JP3743001B2 - 異常判定方法および装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、モータやコンプレッサ等の振動部を有する製品の異常を判定する異常判定方法および装置に関し、詳しくは、異常判定の自動化立ち上げをシミュレーションで実施することにより最適な異常判定基準を簡易迅速に獲得することができ、かつ精度のよい異常判定ができるようにした異常判定方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、生産工場において、モータやコンプレッサ等の振動部を有する機器やこれら振動部を有する機器を用いた製品、これら振動部を有する機器により駆動される製品の正常、異常を判定する場合は、製品出荷前に製品を実際に稼動させて、検査員が、異常音が発生しないか否かを耳で聞いたり、手で触って振動を確認したりするいわゆる官能検査で正常、異常を判定し、これによって品質保証を行なっている。
【0003】
しかし、上記検査員による官能検査による製品の正常、異常の判定結果は、個人差や時間による変化などによりばらつきが大きく、さらに、上記官能検査による判定結果は、データ化、数値化が難しく、その管理も困難であるという問題がった。
【0004】
そこで、上記製品の正常、異常の判定の自動化が考えられており、この自動化を可能にする従来の技術としては、図31に示す自動判定装置が提案されている。
【0005】
図31において、この自動判定装置は、検査対象物10に、加速度センサ11を配設し、この加速度センサ11の計測信号に基づき検査対象物10の正常、異常を判定する。
【0006】
検査対象物10に配設された加速度センサ11から出力される検査対象物10の測定信号は、まず、アンプ12で増幅され、その後、A/D変換器(アナログ/ディジタル変換器)13でディジタル計測データに変換され、特徴量抽出部14に入力される。特徴量抽出部14では、上記ディジタル計測データの特徴量を抽出し、この特徴量データを判定部15に入力する。判定部15では特徴量抽出部14から入力された特徴量データに基づいて検査対象物10の正常、異常を判定し、外部に判定結果を出力する。図31において、A/D変換器13、特徴量抽出部14及び判定部15より識別機構20が構成されている。
【0007】
図32は、図31に示した識別機構20をFFT(高速フーリエ変換)アナライザという計測器を組み込んだコンピュータシステムで構成した場合の構成図である。
【0008】
図32において、検査対象となる製品に取り付けた加速度センサ等のセンサからのアナログ信号はまずFFTアナライザ17に入力される。FFTアナライザ17では、入力されたアナログ信号をディジタル信号に変換するとともに所定の前処理をしてFFTによる周波数軸波形へ変換し、この周波数軸波形へ変換された信号から特定周波数帯の成分を抽出する。コンピュータ18は、この抽出された特定周波数帯の成分から特定周波数帯の特徴量を算出し、この特徴量を予め設定されたしきい値と比較して検査対象物10の正常、異常を判定する。
【0009】
ここで、FFTアナライザ17における処理は、図33に示すように、時間波形χ(t)はフーリエ変換により周波数成分X(ω)に変換することができ、周波数成分X(ω)はフーリエ逆変換により時間波形χ(t)に変換できるという関係を利用したFFTを用いて周波数解析を行なうもので、前処理された信号をFFTを用いた周波数解析技術を用いて周波数成分X(ω)の集合からなる周波数軸波形へ変換するものである。
【0010】
また、上記FFTを用いた周波数解析以外の手法を用いた技術としては、図34に示すような、いわゆるフィルタ方式という手法が知られている。
【0011】
図34において、このフィルタ方式による解析手法は、検査対象となる製品に取り付けた加速度センサ等のセンサからのセンサ信号をアナログ/ディジタル変換部(A/D変換部)31によりディジタル信号に変換する。このA/D変換部31により変換されたディジタル信号を周波数フィルタなどの前処理部32で前処理し、この前処理された信号から特定周波数帯成分や指標関数による特徴量抽出部33で特徴量を抽出する。そして、この特徴量をファジィやニューロによる判定部34で予め設定されたしきい値と比較して判定することにより製品の正常、異常を判定する。
【0012】
ここで、検査対象物10の正常、異常は、図32に示したコンピュータ18、図34に示した判定部34で行なわれるが、図32では抽出された特定周波数帯の特徴量を予め設定されたしきい値と比較することによって検査対象物10の正常、異常を判定し、図34では特定周波数帯成分や指標関数による特徴量を予め設定されたしきい値と比較することによって製品の正常、異常を判定している。
【0013】
ところで、上記の如く、人間の官能検査に代って自動化しようとする場合、それまでの人間の官能検査が一般に高い水準にあったので、従来の人間による官能検査と同等以上の判定能力を具備させるためには、上記判定のためのしきい値の設定作業に膨大な時間を要した。
【0014】
図35は、従来の上記しきい値の設定作業の処理手順を示すフローチャートである。
【0015】
この処理では、まず、試料をn個(n=10〜30)用意し、サンプルテストを行なう(ステップ100)。このサンプルテストは同一試料について従来の官能検査員の聴感による検査と、装置による検査を行ない、官能検査員の聴感による検査結果と装置による検査結果に一定以上の相関性があるかどうかを調べるためのものである。試料が片寄っている場合、テスト方法やテスト対象となる特徴量が適当でない場合等では、正確な検査ができないからである。
【0016】
検査は、例えば図36の評点表40に示すごとく、製品(検査対象物)の状態について、「非常に悪い」の1から「非常に良い」の5までの5段階で評価し、「非常に悪い」と「悪い」を不合格とし、「やや悪いが合格レベル」、「良い」及び「非常に良い」を合格とする。
【0017】
次に、ステップ100のサンプルテストが終了すると、テスト結果を検証する(ステップ102)。検証では、同一試料についての官能検査員の聴感による検査結果と装置による検査結果とを照合し、両者に一定以上の相関性があるかどうかを調べる。
【0018】
次に、テスト結果は良好であるか否かが調べられ(ステップ104)、テスト結果が良好でない場合は(ステップ104でNO)、ステップ100の処理に戻り、試料、テスト方法、テスト対象となる特徴量の再検討を行ない、ステップ100〜ステップ104の処理を繰り返す。
【0019】
一方、テスト結果が良好である場合、すなわち、同一試料についての官能検査員の聴感による検査結果と装置による検査結果とに一定以上の相関性がある場合は(ステップ104でYES)、次に、試料数nを増やして(n=200〜1000)、実際の生産ライン上でのオンライン検査に移行するので、まず、オンライントライ用装置の実際の生産ライン上への設置と、テスト条件・しきい値の設定が行なわれる(ステップ106)。
【0020】
次に、ステップ106で設定されたテスト条件・しきい値で装置によるn増しテスト、すなわち、試料数nをn=200〜1000に増やして装置によるテストを行なう(ステップ108)。なお、このステップ108のn増しテストでは、次のステップ110の官能検査員の聴感による検査結果と検査結果を照合できるように、各試料(検査対象物)に番号を付け、紙などにその番号と検査結果を記録する。
【0021】
次に、装置による検査の後に、官能検査員の聴感による検査を行なう(ステップ110)。ここでも、紙などにその番号と検査結果を記録する。
【0022】
次に、装置による検査結果と官能検査員の聴感による検査結果を照合し一致度合いを検証する(ステップ112)。これは、官能検査員の聴感による検査結果を基準にして、装置がどのような誤判定をしているかを検証するもので、具体的には以下の2点について調べる。
【0023】
(1)官能検査員が不合格と判定したものを装置がOKと判定した場合、装置の見逃しとみなし、この見逃し率αを調べる。
【0024】
(2)官能検査員が合格と判定したものを装置がNGと判定した場合、装置の過検出とみなし、この過検出率βを調べる。
【0025】
次に、ステップ112の検証結果に基づいて、装置による自動検査の運用の可否を判断する(ステップ114)。これは上記見逃し率αおよび過検出率βが予め設定した目標値に達しているか否かを調べることによって行なわれる。なお、この判定にあたっては、特定の官能検査員について上記見逃し率αおよび過検出率βが大きい場合、該検査員のステップ110における官能検査の誤り率を繰り返しテスト等で検出し、該検出結果を自動検査の運用の可否判断に反映させるようにするとよい。
【0026】
そして、装置による自動検査の運用が可と判断されると(ステップ114でYES)、当処理を終了し、ステップ106で設定したテスト条件・しきい値を使用して自動官能検査を行なう。
【0027】
一方、装置による自動検査の運用が否と判断されると(ステップ114でNO)、ステップ106で設定したテスト条件・しきい値の再分析を行ない(ステップ116)、ステップ106で設定したテスト条件・しきい値の再設定を行ない、ステップ106〜ステップ114の処理を行なう。この処理は、ステップ114の自動検査の運用の可否判断で、自動検査の運用可の判断が出るまで何回でも行なわれる。
【0028】
しかしながら、上記の如き従来の手法では以下の問題点があった。
【0029】
(1)ステップ108のn増しテストでは、次のステップ110の官能検査員の聴感による検査結果と検査結果を照合できるように、各試料(検査対象物)に番号を付けなければならない。
【0030】
また、ステップ108とステップ110の処理ではそれぞれ検査結果を上記試料番号と対応付けて紙などに記録しなければならない。
【0031】
(2)ステップ112の検証処理では、装置による検査結果と官能検査員の聴感による検査結果を、各試料(検査対象物)番号と照らし合わせながら検証しなければならず、この作業は手作業で行なわなければならない。
【0032】
(3)ステップ112の検証処理で自動検査不可と判断されると、ステップ112の検証処理で自動検査可と判断されるまで、ステップ106以下の全ての処理をやり直さなければならない。
【0033】
従って、従来は、人による官能検査から装置による自動検査に代替するまでには、膨大な時間と工数をかける必要があり、何度かステップ106以下の処理をやり直すうちに計画断念に追い込まれる場合も稀ではないという不具合があった。
【0034】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、この発明は、振動部を有する製品の種々の正常、異常を安定して簡易迅速に判定することができるようにした異常判定方法および装置を提供することを目的とする。
【0035】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、
検査対象物の計測データを入力して該検査対象物の異常を所定の判定基準に基づいて判別してその判別結果を出力する識別手段、官能検査員によってなされた検査対象物の正常か異常かの判定結果を入力する官能検査判定入力手段、計測データと識別手段が出力した判別結果と官能検査判定入力手段により入力された判定結果とを記録する検査実績記録手段、および検査対象物を識別するための検査IDを管理するコントローラ手段からなる異常判定装置における異常判定方法であって、
識別手段は、入力された計測データに基づいて検査対象物が正常か異常かを判別し、その判別結果を出力し、
官能検査員によってなされた判定結果を官能検査判定入力手段により入力し、
検査対象物の1回の検査毎に、コントローラ手段が管理する検査IDと、入力された計測データと、識別手段が出力した判別結果と、官能検査判定入力手段により入力された判定結果とを1つのレコードとして検査実績記録手段に記録し、
当該異常判定装置は、検査実績記録手段記録している複数レコード分の判別結果と判定結果とに基づいて、判定結果が異常であった検査対象物のうち判別結果が正常であった率と、判定結果が正常であった検査対象物のうち判別結果が異常であった率とを検証し、判別結果と判定結果とが不一致であった検査対象物の計測データについて、検査実績記録手段に記録されている検査IDに基づいて、検査実績記録手段に記録されている該当IDの計測データを利用して前記所定の判定基準を修正する
ことを特徴とする。
【0036】
また、請求項2の発明は、
検査対象物の計測データを入力して該検査対象物の異常を所定の判定基準に基づいて判別してその判別結果を出力する識別手段、計測データを保存する計測データ保存手段、官能検査員によってなされた検査対象物の正常か異常かの判定結果を入力する官能検査判定入力手段、識別手段が出力した判別結果と官能検査判定入力手段により入力された判定結果とを記録する判定結果記録手段、および検査対象物を識別するための検査IDを管理するコントローラ手段からなる異常判定装置における異常判定方法であって、
識別手段は、入力された計測データに基づいて検査対象物が正常か異常かを判別し、その判別結果を判定結果記録手段へ出力し、
官能検査員によってなされた判定結果を官能検査判定入力手段により入力し、
検査対象物の1回の検査毎に、コントローラ手段が管理する検査IDと、識別手段が出力した判別結果と官能検査判定入力手段により入力された判定結果とを1つのレコードとして検査実績記録手段に記録し、
コントローラ手段が管理する検査IDとともに入力した計測データを計測データ保存手段に保存し、
当該異常判定装置は、検査実績記録手段記録している複数レコード分の判別結果と判定結果とに基づいて、判定結果が異常であった検査対象物のうち判別結果が正常であった率と、判定結果が正常であった検査対象物のうちの判別結果が異常であった率とを検証し、判別結果と判定結果とが不一致であった検査対象物の計測データについて、その検査IDに基づいて計測データ保存手段に記録されている該当IDの計測データを利用して官能検査員がその計測データを確認して検証できるようにした
ことを特徴とする。
【0037】
また、請求項3の発明は、
検査対象物の計測データを入力して該検査対象物の異常を所定の判定基準に基づいて判別してその判別結果を出力する識別手段、官能検査員によってなされた検査対象物の正常か異常かの判定結果を入力する官能検査判定入力手段、計測データと識別手段が出力した判別結果と官能検査判定入力手段により入力された判定結果とを記録する検査実績記録手段、および検査対象物を識別するための検査IDを管理するコントローラ手段からなる異常判定装置における異常判定方法であって、
識別手段は、入力された計測データに基づいて検査対象物が正常か異常かを判別し、その判別結果を出力し、
官能検査員によってなされた判定結果を官能検査判定入力手段により入力し、
検査対象物の1回の検査毎に、コントローラ手段が管理する検査IDと、入力された計測データと、識別手段が出力した判別結果と、官能検査判定入力手段により入力された判定結果とを1つのレコードとして検査実績記録手段に記録し、
当該異常判定装置は、検査実績記録手段記録している複数レコード分の判別結果と判定結果とに基づいて、判定結果が異常であった検査対象物のうち判別結果が正常であった率と、判定結果が正常であった検査対象物のうちの判別結果が異常であった率とを検証し、判別結果と判定結果とが不一致であった検査対象物の計測データについて、検査実績記録手段に記録されている検査IDに基づいて、検査実績記録手段に記録されている該当IDの計測データを利用して前記所定の判定基準を修正し、
識別手段は、検査実績記録手段に記録されている計測データを読み込み、読み込んだ計測データを再トライシミュレーション処理によって修正後の所定判定基準に基づいて正常か異常かを判別し、その判別結果を検査実績記録手段へ出力して検査実績記録手段の新しい検査実績ファイルに記録する
ことを特徴とする。
【0038】
また、請求項4の発明は、
検査対象物の計測データを入力して該検査対象物の異常を所定の判定基準に基づいて判定する異常判定方法において、
計測データを入力して検査対象物の異常を判別してその判別結果を出力する識別手段および識別手段が出力した判別結果を記録する検査実績記録手段からなる判定装置と、
計測データを入力してその計測データを記録するとともに官能検査員へ出力する計測データ保存装置、および官能検査員によってなされた検査対象物の正常か異常かの判定結果を入力する官能検査判定入力装置と、
検査対象物を識別するための検査IDの管理、判定装置への検査指示、計測データ保存装置への保存指示、官能検査判定入力装置からの判定結果の入力等の処理を行う検査コントローラと、を備え、
判定装置および計測データ保存装置に、計測データをそれぞれ入力し、
判定装置の識別手段は、検査コントローラからの検査指示によって識別手段にて入力した計測データに基づいて検査対象物が正常か異常かを判別し、その判別結果を検査実績記録手段へ出力し、
検査対象物の1回の検査毎に、入力した計測データを検査コントローラの検査IDの管理に基づいて計測データ保存装置に保存するとともに、計測データを官能検査員へ出力し、
官能検査員によってなされた判定結果を官能検査判定入力装置により入力し、その判定結果を検査コントローラへ出力し、
検査対象物の1回の検査毎に、検査コントローラが管理する検査IDと、入力した計測データと識別手段が出力した判別結果と、官能検査判定入力装置により入力された判定結果と1つのレコードとして検査実績記録手段に記録し、生成された検査実績レコードを検査実績ファイルに格納し、
判定装置は、検査実績ファイルに記録されている複数レコード分のデータから、識別手段が出力した判別結果と官能検査判定入力装置により入力された判定結果とに基づいて、判定結果が異常であった検査対象物のうち判別結果が正常であった率と、判定結果が正常であった検査対象物のうちの判別結果が異常であった率とを検証し、検証結果に基づいて当該判定装置による自動検査の運用の可否を判断し、
計測データ保存装置に保存された保存データを検査コントローラの制御により検査対象物の1回の検査毎に官能検査員が検査できるようにし、
検査実績記録手段の検査実績ファイルから識別手段の判別結果と官能検査員の判定結果とが不一致である検査対象物を抽出し、検査実績記録手段に記録した該当の検査IDの計測データに基づいて前記所定判定基準を修正し、
識別手段は、検査実績記録手段の検査実績ファイルの計測データを読み込み、再トライシミュレーションによって読み込んだ計測データを修正後の所定判定基準に基づいて正常か異常かを判別し、その判別結果を検査実績記録手段へ出力し、
再トライシミュレーションによるその判別結果を検査実績記録手段の新しい検査実績ファイルに記録する
ことを特徴とする異常判定方法。
【0039】
また、請求項5の発明は、
検査対象物の計測データを入力して、その検査対象物が正常か異常かを所定の判定基準に基づいて判別し、その判別結果を出力する識別手段と、
官能検査員によってなされた検査対象物の正常か異常かの判定結果を入力する官能検査判定入力手段と、
検査対象物を識別するための検査IDの管理と、官能検査判定入力手段からの判定結果の入力とを含む処理を行うコントローラ手段と、
検査対象物の1回の検査毎に、コントローラ手段が管理する検査IDと、入力した計測データと、識別手段が出力した判別結果と、コントローラ手段を介して入力された判定結果とを1つのレコードとして記録する検査実績記録手段と、
検査実績記録手段に記録されている複数レコード分の判別結果と判定結果とに基づいて、判定結果が異常であった検査対象物のうち判別結果が正常であった率と、判定結果が正常であった検査対象物のうちの判別結果が異常であった率とを検証する判定基準検証手段と、
判別結果と判定結果とが不一致であった検査対象物の計測データについて、検査実績記録手段に記録されている検査IDに基づいて、検査実績記録手段に記録されている該当IDの計測データを利用して前記所定の判定基準を修正する判定基準修正手段と、
を有することを特徴とする。
【0040】
また、請求項6の発明は、
検査対象物の振動計測データを入力して、その検査対象物が正常か異常かを所定の判定基準に基づいて判別し、その判別結果を出力する識別手段と、
官能検査員によってなされた検査対象物の正常か異常かの判定結果を入力する官能検査判定入力手段と、
検査対象物を識別するための検査IDを管理するコントローラ手段と、
検査対象物の1回の検査毎に、コントローラ手段が管理する検査IDと、識別手段が出力した判別結果と、官能検査判定入力手段により入力された判定結果とを1つのレコードとして記録する検査実績記録手段と、
コントローラ手段が管理する検査IDとともに入力した振動計測データを保存する計測データ保存手段と、
検査実績記録手段に記録されている複数レコード分の判別結果と判定結果とに基づいて、判定結果が異常であった検査対象物のうち判別結果が正常であった率と、判定結果が正常であった検査対象物のうちの判別結果が異常であった率とを検証する判定基準検証手段と、
判別結果と判定結果とが不一致であった検査対象物の振動計測データについて、その検査IDに基づいて計測データ保存手段に保存されている該当IDの振動計測データを出力して官能検査員に音で聴かせる手段と、
を有することを特徴とする。
また、請求項7の発明は、
検査対象物の計測データを入力して、その検査対象物が正常か異常かを所定の判定基準に基づいて判別し、その判別結果を出力する識別手段と、
官能検査員によってなされた検査対象物の正常か異常かの判定結果を入力する官能検査判定入力手段と、
検査対象物を識別するための検査IDの管理と、官能検査判定入力手段からの判定結果の入力とを含む処理を行うコントローラ手段と、
検査対象物の1回の検査毎に、コントローラ手段が管理する検査IDと、入力した計測データと、識別手段の判別結果と、コントローラ手段を介して入力した判定結果とを1つのレコードとして記録する検査実績記録手段と、
検査実績記録手段に記録されている複数レコード分の判別結果と判定結果とに基づいて、判定結果が異常であった検査対象物のうち判別結果が正常であった率と、判定結果が正常であった検査対象物のうちの判別結果が異常であった率とを検証する判定基準検証手段と、
判別結果と判定結果とが不一致であった検査対象物の計測データについて、検査実績記録手段に記録されている検査IDに基づいて、検査実績記録手段に記録されている該当IDの計測データを利用して前記所定の判定基準を修正する判定基準修正手段と、からなり、
識別手段は、さらに、検査実績記録手段に記録されている計測データを読み込み、読み込んだ計測データを再トライシミュレーション処理によって修正後の所定判定基準に基づいて正常か異常かを判別し、その判別結果を検査実績記録手段へ出力し、
その判別結果が検査実績記録手段の新しい検査実績ファイルに記録される
ことを特徴とする。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0042】
図1は、この発明に係わる異常判定方法および装置を適用して構成した異常判定システムにおける異常判定手法の一実施の形態を機能ブロック図で示したものである。
【0043】
図1において、この異常判定システムにおける異常判定手法においては、振動部を有する製品に取り付けられた計測センサにより計測された計測データの加工を行ない、その加工データから特徴量を演算し、それを推論することにより製品の正常、異常を判定する。
【0044】
すなわち、この異常判定システムは、計測センサ45と、アンプ46と、判定装置50と、音録音装置70と、官能検査判定入力装置80と、検査コントローラ90を具備して構成される。
【0045】
ここで、計測センサ45は、ピックアップなどの振動センサやマイクロホンより構成され、検査対象物10に取り付けられて検査対象物10の振動データを検知する。
【0046】
アンプ46は、計測センサ45から入力される振動データを増幅してアナログの振動計測データを判定装置50と音録音装置70に出力する。
【0047】
判定装置50はパーソナルコンピュータ等より構成されて識別機構51と検査実績記録装置60を具備し、アンプ46から入力される振動データを加工して検査対象物10の正常、異常を判定する。
【0048】
音録音装置70はMDデッキやDATレコーダ等のオーディオ機器より構成され、アンプ46から入力される振動データを音記録ディスク71に記録するとともにヘッドホン72やスピーカ(図示せず)などの音出力装置へ出力し、検査員に測定した音を聴かせる。このとき、計測センサ45がマイクロホンの場合は、マイクの位置で聴こえるのと同等の音を聴かせることができる。また、センサが加速度ピックアップなどの振動センサの場合は、聴診棒や聴診器などを介して聴こえるような音を聴かせることができる。
【0049】
また、検査コントローラ90からの信号により録音する検査対象物10(ID)の更新をする。
【0050】
検査コントローラ90はプログラマブルコントローラ(PLC)等より構成され、検査対象物10を扱う機械の制御、判定装置50を構成する識別機構50への検査指示や人の判定信号の入力、検査実績記録装置60への出力、音録音装置70のトラック更新制御等の処理を行う。
【0051】
官能検査判定入力装置80は、官能検査員81が、ヘッドホン72あるいはスピーカ出力を聴いて、合格・不合格を判定した結果を入力する装置である。合格、不合格のどちらか判定した方のスイッチを入力する。スイッチは図36の評点表のように5段階構成にすることもできる。5段階の評点がされた方が、より装置と人の相関性を検証することができる。
【0052】
図2は、図1に示した判定装置50の詳細を示すブロック図で、判定装置50は識別機構51と検査実績記録装置60を具備する。
【0053】
ここで、判定装置50は、検査対象物10に配設された計測センサ45から出力される検査対象物10の測定信号をアンプ46で増幅したアナログの振動計測信号をディジタル信号に変換するアナログ/ディジタル変換器(A/D変換部)52と、A/D変換器52からのディジタル計測データを格納するメモリ53と、メモリ53に格納された計測データに基づき計測データの特徴量を演算する特徴量演算部54と、特徴量演算部54の演算結果に基づきファジィ演算を行なうことで検査対象物の正常、異常を判定するファジィ判定部55と、検査コントローラ90との信号の授受で検査データを管理する検査管理部56より構成されている。
【0054】
また、検査実績記録装置は、識別機構51から出力される検査データをファイルとして記憶するもので、波形データファイル61と検査実績ファイル62より構成されている。識別機構51にパーソナルコンピュータを使用した場合、検査実績記録装置60はハードディスクが使用できる。
【0055】
ここで、波形データファイル(測定データ)61は識別機構51でA/D変換器52によりディジタル化された計測信号を、検査IDをファイル名として記憶する。なお、検査IDとは、検査対象物10を識別する識別符号である。
【0056】
また、検査実績ファイル62は、検査ID,検査日時,検査結果,人の判定結果,特徴量値等を1回の検査毎に1つのレコードとして記録する(図4参照)。
【0057】
図3は、本実施形態におけるしきい値の設定作業の処理手順を示すフローチャートである。
【0058】
この処理では、まず、試料をn個(n=10〜30)用意し、サンプルテストを行なう(ステップ130)。このサンプルテストは同一試料について従来の官能検査員の聴感による検査と、本実施形態に係わる装置による検査を行ない、官能検査員の聴感による検査結果と装置による検査結果に一定以上の相関性があるかどうかを調べるためのものである。試料が片寄っている場合、あるいはテスト方法やテスト対象となる特徴量が適当でない場合等では、正確な検査ができないからである。
【0059】
検査は、例えば図36の評点表40に示すごとく、製品(検査対象物)の状態について、「非常に悪い」の1から「非常に良い」の5までの5段階で評価し、「非常に悪い」と「悪い」を不合格とし、「やや悪いが合格レベル」、「良い」及び「非常に良い」を合格とする。
【0060】
次に、ステップ130のサンプルテストが終了すると、テスト結果を検証する(ステップ132)。検証では、同一試料についての官能検査員の聴感による検査結果と装置による検査結果とを照合し、両者に一定以上の相関性があるかどうかを調べる。
【0061】
次に、テスト結果は良好であるか否かが調べられ(ステップ134)、テスト結果が良好でない場合は(ステップ134でNO)、ステップ130の処理に戻り、試料、テスト方法、テスト対象となる特徴量の再検討を行ない、ステップ130〜ステップ134の処理を繰り返す。
【0062】
一方、テスト結果が良好である場合、すなわち、同一試料についての官能検査員の聴感による検査結果と装置による検査結果とに一定以上の相関性がある場合は(ステップ134でYES)、次に、試料数nを増やして(n=200〜1000)、実際の生産ライン上でのオンライン検査に移行する。
【0063】
そこで、まず、オンライントライ用装置の実際の生産ライン上への設置と、テスト条件・しきい値の設定が行なわれる(ステップ136)。
【0064】
ここまでの処理は、図35に示した従来例と同一である。
【0065】
次に、ステップ136で設定されたテスト条件・しきい値でn増しテスト、すなわち、試料数nをn=200〜1000に増やして装置によるテストを行なう。
【0066】
ここで、本実施形態では、検査対象物10に配設された計測センサ45から出力される検査対象物10の測定信号をアンプ46で増幅したアナログの振動計測信号は判定装置50と音録音装置70にそれぞれ入力され、識別機構50による判定と検査員81による判定が同時に行なわれる(ステップ138)。
【0067】
すなわち、検査コントローラ90は、生産のタイミングにより検査対象物10を扱う機械装置を制御して、測定する状態としたところで、識別装置50に対して検査指示を送信する。識別装置50は、その指示タイミングによりセンサ45からのアナログ信号の計測を開始する。
【0068】
そして、アンプ46から直接識別機構50に入力された計測信号は、A/D変換器52、メモリ53を介してと特徴量演算部54に入力され、ファジィ判定部55で検査対象物10の正常、異常が判別され、該判別結果は検査IDとともに検査管理部56に入力される。
【0069】
一方、音録音装置70に入力された計測信号は例えばヘッドホン72等によって検査員81に聴かされ、これによって検査対象物10の正常、異常が判別され、該判別結果は官能検査判定入力装置80、検査コントローラ90を介して検査IDとともに識別機構51の検査管理部56に入力される。
【0070】
こうして、装置による検査と官能検査員の聴感による判定が同時に行なわれると、次に検査実績の自動記録が行なわれる(ステップ140)。
【0071】
識別装置50の検査管理部56は、こうして、検査ID毎に、識別装置50と検査員81の判定結果を記録し(検査実績レコード生成)、生成された検査実績レコードは検査実績記録装置60の検査実績ファイル62に格納される。
【0072】
図4には、検査実績ファイル62に格納されるファイルの一例が示されており、記録される情報は、検査ID,検査日時,検査結果,人の判定結果,特徴量値などの項目である。
【0073】
次に、装置に記録された検査実績ファイル62のデータから、検査員の判定結果に対する識別機構51による判定の一致度合いを検証する(ステップ142)。
【0074】
これは、官能検査員の聴感による検査結果を基準にして、装置がどのような誤判定をしているかを検証するもので、具体的には、図5に示した検証項目に基づいて以下の3点について調べる。
【0075】
(1)サンプル数(n) :n増しテストサンプル数として十分であるか確認する。
【0076】
(2)見逃し率(α) :検査員がNG(不良)判定した検査対象物の内、装置がOK検出した比率。
【0077】
(3)過検出率(β) :検査員がOK(良品)判定した検査対象物の内、装置がNG判定した比率。
【0078】
次に、ステップ142の検証結果に基づいて、装置による自動検査の運用の可否を判断する(ステップ144)。これは上記見逃し率αおよび過検出率βが予め設定した目標値に達しているか否かを調べることによって行なわれる。
【0079】
すなわち、このα及びβが、計画時の目標値と比較して、両方とも目標値以上であれば検証結果‘合格’となり(ステップ144でYES)、当処理を終えて正式な運用(異音検査工程の機械化)に入る。また、両方とも、またはどちらかが目標値以下であれば、検証結果‘不合格’と判断し、ステップ146に進む(ステップ144でNO)。
【0080】
また、検証に当たっては、n増しテストの際、音録音装置70により音データが録音されているので、検査員の判定ミスを後から発見することができる。その際は、音録音装置70による録音データを検査コントローラ90の制御により、検査検査対象物毎にIDをインクリメントすることにより検査することができる。
【0081】
次に、自動検査による運用が否と判別された場合は、ステップ146に進み、図4のデータ中の‘見逃し’と‘過検出’にあたる検査対象物を抽出して、該当する検査IDの波形データ(検査実績記録装置60の波形データファイル61に保存した測定データ)の再分析やしきい値の見直しを行い、期待どおりに判定ができるようにパラメータ判定知識の修正作業を行う。
【0082】
その際、それまでの前提が検査員の判定結果が正しいとして進めているので、ここで特に、過検出となっている検査対象物の音について複数の検査員で確認し、誤りがわかれば後述のコンピュータシミュレーションの対象から外すか実績を修正してより正しい結果が出せるようにするとよい。
【0083】
次にステップ148に進み、コンピュータによる再トライシミュレーションを行なう。すなわち、修正したパラメータと判定知識であれば、判定結果はどうなるのかを実際の検査対象物を再度測定することなく検証する。
【0084】
図6に、再トライシミュレーションの処理の流れを記す。例として、n増しテスト時,人の判定がNG,装置の判定がOKであった‘AAA’という検査対象物について説明をする。
【0085】
検査記録装置60には‘AAA.dat’という波形データファイルと,検査実績ファイルに検査ID‘AAA’は、人の判定NG,装置判定OKというレコードが記録されている。
【0086】
実検査対象物テストでは、検査対象物を測定したセンサ信号をA/D変換してメモリにロードするが、ここでは、波形データファイル‘AAA.dat’を読み込み、メモリ53にロードし、新たなパラメータと判定知識による再検査結果が新しい検査実績ファイル62へ書き込まれる。このとき、人の判定データは元のファイルから新しいファイルにも同じ情報を記録する。その実績ファイルを参照すれば、再分析の結果求めるような判定ができたかどうかを調べることができる。
【0087】
例えば、図7に示すように元の検査記録装置に1053件の検査実績と対応する波形データファイルがあると、検査IDの昇順から順に、該当波形データファイルをメモリにロードし、仮想検査した新しい1053件の検査実績ファイルを生成する。これにより、従来のn増しテストやり直しをする必要がなくなる。
【0088】
次に、判定の対象となるデータが測定したデータの一部であるときの対処法について説明する。
【0089】
検査対象物の駆動に方向性があるなど、測定・記録した波形データファイルに対し、判定となる対象がその内の一部の時間である場合がある。例えば、モータが停止→右回転→停止→左回転→停止と駆動し、その間全体を一つの波形データファイルとして記録した場合、判定の対象となるべきデータはその一部である。この場合は、検査実績ファイルに分析開始位置と分析終了位置を示すデータを記録する。その上で図6のように再テストを行う場合に、その2つのデータを読み込み、その部分について処理を行い、正しい結果を得ることができる。この場合は、新しい検査実績ファイルにも元の分析開始位置と分析終了位置を示すデータを記録する。この方法は、トリガ信号に対して、検査対象物毎の分析対象となるタイミングが異なる場合にも有効となる。
【0090】
上記の如きコンピュータによる再トライシミュレーションを行ない、更に再度ステップ142、144の処理を行ない、自動検査による運用が可と判断されると(ステップ144でYES)、当処理を終える。
【0091】
以上説明したように、本実施形態では以下の効果を奏する。
【0092】
(1)まず、図3のステップ138に示すごとく、計測センサ(マイクロホンや振動センサ)45からの計測信号を識別装置50への入力前に分配し、音として検査員側へ出力することにより、従来別々に行う必要があった工程を1つにして、同時に装置と検査員による検査をすることができる。
【0093】
(2)また、ステップ140に示す如く、装置による検査と官能検査員の聴感による判定が同時に行なわれ、さらに検査実績が自動記録されるので、従来のように、装置による検査結果と官能検査員の聴感による検査結果を、各試料(検査対象物)番号と照らし合わせながら検証するという作業を省くことができる。
【0094】
(3)また、ステップ142に示す如く、検証は、図4のような検査実績ファイルがあるので、この検査実績ファイルを利用してそのままコンピュータを使って検証でき、省力化できる。
【0095】
また、検証に当たっては、音録音装置70に記録された音データより、検査員の判定ミスを後から発見することができるので、検査精度を向上させることができる。
【0096】
(4)また、ステップ146に示す如く、判定知識の修正作業では、それまでの前提が検査員の判定結果が正しいとして進めているので、さらに、過検出となっている検査対象物の音について複数の検査員で確認し、誤りがわかれば後のコンピュータシミュレーションの対象から外すか実績を修正して、より正しい結果が出せるようになる。
【0097】
(5)また、ステップ148に示す如く、コンピュータによる再トライシミュレーションを行なうので、従来のn増しテストやり直しをする必要がなくなり、従来膨大な工数を要した修正工程をコンピュータを利用して大幅に省力化することができる。
【0098】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0099】
ところで、モータやモータ応用製品などの完成品・半完成品について、異音の検査を目的として、官能検査工程を機械化する自動官能検査装置において、従来のこの分野のシステムでは、分析対象のデータに対し一度の処理で最終的な特徴量を抽出していた。また、データブロック単位で特徴量を抽出した場合でも、全体の平均値を求めて計算していた。
【0100】
しかしながら、官能検査は人間の耳に頼って行っているが、人間は限度見本を規準とした絶対値比較のような検査は不得意であり、逆に時系列の音の変化に敏感に反応する。すなわち、人間が異音と感じるのは絶対値としての差よりも、音の変化をとらえて不快に感じる。一般に「騒音とは、聞き手にとって好ましくない音」とされているように、このような不快に感じる音の変化をとらえる必要はある。
【0101】
一例として図8に特徴量RMS(自乗平方根)のデータ配列のグラフを示す。このグラフは横軸に各フレームの値をとっており、全体の時間をT秒,1フレームの長さをt秒とする時間による特徴量RMSの値の変化を示している。同図では、NGとした試料はOKとした試料より平均値は低い。
【0102】
ここで、図8の例において、‘平均値’と‘降順(大きい値から順に)5個の平均値’及び‘前データとの差の絶対値・降順5個の平均値’は図9のようになる。
【0103】
図9のように、単なる平均ではなく、他の特徴量で有効な代表値が得られる場合がある。
【0104】
そこで、第2の実施形態では、特徴量毎のデータ配列から以下のような抽出法を用いることで有効な代表値を得ることができるようにする。
【0105】
[代表値抽出法]
・平均値
・ピーク値:降順(大きい順)m番目からn個の平均値 〔m≧1〕
・変化量 :前データとの差の絶対値の降順m番目からn個の平均値
〔m≧1〕
・ボトム値:昇順(小さい順)m番目からn個の平均値 〔m≧1〕
また、代表値はこれ以外にも他の数学・統計処理を使用することも有効である。
【0106】
このようにして、第2の実施形態の特徴量演算部はファジィ判定部へ入力する代表特徴量を求める。
【0107】
次に、第2の実施形態に係わる異常判定システムの概略構成を図10に示す。
【0108】
図10において、検査対象物に配設された計測センサから出力される検査対象物の測定信号は、A/D変換器(アナログ/ディジタル変換器)201でディジタル計測データに変換され、メモリ202に格納される。メモリ202に格納されたディジタル計測データは特徴量演算部203に入力される。特徴量演算部203では、上記ディジタル計測データの特徴量を抽出し、この特徴量データをファジィ判定部204に入力する。ファジィ判定部204では特徴量演算部203から入力された特徴量データに基づいて検査対象物の正常、異常を判定し、外部に判定結果を出力する。
【0109】
ここで、特徴量演算部203は、メモリ202に格納した集録データから、ファジィ判定部204に渡す特徴量群を演算するが、この特徴量演算部203の処理手順を図11に示す。
【0110】
特徴量演算部203は、メモリ202に格納された量子化データをフレーム分割し(ステップ210)、次にフレーム毎の特徴量を演算し(ステップ212)、代表特徴量演算する(ステップ214)。そして、この値を特徴量値として出力する。
【0111】
図12に上記ステップ210のフレーム分割の処理内容を示す。
【0112】
図12において、(a)は検査対象物に配設された計測センサから出力される検査対象物のアナログ測定信号であり、(b)はA/D変換器(アナログ/ディジタル変換器)201でディジタル計測データに変換され、メモリ202に格納された量子化データ配列である。特徴量演算部203は、(c)に示す如く、メモリ202に格納された量子化データをフレーム分割する。
【0113】
ここで、連続信号であるアナログ信号について、実際の装置での測定は有限の時間について判定を行わなければならない。そこでサンプリング時間をT秒,A/D変換器のサンプリング周波数をfkHzとすると、集録されるディジタルデータ数は、T×f×10となる。
【0114】
特徴量演算部203は、集録したデータ配列を一定長さNのデータブロックに分割して処理を行う。そして、分割されたデータブロック(フレームと呼ぶ)毎に実際の特徴量演算は行なっていく。
【0115】
特徴量演算で使用するFFTアルゴリズムは周知のとおり元データ点数は2のべき乗であると非常に効率的な演算ができることから、N=2とする。
【0116】
例えば、T=10秒,f=10KHz,データブロック長を210(=1,024点)とすると、以下に示す如く、分割できるフレーム数mは、小数点以下を切り捨て97フレームを有効フレームとする。
【0117】
【数1】
Figure 0003743001
【0118】
上記の如く、判定の対象となるフレームが確定したら、1フレーム毎に特徴量演算を行っていく。図13はこの場合の処理手順を示すフローチャートである。
【0119】
この処理は、フレームiについてi=1からpまでのフレーム毎の特徴量を演算するもので、ファジィめはフレーム1(i=1)のデータを抽出し(ステップ220)、順次フレームiのデータを抽出する(ステップ222)。そして、抽出されたフレームi毎のフレーム特徴量を演算する(ステップ224)。
【0120】
次に、i=pか否かが調べられ(ステップ226)、i=pでない場合は(ステップ226でNO)、iの値を1インクリメントし(ステップ228)、ステップ222以下の処理を繰り返す。そして、i=pとなると(ステップ226でYES)、当処理を終える。
【0121】
次に、ステップ224のフレーム毎の特徴量演算の内容を図14を参照しながら説明する。本実施形態では特徴量演算はフレーム単位で行い、フレーム毎に複数の特徴量演算を行う。
【0122】
すなわち、メモリ202に格納されたフレームデータは、まず、前処理1(BPF1)部231、前処理2(BPF2+積分)部232、前処理3(FFTによる周波数変換)部233に渡され、ここで上記前処理が並列に実行される。
【0123】
ここで、前処理1(BPF1)部231による前処理は、
1)フレームデータをハイパスフィルタを通す
2)ハイパスフィルタ等のフィルタを通したフレームデータを微小時間にて微分する
等の処理により行われる。この前処理1(BPF1)部231による前処理は、正常状態のフレームデータにある程度の高周波成分が含まれており、検出すべき異常信号が高周波領域に存在する場合等に有効である。
【0124】
また、前処理2(BPF2+積分)部232による前処理は、
1)フレームデータをローパスフィルタを通す
2)ローパスフィルタを通したフレームデータを微小時間にて積分する
等の処理により行われる。この前処理2(BPF2+積分)部232による前処理は、正常状態のフレームデータにある程度の低周波成分が含まれており、検出すべき異常信号が低周波領域に存在する場合に有効である。
【0125】
また、前処理3(FFTによる周波数変換)部233による前処理は、フレームデータである時間軸波形をFFT(高速フーリエ変換)により周波数軸データに変換するもので、このFFT(高速フーリエ変換)により変換された周波数軸データを用いると、任意の周波数帯における成分を特徴量とすることで、異常成分の含まれている状態を定量化することが可能になる。なお、FFT(高速フーリエ変換)処理により損失した情報や検出できない異常状態もあるが、これらの異常状態の検出はメモリ202に格納されたフレームデータに基づき行われる上記前処理231、232の処理を用いた解析で補うことができる。
【0126】
前処理1(BPF1)部231で前処理されたデータは、RMS(自乗平方根)1演算231−1、ピーク値1演算231−2、MVD(極値差)1演算231−3による特徴量演算が行なわれ、高周波増幅処理により前処理されたデータの特徴量演算が実行される。
【0127】
そして、RMS(自乗平方根)1演算231−1の演算結果によりRMS1データ配列231−4が実行され、ピーク値1演算231−2の演算結果によりピーク値1データ配列231−5が実行され、MVD1演算231−3の演算結果によりMVD1のデータ配列231−6が実行される。
【0128】
また、前処理2(BPF2+積分)部232で前処理されたデータは、RMS(自乗平方根)2演算232−1、ピーク値2演算232−2、MVD2演算232−3による特徴量演算が行なわれ、低周波増幅処理により前処理されたデータの特徴量演算が実行される。
【0129】
そして、RMS(自乗平方根)2演算232−1の演算結果によりRMS2データ配列232−4が実行され、ピーク値2演算232−2の演算結果によりピーク値2データ配列232−5が実行され、MVD2演算232−3の演算結果によりMVD2のデータ配列232−6が実行される。
【0130】
また、前処理3(FFTによる周波数変換)部233で前処理されたデータは、fpa(特定周波数a成分)演算233−1、fpb(特定周波数b成分)演算233−2、fpc(特定周波数c成分)演算233−3による特徴量演算が行なわれ、FFTによる周波数変換により前処理されたデータの特徴量演算が実行される。
【0131】
そして、fpa(特定周波数a成分)演算233−1の演算結果によりfpa(特定周波数a成分)のデータ配列233−4が実行され、fpb(特定周波数b成分)演算233−2の演算結果によりfpb(特定周波数a成分)のデータ配列233−5が実行され、fpc(特定周波数c成分)演算233−3の演算結果によりfpc(特定周波数c成分)のデータ配列233−6が実行される。
【0132】
ここで、上記各特徴量演算及びデータ配列は、上記前処理231〜233と同様に並列実行される。
【0133】
特徴量演算231−1〜231−3、232−1〜232−3、233−1〜233−3における特徴量演算処理は、計測データの特徴を定量化するもので、前処理231〜233で前処理されたデータに基づき特定の関数演算を実行することで異常の度合いを示す情報としての特徴量を抽出する。
【0134】
図14のように処理することにより、特徴量演算は、複数の前処理を行った後、複数の特徴量演算を行って、フレーム毎に多くの特徴量を計算することができる。
【0135】
ここで、前処理は、以下のようなものを単独あるいは組み合わせて使用することができる。なお、バンドパスフィルタのようにパラメータを変更して異なる前処理効果を出せるものがあるので、同じ前処理を複数使用してもよい。
【0136】
(1)周波数フィルタリング(バンドパスフィルタ、ローパスフィルタ)
(2)微積分処理
(3)FFT(高速フーリエ変換)による周波数軸変換
【0137】
また、その他、従来から一般的に用いられているRMS(自乗平方根)演算、平均演算等の数学関数、統計関数を用いた演算等を用いることもできる。
【0138】
本実施形態で使用する上記RMS(自乗平方根)は以下のように求める。
【0139】
【数2】
Figure 0003743001
【0140】
また、fpa、fpb、fpcは、前処理FFTによる周波数軸の成分配列から任意周波数帯f〜fの間のピーク成分を求める。
【0141】
また、MVD(極値差)を求める特徴量演算関数は、元データ配列あるいは前処理後のデータ配列から波形の極値差を検出する演算を実行するものである。
【0142】
極値差を求める特徴量演算関数においては、極値数を求める特徴量演算関数により求めたデータ配列中の極値について、前後極値の差の絶対値を計算したものの配列を求め、そこから、以下の手順により計算したものを極値差として演算する。
【0143】
すなわち、上記前後極値の差の絶対値を計算したものの配列内のデータをD1、D2、…Dnとすると、その中から大きい順にk個のデータを抽出し、その平均を求めた値を極値差とする。ここで、kは変数である。
【0144】
この極値差を求める特徴量演算関数は、変数kを適当に設定することにより、一定時間内の平均値やRMS演算などでは正常状態と比べて差異が検出できないが、測定データに一時的あるいは断続的に高周波レベル変化が含まれている場合における正常、異常の検出に有効である。
【0145】
次に、特徴量値のデータ配列231−4〜231−6、232−4〜232−6、233−4〜233−6は、フレームデータ単位でデータを配列するもので、一例として図15にRMS1のデータ配列231−4を示す。
【0146】
こうしてフレームデータ単位でデータを配列すると、すでに述べたように、本実施形態では、特徴量毎のデータ配列から以下のような抽出法を用いることで有効な代表値を得るようにする。
【0147】
[代表値抽出法]
(1)平均値
(2)ピーク値:降順(大きい順)m番目からn個の平均値 〔m≧1〕
(3)変化量 :前データとの差の絶対値の降順m番目からn個の平均値
〔m≧1〕
(4)ボトム値:昇順(小さい順)m番目からn個の平均値 〔m≧1〕
また、代表値はこれ以外にも他の数学・統計処理を使用することも有効である。
【0148】
このようにして、第2の実施形態の識別装置は、特徴量演算部として、ファジィ判定部へ入力する代表特徴量を求める。
【0149】
次に、第3の実施形態として本発明に係わる異常判定システムで使用される官能検査に適したファジィ推論法について説明する。
【0150】
官能検査の自動化を前提とした判定部にファジィ推論を応用することは以下の点で効果がある。
【0151】
(1)ファジィ推論は多入力であり、本構成のような多くの特徴量を入力信号とし、AND条件,OR条件を組み合わせた複雑な知識が作成できること。
【0152】
(2)単純な各特徴量を管理基準値と比較して上回っている場合NG判定とするような2値理論的判定と異なり、欠点度合いを推論値として表現できること。
【0153】
しかしながら、一般的にファジィ制御として知られているファジィ推論の仕組みは、if〜then形式のルールとメンバーシップ関数から成るファジィ知識に対し、推論方式としてMAX−MIN論理積、確定出力演算方式として面積重心法が一般的である。
【0154】
図16に従来のファジィ推論(面積重心法)の構成を示す。図16では、特徴量20件を、あらかじめ作成したファジィ知識にかけて、結論信号であるSPC値、WRG値を出力する。
【0155】
その後、図17の判定部にて、SPC値、WRG値を入力し、OK,GRAY,NGのいずれかに判定する。
【0156】
ここで、上記ファジィ推論においては、以下のファジィ知識が使用される。()内は使用するラベルを示す。
【0157】
Figure 0003743001
また、入力信号のメンバーシップ関数を図18に示すが、RMS,SHPとも同じである。
【0158】
また、SPCとWRGのメンバーシップ関数を図19に示す。
【0159】
ところで、このファジィ推論モデルでは、条件部の信号が△△であれば、結論側の信号は××であるというようなファジィルールをあらかじめ作成し、正常品をOK判定、欠点をもつ品をNG、その中間に位置するようなものをGRAYと判定する。
【0160】
従って、不良の検出に有効な特徴量RMSとSHPの2つの条件信号が両方ともSMLであればOK品、どちらかがLRGであればNG,両方がMDLであればNGという法則をみつけたときは、図20に示すルールの作成しなければならない。
【0161】
すなわち、andルールを作成した場合は、そのandに使用した信号の使用したラベルの組み合わせ以外のラベルの組み合わせが生じた場合に、それがどのような判定となるべきかを検証した上でルールとして作成しておかなければ正しい判定ができない。
【0162】
原因として、このファジィモデルは結論のSPC及びWRGについてそれぞれ、‘良い’と‘悪い’の2つが結論側ラベルとして出力される仕組みであるため、図20のルール2のようにこの組み合わせであれば悪いというandルールを加える場合には、組み合わせで使用した信号の他の全ラベルの組み合わせがでたときに推論異常が発生してしまう。ファジィモデルは多くの特徴量信号に複数のラベルを使用しているため、3つあるいは4つの信号のandルールを作成した場合に、それ以外の組み合わせのルールを全て検証して作成するのは非常に多くの工数がかかってしまう。
【0163】
また結論側の信号WRGについて、NGラベルになるandルールを作成したときに、もう一方のOKになる他のandルールを正しく作成できないと、推論異常が出ない場合でも、期待する推論値が出力されなくなってしまう。
【0164】
これは、面積重心法が、λをラベルOKの適合度、μをGRYの適合度としたときに
SPC推論値=(0×λ+1×μ)/(λ+μ)
で計算しているため、OK側の適合ルールが不足してしまうことによる。
【0165】
つまり、ひとつの結論信号について、悪い場合のラベルと良いラベルの適合度から、推論値を計算させるシステムの場合は、以下の2つの問題が発生する。
【0166】
(1)andルールを使用するときは、それ以外の組み合わせルールを作成する必要がある。
【0167】
(2)それが完全でないと推論値が期待する値に対し大きな差が発生してしまう。
【0168】
そこで、第3の実施形態では図21、22のブロック図に示す構成で、複数の特徴量からファジィ推論を応用して人による官能検査に代わる判定結果を出力する。
【0169】
以下、図10の識別装置ブロック図のファジィ判定部204について説明する。
【0170】
図21において、ファジィ判定部204は、ファジィ推論部251と判定部252から成る。ここで、図14で求めた代表特徴量をファジィ推論部251に入力してn個の推論値を得て、その値から判定部252は総合判定及びモード別判定を行う。
【0171】
また、上記ファジィ推論においては、以下のファジィ知識が使用される。()内は使用するラベルを示す。
【0172】
Figure 0003743001
また、SPCとWRGのメンバーシップ関数を図23に示す。
【0173】
このとき、結論信号であるSPCとWRGは、悪いメンバーシップラベルを最も右のラベルに設定する。
【0174】
ところで、例えば、風呂のわき加減をファジィシステムのメンバーシップ関数で表すとすると、本来、「冷たい、ぬるい、適温、熱い、非常に熱い」など多くのラベルがある方がよい。しかし、官能検査のように人によって欠点のある検査対象物を検出させたい場合には「悪い」というラベルがあり、その度合いにより、悪いか悪くないかを判断できればよい。
【0175】
そこで、本実施形態では、図22に示した総合判定部は条件部である特徴量の信号数やラベル数に制限はないが、結論部の信号のメンバーシップラベル形状はシングルトンを使用する。
【0176】
このファジィ推論の処理として、MAX−MIN法によって、各結論信号のラベル毎の値を求めるところまでは、従来と同様に処理する。
【0177】
以下、図24のフローチャートを参照しながら、この場合の処理手順を説明する。
【0178】
まず、入力した特徴量(条件部信号)の値から、適合するルール行毎の適合度を参照する(ステップ260)。このとき、and条件であるルールは、最小値を選ぶ(min法)。
【0179】
次に、適合する全てのルール行の適合度から、各結論信号のラベルについて最大値を演算する(max法)(ステップ262)。
【0180】
そして、各結論信号の最右ラベルの値を、その信号の結論値として代入する(ステップ264)。
【0181】
上記ステップ264の処理は、ファジィ推論でいう確定演算方式(ディ・ファジィファイ)であるが、この処理を右側高さ代入法とする。
【0182】
この方法により、and条件を使用する場合も含めて、悪い側のルールだけを作成するだけで良いことになる。
【0183】
例えば、上記不良の検出に有効な特徴量RMSとSHPの2つの条件信号が両方ともSMLであればOK品、どちらかがLRGであればNG、両方がMDLであればNGという法則をみつけたときは、図25に示すルールを作成するだけでよい。
【0184】
この方法により、ファジィ知識の作成が容易になり、期待する推論値が得られる。
【0185】
次に、第4の実施形態としてファジィ推論を応用した不良原因推論の仕組みについて説明する。
【0186】
製造現場では、従来、人により行ってきた官能検査を自動化し、不良品の検出ができることのメリットは非常に大きいが、検査対象製品の構造が複雑になるほど、その不良は複数の要因・種類に起因する。
【0187】
そこで、さらに検査装置に不良種類の推論の機能があることが望まれる。
【0188】
例えば、‘モータ+ギヤ’の駆動源を持つ製品であれば、不良の種類としては、
(1)モータ内ベアリング不良
(2)モータ内コンミテータ・巻線・回転子の異常スレ不良
(3)ギヤの欠け
(4)ギヤのかみ合わせ不良
(5)カバーの共振による異常振動
等を代表として多くの不良種類があり、不良の種類がわかれば一部の構成部品を組み直せばよいのか、廃棄すべき不良なのかといった対処法がわかり、生産効率の向上につなげることができる。
【0189】
そこで、次に説明する異常判定システムでは、総合判定のファジィ知識から、判定ルールを追加せずに不良要因の推論機能を持つことができる。
【0190】
図26はこの場合の構成を示すブロック図である。
【0191】
ファジィ推論部301及び総合判定部302は1台のコンピュータ300で構成され、モード別判定部310は、検査コントローラ320内の機能として構成される。なお、構成としては、モード別判定部310も1台のコンピュータで構築してもよいが、より製造現場での対応が可能となるように、ここではPLC側の機能にしている。
【0192】
以下に、総合判定を行う場合のファジィ知識の作成例を示す。
【0193】
ファジィ知識はif〜then形式のルール部と各ルールで使用したラベルのメンバーシップ関数を記述するMF部から成る。
【0194】
<ルール部>
ルールは図27に示す如く、表形式で記述する。
【0195】
ここで、ルール6の行のように、同一行の条件部に複数のラベルが記述されているとandルールであることを意味する。
【0196】
<MF例>
図28に各ルールで使用するラベルのメンバーシップ関数を示す。
【0197】
次に、不良原因別判定をさせるためのファジィ知識の作成方法を説明する。
【0198】
上記の如く、一つの製品種類が対象であっても、検出すべき不良種類は複数あり、装置として判定用のルールを非常に多く作成する必要があるのはその為である。
【0199】
すなわち、ルールを作成した時点で、このルールは何不良に対して有効なものかはサンプルテストの結果からだいたい推測ができる。
【0200】
そこで、図26のファジィモデルのようにSPC推論値とWRG推論値の他にファジィ出力としてモード別推論も出力するようにし、考えられる不良種類を割り付けていく。
【0201】
例えば、対象となる不良種類を以下のように割り付ける。
【0202】
モード1:ベアリング不良
モード2:スレ不良
モード3:ギヤの欠け不良
モード4:製品カバーのびびり
【0203】
ここで、サンプルテスト結果から、どのサンプルがどのルールにより検出されるかを先ほどの表に追加して図29に示すような不良原因判定ルールを作成する。
【0204】
作成に関しては、一つのラベルを使用して表せばよい。図29では、全てNGとしている。
【0205】
ルール6のように、そのルールより検出される不良種類として2つ以上ある場合には、複数記述してもよいし、同じ原因に対し複数のルールが該当してもよい。
このように総合判定を行うためのファジィ知識作成に対し、ルール行毎に不良原因を割り付けていくだけで判定知識ができる。
【0206】
次に、不良原因別ファジィ出力について説明する。
【0207】
この装置では、コンピュータ側でファジィ出力の一部であるSPC推論値とWRG推論値を元に図22のロジックで総合判定がなされる。
【0208】
一方、PLC側では個別のモード推論値毎に基準値に対する比較を行い、どの不良原因とされるかを判定する。例えば、基準値0.5に対しモード別推論値が0.5以上であれば該当するロジックで判定を行い、表示器により作業者に通知することが可能になる。
【0209】
次に、不良原因の作業者への表示器による通知例を図30に示す。
【0210】
これによって、従来、総合判定を正しく出すことが第一の目的になり、原因推論まで自動検査装置を発展させていくことは非常に労力がかかり現実的には困難であったが、本実施形態では、総合判定の知識を確立中にその進行には影響を与えずに原因推論のしくみを確立させていくことができる。
【0211】
また、検査記録装置に保存する検査実績ファイルに各モード推論値も記録することにより、生産後、どのワークが何の不良であったかを調査することにより原因推論の知識も改良していくことができる。
【0212】
【発明の効果】
以上説明したようにこの発明によれば、以下の効果を奏する。
【0213】
請求項1の発明では、検査対象物の計測データを入力して該検査対象物の異常を所定の判定基準値に基づいて判定する異常判定方法において、上記計測データを保存することと、該入力された計測データまたは保存データから人による上記検査対象物の異常判定結果と装置による上記検査対象物の異常判定結果とを記録することと、上記記録した人による異常判定結果と装置による異常判定結果との一致度合いを検証することと、検証結果が所定レベル以下の場合は上記保存データを元にして上記判定基準値を修正することと、を行なうようにしたので、
(1)従来人と装置別々に行う必要があった工程を1つにして、同時に装置と人による検査をすることができる、
(2)装置による検査と人による判定が同時に行なわれ、さらに計測データが保存されるので、従来のように、装置による検査結果と人による検査結果を、検査対象物番号と照らし合わせながら検証するという作業を省くことができる、
(3)検証は記録した人による異常判定結果と装置による異常判定結果を利用してそのままコンピュータを使って検証でき、省力化できる、
(4)判定基準値の修正作業は、保存データを元にして行なうのでシミュレーションによる修正によって、より正しい結果が出せるようになる、
等の効果を奏する。
【0214】
また、請求項2の発明では、計測データを複数のデータブロックに分割し、分割されたデータブロック単位で複数の特徴量を並列して演算し、分割されたデータブロック単位での特徴量演算により検査対象物の異常を判定するようにしたので、官能検査等に好適な特徴量演算ができる等の効果を奏する。
【0215】
また、請求項3の発明では、ファジィ推論においては、結論信号について異常と判定されるルールだけを用いてファジイ推論するようにしたので、ファジィ知識の作成が容易になり、期待する推論値が得られる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係わる異常判定方法および装置を適用して構成した異常判定システムにおける異常判定手法の一実施の形態を示す機能ブロック図。
【図2】図1に示した判定装置の詳細を示すブロック図。
【図3】第1の実施形態におけるしきい値の設定作業の処理手順を示すフローチャート。
【図4】図2に示した検査実績ファイルに格納されるファイルの一例を示す図。
【図5】官能検査員の聴感による検査結果を基準にして、装置がどのような誤判定をしているかを検証するための検証項目を示す図。
【図6】再トライシミュレーションの処理の流れを示すブロック図。
【図7】元の検査記録装置に検査実績と対応する波形データファイルがあり、検査IDの昇順から順に、該当波形データファイルをメモリにロードし、仮想検査した新しい検査実績ファイルを生成する場合の説明図。
【図8】異常判定のための特徴量RMS(自乗平方根)のデータ配列を示す図。
【図9】図8の例における‘平均値’と‘降順(大きい値から順に)5個の平均値’及び‘前データとの差の絶対値・降順5個の平均値’の説明図。
【図10】第2の実施形態に係わる異常判定システムの概略構成を示す図。
【図11】図10に示した特徴量演算部の処理手順を示す図。
【図12】図11に示したステップ210のフレーム分割の処理内容を示す図。
【図13】判定の対象となるフレームが確定したら、1フレーム毎に特徴量演算を行っていく場合の処理手順を示すフローチャート。
【図14】図13に示したステップ224のフレーム毎の特徴量演算の内容を示す図。
【図15】フレームデータ単位で特徴量データを配列する場合の説明図。
【図16】従来のファジィ推論(面積重心法)の構成を示す図。
【図17】従来の判定部の構成図。
【図18】従来の入力信号のメンバーシップ関数を示す図。
【図19】従来のSPCとWRGのメンバーシップ関数を示す図。
【図20】従来のファジィ推論モデルにおいてルールの作成する場合の説明図。
【図21】第3の実施形態におけるファジィ推論モデルの構成を示すブロック図。
【図22】同じく第3の実施形態におけるファジィ推論モデルの構成を示すブロック図。
【図23】第3の実施形態で使用されるSPCとWRGのメンバーシップ関数を示す図。
【図24】第3の実施形態の処理手順を示すフローチャート。
【図25】第3の実施形態で作成されるルールの説明図。
【図26】第4の実施形態の構成を示すブロック図。
【図27】総合判定を行う場合のファジィ知識の作成例を示す図で、表形式でルールを記述する場合の一例を示す図。
【図28】各ルールで使用するラベルのメンバーシップ関数の説明図。
【図29】サンプルテスト結果から、不良原因判定ルールを作成する場合の説明図。
【図30】不良原因の作業者への表示器による通知例を示す図。
【図31】従来の製品の正常、異常を自動判定する自動判定装置の概略ブロック図。
【図32】FFTアナライザを組み込んで構成した従来のコンピュータシステムによる処理手法を示すブロック図。
【図33】FFTアナライザにおける処理の説明図。
【図34】フィルタ方式FFTを用いた周波数解析による従来のコンピュータシステムによる処理手法を示すブロック図。
【図35】従来の判定のためのしきい値の設定作業の処理手順を示すフローチャート。
【図36】検査のために使用される評点表の説明図。
【符号の説明】
10 検査対象物
45 計測センサ
46 アンプ
50 判定装置
51 識別機構
52 アナログ/ディジタル変換器(A/D変換部)
53 メモリ
54 特徴量演算部
55 ファジィ判定部
56 検査管理部
60 検査実績記録装置
70 音録音装置
72 ヘッドホン
80 官能検査判定入力装置
81 官能検査員
90 検査コントローラ

Claims (7)

  1. 検査対象物の計測データを入力して該検査対象物の異常を所定の判定基準に基づいて判別してその判別結果を出力する識別手段、官能検査員によってなされた検査対象物の正常か異常かの判定結果を入力する官能検査判定入力手段、計測データと識別手段が出力した判別結果と官能検査判定入力手段により入力された判定結果とを記録する検査実績記録手段、および検査対象物を識別するための検査IDを管理するコントローラ手段からなる異常判定装置における異常判定方法であって、
    識別手段は、入力された計測データに基づいて検査対象物が正常か異常かを判別し、その判別結果を出力し、
    官能検査員によってなされた判定結果を官能検査判定入力手段により入力し、
    検査対象物の1回の検査毎に、コントローラ手段が管理する検査IDと、入力された計測データと、識別手段が出力した判別結果と、官能検査判定入力手段により入力された判定結果とを1つのレコードとして検査実績記録手段に記録し、
    当該異常判定装置は、検査実績記録手段記録している複数レコード分の判別結果と判定結果とに基づいて、判定結果が異常であった検査対象物のうち判別結果が正常であった率と、判定結果が正常であった検査対象物のうち判別結果が異常であった率とを検証し、判別結果と判定結果とが不一致であった検査対象物の計測データについて、検査実績記録手段に記録されている検査IDに基づいて、検査実績記録手段に記録されている該当IDの計測データを利用して前記所定の判定基準を修正する
    ことを特徴とする異常判定方法。
  2. 検査対象物の計測データを入力して該検査対象物の異常を所定の判定基準に基づいて判別してその判別結果を出力する識別手段、計測データを保存する計測データ保存手段、官能検査員によってなされた検査対象物の正常か異常かの判定結果を入力する官能検査判定入力手段、識別手段が出力した判別結果と官能検査判定入力手段により入力された判定結果とを記録する判定結果記録手段、および検査対象物を識別するための検査IDを管理するコントローラ手段からなる異常判定装置における異常判定方法であって、
    識別手段は、入力された計測データに基づいて検査対象物が正常か異常かを判別し、その判別結果を判定結果記録手段へ出力し、
    官能検査員によってなされた判定結果を官能検査判定入力手段により入力し、
    検査対象物の1回の検査毎に、コントローラ手段が管理する検査IDと、識別手段が出力した判別結果と官能検査判定入力手段により入力された判定結果とを1つのレコードとして検査実績記録手段に記録し、
    コントローラ手段が管理する検査IDとともに入力した計測データを計測データ保存手段に保存し、
    当該異常判定装置は、検査実績記録手段記録している複数レコード分の判別結果と判定結果とに基づいて、判定結果が異常であった検査対象物のうち判別結果が正常であった率と、判定結果が正常であった検査対象物のうちの判別結果が異常であった率とを検証し、判別結果と判定結果とが不一致であった検査対象物の計測データについて、その検査IDに基づいて計測データ保存手段に記録されている該当IDの計測データを利用して官能検査員がその計測データを確認して検証できるようにした
    ことを特徴とする異常判定方法。
  3. 検査対象物の計測データを入力して該検査対象物の異常を所定の判定基準に基づいて判別してその判別結果を出力する識別手段、官能検査員によってなされた検査対象物の正常か異常かの判定結果を入力する官能検査判定入力手段、計測データと識別手段が出力した判別結果と官能検査判定入力手段により入力された判定結果とを記録する検査実績記録手段、および検査対象物を識別するための検査IDを管理するコントローラ手段からなる異常判定装置における異常判定方法であって、
    識別手段は、入力された計測データに基づいて検査対象物が正常か異常かを判別し、その判別結果を出力し、
    官能検査員によってなされた判定結果を官能検査判定入力手段により入力し、
    検査対象物の1回の検査毎に、コントローラ手段が管理する検査IDと、入力された計測データと、識別手段が出力した判別結果と、官能検査判定入力手段により入力された判定結果とを1つのレコードとして検査実績記録手段に記録し、
    当該異常判定装置は、検査実績記録手段記録している複数レコード分の判別結果と判定結果とに基づいて、判定結果が異常であった検査対象物のうち判別結果が正常であった率と、判定結果が正常であった検査対象物のうちの判別結果が異常であった率とを検証し、判別結果と判定結果とが不一致であった検査対象物の計測データについて、検査実績記録手段に記録されている検査IDに基づいて、検査実績記録手段に記録されている該当IDの計測データを利用して前記所定の判定基準を修正し、
    識別手段は、検査実績記録手段に記録されている計測データを読み込み、読み込んだ計測データを再トライシミュレーション処理によって修正後の所定判定基準に基づいて正常か異常かを判別し、その判別結果を検査実績記録手段へ出力して検査実績記録手段の新しい検査実績ファイルに記録する
    ことを特徴とする異常判定方法。
  4. 検査対象物の計測データを入力して該検査対象物の異常を所定の判定基準に基づいて判定する異常判定方法において、
    計測データを入力して検査対象物の異常を判別してその判別結果を出力する識別手段および識別手段が出力した判別結果を記録する検査実績記録手段からなる判定装置と、
    計測データを入力してその計測データを記録するとともに官能検査員へ出力する計測データ保存装置、および官能検査員によってなされた検査対象物の正常か異常かの判定結果を入力する官能検査判定入力装置と、
    検査対象物を識別するための検査IDの管理、判定装置への検査指示、計測データ保存装置への保存指示、官能検査判定入力装置からの判定結果の入力等の処理を行う検査コントローラと、を備え、
    判定装置および計測データ保存装置に、計測データをそれぞれ入力し、
    判定装置の識別手段は、検査コントローラからの検査指示によって識別手段にて入力した計測データに基づいて検査対象物が正常か異常かを判別し、その判別結果を検査実績記録手段へ出力し、
    検査対象物の1回の検査毎に、入力した計測データを検査コントローラの検査IDの管理に基づいて計測データ保存装置に保存するとともに、計測データを官能検査員へ出力し、
    官能検査員によってなされた判定結果を官能検査判定入力装置により入力し、その判定結果を検査コントローラへ出力し、
    検査対象物の1回の検査毎に、検査コントローラが管理する検査IDと、入力した計測データと識別手段が出力した判別結果と、官能検査判定入力装置により入力された判定結果と1つのレコードとして検査実績記録手段に記録し、生成された検査実績レコードを検査実績ファイルに格納し、
    判定装置は、検査実績ファイルに記録されている複数レコード分のデータから、識別手段が出力した判別結果と官能検査判定入力装置により入力された判定結果とに基づいて、判定結果が異常であった検査対象物のうち判別結果が正常であった率と、判定結果が正常であった検査対象物のうちの判別結果が異常であった率とを検証し、検証結果に基づいて当該判定装置による自動検査の運用の可否を判断し、
    計測データ保存装置に保存された保存データを検査コントローラの制御により検査対象物の1回の検査毎に官能検査員が検査できるようにし、
    検査実績記録手段の検査実績ファイルから識別手段の判別結果と官能検査員の判定結果とが不一致である検査対象物を抽出し、検査実績記録手段に記録した該当の検査IDの計測データに基づいて前記所定判定基準を修正し、
    識別手段は、検査実績記録手段の検査実績ファイルの計測データを読み込み、再トライシミュレーションによって読み込んだ計測データを修正後の所定判定基準に基づいて正常か異常かを判別し、その判別結果を検査実績記録手段へ出力し、
    再トライシミュレーションによるその判別結果を検査実績記録手段の新しい検査実績ファイルに記録する
    ことを特徴とする異常判定方法。
  5. 検査対象物の計測データを入力して、その検査対象物が正常か異常かを所定の判定基準に基づいて判別し、その判別結果を出力する識別手段と、
    官能検査員によってなされた検査対象物の正常か異常かの判定結果を入力する官能検査判定入力手段と、
    検査対象物を識別するための検査IDの管理と、官能検査判定入力手段からの判定結果の入力とを含む処理を行うコントローラ手段と、
    検査対象物の1回の検査毎に、コントローラ手段が管理する検査IDと、入力した計測データと、識別手段が出力した判別結果と、コントローラ手段を介して入力された判定結果とを1つのレコードとして記録する検査実績記録手段と、
    検査実績記録手段に記録されている複数レコード分の判別結果と判定結果とに基づいて、判定結果が異常であった検査対象物のうち判別結果が正常であった率と、判定結果が正常であった検査対象物のうちの判別結果が異常であった率とを検証する判定基準検証手段と、
    判別結果と判定結果とが不一致であった検査対象物の計測データについて、検査実績記録手段に記録されている検査IDに基づいて、検査実績記録手段に記録されている該当IDの計測データを利用して前記所定の判定基準を修正する判定基準修正手段と、
    を有することを特徴とする異常判定装置。
  6. 検査対象物の振動計測データを入力して、その検査対象物が正常か異常かを所定の判定基準に基づいて判別し、その判別結果を出力する識別手段と、
    官能検査員によってなされた検査対象物の正常か異常かの判定結果を入力する官能検査判定入力手段と、
    検査対象物を識別するための検査IDを管理するコントローラ手段と、
    検査対象物の1回の検査毎に、コントローラ手段が管理する検査IDと、識別手段が出力した判別結果と、官能検査判定入力手段により入力された判定結果とを1つのレコードとして記録する検査実績記録手段と、
    コントローラ手段が管理する検査IDとともに入力した振動計測データを保存する計測データ保存手段と、
    検査実績記録手段に記録されている複数レコード分の判別結果と判定結果とに基づいて、判定結果が異常であった検査対象物のうち判別結果が正常であった率と、判定結果が正常であった検査対象物のうちの判別結果が異常であった率とを検証する判定基準検証手段と、
    判別結果と判定結果とが不一致であった検査対象物の振動計測データについて、その検査IDに基づいて計測データ保存手段に保存されている該当IDの振動計測データを出力して官能検査員に音で聴かせる手段と、
    を有することを特徴とする異常判定装置。
  7. 検査対象物の計測データを入力して、その検査対象物が正常か異常かを所定の判定基準に基づいて判別し、その判別結果を出力する識別手段と、
    官能検査員によってなされた検査対象物の正常か異常かの判定結果を入力する官能検査判定入力手段と、
    検査対象物を識別するための検査IDの管理と、官能検査判定入力手段からの判定結果の入力とを含む処理を行うコントローラ手段と、
    検査対象物の1回の検査毎に、コントローラ手段が管理する検査IDと、入力した計測データと、識別手段の判別結果と、コントローラ手段を介して入力した判定結果とを1つのレコードとして記録する検査実績記録手段と、
    検査実績記録手段に記録されている複数レコード分の判別結果と判定結果とに基づいて、判定結果が異常であった検査対象物のうち判別結果が正常であった率と、判定結果が正 常であった検査対象物のうちの判別結果が異常であった率とを検証する判定基準検証手段と、
    判別結果と判定結果とが不一致であった検査対象物の計測データについて、検査実績記録手段に記録されている検査IDに基づいて、検査実績記録手段に記録されている該当IDの計測データを利用して前記所定の判定基準を修正する判定基準修正手段と、からなり、
    識別手段は、さらに、検査実績記録手段に記録されている計測データを読み込み、読み込んだ計測データを再トライシミュレーション処理によって修正後の所定判定基準に基づいて正常か異常かを判別し、その判別結果を検査実績記録手段へ出力し、
    その判別結果が検査実績記録手段の新しい検査実績ファイルに記録される
    ことを特徴とする異常判定装置。
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