JP3742627B2 - サクションパイルの施工装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、サクションパイルの施工装置に関し、より詳しくは、水圧を用いて海底にパイルを施工するサクションパイルの施工装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、海上に構造物を構築するための基礎パイルを施工するに際し、遮水工事を通じて海水を塞き止めた状態で一般の陸地での施工過程と同様に基礎パイルを施工する方法が使用される。
【0003】
かかる従来の施工方法は、水深がそれほど深くない海ではその施工に困らないが、水深の深い海では、この施工方法を使用することが至難であり、またかかる施工方法は、施工時間とコストがかかり過ぎるという短所がある。
【0004】
かかる従来の施工方法を改善するための技術として提案されたものがサクションパイルを用いる施工方法である。サクションパイルを用いる施工方法は、次のような過程を通じて行われる。
【0005】
先ず、下部は開放され、上部は密閉されたサクションパイルに水中ポンプを設けるが、この水中ポンプは、サクションパイルの上部に設けられる。また、水上には、バージ(barge)または一般の船舶を用いて作業台が設けられるが、この作業台には、サクションパイルの立設のためのクレーン装置及び水中の位置を測定するための位置測定装置(GPS装置)等が設けられる。
【0006】
サクションパイルをクレーンを用いて水中の適当な位置に位置させた後、水中ポンプを作動させパイル内部の水を外部に排出させると、水中とサクションパイルの内部との間に圧力の差が生じ、この圧力の差によりサクションパイルが水底に貫入する。このようなサクションパイルの施工原理は、既に公知の技術である。
【0007】
前記のような従来のサクションパイルの施工装置においては、水中ポンプがサクションパイルの上部に設けられており、水中ポンプの吸上げ力を用いてサクションパイル内の水を直接外部に排出させる。しかし、サクションパイル内の水には、サクションパイルの貫入過程でサンドボイリング現象により砂が流入するため、サクションパイルから排出される水には相当量の異物が含まれる。かかる異物がサクションパイル内の水の排出過程で前記水中ポンプの内部に流入するため、水中ポンプの故障が頻繁に発生するという問題があった。
【0008】
一方、サクションパイルの貫入過程でパイルの内面に沿って局部的なサンドボイリング現象が発生し、サクションパイル内に砂が流入する。このように砂がサクションパイルの内部に流入すると、サクションパイルの内部の上端に砂が累積し、結局のところ、排出口が塞がり、その結果、サクションパイルの内部の水の排出が円滑に行われなくなり、サクションパイルの貫入が難しくなる。また、サクションパイルにおいて完全に貫入しない領域が発生するという問題がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記のような従来の技術の問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、サクションパイルの内部の水をパイルの外部に排出すると共にこの排出される水がポンプに流入しないようにし、またポンプを水上の作業台に配設し、ポンプの故障なしに水中に容易にパイルを施工することができるサクションパイルの施工装置を提供することである。
【0010】
また、本発明の目的は、サクションパイルの初期設置時においてサクションパイルを垂直に保持しながら立設することができ、且つサクションパイルを水底に完全に貫入することができるサクションパイルの施工装置を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記のような目的を達成するための本発明は、水底にサクションパイル7を貫入して立設するサクションパイルの施工装置において、水上の作業台に設けられたポンプと、前記ポンプにより水を吸い上げるための吸込管と、前記ポンプの出口側に設けられ、前記ポンプによりベンチュリー器に供給される水の量を調節するための弁と、前記ポンプの出口側に設けられ、前記ポンプにより供給される水の圧力を測定するための圧力計と、前記ポンプにより加圧された水を供給するための排出管と、サクションパイルの上部に設けられ、入口及び出口より中央の部分が狭く形成され、前記中央の部分から垂直延長した管が前記サクションパイルの上部の排出口と連通されていて、前記ポンプと排出管を通って加圧供給された水が前記入口に流入し前記中央の部分では速く流れることで前記サクションパイルの内部の水を前記出口から排出させることによって前記サクションパイルの内圧を外圧より低くするベンチュリー器とを備え、前記サクションパイルの内圧と外圧との圧力の差によりサクションパイルを水底に貫入することを特徴とする。
【0012】
かかる本発明による装置では、前記サクションパイルの貫入過程で前記サクションパイルの内部の上端に累積する砂を除去すために、ポンプにより加圧された水をサクションパイルの内部に注入することができる注入管を更に備えることもできる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照しながら、本発明に係るサクションパイルの施工装置の実施の形態について詳細に説明する。
【0014】
図1は本発明のサクションパイルの施工装置の一実施形態を概略的に示す構成図であり、図2は本発明の施工装置におけるベンチュリー器の一例を示す詳細図であり、図3は図1のサクションパイルの施工装置を用いてサクションパイルを施工する状態の一例を説明するための概略図である。
【0015】
図1において、符号1は水上の作業台に設けられるポンプであり、符号2はポンプ1により水を吸い上げるための吸込管であり、符号3はポンプ1によりベンチュリー器に供給される水の量を調節するための弁である。符号4はポンプ1によりベンチュリー器に供給される水の圧力を測定するための圧力計であり、符号5はベンチュリー器に水を供給するための排出管であり、符号6はベンチュリー器であり、7は、サクションパイルである。
【0016】
本発明によるサクションパイルの施工装置では、サクションパイル7の上部にベンチュリー器6が設けられている。また、このサクションパイル7の上部は、前記ベンチュリー器6と連通する排出口21を除いては閉鎖されている。前記ベンチュリー器6は、排出管5を介してポンプ1と連結されている。ポンプ1は、水上の作業台、例えば、バージのようなところに設置される。
【0017】
前記ポンプ1は、吸込管2を通じて水を吸い上げ、この水を排出管5を通してサクションパイル7の上部に設けられているベンチュリー器6に加圧供給する。符号10は、吸込管2の端部に設けられ、この吸込管2に異物が流入することを防止するためのフィルタ体である。ポンプ1の排出口には弁3が設けられており、弁3の後端には圧力計4が設けられている。従って、作業者は圧力計4を見ながら弁3を操作することで水を加圧供給することができる。
【0018】
ベンチュリー器6は、図2に示すように、サクションパイル7に連結されている中央部分63が入口61及び出口62より狭く形成されている。前記中央部分には垂直に延長した管64が一体に形成されており、前記延長した管64はサクションパイル7の上端に形成された排出口21と連通する。
【0019】
図2に示す実施の形態において、ベンチュリー器6の入口61には排出管5と螺合するために螺旋が形成されている。しかし、ベンチュリー器6と排出管5との連結は必ずしもネジ止めに限定されることではなく、多様な方法により互いに連結することができる。従って、ベンチュリー器6の入口61に形成された螺旋は、本発明の必須構成要素ではない。
【0020】
必要に応じては、サクションパイル7の内部に水を供給しなければならない場合がある。この際、ベンチュリー器6の出口62を閉鎖するためにこの出口62にシール部材(図示せず)が設けられる。かかるシール部材の設置のために図2に示す実施の形態では、ベンチュリー器6の出口62にシール部材をネジ止めするための螺旋が形成されている。しかし、出口62の螺旋は本発明の必須構成要素ではない。
【0021】
図3を参照して、本発明によるサクションパイルの施工装置の配設状態及び作動方法を説明する。
【0022】
同図に示すように、海上にはバージの脚部8により支持される作業台9が設けられている。サクションパイル7は、作業台9または水上の船舶等に設けられたクレーン13により水底(必ずしも海に限定されることではなく、川底、湖底等を含む)に垂直に立設される。クレーン13を利用してサクションパイル7を水底に下降させるとき、クレーン13の牽引ワイヤ14をサクションパイル7の上端の両側の対向位置にかけることにより、サクションパイル7の均衡をとる。
このように、サクションパイル7が水底に当たると、ポンプ1を稼動し、水を加圧して排出管5を通してベンチュリー器6に供給する。この際、弁3と圧力計4とを用いて加圧される水の圧力を適切に調節する。
【0023】
ベンチュリー器6に加圧供給された水は、ベンチュリー器6の狭い中央部分を通るときにはその流動速度が速くなり、ベンチュリー原理によりサクションパイル7内部の水が吸い出され、加圧供給された水とともに排出口21を通ってベンチュリー器6の出口から排出される。サクションパイル7の内部の水が継続して排出されることによりサクションパイル7の内圧が外圧より低くなり、その結果、内圧と外圧との圧力の差が生じる。かかるサクションパイル7の内外の圧力の差によりサクションパイル7を水底に向けて押圧する力が発生し、かかる押圧力によりサクションパイル7が水底に貫入する。
【0024】
次いで、本発明による施工装置の他の実施の形態について説明する。
【0025】
図4は、本発明による施工装置の他の実施の形態を用いてサクションパイルを施工する状態を示す概略図である。図5は、図4に示す実施の形態に使用されるサクションパイル7を示すものであって、図5(a)は、サクションパイル7の断面図であり、図5(b)は、サクションパイル7の平面図である。
【0026】
図4、図5(a)及び図5(b)に示す実施の形態において、このサクションパイル7の上面には、複数個の注入口22が形成されている。前記注入口22は、サクションパイル7の外部の水をサクションパイル7の内部に注入するための孔であり、注入管15を介して前記ポンプ1に連結されている。
【0027】
前記の実施の形態によると、サクションパイル7の継続的な貫入過程でサンドボイリング現象によりサクションパイル7の内部の上端に砂が累積することがある。この場合、ポンプ1を稼動させて注入管15から水を供給し、サクションパイル7の上部に形成されている注入口22を通ってサクションパイル7の内部に水を供給する。このとき、注入口22を通って注入される水の量と排出口21を通って排出される水の量を適切に調節し、サクションパイル7の内圧と外圧とが同一の圧力となるようにする。その結果、サクションパイル7の上端に累積された砂は、注入される水により撹乱され、この撹乱された砂は排出口21を通って水と共に排出される。従って、サクションパイル7の貫入工程でサクションパイル7の内部の上端に砂が累積することによって排出口21が塞がるという現象が防止できる。
【0028】
【発明の効果】
前述した本発明によると、従来の施工装置のように水中ポンプを用いてサクションパイルの内部の水を直接排出することではなく、サクションパイルの内部の水は、ベンチュリー器を用いて排出するため、異物を含むサクションパイルの内部の水がポンプ内に流入しなく、その結果、ポンプの故障を防止することができる。
【0029】
また、従来の施工装置では、サクションパイルの施工完了後、サクションパイルの上部に設置された水中ポンプの解体が困難であったが、本発明では、ポンプがサクションパイルの上部に直に取り付けられていないため、従来の技術における水中での煩わしいポンプ作業が不要となる。
また、サクションパイルの貫入過程で発生するサクションパイルの上端の内部に砂が累積することを防止することができる。従って、砂の累積によりサクションパイルが不完全に貫入することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のサクションパイルの施工装置の一実施形態を概略的に示す構成図である。
【図2】本発明の施工装置におけるベンチュリー器の一例を示す詳細図であり、図1のA部拡大図である。
【図3】図1のサクションパイルの施工装置を用いてサクションパイルを施工する状態の一例を説明するための概略図である。
【図4】本発明のサクションパイルの施工装置の他の実施形態を用いてサクションパイルを施工する状態を説明するための概略図である。
【図5】図4に示す実施形態に適用されるサクションパイルを示す図であって、図5(a)はサクションパイルの平面図であり、図5(b)はサクションパイルの縦断面図である。
【符号の説明】
1 ポンプ
2 吸込管
3 弁
4 圧力計
5 排出管
6 ベンチュリー器
7 サクションパイル
9 作業台
15 注入管
21 排出口
22 注入口

Claims (2)

  1. 水底にサクションパイルを貫入して立設するサクションパイルの施工装置において、
    水上の作業台に設けられたポンプと、
    前記ポンプにより水を吸い上げるための吸込管と、
    前記ポンプの出口側に設けられ、前記ポンプによりベンチュリー器に供給される水の量を調節するための弁と、
    前記ポンプの出口側に設けられ、前記ポンプにより供給される水の圧力を測定するための圧力計と、
    前記ポンプにより加圧された水を供給するための排出管と、
    サクションパイルの上部に設けられ、入口及び出口より中央の部分が狭く形成され、前記中央の部分から垂直延長した管が前記サクションパイルの上部の排出口と連通されていて、前記ポンプと排出管を通って加圧供給された水が前記入口に流入し前記中央の部分では速く流れることで前記サクションパイルの内部の水を前記出口から排出させることによって前記サクションパイルの内圧を外圧より低くするベンチュリー器とを含み、
    前記サクションパイルの内圧と外圧との圧力の差によりサクションパイルを水底に貫入することを特徴とするサクションパイルの施工装置。
  2. 前記サクションパイルの貫入過程で前記サクションパイルの内部の上端に累積する砂を除去すために、ポンプにより加圧された水をサクションパイルの内部に注入することができる注入管を更に備えている請求項1記載のサクションパイルの施工装置。
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