JP3741912B2 - スピンドルモータ制御装置及びディスク装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スピンドルモータの回転数を制御するスピンドルモータ制御方法、制御装置、スピンドルモータの駆動回路及びディスク装置に関し、特に、ディスク媒体を回転するスピンドルモータの制御に適用して好適なスピンドルモータ制御方法、制御装置、スピンドルモータの駆動回路及びディスク装置に関する。
【0002】
スピンドルモータは、回転駆動手段として、広く利用されている。例えば、ディスクに記録されたデータを読み取り又は読み取り/書き込みを行うディスクドライブは、ディスク媒体を回転するためにスピンドルモータを有する。このスピンドルモータを、停止状態又は低速回転状態から目標回転数に立ち上げる際に、高速に目標回転数に立ち上げることが必要となる。
【0003】
【従来の技術】
スピンドルモータを有する装置は、様々な分野で利用されている。ここでは、コンピュータ等の外部記憶装置として利用されている光磁気記録装置を例に説明する。光磁気記録装置では、データ蓄積部として、光磁気媒体を使用する。この媒体は、基板と、基板上に形成された磁性体からなる記録層を有している。この媒体は、光による加熱と磁界の変化を利用して、情報を記録する。
【0004】
この媒体は、データを記録再生するためのデータトラックが設けられた光ディスクで形成される。一般に、媒体の基板上には、グルーブ(トラッキング案内溝)がスパイラル状に設けられている。このグルーブとグルーブに挟まれたランドに、データの記録再生トラックが設けられている。
【0005】
このトラックに、光学ヘッドの光ビームをトラッキングする。そして、記録時には、光による加熱と磁界の変化を利用して、情報を記録する。又、情報を再生する時は、磁気光学効果を利用して、光ビームの反射光から情報を再生する。
【0006】
光ディスク媒体の記録再生を行うには、光ディスク媒体を定常回転する必要がある。このため、スピンドルモータが用いられる。このスピンドルモータとして、ブラシレスモータが用いられている。
【0007】
このスピンドルモータの回転精度が充分でないと、ディスク媒体に対してトラッキングが不安定となり、ディスク媒体に対して記録又は再生を行う時のエラー発生要因にもなる。このため、安定した高速回転を維持する必要がある。
【0008】
従来、安定した回転精度を維持するため、モータの回転制御方式として、PLL(Phase Locked Loop)制御(位相同期制御)が利用されている。このシステムでは、水晶発振器の発振パルスと、モーターが回転する時に発生する回転パルス(FG)との位相を比較して、位相差を得る。この位相差がチャージポンプに蓄えされた後、波形整形されて、回転誤差信号を得る。この回転誤差信号が、モーターの駆動電流となる。これにより、安定した回転精度の回転が得られる。このシステムでは、モーターの定常回転時の回転ジッタ特性を良好にするため、チャージポンプの応答特性は遅く設定される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来技術では、次の問題があった。
【0010】
例えば、前述の光磁気ディスク装置では、光ディスク媒体は、装置にロードされる。この時、スピンドルモータは停止状態にあり、ディスク媒体が装着されると、スピンドルモータの起動が行われる。この起動により、スピンドルモータが定常回転数に到達した後、搭載された媒体に特性を合わせる初期化処理、トラッキングサーボ処理等が行われ、ロード処理が完了して、レディ状態となる。しかし、近年、データ転送レートの向上を行う一つの手段として、スピンドルモータの回転数を高速化する傾向がある。回転数を高速にすると、起動時から定常の回転数に到達するまでの時間が長くなる。この事により、媒体が装着されてから、装置が外部インターフェース(SCSI/ATAPI IF)を可能とする時間までのロード処理に要する時間が延びてしまい、インターフェースとのタイムアウトエラーが発生する可能性がある。
【0011】
又、光磁気記録装置等は、パソコンの小型外部記憶装置として広く使われている。これらに使用する場合には、消費電力を低減する必要がある。このため、消費電力を低減するため、或いは温度上昇による弊害(装置経時変化や媒体特性の変化)を防止するために、スリープ機能を備えている。例えば、ある時間以上アクセスがなかった時には、トラックへの追従動作を停止したり、レーザーダイオードの発光を停止したり、スピンドルモータの回転数を落としたり又はスピンドルモータの回転を停止する。そして、ディスク媒体にアクセスする命令を受けると、素早くレディ状態に復帰する必要がある。即ち、スピンドルモータが停止している場合に、或いは定常回転数より遅い回転数でロックしている場合には、即座に、スピンドルモータを起動し、媒体へのアクセスが可能な回転数に立ち上げる必要がある。
【0012】
このように、スピンドルモータの定常回転数が高速化するのに伴い、ロード時間又はレディ時間が遅くなるという問題が生じる。
【0013】
従来のスピンドルモータのPLL回路では、スピンドルモータの定常回転での回転ジッタ特性を向上するため、チャージポンプの応答特性は、遅く設定されている。このため、スピンドルモータの回転数の立ち上がり時に、オーバーシュートが大きくなってしまい、起動後目標回転数に静定するまでの時間が短くできないという問題があった。
【0014】
反対に、チャージポンプの応答特性は、速く設定したとすると、スピンドルモータの定常回転での回転ジッタ特性が低下し、定常回転時に回転変動が生じるという問題が生じる。
【0015】
従って、本発明の目的は、スピンドルモータが、停止又は低回転から目標回転数に立ち上げるまでの時間を短縮するためのスピンドルモータ制御方法、制御装置、駆動回路を提供することにある。
【0016】
本発明の他の目的は、定速回転での回転精度を維持したままで、スピンドルモータの立ち上げ時間を短縮するためのスピンドルモータ制御方法、制御装置、駆動回路を提供することにある。
【0017】
本発明の更に他の目的は、スピンドルモータの立ち上げ時のオーバーシュート量を小さくするためのスピンドルモータ制御方法、制御装置、駆動回路を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明のスピンドルモータ制御装置は、スピンドルモータの実回転数を検出する手段と、目標回転数と前記実回転数との誤差を抽出する位相差抽出回路と、前記誤差を充電するチャージポンプと、前記チャージポンプの充電量により前記スピンドルモータを駆動する駆動回路と、前記位相差抽出回路に前記目標回転数を設定した後、前記検出手段による前記スピンドルモータの実回転数が前記目標回転数の近傍に到達したことを検出して、前記チャージポンプを所定時間放電する制御回路とを有し、前記チャージポンプは、前記制御回路によって、直接操作され、前記チャージポンプを放電する放電回路を有する。そして、前記制御回路は、前記スピンドルモータの実回転数が前記目標回転数の近傍に到達したことを検出して、前記スピンドルモータの目標回転数に応じた前記所定時間、前記放電回路を動作させる
【0019】
この実施の態様では、チャージポンプに蓄える誤差量を放電することにより、立ち上げ時のオーバーシュートを抑制する。このオーバーシュートを抑制するため、スピンドルモータの実回転数が前記目標回転数の近傍に到達したことを検出してから、所定時間、チャージポンプを放電する。これにより、オーバーシュート量を抑制することができる。
【0020】
又、チャージポンプの応答特性を変えないので、目標回転数での回転を安定に維持することもできる。
【0021】
本発明の他の態様は、前記到達を検出するステップは、前記スピンドルモータを起動した後、前記スピンドルモータの実回転数が前記目標回転数の近傍に到達したことを検出するステップからなる。
【0022】
これにより、スピンドルモータを停止状態から起動した時に、目標回転数に到達するまでの立ち上げ時間を短縮できる。
【0023】
本発明の他の態様は、前記到達を検出するステップは、低速回転している前記スピンドルモータに高速回転を指示した後、前記スピンドルモータの実回転数が高速回転の前記目標回転数の近傍に到達したことを検出するステップからなる。
【0024】
これにより、スピンドルモータの低速回転から高速回転への立ち上げ時間を短縮できる。
【0025】
本発明の他の態様は、前記スピンドルモータの目標回転数に応じて、前記放電する所定時間を設定するステップを更に有する。目標回転数に応じて、立ち上げ時間を最小とする放電時間が異なるため、目標回転数に応じて放電時間を設定することにより、各目標回転数での立ち上げ時間を短縮できる。
【0026】
本発明の他の態様は、前記放電する所定時間を学習するステップを更に有する。これにより、立ち上げ時間を最小とする放電時間が自動的に得られる。
【0027】
本発明の他の態様は、環境温度に応じて、前記放電する所定時間を設定するステップを更に有する。これにより、環境温度に応じて放電時間を設定することにより、環境温度の変化にかかわらず、立ち上げ時間を短縮できる。
【0028】
本発明の他の態様は、電源電圧に応じて、前記放電する所定時間を設定するステップを更に有する。これにより、電源電圧に応じて放電時間を設定することにより、電源電圧の変化にかかわらず、立ち上げ時間を短縮できる。特に、バッテリー駆動方式の装置に利用して好適である
本発明のスピンドルモータ制御装置は、前記スピンドルモータの実回転数を検出する検出手段と、目標回転数と前記実回転数との誤差を抽出して、前記誤差をチャージポンプに充電し、前記充電量により前記スピンドルモータを駆動する駆動回路と、前記スピンドルモータの実回転数が前記目標回転数の近傍に到達したことを検出して、前記チャージポンプを所定時間放電する制御回路とを有する。
【0029】
この実施の態様では、チャージポンプに蓄える誤差量を放電することにより、立ち上げ時のオーバーシュートを抑制する。このオーバーシュートを抑制するため、スピンドルモータの実回転数が前記目標回転数の近傍に到達したことを検出してから、所定時間、チャージポンプを放電する。これにより、オーバーシュート量を抑制することができる。
【0030】
又、チャージポンプの応答特性を変えないので、目標回転数での回転を安定に維持することもできる。
【0031】
本発明のスピンドルモータ制御装置の他の態様は、前記チャージポンプは、前記制御回路によって、操作され、前記チャージポンプを放電する放電回路を有する。放電回路を有するため、簡単に、チャージポンプを放電することができる。
【0032】
本発明のスピンドルモータ制御装置の他の態様は、前記放電回路は、前記制御回路のトライステートバッファにより操作される。これにより、放電回路の動作のための特別のスイッチが不要となる。
【0033】
本発明のスピンドルモータ制御装置の他の態様は、前記放電回路は、前記制御回路により操作されるスイッチを有する。これにより、制御回路のポートにより、放電を操作することができる。
【0034】
本発明のスピンドルモータ駆動回路は、目標回転数とスピンドルモータの実回転数との誤差を抽出する抽出回路と、前記誤差を充電するチャージポンプと、前記チャージポンプの充電量に応じた前記スピンドルモータの駆動信号を生成する駆動回路とを有し、前記チャージポンプは、外部より操作され、前記チャージポンプを放電する放電回路を有する。
【0035】
これにより、チャージポンプに蓄える誤差量を放電することにより、立ち上げ時のオーバーシュートを抑制することができる。又、駆動回路の外部から操作することができ、容易に制御回路が放電操作できる。更に、チャージポンプの応答特性を変えないので、目標回転数での回転を安定に維持することもできる。
【0036】
本発明のディスク装置は、前述のスピンドルモータ駆動回路を有するので、起動命令を受けてからディスクを定常回転に立ち上げるまでの時間を短縮でき、ロード処理等に要する時間を短縮できる。
【0037】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の一実施の形態の光磁気ディスク装置のブロック図、図2は図1の光ディスクドライブの構成図である。
【0038】
図1に示すように、光磁気ディスク装置は、コントロールユニット10とディスクドライブ11とを備える。MPU(マイクロプロセッサ)12は、光磁気ディスク装置の全体的制御を行う。インターフェース17は、ホスト装置(図示せず)との間でコマンド及びデータのやり取りを行う。光ディスクコントローラ(ODC)14は、光磁気ディスク(MO)のリード/ライトに必要な処理を行う。DSP(デジタルシグナルプロセッサ)16は、MPU12の指示に基づいて、後述する各機構部を制御する。メモリ(RAM)18は、MPU12、ODC14、インターフェース17で共用され、ライトデータの格納、リードデータの格納等を行う。
【0039】
ODC14には、フォーマッタ14−1と誤り訂正符号(ECC)処理部14−2が設けられている。フォーマッタ14−1は、ライトアクセス時には、NRZライトデータを、光ディスクのセクタ単位に分割し、記録フォーマットを生成する。ECC処理部14−2は、セクターデータ単位に、ECCを生成し、セクターデータに付加する。又、ECC処理部14−2は、必要に応じて、巡回冗長検査(CRC)符号を生成して、付加する。更に、ECC処理部14−2は、ECCの付加されたセクターデータを、1−7ランレングスリミテッド符号(RLL)に変換する。
【0040】
リードアクセス時には、ECC処理部14−2は、リードされたセクターデータを1−7RLL逆変換した後、CRC検査を行う。そして、ECC処理部14−2は、ECCによる誤り検出及び誤り訂正を行う。更に、フォーマッタ14−1は、セクタ単位のNRZデータを連結して、NRZリードデータのストリームを作成する。このデータストリームは、バッファメモリ18を経由して、インターフェース17からホスト装置に転送される。
【0041】
ライトLSI回路20は、ライト変調部21とレーザーダイオード制御回路22とを有する。ライト変調部21は、光磁気ディスクの種類に応じて、ライトデータを、ピットポジションモジュレーション(PPM)記録(マーク記録ともいう)又はパルスウィドスモジュレーション(PWM)記録(エッジ記録ともいう)のデータ形式のデータに変調する。レーザーダイオード制御回路22は、この変調されたデータにより、ドライブ11の光学ユニットのレーザーダイオードユニット30を制御する。ドライブ11に設けられたレーザーダイオードユニット30は、光磁気ディスクにレーザー光を照射するレーザーダイオード30−1と、モニタ用ディテクタ30−2とを有する。
【0042】
リードLSI回路24は、AGC(自動ゲイン制御)回路、フィルタ、セクターマーク検出回路を備えるリード復調部25、周波数シンセサイザ26を備える。リード復調部25は、入力されたID信号又はMO信号からリードクロック及びリードデータを生成した後、PPMデータ又はPWMデータを元のNRZデータに復調する。ドライブ11の光学ヘッドのID/MO用ディテクタ32は、光磁気ディスクの戻り光を検出し、ID信号/MO信号が、ヘッドアンプ34を介してリードLSI回路24に入力される。周波数シンセサイザ26は、光磁気ディスクのゾーンに対応した周波数のクロックを、リードクロックとして発生する。
【0043】
ドライブ11に設けられた温度センサ36は、ドライブの温度を検出する。検出された温度は、DSP16を介してMPU12に与えられ、MPU12は、検出温度に基づき、レーザーダイオード制御回路22のリード、ライト及びイレーズの各発光パワーを最適値に制御する。
【0044】
スピンドルモータ40は、光磁気ディスクを回転する。MPU12は、ドライバ38を介してスピンドルモータ40の起動/停止/定常回転を制御する。ドライバ(駆動回路)38は、図3にて後述するように、PLL回路で構成される。
【0045】
電磁石44は、記録時及び消去時に、ロードされた光磁気ディスクに外部磁界を供給する。DSP16は、MPU12の指示に応じて、電磁石44を、ドライバ42を介して制御する。4分割ディテクタ45は、光磁気ディスクから戻り光を検出する。
【0046】
FES検出回路46は、4分割ディテクタ45の出力からフォーカスエラー信号(FES)を生成して、DSP16に入力する。DSP16は、フォーカスサーボループを用いて、フォーカス駆動信号を生成し、ドライバ58を介してフォーカスアクチュエータ60を制御する。フォーカスアクチュエータ60は、光学ヘッドの対物レンズをフォーカス方向に駆動する。これにより、フォーカスサーボ制御が行われる。即ち、DSP16は、フォーカスエラー信号が最小となるように、フォーカスアクチュエータ60をフィードバック制御して、記録媒体面に、光ビームの焦点が位置するよう制御する。
【0047】
TES検出回路48は、4分割ディテクタ45の出力からトラックエラー信号(TES)を生成して、DSP16に入力する。TESは、トラックゼロクロス(TZC)検出回路50にも入力される。TZC検出回路50は、TZCパルスを生成し、DSP16に入力する。
【0048】
DSP16は、このTESを基に、トラックサーボループを用いて、トラック駆動信号を生成し、ドライバ62を介してトラック(レンズ)アクチュエータ64を制御する。トラックアクチュエータ64は、光学ヘッドの対物レンズをトラック方向に駆動する。これにより、トラックサーボ制御が行われる。即ち、DSP16は、トラックの中心に光ビームが位置するように、トラックアクチュエータ64をフィードバック制御する。
【0049】
又、DSP16は、TZCを基に、シーク距離を演算して、ドライバ66を介してボイスコイルモータ(VCM)68をシーク制御する。VCM68は、光学ヘッドを移動する。
【0050】
図2は、図1の光磁気ディスクドライブ11の構成図である。図2に示すように、ハウジング67内に、前述したスピンドルモータ40が設けられている。光磁気ディスクカートリッジ70は、インレット69から挿入される。カートリッジ70内の光磁気ディスク72は、スピンドルモータ40により回転される。
【0051】
光学ヘッドは、キャリッジ76と固定光学系78で構成される。キャリッジ76は、レール84に沿って、VCM68(図1参照)により、光磁気ディスク72のトラック横断方向に移動する。キャリッジ76は、対物レンズ80、方向変換プリズム82、フォーカスアクチュエータ60、トラックアクチュエータ64等を備える。固定光学系78は、前述したレーザーダイオードユニット30、ID/MO用ディテクタ32、4分割ディテクタ45(図1参照)を備える。
【0052】
図3は、本発明の一実施の形態のスピンドルモータ制御回路のブロック図、図4は、スピンドルモータ駆動回路のブロック図、図5は、そのタイムチャート図、図6は、本発明の他の実施の形態のスピンドルモータ制御回路のブロック図である。
【0053】
図3に示すように、MPU12(図1参照)は、スピンドルドライバ38に、回転/停止/ブレーキの指示を与える。スピンドルドライバ38は、これに従い、スピンドルモータ40を駆動する。
【0054】
スピンドルモータドライバ38は、図4のように構成されている。即ち、スピンドルモータドライバ38は、位相比較器90と、チャージポンプ91と、位相補償フィルタ92と、駆動回路93と、速度検出器94と、スピードチェック信号生成回路95とを有する。
【0055】
スピンドルモータ40の同軸上に設けられた周波数ジェネレータ(図示せず)は、スピンドルモータ40の回転速度に比例した周波数のFG信号を発生する。例えば、周波数ジェネレータは、スピンドルモータ40の1回転当たり12パルスのFG信号を発生する。速度検出器94は、FG信号を増幅し、波形整形し、レベル調整して、FGパルスを位相比較器90に与える。
【0056】
位相比較器90には、MPU12からの目標回転数の周波数を持つクロック(基準信号)CLKが入力される。このクロックCLKは、水晶発振器の基準クロックから作成される。位相比較器90は、基準クロックCLKとFGパルスとを位相比較して、位相差信号を出力する位相コンパレータで構成される。チャージポンプ91は、充電回路(積分回路)で構成され、位相差信号を充電する。チャージポンプ91の充電量は、位相補償フィルタ(ループフィルタ)92に入力され、波形整形される。駆動回路93は、電流アンプで構成され、位相補償フィルタ92の出力を増幅して、スピンドルモータ40に駆動電流(回転誤差信号)を供給する。
【0057】
このようにして、回転誤差信号(駆動電流)により、スピンドルモータ40を駆動して、フィードバック制御する。この系では、最終的に、基準となる基準クロックの位相にFGパルスの位相を一致するように、制御する。これにより、モータの定速回転が実現される。
【0058】
スピードチェック信号生成部95は、位相比較器90の位相差が、所定の範囲以内かを判定して、スピードチェック信号SCを生成する。即ち、図5に示すように、目標回転数を中心として、誤差範囲を定常回転数範囲とする。そして、スピンドルモータ40の回転数が、定常回転数範囲以内か否かを、位相比較器90の位相差が、所定の範囲以内かを判定する。スピードチエック信号SCは、スピンドルモータ40の回転数が、定常回転数範囲以内なら、ローを示し、スピンドルモータ40の回転数が、定常回転数範囲以内でないなら、ハイを示す。このスピードチェック信号SCは、MPU12に与えられる。
【0059】
このチャージポンプ91は、位相差をコンデンサに蓄積し、コンデンサに蓄積された電流(電圧)が、回転誤差信号として、スピンドルモータ40の駆動電流となる。図3に示すように、チャージポンプ91は、2つのコンデンサC1、C2と抵抗R2とからなる充電(積分)回路91−1を有する。この充電回路の充電特性は、定常回転時の回転ジッタを抑圧するように、設定されている。
【0060】
図5に示すように、モータ起動時には、モータをオンしてから時間とともにモータの回転数が上昇し、目標回転数を越えて、オーバーシュートした後、目標回転数に静定する。スピンドルモータ40は、回転誤差量に応じて駆動されるから、モータ起動後に、このチャージポンプ91に蓄えられた回転誤差量を、適当なタイミングで適当な時間放電させることにより、前述のオーバーシュートの抑制が可能である。これにより、定常回転数に速く到達することができる。
【0061】
図3に示すように、チャージポンプ91には、抵抗R1とスイッチSWからなる放電回路91−2が設けられている。このスイッチSWは、MPU12の出力ポートの出力により、開閉制御される。そして、MPU12は、モータ起動時に、スピンドルモータ40のスピードチェック信号SCを受け、スピントルモータ40が、目標回転数の近傍(定常回転数範囲内)に到達したかを監視する。図5に示すように、スピントルモータ40が、目標回転数の近傍(定常回転数範囲内)に到達した時に、MPU12が、出力ポートからスイッチSWを閉じて、チャージポンプ91を一定期間放電する。これにより、回転誤差量が減少するため、オーバーシュートを抑制することができる。
【0062】
又、図6に示すように、チャージポンプ91の充電回路91−1に、抵抗R1からなる放電回路91−2を設け、この抵抗R1を、MPU12のトライステートバッファ12−1のポートに接続するようにしても良い。トライステートバッファ12−1は、ハイ、ロー、オープン(開放)の3状態をとることができる。このため、図3の放電回路のスイッチSWを除去することができる。
【0063】
図7は、本発明の一実施の形態のスピンドルモータ起動処理フロー図、図8は、そのFG信号のタイムチャート図、図9は、その回転状況判断の説明図である。図7に従い、MPU12の起動処理を説明する。
【0064】
(S1)MPU12は、スピンドルモータ異常検出時の割り込み処理を無効にする。即ち、定常回転時には、前述したスピードチェック信号SCがハイとなると、割り込みが発生する。スピードチェック信号SCがハイの時は、図5で説明したように、スピンドルモータ40の回転数が定常回転数範囲内から外れた異常検出の場合である。この割り込みを禁止することにより、後述するように、MPU12は、スピードチェック信号SCによるスピンドルモータ40の回転数の監視が可能となる。
【0065】
(S2)MPU12は、スピンドルモータ40のパラメータの設定として、目標回転数(クロックの周波数)、起動方向の設定を行う。ここで、この実施例では、ロードされる光ディスクの記憶容量に応じて、2つの回転数(4558rpmと3214rpm)を選択している。例えば、1.3GBの容量の光ディスクでは、3214rpmを選択し、その他の容量の光ディスクでは、4558rpmを選択する。そして、このクロックをスピンドルモータドライバ38に供給するとともに、スピンドルモータドライバ38に起動命令を与える。これにより、スピンドルモータ40が起動される。
【0066】
(S3)スピンドルモータ40の回転により、前述したFG信号(パルス)が発生する。MPU12は、図8に示すように、所定時間(確認時間)FG信号をカウントする。そして、このカウント値により、スピンドルモータ40の回転状況を判断する。図9のテーブルに示すように、3214rpmでは、カウント値が、15より小さい時は、スピントルモータ40がロックされていると判断する。同様に、カウント値が100より大きい時は、スピンドルモータ40が空転していると判断する。又、カウント値が15と100の間にあるときは、スピンドルモータ40が正常状態にあると判断する。同様に、4558rpmでは、カウント値が、19より小さい時は、スピントルモータ40がロックされていると判断する。同様に、カウント値が125より大きい時は、スピンドルモータ40が空転していると判断する。又、カウント値が19と125の間にあるときは、スピンドルモータ40が正常状態にあると判断する。スピンドルモータ40がロック状態にある又は空転状態にある時は、ステップS9のエラー処理に進む。
【0067】
(S4)スピンドルモータ40が正常状態にあると判定した時は、MPU12は、スピードチェック信号SCがローに変化したかを判定する。図5の回転数とスピードチェック信号SCの関係図のA点に示すように、起動後最初に、スピードチェック信号SCがローとなる時点を検出する。MPU12は、スピードチェック信号SCがローになるまで待つ。スピードチェック信号SCがローに変化した時は、スピンドルモータ40の回転数が目標回転数近傍(定常回転数範囲)に到達した時である。
【0068】
(S5)MPU12は、スピードチェック信号SCがローになると、放電処理を開始する。図3に示した回路例では、通常時に、MPU12の出力ポートは、ロー(スイッチSWオフ)状態にある。スイッチSWは開放状態にある。放電する時は、出力ポートをハイ(スイッチオン)することにより、スイッチSWを閉じ、チャージポンプ91の充電回路91−1をグランドに接続する。これにより、放電が実施される。又、図6の回路例では、放電するため、MPU12のトライステートバッファ12−1のポートをローにすることにより、チャージポンプ91の充電回路91−1をグランドに接続する。尚、トライステートバッファ12−1のポートがハイインピーダンス(オープン)の時は、スイッチをオフにした状態となる。
【0069】
(S6)MPU12は、図5に示したA点から所定時間、スイッチSWをオンし続け、放電処理を継続する。この所定時間は、オーバーシュートを抑制し、モータの回転数が定常回転範囲内に速く収まるように、設定される。後述するように、この所定時間は、目標回転数等により相違し、且つ学習することがてきる。
【0070】
所定時間が経過する(例えば、タイマーにより検出する)と、MPU12は、スイッチSWをオフ状態とする。これにより、スイッチSWが開放され、放電動作を終了する。
【0071】
(S7)MPU12は、定常回転のチェックを行う。このため、MPU12は、スピードチェック信号SCの監視時間が経過したかを判定する。監視時間が経過していれば、ステップS9のエラー処理する。監視時間が経過していなければ、スピードチェック信号SCが所定時間ローかを調べる。このようにして、スピードチェック信号SCが所定時間ローであることを確認して、定常回転数になったことを確認する。図5のB点が対応する。
【0072】
(S8)最後に、スピンドルモータ異常検出時の割り込み処理を有効にして、終了する。これにより、定常回転時に、スピードチェック信号による割り込み発生時に、リカバリー処理が可能となる。
【0073】
(S9)スピンドルモータの回転状況が良好でない時、監視時間内に、スピードチェック信号SCが所定時間ローにならない時は、エラー処理して、終了する。
【0074】
このようにして、スピンドルモータドライバ38のチャージポンプ91の充電量(回転誤差量)を、スピンドルモータ40が目標回転数近傍に到達した時に、放電するため、目標回転数を越えるオーバーシュートを抑制できる。これにより、目標回転数に静定するまでの時間を短縮することができる。
【0075】
図10、図11は、放電による効果を説明する図である。
【0076】
図10(A)は、放電を行わない場合の、スピンドルモータをオンした後のチャージポンプ91の出力波形CPとスピードチェック信号SCを示す。図10(B)は、放電を行った場合の、スピンドルモータをオンした後のチャージポンプ91の出力波形CPとスピードチェック信号SCを示す。
【0077】
図10(A)に比べ、図10(B)に示すように、放電を行った場合には、チャージポンプ91の出力波形CPは、スピードチェック信号SCがローとなった時に、急激に低下する。これにより、スピードチェック信号SCのローとなるまでの時間が短縮されている。このため、放電を行う事により、定常回転に早く静定している事が理解される。
【0078】
図11は、スピンドルモータをオンした時からのスピンドルモータの回転数の変化を示している。ここで、目標回転数は、4588rpmである。放電を行わない場合(DC無し)には、オーバーシュートにより、スピードチェック信号SCがローに安定するまで、2.5秒かかる。これに対し、放電を行った場合(DC有り)には、スピードチェック信号SCがローに安定するまで、1.9秒かかる。従って、放電を行う事により、600ms早く、定常回転に静定することが理解される。
【0079】
次に、オーバーシュートを有効に抑えるための放電時間について、説明する。図12は、4558rpmにおける放電時間と回転数変化の関係図、図13は、3214rpmにおける放電時間と回転数変化の関係図である。
【0080】
図12、図13は、放電時間を、0ms、6ms、10ms、14ms、18msと設定した場合のスピンドルモータの回転数変化を示している。図12により明らかなように、目標回転数が4558rpmの場合には、放電時間を10msとすると、定常回転数(4558rpm)に一番早く静定する。一方、図13に示すように、目標回転数が3214rpmの場合には、放電時間を10msとすると、定常回転数(3214rpm)に一番早く静定する。このように、定常回転数に一番早く静定する放電時間を設定する。
【0081】
図14は、本発明の第2の実施の形態のスピンドル起動処理フロー図である。
【0082】
図14は、放電処理をスピードチェック信号SCの割り込み処理によって行うものである。ステップS11〜S13は、図7のステップS1〜S3と同一の処理であり、ステップS15〜S17は、図7のステップS7〜S9と同一の処理である。このため、これらステップの説明は、省略する。
【0083】
(S14)ステップS13で、ステップS3と同様に、スピンドルモータが正常起動されたと判定した時に、MPU12は、放電割り込みの設定を行う。即ち、MPU12は、図5のタイムチャートのスピードチェック信号SCがハイからローに変化した時(図5のA点)に、MPU12に割り込みを発生するように設定する。そして、MPU12は、他の処理に移行する。
【0084】
(S18)MPU12は、ステップS14で設定したスピードチェック信号SCの割り込みが発生すると、このステップS18の割り込み処理に移行する。この時、スピードチェック信号SCの割り込みが再び入らないように、この信号の割り込みをマスクする。
【0085】
ステップS18では、放電処理を開始する。図3に示した回路例では、MPU12の出力ポートをハイ(スイッチオン)することにより、スイッチSWを閉じ、チャージポンプ91の充電回路91−1をグランドに接続する。これにより、放電が実施される。又、図6の回路例では、MPU12のトライステートバッファ12−1のポートをローにすることにより、チャージポンプ91の充電回路91−1をグランドに接続する。
【0086】
これと同時に、MPU12は、放電タイマをスタートして、他の通常の処理に移行する。ここで、設定するタイマ値は、前述の図12、図13で示した最適放電時間である。
【0087】
MPU12は、放電タイマーの放電終了割り込みを受けて、MPU12は、スイッチSWをオフ状態とする。これにより、スイッチSWが開放され、放電動作を終了する。そして、MPU12は、ステップS15に移行する。
【0088】
このようにして、放電処理を割り込み処理としているため、MPU12は、放電のスタートとストップに関与すれば良く、この間に他の通常処理を行うことができる。このため、放電処理により、他の通常処理が待たされることを防止できる。
【0089】
図15は、本発明の第3の実施の形態のスピンドル回転数変更処理フロー図である。図15は、スピンドルモータの回転数を低速から高速に立ち上げる処理を示している。この処理は、基本的に、図7の起動時の処理と同一であり、同一の処理は、図7のステップを参照する。
【0090】
(S20)MPU12は、スピンドルモータ40が低速の定常回転状態にあるかを判定する。例えば、スピードチェック信号SCにより判定する。スピンドルモータ40が低速の定常回転状態にない時は、終了する。
【0091】
(S21)図7のステップS1と同様に、スピンドルモータ異常回転時の割り込みを無効にする。
【0092】
(S22)MPU12は、高速回転用パラメータを設定する。これにより、スピンドルモータドライバ38に与えられるクロックの周波数は、高速回転の周波数となる。そして、スピンドルモータを起動する。
【0093】
(S23)MPU12は、ステップS3と同様に、FGパルスをカウントして、スピンドルモータの回転状況を判断する。
【0094】
(S24)MPU12は、ステップS4と同様に、スピードチェック信号SCがローに変化したかを監視する。
【0095】
(S25)MPU12は、ステップS5と同様に、放電処理を開始する。
【0096】
(S26)MPU12は、ステップS6と同様に、所定時間放電を行ったことを検出して、放電処理を終了する。
【0097】
(S27)MPU12は、ステップS7と同様に、高速の定常回転状態になったかを判定する。
【0098】
(S28)MPU12は、ステップS8と同様に、スピンドルモータ異常回転時の割り込みを有効にして、終了する。
【0099】
(S29)MPU12は、ステップS9と同様に、エラー処理して、終了する。
【0100】
このように、低速回転から高速回転に立ち上げる時も、放電処理により、高速回転に早く立ち上げることができる。このため、スリープ機能を持たせても、レディ状態になるまでの時間を短縮することができる。
【0101】
図16は、本発明の第4の実施の形態のスピンドル回転数変更処理フロー図である。図16は、図15の放電処理をスピードチェック信号SCの割り込み処理によって行うものである。従って、ステップS30〜S33は、図15のステップS20〜S23と同一の処理であり、ステップS37〜S39は、図15のステップS27〜S29と同一の処理である。このため、これらステップの説明は、省略する。
【0102】
(S34)ステップS33で、ステップS23と同様に、スピンドルモータが正常起動されたと判定した時に、MPU12は、放電割り込みの設定を行う。即ち、MPU12は、図5のタイムチャートのスピードチェック信号SCがハイからローに変化した時(図5のA点)に、MPU12に割り込みを発生するように設定する。そして、MPU12は、他の処理に移行する。
【0103】
(S35)MPU12は、ステップS34で設定したスピードチェック信号SCの割り込みが発生すると、このステップS35の割り込み処理に移行する。この時、スピードチェック信号SCの割り込みが再び入らないように、この信号の割り込みをマスクする。
【0104】
ステップS35では、放電処理を開始する。図3に示した回路例では、MPU12の出力ポートをハイ(スイッチオン)することにより、スイッチSWを閉じ、チャージポンプ91の充電回路91−1をグランドに接続する。これにより、放電が実施される。又、図6の回路例では、MPU12のトライステートバッファ12−1のポートをローにすることにより、チャージポンプ91の充電回路91−1をグランドに接続する。
【0105】
これと同時に、MPU12は、放電タイマをスタートして、他の通常の処理に移行する。ここで、設定するタイマ値は、前述の図12、図13で示した最適放電時間である。
【0106】
MPU12は、放電タイマーの放電終了割り込みを受けて、MPU12は、スイッチSWをオフ状態とする。これにより、スイッチSWが開放され、放電動作を終了する。そして、MPU12は、ステップS37に移行する。
【0107】
このようにして、放電処理を割り込み処理としているため、MPU12は、放電のスタートとストップに関与すれば良く、この間に他の通常処理を行うことができる。このため、放電処理により、他の通常処理が待たされることを防止できる。
【0108】
これらの処理における放電時間は、変更回転数にあった時間を設定される。即ち、テーブルに、モーターが停止状態から起動する場合の放電時間と、モーターをある回転状態から高回転数状態に起動する場合の放電時間を格納する。そして、放電処理時に、そのテーブルを参照することにより、適切な放電時間を得る。
【0109】
同様に、装置の温度、電源電圧、起動回転数が変化した場合にも、適用できる。例えば、装置の温度、電源電圧、起動回転数毎の放電時間をテーブルに格納する。又は、基準の放電時間値から、装置の温度、電源電圧、起動回転数に応じた放電時間値を近似計算により求める。
【0110】
次に、この放電時間を学習することができる。モータを起動して、定常回転に立ち上げるまでの時間は、図12、図13に示したように、放電時間により異なる。即ち、適切な放電時間を設定した場合には、最短時間で目標とする回転数に到達する。即ち、図5に示したB点の位置が、放電時間により変化する。
【0111】
この事から、学習のためのモーターの起動停止を数回繰り返すことにより、最適時間を学習することができる。例えば、学習起動毎に、放電時間を、0ms、5ms、10ms、15ms…と変更して、モータを立ち上げ、スピードチェック信号SCから図5のB点までの到達時間を測定する。そして、この時間が一番短くなる放電時間を最適値として決定する。
【0112】
この学習処理は、一度行えば良く、又は必要に応じて実施しても良い。学習処理で得られた装置の最適放電時間は、RAMに格納される。通常のモータ起動時は、このRAMに格納された放電時間を使用して、放電処理を行う。
【0113】
更に、フロー図を用いて、学習処理を説明する。図17は、本発明の一実施の形態の放電時間学習処理フロー図である。
【0114】
(S40)MPU12は、スピンドルモータ40が停止状態かを判定する。停止状態にない時は、MPU12は、スピンドルモータを停止処理する。
【0115】
(S41)MPU12は、学習用放電時間を設定する。例えば、N回の学習を行うとすると、1回目(N0)は、0ms、2回目(N1)は、5ms、3回目(N2)は、10msと設定する。
【0116】
(S42)MPU12は、スピンドルモータドライバ38に起動命令を与える。これにより、スピンドルモータ40が起動される。MPU12は、スピードチェック信号SCがローに変化したかを判定する。
【0117】
(S43)MPU12は、スピードチェック信号SCがローになると、放電処理を開始する。MPU12は、出力ポートをハイ(スイッチオン)することにより、スイッチSWを閉じ、チャージポンプ91の充電回路91−1をグランドに接続する。これにより、放電が実施される。MPU12は、図5に示したA点からステップS41で設定された学習用放電時間、スイッチSWをオンし続け、放電処理を継続する。設定された放電時間が経過すると、MPU12は、スイッチSWをオフ状態とする。これにより、スイッチSWが開放され、放電動作を終了する。
【0118】
(S44)MPU12は、定常回転のチェックを行う。このため、MPU12は、スピードチェック信号SCが所定時間ローかを調べる。このようにして、スピードチェック信号SCが所定時間ローであることを確認して、定常回転数になったことを確認する。図5のB点が対応する。
【0119】
(S45)MPU12は、スピンドルモータ40の起動時からこの定常回転に到達した時間t(n)を測定し、RAMに格納する。
【0120】
(S46)MPU12は、N回学習測定したかを判定する。N回の学習を終了していない時は、次の回(n+1)の学習用放電時間を設定し、ステップS40に戻る。
【0121】
(S47)N回分の学習測定を終了すると、RAMには、各学習用放電時間ごとの到達時間t(n)が格納されている。MPU12は、これらの到達時間の大小を比較する。そして、比較結果から、到達時間が最小の放電時間を、学習結果として、RAMに格納する。そして、終了する。
【0122】
このようにして、最適放電時間を学習によりえることができる。このため、装置個々に、目標回転数毎に、最適放電時間を自動的に得ることができる。
【0123】
上述の実施の態様の他に、本発明は、次のような変形が可能である。
【0124】
(1)前述の実施の態様では、スピンドルモータが、光磁気ディスク装置の光磁気ディスクを回転する例で説明したが、他の装置のスピンドルモータに適用できる。
【0125】
(2)放電回路も他の構成のものを用いることができる。
【0126】
以上、本発明を実施の形態により説明したが、本発明の主旨の範囲内で種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0127】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、次の効果を奏する。
【0128】
(1)スピンドルモータの実回転数が前記目標回転数の近傍に到達したことを検出してから、所定時間、回転誤差を蓄えるチャージポンプを放電するので、オーバーシュート量を抑制することができる。従って、目標回転数までの立ち上げ時間を短縮できる。
【0129】
(2)回転ジッタを抑圧するだけのチャージポンプの応答特性やスピンドルモータ駆動回路の構成を変えずに、しかも簡単に、目標回転数までの立ち上げ時間を短縮し、且つ目標回転数での回転を安定に維持することもできる。
【0130】
(3)スピンドルモータの起動時間が短縮されるため、ディスクの転送速度の向上のため、スピンドルモータの回転数を高くしても、レディに要する時間が長くなることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の態様の光磁気ディスク装置のブロック構成図である。
【図2】図1の光ディスクドライブの構成図である。
【図3】本発明の一実施の形態のスピンドル制御回路のブロック図である。
【図4】図4のスピンドルドライバのブロック図である。
【図5】図4の回路のタイムチャート図である。
【図6】本発明の一実施の形態の他のスピンドル制御回路のブロック図である。
【図7】本発明の一実施の形態のスピンドル起動処理フロー図である。
【図8】図7の処理におけるFG信号のタイムチャート図である。
【図9】図7の処理における回転状況判断の説明図である。
【図10】図7の放電による効果の説明図(その1)である。
【図11】図7の放電による効果の説明図(その2)である。
【図12】4558rpmの放電時間と回転数変化の関係図である。
【図13】3214rpmの放電時間と回転数変化の関係図である。
【図14】本発明の他のスピンドル起動処理フロー図である。
【図15】本発明の一実施の形態のスピンドル回転数変更処理フロー図である。
【図16】本発明の他の実施の形態のスピンドル回転数変更処理フロー図である。
【図17】本発明の一実施の形態の放電時間学習処理フロー図である。
【符号の説明】
12 MPU(制御回路)
38 スピンドルドライバ
40 スピンドルモータ
90 位相比較器
91 チャージポンプ
91−1 充電回路
91−2 放電回路
95 スピードチェック信号生成部

Claims (4)

  1. スピンドルモータの回転数を制御するスピンドルモータ制御装置において、
    前記スピンドルモータの実回転数を検出する手段と、
    目標回転数と前記実回転数との誤差を抽出する位相差抽出回路と
    前記誤差を充電するチャージポンプと、
    前記チャージポンプの充電量により前記スピンドルモータを駆動する駆動回路と、
    前記位相差抽出回路に前記目標回転数を設定した後、前記検出手段による前記スピンドルモータの実回転数が前記目標回転数の近傍に到達したことを検出して、前記チャージポンプを所定時間放電する制御回路とを有し、
    前記チャージポンプは、
    前記制御回路によって、直接操作され、前記チャージポンプを放電する放電回路を有し、
    前記制御回路は、前記スピンドルモータの実回転数が前記目標回転数の近傍に到達したことを検出して、前記スピンドルモータの目標回転数に応じた前記所定時間、前記放電回路を動作させることを
    特徴とするスピンドルモータ制御装置。
  2. 請求項1のスピンドルモータ制御装置において、
    前記制御回路は、更に、環境温度又は電源電圧に応じて、前記放電する所定時間を設定することを
    特徴とするスピンドルモータ制御装置。
  3. 請求項1のスピンドルモータ制御装置において、
    前記制御回路は、前記放電する所定時間を変化して、前記スピンドルモータを制御し、前記目標回転数に到達する時間を測定して、前記所定時間を学習することを
    特徴とするスピンドルモータ制御装置。
  4. デイスクを回転するスピンドルモータと、
    前記デイスクを少なくとも読み取るヘッドと、
    前記スピンドルモータの実回転数を検出する手段と、
    目標回転数と前記実回転数との誤差を抽出する位相差抽出回路と
    前記誤差を充電するチャージポンプと、
    前記チャージポンプの充電量により前記スピンドルモータを駆動する駆動回路と、
    前記位相差抽出回路に前記目標回転数を設定した後、前記検出手段による前記スピンドルモータの実回転数が前記目標回転数の近傍に到達したことを検出して、前記チャージポンプを所定時間放電する制御回路とを有し、
    前記チャージポンプは、
    前記制御回路によって、直接操作され、前記チャージポンプを放電する放電回路を有し、
    前記制御回路は、前記スピンドルモータの実回転数が前記目標回転数の近傍に到達したことを検出して、前記スピンドルモータの目標回転数に応じた前記所定時間、前記放電回路を動作させることを
    特徴とするデイスク装置。
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