液は水冷することにより30℃以下に冷却し、次いで該重合溶液を2000gのメタノールへ投入し、析出した白色粉末を濾別した。濾別した白色粉末を400gのメタノールにてスラリー上で洗浄した後に濾別する操作を2度繰り返した。そして、上記濾別操作後に白色粉末を50℃にて17時間乾燥することにより、白色粉末の樹脂(A−1)を得た(75g、収率75%)。樹脂(A−1)は分子量(Mw)が11600であった。また、樹脂(A−1)は、繰り返し単位である2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート単位及び5−(2,6−ノルボルナンカルボラクトン)メタクリレート単位の含有率が50.2:49.8(モル%)の共重合体であった。
【0076】
▲2▼樹脂(A−2)
2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート46.31g(45モル%)及び5−(2,6−ノルボルナンカルボラクトン)メタクリレート53.69g(55モル%)をメチルエチルケトン100gに溶解し、更にアゾビスイソ吉草酸メチル3.57g(4モル%)を投入してモノマー溶液を調製した。そして、100gのメチルエチルケトンを投入した500mlの三口フラスコを30分窒素パージした。窒素パージ後、反応釜を攪拌しながら70℃に加熱し、事前に調製した上記モノマー溶液を滴下漏斗を用いて、10ml/5minの速度で滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を5時間実施した。重合終了後、重合溶液は水冷することにより30℃以下に冷却し、次いで該重合溶液を2000gのメタノールへ投入し、析出した白色粉末を濾別した。濾別した白色粉末を400gのメタノールにてスラリー上で洗浄した後に濾別する操作を2度繰り返した。そして、上記濾別操作後に白色粉末を50℃にて17時間乾燥することにより、白色粉末の樹脂(A−2)を得た(65g、収率65%)。樹脂(A−2)は分子量(Mw)が13200であった。また、樹脂(A−2)は、繰り返し単位である2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート単位及び5−(2,6−ノルボルナンカルボラクトン)メタクリレート単位の含有率が40.2:59.8(モル%)の共重合体であった。
【0077】
▲3▼樹脂(A−3)
2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート50.70g(50モル%)、3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート20.45g(20モル%)、及び5−(2,6−ノルボルナンカルボラクトン)メタクリレート28.85g(30モル%)をメチルエチルケトン100gに溶解し、更にアゾビスイソ吉草酸メチル3.52g(4モル%)を投入してモノマー溶液を調製した。そして、100gのメチルエチルケトンを投入した500mlの三口フラスコを30分窒素パージした。窒素パージ後、反応釜を攪拌しながら70℃に加熱し、事前に調製した上記モノマー溶液を滴下漏斗を用いて、10ml/5minの速度で滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を5時間実施した。重合終了後、重合溶液は水冷することにより30℃以下に冷却し、次いで該重合溶液を2000gのメタノールへ投入し、析出した白色粉末を濾別した。濾別した白色粉末を400gのメタノールにてスラリー上で洗浄した後に濾別する操作を2度繰り返した。そして、上記濾別操作後に白色粉末を50℃にて17時間乾燥し、白色粉末の樹脂(A−3)を得た(67g、収率67%)。樹脂(A−3)は分子量(Mw)が9200であった。また、樹脂(A−3)は、繰り返し単位である2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート単位、3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート単位及び5−(2,6−ノルボルナンカルボラクトン)メタクリレート単位の含有率が45.2:25.4:30.4(モル%)の共重合体であった。
【0078】
(2)感放射線樹脂組成物溶液の調製
上記樹脂(A−1)〜(A−3)、以下に示す酸発生剤(B)、フェノール性化合物(C)、酸拡散制御剤(D)及び溶剤(E)を表1に示す割合で用いて、実施例1〜6の感放射線樹脂組成物溶液を調製した。尚、表1中のカッコ内の数字は「部」を表す。
【0079】
▲1▼酸発生剤(B)
B−1:1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート
▲2▼フェノール性化合物(C)
C−1〜3:下記に示す構造の化合物
▲3▼酸拡散制御剤(D)
D−1:N−t−ブトキシカルボニル−2−フェニルベンズイミダゾール
▲4▼溶剤(E)
E−1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
E−2:2−ヘプタノン
【0080】
【化13】
【0081】
【表1】
【0082】
(3)性能評価
上記実施例1〜6の各感放射線性樹脂組成物溶液を用いて、以下に示す方法により性能評価を行った。その結果を以下の表2に示す。
【0083】
▲1▼放射線透過率(%)
各感放射線性樹脂組成物溶液をスピンコートにより石英ガラス上に塗布し、次いで130℃に保持したホットプレート上で90秒間PBを行って膜厚0.34μmのレジスト被膜を形成した。そして、このレジスト被膜について、波長193nmにおける吸光度から放射線透過率(%)を算出して、遠紫外線領域における透明性の尺度とした。
▲2▼感度(J/m2)
基板として、表面に膜厚820オングストロームの反射防止層(AR19)を形成したシリコーンウエハーを用いた。そして、各感放射線性樹脂組成物溶液をスピンコートにより上記基板上に塗布し、次いで、130℃に保持したホットプレート上で90秒間PBを行って膜厚0.34μmのレジスト被膜を形成した。そして、(株)ニコン製ArFエキシマレーザー露光装置(レンズ開口数0.55、露光波長193nm)を用い、マスクパターンを介して上記レジスト被膜を露光した。その後、110℃に保持したホットプレート上で90秒間PEBを行った後、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により25℃で1分間現像した。現像後、レジスト被膜を水洗し、乾燥して、ポジ型のレジストパターンを形成した。このとき、線幅0.16μmのライン・アンド・スペースパターン(1L1S)を1対1の線幅に形成する露光量を最適露光量とし、この最適露光量を感度(J/m2)とした。
▲3▼解像度(μm)
上記最適露光量で解像される最小のレジストパターンの寸法を解像度(μm)として求めた。
▲4▼ドライエッチング耐性
各感放射線性樹脂組成物溶液をスピンコートによりシリコーンウエハー上に塗布し、乾燥して膜厚0.5μmのレジスト被膜を形成した。そして、PMT社製ドライエッチング装置(Pinnacle8000)を用い、エッチングガスをCF4とし、ガス流量75sccm、圧力332.5mPa、出力2500Wの条件で上記レジスト被膜のドライエッチングを行って、エッチング速度を測定した。そして、クレゾールノボラック樹脂からなる被膜のエッチング速度を1.0として、相対エッチング速度を求め、これをドライエッチング耐性の値とした。この値が小さいほど、ドライエッチング耐性に優れることを意味する。
▲5▼パターン形状
線幅0.16μmのライン・アンド・スペースパターン(1L1S)の方形状断面の下辺寸法L1と上下辺寸法L2とを走査型電子顕微鏡により測定し、0.85≦L2/L1≦1を満足し、かつパターン形状が裾を引いていない場合を、パターン形状が「良好」であると評価した。
▲6▼フォーカス許容性(μm)
最適露光量にて線幅0.16μmのライン・アンド・スペースパターン(1L1S)を形成し、フォーカス位置をずらした際に、線幅寸法がプラスマイナス10%以内であるフォーカスレンジをフォーカス許容性(μm)の尺度とした。この値が大きいほど良好と判断する。
▲7▼露光許容性(%)
ベストフォーカス位置で、線幅0.16μmのライン・アンド・スペースパターン(1L1S)を形成し、露光量を変量した際に、線幅寸法がプラスマイナス10%以内である露光量を露光許容性(%)の尺度とした。この値が大きいほど良好と判断する。
【0084】
【表2】
【0085】
本発明によれば、露光ウィンドウに優れ、解像度、パターン形状等のフォトリソ性能の低下なく高感度化が可能な感放射線性樹脂組成物が得られることが判る。尚、本発明においては、上記具体的実施例に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。
Claims (2)
- (A)酸解離性基の解離によりアルカリ可溶性となる酸解離性基含有樹脂と、(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生させる化合物と、(C)フェノール性化合物と、を含有する感放射線性樹脂組成物であって、
上記(A)酸解離性基含有樹脂が、繰り返し単位として下記一般式(1)〜(4)のうちの少なくとも1種を有する樹脂であり、
上記(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生させる化合物が、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネートであり、
上記(C)フェノール性化合物が、下記式(C−1)〜(C−3)のうちの少なくとも1種であることを特徴とする感放射線性樹脂組成物。
- 上記(C)フェノール性化合物の含有量が、上記(A)酸解離性基含有樹脂100質量部に対して0.25〜10質量部である請求項1に記載の感放射線性樹脂組成物。
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