JP3742499B2 - シュレッダーダストの処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シュレッダーダストブリケットを精錬炉に添加することによってシュレッダーダストの再資源化を図ることができるシュレッダーダストの処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
日本国内で廃車によって発生するシュレッダーダストは、年間約120万トンといわれているが、狭い日本においては、利用可能な埋め立て地の面積は年々減少しており、余命は2年以下といわれている。処分場が確保できなくなると、廃車の野積みや不法投棄が恒常化し、深刻な社会問題になることが予想され、早急に減容化、無害化、再資源化する技術が必要な状況にある。
【0003】
そこで、従来においても、このようなシュレッダーダストの処理方法が幾つか提示されている。
例えば、特開平8−143929号公報には、廃棄車両から液体のみを事前に抜き取ると共に、転炉装入時の爆発防止等の安全対策を施した、ほぼ原型の廃棄車両をスクラップとして配合し、その時、廃棄車両に含まれるゴム状物質、樹脂質物質の燃焼熱を熱エネルギーとして使用することにより、脱炭反応を促進する方法が提示されている。
【0004】
また、特開平6−254530号公報には、自動車解体時に発生するシュレッダーダストを高炉で燃焼して焼却処理する方法が提示されている。そして、この方法によって、高炉作業に影響を与えずに、シュレッダーダストを効果的に処理でき、しかも、燃焼時にダイオキシンやNOX 等が発生せず、無害に処理できる旨が記載されている。さらに、塩素を含むプラスチックが燃焼する時に発生するダイオキシンについても、その生成温度は約300℃付近であるので、装入後に急速に1400〜1600℃まで昇熱される高炉内では、ダイオキシンは発生しない、又は、仮に発生したとしてもこのような高温度ではダイオキシンは瞬時に分解する旨が記載されている。
【0005】
さらに、特開平5─222424号公報に、使用済車両や、洗濯機又は冷蔵庫のような大量生産品中の有機又は無機の非金属付随物質から環境を保護する処理方法が提示されている。具体的には、屑物質を高炉設備における鉄鉱石の精錬の際、化学的に還元を行い、かつスラグを形成する融剤として使用するか、キューポラ設備における鋼又は鋳鉄の製造に使用し、通常、融剤として使用される物質を、少なくとも一部補う技術が記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記した従来の廃棄車両や、洗濯機等の大量生産品から生じるシュレッダーダストを処理する方法は、未だ、以下の解決すべき課題を有していた。
まず、特開平8−143929号公報に記載のシュレッダーダストの処理方法においては、実施例として、装入量は1チャージ当たり、1車(1.4トン)分しか記載されていない。これは、装入量が増加すれば、転炉装入時のシュート詰まりが予想されるからと考えられる。加えて、トランプエレメントを除去していないため、普通鋼薄板材のみの適用であり、特殊鋼への適用はできない欠点がある。
【0007】
さらに、ほぼ原型の廃棄車両であることから、着熱性に劣り、熱エネルギー化の熱効率は低いものと予想される。また、これらの問題点より、ほぼ原型の廃棄車両を直接転炉に装入する方式は、たかだか、1廃棄車両/チャージが限度と予想され、廃棄車両処分の生産性は極めて低い。
【0008】
次に、特開平6−254530号公報に記載のシュレッダーダストの処理方法について言及すると、一般に、分解後のダイオキシン類は、冷却過程で約500〜300℃の温度域を急速急冷しなければ再生成されることが判っている。しかし、特開平6−254530号公報に記載のシュレッダーダストの処理方法においては、高炉内における燃焼ガスの冷却過程は、約500〜300℃の温度域では急速急冷されていないため、ダイオキシン類の再生成の危険性は極めて大きい。また、嵩密度が極めて小さく(0.15g/cm3 ) 、水又は重油のバインダーによって嵩密度を大きくさせる必要があることから、ランニングコストが上昇することが予想される。加えて、水スラリー方式の場合、分解熱が大きくなることから、熱効率は低くなるものと予想される。
【0009】
さらに、特開平5−222424号公報記載の洗濯機等の大量生産品から生じるシュレッダーダストの処理方法においては、有機及び無機の付随物質と一緒に屑金プレスで結束し、高炉に装入するため、シュレッダーダストが圧縮されており、着熱性に問題があり、鉄が溶けてから燃焼をし始めるものとみられ、また、多くの残存水分が予想されることから分解熱が大きくなり、熱効率は低下するものと予想される。加えて、この処理方法はダイオキシンの処理について触れておらず、特段の対策も見当たらない。即ち、高炉で燃焼させる方法であるので、前記した特開平6−254530号公報記載のシュレッダーダストの処理方法に関して説明したように、ダイオキシンの再生成の危険性が極めて大きい。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、棒状に減容固形化したシュレッダーダストを精錬炉に添加し、精錬炉の装入物の昇熱の熱源として再資源化を図ることができると共に、無害でしかも大量に処理できるシュレッダーダストの処理方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記目的に沿う請求項1記載のシュレッダーダストの処理方法は、予め金属分を除去した炭化水素化合物を主成分とするシュレッダーダストを押圧時に発生する自熱又は接着剤を用いて押し固めてシュレッダーダストブリケットとし、該シュレッダーダストブリケットを精錬炉に添加して該精錬炉の装入物の昇熱に用いるようにしている。
【0012】
ここで、予め金属分を除去したシュレッダーダストとは、各種工業用ゴミや各種生活用ゴミをシュレッダーに投入して細断した破砕物から金属分を取り除いたものをいう。
具体的には、工業用ゴミが廃棄された自動車の場合、バッテリやエンジンを自動車から取り外した後、シュレッダー(破砕機)にかけて車体フレームや内部の椅子等を細かく切断した破砕物を製造し、次に、この破砕物を、比重選別や、磁力選別や、分級選別や、風力選別にかけて、金属分を除去することによって得られるものである。このようにして得られたシュレッダーダストの具体的な混合割合について説明すると、例えば、一例として、プラスチックを40重量%、ゴムを9重量%、布を27重量%、スポンジ等他を24重量%含む。
予め金属分を除去したシュレッダーダストからシュレッダーダストブリケットを製造するに際しては、予め金属分を除去したシュレッダーダストをスクリュフィーダ等からなる射出成形機(減容機)に充填して押し固めることによって容易にシュレッダーダストブリケットを製造することができる。なお、この際、予め金属分を除去したシュレッダーダストは押圧されることによって摩擦熱(例えば150℃〜220℃)が生じ、この摩擦熱又は自熱によって炭化水素化合物の一部が溶け、バインダーとして働くことになる。
また、金属分には、通常の鋼成分のみならず、溶銑や精錬において有害となりうる金属を含む場合もある。
【0013】
精錬炉とは、転炉、電気炉、キューポラ炉等をいい、精錬炉の装入物とは、溶銑や、スクラップ(鉄くず)や、その他の副原料をいう。
【0014】
このように、精錬炉に装入物の一部として溶銑のほかにスクラップを入れたことによって溶銑中の炭素量のみでは十分に昇熱することができない場合であっても、炭化水素化合物の量が多いシュレッダーダストブリケットを精錬炉に添加することによって、装入物を効果的に昇熱することができることになる。
【0015】
特に、請求項2記載のシュレッダーダストの処理方法は、請求項1記載のシュレッダーダストの処理方法において、前記シュレッダーダストから前記金属分のみならず非燃焼性の非金属分を取り除く。
このように、シュレッダーダストから非燃焼性の非金属分であるガラス片やセラミック片、石、砂等の非金属分を取り除くことにより、シュレッダーダストの高純度化及び溶銑・溶鋼への影響をなくすことができる。
【0016】
また、請求項1記載のシュレッダーダストの処理方法は、前記シュレッダーダストブリケットの組成における前記炭化水素化合物の割合を20〜90重量%とする。
炭化水素化合物の組成量を20重量%未満とする場合は、シュレッダーダストブリケット内の不純物、即ち、炭化水素化合物以外の成分が多いことになり、シュレッダーダストブリケットによる発熱量が精錬中に発生するダストの昇熱に費やされ、熱効率が低下すると共に、精錬炉内の装入物の有害金属や有害非金属による汚染をきたすことになるからである。一方、炭化水素化合物の組成量が90重量%を超えると、分級・分別処理費の高騰を招き、コスト面より好ましくないからである。
【0017】
そして、請求項1記載のシュレッダーダストの処理方法は、前記シュレッダーダストブリケットの寸法及び密度を、直径が15〜120mm、長さが20〜150mm、嵩密度が0.8〜1.5g/cm3 の棒状とする。
【0018】
シュレッダーダストブリケットの直径が15mm未満或いは長さが20mm未満の場合、シュレッダーダストブリケットの生産性の低下、及び、シュレッダーダストブリケットを精錬炉へ添加する際、飛散による熱効率の低下が懸念されるからである。一方、シュレッダーダストブリケットの直径が120mm超或いは長さが150mm超の場合、シュレッダーダストブリケット添加時の炉上バンカーの詰まりが懸念されるからである。
【0019】
一方、シュレッダーダストブリケットの嵩密度を0.8〜1.5g/cm3 としたのは、嵩密度が0.8g/cm3 未満の場合には、十分な保形を図ることができず、嵩密度が1.5g/cm3 を超える場合には、シュレッダーダストの減容比を大きくとる必要があり、シュレッダーダストブリケットの製作費が高くなるからである。
【0020】
また、請求項1記載のシュレッダーダストの処理方法は、前記シュレッダーダストブリケットの前記装入物への添加量を、溶鋼トン当たり6〜12kg(以下、kg/S−Tで表す。)としている。
【0021】
シュレッダーダストブリケットの装入物への添加量を6kg/S−T以上としたのは、6kg/S−T未満では、溶鋼昇熱としてシュレッダーダストブリケットが有効利用される度合いが小さくなるからである。一方、シュレッダーダストブリケットの装入物への添加量を12kg/S−T以下としたのは、12kg/S−Tを超えると、一部特殊鋼でトランプエレメントが問題となり、適用鋼種が限定されるからである。
【0022】
そして、請求項3記載のシュレッダーダストの処理方法は、請求項1及び2のいずれか1項に記載のシュレッダーダストの処理方法において、前記精錬炉で発生する燃焼ガスを湿式ベンチュリで処理し、前記燃焼ガスの前記湿式ベンチュリにおける入側温度と出側温度を、それぞれ、500〜1200℃と、30〜200℃とする。
【0023】
ここで、湿式ベンチュリとは、燃焼ガスダクトの一部を絞ることにより、精錬炉で発生する燃焼ガスの流速を高め、高速燃焼ガス中に水を噴霧することによって、燃焼ガスを急速冷却すると共に、燃焼ガス中のダストを捕集するために用いる装置をいう。
高温でいったん分解されたダイオキシン類は、冷却過程で約500〜300℃の温度域を急冷しなければ再生成することになる。そこで、このような再生成を確実に防止するため、湿式ベンチュリにおける入側温度と出側温度を、それぞれ、500〜1200℃と、30〜200℃とすることによって、ダイオキシンの再生成を防止することにしている。
【0024】
【発明の実施の形態】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施の形態では、精錬炉が転炉の場合について説明するが、燃焼ガス処理以降は他の精錬炉でも同様である。
【0025】
まず、図1を参照して、本発明の一実施の形態に係るシュレッダーダストの処理方法に用いる設備について説明する。
図1に示すように、転炉10の上部にはフード11が設けられており、その下部には溶鋼M及びスラグNを流出する溶鋼等流出口10aが設けられている。フード11は、第1の湿式ベンチュリ12と第2の湿式ベンチュリ13とを間隔をあけて直列に取付けた燃焼ガスダクト14の基部に連通連結されている。燃焼ガスダクト14の先部は、三方切換弁15を介して、煙突16とガスホルダ17にそれぞれ連通連結されている。なお、ガスホルダ17は、例えば、火力発電所18に燃焼ガスを供給するため設けられるものであり、その上流側には水封弁19が取付けられている。
【0026】
第1の湿式ベンチュリ12の下方には粗粒分離機20が配設されており、第1の湿式ベンチュリ12において回収された集塵水中の粉粒物が粗粒粉と含水微粒粉に分離され、粗粒粉は鉄粉として鉄粉工場21に送給されると共に、含水微粒粉はシックナー22に送給される。そして、シックナー22の上澄み水は集塵水槽23に給水され、その後、第2の湿式ベンチュリ13に給水され噴射水として用いられる。一方、シックナー22の沈殿物はフィルタプレス24に送給され、固形化された後、溶銑予備処理工場25に送られ、溶銑予備処理(ORP)の酸化鉄粉剤として用いられる。
また、第2の湿式ベンチュリ13の下方にはスラリータンク26が配設され、集塵水から微粒粉を沈殿させた後に得られる上澄み水は第1の湿式ベンチュリ12に給水され噴射水として用いられる。
【0027】
次に、上記した構成を有する設備を用いた本実施の形態に係るシュレッダーダストの処理方法について説明する。
まず、前装入として、図示しないスクラップ装入シュートによってスクラップ材を炉口より転炉10内に装入すると共に、炉上バンカー27によって、予め金属分を除去したシュレッダーダストから製造したシュレッダーダストブリケットを炉口より転炉10内に同様に装入する。その後、装入物の一例である溶銑を炉口を通して転炉10内に装入し、吹酸を開始する。なお、シュレッダーダストブリケットは地上バンカー28より炉上バンカー27に供給される。
【0028】
吹酸中の燃焼ガスは、転炉10の上部に設けたフード11に吸引され、輻射部11aを経由して第1及び第2の湿式ベンチュリ12、13へ導かれる。そして、第1の湿式ベンチュリ12の入口における燃焼ガス温度(入側温度)は500℃〜1200℃になっているが、水量1300m3/Hrの集塵水を噴射することによって、出側温度は30〜200℃に急冷される。その結果、ダイオキシンの発生を皆無に近い状態とすることができる。
【0029】
その後、燃焼ガスは第2の湿式ベンチュリ13を経由して煙突16により大気放散か、又は、ガスホルダ17に回収される。大気放散か回収かは、三方切換弁15によりコントロールされる。具体的には、吹酸開始より数分間と、吹酸終了前数分からは大気放散とし、その他はガスホルダ17に燃料用ガスとして回収する。そして、回収された燃焼ガスは、例えば、火力発電所18において燃料として使用される。なお、吹酸開始より数分間と、吹酸終了前数分からは大気放散とするのは、この間は、一酸化炭素濃度が低く、燃料用ガスとして使用できないからである。
【0030】
一方、第1の湿式ベンチュリ12への集塵水は、循環方式(第1の湿式ベンチュリ12の出口→粗粒分離機20→シックナー22→集塵水槽23→第2の湿式ベンチュリ13→スラリータンク26→第1の湿式ベンチュリ12の入口→第1の湿式ベンチュリ12の出口)で使用され、蒸発分、その他ロス分に見合う量として、23m3 /Hr程度を補給する。また、粗粒分離機20では、集塵水中の粗粒粉を回収し、鉄粉の原料として使用する。また、シックナー22の沈殿物は、フィルタプレス24によって細粒ダストとして回収し、溶銑予備処理の酸化鉄粉剤として使用される。
さらに、吹酸後、転炉10内に発生するスラグNは、転炉滓処理(ISC)の原料として使用され、200トン/チャージの溶鋼Mが生産される。
【0031】
【実施例】
本発明の実施の形態に係るシュレッダーダストの処理方法について実験を行ったので、その実験内容を説明すると共に、その結果を、表1、2に示す。なお、表1、2の「結果」の項目において、◎はまったく問題ない、○はほとんど問題ない、△は少し問題がある、×は問題があることを意味する。また、表1、2の「効果」及び「総合評価」の項目において、◎は非常に良い、○は良い、△は少し悪い、×は悪いことを意味する。また、表中、P−Tは溶銑トンを意味する。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
実施例1〜3は、本発明に係るシュレッダーダストの処理方法の前装入の例であり、実施例4及び5は、吹酸中装入の例である。なお、比較例1として、前述した特開平8−143929号公報に記載の方法を、また、比較例2として、前述した特開平6−254530号公報に記載の方法によって行なった実験内容及び結果を示す。
【0035】
まず、本発明に係るシュレッダーダストの処理方法を適用した実施例1〜5について説明する。
シュレッダーダストブリケットは、鋼に対して有害となり得る金属分や非燃焼性の非金属分を予め除去している。このシュレッダーダストブリケットの形状は、直径が40mm、長さが50〜70mmであり、その嵩密度は1.5g/cm3 であり、その組成は、主として炭化水素化合物からなる可燃分を20〜90重量%、灰分を9.1〜75重量%、水分を0.9〜5重量%とした。この中で、可燃分(特に炭素)の燃焼熱が転炉の装入物の溶解昇熱として有効利用される。即ち、燃焼熱量は、瞬時燃焼が予測される水素を除外しても、シュレッダーダストブリケット1kg当たり、1130kcalはあるからである。
なお、シュレッダーダストブリケットは、前述したように、予め金属分や非燃焼性の非金属分を除去したシュレッダーダストをスクリュフィーダ等からなる射出成形機(減容機)に充填して押し固めることによって製造した。
【0036】
ところで、転炉10へ添加したシュレッダーダストブリケット中の組成は図1を参照して前述したように、溶鋼M、スラグN、ダスト、燃焼ガス、及び集塵水に分かれて排出される。
各組成は少なからず各排出先に影響することから、溶鋼品種により、シュレッダーダストブリケットの添加量を調整する必要がある。そこで、シュレッダーダストブリケットの溶鋼Mへの添加量は、4〜12kg/S−Tの範囲で調整した。
【0037】
具体的には、溶鋼Mへ有害となりうる元素の一つとして硫黄(S)があるが、実施例1〜実施例3では、転炉精錬で形成されるスラグNの脱硫作用により溶鋼Mへの影響はほとんどない。特に、硫黄値規制の厳しい一部の溶鋼品種では、シュレッダーダストブリケットの添加量を抑える方向で調整する。
【0038】
また、溶鋼Mへ有害となりうる元素として、銅+ニッケル+クロム(Cu+Ni+Cr)の総量規制がある。実施例1では0.0193重量%、実施例3では0.038重量%に上昇している。このレベルは、特殊鋼においても、総量規制を満足しており、問題はない。
さらに、溶鋼Mへ有害となりうるその他の元素(トランプエレメント)があるが、特殊鋼において、実施例1〜5とも満足する上昇分であり、問題はない。
【0039】
次に、スラグNへ有害となりうる元素として、ひとつには硫黄(S)があるが、シュレッダーダストブリケットの添加量が最も多い実施例3で0.0263重量%であり、特に問題はない。
【0040】
次に、ダストへ有害となりうる元素として亜鉛(Zn)があるが、ダストは特殊処理後、溶銑予備処理の酸化鉄粉剤としてリサイクルされており、問題とはならない。
次に、湿式ベンチュリ方式の転炉10の燃焼ガスの回収に支障をきたしうる要素として一酸化炭素濃度がある、即ち、吹酸開始より数分間と、吹酸終了前数分間においては、一酸化炭素濃度が低いので燃料用ガスとしては使用できない。従って、この間は、前述したように燃焼ガスを煙突16より大気に放散する。この場合において、部分的に燃焼ガスを回収しないことになるが、総熱量の殆どが、シュレッダーダストブリケットによる転炉10の装入物の昇熱に用いられることになる。
【0041】
次に、大気に支障をきたしうる元素として塩素(Cl)があるが、前述のように、第1の湿式ベンチュリ12によって、燃焼ガスは500℃〜1200℃から30℃〜200℃に急速に冷却されるので、ダイオキシン類の発生は殆ど見受けられず、問題はない。
【0042】
また、塩素は、集塵水に有害となりうるが、転炉10内ではスラグ生成促進用副原料としてCaOを添加しているので、第1の湿式ベンチュリ12で洗浄された集塵水中には多くのCaイオンが存在する。従って、このCaイオンを含んだ集塵水内にCaOをさらに投入し、循環することによって、塩素とCaOの中和処理を容易に促進して、塩素イオン濃度の濃縮を防止することができ、問題はない。
【0043】
次に、実施例1〜5による効果を、表1、2の効果欄を参照しながら、比較例1、2と比較して説明する。
まず、生産性について説明すると、シュレッダーダストブリケットは廃棄車両1台から120kg生成することができるが、本発明に係るシュレッダーダストの処理方法においては、精錬炉が転炉の場合、添加量は望ましくは4〜12kg/S−Tの範囲であるから、廃棄車両換算で6〜20台分/チャージを処理することになり、きわめて高い。これに対し、比較例1は、前述のように、たかだか1台/チャージしか処理できないと予想され、極めて低い。
【0044】
次に、作業性について、本発明は、前述したように、シュレッダーダストをブリケット状に減容固形化しており、精錬炉への添加剤として理想の性状であり、精錬炉添加時の炉上バンカーの詰まり、或いは、ダストの飛散はまったくない。
次に、着火性及び熱効率の面だが、前述のように、比較例1及び比較例2共に低下することが予想される。
【0045】
以上、本発明を、一実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。
【0046】
【発明の効果】
請求項1〜3記載のシュレッダーダストの処理方法においては、工業用ゴミや生活用ゴミを細断した後金属分を予め除去したシュレッダーダストを押し固めて、又は、減容固形化してシュレッダーダストブリケットとし、精錬炉に添加して精錬炉の装入物の昇熱に用いるようにしている。従って、このようなシュレッダーダストの再資源化を図ることができる。特に、金属分を除去するに際して、有害な金属も除去することで、溶銑・溶鋼への影響もなく、かつ、環境汚染(ダスト等による大気汚染や水質汚染)もない無害状態で、社会問題化しているシュレッダーダストを大量に処理することができる。
【0047】
更に、シュレッダーダストの組成における炭化水素化合物の割合を20〜90重量%としているので、分級・分別処理費を可及的に抑えながら、精錬炉内の装入物の有害金属や有害非金属による汚染を防止することができる。
【0048】
また、シュレッダーダストブリケットの寸法及び密度を、直径が15〜120mm、長さが20〜150mm、嵩密度が0.8〜1.5g/cm3 の棒状としている。従って、精錬炉へのシュレッダーダストブリケットの装入を容易に行なうことができる。
【0049】
更にまた、シュレッダーダストブリケットの装入物への添加量を、溶鋼トン当たり6〜12kgとしている。従って、普通鋼はもちろん、添加量を上記した範囲で調整することで、あらゆる特殊鋼にも適用できる。
【0050】
請求項2記載のシュレッダーダストの処理方法においては、ガラス片やセラミック片、石、砂等の非燃焼性の非金属分をシュレッダーダストから取り除くことによって、これらの溶銑・溶鋼への影響もなくすと共に、シュレッダーダストの高純度化により、燃焼時の着熱効果を高めることができる。
請求項3記載のシュレッダーダストの処理方法においては、精錬炉で発生する燃焼ガスを湿式ベンチュリで処理し、燃焼ガスの湿式ベンチュリにおける入側温度と出側温度を、それぞれ、500〜1200℃と、30〜200℃としている。従って、ダイオキシン類の再生成を効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係るシュレッダーダストの処理方法に用いる設備の概念的構成を示す説明図である。
【符号の説明】
M:溶鋼、N:スラグ、10:転炉(精錬炉)、10a:溶鋼等流出口、11:フード、11a:輻射部、12:第1の湿式ベンチュリ、13:第2の湿式ベンチュリ、14:燃焼ガスダクト、15:三方切換弁、16:煙突、17:ガスホルダ、18:火力発電所、19:水封弁、20:粗粒分離機、21:鉄粉工場、22:シックナー、23:集塵水槽、24:フィルタプレス、25:溶銑予備処理工場、26:スラリータンク、27:炉上バンカー、28:地上バンカー
Claims (3)
- 予め金属分を除去した、20〜90重量%の炭化水素化合物を有するシュレッダーダストを押圧時に発生する自熱又は接着剤を用いて押し固めてシュレッダーダストブリケットとし、該シュレッダーダストブリケットを精錬炉に添加して該精錬炉の装入物の昇熱に用い、しかも、前記シュレッダーダストブリケットの寸法及び密度を、直径が15〜120mm、長さが20〜150mm、嵩密度が0.8〜1.5g/cm 3 の棒状とし、かつ、前記シュレッダーダストブリケットの前記装入物への添加量を、溶鋼トン当たり6〜12kgとすることを特徴とするシュレッダーダストの処理方法。
- 前記シュレッダーダストから、前記金属分のみならず非燃焼性の非金属分を取り除くことを特徴とする請求項1記載のシュレッダーダストの処理方法。
- 前記精錬炉で発生する燃焼ガスを湿式ベンチュリで処理し、前記燃焼ガスの前記湿式ベンチュリにおける入側温度と出側温度を、それぞれ、500〜1200℃と、30〜200℃とすることを特徴とする請求項1及び2のいずれか1項に記載のシュレッダーダストの処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP36810797A JP3742499B2 (ja) | 1997-12-25 | 1997-12-25 | シュレッダーダストの処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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