JP3742189B2 - 導光板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示パネルの背後に配設されて該液晶表示パネル側に光を導く為の導光板に関するものであり、殊に光源からの光を均一に且つ高い輝度で液晶表示パネル側に導くことのできる導光板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置は、ワードプロセッサーやパーソナルコンピュータ等、様々な分野で広く利用されている。この様な液晶表示装置においては、液晶表示パネルの背後にバックライトを配置し、そのバックライトからの光を液晶表示パネル側に供給することによって、画像を表示するのが一般的である。こうした液晶表示装置に用いられるバックライトは、その表示画像を見やすくする為に、できるだけ多く且つ均一な光を液晶表示パネル側に供給するものであることが要求される。こうした要求に対応する為に、バックライトの構成要素のひとつとして、導光板が利用されている。
【0003】
バックライトの構成を図面を用いて説明する。図1は、バックライトの基本的な構成を示す概略説明図であり、図中1は光源、2はバックライト用反射シート、3は導光板、4は例えば合成樹脂からなる光拡散シートを夫々示す。この構成においては、光源1を導光板3の横に配置したものであり、光源1からの光は導光板3に入射され、その表面に配設された光拡散シート4を通じて光拡散シート4の前方(図面の上方側)に配置される液晶表示パネル(図示せず)に導かれる。尚図1に示した構成は、光源1を導光板3の横方に一個配置した代表的なものを示したが、光源1は導光板3の横方左右や導光板3と反射シート2との間に配置して二個以上使用したものも知られている。
【0004】
いずれの構成を採用するにしても、前記導光板3は液晶表示パネル側に光を効果的に導く為に設けられるものであり、この機能をより発揮させる為に導光板3の背後に前記バックライト用反射シート2が添設され、また光源1からの光を拡散させると共に輝度を向上させる為に、導光板3と液晶表示パネルの間には、光拡散シート4が配置されている。尚バックライト用反射シート2の代わりに導光板3に反射層を印刷した構成も知られている。
【0005】
ところでバックライトとしての機能を発揮させる為に、前記導光板3には、光源からの光を均一且つ高い輝度で液晶表示パネル側に出射させる特性を具備している必要がある。こうした導光板としては、従来ではアクリル系樹脂、ポリカーボネイト系樹脂、ポリスチレン系樹脂等を素材とする透明板がそのまま用いられていたが、こうした素材からなる導光板では上記特性を十分に満足させることはできなかった。即ち、こうした従来の導光板では、輝度の均一化を達成することは困難であり、こうした不都合を解消する為に、前記バックライト用反射シート2や反射層にドットパターンを設けて反射率を調整したり、更にはこのドットパターンを消す為に前記光拡散シート4を複数配置する等の工夫がなされているのが実情である。上記した不都合は、特に導光板の横方に光源を配置する構成を採用したときに顕著になる。
【0006】
こうしたことから、上記特性を改善するという観点から、これまでにも様々な技術が提案されている。その一つとしては、均一な光を照射する為に、反射面に設ける反射部について、光源に近い部分では小面積で低密度とし、光源から遠ざかるにつれて大面積で高密度としたドットを印刷して輝度の均一化を達成する方法が提案されている。しかしながらこの技術では、出射される光の輝度自体が低下したり、反射面に設けた反射部のパターンが液晶面から見えたりして輝度むらとなることがある。
【0007】
また特開平5−196820号には、光源からの光量に反比例する大きさの幅の狭い斜面を反射面に多数構成し、更にその外側に反射鏡を形成する技術について提案されている。この技術では、光源からの光の利用効率については向上するものの、その構造が複雑になって液晶パネル面積にあわせた形状にする必要がある等、設計上の困難が伴うものである。また反射面の斜面の配置パターンが筋の様に液晶面に現れるという問題がある。
【0008】
上記した技術の他、導光板中に透明微粒子を埋設したり気泡を形成する方法(特開平4−29290号)や、不均一構造を有する微粒子を導光板に混入する方法(特開平6−94920号)等も提案されている。しかしながら、前者の技術では、輝度の向上効果が小さく、多量の透明微粒子を埋設したり気泡を形成する必要があるという問題があり、後者の技術では、微粒子が本質的に白濁したものであるので、導光板を大面積化したときに光源から遠い部分は光が届きにくく、出射光強度が低下する為に輝度の分布にむらが生じるという問題がる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、こうした状況の下になされたものであって、その目的は、光源からの光を均一且つ高い輝度で導くことのできる導光板を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決することのできた本発明の導光板とは、液晶表示パネルの背後に配設されて該液晶表示パネル側に光を導く為の導光板であって、スメクタイト類を存在させた透明または半透明の樹脂微粒子を、透明樹脂シート内に分散させたものである点に要旨を有するものである。
【0011】
本発明の導光板で用いる樹脂微粒子は、スメクタイト類を0.01〜20重量%程存在させたもの、或はその平均粒子径が0.1〜500μm程度のものが適当である。また前記樹脂微粒子は、導光板中に1〜80重量%分散させることが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、樹脂微粒子を分散させる導光板を基本とし、この導光板の均一且つ高い輝度を達成させる為の有用な樹脂微粒子の形態について様々な角度から検討した。その結果、スメクタイト類を樹脂微粒子中に存在させたものを、導光板中に分散させれば、上記目的が見事に達成されることを見出し、本発明を完成した。
【0013】
本発明で用いるスメクタイト類とは、層状膨潤性粘土鉱物の1種を総称したものであり、単位結晶層が互いに積み重なった層状構造を有しており、単位結晶同士の結合が比較的弱いので、単位結晶層の構造を破壊することなく、物理的または化学的方法によって、単位結晶間に種々のイオンや分子を挿入することができるものをいう。
【0014】
こうしたスメクタイト類(以下、単に「スメクタイト」と呼ぶことがある)は、面内の屈折率と厚み方向の屈折率が異なるという性質を有している。またシリカの4面体層がアルミニウムやマグネシウム等を中心金属にした8面体層の両面をサンドイッチした3層構造より構成され、単位結晶構造を有するタイプで幾つかの交換性陽イオン(例えば、H+ ,Na+ ,K+ ,Ca2+,Mg2+,Al3+,NH4 +,4級アンモニウムイオン等)を持っているものである。
【0015】
スメクタイトを存在上させた樹脂微粒子を透明樹脂シート内に分散させて導光板を構成すれば、導光板の特性が格段に向上させることができるのであるが、こうした効果が得られる理由は必ずしも明らかでない。
【0016】
本発明で用いる樹脂微粒子の素材となる樹脂の種類は、透明または半透明なものであれば良く、特に限定されるものではなく、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル等のホモポリマー、或はこれらのポリマーを構成するモノマー成分同士若しくはこれらと共重合可能なモノマーとのコポリマー等の熱可塑性樹脂の他、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂も使用できる。また樹脂微粒子を製造する為の方法は、樹脂とスメクタイトを混練し粉砕する方法、樹脂溶液にスメクタイトを分散混合した後スプレードライ等で乾燥造粒する方法、モノマー中にスメクタイトを添加し、媒体中に乳化、分散あるいは溶解し重合させることにより樹脂微粒子を形成する、乳化重合法、懸濁重合法、分散重合法あるいは沈殿重合法等様々な従来公知の方法が適用できる。
【0017】
この樹脂微粒子は、上記した様な各種樹脂からなる微粒子中にスメクタイトを存在させたものであるが、その存在量は、0.01〜20重量%程度が適当であるが、より好ましくはその下限を0.1重量%、上限を15重量%とするのが良い。また樹脂微粒子におけるスメクタイトの存在形態については、特に限定されるものではなく、均一分散、中心部に局在化、粒子表面近傍に局在化等のいずれの形態を取っていても良く、また一次または二次凝集体として存在していても良い。尚樹脂微粒子を構成する樹脂との親和性や分散性を考慮すると、用いるスメクタイトは親油性スメクタイトが好ましい。また、従来公知の方法によりスメクタイトを表面処理してもかまわない。
【0018】
また樹脂微粒子の形状についても特に限定されるものではなく、例えば球状、回転楕円体状、金平糖状、薄板状、針状のいずれでも良い。またその大きさは例えば球状のものでは、平均粒子径(他の形状のものでは、最大長さで)で0.1〜500μm程度が適当である。またこの平均粒子径の好ましい下限は0.5μm、より好ましくは1μmとするのが良く、その上限は好ましくは100μm、より好ましくは50μmとするのが良い。
【0019】
本発明の導光板の構成を図面を用いて説明する。図2は、本発明の導光板の構成例を示す概略説明図であり、図中5はスメクタイトを存在させた樹脂微粒子、6は透明樹脂シート、7は導光板の夫々を示す。即ち、樹脂微粒子5を透明樹脂シート6内に分散させることによって導光板7を構成したものである。
【0020】
上記透明樹脂シート6の素材としては、透明性、耐熱性等、導光板として要求される特性を満足するものであれば、特に限定されるものではなく、ポリエステル系樹脂、非晶質ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、耐候性塩化ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等の各種樹脂を用いることができる。また記樹脂シート6の厚さは、0.1〜20mm程度が適当である。樹脂シート6の厚さ(即ち導光板の厚さ)が0.1mmよりも薄いと光源からの入射光が減少し輝度があまり向上しなくなり、20mmより厚いとバックライトユニット自体が大きくなる上に、樹脂による光の吸収が大きくなるため輝度があまり向上しなくなる。
【0021】
導光板7中に分散させる樹脂微粒子5の分散量は、1〜80重量%程度が好ましく、樹脂微粒子5の分散量が1重量%未満であると、樹脂微粒子5の分散状態が少なくなるので輝度の均一度が発生されない。また樹脂微粒子5の割合が80重量%を超えると、光線透過率が低くなり過ぎて輝度が向上しない。尚透明樹脂シート6に樹脂微粒子5を分散させた後の導光板の製造方法としては、射出成形、押出成形、プレス成形等の公知の方法を採用することができる。
【0022】
以下本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のものではなく、前・後記の趣旨に徴して設計変更することはいずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0023】
【実施例】
実施例1
攪拌機、不活性ガス導入管、還流冷却器および温度計を備えたフラスコに、ポリビニルアルコール(「PVA−205」商品名:クラレ株式会社製)2部を溶解した脱イオン水900部を仕込んだ。そこへ予め調整しておいたメタクリル酸メチル85部、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン10部およびスメクタイト(「ルーセンタイトSPN」商品名:コープケミカル株式会社製)5部、および2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)を配合した混合物を仕込み、乳化分散機(「T.K.ホモジナイザー」商品名:特殊機化工業株式会社製)によって5000rpmで攪拌して均一な懸濁液とした。
【0024】
次いで、不活性ガス導入管から窒素ガスを吹き込みながら75℃に加熱し、この温度で5時間重合反応を行った後冷却した。この懸濁液を濾過、洗浄した後乾燥してスメクタイト含有樹脂微粒子(1)を得た。尚、得られたスメクタイト含有樹脂微粒子(1)の平均粒子径は7.2μmであった。
【0025】
このスメクタイト含有樹脂微粒子(1)20部とスチレン樹脂(「スタイロン666」商品名:旭化成株式会社製)80部を溶解混練した後、型枠に流し込みプレス成形し、成形後裏面に酸化チタンを塗布して、大きさ20cm×20cm、最大厚み5mm、最小厚み2mmのくさび型の導光板(1)を作成した。
【0026】
得られた導光板(1)の厚み5mmの側面に太さ5mmの陰極線管を置き、更に導光板上に、光拡散シート(「オパルス100TSC」商品名:前1)を2枚重ねて置き、導光板(1)から30cm離れた位置に固定した輝度計(「SL110」商品名:ミノルタカメラ株式会社製)で導光板(1)を通過する光量を測定することによって輝度を評価した。このとき、目視観察によって輝度むらについても評価した。その結果を、下記表1に示す。
【0027】
実施例2
実施例1で用いたのと同様のフラスコに、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルスフォアンモニウム(「ハイテノールN−08」商品名:第一工業製薬株式会社製)1部を溶解した脱イオン水900部を仕込んだ。そこへ予め調整しておいたメタクリル酸メチル80部、ジメタクリル酸エチレングリコール17部およびスメクタイト(「ルーセンタイトSPN」商品名:コープケミカル株式会社製)5部、および2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)を配合した混合物を仕込み、乳化分散機(「T.K.ホモジナイザー」商品名:特殊機化工業株式会社製)によって3000rpmで攪拌して均一な懸濁液とした。
【0028】
次いで、不活性ガス導入管から窒素ガスを吹き込みながら75℃に加熱し、この温度で5時間重合反応を行った後冷却した。この懸濁液を濾過、洗浄した後乾燥してスメクタイト含有樹脂微粒子(2)を得た。尚、得られたスメクタイト含有樹脂微粒子(2)の平均粒子径は10.4μmであった。
【0029】
このスメクタイト含有樹脂微粒子(2)を用いて、実施例1と同様にして導光板(2)を作成し、上記と同様にして輝度および輝度むらについて評価した。その結果を、下記表1に示す。
【0030】
比較例1
スメクタイト含有樹脂微粒子(1)の代わりアクリル樹脂系粒子(「エポスターMA1010」商品名:株式会社日本触媒製]を用いる以外は、実施例1と同様にして樹脂粒子を分散させた導光板(3)を作成した。この導光板(3)を用いて、実施例1とと同様の評価を行った。その結果を、下記表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
表1から明らかな様に、スメクタイト含有樹脂微粒子を分散させた本発明の導光板では、樹脂微粒子だけを分散させた導光板に比べて、輝度が格段に向上し且つ輝度むらも発生していないことがわかる。
【0033】
【発明の効果】
本発明は以上の様に構成されており、スメクタイト含有樹脂微粒子を樹脂シートに分散させることによって、光源からの光を均一且つ高い輝度で導くことのできる導光板が実現できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】バックライトの基本的な構成を示す概略説明図である。
【図2】本発明の導光板の構成例を示す概略説明図である。
【符号の説明】
1 光源
2 バックライト用反射シート
3 導光板
4 光拡散シート
5 スメクタイトを存在させた樹脂微粒子
6 光拡散シート
7 透明樹脂シート
Claims (4)
- 液晶表示パネルの背後に配設されて該液晶表示パネル側に光を導く為の導光板であって、スメクタイト類を存在させた透明または半透明の樹脂微粒子を、透明樹脂シート内に分散させたものであることを特徴とする導光板。
- 前記樹脂微粒子は、スメクタイト類を0.01〜20重量%存在させたものである請求項1に記載の導光板。
- 前記樹脂微粒子は、平均粒子径が0.1〜500μmである請求項1または2に記載の導光板。
- 前記樹脂微粒子が導光板中に1〜80重量%分散しているものである請求項1〜3のいずれかに記載の導光板。
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