JP4029405B2 - 異常判定方法および装置 - Google Patents

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Description

この発明は、振動部を有する製品の異常を判定する異常判定方法および装置に関し、詳しくは、モータやコンプレッサ等の振動部を有する機器やこれら振動部を有する機器を用いた製品、これら振動部を有する機器により駆動される製品の正常、異常を判定する異常判定方法および装置に関する。
一般に、生産工場において、モータやコンプレッサ等の振動部を有する機器やこれら振動部を有する機器を用いた製品、これら振動部を有する機器により駆動される製品の正常、異常を判定する場合は、製品出荷前に製品を実際に稼動させて、検査員が、異常音が発生しないか否かを耳で聞いたり、手で触って振動を確認したりするいわゆる官能検査で正常、異常を判定し、これによって品質保証を行なっている。
しかし、上記検査員による官能検査による製品の正常、異常の判定結果は、個人差や時間による変化などによりばらつきが大きく、さらに、上記官能検査による判定結果は、データ化、数値化が難しく、その管理も困難であるという問題がった。
そこで、上記製品の正常、異常の判定の自動化が考えられており、この自動化を可能にする従来の技術としては、FFT(高速フーリエ変換)アナライザという計測器、またはそれを組み込んだコンピュータシステムが提案されている。
図25は、FFTアナライザを組み込んで構成した従来のコンピュータシステムによる処理手法をブロック図で示したものである。
図25において、検査対象となる製品に取り付けた加速度センサ等のセンサからのセンサ信号をアナログ/ディジタル変換部(A/D変換部)1によりディジタル信号に変換する。このA/D変換部1により変換されたディジタル信号を窓関数による前処理部2で前処理し、この前処理された信号をFFTによる周波数軸波形への変換部3で、周波数軸波形へ変換する。
そして、この周波数軸波形へ変換された信号から特定周波数帯の成分抽出部4で特定周波数帯の成分を抽出し、この抽出した特定周波数帯の成分を基に判定部5で製品の正常、異常を判定する。
ここで、FFTによる変換部3における処理は、図26に示すように、時間波形χ(t)はフーリエ変換により周波数成分X(ω)に変換することができ、周波数成分X(ω)はフーリエ逆変換により時間波形χ(t)に変換できるという関係を利用したFFTを用いて周波数解析を行なうもので、前処理部2で前処理された信号をこのFFTを用いた周波数解析技術を用いて周波数成分X(ω)の集合からなる周波数軸波形へ変換するものである。
ところが、上記FFTを用いた周波数解析は、被検査信号に含まれている波が繰り返し正しい周期で発生している場合には非常に有効な解析手法であるが、実際の製品の正常、異常の検査に採用する場合には、以下に示すような問題がある。
1)断続的な成分の抽出が困難である。
すなわち、その種の正常、異常の検査の対象物から発生される波形は、図27に示すように、不規則あるいは断続的に発生する中周波数成分から高周波成分が含まれている場合が多い。
ここで、FFTを用いた周波数解析によると、図28(a)に示すような断続的に発生する大きな振幅の波と、図28(b)に示すような連続的に発生する小さな振幅の波とで、同様の解析結果となり、その区別ができない。このため、図28(b)に示すような連続的な小さな振幅の波が発生している良品と、図28(a)に示すような断続的な大きな振幅の波が発生する不良品とを識別することは困難である。
2)繰り返し精度が悪い。
すなわち、FFTを用いた周波数解析では、実際には無制限に連続しているデータを、ある有限時間だけ切り取り、それを前後につないで連続波形として処理を行なっている。そのため、切り取った部分でデータの不連続性が生じ、これが解析結果に影響する。
また、この現象を防止するため、窓関数を用いて両端の不連続性を除去する方法が一般に取られているが、この窓関数を用いた処理によると、強制的な操作の後に、FFTというダイナミックな変換を行なうことになり、その結果FFT処理の繰り返し精度が悪くなる。
また、上記FFTを用いた周波数解析以外の手法を用いた従来の技術としては、図29に示すような、いわゆるフィルタ方式という手法が知られている。
図29において、このフィルタ方式による解析手法は、検査対象となる製品に取り付けた加速度センサ等のセンサからのセンサ信号をアナログ/ディジタル変換部(A/D変換部)1によりディジタル信号に変換する。このA/D変換部1により変換されたディジタル信号を周波数フィルタなどの前処理部6で前処理し、この前処理された信号から特定周波数帯成分や指標関数による特徴量抽出部7で特徴量を抽出する。そして、この特徴量をファジィやニューロによる判定部8で判定することにより製品の正常、異常を判定する。
すなわち、このフィルタ方式による解析手法は、測定した時間信号を1つあるいは複数の数学処理やフィルタリングで特定の周波数成分などの特徴量を求め、その結果から製品の正常、異常を判定するものであるが、検出すべき異常種類が複数ある場合には、このフィルタ方式による解析手法によってそのすべてを検出するのは困難である。
そこで、この発明は、振動部を有する製品の種々の正常、異常を安定して判定することができるようにした異常判定方法および装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、
計測手段により計測された計測データに基づき製品の異常を判定する異常判定装置において、
上記計測データの断続成分を解析する断続成分解析手段を有し、
上記断続成分解析手段は、
断続成分を前処理する断続成分解析前処理手段と、
上記断続成分解析前処理手段によって前処理された断続成分を解析して特徴量を抽出する断続成分解析特徴量抽出手段とを有し、
上記断続成分解析前処理手段は、
上記計測データをヒルバート変換するヒルバート変換手段と、
上記ヒルバート変換手段の変換前のデータを実数部、変換後のデータを虚数部として複素数配列を生成する複素数配列生成手段と、
上記複素数配列生成手段で生成された複素数配列の自乗平均平方根の配列を演算する自乗平均平方根配列演算手段と、
上記自乗平均平方根配列演算手段で演算された自乗平均平方根の配列の移動平均などの平滑処理を行なう平滑処理手段と、
上記平滑処理手段の処理結果から低周波成分を抽出するローパスフィルタ手段と、
を具備することを特徴とする。
本発明は、断続成分前処理手段の具体的構成として、計測データをヒルバート変換するヒルバート変換手段と、ヒルバート変換手段の変換前のデータを実数部、変換後のデータを虚数部として複素数配列を生成する複素数配列生成手段と、複素数配列生成手段で生成された複素数配列の自乗平均平方根の配列を演算する自乗平均平方根配列演算手段と、自乗平均平方根配列演算手段で演算された自乗平均平方根の配列の移動平均などの平滑処理を行なう平滑処理手段と、平滑処理手段の処理結果から低周波成分を抽出するローパスフィルタ手段を具備する構成を採用したため、以下の作用効果が得られる。
例えば、ベアリング不良等に代表される断続的に発生する高周波成分を含む波長(断続高調波)から正常、異常の区別を行う場合は、その断続高調波の波形の実行値や最大値を求める方式や、FFT(高速フーリエ変換)により元データを変換する方式があるが、これらの方式では正常、異常の区別が非常に困難となる場合でも、本発明によると、上記ローパスフィルタ手段による処理後の波形が異常部で振幅の高い波となるから、正常、異常の区別を容易に行うことができる。
以下、この発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明に係わる異常判定方法および装置を適用して構成した異常判定システムにおける異常判定手法の一実施の形態を機能ブロック図で示したものである。
図1において、この異常判定システムにおける異常判定手法においては、振動部を有する製品に取り付けられた計測センサにより計測された計測データを、時間軸波形解析と周波数軸解析の両面から並列的に複数の加工を行ない、それぞれの加工データから複数の特徴量を演算し、それを推論することにより製品の正常、異常を判定する。
具体的には、振動部を有する製品に取り付けられた計測センサからのセンサ信号をアナログ/ディジタル変換部(A/D変換部)10によりディジタルデータに変換し、この変換したディジタルデータ(以下、元データという)をメモリ20に格納する。
このメモリ20に格納された元データは、A/D変換部10の変換データ単位で、例えば1024点ずつの固定のデータブロックに分けられ、以降の処理、すなわち、次に説明する並列前処理から特徴量関数の演算処理までを、上記固定のデータブロック単位で行なう。
すなわち、メモリ20に格納された元データは、まず、前処理1(フィルタリング)部30−1、前処理2(断続成分増幅処理)部30−2、前処理3(低周波増幅処理)部30−3、前処理4(高周波増幅処理)部30−4、FFTによる周波数変換部30−5に渡され、ここで上記前処理が並列に実行される。
ここで、前処理1(フィルタリング)部30−1による前処理は、メモリ20に格納された元データに対してアナログあるいはディジタルの周波数フィルタをかけ、元データのノイズ成分や暗騒音的信号を除去するもので、特に検出すべき異常信号の周波数帯域が予め分かっているいる場合に有効な処理である。
また、前処理2(断続成分増幅処理)部30−2は、メモリ20に格納された元データの断続成分増幅を行なうもので、具体的にには、後に詳述するように、
1)元データをヒルバート変換する
2)元データを実数部、ヒルバート変換後データを虚数部として複素数配列を作る
3)複素数配列の自乗平方根の配列を演算する
4)移動平均などの平滑処理をする
5)ローパスフィルタを通す
処理から構成される。
この前処理2(断続成分増幅処理)部30−2による前処理は、正常状態の元データに周期的な低周波から高周波が含まれている場合に有効である。
また、前処理3(低周波増幅処理)部30−3による前処理は、
1)元データをローパスフィルタを通す
2)ローパスフィルタを通した元データを微小時間にて積分する
処理により行われる。この前処理3(低周波増幅処理)部30−3による前処理は、正常状態の元データにある程度の高周波成分が含まれており、検出すべき異常信号が低周波領域に存在する場合に有効である。
また、前処理4(高周波増幅処理)部30−4による前処理は、
1)元データをハイパスフィルタを通す
2)ハイパスフィルタを通した元データを微小時間にて微分する
処理により行われる。この前処理4(高周波増幅処理)部30−4による前処理は、正常状態の元データにある程度の低周波成分が含まれており、検出すべき異常信号が高周波領域に存在する場合に有効である。
また、FFTによる周波数変換部30−5による前処理は、元データである時間軸波形をFFT(高速フーリエ変換)により周波数軸データに変換するもので、このFFT(高速フーリエ変換)により変換された周波数軸データを用いると、任意の周波数帯における成分を特徴量とすることで、異常成分の含まれている状態を定量化することが可能になる。なお、FFT(高速フーリエ変換)処理により損失した情報や検出できない異常状態もあるが、これらの異常状態の検出はメモリ20に格納された元データに基づき行われる上記前処理30−1〜30−4の処理を用いた解析で補うことができる。
前処理1(フィルタリング)部30−1で前処理されたデータは特徴量演算処理部40−1に渡され、ここで、フィルタリングにより前処理されたデータの振幅成分の抽出や数学的処理による特徴量演算が実行される。
また、前処理2(断続成分増幅処理)部30−2で前処理されたデータは特徴量演算処理部40−2に渡され、ここで、断続成分増幅処理により前処理されたデータの特徴量演算が実行される。
また、前処理3(高周波増幅処理)部30−3で前処理されたデータは特徴量演算処理部40−3に渡され、ここで、高周波増幅処理により前処理されたデータの特徴量演算が実行される。
また、前処理4(低周波増幅処理)部30−4で前処理されたデータは特徴量演算処理部40−4に渡され、ここで、低周波増幅処理により前処理されたデータの特徴量演算が実行される。
また、FFTによる周波数変換部30−5で前処理されたデータは特徴量演算処理部40−5に渡され、ここで、FFTによる周波数変により前処理されたデータの特徴量演算が実行される。
ここで、上記特徴量演算処理部40−1〜40−5の特徴量演算は、上記前処理30−1〜30−5と同様に並列実行される。
特徴量演算処理部40−1〜40−5における特徴量演算処理は、計測データの特徴を定量化するもので、前処理30−1〜30−5で前処理されたデータに基づき特定の関数演算を実行することで異常の度合いを示す情報としての特徴量を抽出する。
この特徴量を抽出する特徴量演算処理としては、従来から一般的に用いちられているRMS(自乗平方根)演算、平均演算等の数学関数、統計関数を用いた演算を用いることができる。
なお、この実施の形態の異常判定システムにおいては、上記RMS(自乗平方根)演算、平均演算等の数学関数、統計関数を用いた演算の他に以下の演算関数を用いた演算処理を採用する。
1)極値数を求める特徴量演算関数
極値数を求める特徴量演算関数は、元データ配列あるいは前処理後のデータ配列から波形の極値数を検出する演算を実行するものである。
元データ配列あるいは前処理後のデータ配列の波形の極値数は、データ配列のデータχi(但し、i=1,2、…)に対して、以下の式が成り立つときに極値として判断し、そのデータ配列の上記極値の数をカウントした値がそのデータ配列の極値数となる。
すなわち、データ配列中の連続する3つの振動データχm−1、χm、χm+1に対して、
a)|χm−χm−1|≦α
b)|χm+1−χm|≦α
c)(χm−χm−1)×(χm+1−χm)<0
の3つの条件が同時に成り立つとき、振動データχmを極値と判断する。但し、αは変数である。この変数αが“0”に近いほど微小な変化からも極値を検出することができ、この変数αをある程度大きな値にすれば、誤差的な変化を無視した極値を検出することができる。
この極値数を求める特徴量演算関数は、特に、前処理4(低周波増幅処理)部30−4で前処理されたデータ配列から特徴量を抽出する特徴量演算処理部40−4における演算処理で有効である。すなわち、測定データの低周波成分において異常性のある状態においては、前処理4(低周波増幅処理)部30−4による前処理により低周波成分が増幅されることにより、雑音的な小さな極値が少なくなり、正常な状態に比べて極値数が小さい値になることから、この特徴量の把握が容易になる。
2)極値差を求める特徴量演算関数
極値差を求める特徴量演算関数は、元データ配列あるいは前処理後のデータ配列から波形の極値数を検出する演算を実行するものである。
極値差を求める特徴量演算関数においては、上記極値数を求める特徴量演算関数により求めたデータ配列中の極値について、前後極値の差の絶対値を計算したものの配列を求め、そこから、以下の手順により計算したものを極値差として演算する。
すなわち、上記前後極値の差の絶対値を計算したものの配列内のデータをD1、D2、…Dnとすると、その中から大きい順にk個のデータを抽出し、その平均を求めた値を極値差とする。ここで、kは変数である。
すなわち、この極値差を求める特徴量演算関数は、変数kを適当に設定することにより、一定時間内の平均値やRMS演算などでは正常状態と比べて差異が検出できないが、測定データに一時的あるいは断続的に高周波レベル変化が含まれている場合における正常、異常の検出に有効である。
3)データブロック間の最大値最小値の差を求める特徴量演算関数
データブロック間の最大値最小値の差を求める特徴量演算関数は、元データ配列あるいは前処理後のデータ配列について、データブロック間の最大値最小値の差、すなわち、(最大値)−(最小値)の演算を実行するものである。
このデータブロック間の最大値最小値の差を求める特徴量演算関数は、一定時間内の平均値やRMS演算などでは正常状態と比べて差異が検出できないが、測定データに一時的あるいは断続的に高周波レベル変化が含まれている場合における正常、異常の検出に有効である。
4)周波数帯ピーク値を求める特徴量演算関数
周波数帯ピーク値を求める特徴量演算関数は、FFTによる周波数変換部30−5の前処理で周波数軸信号に変換されたデータ配列から、設定された周波数に該当するデータのピーク値を求める演算を実行するものである。
すなわち、この周波数帯ピーク値を求める特徴量演算関数においては、該当するデータをP1、P2、…Pnとすると、このデータの中から大きい順に、s個のデータを抽出し、その平均を求めたものをピーク値として演算する。ここで、sは変数である。
総合判定部50は、特徴量演算処理部40−1〜50−5でそれぞれデータブロック毎に抽出された複数の特徴量を総合的に判断して検査対象である製品の正常、異常を判断する。
この総合判定部50においては、上記データブロック毎に抽出された複数の特徴量を全検査対象時間に相当する複数のNデータブロック、例えば、10データブロック以上のデータブロックで、平均化、あるいは最大値をとることで、最終的な特徴量とし、この最終的な特徴量が製品の正常、異常を判断するための推論情報となる。
ここで、複数の特徴量を全検査対象時間に相当する複数のデータブロックで最大値をとるのは、異常状態が定常的に発生するのではなく、データブロック単位相当時間より長い周期で発生する場合に非常に有効になるからである。また、異常状態がデータブロック単位相当時間内で定常的に発生する場合には、全検査対象時間に相当する複数のデータブロックで平均化することにより、例えば、FFT処理等の繰り返し精度が悪い処理から得た情報のバラツキも1/Nに減少させることができ、これにより情報の信頼性を大幅に高めることで、優れた検査を行なうことが可能になる。
総合判定部50は、上記特徴量演算処理部40−1〜50−5で得られた複数の特徴量の全部あるいは一部を組み合わせて作成した判定知識を予め設定した所定の判定知識と比較することで、検査対象である製品の正常、異常の総合的かつ安定した判定結果を得ることが可能になる。
図2は、図1に示した異常判定システムの具体的一実施の形態をブロック図で示したものである。
図2において、この異常判定システムは、検査対象物100に、加速度センサ101を配設し、この加速度センサ101の計測信号に基づき検査対象物100の正常、異常を判定する。
検査対象物100に配設された加速度センサ101から出力される検査対象物100の測定信号は、まず、アンプ200で増幅され、その後、A/D変換ボード(アナログ/ディジタル変換ボード)300でディジタル計測データに変換され、パソコン(パーソナルコンピュータ)400に入力される。
パソコン(パーソナルコンピュータ)400では、上記ディジタル計測データに対して以下に詳述する処理を行なうことにより、検査対象100の正常、異常を判断する。
図3は、図2に示したパソコン(パーソナルコンピュータ)400における処理の概要をブロック図で示したものである。
検査対象物100に配設された加速度センサ101から出力される検査対象物100の測定信号は、A/D変換ボード300のアナログ/ディジタル変換部(A/D変換部)310によりディジタル計測データに変換され、パソコン400に入力される。
パソコン400は、上記A/D変換ボード300からのディジタル計測データ(以下、単に計測データという)を格納するメモリ410および上記メモリ410に格納された計測データ(元データ)に基づき上記パソコン400に内蔵されたCPU(中央演算処理部)で所定の処理を実行するCPUによる内部処理部420を有しており、CPUによる内部処理部420は、前処理部421、特徴量演算部422、FUZZY判定部423を有している。
ここで、CPUによる内部処理部420における前処理部421および特徴量演算部422の処理は、図4に示すように、メモリ410に格納された元データに基づき、FFT処理部430、周波数処理部440、断続成分増幅処理部450、低周波増幅処理部460、高周波増幅処理部470の処理を並列実行することにより行われる。
以下、FFT処理部430、周波数処理部440、断続成分増幅処理部450、低周波増幅処理部460、高周波増幅処理部470の処理の詳細を説明する。
図5は、FFT処理部430の処理の詳細をブロック図で示したものである。
図5において、メモリ410には、A/D変換ボード300のアナログ/ディジタル変換部(A/D変換部)310の変換データ単位で、例えば1024点ずつの固定のデータブロックに分けられ元データが格納される。
このメモリ410に格納された時間軸波形からなる元データは、まず、FFT演算処理部431で、FFT(高速フーリエ変換)により周波数軸データに変換され、この周波数軸データに基づき、特徴量1抽出部432−1で特定周波数帯a成分が抽出され、特徴量2抽出部432−2で特定周波数帯b成分が抽出され、特徴量3抽出部432−3で特定周波数帯c成分が抽出される。
ここで、特徴量1抽出部432−1による特定周波数帯a成分の抽出および特徴量2抽出部432−2による特定周波数帯b成分の抽出および、特徴量3抽出部432−3による特定周波数帯c成分の抽出は、それぞれ上記データブロック単位でそのピーク値を抽出し、この抽出したピーク値をそれぞれ複数の対象データブロックで平均化処理することにより行われ、この平均化処理により各データブロックによるバラツキを抑えることができる。
このFFT処理部430の処理により抽出される特徴量は、周波数帯の異なる設定を複数用いることにより、それぞれ異なる特徴量を抽出することが可能になる。
図6は、周波数処理部440の処理の詳細をブロック図で示したものである。
図6において、メモリ410には、図5の場合と同様に、A/D変換ボード300のアナログ/ディジタル変換部(A/D変換部)310の変換データ単位で、例えば1024点ずつの固定のデータブロックに分けられ元データが格納される。
このメモリ410に格納された時間軸波形からなる元データは、まず、バンドパスフィルタ処理部441でそのノイズ成分や暗騒音的信号を除去する前処理が行われる。そして、このノイズ成分や暗騒音的信号が除去された前処理後のデータから特徴量が抽出される。
この特徴量の抽出は、特徴量1抽出部442−1、特徴量2抽出部442−2、特徴量3抽出部442−3、特徴量4抽出部442−4、特徴量5抽出部442−5で行われる。
ここで、特徴量1抽出部442−1による特徴量抽出は、上記前処理後のデータからRMS(自乗平方根)演算により特徴量を抽出するものであり、特徴量2抽出部442−2による特徴量抽出は、ピーク値を求める特徴量演算関数によるもので、上記前処理後のデータから各データブロック単位でそのピーク値を抽出する。
また、特徴量3抽出部442−3による特徴量の抽出は、上述した極値数を求める特徴量演算関数によるもので、上記前処理後のデータのデータ配列の波形の極値を判断し、そのデータ配列の上記極値の数をカウントした値がそのデータ配列の極値数となる。
また、特徴量4抽出部442−4による特徴量の抽出は、上述した極値差を求める特徴量演算関数によるもので、上記極値数を求める特徴量演算関数により求めたデータ配列中の極値について、前後極値の差の絶対値を計算したものの配列を求め、上記前後極値の差の絶対値を計算したものの配列内のデータの中から大きい順に所定個のデータを抽出し、その平均を求めた値を極値差とする。
また、特徴量5抽出部442−5による特徴量の抽出は、上記前処理後のデータの傾き平均を求めるものである。
なお、ここでの特徴抽出は、上記特徴量抽出手法の他に、一般的な振動解析指標や統計関数を用いた手法を採用することができる。
図7は、断続成分増幅処理部450の詳細をブロック図で示したものである。
図7において、この断続成分増幅処理部450においては、まず、断続成分増幅前処理部451で、上述したような
1)元データをヒルバート変換する
2)元データを実数部、ヒルバート変換後データを虚数部として複素数配列を作る
3)複素数配列の自乗平方根の配列を演算する移動平均などの平滑処理をする
4)ローパスフィルタを通す処理
から構成される前処理が行われる。
この断続成分増幅前処理部451の処理によると、図8に示すように、時間軸波形で傾きが強い信号成分だけが大きな信号になりそれ以外は小さくなる信号が得られる。なお、図8において、(a)は、メモリ410に格納された時間軸波形である元データの元波形を示し、(b)は、上記断続成分増幅前処理部451による前処理後の処理後波形を示す。
そして、この断続成分増幅前処理部451の処理により前処理がなされた波形、すなわち、図8(b)に示すような波形から、特徴量1抽出部457−1によるピーク値の抽出、特徴量2抽出部457−2による極値差の抽出、特徴量3抽出部457−3によるデータブロック間の最大値最小値の差、すなわち、データブロック間最大−最小の抽出が行われる。
図9は、上記断続成分増幅前処理部451の詳細をブロック図で示したものである。
図9に示すように、断続成分増幅前処理部451は、メモリ410に格納された時間軸波形である元データをヒルバート変換するヒルバート変換部452、メモリ410に格納された時間軸波形である元データを実数部とし、ヒルバート変換部452によるヒルバート変換後データを虚数部として複素数配列を作る複素数計算部453、複素数計算部453で作られた複素数配列の自乗平方根の配列を演算する自乗平方根計算部454、自乗平方根計算部454で演算された自乗平方根の配列を移動平均などの平滑処理をする平滑処理部455、平滑処理部455で平滑処理された波形から雑音成分等を除くローパスフィルタ456を具備して構成される。
一般に、モータ等の回転駆動部を有する製品、すなわち、検査対象物100の状態異常の代表的なものにはベアリング不良がある。このベアリング不良等に代表される断続的に発生する高周波成分を含む波形(以下、断続高調波という)は、通常は、基本波の成分よりも振幅が高い。その場合は、波形の実効値や最大値を求めることで、正常状態と区別することができる。
しかし、その断続高調波が、正常状態の基本波の振幅成分と比較してあまり差がない場合や発生周期が長い場合には、そのような異常状態を検出するのは非常に困難になる。
また、FFT(高速フーリエ変換)により元データの周波数軸へ変換を行なっても、発生頻度が少ないため変換結果は対象時間の平均周波数成分として計算されるため、有効な差は現れない。
そこで、断続成分増幅処理前処理部451においては、まず、包絡線処理すなわち、
1)元データをヒルバート変換する(ヒルバート変換部452)
2)元データを実数部、ヒルバート変換後データを虚数部として複素数配列を作る(複素数計算部453)
3)複素数配列の自乗平方根の配列を演算する(自乗平方根計算部454)
処理を実効する。
すなわち、まず、前包絡線Ψ(t)を求める。この前包絡線Ψ(t)は、元データにそのヒルバートを虚数部として付加した複素帯域通過信号で、以下の式で求められる。
元データをχ(t)とし、χ(t)のヒルバート変換データをζ(t)とすると、前包絡線Ψ(t)は、
Ψ(t)=χ(t)+ζ(t)
となる。
また、包絡線w(t)は、前包絡線Ψ(t)の振幅として定義されるので、包絡線w(t)は、χ(t)の2乗とζ(t)の2乗の和の平方根をとることにより、次式で求めることができる。
w(t)=(χ2 (t)+ζ2 (t))1/2
この処理により、元データの波を中心で折り返したような波形が得られる。この折り返しにより問題となる断続高調波はその発生周期の観測が容易になる。
上記包絡線処理による処理結果を波形で示すと図10のようになる。図10において、(a)は、包絡線処理前の波形を示し、(b)は包絡線処理後の波形を示す。
次に、平滑処理が行われる。この平滑処理は、
1)複素数配列の自乗平方根の配列を演算する移動平均などの平滑処理をする(平滑処理部455)
2)ローパスフィルタを通す処理(ローパスフィルタ456)
により行われる。
なお、上記平滑処理は、平滑処理部455による処理とローパスフィルタ456による処理の両者の組み合わせで行なうのが好ましいが、どちらか一方の処理でも近似的な結果は得られる。
すなわち、上記移動平均処理、すなわち、平滑処理部455による処理により、小さな波はカットされる。
図11に、平滑処理部455の移動平均係数を「9」とした場合の平滑処理部455による移動平均処理結果を波形で示す。図11において、(a)は、移動平均処理前の波形を示し、(b)は移動平均処理後の波形を示す。
また、図12に、上記平滑処理部455による移動平均処理と上記ローパスフィルタ456による処理の両者の組み合わせを行なった場合の処理結果を波形で示す。図12において、(a)は、移動平均処理およびローパスフィルタ処理による処理前の波形を示し、(b)は移動平均処理およびローパスフィルタ処理による処理後の波形を示す。
上記処理により、処理後の波形は、異常部で振幅の高い波となり、その結果正常、異常の区別を容易に行なうことができる。
図13は、上記断続成分増幅前処理部451により製品、すなわち検査対象物100が正常の場合の処理前と処理後の波形を比較して示したものである。なお、図13において、(a)は、処理前の波形を示し、(b)は処理後の波形を示す。
また、図14は、上記断続成分増幅前処理部451により製品、すなわち検査対象物100が異常の場合の処理前と処理後の波形を比較して示したものである。なお、図14において、(a)は、処理前の波形を示し、(b)は処理後の波形を示す。
図15は、低周波増幅処理部460の処理の詳細をブロック図で示したものである。
図15において、メモリ410には、図5の場合と同様に、A/D変換ボード300のアナログ/ディジタル変換部(A/D変換部)310の変換データ単位で、例えば1024点ずつの固定のデータブロックに分けられ元データが格納される。
このメモリ410に格納された時間軸波形からなる元データは、まず、低周波処理部461で前処理が行われる。この前処理は、
1)元データをローパスフィルタを通す
2)ローパスフィルタを通した元データを微小時間にて積分する
処理により行われる。
そして、この低周波処理部461で前処理が施されたデータから、特徴量が抽出される。
この特徴量の抽出は、特徴量1抽出部462−1、特徴量2抽出部462−2、特徴量3抽出部462−3で行われる。
ここで、特徴量1抽出部462−1による特徴量抽出は、ピーク値を求める特徴量演算関数によるもので、上記前処理後のデータから各データブロック単位でそのピーク値を抽出する。
また、特徴量2抽出部462−2による特徴量の抽出は、上述した極値数を求める特徴量演算関数によるもので、上記前処理後のデータのデータ配列の波形の極値を判断し、そのデータ配列の上記極値の数をカウントした値がそのデータ配列の極値数となる。
また、特徴量3抽出部462−4による特徴量の抽出は、データブロック間の最大値最小値の差、すなわち、データブロック間最大−最小を演算することにより行われる。
図16は、高周波増幅処理470の処理の詳細をブロック図で示したものである。
図16において、メモリ410には、図5の場合と同様に、A/D変換ボード300のアナログ/ディジタル変換部(A/D変換部)310の変換データ単位で、例えば1024点ずつの固定のデータブロックに分けられ元データが格納される。
このメモリ410に格納された時間軸波形からなる元データは、まず、高周波処理部471で前処理が行われる。この前処理は、
3)元データをハイパスフィルタを通す
4)ハイパスフィルタを通した元データを微小時間にて微分する
処理により行われる。
そして、この高周波処理部471で前処理が施されたデータから、特徴量が抽出される。
この特徴量の抽出は、特徴量1抽出部472で行われる。すなわち、特徴量1抽出部472による特徴量抽出は、上述した極値差を求める特徴量演算関数によるもので、上記極値数を求める特徴量演算関数により求めたデータ配列中の極値について、前後極値の差の絶対値を計算したものの配列を求め、上記前後極値の差の絶対値を計算したものの配列内のデータの中から大きい順に所定個のデータを抽出し、その平均を求めた値を極値差とする。
図17は、定常的に低周波成分に異常が発生し、かつ断続的に高周波成分に異常が見られる元データを上記低周波増幅処理と高周波増幅処理でそれぞれの特徴を増幅した波形の一例を示したものである。なお、図17において、(a)は、元データの波形を示し、(b)は低周波増幅処理後の波形を示し、(c)は、高周波増幅処理後の波形を示す。
このように、元データに対して複数の処理を並列実行してその特徴量を抽出することで、あらゆる異常状態の検出が可能になる。
さて、検査対象物100が、例えば、モータであった場合、その異常の種類としては、ベアリング不良、ブラシと整流子とのスレ、軸や回転子の機械的不釣り合いによるアンバランスなどの複数の要因のものが存在する。
例として、あるモータの不良品の種類を、ベアリング不良、スレ不良、びびり不良の3つである場合、これを集合的に表わすと、検査すべき不合格品の全体集合をX、ベアリング不良の集合をA、スレ不良の集合をB、びびり不良の集合をCとすると、
X=AUBUC(Uは論理和を示す)
となる。
したがって、この不合格品を判定する判定装置としては、上記ベアリング不良の集合A、スレ不良の集合B、びびり不良の集合Cのいずれかを検出するだけでは不十分で、すべての不良種類において不合格レベルのものを検出、判定できなければならない。
いま、ひとつの不良を検査員がどのように判定しているかを示すために、以下、「音がうるさい不良」を例としてあげて説明する。
図18は、騒音計で測定した騒音のレベル(デシベル)と検査員がうるさいと感じる関係をクリスプ集合とファジイ集合で表わしたものである。図18から明らかになるように、検査員によるすべての判断は、クリスプ集合で表わすよりもファジイ集合で表わす方が適切である。また、検査員によるすべての判断は、個人差もあれば、同じ検査員でも体調によりその判断は変わる。
このため、検査員による判断の場合、はっきりした境界はないが、検査員は中間レベルのものも合格か不合格かの2つに判断しなければならないため、その都度無理矢理どちらかの判断を出している。その部分が合格、不合格のバラツキの原因になっている。この結果、騒音計を計測器としたシステムにおける判定と検査員による判断とを完全に一致させることは極めて困難である。
良品と音がうるさい不良品について、JIS(日本工業規格)に定められた騒音レベルの測定方法に定められた方法で得た騒音値を特徴量として分布グラフで示すと図19のようになる。
図19において、良品と不良品の分布の山には交差する部分があり、判定装置において、この交差部分のいずれかのデシベル値を判定基準として定めると、その基準値を上回る良品は、過検出となり、下回る不良品は見逃しとなり、その結果判定装置としての信頼性が得られない。
もちろん、ある特徴量と検査員の判断結果とを同様の手段でその分布で表わした場合は、その山と山との間に判定基準値を設定した従来の2値論理判断によって判定することが可能になる。
そこで、この実施の形態においては、まず、はっきりした良品とはっきりした不良品のサンプルを一定数以上収集し、図19のようにその分布を調べる。
このとき、良品と不良品の分布の山は離れなければならず、交差していれば、その横軸とした特徴量が適切でないか、サンプルがおかしいことになる。
次に、2つの判定基準値SAおよびSBを求める。この2つの判定基準値SAおよびSBは、良品の平均値をμ1、標準偏差をσ1とし、不良品の平均値をμ2、標準偏差をσ2と次式により求めることができる。
SA=μ1+3σ1
SB=μ2−3σ2
このときSA<SBが成り立たなければならない。成り立たない場合は、やはりその不良を検出するための有効特徴量ではないかサンプル標本がおかしいということになる。
次に、検査員の官能検査による良品と音がうるさい不良のサンプルを収集する。ここで、良品と音がうるさい不良のサンプルには中間グレードのものを含む。これを同様に分布をとり、そのサンプルについて2つの判定基準値SAおよびSBを求める。
図20は、上記検査員の官能検査の場合の上記2つの判定基準値SAおよびSBを求めた結果を示したものである。このとき、SA>SBが成り立てば、SAをSHとし、SBをSLとする。また、SA≦SBが成り立てば、SAをSLとし、SBをSHとする。
ここで、製品不良の種類は複数あるので、すべての製品不良の種類に対して、上記有効特徴量を決定し、その特徴量毎に、上記SLおよびSHを同様の手法により決定していく。ここで、1つの不良種類に対して、有効特徴量は2つ以上の複数存在してもよい。
さて、図3に戻り、この実施の形態の異常判定システムにおいて、FUZZY判定部423は、FUZZY推論部と、このFUZZY推論部による推論結果から検査対象物100の総合判定を行なう総合判定部とから構成されている。
ここで、総合判定部は、FUZZY推論部による推論結果から検査対象物100の異常に関して「OK」、「GLAY」、「NG」の3つに判断する。
FUZZY推論部に入力する情報としては、前述したようにして確定した有効特徴量が前件部の変数となる。
図21は、FUZZY判定部423におけるFUZZY推論部によるファジイ推論のための各特徴量のメンバシップ関数を示したものである。
図21において、(a)は、SA>SBの場合のメンバシップ関数を示す。ここで、このメンバシップ関数のラベルは、SML、MDL、LGLの3つのラベルからなり、台形型の横軸座標は、図21(a)に示すように、SMLとMDLの交点が前述の手法で求めたSLになるように設定され、MDLとLRGの交点が前述の手法で求めたSHになるように設定されている。
また、図21において、(b)は、SA≦SBの場合のメンバシップ関数を示す。この場合は、図21(b)に示すように、SMLとLRGの2つのメンバシップ関数を設定する。
図22は、FUZZY判定部423におけるFUZZY推論部によるファジイ推論のための後件部を示す。ここで、FUZZY推論部によるファジイ推論は、「悪い」、「おかしい」の2結論に対して行なうことが特徴である。
また、「悪い」の後件部変数としては、図22(a)に示すように、「OK」と「NG」の2つのシングルトンを持ち、「おかしい」の後件部変数としては、図22(b)に示すように、「OK」と「GRAY」の2つのシングルトンを持つ。
図23は、FUZZY判定部423におけるFUZZY推論部においてファジイ推論を行なうためのファジイ判定ルールの一例を示す。ここで、ファジイ推論のための特徴量は必要に応じて何種類まであってもよいが、図23に示すファジイ判定ルールにおいては、ファジイ推論のための特徴量として5種類の特徴量を前件部として使用する場合を示している。
図23において、ルールNo.1は、2つの結論において「OK」となるルールを示す。全集合に対し、複数の不良種類A、B、Cがあった場合、良品の集合は、
Ac*Bc*Cc(*は論理積を示す)
(ここで、Ac、Bc、Ccは、それぞれ、A、B、Cの補集合である。)
となるので、このルールNo.1は、すべての有効特徴量=SMLの条件がアンド条件で成立するときだけ明らかに良品であるというルールである。
ルールNo.2からルールNo.5までは、結論2、すなわち「おかしい」に対するルールである。すなわち、ルールNo.2からルールNo.5までによると、いずれかの特徴量がMDLであれば、「おかしい」の「GRAY」度合いが発生する。
ルールNo.7からルールNo.11までは、結論1、すなわち「悪い」に対するルールである。すなわち、ルールNo.7からルールNo.11までによると、いずれかの特徴量がLRGであれば、「悪い」の「NG」度合いが発生する。
ルールNo.12、ルールNo.13は、複数の特徴量の値がMDLのグレードを持つ場合に、「悪い」度合いが発生するルールである。これは、サンプルから得たデータを検証した結果、該当するルールが見つかった場合にその組み合わせで追加したもので、特に各特徴量のメンバシップに、組み合わせ判定用に新たなラベルを作成してもよい。
また、これ以外にも、組み合わせで「おかしい」度合いが発生する特徴量候補がある場合は、それらをそのアンド条件と識別できるラベルで「おかしい」の「GRAY」度合いが発生するルールを追加してもよい。
図24は、各ルールから適合度α、βが求められることを示す。各特徴量の適合度にミニ・マックス(mini−max)演算を行なうと、各出力の合成としての各結論の2つのシングルトンの適合度が求められる。
例えば、図23のルールNo.1では、すべての特徴量毎のSMLの適合度α1、α2、α3、α4、α5とLRGの適合度β1、β2、β3、β4、β5を求める。条件部すべての適合度としては、ミニ演算により、λ=min(α1、α2、α3、α4、α5)で求められる最小値となり、その高さを結論2の「おかしい」の「OK」グレードとする。同様に、βにより「GRAY」のグレードμ=min(β1、β2、β3、β4、β5)も求める。
また、同様に、結論1の「悪い」についても適合度α、βを求める。
次に、マックス演算として、結論1および結論2の各ラベル毎にそのラベルを出力する各ルールの最大値を求める。
次に、重心法により、結論毎の合成ファジイ出力から1つの出力値(グレード;y)を得る。
結論2の「おかしい」については、
y=(0×λ+1×μ)/(λ+μ)
同様に、結論1の「悪い」についてもグレードzを求める。
こうして、FUZZY判定部423のFUZZY推論部で、「おかしい」度合いおよび「悪い」度合いを示すグレードが選ばれる。
FUZZY判定部423の総合判定部では、「おかしい」に対するしきい値mと「悪い」に対するしきい値nが設定されており、各グレードとしきい値が比較され、以下のような条件により分類される。
if y<m and z<n then 「OK」
if y≧m and z<n then 「GRAY」
if z≧n then 「NG」
この結果が最終的な判定結果となり、外部へ出力される。
上記手法によると、検査結果として、確実な「OK」、確実な「NG」とそうでないものが判別でき、さらに、「GRAY」として判定された検査対象物100とデータの解析を行なうことにより、「GRAY」の幅を狭めることが可能になる。
なお、本実施形態では、計測手段として、検査対象物100に取り付けられた加速度センサ101を用いたが、その他音波やレーザ光を使って非接触で計測したり、駆動電流を計測して手元で計測するという方法もある。
この発明に係わる異常判定方法および装置を適用して構成した異常判定システムにおける異常判定手法の一実施の形態を示す機能ブロック図。 図1に示した異常判定システムの具体的一実施の形態を示すブロック図。 図2に示したパソコン(パーソナルコンピュータ)における処理の概要を示すブロック図。 図3に示したCPUによる内部処理部における前処理部および特徴量演算部の処理を説明するブロック図。 図4に示したFFT処理部の処理の詳細を示すブロック図。 図4に示した周波数処理部の処理の詳細を示すブロック図。 図4に示した断続成分増幅処理部の詳細を示すブロック図。 図4に示した断続成分増幅処理前処理部の処理を説明する波形図。 図8に示した断続成分増幅処理前処理部451の詳細を示すブロック図。 図9に示したヒルバート変換部および複素数計算部および自乗平方根計算部による包絡線処理の処理結果を説明する波形図。 図9に示した平滑処理部による移動平均処理結果を説明する波形図。 図9に示した平滑処理部による移動平均処理とローパスフィルタによる処理の両者の組み合わせを行なった場合の処理結果を説明する波形図。 図9に示した断続成分増幅処理前処理部により製品、すなわち検査対象物が正常の場合の処理前と処理後の波形を比較して示した波形図。 図9に示した断続成分増幅処理前処理部により製品、すなわち検査対象物が異常の場合の処理前と処理後の波形を比較して示した波形図。 図4に示した低周波増幅処理部の処理の詳細を示すブロック図。 図4に示した高周波増幅処理の処理の詳細を示すブロック図。 定常的に低周波成分に異常が発生し、かつ断続的に高周波成分に異常が見られる元データを低周波増幅処理と高周波増幅処理でそれぞれの特徴を増幅した波形の一例を示した図。 騒音計で測定した騒音のレベル(デシベル)と検査員がうるさいと感じる関係をクリスプ集合とファジイ集合で表わした図。 良品と音がうるさい不良品について、JIS(日本工業規格)に定められた騒音レベルの測定方法に定められた方法で得た騒音値を特徴量として分布グラフで示した図。 検査員の官能検査の場合の2つの判定基準値SAおよびSBを求めた結果を示した図。 図3に示したFUZZY判定部におけるFUZZY推論部によるファジイ推論のための各特徴量のメンバシップ関数を示した図。 図2に示したFUZZY判定部におけるFUZZY推論部によるファジイ推論のための後件部を示す図。 図2に示したFUZZY判定部におけるFUZZY推論部においてファジイ推論を行なうためのファジイ判定ルールの一例を示す図。 各ルールから適合度α、βが求められることを説明する図。 FFTアナライザを組み込んで構成した従来のコンピュータシステムによる処理手法を示すブロック図。 図26に示す変幹部の処理を説明する図。 正常、異常の検査の対象物から発生される波形の一例を示す図。 FFTを用いた周波数解析による問題点を説明する図。 フィルタ方式を用いた従来の手法を説明する図。
符号の説明
10 アナログ/ディジタル変換部(A/D変換部)
20 メモリ
30−1 前処理部1(フィルタリング)部
30−2 前処理2(断続成分増幅処理)部
30−4 前処理4(高周波増幅処理)部
30−5 FFTによる周波数変換部
40−1 特徴量演算処理部
40−2 特徴量演算処理部
40−3 特徴量演算処理部
40−4 特徴量演算処理部
40−5 特徴量演算処理部
100 検査対象物
101 加速度センサ
200 アンプ
300 A/D変換ボード(アナログ/ディジタル変換ボード)
310 アナログ/ディジタル変換部(A/D変換部)
400 パソコン(パーソナルコンピュータ)
410 メモリ
420 CPUによる内部処理部
421 前処理部
422 特徴量演算部
423 FUZZY判定部
430 FFT処理部
431 FFT演算処理部
432−1 特徴量1抽出部
432−2 特徴量2抽出部432−2
432−3 特徴量3抽出部432−3
440 周波数処理部
441 バンドパスフィルタ処理部
442−1 特徴量1抽出部
442−2 特徴量2抽出部
442−3 特徴量3抽出部
442−4 特徴量4抽出部
442−5 特徴量5抽出部
450 断続成分増幅処理部
451 断続成分増幅前処理部
452 ヒルバート変換部
453 複素数計算部
454 自乗平方根計算部
455 平滑処理部
456 ローパスフィルタ
457−1 特徴量1抽出部
457−2 特徴量2抽出部
457−3 特徴量3抽出部
460 低周波増幅処理部
461 低周波処理部
462−1 特徴量1抽出部
462−2 特徴量2抽出部
462−3 特徴量3抽出部
470 高周波増幅処理部
471 高周波処理部
472 特徴量1抽出部

Claims (1)

  1. 計測手段により計測された計測データに基づき製品の異常を判定する異常判定装置において、
    上記計測データの断続成分を解析する断続成分解析手段を有し、
    上記断続成分解析手段は、
    断続成分を前処理する断続成分解析前処理手段と、
    上記断続成分解析前処理手段によって前処理された断続成分を解析して特徴量を抽出する断続成分解析特徴量抽出手段とを有し、
    上記断続成分解析前処理手段は、
    上記計測データをヒルバート変換するヒルバート変換手段と、
    上記ヒルバート変換手段の変換前のデータを実数部、変換後のデータを虚数部として複素数配列を生成する複素数配列生成手段と、
    上記複素数配列生成手段で生成された複素数配列の自乗平均平方根の配列を演算する自乗平均平方根配列演算手段と、
    上記自乗平均平方根配列演算手段で演算された自乗平均平方根の配列の移動平均などの平滑処理を行なう平滑処理手段と、
    上記平滑処理手段の処理結果から低周波成分を抽出するローパスフィルタ手段と、
    を具備することを特徴とする異常判定装置。
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