JP2004191076A - 波形検査装置及び波形検査システム並びにプログラム製品 - Google Patents

波形検査装置及び波形検査システム並びにプログラム製品 Download PDF

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Abstract

【課題】安価なハードウェアリソースを最小限に使用するだけで高性能な検査が可能な波形検査装置を提供すること
【解決手段】入力装置40から入力された波形信号に対して前処理オブジェクト12で前処理された信号から特徴量を算出する特徴量作成処理オブジェクト13aと、前記作成された特徴量をもとにファジィ推論をして正常,異常を判定するファジィ推論処理オブジェクト13bと、その判定結果を出力装置42に出力する後処理オブジェクト15を備える。ファジィ推論処理オブジェクトは、メンバシップ関数オブジェクト16,判定ルールオブジェクト17を適宜読み出して判定処理を行なう。各オブジェクトは、JavaVM11のクラスロード機能を用いて、検査対象に適したオブジェクトに交換するようにした。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、波形検査装置及び波形検査システム並びにプログラム製品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車や家電製品などには、モータが組み込まれた回転機器が非常に多く用いられている。例えば自動車を例にとってみると、エンジン,パワーステアリング,パワーシート,ミッションその他の至る所に回転機器が実装されている。又、家電製品では、冷蔵庫,エアコン,洗濯機その他各種の製品がある。そして、係る回転機器が実際に稼働すると、モータ等の回転に伴って音が発生する。
【0003】
係る音は、正常な動作に伴い必然的に発生するものもあれば、不良に伴い発生する音もある。その不良に伴う異常音の一例としては、ベアリングの異常,内部の異常接触,アンバランス,異物混入などがある。より具体的には、ギヤ1回転について1度の頻度で発生するギヤ欠け,異物かみ込み,スポット傷,モータ内部の回転部と固定部が回転中の一瞬だけこすれ合うような異常音がある。また、人が不快と感じる音としては、例えば人間が聞こえる20Hzから20kHzの中で様々な音があり、例えば約15kHz程度のものがある。そして、係る所定の周波数成分の音が発生している場合も異常音となる。もちろん、異常音はこの周波数に限られない。
【0004】
係る不良に伴う音は、不快であるばかりでなく、さらなる故障を発生させるおそれもある。そこで、それら各製品に対する品質保証を目的とし、生産工場においては、通常検査員による聴覚や触覚などの五感に頼った「官能検査」を行ない、異常音の有無の判断を行っている。具体的には、耳で聞いたり、手で触って振動を確認したりすることによって行っている。なお、官能検査は、官能検査用語
JIS Z8144により定義されている。
【0005】
ところで、係る検査員の五感に頼った官能検査では、熟練した技術を要するばかりでなく、判定結果に個人差や時間による変化などのばらつきが大きい。さらには、判定結果のデータ化,数値化が難しく管理も困難となるという問題がある。そこで、係る問題を解決するため、定量的かつ明確な基準による安定した検査を目的とした異音検査装置がある。この異音検査システムは、「官能検査」工程の自動化を目的とした装置であり、製品駆動部の振動や音をセンサで測定し、そのアナログ信号をFFTアルゴリズムなどを応用した周波数解析装置を使って周波数成分を調べて検査するものである(特許文献1,2,3)。アナログ信号の解析は、他にバンドパスフィルタを応用したものでもよい。
【0006】
この特許文献1〜3に開示された技術を簡単に説明すると、FFTアルゴリズムを応用した周波数解析装置は、時間領域信号を高速フーリエ変換アルゴリズムにより、周波数領域の分析をすることができる。一方、異常音の周波数領域もある程度決まっている。従って、分析により抽出された周波数成分のうち、異常音の発生領域に該当する成分を抽出することができるので、係る抽出した成分の特徴量を求める。そして、特徴量から異常の有無やその原因などをファジィ推論などを用いて推定するようにしている。
【0007】
そして、具体的な構成の一例としては、図1に示すようなものがある。すなわち、検査装置1は、振動センサなどの入力装置2から取得した波形信号情報に対し、前処理部3にてフィルタリング処理をして所定周波数成分のみ通過させ、次段の判定部4に与える。判定部4では、特徴量作成処理部4aとファジィ推論処理部4bとを備え、特徴量を抽出した後、ファジィ推論により異常か否かを判断する。そして、判断結果は後処理部5に渡され、そこにおいて出力装置6に合わせた所定の後処理を行ない、その後処理後の信号に基づいて出力装置6を動作させ、異常の有無等の判定結果を出力するようになっている。
【0008】
さらに、前処理部3と後処理部5の間には、上記した判定部4と並列に調整部7が設けられており、判定部4におけるファジィ推論処理部4bで用いられるファジィ知識等を調整可能となっている。調整部7は、判定部4と同様に特徴量作成処理部7aとファジィ推論処理部7bを備えている。この特徴量作成処理部7aとファジィ推論処理部7bは、基本的な処理機能は判定部4における特徴量作成処理部4aとファジィ推論処理部4bと同じであり、相違点は、ファジィ推論処理部7bは、ファジィ推論処理部4b,7bで推論処理をする際に必要なファジィ知識等を調整する機能と、その調整により最適なファジィ知識等を決定後、メンバシップ関数データベース8aや判定ルールデータベース8bに格納する機能を備えていることである。つまり、調整を行なう場合には、前処理部3と後処理部5はともに調整部7とのみ接続され、前処理部3の出力を調整部7に送る。そして、教師データなどを与えつつ、判定結果が正しくなるようにメンバシップ関数並びに判定ルールを調整し、調整後のデータを各データベース8a,8bに格納する。
【0009】
このようにして調整が完了すると、判定部4におけるファジィ推論処理部4bは、特徴量作成処理部4aにて抽出された各特徴量に対し、メンバシップ関数データベース8aに格納された調整後のメンバシップ関数を呼び出して、係るメンバシップ関数に基づいて推論処理を実行し、得られた特徴量ごとのグレードを用いて判定ルールデータベース8bから呼び出した判定ルールに基づき判定処理を行なうように設定する。さらに、前処理部3並びに後処理部5は判定部4と接続するように切替える。これにより、以後、実際の判定処理が行なえる。
【0010】
さらに、図1に示した例では、特徴量作成処理部4a並びにファジィ推論部4bは、共に1つのブロックで示したが、実際には複数の特徴量並びにそれに対応したファジィ知識等が存在する。つまり、抽出する特徴量としては、所定のしきい値を越える波形のピークの数を計数したり、最大値及びまたは最小値を測定したり、最大値と最小値の差を求めたり、FFTを求める他、各種の特徴量が存在する。そして、各特徴量に応じて適切なメンバシップ関数が存在するので、機能的に見ると、図2に示すように、複数の特徴量に対し、特徴量作成処理部と、メンバシップ関数が存在する。さらに、最終的な判定処理は、メンバシップ関数に基づいて求められた各特徴量ごとのグレードを総合的に用いて判定するため、判定ルールの数は必ずしも特徴量の数とは一致しない。
【0011】
【特許文献1】
特開平11−173956号
【特許文献2】
特開平11−173909号
【特許文献3】
特開2001−91414号
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来の装置では、以下に示す問題があった。すなわち、上記したように抽出すべき特徴量が複数種存在するため、多くの特徴量に対して信号処理を行ない、多数の判定ルールにより検査結果を得ることになる。このように検査装置を複数種の特徴量と多数の判定ルールとに対応できるようにするには、検査装置のハードウエアリソースがどうしても大きくなる。この種の検査装置の一例では、検査処理の正確性を増すために特徴量作成処理部4aで多数の特徴量を処理し、その多数の特徴量に基づいて多数の判定ルールによりファジィ推論を行なう構成のものがあるが、各処理部やメンバシップ関数が複雑化するので、どうしてもハードウエアリソースが大容量となる。
【0013】
そのため、係る検査機能を実装するためには、多くの場合、高性能なハードウェアリソースを大量に備えている高性能パソコンが用いられることとなる。そしてまた、さまざまな検査対象へ適用するため、特徴量作成処理部4aで扱う特徴量の数を増加させたり、判定ルールを増加させたりするので、ますますハードウエアリソースが大きな装置が必要とされるようになっていた。
【0014】
一方、検査現場からは検査装置を小型で安価なものにすることが求められていた。しかし、検査装置を小型で安価にするためには、ハードウエアリソースが少なくても対応できるようにしなければならず、その実現は困難であった。
【0015】
そこでこの発明は、従来に比べてハードウェアリソースが少なくて済む波形検査装置及び波形検査システム並びにプログラム製品を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
この発明による波形検査装置は、入力された波形信号に対して特徴量を算出する特徴量算出手段と、前記算出した特徴量をもとに正常,異常を判定する判定手段と、その判定手段における判定結果を出力する波形検査装置であって、前記特徴量算出手段と前記判定手段の少なくとも一方を構成する機能部品の一部または全部を入替え自在に構成した。
【0017】
ここで、「機能部品」とは、第1の実施の形態で言うオブジェクトや第2の実施の形態で言うブロックに対応する。波形信号は、官能検査に関係する振動や音声はもちろんであるが、本発明はこれに限ることはなく、それ以外にも光の強さ,電流,電圧などの各種の波形信号に対して適用可能である。また、判定手段は、実施の形態ではファジィ推論を利用しているが、ファジイ推論以外の各種の判定方法を適用することができるのはもちろんである。
【0018】
機能部品の入れ替えは、各種の手段により実現できるが、例えば入れ替え対象の機能部品をJavaVM上で動作するオブジェクトで構成し、前記機能部品の一部または全部を入替え自在とするフレームワークを、JavaVMのクラスロード機能を用いて実現することができる。また、JavaVMに限らず、例えば、Windows(登録商標)のDLL+ftp等を用いることもできる。
【0019】
また、入れ替え対象の機能部品を部品化されたプログラム部品で構成し、前記プログラム部品を入れ替えることで、前記機能部品の一部または全部を入替え自在とすることもできる。
【0020】
つまり、ソフトウェア部品化された特徴量演算や判定ルールなどを自由に入れ替えることができる。これにより、必要最低限の機能を最適に選んで搭載することができる小型の波形検査装置が構成される。さらに、プログラム,データの入替えにより、様々な検査対象への適用が可能となり、将来の機能変更,機能拡張に容易に対応することができる。さらには、入替え対象の機能部品は、ハードウェアで実現することもできる。
【0021】
また「正常・異常を判定」とは、正常か異常かの2値的な判定するものも含むし、実施の形態で示したようなファジィ的な判断(2値的でなく、アナログ的な判断)をするものも含む。もちろん、正常度合いまたは異常度合いを段階的な数値で表すような判定も含まれる。
【0022】
さらにまた「特徴量をもとに判定する」とは、一つの特徴量をもとに判定する意味も含むし、複数の特徴量をもとに判定するものも含む。複数の特徴量をもとに判定するというのは、複数の特徴量の相関関係から総合的に判定する場合や、複数の特徴量を複合して判定する場合や、一つ一つの特徴量を判定し、その一つ一つの判定結果を組み合わせて総合的に判定する場合を含む。
【0023】
一方、入替えの対象となる機能部品を、装置内部のファイルシステム上に保持するようにすることもできるし、ツールその他の外部記憶装置に保持することもできる。この場合に、各機能部品(プログラム等)を格納するファイルシステムは、実施の形態では、媒体としてコンパクトフラッシュ(登録商標)を用いた例を示したが、ハードディスクその他各種の記録媒体を用いることができる。さらに、プログラム部品を格納することができれば、ファイルシステムに限ることはなく、例えばROM上にプログラムイメージを保持するなどの実装等でも実現可能である。
【0024】
さらに本発明では、外部に接続されたツールからの要求に応じて、前記機能部品の削除並びに前記ツールから送られた新たな機能部品の追加を行なう機能を備えるように構成することができる。
【0025】
また、装置内部に格納された前記機能部品の一部の変更は、外部に接続されたツールからの要求に基づいて実行するようにしたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の波形検査装置。ここで一部の変更は、実施の形態で言うメンバシップ関数等における閾値等の変更に該当する。
さらにまた、装置内部に格納された前記機能部品の一部の変更機能と、新たな機能部品の作成機能の少なくとも一方を備えるとよい。
【0026】
つまり、本発明では、新規に追加する機能部品は、予め用意したものを選択して呼び出すとともに検査装置に実装するものに限ることはなく、必要に応じて新たに作成することもできる。この場合に、係る作成機能を、ツールに設けることもできるし、波形検査装置側に実装することもできる。
【0027】
また、これらの作成機能は、同等機能を併せ持ったひとつ、または同等機能を分割した複数の実行プログラムとして構成することもできる。特に波形検査装置に実装する場合、例えば、作成機能の内の一部機能(メンバシップ関数の閾値調整,入力信号のゲイン調整など)は、ボリュームや押ボタンなどのような簡単なユーザI/Fとともに実装することが容易に行なえる。
【0028】
一方、本発明に係る波形検査システムは、上記した各種の構成からなる波形検査装置と、前記波形検査装置に通信回線を介して接続されるツールを備え、前記ツールは、前記波形検査装置上の前記機能部品の一部又は全部を入れ替えるための命令を送る機能を備え、前記波形検査装置は、前記命令に基づいて調整が行われるように構成することである。
【0029】
また、本発明に係るプログラム製品は、入力された波形信号に対して特徴量を算出する特徴量算出処理と、前記算出した特徴量をもとに正常,異常を判定する判定処理と、その判定手段における判定結果を出力する処理を実行するプログラム要素を備え、前記特徴量算出処理と前記判定処理の少なくとも一方を構成する前記プログラム要素である構成部品の一部または全部を入れ替える処理を実行するプログラムから構成することができる。
【0030】
ここで「入力された波形信号」とは、プログラム製品をインストールした装置にとって、外部から取り込む波形信号(図3でいう入力装置40からの信号)であってもよいし、この装置にいったん取り込んで内部処理した波形信号(図3でいう前処理オブジェクト12内の処理途中の信号、または前処理オブジェクト12が出力する信号)であってもよい。
【0031】
なお、本発明に係る波形検査装置は、小型,汎用のパソコンなどに必要な機能をインストールすることによって実現できるし、少ないハードウェアリソースで実現できるので、携帯型の端末のようなものでも良いし、さらには、PLCの高機能ユニットや、高機能スレーブによっても実現できる。さらには、プログラムの入替え管理を行なうフレームワークをPLCのインナボード(内部拡張ボード)へ搭載するような形態によっても実現可能となる。
【0032】
【発明の実施の形態】
図3は、本発明の第1の実施の形態を示している。本実施の形態では、波形検査装置10にJavaVM11を搭載し、プログラム部品を格納するためのコンパクトフラッシュファイルシステム18および各種ツールとのインタフェースとしてイーサネット(登録商標)によるTCP/IP通信をハンドリングしている。
【0033】
そして、JavaVM11上に前処理オブジェクト12,判定オブジェクト13,調整オブジェクト14,後処理オブジェクト15,メンバシップ関数オブジェクト16,判定ルールオブジェクト17,プログラム管理フレームワークオブジェクト19の各プログラムを実装している。これら各プログラム並びに各プログラムの構成要素は、オブジェクト指向設計により部品化を行ない、内部プログラム部品群もしくは外部プログラム部品群に登録する。なお、各オブジェクトの具体的な機能は後述する。
【0034】
また、コンパクトフラッシュファイルシステム18は、コンフィグレーション情報記憶部18a並びに内部プログラム部品群記憶部18bを有し、それら各情報を格納するようになっている。
【0035】
そして、本発明では、波形検査装置10をイーサネット(登録商標)等の通信回線30を介してパソコン31に接続可能とし、そのパソコン31から官能検査に必要なプログラム等を取得し、内部に保有する内部プログラムを更新可能としている。これにより、検査対象に適した少数の内部プログラムを保有し、それに基づいて官能検査処理を実行することができる。これに伴い、パソコン31には、メンバシップ関数作成ツール32,判定ルール作成ツール33,設定ツール34並びにそれら各ツールで作成したプログラムを格納する外部プログラム部品群記憶部35を備えている。もちろん、通信回線は、上記したものに限ることは無く、USBやRS232Cなどのシリアル通信でもよいし、無線通信でもよくその形態は問わない。
【0036】
次に、上記した各オブジェクトの具体的な機能を説明する。まず、前処理オブジェクト12は、振動センサ,マイクロフォン等の入力装置40から入力された検査情報(振動波形情報,音声情報)に対して判定処理に関係しない明らかなノイズの除去(ローパスフィルタ,バンドパスフィルタ等),ゲインの調整,整流などの前処理を行なった後、判定オブジェクト13もしくは調整オブジェクト14に対して前処理後のデータを引き渡す機能を有する。なお前処理オブジェクト12において実行される具体的な前処理のアルゴリズムは従来と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
【0037】
判定オブジェクト13は、前処理オブジェクト12から引き渡された前処理後のデータ(検査情報)に基づいて判定処理を行なうとともに、得られた判定結果を後処理オブジェクト15へ引き渡す機能を有する。係る処理を実現するため、特徴量を抽出する特徴量作成処理オブジェクト13aと、ファジィ推論処理オブジェクト13bを有する。
【0038】
特徴量作成処理オブジェクト13aは、入力信号(前処理後の検査情報)から振幅レベル,ピーク値,ピーク値周波数などの各種の特徴量を算出するものである。そして、算出する特徴量ごとにオブジェクト化されており、設定に応じて所望の特徴量を算出するためのオブジェクトが波形検査装置10へダウンロードされ実行される。したがって、調整時および検査時には波形検査装置10内にN(Nは1以上)個の特徴量作成処理オブジェクトが存在することとなる。但し、実行される特徴量の種類は、現在の検査対象について判定処理をするのに適したものを所定数選択してダウンロードされるので、従来のものに比べるとNの値は小さいものとなる。
【0039】
ファジィ推論処理オブジェクト13bは、算出された特徴量ごとに対応するメンバシップ関数オブジェクト16からメンバシップ関数を適用し、それぞれの特徴量に対するグレードを算出する。次いで、算出された各グレードに対して、判定ルールオブジェクト17から判定ルールを適用して総合的な判定結果を算出するようになっている。
【0040】
ここで、メンバシップ関数オブジェクト16は、特徴量作成処理オブジェクト13a,14aと対になっており、それぞれの特徴量に対するメンバシップ関数を保持している。従って、調整時および検査時には、N個の特徴量作成処理オブジェクト13a,14aに対してN個のメンバシップ関数オブジェクトが存在することになる。
【0041】
判定ルールオブジェクト17は、メンバシップ関数に基づいてファジィ推論処理オブジェクト13bが推論実行して得られたグレードをもとに、検査結果の判定を行なうためのルールがオブジェクト化されたもので、1ルールごとにオブジェクト化されている。そして、1個もしくは複数個の判定ルールオブジェクトが、検査結果の判定に用いられる。なお、判定ルールオブジェクト17の数と、メンバシップ関数オブジェクト16の数は必ずしも一致しない。
【0042】
なお、メンバシップ関数オブジェクト16は、どのような形状のメンバシップ関数を使用するかはもちろんのこと、グレード(適合度)が1,0になる値などのパラメータも含まれる。そして、係るパラメータは、波形検査装置10の調整時において、調整オブジェクト14のファジィ推論処理オブジェクト14bが調整の上決定し、メンバシップ関数オブジェクト16として設定する。判定ルールについても同様にファジィ推論処理オブジェクト14bが正しい判定ができるようなルールを調整の上、決定する。なお、これらメンバシップ関数オブジェクト16,判定ルールオブジェクト17は、判定オブジェクト13内に包含しているととらえてもよい。
【0043】
調整オブジェクト14は、特徴量作成処理オブジェクト14a,ファジィ推論処理オブジェクト14bを備えており、前処理オブジェクト12から引き渡された前処理後のデータ(検査情報)について実行する判定の調整を行なう。そして、調整結果は、メンバシップ関数オブジェクト16並びに判定ルールオブジェクト17に反映される。この調整オブジェクト14においても、メンバシップ関数オブジェクト16並びに判定ルールオブジェクト17を包含するようにとらえることもできる。
【0044】
特徴量作成処理オブジェクト14aは、判定オブジェクト13における特徴量作成処理オブジェクト13aと同様に、抽出する特徴量毎に1つずつオブジェクト化されており、調整完了時における調整オブジェクト14の特徴量作成処理オブジェクト14aと同種の特徴量を抽出する特徴量作成処理オブジェクト13aが、判定オブジェクト13に設定(確定)される。
【0045】
ファジィ推論処理オブジェクト14bは、特徴量作成処理オブジェクト14aにて算出された特徴量ごとに対応するメンバシップ関数オブジェクト16からメンバシップ関数を適用し、それぞれの特徴量に対するグレードを算出し、次いで、算出された各グレードに対して、判定ルールオブジェクト17から判定ルールを適用して総合的な判定結果を算出するようになっている。さらに、調整機能として、メンバシップ関数オブジェクト16や判定ルールオブジェクト17を変更する機能を備えている。そして、調整完了時における調整オブジェクト14のファジィ推論処理オブジェクト14bと同種のファジィ推論並びに判定処理をするファジィ推論処理オブジェクト13bが、判定オブジェクト13に設定(確定)される。
【0046】
ここで調整機能を説明すると、本実施の形態では、パソコン31からの命令に従って各種パラメータ等を変更するようにしている。つまり、調整中に設定ツール34からメンバシップ関数オブジェクトや判定ルールオブジェクトの閾値や重み付け等のパラメータの変更要求を受け付けると、一旦判定処理を中断し、対応するメンバシップ関数オブジェクト16,判定ルールオブジェクト17に対してそれぞれの属性値の変更を行なった後、判定処理を再開するようになっている。もちろん、ファジィ知識の自動調整機能等を組み込むことにより、自動的にパラメータの変更を行なうようにしても良い。
【0047】
さらに、設定ツール34は、波形検査装置10にて使用する特徴量の種類並びにそれに関連するメンバシップ関数や判定ルールの切り替えを行なうことができる。具体的には、必要なオブジェクトの削除や追加をすることにより実行する。そこで、調整オブジェクト14では、設定ツール34からオブジェクトの削除もしくは追加要求を受け付けた場合は、一旦判定処理を中断し、プログラム管理フレームワークオブジェクト19へオブジェクトの削除,追加処理を要求し、その終了後判定処理を再開するようになっている。
【0048】
なお、本実施の形態では、ファジィ推論処理オブジェクト14b内にメンバシップ関数や判定ルールを調整する機能を備えるように記載したが、係る機能を独立したメンバシップ関数作成処理オブジェクトや判定ルール作成処理オブジェクトとして実装するようにしても良い。
【0049】
後処理オブジェクト15は、判定オブジェクト13または調整オブジェクト14から引き渡された判定結果をもとに、出力装置42に対して結果表示などの出力処理を行なうものである。すなわち、出力装置42としては、例えば異常時に点灯する警告ランプや、システムを非常停止する装置などがあるが、後処理オブジェクト15は判定結果に応じて係る装置を動作させるための信号を生成し出力する。
【0050】
プログラム管理フレームワークオブジェクト19は、JavaVMのクラスロード機能を利用して各種オブジェクトを管理するものである。具体的には、設定ツール34あるいは調整オブジェクト14からの要求に応じて、各オブジェクトの削除,追加を行なう。また、各オブジェクト間の動機,イベント通知ならびにハードウェアへのアクセスAPI(Application Program Interface)などを提供する。
【0051】
そして、使用する各オブジェクトの名前,格納場所などはシステムコンフィグレーション情報としてコンフィグレーション情報記憶部18aに保持する。さらに、波形検査装置10で実行するプログラムは、波形検査装置10に実装されたコンパクトフラッシュファイルシステム18上の内部プログラム部品群(記憶部)18bに、各種オブジェクトとして格納する。
【0052】
一方、パソコン31に格納されたメンバシップ関数作成ツール32や判定ルール作成ツール33は新たなメンバシップ関数オブジェクトや判定ルールオブジェクトを作成し、外部プログラム部品群(記憶部)35に格納したり、設定ツール34に渡したりする機能を有する。また、作成済みのメンバシップ関数オブジェクトにおける閾値や重み付けの変更などを行なう機能も有する。ここで、外部プログラム部品群35は、パソコン31のファイルシステム上に設定された各種オブジェクトを格納する記憶エリアである。
【0053】
判定ルール作成ツール33は、新規の判定ルールオブジェクト17の作成、およびパラメータの変更などを行なう。そして、作成した判定ルールオブジェクトは、外部プログラム部品群35に格納したり、設定ツール34に渡したりする機能を有する。
【0054】
設定ツール34は、波形検査装置10のプログラム管理フレームワークオブジェクト19経由で、当該波形検査装置10に対して各種オブジェクトの追加,削除並びに変更を行なうものである。つまり、外部プログラム部品群35に格納された所望のオブジェクトを読み出して波形検査装置10へダウンロードしたり、メンバシップ関数作成ツール32や判定ルール作成ツール33によって作成された各種オブジェクトを取得するとともに波形検査装置10へダウンロードする。また、設定ツール手段34は、内部プログラム部品群18bに格納された現在波形検査装置10に登録されている所定のオブジェクトの削除命令を送る。この削除命令に従って、プログラム管理フレームワークオブジェクト19は、該当するオブジェクトを削除する。また、メンバシップ関数オブジェクトや判定ルールオブジェクトのパラメータの変更は、設定ツール34が変更する内容(どのオブジェクトのどのパラメータをどのように変更するか)を送り、プログラム管理フレームワークオブジェクタ19経由で係る変更要求を受け取ったファジィ推論処理オブジェクト14bが、その要求に応じて対応するオブジェクトを変更することにより実現する。
【0055】
本実施の形態では、波形検査装置10をプログラム実行中にそのプログラムの一部を動的にメモリ上へ展開して実行することのできるオペレーティングシステム(JavaVM)上に構成した。そして、官能検査を行なうために必要なそれぞれの機能処理部は、オブジェクト指向設計によりインタフェースを変更することなくその中身を変えることのできるプログラム部品として準備するとともに、各処理機能部(各種のオブジェクト)を管理するフレームワークを構築し、必要な機能処理部を必要なタイミングでメモリへ展開して実行させたり、あるいは、不要となった機能処理部をメモリから削除することができるようにした。
【0056】
これにより、常にすべての機能をメモリ上に展開する必要が無くなり、図4に示すように検査対象に最適で最小限の処理機能部のみを選択して搭載することが可能となる。よって、必要な最小のハードウェアリソースで波形検査装置10を実現できる。
【0057】
つまり、検査対象に応じて判定結果に影響を与える特徴量は異なり、多数の特徴量を用意しても、あまり影響を与えないものもある。そこで、本実施の形態では、検査対象に合わせて判定結果に大きな影響を与える必要最小限の特徴量に対して信号処理を行ない、必要最低限の判定ルールにより検査結果を得るようにした。そして、各処理をソフトウェア部品(オブジェクト)化し、それぞれの部品を自由に入れ替える仕組みを持たせることで検査対象に合わせた最適な組み合わせを得られるようにした。よって、実際に検査対象に実装されるオブジェクトは少なくて済み、メモリ容量の削減を図ることができる。そして、信号処理も少ないオブジェクトに基づいて実行するだけであり、従来のように余り有益でない特徴量の算出並びに判定ルールの演算処理などを行なう必要が無いので、ハードウェアリソースも少なくて済む。しかも、実装されるオブジェクトは、その検査対象にとって最適なものが選択されているため、実装数(信号処理数)が少なくても検査結果は高性能となる。よって、比較的簡易で小型のコンピュータにより高性能な波形検査装置を実現できる。
【0058】
次に、上記した実施の形態の作用を説明する。波形検査装置10に実装するプログラム部品(オブジェクト)の切り替えは、Java(登録商標)のクラスローダの機能を用いて行なう。つまり、Java(登録商標)では、クラスローダ単位でクラスの管理ができるので、新たな機能オブジェクトをダウンロード(読み込み)する場合には、新しくクラスローダオブジェクトを生成し、オブジェクトを削除する場合には、該当する機能オブジェクトをロードしたクラスローダごと削除することにより簡単に実行できる。
【0059】
まず、図5に示すように、波形検査装置の設定を行なう(ST1)。具体的には、パソコン31の設定ツール34が、外部プログラム部品群35(内部プログラム部品群18b)から前処理オブジェクト,調整オブジェクト,ファジィ推論処理オブジェクト,後処理オブジェクト等の各プログラム部品を波形検査装置10へダウンロード(読み込み)する。選択するオブジェクトは、パソコン31を操作するユーザが設定する。
【0060】
すなわち、まず前処理オブジェクトや後処理オブジェクトなどの固定のオブジェクトをダウンロードする。そして、検査対象に適していると思われる特徴量作成処理オブジェクトを選択し、波形検査装置10へダウンロード(読込み)する。このとき、外部プログラム部品群35(内部プログラム部品群18b)に適した特徴量作成処理オブジェクトが見つからない場合は、設定ツール34にて新たに作成し、波形検査装置10へダウンロードする。
【0061】
次いで、設定ツール34は、外部プログラム部品群35(内部プログラム部品群18b)から選択した特徴量作成処理オブジェクトに適したメンバシップ関数オブジェクトを選択し、波形検査装置10へダウンロード(読込み)する。このとき、外部プログラム部品群35(内部プログラム部品群)に適したメンバシップ関数オブジェクトが見つからない場合は、メンバシップ関数作成ツール32で新たに作成し、波形検査装置10へダウンロードする。
【0062】
上記した特徴量作成処理オブジェクトの選択,ダウンロードと、それに関連するメンバシップ関数オブジェクトの選択,ダウンロードを、検査に必要なものと思われるものに対し繰り返し実行する。
【0063】
次に、設定ツール34は、外部プログラム部品群35(内部プログラム部品群18b)から検査に適していると思われる判定ルールオブジェクトを選択し、波形検査装置10へダウンロード(読み込み)する。この選択もユーザによるマニュアル入力に従って実行してもよいし、検査対象と判定ルールオブジェクトの対応テーブルなどを用意しておくこと等により、自動的に選択するようにしてもよい。そして、外部プログラム部品群35(内部プログラム部品群18b)に適した判定ルールオブジェクトが見つからない場合は、判定ルール作成ツール33で新たに作成し、波形検査装置10へダウンロードする。この処理は、検査に必要だと思われる判定ルールに対して繰り返し実行する。
【0064】
この様にして、検査対象に応じた波形検査装置10の設定が完了する。なお、新規に行なう初期設定の場合には、波形検査装置10に対して必要なオブジェクトをダウンロードして追加する処理のみ行なうことになるが、検査対象や検査条件の変更などが生じた場合の再設定の場合には、必要に応じて不要なオブジェクトを削除する処理も、この設定処理工程で行なう。
【0065】
次に、波形検査装置10の調整を行なう(ST2)。具体的には、まず波形検査装置10を調整モードで立上げる。これにより、調整オブジェクト14がアクティブ状態となり(判定オブジェクト13はない)、前処理オブジェクト12から出力される検査信号が調整オブジェクト14に入力され、調整オブジェクト14において判定処理をして得られた判定結果が後処理オブジェクト15に与えられ、その後処理オブジェクト15を介して判定結果(検査結果)が出力装置42から出力される。
【0066】
そこで、波形検査装置10に対し、検査情報の入力を行ない、検査結果の出力を確認する。そして、最適な検査結果が得られているか否かをユーザが判断し、所望の結果が得られていない場合は、設定ツール34からメンバシップ関数オブジェクト16もしくは判定ルールオブジェクト17に対して閾値や重み付け等のパラメータの変更を行なう。この変更が、調整オブジェクト14のファジィ推論処理オブジェクト14bを介して実行される。
【0067】
ところで、最適な検査結果が得られるまで上記の変更処理を繰り返し行なうが、係る処理を繰り返し実行しても最適な結果が得られない場合は、設定ツール34で不要なメンバシップ関数オブジェクト16及び又は判定ルールオブジェクト17を削除し、あらたにより適していると思われるメンバシップ関数オブジェクト、判定ルールオブジェクトをダウンロード(読込み)して追加する。
【0068】
そして、最適な検査結果が得られるまで、上記したメンバシップ関数オブジェクト16並びに判定ルールオブジェクト17の調整並びに追加・削除を適宜繰り返して実行するが、繰り返し実行しても最適な結果が得られない場合は、設定ツール34を用いて不要な特徴量作成処理オブジェクト,メンバシップ関数オブジェクト並びに判定ルールオブジェクトを削除し、新たにより適していると思われる特徴量作成処理オブジェクト,メンバシップ関数オブジェクト並びに判定ルールオブジェクトをダウンロード(読込み)して追加する。そして、上記した各調整処理を、最適な結果が得られるまで繰り返し実行し、最適な結果が得られたときの特徴量作成処理オブジェクト,メンバシップ関数オブジェクト並びに判定ルールオブジェクトを、その検査対象についての正式なオブジェクトに決定し、調整処理を終了する。
【0069】
次に、実際の検査処理を実施する(ST3)。すなわち、設定ツール34で波形検査装置10上の調整オブジェクトを削除し、代わりに判定オブジェクト13をダウンロード(読み込み)する。この判定オブジェクト13における特徴量作成処理オブジェクト13a並びにファジィ推論処理オブジェクト13bは、調整終了時における調整オブジェクト14における特徴量作成処理オブジェクト14a並びにファジィ推論処理オブジェクト14bと同様のものとなる。
【0070】
すると、判定オブジェクト13は、前処理オブジェクト12から与えられた検査情報(前処理済み)に対し、調整オブジェクト14により決定された特徴量作成処理オブジェクト13aにて所望の特徴量を抽出するとともに、特徴量ごとにファジィ推論処理オブジェクト13bにてメンバシップ関数オブジェクト16を用いて推論処理をし、判定ルールオブジェクト17による判定ルールを用いて判定し、得られた検査結果を出力する。この検査結果は、後処理オブジェクト15を介して出力装置42から出力される。
【0071】
上記した検査処理は、検査対象や検査条件の変更が発生せず、検査処理が終了するまで繰り返し実行される(ステップ4,5のいずれもNO)。一方、検査対象や検査条件の変更が発生したならば(ステップ5でYES)、ステップ1に戻り、波形検査装置の再設定を行なう。つまり、設定ツール34にて新たな検査対象や検査条件に適した各種のオブジェクトを選択し、波形検査装置10にダウンロードする。また、不要なオブジェクトは削除する。次いで、波形検査装置10の調整を行なう(ST2)。そして、調整が終了したならば、実際の検査を開始する(ST3)。
【0072】
図6は、本発明の第2の実施の形態を示している。本実施の形態では、波形検査装置10上にITRONを搭載するとともに、各種ツールとのインタフェースとしてイーサネット(登録商標)によるTCP/IP通信をハンドリングすることにより、プログラム部品の交換による検査対象に応じた最適なプログラム部品のみの実装を可能としている。
【0073】
図6と図3を比較すると明らかなように、基本的な機能ブロック構成は、第1の実施の形態と同様である。つまり、ITRON11′で動作する前処理ブロック12′,特徴量作成処理ブロック13a′並びにファジィ推論処理ブロック13b′を含む判定機能部13′,特徴量作成処理ブロック14a′並びにファジィ推論処理ブロック14b′を含む調整機能部14′,後処理ブロック15′,メンバシップ関数ブロック16′,判定ルールブロック17′の各プログラムを実装している。これら各機能ブロックは、ITRON上にC++言語で実装する。
【0074】
そして、本発明では、波形検査装置10′をイーサネット(登録商標)等の通信回線30を介してパソコン31に接続可能とし、そのパソコン31から官能検査に必要なプログラム等を取得し、内部に保有する内部プログラムを更新可能としている。
【0075】
すなわち、パソコン31には、メンバシップ関数作成ツール32,判定ルール作成ツール33,設定ツール34並びにそれら各ツールで作成したプログラムを格納する外部プログラム部品群記憶部35を備えている。そして、これら各ツールからの命令を波形検査装置10′に送る。
【0076】
そして、上記命令に従ってプログラムの交換等の各機能ブロックを管理するために、波形検査装置10′には、プログラム管理フレームワーク19′を実装する。このプログラム管理フレームワーク19′は、各機能ブロックの追加,削除をブロック管理データ18′を用いて実行する。なお、本実施の形態における調整時のプログラム入替対象は、特徴量作成処理ブロック13a′,メンバシップ関数ブロック16′並びに判定ルールブロック17′である。これにより、検査対象に適した少数の内部プログラムを保有し、それに基づいて官能検査処理を実行することができる。もちろん、他の機能ブロックを入替対象にしてもよい。
【0077】
ここで、プログラム管理フレームワーク19′が各機能ブロックを管理するために使用するメモリ領域の一例を示すと、図7以降のようになっている。すなわち、図7に示すように、各機能ブロックは、実際の演算処理を行なうためのプログラムが格納されたプログラム領域と、その演算実行時に必要なデータが格納されるデータ領域並びに演算実行時に使用するワーク領域を有している。そして、ブロック管理データ領域に上記各機能ブロックのプログラムを管理するブロック管理データが格納されている。図示の例では、入替対象のブロックのみ表記したが、他の機能ブロックについてもメモリに格納される。
【0078】
このブロック管理データ領域は、図8に示すように、管理対象の特徴量作成処理ブロック13a′,14´,メンバシップ関数ブロック16′並びに判定ルールブロッ17′クの各管理テーブルが格納される。これら各管理テーブルは、図9(a)から(c)に示すように、対応する機能ブロックについてのプログラムデータ領域の先頭アドレス(プログラム格納アドレス)及びそのプログラムのサイズ(プログラム格納サイズ),ブロックデータ領域の先頭アドレス(データ領域格納アドレス)及びそのデータ領域のサイズ(データ領域格納サイズ),ワーク領域の先頭アドレス(ワーク領域格納アドレス)及びそのワーク領域のサイズ(ワーク領域格納サイズ)を関連づけたデータ構造となっている。よって、このブロック管理データ18′中の管理テーブルを参照することにより、必要な機能ブロックについてのプログラム等が格納されたアドレスを知ることができ、係るアドレスにアクセスすることが可能となる。
【0079】
さらに、各機能ブロックは、通常複数のプログラムを備えている。つまり、例えば特徴量作成処理ブロック13a′に着目すると、検査対象に適した複数種類の特徴量を抽出するようになっており、各特徴量毎にプログラムが部品化されているため、図10(a)に示すように、係る複数の部品化されたN個のプログラムが格納される。それに伴い、特徴量作成処理についてのデータ領域並びにワーク領域もN個分用意される(図10(b),(c)参照)。さらに、N個分の各領域は連続して格納され、予め割り当てられた各領域の残りが空き領域となる。
【0080】
同様に、メンバシップ関数も特徴量に対応して用意されるので、N個のプログラム領域,データ領域並びにワーク領域が用意される(図11参照)。また、判定ルールについては、特徴量の種類と関係がないのでM個分用意される(図12参照)。
【0081】
一方、波形検査装置10′の調整作業に伴いメンバシップ関数ブロック16′,判定ルールブロック17′,特徴量作成処理ブロック13a′を削除,追加する場合は、以下に示す手順により実行する。
【0082】
すなわち、特徴量作成処理ブロックを例にすると、図13(a)に示す現在の状態から特徴量作成処理ブロックBのプログラム領域を削除する(図13(b)参照)。次いで、断片化した空き領域を埋めるように特徴量作成処理ブロックCのプログラム領域を移動させ、連続した空き領域を確保する(図13(c)参照)。そして、連続した空き領域の先頭から特徴量作成処理ブロックDのプログラム領域を割付ける。
【0083】
次に、上記のようにして各プログラムが格納されるアドレスが変更されるため、特徴量作成処理ブロック管理テーブルの各エントリに格納されるアドレスを更新する。これにより、特徴量作成処理ブロックにおけるプログラム領域についての処理が終了する。そして、上記と同様の手順に従ってデータ領域やワーク領域についても更新処理を行なう。また、メンバシップ関数ブロックや判定ルールブロックについても同様の手順で変更可能となる。
【0084】
そして、本実施の形態における波形検査装置においても、図5に示す第1の実施の形態と同様の手順で波形検査装置の設定をし、調整を行った後、実際の検査を実施し、検査対象や検査条件の変更があった場合には、波形検査装置の再設定並びに再調整を行った後、検査を実施することになる。
【0085】
すなわち、波形検査装置10′の設定は、設定ツール34で外部プログラム部品群35から検査対象に適していると思われる特徴量作成処理ブロックを選択し、波形検査装置10′へダウンロードする。次いで、その選択した特徴量作成処理ブロックに適したメンバシップ関数ブロックを選択し、波形検査装置10′へダウンロードする。このとき、外部プログラム部品群35に適したメンバシップ関数ブロックが見つからない場合は、メンバシップ関数作成ツール32で新たに作成し、波形検査装置10′へダウンロードする。上記した処理を検査に必要だと思われる特徴量に対して繰り返し実行する。
【0086】
さらに、外部プログラム部品群35から検査に適していると思われる判定ルールブロックを順次選択し、波形検査装置10′へダウンロードする。外部プログラム部品群に適した判定ルールブロックが見つからない場合は、判定ルール作成ツールで新たに作成し、波形検査装置へダウンロードする。
【0087】
一方、波形検査装置の調整処理は、上記のようにして設定した各ブロックに対し、調整処理を行なうもので、まず、波形検査装置10′を調整モードで立上げ、検査情報の入力を行ない、検査結果の出力を確認する。このとき、最適な検査結果が得られていない場合は、設定ツール34からメンバシップ関数ブロックもしくは判定ルールブロックに対して閾値や重み付けの変更を行なう。この変更処理を最適な検査結果が得られるまで繰り返し実行するが、それでも最適な結果が得られない場合は、設定ツール34で不要なメンバシップ関数ブロック,判定ルールブロックを削除し、新たにより適していると思われるメンバシップ関数ブロック,判定ルールブロックをダウンロード(読込み)して追加する。この削除並びに追加処理が、図13を用いて説明した上記方法により実行する。
【0088】
上記したメンバシップ関数ブロックや判定ルールブロックの削除,追加並びにそれに伴う各ブロックに対する調整を繰り返し実行する。そして、係る処理を実行して最適な結果が得られない場合は、設定ツール34で不要な特徴量作成処理ブロック,メンバシップ関数ブロック,判定ルールブロックを削除し、新たにより適していると思われる特徴量作成処理ブロック,メンバシップ関数ブロック,判定ルールブロックをダウンロード(読込み)して追加し、最適な結果が得られるまで上記した各処理を繰り返し実行する。
【0089】
検査処理は、上記した調整が完了した波形検査装置10′に対し、実際の検査情報を入力し、検査結果を得る。この処理を繰り返し実行することになる。この様に、本実施の形態では、OSの手助けを借りずにプログラムの入れ替えを実現することができる。なお、その他の構成並びに作用効果は、上記した実施の形態と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
【0090】
なおまた、入れ替え対象となる機能部品は、上記した各実施の形態のものに限ることはなく、例えば前処理オブジェクト12,前処理ブロック12′を交換するようにしても良い。
【0091】
【発明の効果】
以上のように、この発明では、機能部品の一部または全部を入れ替えることができるので、検査対象に合わせて必要なもののみを装置に実装することができ、安価なハードウェアリソースを最小限に使用するだけで波形検査装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来例を示す図である。
【図2】従来例を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態を示す図である。
【図5】第1の実施の形態の作用を説明する図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態を示す図である。
【図7】各機能ブロックのメモリ構造の一例を示す図である。
【図8】ブロック管理データ領域のメモリ構造の一例を示す図である。
【図9】ブロック管理テーブルのメモリ構造の一例を示す図である。
【図10】特徴量作成処理ブロックのメモリ構造の一例を示す図である。
【図11】メンバシップ関数ブロックのメモリ構造の一例を示す図である。
【図12】判定ルールブロックのメモリ構造の一例を示す図である。
【図13】プログラム部品の入替え作用を説明する図である。
【符号の説明】
10,10′ 波形検査装置
11 JavaVM
12 前処理オブジェクト
13 判定オブジェクト
13a 特徴量作成処理オブジェクト
13b ファジィ推論処理オブジェクト
14 調整オブジェクト
14a 特徴量作成処理オブジェクト
14b ファジィ推論処理オブジェクト
15 後処理オブジェクト
16 メンバシップ関数オブジェクト
17 判定ルールオブジェクト
18 コンパクトフラッシュファイルシステム
18a コンフィグレーション情報記憶部
18b 内部プログラム部品群
19 プログラム管理フレームワークオブジェクト
11′ ITRON
12′ 前処理ブロック
13′ 判定機能部
13a′ 特徴量作成処理ブロック
13b′ ファジィ推論処理ブロック
14′ 調整機能部
14a′ 特徴量作成処理ブロック
14b′ ファジィ推論処理ブロック
15′ 後処理ブロック
16′ メンバシップ関数ブロック
17′ 判定ルールブロック
18′ ブロック管理データ
19′ プログラム管理フレームワーク
30 通信回線
31 パソコン(ツール)
32 メンバシップ関数作成ツール
33 判定ルール作成ツール
34 設定ツール
35 外部プログラム部品群
40 入力装置
42 出力装置

Claims (9)

  1. 入力された波形信号に対して特徴量を算出する特徴量算出手段と、
    前記算出した特徴量をもとに正常,異常を判定する判定手段と、
    その判定手段における判定結果を出力する波形検査装置において、
    前記特徴量算出手段と前記判定手段の少なくとも一方を構成する機能部品の一部または全部を入替え自在としたことを特徴とする波形検査装置。
  2. 入替えの対象となる機能部品を、装置内部のファイルシステム上に保持するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の波形検査装置。
  3. 外部に接続されたツールからの要求に応じて、前記機能部品の削除並びに前記ツールから送られた新たな機能部品の追加を行なう機能を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の波形検査装置。
  4. 装置内部に格納された前記機能部品の一部の変更は、外部に接続されたツールからの要求に基づいて実行するようにしたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の波形検査装置。
  5. 装置内部に格納された前記機能部品の一部の変更機能と、新たな機能部品の作成機能の少なくとも一方を備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の波形検査装置。
  6. 入れ替え対象の機能部品をJavaVM上で動作するオブジェクトで構成し、
    前記機能部品の一部または全部を入替え自在とするフレームワークを、JavaVMのクラスロード機能を用いて実現するようにしたことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の波形検査装置。
  7. 入れ替え対象の機能部品を部品化されたプログラム部品で構成し、
    前記プログラム部品を入れ替えることで、前記機能部品の一部または全部を入替え自在とすることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の波形検査装置。
  8. 請求項1から6のいずれか1項に記載の波形検査装置と、
    前記波形検査装置に通信回線を介して接続されるツールを備え、
    前記ツールは、前記波形検査装置上の前記機能部品の一部又は全部を入れ替えるための命令を送る機能を備え、
    前記波形検査装置は、前記命令に基づいて調整が行われることを特徴とする波形検査システム。
  9. 入力された波形信号に対して特徴量を算出する特徴量算出処理と、
    前記算出した特徴量をもとに正常,異常を判定する判定処理と、
    その判定手段における判定結果を出力する処理を実行するプログラム要素を備え、
    前記特徴量算出処理と前記判定処理の少なくとも一方を構成する前記プログラム要素である構成部品の一部または全部を入れ替える処理を実行するプログラムを有することを特徴とするプログラム製品。
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