JP3743515B2 - 知識作成支援装置及びパラメータ探索方法並びにプログラム製品 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、知識作成支援装置及びパラメータ探索方法並びにプログラム製品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車や家電製品などには、モータが組み込まれた回転機器が非常に多く用いられている。例えば自動車を例にとってみると、エンジン,パワーステアリング,パワーシート,ミッションその他の至る所に回転機器が実装されている。また、家電製品では、冷蔵庫,エアコン,洗濯機その他各種の製品がある。そして、係る回転機器が実際に稼働すると、モータ等の回転に伴って音が発生する。
【0003】
係る音は、正常な動作に伴い必然的に発生するものもあれば、不良に伴い発生する音もある。その不良に伴う異常音の一例としては、ベアリングの異常,内部の異常接触,アンバランス,異物混入などがある。より具体的には、ギヤ1回転について1度の頻度で発生するギヤ欠け,異物かみ込み,スポット傷,モータ内部の回転部と固定部が回転中の一瞬だけこすれ合うような異常音がある。また、人が不快と感じる音としては、例えば人間が聞こえる20Hzから20kHzの中で様々な音があり、例えば約15kHz程度のものがある。そして、係る所定の周波数成分の音が発生している場合も異常音となる。もちろん、異常音はこの周波数に限られない。
【0004】
係る不良に伴う音は、不快であるばかりでなく、さらなる故障を発生させるおそれもある。そこで、それら各製品に対する品質保証を目的とし、生産工場においては、通常検査員による聴覚や触覚などの五感に頼った「官能検査」を行ない、異常音の有無の判断を行っている。具体的には、耳で聞いたり、手で触って振動を確認したりすることによって行っている。なお、官能検査は、官能検査用語
JIS Z8144により定義されている。
【0005】
ところで、数年前から自動車に対する音品質の要求が急激に激しくなってきている。すなわち、自動車業界では、エンジン,ミッション,パワーシートなどの車載駆動パーツの検査を定量的に自動検査するニーズが高まっており、従来から行われている検査員による上記の官能検査のように定性的・曖昧な検査ではそのニーズに応える品質を得ることができなくなってきている。
【0006】
そこで、係る問題を解決するため、定量的かつ明確な基準による安定した検査を目的とした異音検査装置が開発されている。この異音検査システムは、「官能検査」工程の自動化を目的とした装置であり、製品駆動部の振動や音をセンサで測定し、そのアナログ信号をFFTアルゴリズムなどを応用した周波数解析装置を使って周波数成分を調べて検査するものである(特許文献1)。アナログ信号の解析は、他にバンドパスフィルタを応用したものでもよい。
【0007】
この特許文献1に開示された技術を簡単に説明すると、FFTアルゴリズムを応用した周波数解析装置は、時間領域信号を高速フーリエ変換アルゴリズムにより、周波数領域の分析をすることができる。一方、異常音の周波数領域もある程度決まっている。従って、分析により抽出された周波数成分のうち、異常音の発生領域に該当する成分を抽出することができるので、係る抽出した成分の特徴量を求める。そして、特徴量から異常の有無やその原因などをファジィ推論などを用いて推定するようにしている。
【0008】
上記した異音検査システムでは、一度定めた基準に従った自動判定ができるとともに、検査した結果(実績)と、そのときの波形データを、異音検査システム内の記憶装置に保存することができる。
【0009】
上記のような異音検査システムでは、最適な特徴量の選択および特徴量演算用の諸パラメータの選択は人が勘と経験に頼って行っているのが現状である。また、このような最適パラメータを探索する問題の自動化に対しては、例えば、特許文献2に示された「遺伝的アルゴリズムを用いた最適化処理方法および装置」がある。この特許文献2で開示されている階層化遺伝的アルゴリズムや並列遺伝的アルゴリズムは、遺伝的アルゴリズムの複雑な最適化問題における探索精度の向上に寄与すると考えられている。
【0010】
【特許文献1】
特開平11−173909号
【特許文献2】
特開平9−44465号
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1等に開示された従来の異音検査システムでは、異常の有無に対応する特徴量を抽出することおよび、特徴量を演算するための諸パラメータの選択は人が勘と経験にたよって行っている。
【0012】
従って、数千件を超える異常判定結果のデータから異常の有無とそれに対応する特徴量及び特徴量を演算するパラメータを選択することは、経験と勘が要求されるだけでなく、非常に大きな工数が必要であり、検査/診断業務の自動化の妨げになっている。
【0013】
特に、例えば自動車業界では、新車の販売数推移が、発売直後にピークを迎え、数ヶ月で落ち込む傾向になってきているため、新機種生産開始時から高い良品率が要求され、製造品質の垂直立ち上げを行うことも急務となってきている。そのため、異音検査システムにおける最適パラメータを早期に決定する必要があるが、人の経験と勘に基づく最適パラメータの決定では、時間がかかってしまうという問題がある。
【0014】
また、特許文献2に示すような階層型遺伝的アルゴリズムを異音検査システムの最適パラメータを特定するものに適用することを考えた場合、以下に示す問題を生じる。すなわち、階層構造を持たない遺伝的アルゴリズムでさえ、遺伝的アルゴリズムの動作を制御するパラメータ(交叉率,突然変異率,淘汰方法)の設定は試行錯誤的に行うため、そのようなパラメータを階層構造に積み上げた場合、所望の結果を得るためには、上記特徴量や演算パラメータを人手で選択することに匹敵する試行錯誤が必要になってしまう。
【0015】
さらに、遺伝的アルゴリズム自体の制御が複雑化するため、探索したい諸パラメータの性質(パラメータ間の影響)に応じた探索戦略を組み込むことが困難になる。その結果、仮に特許文献2の方法を用いても、短期間で効率良く最適なパラメータを求めることは困難である。
【0016】
さらにまた、諸パラメータを探索するための作業者が判断した異常の有無のデータ(学習時の教師データ:サンプルデータ)自体に誤りが含まれている場合があり、そのように誤りを含んだまま諸パラメータの探索を行うと探索が失敗したり、最適解を探索するまでに著しい時間を要してしまうおそれがある。
【0017】
この発明は、検査・診断装置における検査対象物の正常/異常を判断するのに適した有効特徴量と、その有効特徴量を演算するための諸パラメータを容易に探索・決定することができ、さらに、探索する際に用いるサンプルデータにあいまいさを含んでいても、精度良く短時間で有効特徴量等を求めることのできる知識作成支援装置及びパラメータ探索方法並びにプログラム製品を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
この発明による知識作成支援装置は、取得した計測データに対し、フィルタリング処理並びに特徴量抽出処理を行って得られた特徴量データに基づいて、検査対象物が正常か異常かを判断する検査・診断装置における前記検査対象物に適した有効特徴量と、その有効特徴量を演算するための諸パラメータを求める知識作成支援装置である。そして、特徴量を演算する諸パラメータを探索する探索部と、与えられた正常データと異常データを含むサンプルデータに対し、前記探索部で探索された諸パラメータに基づいて複数の特徴量を演算する特徴量演算部と、その特徴量演算部により求められた特徴量の演算結果から諸パラメータの良さを評価値として出力する評価部を備え、前記探索部は、評価部の評価結果を基に再度諸パラメータを探索することで、評価値の高い有効特徴量と、その有効特徴量の諸パラメータを同時に決定することができるようにした。
【0019】
そして、前記評価部における前記諸パラメータを探索する方式として、
(1)正常と異常を分離できる度合いを重視する方式と
(2)分離できる特徴量の数を重視する方式と
を択一的に実行可能とし、
設定された探索方式に応じて、
(1)′最も正常と異常を分離することができる有効特徴量と、その有効特徴量を演算するための諸パラメータ、
(2)′正常と異常を分離する複数の有効特徴量と、その有効特徴量を演算するための諸パラメータ、
のいずれかを求めることができるようにするとよい。さらに、本発明に係る知識作成支援装置では、前記サンプルデータは、同一の異常種類についての異常データと、正常データとすることができる。
【0020】
また、本発明に係るパラメータ探索方法は、取得した計測データに対し、フィルタリング処理並びに特徴量抽出処理を行って得られた特徴量データに基づいて、検査対象物が正常か異常かを判断する検査・診断装置における前記検査対象物に適した有効特徴量と、その有効特徴量を演算するための諸パラメータを求める知識作成支援装置におけるパラメータ探索方法である。そして、与えられた正常データと異常データを含むサンプルデータに対し、特徴量演算部が設定された諸パラメータに基づいて複数の特徴量を演算し、その特徴量演算部により求められた特徴量の演算結果から前記諸パラメータの良さを表す評価値を算出し、その算出した評価結果を基に再度諸パラメータを探索し、探索した諸パラメータに基づいて前記特徴量算出並びに評価値の算出を実行することを繰り返し実行し、設定された探索終了条件に満たしたときの評価値の高い有効特徴量と、その有効特徴量の諸パラメータを同時に決定することである。
【0021】
この場合に、前記諸パラメータを探索する方式として、正常と異常を分離できる度合いを重視する第1方式と、分離できる特徴量の数を重視する第2方式を用意し、前記設定された探索方式に応じて、前記第1方式または前記第2方式を実行することにより、
(1)′最も正常と異常を分離することができる有効特徴量と、その有効特徴量を演算するための諸パラメータ、
(2)′正常と異常を分離する複数の有効特徴量と、その有効特徴量を演算するための諸パラメータ、
のいずれかを求めるようにするとよい。
【0022】
さらに、本発明に係るプログラム製品は、取得した計測データに対し、フィルタリング処理並びに特徴量抽出処理を行って得られた特徴量データに基づいて、検査対象物が正常か異常かを判断する検査・診断装置における前記検査対象物に適した有効特徴量と、その有効特徴量を演算するための諸パラメータを求めるためのプログラム製品である。そして、与えられた正常データと異常データを含むサンプルデータに対し、特徴量演算部が設定された諸パラメータに基づいて複数の特徴量を演算する処理と、その特徴量演算部により求められた特徴量の演算結果から前記諸パラメータの良さを表す評価値を算出する処理と、その算出した評価値を基に再度諸パラメータを探索し、その探索した諸パラメータに基づいて前記特徴量算出並びに評価値の算出を設定された探索終了条件に満たすまで繰り返し実行する処理と、前記探索終了条件に満たしたときの評価値の高い有効特徴量と、その有効特徴量の諸パラメータを同時に決定する処理を実行するプログラム部分を持つようにした。
【0023】
さらに、前記諸パラメータを探索する処理として、正常と異常を分離できる度合いを重視する第1方式と、分離できる特徴量の数を重視する第2方式を持ち、前記設定された探索方式に応じて、前記第1方式または第2方式を実行する処理を行うプログラム部分を持つようにするとよい。上記した各発明は、第1の実施の形態により実現されている。
この発明によれば、検査・診断装置の特徴量選択及びその特徴量演算の諸パラメータの決定を自動化し、人による探索工数を削減することができる。
【0024】
また、前記探索部は、前記諸パラメータをコーディングした個体に対して、遺伝的アルゴリズムを適用し、交叉・突然変異・選択操作を所望の条件が満たされるまで実行して最適な諸パラメータを探索ものであり、前記コーディングした個体の中の個々の遺伝子は、各機能ごとにブロック化し、そのブロック単位で遺伝子の形質の発現または隠蔽を制御するようにすると良い。この発明は、第2の実施の形態により実現されている。
【0025】
階層化遺伝的アルゴリズム(GA)よりも見通しのよいGA動作パラメータ設定ができる。また、機能ごとにブロック化し、ブロック単位で遺伝操作を行うようにしたため、探索したいパラメータ間の影響関係に基づいた探索戦略を容易に設定できる。
【0026】
さらにまた、全サンプルデータを使用した諸パラメータによる探索が所望の条件を満たした際に、前記サンプルデータの中で誤判定と推定できるデータを抽出し、その誤判定と推定したデータを誤判定とみなして再構成したサンプルを利用して諸パラメータを求めた際に得られる評価値が、再構成前の評価値よりも高い場合に、前記誤判定と推定したデータは誤判定のデータと確定する機能を備えるとよい。係る判定は、実施の形態では誤判定データ検出部18で行う。そして、誤判定と決定したデータは、表示装置その他の出力手段に出力するようにすると、ユーザにその内容を確認させることができるのでより好ましい。
【0027】
また、前記再構成は、前記誤判定と推定したデータを削除する処理、逆の判定結果のサンプルグループへ組替える処理、異なる判定結果のサンプルグループへ組替える処理の少なくとも1つを実行するようにすることができる。さらには、前記誤判定と確定したデータを、正しいサンプルデータに更新した状態で、前記探索部における探索を実行するようにするとよい。係る更新は、実施の形態では誤判定データフィルタ部19で行う。
【0028】
この発明によれば、検査・診断条件を決めるために人が作成したサンプルデータに誤りが含まれていても、誤り候補として削除または、逆判定に組み入れることができるため、データの誤りに基づく探索の失敗や長期化を防ぐことができる。また、誤り候補をユーザに提示することにより、ユーザの判定を検証することができる。つまり、あいまいさを含んだ人の良否判定データ(サンプルデータ)から、「有効特徴量」と「有効特徴量を演算するための諸パラメータ」を容易かつ短時間で同時に求めることができる。
【0029】
「検査・診断装置」は、実施の形態では、異音検査システム(装置)であるが、本発明はこれに限ることはなく、振動その他の波形信号に対する検査・診断装置でも良い。さらには、それら波形信号に関係なく、各種の設備保全・検査装置等に適用することができ、それらに関連する計測量方法のパラメータ等の決定を行うことができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
まず、各実施の形態を説明するに先立ち、前提として本実施の形態で特徴量及びパラメータを設定する対象となる異音検査システム(波形検査システム)を簡単に説明すると、振動センサまたは音声マイクなどで取得した波形データをフィルタによる前処理を行った後、所定の複数の特徴量を抽出し、抽出した特徴量から有効なものを用いて総合特徴量を求め、その値から良品/不良品/不定の判断を行うことを基本構成としている。そして、フィルタとしては、バンドパスフィルタ,ローパスフィルタ,ハイパスフィルタなど数種類用意されるとともに、抽出する特徴量も多数(例えば40種類)用意される。検査対象にとって良否判定をするのに有効な前処理,特徴量等は決まっている。従って、あまり有効でない特徴量が予めわかっていると、係る有効でない特徴量を求める処理は無駄である。そこで、発明では、検査対象に適した特徴量などを求め、異音検査システムに設定するものである。さらに、各特徴量は、演算方式が決定されているものの、パラメータを変えることで、得られる特徴量の値ひいては判定結果も変わる。つまり、本来有効な特徴量などであっても、設定するパラメータを誤ると、誤判定をするおそれがある。
【0031】
そこで、従来は、サンプルデータに基づいて対象物の簡易分析を人間が試行錯誤をしながら行い、その対象物の良否判断に有効そうな特徴量を求める。さらに、何千件ものサンプルデータ(良品/不良品の判断結果を含む)に基づいて、最終的に前処理としてどのフィルタを用い、そのフィルタのパラメータをいくつにするか、並びにどの特徴量を用い、その特徴量のパラメータをいくつにするかを人間が試行錯誤してみて、有効な設定条件を人間が決定する。これより、有効な特徴量などがわかるので、実際の異音検査システムでは、その有効な特徴量,パラメータ等のみを設定することで、短時間で効率よい良否判定を行うことができる。
【0032】
本発明では、予め良品/不良品の判断結果を含む(この判断結果は人間が行ったものでもよい)サンプルデータに基づいて上記した有効な特徴量や、その特徴量の諸パラメータを自動的に検索することができるようにした装置である。図1は、本発明の第1の実施の形態を示している。図1に示すように、本装置への入力データとしては、センサデータ1と、検査実績ファイル2と、デフォルト検査条件ファイル3と入力装置4を介して与えられる各種の情報がある。
【0033】
そして、センサデータ1は、検査/診断対象で発生した振動または音をセンシングしたデータである。これは発生音の波形データ、つまり計測した計測データをファイルに記録され、1計測に付き1ファイルが生成される。つまり、マイクや振動センサを用いて検出した実際の出力波形である。そして、各ファイルそれぞれ独立したファイル名を付与している。
【0034】
検査実績ファイル2は、各センサデータファイル1のひとつひとつのデータ毎の正常/異常の実際の判定結果を予め記述したファイルである。異常のデータに対しては、異常種類(名称または、異常コード)の情報もさらに付加する。具体的なデータ構造の一例を示すと、図2のようになる。そして、正常/異常の判定は検査員(人)が行ったり、その後の対象の異常情報に基き、作成・修正したりすることができる。上記したセンサデータ1や検査実績ファイル2のデータが、サンプルデータとなる。
【0035】
デフォルト検査条件ファイル3は、探索する諸パラメータの探索開始時点の初期設定値を記述したファイルであり、この検査条件を基に特徴量値を演算する。そして、人が諸パラメータを探索する際にも、この検査条件をデフォルトとして探索を開始するようになる。
【0036】
入力装置4は、人が探索の各パラメータを入力する部分であり、キーボードやマウスその他の各種の入力装置を用いることができる。そして、具体的に入力する情報は、
(1)入力ファイル情報(検査実績ファイル名,センサデータ格納位置)
(2)探索終了条件(a)評価値閾値超え、(b)評価値飽和,(c)指定探索時間(世代)など
(3)探索方法(a)分離度優先,(b)分離数優先
などがある。
【0037】
内部装置としては、検索実績ファイル読込部11と、特徴量演算部12と、評価部13と、探索条件設定部14と、パラメータ探索部15と、探索終了条件判定部16並びに検査条件出力部17を備えている。各処理部の具体的な機能は以下の通りである。
【0038】
まず、探索条件設定部14は、探索方式(分離度/分離数),探索終了条件,探索手段(GA,NN,総当り,SVM)などの入力を入力装置4から受け取り、各対応する処理部へ設定する。
【0039】
そして、検査実績ファイル読込部11は、センサデータ1と検査実績ファイル2から入力された各情報を取得するものである。すなわち、検査実績ファイル2に記載されている検査実績(正常/異常判定:OK/NG))と、ファイル名を対応つけ、検査実績OKとNGのファイルをそれぞれ読み込む。ここでは、センサデータおよび検査実績ファイルというように、一旦ファイルに落とした情報を使用しているが、検査実績は計測毎に都度入力手段や他の外部装置から入力することもできる。また、センサデータ1もファイルを介さず、直に入力し、内部で保持しておくこともできる。
【0040】
この検査実績ファイル読込部11で取得したデータは、次段の特徴量演算部12に渡される。この特徴量演算部12には、デフォルト検査条件ファイル3のデータも与えられる。そして、この特徴量演算部12は、パラメータ探索部15の探索結果に従い、検査条件ファイルの諸パラメータを更新し、各波形データファイルに対する特徴量演算を行うものである。そして、パラメータ探索部15で探索されたデータが存在しない処理の開始当初は、デフォルト検査条件ファイル3から取得したデフェルト値に基づいて特徴量を求める。そして、求めた特徴量は、評価部13に渡す。
【0041】
評価部13は、各波形データファイルに対する複数の特徴量演算の結果から、諸パラメータの良さを後述する評価式から算出し、求めた評価値に基づいて良く良否を分離できる特徴量名を抽出する。なお、使用する評価式は、探索方法の指定によって異なる。また、抽出する特徴量の数も探索方法の指定によって異なる。なお、探索方法は、探索条件設定部14から与えられる。
【0042】
パラメータ探索部15は、検査条件ファイルの各パラメータを基準に、良品(OK品)と不良品(NG品)を最もよく分離できる特徴量演算用の諸パラメータを探索するものである。探索方法は、GA(遺伝的アルゴリズム)、NN(ニューラルネットワーク),SVM(サポートベクターマシン),総当りなどの各種の手法がある。そして、最も評価値の高い諸パラメータおよび特徴量名を保持する。
【0043】
探索終了条件判定部16は、評価部13から評価値を取得し、入力装置4から与えられた探索の終了条件になったか否かを判断する。探査の終了条件が成立した場合には、パラメータ探索部15に探索終了を通知する。
【0044】
パラメータ探索部15は、そのパラメータ探索部15が探索した最も優れた諸パラメータを検査条件ファイルに出力するとともに、最も良否を分離する特徴量名を求め、それを検索条件出力部17へ渡す。そして、検索条件出力部17は、パラメータ検索部15から与えられた最も優れた諸パラメータ並びに最も良否を分離する特徴量名を出力する。
【0045】
一方、検索条件出力部17から出力される出力データには、センサデータの正常/異常(OK/NG,良否)を最もよく分離する特徴量を指定する有効特徴量名と、上記有効特徴量を演算するための諸パラメータを格納したファイルである検査条件ファイルがある。有効特徴量名は、上位からn個(nは1を含む正の整数)提示する。
【0046】
次に、上記した装置の動作原理を説明しつつ、適宜各処理部の詳細な機能について説明する。全体の処理アルゴリズムは、図3に示すフローチャートのようになっている。
【0047】
すなわち、まず探索条件設定部14が入力装置4から探索条件を受け付けとると、受け付けた探索条件を関連する処理部へ与える(ST1)。パラメータ探索にはさまざまなアルゴリズムを適用することが可能であるが、遺伝的アルゴリズムを用いた場合にユーザが与える探索条件としては、以下に示すものがある。
【0048】
まず、遺伝的アルゴリズム動作を規定するパラメータとしては、個体数,交叉率,突然変異率,世代数がある。個体数は、探索に用いる個体個体(解候補)の数である。また、交叉率は、個体個体を交叉させる確立である。突然変異率は、個体個体の中の遺伝子を突然変異させる確率である。世代数は、遺伝的アルゴリズムを適用する世代数である。また、探索方法を規定するパラメータ(探索方法)としては、分離度重視か分離数重視かの選択があり、分離数重視の場合は上位いくつを使うかと、各重み係数がある。さらに、探索終了条件を規定するパラメータ(終了条件)としては、▲1▼遺伝的アルゴリズムの世代数に達した時点と、▲2▼評価値(後述する式(2)または(2)′)が一定値を超えた時点と、▲3▼評価値が同一の値である世代が一定世代数を超えた時点などがあり、少なくとも1つを具備したときに探索条件を具備したとすることができる。
【0049】
そして、検査実績ファイル読込部11は、探索条件設定部14から収集すべき検査実績ファイル名およびセンサデータファイルディレクトリを取得し、検査実績ファイルに記載されているファイル名のファイルを読み込む。読み込み後、検査実績ファイル2のOK/NG情報と、センサデータファイル名の対応付けを行う(ST2)。
【0050】
次いで、NG種別(異常種類)毎にNG品のセンサデータファイルを集計する(ST3)。つまり、図2に示すように、検査実績ファイルには、判定結果がNG(異常)となったデータファイルは、その異常の種類も関連づけて登録されているため、その異常種類が同じ物同士をグループ化する。そして、呼び出される毎に、全てのOK品のセンサデータファイルと、単一NG種別のセンサデータファイル(同一の異常種類のセンサデータファイル)の組を作る。
【0051】
その後、パラメータ探索部15が、特徴量演算部12経由でデフォルトのパラメータを取得し、パラメータの探索を行う(ST4)。そして、探索した結果の諸パラメータを特徴量演算部12に渡す。
【0052】
次に、特徴量演算部12では、パラメータ探索部15から受け取ったパラメータを基に、例えば、特開平11−173909号公報等に開示されたような各種の特徴量を演算し求める(ST5)。この演算は、ステップ3で選択した全てのOKセンサデータと、ある1種類のNG種のファイルのデータに対して行い、求めた演算値(特徴量)を評価部13へ送る。
【0053】
評価部13は、特徴量演算結果とOK品とNG品のごとに集計し、式(1)に示す特徴量番号毎の評価値を演算する。そして、探索種類として分離度が指定されている場合は、式(2)で評価値Valを確定する。また、分離数優先が指定されている場合は、式(2)′で評価値Valを確定する。
【0054】
すなわち、まず、特徴量毎の評価値を式(1)を用いて求める。ここで、係数αは、検査実績ファイルでOKとなっているセンサデータ(以下OK品)の平均が検査実績ファイルでNGとなっているセンサデータ(以下NG品)の平均より小さい場合即ち、NG品を高い値で検出している場合に値を大きくするための係数である。一方、計数βはOK品のグループとNG品のグループが完全に分離した場合に加点するための係数である。なお、式(1)は1例であり、他の式であってもよい。
【0055】
但し
OKAven:OK品の特徴量nの平均値
OKσn:OK品の特徴量nの分散
NGAven:NG品の特徴量nの平均値
NGσn:NG品の特徴量nの分散
OKMinn,OKMaxn:OK品特徴量nの最大値,最小値
NGMinn,NGMaxn:NG品特徴量nの最大値,最小値
n:0 〜 特徴量数−1
【0056】
最終的な評価値Valは、以下のようにして求める。すなわち、評価値Valは、ユーザが指定する探索方法によって式(2)と式(2)′を使い分ける。探索方法が、分離度優先の場合は式(2)を使い、探索方法が、分離数優先の場合は式(2)′を使う。式(2)′は評価値Vnが上位2つを使う式であるが、任意の上位評価値の重み付き平均でもよい。
【0057】
Val=Vm……(2)
Vm:MAX(Vn:n=0〜特徴量数−1)
Val=(w*Vm+(1−w)*Vk)/1……(2)′
Vm:MAX(Vn:n=0〜特徴量数−1)
Vk:MAX(Vn:n=0〜特徴量数−1かつmを除く)
w: 0.0〜1.0 (ユーザが設定する重み)
【0058】
上記各式に基づいて評価値を求めたならば、探索終了条件判定部16は、探索終了条件成立をチェックする(ST7)。探索終了条件は、ステップ1を実行することにより探索条件設定部14から設定されたもので、例えば、評価値が一体の水準以上に達した場合や、世代数が一定の値に達したなどがある。そして、探索終了条件に達していない場合には、ステップ8に進み、最良解の保存を行う。すなわち、パラメータ探索部15は、評価部13から評価値を受け取り、現在の諸パラメータの評価値が最大であれば、最大評価値を更新し、現在の諸パラメータを最良解候補として保持する。
【0059】
さらにパラメータ探索部15は、評価値を基に、次の諸パラメータの探索を行い、探索した結果を特徴量演算部12に渡す(ST9)。この後、ステップ5に戻り、特徴量演算部12が新たな諸パラメータに基づいて特徴量を算出することになる。
【0060】
ここでパラメータ検索部15の機能を説明する。パラメータ探索部15に遺伝的アルゴリズムを用いた場合の個体個体のコーディング例としては、図4に示すようになる。このコードディングにおける各遺伝子の値は、それぞれ図5,図6のテーブルインデックスに対応する。ここでは、特徴量としてFFT_LxからFFTx_Hの周波数範囲内におけるFFTの周波数スペクトルピークに対し、KL_xで規定されるK番目からL個分を平均した値を特徴量とするものである。
【0061】
従って、たとえば、x=2の場合、FFT2_L(FFT下限周波数)とFFT2_H(FFT上限周波数)は、79Hz〜140Hz間のFFT周波数スペクトルを特徴量として演算することを示す。そして、KL_2は、FFT2_L,FFT2_Hによって得た周波数スペクトルピークの1番目から5個分を平均することを意味する。
【0062】
同様に、x=1の場合、FFT1_LとFFT1_Hが同じ0であるため、20から28Hz間のFFT周波数スペクトルを求め、得られた周波数スペクトルピークの1番目から5個分を平均することを意味する。
【0063】
上記のようなコーディングされた遺伝子の個体個体を初期集団として多数ランダムに生成させ、遺伝的アルゴリズムを用い選択と淘汰を行うとともに、適宜交叉や突然変異操作を行うことにより、最適解となるパラメータを探索する。パラメータ探索部15は、係る遺伝的アルゴリズムにおける選択と淘汰,交叉,突然変異といった遺伝的操作を行い、新たな世代の遺伝子(諸パラメータ)を生成することを行う。
【0064】
利用する遺伝的アルゴリズム自体は一般的に用いられているものを適用することができる。すなわち、探索条件設定部14から設定された動作条件(個体数,世代数等)に基づき、初期(0世代)の集団を生成する。そして、そのようにして設定された諸パラメータに基づいて特徴量演算部12で特徴量を求め、評価部13で評価する。
【0065】
次いで、現在の集団から優秀な個体を2つ選択する。この選択は、環境に適合した個体が生き残るようにすることであり、評価値の高い個体が生き残る確率が高い。そして、本実施の形態では、個体(親)選択方式はルーレット方式を採用している。このルーレット方式は、選ばれる確率が個体の評価値に比例する方式である。具体的には、個体を識別するインデックスを0〜nとし、個体iの評価値をfit(i)とすると、以下の式を満たす個体jが選択される。
【0066】
【数1】
【0067】
つまり、評価値の総和未満の数値(T_val)をランダムに発生する。次に評価値をインデックス順に加算し、T_valを超えたインデックスを持つ個体が選択されることになる。
【0068】
そして、交叉確率以上の場合には、交叉を行う。つまり、上記のようにして選択された2つの個体(親)から2つの新たな個体(子)を生成する。交叉方法としては、2点交叉を採用している。すなわち、図7(a)に示すように、ランダムに交叉位置を決定し、その交叉位置のデータを互いに交換する。このようにして生成された新たな個体は、2つの優秀な親から生成されているので親の優れた形質を受け継ぐと推定できる。
【0069】
また、突然変異率以上の場合には、個体を突然変異変異させる。突然変異は、親の個体が持たない形質を子の個体に発生させる操作である。すなわち、図7(b)に示すように、ランダムに決定した突然変異個所の遺伝子の値をランダムに決定される突然変異値に置き替える。なお、突然変異値は、選択された遺伝子の上下限値の範囲でランダムに生成する。つまり、図4に示す例では、FFT周波数パラメータを特定する先頭から10番目までは、0〜15の範囲内で決定され、ピーク位置テーブルを特定する後ろの5個分は、0〜4の範囲内で決定される。
【0070】
そして、評価値の最も低い2つの個体を選択し、上記した交叉或いは突然変異により生成された新しい個体と入れ替える。これにより、世代の交代が行われる。上記した処理を全個体に対して行う。そして、上記した世代交代を適当数繰り返し行うことにより、最良個体を決定することができる。
【0071】
つまり、1つのNG種に対する探索(ST4〜9)の中で、最大のValを演算値として得た時のVmに対応するm番目の特徴量が最もOK品とNG品をよく分離する特徴量となる。また、式(2)′を選択した場合は、最大のValを演算値として得た時のVmとVkに対応する特徴量が、最もOK品とNG品をよく分離する特徴量のTOP1とTOP2に該当する。
【0072】
一方、ステップ7の分岐判断で、Yesとなると、パラメータ探索が終了するので、検索条件出力部17は、探索した結果最も評価値が高かった特徴量とその特徴量を演算する諸パラメータを出力する(ST10)。出力したデータは、プリントアウトしたり、表示装置に表示することもできるし、所定の記憶媒体に記録保持することもできる。さらには、異音検査システムに対して、直接パラメータ等の設定を行うようにしてもよい。
【0073】
そして、異常種類ごとに異音の有無を判定する特徴量,パラメータは異なるので、上記した処理は、異常種類ごとに行う。したがって、全ての異常種に対して探索が終了したかチェックし(ST11)、終了していなければ、ステップ4へ戻り、次の異常種類に対する処理を行う。また、すべての異常種類に対する探索が行われていれば、探索動作を終了する。
【0074】
本実施の形態によれば、複数の有効特徴量候補を演算するための諸パラメータを、評価関数を基に探索することにより、有効な特徴量と、その特徴量を演算するための諸パラメータを同時に発見することができる。そのため、従来、分析者が勘と経験を基に大きな時間をかけて行った作業の工数を削減できる。
【0075】
また、以上の種類によっては1つの有効特徴量だけで良否(OK/NG,正常/異常)を識別することができない場合もある。係る場合、単一の特徴量のみで分離する探索方式では、探索に失敗する場合がある。そこで、探索方式として、▲1▼最も良品と不良品を分離する特徴量を探索する方式と、▲2▼良品と不良品を分離する複数の特徴量を探索する方式という2つの探索方式(評価式(2)と(2)′)を選択可能にすることにより、有効特徴量が単一で済む場合と複数必要な場合のいずれにも対応できる。
【0076】
図8以降は、本発明の第2の実施の形態を示している。異音検査システムにおける特徴量演算では、図8に示すような「フィルタ処理」→「特徴抽出」→「最終特徴量演算」のステップで求める特徴量を演算するための諸パラメータを遺伝的アルゴリズムで求めることを試みる場合、フィルタまで考慮すると図9示すような遺伝子のコーディングが考えられる。
【0077】
単純な遺伝的アルゴリズムを用いて上記のようにコーディングした個体に対して、交叉,突然変異操作を行い、パラメータを探索することができる。但し、図8に示すような特徴量演算では、フィルタ処理のパラメータが特徴抽出のパラメータに影響し、特徴量抽出のパラメータが統合特徴量演算のパラメータに影響する場合がある。このように、各処理が独立でない諸パラメータを求める場合に、単純に遺伝的アルゴリズムを用いると、以下のような問題が考えられる。
【0078】
▲1▼パラメータが相互依存するため、探索の収束に時間がかかる可能性がある(時間がかかっても広域に探索したい場合ももちろんある)。▲2▼全くすべてをランダムに探索するよりは、いくつかのパラメータを固定した方が効率がよい場合があるが、単純なGAではそのような制御ができない。▲3▼複雑なケースに対応できると言われる階層化GAや並列GAはGA動作自身の制御が難しく、最適な動作状態を得るための試行錯誤が大きい。
【0079】
そこで、本実施の形態では、上記3つの課題を解決するために単純なGAに対し、「ブロック毎の遺伝形質の隠蔽/発現」,「ブロック交叉」,「ブロック突然変異」といった機構を導入した。すなわち、遺伝子のコーディングを、各機能ごとにブロック化する。一例をあげると、図9に示すコーディング例の場合、図10のように、フィルタ処理に対応する第1ブロックと、特徴量を求める第2ブロックと、統合特徴量を求める第3ブロックに分けることができる。そして、各ブロックは、ブロック単位で形質の隠蔽/発現を制御するようにした。つまり、形質が隠蔽状態のブロックは、交叉および突然変異の影響を受けないようにする。また、ブロック内の遺伝子の値によらず、デコード時に固定値をデコード値として返す。この固定のデコード値はデフォルト値でも良いし、ユーザの指定する値でもよい。そして、形質が発現状態のブロックは、通常の伝的アルゴリズムで処理する。
【0080】
なお、ブロック毎の形質の発現/隠蔽は、入力装置4を操作して探索条件としてユーザが指定する。具体的には、ユーザは以下の項目の何れかをブロックごとに指定することになる。
(1)常時発現(通常のGAと同じ)
(2)世代数発現(指定された世代数に達した時点で発現するもので、それまでは隠蔽する)
(3)評価値が一定値を超えた時点で発現
(4)評価値の飽和を検知した時点で発現(飽和は評価値が一定世代以上変らない場合)
【0081】
そして、パラメータ探索部15が行う遺伝的アルゴリズムにおける選択と淘汰,交叉,突然変異といった遺伝的操作を、ブロック単位で行うようにした。つまり、ブロック単位交叉では、図11(a)に示すように、ブロック内を1つの個体とみなし、交叉位置はブロック内でランダムに生成させ、互いの個体同士で交叉を行う。このとき、形質が隠蔽状態のブロックは交叉を行わない。
【0082】
また、図11(b)に示すように、ブロック単位突然変異では、ブロック内を1つの個体をみなして突然変異を行う。なお、形質が隠蔽状態(後述する)のブロックは突然変異を行わない。
【0083】
このように、ブロック毎に遺伝形質の発現/隠蔽の設定並びにブロック単位交叉及びブロック単位突然変異の導入により、柔軟な探索が可能になる。すなわち、たとえば、ブロック1を常時発現させ、ブロック2を10世代後に発現させ、ブロック3を評価値飽和後に発現するように設定すると、「フィルタ処理」→「特徴量抽出」→「統合特徴量演算」の順に絞込み探索が可能である。また、全てのブロックを常時発現とすれば、通常のGAと同じように広域探索が可能になる。このように、特徴量演算のパラメータの相互依存関係を探索戦略に盛り込むことができる。
【0084】
そして、係る処理を行うためのパラメータ探索部15は、例えば図12に示すように構成することができる。図12に示すように、本実施の形態におけるパラメータ探索部15は、遺伝的演算制御部15aと、遺伝的演算部15bと、コーディング/デコーディング部15cを備えている。
【0085】
そして、遺伝的演算制御部15aは、ユーザの設定に基づいて各ブロックを制御するもので、具体的には各ブロック毎の形質の発現/隠蔽のタイミングを監視し、遺伝的演算部15bに、各ブロックの遺伝的演算の許可/不許可を演算制御情報として出力する。また、コーディング/デコーディング部15cにデコード制御を出力する。
【0086】
また、遺伝的演算部15bは、交叉/選択/突然変異といった遺伝的演算を行う。この機能は、第1の実施の形態でも備えている。但し、その遺伝的演算がブロック単位で行うことが相違する。また、遺伝的演算制御部15aからの指示に従い、隠蔽対象のブロックは遺伝的演算を行わない。
【0087】
コーディング/デコーディング部15cは、固体をデコード(図5,図6のようなリストに基づいて行う)し、特徴量演算用の諸パラメータに変換する。遺伝的演算制御部15aの制御に従い、隠蔽対象のブロックは、指定されたデフォルト値または、ユーザの指定値にデコードする。
【0088】
そして、上記した各処理部15a〜15cを備えたパラメータ探索部15の機能は、図13に示すフローチャートを実行するようになる。この図13に示すフローチャートは、図3に示したメインのフローチャート中のステップ9の具体的な処理に対応する。したがって、この処理を経ると、ステップ5に飛ぶ。
【0089】
まず、ユーザが入力装置4を操作して入力した探索条件から、ブロック毎の形質発現/隠蔽の情報を設定する。また、探索終了条件を設定する(ST31)。これらの処理は、遺伝的演算制御部15aが行う。
【0090】
遺伝的演算制御部15aは、設定された探索終了条件が成立したか否かをチェックする(ST32)。そして、成立していれば処理を終了し、メインフローへ戻り、成立しない場合には、遺伝的演算制御部15aが、集団から2つの個体(親)を選択する。選択の基準は、第1の実施の形態と同様である。
【0091】
次いで、遺伝的演算部15bは、選択した個体に対する交叉確率を算出し、指定された交叉率以上であれば、2つの個体をブロック単位で交叉させ、新たな2個体(子)を生成する。但し、形質が隠蔽されているブロックは交叉しない。なお、形質の隠蔽/発現の情報は、遺伝的演算制御部15aから取得する(ST34,35)。
【0092】
また、遺伝的演算部15bは、選択した個体に対する突然変異確率を計算し、突然変異率以上であれば、ブロック単位で突然変異を行う。但し、形質が隠蔽されているブロックは突然変異しない。なお、形質の隠蔽/発現の情報は、遺伝的演算制御部15aから得る。そして、突然変異操作は、それぞれの個体に対して行う(ST36,37)。
【0093】
コーディング/デコーディング部15cは、各個体を特徴量演算用の諸パラメータの形式にデコードする。このとき、形質が隠蔽されているブロックは、遺伝子を直にデコードせず、デフォルト値もしくは、ユーザの設定した指定値にデコードする。なお、形質の隠蔽/発現の情報は、遺伝的演算制御部15aから取得する(ST38)。
【0094】
次いで、個体評価を行う(ST39)。すなわち、デコードした各個体の評価値を、評価部13から得る。そして、評価値が最大の場合は、評価値と最大評価値の個体を保持する(ST40)。
【0095】
全個体に対して処理を完了したか否かを判断する(ST41)。そして、未処理の個体が存在する場合には、上記したステップ33から41までの処理を実行する。このようにして、集団の中の全個体に対してステップ33から41の処理を繰り返した段階で1世代が終了する。
【0096】
遺伝的演算制御部15aは、1世代の処理が完了する毎に、ブロック毎の隠蔽/発現条件に達しているかをチェックし、ユーザが指定した条件に達している場合にはブロック毎の隠蔽/発現条件を更新する(ST42)。
【0097】
本実施の形態では、遺伝的アルゴリズムを用いた探索に、ブロック毎の遺伝形質の隠蔽/発現,ブロック交叉並びにブロック突然変異の仕組みを導入したため、探索するべき諸パラメータの性質(相互依存など)に応じた意図的な探索を容易に組み込むことができ、その結果、探索効率を向上することができる。なお、その他の構成並びに作用効果は、上記した第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
【0098】
図14は、本発明の第3の実施の形態を示している。上記した第1,第2の実施の形態は、いずれも検査実績ファイルでOK(良品/正常)とNG(不良/異常)と記述されている波形ファイルをそのままOKとNGに分離できる特徴量とその特徴量を演算する諸パラメータを求めている。これは、検査実績ファイル2に記述しているOKとNGの判定は正しいという前提にたっている。しかし、係る検査実績ファイルの基となる波形データからOKとNGを判定するのは人間であるため、OK/NGの判定に誤りが含まれる可能性がある。
【0099】
従って、誤りを含んだまま、特徴量とその特徴量を演算する諸パラメータを探索した場合、探索に失敗したり探索が完了するまでに長時間かかるおそれがある。そこで、本実施の形態では、ユーザが誤判定した疑いがある判定結果(OK/NG)を検出し、誤判定した疑いのあるデータを削除したり、或いは判定結果を変えた状態で再評価することにより、誤判定したものか否かを確定し、誤判定の場合には、正しく修整することにより、効率的なパラメータ探索を実現する。さらに、ユーザが誤判定したと推定したデータファイル名をユーザに提示する機能も付加しており、ユーザ側も再検討をさせることが可能になる。
【0100】
そして、係る機能を実現するための具体的な装置構成としては、図14に示すように、第1の実施の形態の構成を基本とし、さらに、誤判定データ検出部18と、誤判定データフィルタ部19と、誤判定候補表示部20を追加した。
【0101】
ここで、誤判定データ検出部18は、ユーザが指定した開始条件から終了条件が成立するまで、誤判定候補のセンサデータを抽出するものである。そして、誤判定データをユーザの指定通りに処置(後述する)した結果、評価値に改善があれば、誤判定候補を誤判定と確定し、誤判定データフィルタ部19へ通知する。
【0102】
ここで、誤判定候補の検出開始条件並びに終了条件はは、ユーザが入力装置4から指定する。指定できる検出開始条件としては、
(1)探索が一定世代(GAの場合)または、一定時間(回数)経過時点
(2)評価値の改善が一定世代(回数/時間)停止した時点
(3)実行しない
がある。
【0103】
また、誤判定の検出終了条件としては、
(1)探索の終了世代(GA)/時間/回数に達した時点(探索の終了と同期)
(2)検出し、確定した誤判定候補が全データファイル数のa%に達した時点(a%はユーザが任意に設定できる。)
がある。
【0104】
誤判定データフィルタ部19は、誤判定データ検出部18が検出した誤判定データ候補をユーザの指示に従って処理する。ユーザの指示としては、
(1)誤判定候補を現在の判定と逆の(または異なる)判定グループに入れる
(2)誤判定候補を取り除く
がある。つまり、検査実績ファイル読込部11で取得した検査実績ファイル等のデータに対し、指定されたフィルタ処理を行い特徴量演算部12に渡す機能を持つ。
【0105】
誤判定候補表示部20は、誤判定データフィルタ部19が出力した誤判定データファイル名とそのファイルをどのように処理(上記(1)/(2))したかを、ユーザに表示するものである。
【0106】
そして、本実施の形態の処理アルゴリズムとしては、図15に示すようになる。この図15に示すフローチャートは、本実施の形態の特徴部分を示しており、図示省略した前後の処理は、図3に示したものと同様である。そして、その特徴点のみ説明すると、ステップ8の最良解の保存処理を実行後、誤判定候補選出処理を行う(ST50)。
【0107】
この誤判定候補選出処理は、まず、誤判定データ検出部18が、最良解の評価値の値が変化しない世代数/時間/探索回数を計測する(ST51)。次いで、誤判定候補の抽出の処理実行の可否を判断する(ST52)。誤判定候補の開始〜終了期間は、上記した通りである。そして、条件が成立しなければ、誤判定がないと推定できるので、ステップ9のパラメータ検索に移る。また、条件が成立していれば、誤判定候補抽出処理に移る。
【0108】
つまり、最良解で最も分離度(式(2)のVm)の高い特徴量を選択する(ST53)。そして、そのステップ53で特定した特徴量mについて、OK品の特徴量mの平均値(OKAven)と、OK品の特徴量mの分散(OKσn)を求める。そして、OK(正常/良品)と判定されているセンサデータの中で、特徴量がOKAven+3*OKσより大きいものを抽出する。このとき、複数ある場合は最大のものを抽出する。そして、抽出したセンサデータを誤判定候補とする(ST54)。
【0109】
誤判定候補のセンサデータをユーザが指定した処理方法(除去/逆の判定に入れる)に従い処理し、再度評価値を計算する。またOK品とNG品の特徴量から評価値(式(2)または式(2)′)を演算する(ST55)。そして、評価値が改善したか否かを判断する(ST56)。このとき、評価値が改善していない場合には、誤判定であるとは言えないので、何もせずステップ9に飛び、次の評価のためのパラメータ探索を行う。
【0110】
一方、改善している場合には誤判定候補は誤判定と確定し、誤判定データフィルタ部19へ誤判定候補を通知する。続いて、誤判定候補処理を行う(ST60)。具体的には、まず、誤判定データフィルタ部19では、誤判定候補となったセンサデータをユーザの設定に従い、以降のパラメータ探索で有効になるように処理する。このとき、除去が指定されている場合、以降の探索で誤判定候補のセンサデータファイルを使わないようにする。また、逆の判定に編入する場合は、以降のパラメータ探索の評価値演算で逆の判定に入るようにする。つまり、検査実績ファイルの情報を更新する(ST61)。
【0111】
次いで、誤判定候補のセンサデータファイル名と処理(除去/逆グループに編入)をユーザに表示する(ST62)。なお、その他の構成並びに作用効果は、上記した各実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0112】
本実施の形態によれば、例えば誤判定抽出前の特徴量が、図16(a)に示すようになっているとする。ここで横軸はデータファイル名であり、縦軸が特徴量の値である。人間が判定した良品(OK品)のデータである「OK5」がNGの誤判定と確定し、反対の不良品(NG品)のデータ「NG4」と置き換えて特徴量の再計算を行い、評価値を求めると、図16(b)に示すようになる。このように、同じ特徴量と諸パラメータを用いた場合でも評価値が誤判定抽出前の29から誤判定抽出後の1492に向上する。
【0113】
このように、本実施の形態では、統計的に誤判定と推定できるデータを除去や逆の(または別の)判定グループへ編入することにより、人の誤判定による探索精度、探索効率低下のリスクを低減できる。また、誤判定候補の表示として、図16に示すような結果をユーザに提示することにより、ユーザにデータの見直しの機会を与えることができる。
【0114】
なお、上記した実施の形態ではOK側だけについて誤判定候補を探索したが、本発明はこれに限ることはなく、例えば、NG側の誤判定候補を抽出したり、OK側とNG側の双方の誤判定候補を抽出したりすることもできる。
【0115】
また、本実施の形態では、誤判定候補の検出をOKAven+3*OKσよりも大きいものとしたが、誤判定候補検出の厳しさを調整するために、OKAven+q*OKσよりも大きいものとし、qをユーザが指定できるようにすることもできる。
【0116】
さらに、OKグループ、NGグループの値の分散が単峰性ではない場合を考慮し、誤判定検出のための式を任意に設定できるようにすることもできる。さらにまた、本実施の形態では、誤判定候補の抽出と、誤判候補処理は自動で行うようにしているが、抽出した誤判定候補をユーザに提示し、以降の処理をユーザに選択させるインタラクティブなインターフェースを用いることもできる。
【0117】
また、誤判定候補のデータがNG品の場合、OKのサンプル側へ入れるのではなく、異なるNG種のグループに入れるようにすることもできる。この場合、NG品を追加されたNG種に対する諸パラメータの探索が終了していれば、再度探索を実行することにより、探索結果の精度を向上することができる。
【0118】
なお、上記した各処理部は、アプリケーションプログラムにより実現することができる。従って、上記した各実施の形態では、各機能をコンピュータ等に実装して形成される装置として説明したが、本発明は係る装置に限るものではなく、必要な処理機能を実現するためのソフトウエア(プログラム製品)でも良い。そして、そのプログラム製品の提供は、各種の通信回線を用いて配信することもできるし、各種の記録媒体に格納しそれを配布することもできる。
【0119】
【発明の効果】
以上のように、この発明では、検査・診断装置における検査対象物の正常/異常を判断するのに適した有効特徴量と、その有効特徴量を演算するための諸パラメータを容易に探索・決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に第1の実施の形態を示すブロック図である。
【図2】検査実績ファイルのデータ構成を示す図である。
【図3】第1の実施の形態の機能(動作原理)を説明するフローチャートである。
【図4】コーディングの一例を示す図である。
【図5】コードディングにおける各遺伝子の値を示すテーブルインデックスの一例である。
【図6】コードディングにおける各遺伝子の値を示すテーブルインデックスの一例である。
【図7】(a)は交叉を説明する図である。
(b)は突然変異を説明する図である。
【図8】異音検査システムにおける特徴量演算の一例を説明する図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態で使用するコーディングの一例を示す図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態で使用するコーディングのブロック化を説明する図である。
【図11】(a)はブロック単位交叉を説明する図である。
(b)はブロック単位突然変異を説明する図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態の要部を示すブロック図である。
【図13】第2の実施の形態の要部機能(動作原理)を説明するフローチャートである。
【図14】本発明の第3の実施の形態を示すブロック図である。
【図15】第3の実施の形態の要部機能(動作原理)を説明するフローチャートである。
【図16】第3の実施の形態の作用を説明する図である。
【符号の説明】
1 センサデータ
2 検査実績ファイル
3 デフォルト検査条件ファイル
4 入力装置
11 検査実績ファイル読込部
12 特徴量演算部
13 評価部
14 探索条件設定部
15 パラメータ探索部
15a 遺伝的演算制御部
15b 遺伝的演算部
15c コーディング/デコーディング部
16 探索終了条件判定部
17 検査条件出力部
18 誤判定データ検出部
19 誤判定データフィルタ部
20 誤判定候補表示部
【発明の属する技術分野】
この発明は、知識作成支援装置及びパラメータ探索方法並びにプログラム製品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車や家電製品などには、モータが組み込まれた回転機器が非常に多く用いられている。例えば自動車を例にとってみると、エンジン,パワーステアリング,パワーシート,ミッションその他の至る所に回転機器が実装されている。また、家電製品では、冷蔵庫,エアコン,洗濯機その他各種の製品がある。そして、係る回転機器が実際に稼働すると、モータ等の回転に伴って音が発生する。
【0003】
係る音は、正常な動作に伴い必然的に発生するものもあれば、不良に伴い発生する音もある。その不良に伴う異常音の一例としては、ベアリングの異常,内部の異常接触,アンバランス,異物混入などがある。より具体的には、ギヤ1回転について1度の頻度で発生するギヤ欠け,異物かみ込み,スポット傷,モータ内部の回転部と固定部が回転中の一瞬だけこすれ合うような異常音がある。また、人が不快と感じる音としては、例えば人間が聞こえる20Hzから20kHzの中で様々な音があり、例えば約15kHz程度のものがある。そして、係る所定の周波数成分の音が発生している場合も異常音となる。もちろん、異常音はこの周波数に限られない。
【0004】
係る不良に伴う音は、不快であるばかりでなく、さらなる故障を発生させるおそれもある。そこで、それら各製品に対する品質保証を目的とし、生産工場においては、通常検査員による聴覚や触覚などの五感に頼った「官能検査」を行ない、異常音の有無の判断を行っている。具体的には、耳で聞いたり、手で触って振動を確認したりすることによって行っている。なお、官能検査は、官能検査用語
JIS Z8144により定義されている。
【0005】
ところで、数年前から自動車に対する音品質の要求が急激に激しくなってきている。すなわち、自動車業界では、エンジン,ミッション,パワーシートなどの車載駆動パーツの検査を定量的に自動検査するニーズが高まっており、従来から行われている検査員による上記の官能検査のように定性的・曖昧な検査ではそのニーズに応える品質を得ることができなくなってきている。
【0006】
そこで、係る問題を解決するため、定量的かつ明確な基準による安定した検査を目的とした異音検査装置が開発されている。この異音検査システムは、「官能検査」工程の自動化を目的とした装置であり、製品駆動部の振動や音をセンサで測定し、そのアナログ信号をFFTアルゴリズムなどを応用した周波数解析装置を使って周波数成分を調べて検査するものである(特許文献1)。アナログ信号の解析は、他にバンドパスフィルタを応用したものでもよい。
【0007】
この特許文献1に開示された技術を簡単に説明すると、FFTアルゴリズムを応用した周波数解析装置は、時間領域信号を高速フーリエ変換アルゴリズムにより、周波数領域の分析をすることができる。一方、異常音の周波数領域もある程度決まっている。従って、分析により抽出された周波数成分のうち、異常音の発生領域に該当する成分を抽出することができるので、係る抽出した成分の特徴量を求める。そして、特徴量から異常の有無やその原因などをファジィ推論などを用いて推定するようにしている。
【0008】
上記した異音検査システムでは、一度定めた基準に従った自動判定ができるとともに、検査した結果(実績)と、そのときの波形データを、異音検査システム内の記憶装置に保存することができる。
【0009】
上記のような異音検査システムでは、最適な特徴量の選択および特徴量演算用の諸パラメータの選択は人が勘と経験に頼って行っているのが現状である。また、このような最適パラメータを探索する問題の自動化に対しては、例えば、特許文献2に示された「遺伝的アルゴリズムを用いた最適化処理方法および装置」がある。この特許文献2で開示されている階層化遺伝的アルゴリズムや並列遺伝的アルゴリズムは、遺伝的アルゴリズムの複雑な最適化問題における探索精度の向上に寄与すると考えられている。
【0010】
【特許文献1】
特開平11−173909号
【特許文献2】
特開平9−44465号
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1等に開示された従来の異音検査システムでは、異常の有無に対応する特徴量を抽出することおよび、特徴量を演算するための諸パラメータの選択は人が勘と経験にたよって行っている。
【0012】
従って、数千件を超える異常判定結果のデータから異常の有無とそれに対応する特徴量及び特徴量を演算するパラメータを選択することは、経験と勘が要求されるだけでなく、非常に大きな工数が必要であり、検査/診断業務の自動化の妨げになっている。
【0013】
特に、例えば自動車業界では、新車の販売数推移が、発売直後にピークを迎え、数ヶ月で落ち込む傾向になってきているため、新機種生産開始時から高い良品率が要求され、製造品質の垂直立ち上げを行うことも急務となってきている。そのため、異音検査システムにおける最適パラメータを早期に決定する必要があるが、人の経験と勘に基づく最適パラメータの決定では、時間がかかってしまうという問題がある。
【0014】
また、特許文献2に示すような階層型遺伝的アルゴリズムを異音検査システムの最適パラメータを特定するものに適用することを考えた場合、以下に示す問題を生じる。すなわち、階層構造を持たない遺伝的アルゴリズムでさえ、遺伝的アルゴリズムの動作を制御するパラメータ(交叉率,突然変異率,淘汰方法)の設定は試行錯誤的に行うため、そのようなパラメータを階層構造に積み上げた場合、所望の結果を得るためには、上記特徴量や演算パラメータを人手で選択することに匹敵する試行錯誤が必要になってしまう。
【0015】
さらに、遺伝的アルゴリズム自体の制御が複雑化するため、探索したい諸パラメータの性質(パラメータ間の影響)に応じた探索戦略を組み込むことが困難になる。その結果、仮に特許文献2の方法を用いても、短期間で効率良く最適なパラメータを求めることは困難である。
【0016】
さらにまた、諸パラメータを探索するための作業者が判断した異常の有無のデータ(学習時の教師データ:サンプルデータ)自体に誤りが含まれている場合があり、そのように誤りを含んだまま諸パラメータの探索を行うと探索が失敗したり、最適解を探索するまでに著しい時間を要してしまうおそれがある。
【0017】
この発明は、検査・診断装置における検査対象物の正常/異常を判断するのに適した有効特徴量と、その有効特徴量を演算するための諸パラメータを容易に探索・決定することができ、さらに、探索する際に用いるサンプルデータにあいまいさを含んでいても、精度良く短時間で有効特徴量等を求めることのできる知識作成支援装置及びパラメータ探索方法並びにプログラム製品を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
この発明による知識作成支援装置は、取得した計測データに対し、フィルタリング処理並びに特徴量抽出処理を行って得られた特徴量データに基づいて、検査対象物が正常か異常かを判断する検査・診断装置における前記検査対象物に適した有効特徴量と、その有効特徴量を演算するための諸パラメータを求める知識作成支援装置である。そして、特徴量を演算する諸パラメータを探索する探索部と、与えられた正常データと異常データを含むサンプルデータに対し、前記探索部で探索された諸パラメータに基づいて複数の特徴量を演算する特徴量演算部と、その特徴量演算部により求められた特徴量の演算結果から諸パラメータの良さを評価値として出力する評価部を備え、前記探索部は、評価部の評価結果を基に再度諸パラメータを探索することで、評価値の高い有効特徴量と、その有効特徴量の諸パラメータを同時に決定することができるようにした。
【0019】
そして、前記評価部における前記諸パラメータを探索する方式として、
(1)正常と異常を分離できる度合いを重視する方式と
(2)分離できる特徴量の数を重視する方式と
を択一的に実行可能とし、
設定された探索方式に応じて、
(1)′最も正常と異常を分離することができる有効特徴量と、その有効特徴量を演算するための諸パラメータ、
(2)′正常と異常を分離する複数の有効特徴量と、その有効特徴量を演算するための諸パラメータ、
のいずれかを求めることができるようにするとよい。さらに、本発明に係る知識作成支援装置では、前記サンプルデータは、同一の異常種類についての異常データと、正常データとすることができる。
【0020】
また、本発明に係るパラメータ探索方法は、取得した計測データに対し、フィルタリング処理並びに特徴量抽出処理を行って得られた特徴量データに基づいて、検査対象物が正常か異常かを判断する検査・診断装置における前記検査対象物に適した有効特徴量と、その有効特徴量を演算するための諸パラメータを求める知識作成支援装置におけるパラメータ探索方法である。そして、与えられた正常データと異常データを含むサンプルデータに対し、特徴量演算部が設定された諸パラメータに基づいて複数の特徴量を演算し、その特徴量演算部により求められた特徴量の演算結果から前記諸パラメータの良さを表す評価値を算出し、その算出した評価結果を基に再度諸パラメータを探索し、探索した諸パラメータに基づいて前記特徴量算出並びに評価値の算出を実行することを繰り返し実行し、設定された探索終了条件に満たしたときの評価値の高い有効特徴量と、その有効特徴量の諸パラメータを同時に決定することである。
【0021】
この場合に、前記諸パラメータを探索する方式として、正常と異常を分離できる度合いを重視する第1方式と、分離できる特徴量の数を重視する第2方式を用意し、前記設定された探索方式に応じて、前記第1方式または前記第2方式を実行することにより、
(1)′最も正常と異常を分離することができる有効特徴量と、その有効特徴量を演算するための諸パラメータ、
(2)′正常と異常を分離する複数の有効特徴量と、その有効特徴量を演算するための諸パラメータ、
のいずれかを求めるようにするとよい。
【0022】
さらに、本発明に係るプログラム製品は、取得した計測データに対し、フィルタリング処理並びに特徴量抽出処理を行って得られた特徴量データに基づいて、検査対象物が正常か異常かを判断する検査・診断装置における前記検査対象物に適した有効特徴量と、その有効特徴量を演算するための諸パラメータを求めるためのプログラム製品である。そして、与えられた正常データと異常データを含むサンプルデータに対し、特徴量演算部が設定された諸パラメータに基づいて複数の特徴量を演算する処理と、その特徴量演算部により求められた特徴量の演算結果から前記諸パラメータの良さを表す評価値を算出する処理と、その算出した評価値を基に再度諸パラメータを探索し、その探索した諸パラメータに基づいて前記特徴量算出並びに評価値の算出を設定された探索終了条件に満たすまで繰り返し実行する処理と、前記探索終了条件に満たしたときの評価値の高い有効特徴量と、その有効特徴量の諸パラメータを同時に決定する処理を実行するプログラム部分を持つようにした。
【0023】
さらに、前記諸パラメータを探索する処理として、正常と異常を分離できる度合いを重視する第1方式と、分離できる特徴量の数を重視する第2方式を持ち、前記設定された探索方式に応じて、前記第1方式または第2方式を実行する処理を行うプログラム部分を持つようにするとよい。上記した各発明は、第1の実施の形態により実現されている。
この発明によれば、検査・診断装置の特徴量選択及びその特徴量演算の諸パラメータの決定を自動化し、人による探索工数を削減することができる。
【0024】
また、前記探索部は、前記諸パラメータをコーディングした個体に対して、遺伝的アルゴリズムを適用し、交叉・突然変異・選択操作を所望の条件が満たされるまで実行して最適な諸パラメータを探索ものであり、前記コーディングした個体の中の個々の遺伝子は、各機能ごとにブロック化し、そのブロック単位で遺伝子の形質の発現または隠蔽を制御するようにすると良い。この発明は、第2の実施の形態により実現されている。
【0025】
階層化遺伝的アルゴリズム(GA)よりも見通しのよいGA動作パラメータ設定ができる。また、機能ごとにブロック化し、ブロック単位で遺伝操作を行うようにしたため、探索したいパラメータ間の影響関係に基づいた探索戦略を容易に設定できる。
【0026】
さらにまた、全サンプルデータを使用した諸パラメータによる探索が所望の条件を満たした際に、前記サンプルデータの中で誤判定と推定できるデータを抽出し、その誤判定と推定したデータを誤判定とみなして再構成したサンプルを利用して諸パラメータを求めた際に得られる評価値が、再構成前の評価値よりも高い場合に、前記誤判定と推定したデータは誤判定のデータと確定する機能を備えるとよい。係る判定は、実施の形態では誤判定データ検出部18で行う。そして、誤判定と決定したデータは、表示装置その他の出力手段に出力するようにすると、ユーザにその内容を確認させることができるのでより好ましい。
【0027】
また、前記再構成は、前記誤判定と推定したデータを削除する処理、逆の判定結果のサンプルグループへ組替える処理、異なる判定結果のサンプルグループへ組替える処理の少なくとも1つを実行するようにすることができる。さらには、前記誤判定と確定したデータを、正しいサンプルデータに更新した状態で、前記探索部における探索を実行するようにするとよい。係る更新は、実施の形態では誤判定データフィルタ部19で行う。
【0028】
この発明によれば、検査・診断条件を決めるために人が作成したサンプルデータに誤りが含まれていても、誤り候補として削除または、逆判定に組み入れることができるため、データの誤りに基づく探索の失敗や長期化を防ぐことができる。また、誤り候補をユーザに提示することにより、ユーザの判定を検証することができる。つまり、あいまいさを含んだ人の良否判定データ(サンプルデータ)から、「有効特徴量」と「有効特徴量を演算するための諸パラメータ」を容易かつ短時間で同時に求めることができる。
【0029】
「検査・診断装置」は、実施の形態では、異音検査システム(装置)であるが、本発明はこれに限ることはなく、振動その他の波形信号に対する検査・診断装置でも良い。さらには、それら波形信号に関係なく、各種の設備保全・検査装置等に適用することができ、それらに関連する計測量方法のパラメータ等の決定を行うことができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
まず、各実施の形態を説明するに先立ち、前提として本実施の形態で特徴量及びパラメータを設定する対象となる異音検査システム(波形検査システム)を簡単に説明すると、振動センサまたは音声マイクなどで取得した波形データをフィルタによる前処理を行った後、所定の複数の特徴量を抽出し、抽出した特徴量から有効なものを用いて総合特徴量を求め、その値から良品/不良品/不定の判断を行うことを基本構成としている。そして、フィルタとしては、バンドパスフィルタ,ローパスフィルタ,ハイパスフィルタなど数種類用意されるとともに、抽出する特徴量も多数(例えば40種類)用意される。検査対象にとって良否判定をするのに有効な前処理,特徴量等は決まっている。従って、あまり有効でない特徴量が予めわかっていると、係る有効でない特徴量を求める処理は無駄である。そこで、発明では、検査対象に適した特徴量などを求め、異音検査システムに設定するものである。さらに、各特徴量は、演算方式が決定されているものの、パラメータを変えることで、得られる特徴量の値ひいては判定結果も変わる。つまり、本来有効な特徴量などであっても、設定するパラメータを誤ると、誤判定をするおそれがある。
【0031】
そこで、従来は、サンプルデータに基づいて対象物の簡易分析を人間が試行錯誤をしながら行い、その対象物の良否判断に有効そうな特徴量を求める。さらに、何千件ものサンプルデータ(良品/不良品の判断結果を含む)に基づいて、最終的に前処理としてどのフィルタを用い、そのフィルタのパラメータをいくつにするか、並びにどの特徴量を用い、その特徴量のパラメータをいくつにするかを人間が試行錯誤してみて、有効な設定条件を人間が決定する。これより、有効な特徴量などがわかるので、実際の異音検査システムでは、その有効な特徴量,パラメータ等のみを設定することで、短時間で効率よい良否判定を行うことができる。
【0032】
本発明では、予め良品/不良品の判断結果を含む(この判断結果は人間が行ったものでもよい)サンプルデータに基づいて上記した有効な特徴量や、その特徴量の諸パラメータを自動的に検索することができるようにした装置である。図1は、本発明の第1の実施の形態を示している。図1に示すように、本装置への入力データとしては、センサデータ1と、検査実績ファイル2と、デフォルト検査条件ファイル3と入力装置4を介して与えられる各種の情報がある。
【0033】
そして、センサデータ1は、検査/診断対象で発生した振動または音をセンシングしたデータである。これは発生音の波形データ、つまり計測した計測データをファイルに記録され、1計測に付き1ファイルが生成される。つまり、マイクや振動センサを用いて検出した実際の出力波形である。そして、各ファイルそれぞれ独立したファイル名を付与している。
【0034】
検査実績ファイル2は、各センサデータファイル1のひとつひとつのデータ毎の正常/異常の実際の判定結果を予め記述したファイルである。異常のデータに対しては、異常種類(名称または、異常コード)の情報もさらに付加する。具体的なデータ構造の一例を示すと、図2のようになる。そして、正常/異常の判定は検査員(人)が行ったり、その後の対象の異常情報に基き、作成・修正したりすることができる。上記したセンサデータ1や検査実績ファイル2のデータが、サンプルデータとなる。
【0035】
デフォルト検査条件ファイル3は、探索する諸パラメータの探索開始時点の初期設定値を記述したファイルであり、この検査条件を基に特徴量値を演算する。そして、人が諸パラメータを探索する際にも、この検査条件をデフォルトとして探索を開始するようになる。
【0036】
入力装置4は、人が探索の各パラメータを入力する部分であり、キーボードやマウスその他の各種の入力装置を用いることができる。そして、具体的に入力する情報は、
(1)入力ファイル情報(検査実績ファイル名,センサデータ格納位置)
(2)探索終了条件(a)評価値閾値超え、(b)評価値飽和,(c)指定探索時間(世代)など
(3)探索方法(a)分離度優先,(b)分離数優先
などがある。
【0037】
内部装置としては、検索実績ファイル読込部11と、特徴量演算部12と、評価部13と、探索条件設定部14と、パラメータ探索部15と、探索終了条件判定部16並びに検査条件出力部17を備えている。各処理部の具体的な機能は以下の通りである。
【0038】
まず、探索条件設定部14は、探索方式(分離度/分離数),探索終了条件,探索手段(GA,NN,総当り,SVM)などの入力を入力装置4から受け取り、各対応する処理部へ設定する。
【0039】
そして、検査実績ファイル読込部11は、センサデータ1と検査実績ファイル2から入力された各情報を取得するものである。すなわち、検査実績ファイル2に記載されている検査実績(正常/異常判定:OK/NG))と、ファイル名を対応つけ、検査実績OKとNGのファイルをそれぞれ読み込む。ここでは、センサデータおよび検査実績ファイルというように、一旦ファイルに落とした情報を使用しているが、検査実績は計測毎に都度入力手段や他の外部装置から入力することもできる。また、センサデータ1もファイルを介さず、直に入力し、内部で保持しておくこともできる。
【0040】
この検査実績ファイル読込部11で取得したデータは、次段の特徴量演算部12に渡される。この特徴量演算部12には、デフォルト検査条件ファイル3のデータも与えられる。そして、この特徴量演算部12は、パラメータ探索部15の探索結果に従い、検査条件ファイルの諸パラメータを更新し、各波形データファイルに対する特徴量演算を行うものである。そして、パラメータ探索部15で探索されたデータが存在しない処理の開始当初は、デフォルト検査条件ファイル3から取得したデフェルト値に基づいて特徴量を求める。そして、求めた特徴量は、評価部13に渡す。
【0041】
評価部13は、各波形データファイルに対する複数の特徴量演算の結果から、諸パラメータの良さを後述する評価式から算出し、求めた評価値に基づいて良く良否を分離できる特徴量名を抽出する。なお、使用する評価式は、探索方法の指定によって異なる。また、抽出する特徴量の数も探索方法の指定によって異なる。なお、探索方法は、探索条件設定部14から与えられる。
【0042】
パラメータ探索部15は、検査条件ファイルの各パラメータを基準に、良品(OK品)と不良品(NG品)を最もよく分離できる特徴量演算用の諸パラメータを探索するものである。探索方法は、GA(遺伝的アルゴリズム)、NN(ニューラルネットワーク),SVM(サポートベクターマシン),総当りなどの各種の手法がある。そして、最も評価値の高い諸パラメータおよび特徴量名を保持する。
【0043】
探索終了条件判定部16は、評価部13から評価値を取得し、入力装置4から与えられた探索の終了条件になったか否かを判断する。探査の終了条件が成立した場合には、パラメータ探索部15に探索終了を通知する。
【0044】
パラメータ探索部15は、そのパラメータ探索部15が探索した最も優れた諸パラメータを検査条件ファイルに出力するとともに、最も良否を分離する特徴量名を求め、それを検索条件出力部17へ渡す。そして、検索条件出力部17は、パラメータ検索部15から与えられた最も優れた諸パラメータ並びに最も良否を分離する特徴量名を出力する。
【0045】
一方、検索条件出力部17から出力される出力データには、センサデータの正常/異常(OK/NG,良否)を最もよく分離する特徴量を指定する有効特徴量名と、上記有効特徴量を演算するための諸パラメータを格納したファイルである検査条件ファイルがある。有効特徴量名は、上位からn個(nは1を含む正の整数)提示する。
【0046】
次に、上記した装置の動作原理を説明しつつ、適宜各処理部の詳細な機能について説明する。全体の処理アルゴリズムは、図3に示すフローチャートのようになっている。
【0047】
すなわち、まず探索条件設定部14が入力装置4から探索条件を受け付けとると、受け付けた探索条件を関連する処理部へ与える(ST1)。パラメータ探索にはさまざまなアルゴリズムを適用することが可能であるが、遺伝的アルゴリズムを用いた場合にユーザが与える探索条件としては、以下に示すものがある。
【0048】
まず、遺伝的アルゴリズム動作を規定するパラメータとしては、個体数,交叉率,突然変異率,世代数がある。個体数は、探索に用いる個体個体(解候補)の数である。また、交叉率は、個体個体を交叉させる確立である。突然変異率は、個体個体の中の遺伝子を突然変異させる確率である。世代数は、遺伝的アルゴリズムを適用する世代数である。また、探索方法を規定するパラメータ(探索方法)としては、分離度重視か分離数重視かの選択があり、分離数重視の場合は上位いくつを使うかと、各重み係数がある。さらに、探索終了条件を規定するパラメータ(終了条件)としては、▲1▼遺伝的アルゴリズムの世代数に達した時点と、▲2▼評価値(後述する式(2)または(2)′)が一定値を超えた時点と、▲3▼評価値が同一の値である世代が一定世代数を超えた時点などがあり、少なくとも1つを具備したときに探索条件を具備したとすることができる。
【0049】
そして、検査実績ファイル読込部11は、探索条件設定部14から収集すべき検査実績ファイル名およびセンサデータファイルディレクトリを取得し、検査実績ファイルに記載されているファイル名のファイルを読み込む。読み込み後、検査実績ファイル2のOK/NG情報と、センサデータファイル名の対応付けを行う(ST2)。
【0050】
次いで、NG種別(異常種類)毎にNG品のセンサデータファイルを集計する(ST3)。つまり、図2に示すように、検査実績ファイルには、判定結果がNG(異常)となったデータファイルは、その異常の種類も関連づけて登録されているため、その異常種類が同じ物同士をグループ化する。そして、呼び出される毎に、全てのOK品のセンサデータファイルと、単一NG種別のセンサデータファイル(同一の異常種類のセンサデータファイル)の組を作る。
【0051】
その後、パラメータ探索部15が、特徴量演算部12経由でデフォルトのパラメータを取得し、パラメータの探索を行う(ST4)。そして、探索した結果の諸パラメータを特徴量演算部12に渡す。
【0052】
次に、特徴量演算部12では、パラメータ探索部15から受け取ったパラメータを基に、例えば、特開平11−173909号公報等に開示されたような各種の特徴量を演算し求める(ST5)。この演算は、ステップ3で選択した全てのOKセンサデータと、ある1種類のNG種のファイルのデータに対して行い、求めた演算値(特徴量)を評価部13へ送る。
【0053】
評価部13は、特徴量演算結果とOK品とNG品のごとに集計し、式(1)に示す特徴量番号毎の評価値を演算する。そして、探索種類として分離度が指定されている場合は、式(2)で評価値Valを確定する。また、分離数優先が指定されている場合は、式(2)′で評価値Valを確定する。
【0054】
すなわち、まず、特徴量毎の評価値を式(1)を用いて求める。ここで、係数αは、検査実績ファイルでOKとなっているセンサデータ(以下OK品)の平均が検査実績ファイルでNGとなっているセンサデータ(以下NG品)の平均より小さい場合即ち、NG品を高い値で検出している場合に値を大きくするための係数である。一方、計数βはOK品のグループとNG品のグループが完全に分離した場合に加点するための係数である。なお、式(1)は1例であり、他の式であってもよい。
【0055】
但し
OKAven:OK品の特徴量nの平均値
OKσn:OK品の特徴量nの分散
NGAven:NG品の特徴量nの平均値
NGσn:NG品の特徴量nの分散
OKMinn,OKMaxn:OK品特徴量nの最大値,最小値
NGMinn,NGMaxn:NG品特徴量nの最大値,最小値
n:0 〜 特徴量数−1
【0056】
最終的な評価値Valは、以下のようにして求める。すなわち、評価値Valは、ユーザが指定する探索方法によって式(2)と式(2)′を使い分ける。探索方法が、分離度優先の場合は式(2)を使い、探索方法が、分離数優先の場合は式(2)′を使う。式(2)′は評価値Vnが上位2つを使う式であるが、任意の上位評価値の重み付き平均でもよい。
【0057】
Val=Vm……(2)
Vm:MAX(Vn:n=0〜特徴量数−1)
Val=(w*Vm+(1−w)*Vk)/1……(2)′
Vm:MAX(Vn:n=0〜特徴量数−1)
Vk:MAX(Vn:n=0〜特徴量数−1かつmを除く)
w: 0.0〜1.0 (ユーザが設定する重み)
【0058】
上記各式に基づいて評価値を求めたならば、探索終了条件判定部16は、探索終了条件成立をチェックする(ST7)。探索終了条件は、ステップ1を実行することにより探索条件設定部14から設定されたもので、例えば、評価値が一体の水準以上に達した場合や、世代数が一定の値に達したなどがある。そして、探索終了条件に達していない場合には、ステップ8に進み、最良解の保存を行う。すなわち、パラメータ探索部15は、評価部13から評価値を受け取り、現在の諸パラメータの評価値が最大であれば、最大評価値を更新し、現在の諸パラメータを最良解候補として保持する。
【0059】
さらにパラメータ探索部15は、評価値を基に、次の諸パラメータの探索を行い、探索した結果を特徴量演算部12に渡す(ST9)。この後、ステップ5に戻り、特徴量演算部12が新たな諸パラメータに基づいて特徴量を算出することになる。
【0060】
ここでパラメータ検索部15の機能を説明する。パラメータ探索部15に遺伝的アルゴリズムを用いた場合の個体個体のコーディング例としては、図4に示すようになる。このコードディングにおける各遺伝子の値は、それぞれ図5,図6のテーブルインデックスに対応する。ここでは、特徴量としてFFT_LxからFFTx_Hの周波数範囲内におけるFFTの周波数スペクトルピークに対し、KL_xで規定されるK番目からL個分を平均した値を特徴量とするものである。
【0061】
従って、たとえば、x=2の場合、FFT2_L(FFT下限周波数)とFFT2_H(FFT上限周波数)は、79Hz〜140Hz間のFFT周波数スペクトルを特徴量として演算することを示す。そして、KL_2は、FFT2_L,FFT2_Hによって得た周波数スペクトルピークの1番目から5個分を平均することを意味する。
【0062】
同様に、x=1の場合、FFT1_LとFFT1_Hが同じ0であるため、20から28Hz間のFFT周波数スペクトルを求め、得られた周波数スペクトルピークの1番目から5個分を平均することを意味する。
【0063】
上記のようなコーディングされた遺伝子の個体個体を初期集団として多数ランダムに生成させ、遺伝的アルゴリズムを用い選択と淘汰を行うとともに、適宜交叉や突然変異操作を行うことにより、最適解となるパラメータを探索する。パラメータ探索部15は、係る遺伝的アルゴリズムにおける選択と淘汰,交叉,突然変異といった遺伝的操作を行い、新たな世代の遺伝子(諸パラメータ)を生成することを行う。
【0064】
利用する遺伝的アルゴリズム自体は一般的に用いられているものを適用することができる。すなわち、探索条件設定部14から設定された動作条件(個体数,世代数等)に基づき、初期(0世代)の集団を生成する。そして、そのようにして設定された諸パラメータに基づいて特徴量演算部12で特徴量を求め、評価部13で評価する。
【0065】
次いで、現在の集団から優秀な個体を2つ選択する。この選択は、環境に適合した個体が生き残るようにすることであり、評価値の高い個体が生き残る確率が高い。そして、本実施の形態では、個体(親)選択方式はルーレット方式を採用している。このルーレット方式は、選ばれる確率が個体の評価値に比例する方式である。具体的には、個体を識別するインデックスを0〜nとし、個体iの評価値をfit(i)とすると、以下の式を満たす個体jが選択される。
【0066】
【数1】
【0067】
つまり、評価値の総和未満の数値(T_val)をランダムに発生する。次に評価値をインデックス順に加算し、T_valを超えたインデックスを持つ個体が選択されることになる。
【0068】
そして、交叉確率以上の場合には、交叉を行う。つまり、上記のようにして選択された2つの個体(親)から2つの新たな個体(子)を生成する。交叉方法としては、2点交叉を採用している。すなわち、図7(a)に示すように、ランダムに交叉位置を決定し、その交叉位置のデータを互いに交換する。このようにして生成された新たな個体は、2つの優秀な親から生成されているので親の優れた形質を受け継ぐと推定できる。
【0069】
また、突然変異率以上の場合には、個体を突然変異変異させる。突然変異は、親の個体が持たない形質を子の個体に発生させる操作である。すなわち、図7(b)に示すように、ランダムに決定した突然変異個所の遺伝子の値をランダムに決定される突然変異値に置き替える。なお、突然変異値は、選択された遺伝子の上下限値の範囲でランダムに生成する。つまり、図4に示す例では、FFT周波数パラメータを特定する先頭から10番目までは、0〜15の範囲内で決定され、ピーク位置テーブルを特定する後ろの5個分は、0〜4の範囲内で決定される。
【0070】
そして、評価値の最も低い2つの個体を選択し、上記した交叉或いは突然変異により生成された新しい個体と入れ替える。これにより、世代の交代が行われる。上記した処理を全個体に対して行う。そして、上記した世代交代を適当数繰り返し行うことにより、最良個体を決定することができる。
【0071】
つまり、1つのNG種に対する探索(ST4〜9)の中で、最大のValを演算値として得た時のVmに対応するm番目の特徴量が最もOK品とNG品をよく分離する特徴量となる。また、式(2)′を選択した場合は、最大のValを演算値として得た時のVmとVkに対応する特徴量が、最もOK品とNG品をよく分離する特徴量のTOP1とTOP2に該当する。
【0072】
一方、ステップ7の分岐判断で、Yesとなると、パラメータ探索が終了するので、検索条件出力部17は、探索した結果最も評価値が高かった特徴量とその特徴量を演算する諸パラメータを出力する(ST10)。出力したデータは、プリントアウトしたり、表示装置に表示することもできるし、所定の記憶媒体に記録保持することもできる。さらには、異音検査システムに対して、直接パラメータ等の設定を行うようにしてもよい。
【0073】
そして、異常種類ごとに異音の有無を判定する特徴量,パラメータは異なるので、上記した処理は、異常種類ごとに行う。したがって、全ての異常種に対して探索が終了したかチェックし(ST11)、終了していなければ、ステップ4へ戻り、次の異常種類に対する処理を行う。また、すべての異常種類に対する探索が行われていれば、探索動作を終了する。
【0074】
本実施の形態によれば、複数の有効特徴量候補を演算するための諸パラメータを、評価関数を基に探索することにより、有効な特徴量と、その特徴量を演算するための諸パラメータを同時に発見することができる。そのため、従来、分析者が勘と経験を基に大きな時間をかけて行った作業の工数を削減できる。
【0075】
また、以上の種類によっては1つの有効特徴量だけで良否(OK/NG,正常/異常)を識別することができない場合もある。係る場合、単一の特徴量のみで分離する探索方式では、探索に失敗する場合がある。そこで、探索方式として、▲1▼最も良品と不良品を分離する特徴量を探索する方式と、▲2▼良品と不良品を分離する複数の特徴量を探索する方式という2つの探索方式(評価式(2)と(2)′)を選択可能にすることにより、有効特徴量が単一で済む場合と複数必要な場合のいずれにも対応できる。
【0076】
図8以降は、本発明の第2の実施の形態を示している。異音検査システムにおける特徴量演算では、図8に示すような「フィルタ処理」→「特徴抽出」→「最終特徴量演算」のステップで求める特徴量を演算するための諸パラメータを遺伝的アルゴリズムで求めることを試みる場合、フィルタまで考慮すると図9示すような遺伝子のコーディングが考えられる。
【0077】
単純な遺伝的アルゴリズムを用いて上記のようにコーディングした個体に対して、交叉,突然変異操作を行い、パラメータを探索することができる。但し、図8に示すような特徴量演算では、フィルタ処理のパラメータが特徴抽出のパラメータに影響し、特徴量抽出のパラメータが統合特徴量演算のパラメータに影響する場合がある。このように、各処理が独立でない諸パラメータを求める場合に、単純に遺伝的アルゴリズムを用いると、以下のような問題が考えられる。
【0078】
▲1▼パラメータが相互依存するため、探索の収束に時間がかかる可能性がある(時間がかかっても広域に探索したい場合ももちろんある)。▲2▼全くすべてをランダムに探索するよりは、いくつかのパラメータを固定した方が効率がよい場合があるが、単純なGAではそのような制御ができない。▲3▼複雑なケースに対応できると言われる階層化GAや並列GAはGA動作自身の制御が難しく、最適な動作状態を得るための試行錯誤が大きい。
【0079】
そこで、本実施の形態では、上記3つの課題を解決するために単純なGAに対し、「ブロック毎の遺伝形質の隠蔽/発現」,「ブロック交叉」,「ブロック突然変異」といった機構を導入した。すなわち、遺伝子のコーディングを、各機能ごとにブロック化する。一例をあげると、図9に示すコーディング例の場合、図10のように、フィルタ処理に対応する第1ブロックと、特徴量を求める第2ブロックと、統合特徴量を求める第3ブロックに分けることができる。そして、各ブロックは、ブロック単位で形質の隠蔽/発現を制御するようにした。つまり、形質が隠蔽状態のブロックは、交叉および突然変異の影響を受けないようにする。また、ブロック内の遺伝子の値によらず、デコード時に固定値をデコード値として返す。この固定のデコード値はデフォルト値でも良いし、ユーザの指定する値でもよい。そして、形質が発現状態のブロックは、通常の伝的アルゴリズムで処理する。
【0080】
なお、ブロック毎の形質の発現/隠蔽は、入力装置4を操作して探索条件としてユーザが指定する。具体的には、ユーザは以下の項目の何れかをブロックごとに指定することになる。
(1)常時発現(通常のGAと同じ)
(2)世代数発現(指定された世代数に達した時点で発現するもので、それまでは隠蔽する)
(3)評価値が一定値を超えた時点で発現
(4)評価値の飽和を検知した時点で発現(飽和は評価値が一定世代以上変らない場合)
【0081】
そして、パラメータ探索部15が行う遺伝的アルゴリズムにおける選択と淘汰,交叉,突然変異といった遺伝的操作を、ブロック単位で行うようにした。つまり、ブロック単位交叉では、図11(a)に示すように、ブロック内を1つの個体とみなし、交叉位置はブロック内でランダムに生成させ、互いの個体同士で交叉を行う。このとき、形質が隠蔽状態のブロックは交叉を行わない。
【0082】
また、図11(b)に示すように、ブロック単位突然変異では、ブロック内を1つの個体をみなして突然変異を行う。なお、形質が隠蔽状態(後述する)のブロックは突然変異を行わない。
【0083】
このように、ブロック毎に遺伝形質の発現/隠蔽の設定並びにブロック単位交叉及びブロック単位突然変異の導入により、柔軟な探索が可能になる。すなわち、たとえば、ブロック1を常時発現させ、ブロック2を10世代後に発現させ、ブロック3を評価値飽和後に発現するように設定すると、「フィルタ処理」→「特徴量抽出」→「統合特徴量演算」の順に絞込み探索が可能である。また、全てのブロックを常時発現とすれば、通常のGAと同じように広域探索が可能になる。このように、特徴量演算のパラメータの相互依存関係を探索戦略に盛り込むことができる。
【0084】
そして、係る処理を行うためのパラメータ探索部15は、例えば図12に示すように構成することができる。図12に示すように、本実施の形態におけるパラメータ探索部15は、遺伝的演算制御部15aと、遺伝的演算部15bと、コーディング/デコーディング部15cを備えている。
【0085】
そして、遺伝的演算制御部15aは、ユーザの設定に基づいて各ブロックを制御するもので、具体的には各ブロック毎の形質の発現/隠蔽のタイミングを監視し、遺伝的演算部15bに、各ブロックの遺伝的演算の許可/不許可を演算制御情報として出力する。また、コーディング/デコーディング部15cにデコード制御を出力する。
【0086】
また、遺伝的演算部15bは、交叉/選択/突然変異といった遺伝的演算を行う。この機能は、第1の実施の形態でも備えている。但し、その遺伝的演算がブロック単位で行うことが相違する。また、遺伝的演算制御部15aからの指示に従い、隠蔽対象のブロックは遺伝的演算を行わない。
【0087】
コーディング/デコーディング部15cは、固体をデコード(図5,図6のようなリストに基づいて行う)し、特徴量演算用の諸パラメータに変換する。遺伝的演算制御部15aの制御に従い、隠蔽対象のブロックは、指定されたデフォルト値または、ユーザの指定値にデコードする。
【0088】
そして、上記した各処理部15a〜15cを備えたパラメータ探索部15の機能は、図13に示すフローチャートを実行するようになる。この図13に示すフローチャートは、図3に示したメインのフローチャート中のステップ9の具体的な処理に対応する。したがって、この処理を経ると、ステップ5に飛ぶ。
【0089】
まず、ユーザが入力装置4を操作して入力した探索条件から、ブロック毎の形質発現/隠蔽の情報を設定する。また、探索終了条件を設定する(ST31)。これらの処理は、遺伝的演算制御部15aが行う。
【0090】
遺伝的演算制御部15aは、設定された探索終了条件が成立したか否かをチェックする(ST32)。そして、成立していれば処理を終了し、メインフローへ戻り、成立しない場合には、遺伝的演算制御部15aが、集団から2つの個体(親)を選択する。選択の基準は、第1の実施の形態と同様である。
【0091】
次いで、遺伝的演算部15bは、選択した個体に対する交叉確率を算出し、指定された交叉率以上であれば、2つの個体をブロック単位で交叉させ、新たな2個体(子)を生成する。但し、形質が隠蔽されているブロックは交叉しない。なお、形質の隠蔽/発現の情報は、遺伝的演算制御部15aから取得する(ST34,35)。
【0092】
また、遺伝的演算部15bは、選択した個体に対する突然変異確率を計算し、突然変異率以上であれば、ブロック単位で突然変異を行う。但し、形質が隠蔽されているブロックは突然変異しない。なお、形質の隠蔽/発現の情報は、遺伝的演算制御部15aから得る。そして、突然変異操作は、それぞれの個体に対して行う(ST36,37)。
【0093】
コーディング/デコーディング部15cは、各個体を特徴量演算用の諸パラメータの形式にデコードする。このとき、形質が隠蔽されているブロックは、遺伝子を直にデコードせず、デフォルト値もしくは、ユーザの設定した指定値にデコードする。なお、形質の隠蔽/発現の情報は、遺伝的演算制御部15aから取得する(ST38)。
【0094】
次いで、個体評価を行う(ST39)。すなわち、デコードした各個体の評価値を、評価部13から得る。そして、評価値が最大の場合は、評価値と最大評価値の個体を保持する(ST40)。
【0095】
全個体に対して処理を完了したか否かを判断する(ST41)。そして、未処理の個体が存在する場合には、上記したステップ33から41までの処理を実行する。このようにして、集団の中の全個体に対してステップ33から41の処理を繰り返した段階で1世代が終了する。
【0096】
遺伝的演算制御部15aは、1世代の処理が完了する毎に、ブロック毎の隠蔽/発現条件に達しているかをチェックし、ユーザが指定した条件に達している場合にはブロック毎の隠蔽/発現条件を更新する(ST42)。
【0097】
本実施の形態では、遺伝的アルゴリズムを用いた探索に、ブロック毎の遺伝形質の隠蔽/発現,ブロック交叉並びにブロック突然変異の仕組みを導入したため、探索するべき諸パラメータの性質(相互依存など)に応じた意図的な探索を容易に組み込むことができ、その結果、探索効率を向上することができる。なお、その他の構成並びに作用効果は、上記した第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
【0098】
図14は、本発明の第3の実施の形態を示している。上記した第1,第2の実施の形態は、いずれも検査実績ファイルでOK(良品/正常)とNG(不良/異常)と記述されている波形ファイルをそのままOKとNGに分離できる特徴量とその特徴量を演算する諸パラメータを求めている。これは、検査実績ファイル2に記述しているOKとNGの判定は正しいという前提にたっている。しかし、係る検査実績ファイルの基となる波形データからOKとNGを判定するのは人間であるため、OK/NGの判定に誤りが含まれる可能性がある。
【0099】
従って、誤りを含んだまま、特徴量とその特徴量を演算する諸パラメータを探索した場合、探索に失敗したり探索が完了するまでに長時間かかるおそれがある。そこで、本実施の形態では、ユーザが誤判定した疑いがある判定結果(OK/NG)を検出し、誤判定した疑いのあるデータを削除したり、或いは判定結果を変えた状態で再評価することにより、誤判定したものか否かを確定し、誤判定の場合には、正しく修整することにより、効率的なパラメータ探索を実現する。さらに、ユーザが誤判定したと推定したデータファイル名をユーザに提示する機能も付加しており、ユーザ側も再検討をさせることが可能になる。
【0100】
そして、係る機能を実現するための具体的な装置構成としては、図14に示すように、第1の実施の形態の構成を基本とし、さらに、誤判定データ検出部18と、誤判定データフィルタ部19と、誤判定候補表示部20を追加した。
【0101】
ここで、誤判定データ検出部18は、ユーザが指定した開始条件から終了条件が成立するまで、誤判定候補のセンサデータを抽出するものである。そして、誤判定データをユーザの指定通りに処置(後述する)した結果、評価値に改善があれば、誤判定候補を誤判定と確定し、誤判定データフィルタ部19へ通知する。
【0102】
ここで、誤判定候補の検出開始条件並びに終了条件はは、ユーザが入力装置4から指定する。指定できる検出開始条件としては、
(1)探索が一定世代(GAの場合)または、一定時間(回数)経過時点
(2)評価値の改善が一定世代(回数/時間)停止した時点
(3)実行しない
がある。
【0103】
また、誤判定の検出終了条件としては、
(1)探索の終了世代(GA)/時間/回数に達した時点(探索の終了と同期)
(2)検出し、確定した誤判定候補が全データファイル数のa%に達した時点(a%はユーザが任意に設定できる。)
がある。
【0104】
誤判定データフィルタ部19は、誤判定データ検出部18が検出した誤判定データ候補をユーザの指示に従って処理する。ユーザの指示としては、
(1)誤判定候補を現在の判定と逆の(または異なる)判定グループに入れる
(2)誤判定候補を取り除く
がある。つまり、検査実績ファイル読込部11で取得した検査実績ファイル等のデータに対し、指定されたフィルタ処理を行い特徴量演算部12に渡す機能を持つ。
【0105】
誤判定候補表示部20は、誤判定データフィルタ部19が出力した誤判定データファイル名とそのファイルをどのように処理(上記(1)/(2))したかを、ユーザに表示するものである。
【0106】
そして、本実施の形態の処理アルゴリズムとしては、図15に示すようになる。この図15に示すフローチャートは、本実施の形態の特徴部分を示しており、図示省略した前後の処理は、図3に示したものと同様である。そして、その特徴点のみ説明すると、ステップ8の最良解の保存処理を実行後、誤判定候補選出処理を行う(ST50)。
【0107】
この誤判定候補選出処理は、まず、誤判定データ検出部18が、最良解の評価値の値が変化しない世代数/時間/探索回数を計測する(ST51)。次いで、誤判定候補の抽出の処理実行の可否を判断する(ST52)。誤判定候補の開始〜終了期間は、上記した通りである。そして、条件が成立しなければ、誤判定がないと推定できるので、ステップ9のパラメータ検索に移る。また、条件が成立していれば、誤判定候補抽出処理に移る。
【0108】
つまり、最良解で最も分離度(式(2)のVm)の高い特徴量を選択する(ST53)。そして、そのステップ53で特定した特徴量mについて、OK品の特徴量mの平均値(OKAven)と、OK品の特徴量mの分散(OKσn)を求める。そして、OK(正常/良品)と判定されているセンサデータの中で、特徴量がOKAven+3*OKσより大きいものを抽出する。このとき、複数ある場合は最大のものを抽出する。そして、抽出したセンサデータを誤判定候補とする(ST54)。
【0109】
誤判定候補のセンサデータをユーザが指定した処理方法(除去/逆の判定に入れる)に従い処理し、再度評価値を計算する。またOK品とNG品の特徴量から評価値(式(2)または式(2)′)を演算する(ST55)。そして、評価値が改善したか否かを判断する(ST56)。このとき、評価値が改善していない場合には、誤判定であるとは言えないので、何もせずステップ9に飛び、次の評価のためのパラメータ探索を行う。
【0110】
一方、改善している場合には誤判定候補は誤判定と確定し、誤判定データフィルタ部19へ誤判定候補を通知する。続いて、誤判定候補処理を行う(ST60)。具体的には、まず、誤判定データフィルタ部19では、誤判定候補となったセンサデータをユーザの設定に従い、以降のパラメータ探索で有効になるように処理する。このとき、除去が指定されている場合、以降の探索で誤判定候補のセンサデータファイルを使わないようにする。また、逆の判定に編入する場合は、以降のパラメータ探索の評価値演算で逆の判定に入るようにする。つまり、検査実績ファイルの情報を更新する(ST61)。
【0111】
次いで、誤判定候補のセンサデータファイル名と処理(除去/逆グループに編入)をユーザに表示する(ST62)。なお、その他の構成並びに作用効果は、上記した各実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0112】
本実施の形態によれば、例えば誤判定抽出前の特徴量が、図16(a)に示すようになっているとする。ここで横軸はデータファイル名であり、縦軸が特徴量の値である。人間が判定した良品(OK品)のデータである「OK5」がNGの誤判定と確定し、反対の不良品(NG品)のデータ「NG4」と置き換えて特徴量の再計算を行い、評価値を求めると、図16(b)に示すようになる。このように、同じ特徴量と諸パラメータを用いた場合でも評価値が誤判定抽出前の29から誤判定抽出後の1492に向上する。
【0113】
このように、本実施の形態では、統計的に誤判定と推定できるデータを除去や逆の(または別の)判定グループへ編入することにより、人の誤判定による探索精度、探索効率低下のリスクを低減できる。また、誤判定候補の表示として、図16に示すような結果をユーザに提示することにより、ユーザにデータの見直しの機会を与えることができる。
【0114】
なお、上記した実施の形態ではOK側だけについて誤判定候補を探索したが、本発明はこれに限ることはなく、例えば、NG側の誤判定候補を抽出したり、OK側とNG側の双方の誤判定候補を抽出したりすることもできる。
【0115】
また、本実施の形態では、誤判定候補の検出をOKAven+3*OKσよりも大きいものとしたが、誤判定候補検出の厳しさを調整するために、OKAven+q*OKσよりも大きいものとし、qをユーザが指定できるようにすることもできる。
【0116】
さらに、OKグループ、NGグループの値の分散が単峰性ではない場合を考慮し、誤判定検出のための式を任意に設定できるようにすることもできる。さらにまた、本実施の形態では、誤判定候補の抽出と、誤判候補処理は自動で行うようにしているが、抽出した誤判定候補をユーザに提示し、以降の処理をユーザに選択させるインタラクティブなインターフェースを用いることもできる。
【0117】
また、誤判定候補のデータがNG品の場合、OKのサンプル側へ入れるのではなく、異なるNG種のグループに入れるようにすることもできる。この場合、NG品を追加されたNG種に対する諸パラメータの探索が終了していれば、再度探索を実行することにより、探索結果の精度を向上することができる。
【0118】
なお、上記した各処理部は、アプリケーションプログラムにより実現することができる。従って、上記した各実施の形態では、各機能をコンピュータ等に実装して形成される装置として説明したが、本発明は係る装置に限るものではなく、必要な処理機能を実現するためのソフトウエア(プログラム製品)でも良い。そして、そのプログラム製品の提供は、各種の通信回線を用いて配信することもできるし、各種の記録媒体に格納しそれを配布することもできる。
【0119】
【発明の効果】
以上のように、この発明では、検査・診断装置における検査対象物の正常/異常を判断するのに適した有効特徴量と、その有効特徴量を演算するための諸パラメータを容易に探索・決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に第1の実施の形態を示すブロック図である。
【図2】検査実績ファイルのデータ構成を示す図である。
【図3】第1の実施の形態の機能(動作原理)を説明するフローチャートである。
【図4】コーディングの一例を示す図である。
【図5】コードディングにおける各遺伝子の値を示すテーブルインデックスの一例である。
【図6】コードディングにおける各遺伝子の値を示すテーブルインデックスの一例である。
【図7】(a)は交叉を説明する図である。
(b)は突然変異を説明する図である。
【図8】異音検査システムにおける特徴量演算の一例を説明する図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態で使用するコーディングの一例を示す図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態で使用するコーディングのブロック化を説明する図である。
【図11】(a)はブロック単位交叉を説明する図である。
(b)はブロック単位突然変異を説明する図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態の要部を示すブロック図である。
【図13】第2の実施の形態の要部機能(動作原理)を説明するフローチャートである。
【図14】本発明の第3の実施の形態を示すブロック図である。
【図15】第3の実施の形態の要部機能(動作原理)を説明するフローチャートである。
【図16】第3の実施の形態の作用を説明する図である。
【符号の説明】
1 センサデータ
2 検査実績ファイル
3 デフォルト検査条件ファイル
4 入力装置
11 検査実績ファイル読込部
12 特徴量演算部
13 評価部
14 探索条件設定部
15 パラメータ探索部
15a 遺伝的演算制御部
15b 遺伝的演算部
15c コーディング/デコーディング部
16 探索終了条件判定部
17 検査条件出力部
18 誤判定データ検出部
19 誤判定データフィルタ部
20 誤判定候補表示部
Claims (11)
- 取得した計測データに対し、フィルタリング処理並びに特徴量抽出処理を行って得られた特徴量データに基づいて、検査対象物が正常か異常かを判断する検査・診断装置における前記検査対象物に適した有効特徴量と、その有効特徴量を演算するための諸パラメータを求める知識作成支援装置であって、
特徴量を演算する諸パラメータを探索する探索部と、
与えられた正常データと異常データを含むサンプルデータに対し、前記探索部で探索された諸パラメータに基づいて複数の特徴量を演算する特徴量演算部と、
その特徴量演算部により求められた特徴量の演算結果から諸パラメータの良さを評価値として出力する評価部を備え、
前記探索部は、評価部の評価結果を基に再度諸パラメータを探索することで、評価値の高い有効特徴量と、その有効特徴量の諸パラメータを同時に決定することができるようにしたことを特徴とする知識作成支援装置。 - 前記評価部における前記諸パラメータを探索する方式として、
(1)正常と異常を分離できる度合いを重視する方式と
(2)分離できる特徴量の数を重視する方式と
を択一的に実行可能となり、
設定された探索方式に応じて、
(1)′最も正常と異常を分離することができる有効特徴量と、その有効特徴量を演算するための諸パラメータ、
(2)′正常と異常を分離する複数の有効特徴量と、その有効特徴量を演算するための諸パラメータ、
のいずれかを求めることができるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の知識作成支援装置。 - 前記サンプルデータは、同一の異常種類についての異常データと、正常データであることを特徴とする請求項1または2に記載の知識作成支援装置。
- 前記探索部は、前記諸パラメータをコーディングした個体に対して、遺伝的アルゴリズムを適用し、交叉・突然変異・選択操作を所望の条件が満たされるまで実行して最適な諸パラメータを探索ものであり、
前記コーディングした個体の中の個々の遺伝子は、各機能ごとにブロック化し、そのブロック単位で遺伝子の形質の発現または隠蔽を制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の知識作成支援装置。 - 全サンプルデータを使用した諸パラメータによる探索が所望の条件を満たした際に、前記サンプルデータの中で誤判定と推定できるデータを抽出し、その誤判定と推定したデータを誤判定とみなして再構成したサンプルを利用して諸パラメータを求めた際に得られる評価値が、再構成前の評価値よりも高い場合に、前記誤判定と推定したデータは誤判定のデータと確定する機能を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の知識作成支援装置。
- 前記再構成は、前記誤判定と推定したデータを削除する処理、逆の判定結果のサンプルグループへ組替える処理、異なる判定結果のサンプルグループへ組替える処理の少なくとも1つを実行するようにしたことを特徴とする請求項5に記載の知識作成支援装置。
- 前記誤判定と確定したデータを、正しいサンプルデータに更新した状態で、前記探索部における探索を実行するようにしたことを特徴とする請求項5または6に記載の知識作成支援装置。
- 取得した計測データに対し、フィルタリング処理並びに特徴量抽出処理を行って得られた特徴量データに基づいて、検査対象物が正常か異常かを判断する検査・診断装置における前記検査対象物に適した有効特徴量と、その有効特徴量を演算するための諸パラメータを求める知識作成支援装置におけるパラメータ探索方法であって、
与えられた正常データと異常データを含むサンプルデータに対し、特徴量演算部が設定された諸パラメータに基づいて複数の特徴量を演算し、
その特徴量演算部により求められた特徴量の演算結果から前記諸パラメータの良さを表す評価値を算出し、
その算出した評価結果を基に再度諸パラメータを探索し、探索した諸パラメータに基づいて前記特徴量算出並びに評価値の算出を実行することを繰り返し実行し、
設定された探索終了条件に満たしたときの評価値の高い有効特徴量と、その有効特徴量の諸パラメータを同時に決定することを特徴とするパラメータ探索方法。 - 前記諸パラメータを探索する方式として、
正常と異常を分離できる度合いを重視する第1方式と、分離できる特徴量の数を重視する第2方式を用意し、
前記設定された探索方式に応じて、前記第1方式または前記第2方式を実行することにより、
(1)′最も正常と異常を分離することができる有効特徴量と、その有効特徴量を演算するための諸パラメータ、
(2)′正常と異常を分離する複数の有効特徴量と、その有効特徴量を演算するための諸パラメータ、
のいずれかを求めることを特徴とする請求項8に記載のパラメータ探索方法。 - 取得した計測データに対し、フィルタリング処理並びに特徴量抽出処理を行って得られた特徴量データに基づいて、検査対象物が正常か異常かを判断する検査・診断装置における前記検査対象物に適した有効特徴量と、その有効特徴量を演算するための諸パラメータを求めるためのプログラム製品であって、
与えられた正常データと異常データを含むサンプルデータに対し、特徴量演算部が設定された諸パラメータに基づいて複数の特徴量を演算する処理、
その特徴量演算部により求められた特徴量の演算結果から前記諸パラメータの良さを表す評価値を算出する処理、
その算出した評価値を基に再度諸パラメータを探索し、その探索した諸パラメータに基づいて前記特徴量算出並びに評価値の算出を設定された探索終了条件に満たすまで繰り返し実行する処理、
前記探索終了条件に満たしたときの評価値の高い有効特徴量と、その有効特徴量の諸パラメータを同時に決定する処理を実行するプログラム部分を持つことを特徴とするプログラム製品。 - 前記諸パラメータを探索する処理として、
正常と異常を分離できる度合いを重視する第1方式と、分離できる特徴量の数を重視する第2方式を持ち、前記設定された探索方式に応じて、前記第1方式または第2方式を実行する処理を行うプログラム部分を持つことを特徴とする請求項10に記載のプログラム製品。
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