JP3832746B2 - 光学的記憶装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、MOカートリッジ等の掛け替え自在な媒体に対し光学的に情報を記録再生するための光学的記憶装置に関し、特に、オントラック制御中に媒体トラックのID部を光ビームが通過する毎にトラッキングエラー信号に生ずる波形変動を抑制するための光学的記憶装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ディスクは、近年急速に発展するマルチメディアの中核となる記憶媒体として注目されており、例えば3.5インチのMOカートリッジを見ると、旧来の128MBに加え、近年にあっては、230MB、540MB、640MBといった高密度記録の媒体も提供されている。
【0003】
このようなMOカートリッジ媒体を使用する光ディスクドライブとして知られた光学的記憶装置は、上位装置からライト命令又はリード命令を受けた際に、媒体上の指定された目的トラックに光ビームを位置付けるシーク制御を行って引き込む。次にトラッキングエラー信号に基づいて光ビームをトラックセンタに追従させるオントラック制御を行い、上位装置からの命令に基づくライト動作又はリード動作を行っている。
【0004】
オントラック制御は、トラックセンタからのずれ量を示すトラッキングエラー信号を、ADコンバータで一定時間毎にサンプリングしてデジタル信号値として読み込み、トラックセンタを示す目標位置と現在位置の誤差を零とするようにキャリッジに搭載されたアクチュエータを駆動し、光ビームの位置をフィードバック制御する。
【0005】
このオントラック制御中に、光ビームが媒体トラック上に一定間隔で配置されたエンボスピットで構成されるID領域を通過すると、トラッキングエラー信号にレベル変動が起きる現象が見られる。
このようなID領域の戻り光に起因したトラッキングエラー信号の変動に対しては、従来、オントラック制御を行っているDSPで、ADコンバータでサンプリングした信号値をPIDフィルタに通す際に、P項とD項もしくはD項のゲインを通常のものより落とし、ID領域に起因したトラッキングエラー信号の急峻なレベル変化に対する追従を鈍感にし、ID領域の戻り光に起因したトラッキングエラー信号の変動が外乱として加わることを防いでいる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来のID領域に起因したトラッキングエラー信号のレベル変動の抑制は、PIDフィルタのゲインを落としてサーボ応答を鈍感にすることを基本にしている。しかし、PIDフィルタのゲインを落とすと、変動したトラッキングエラー信号に含まれるトラックセンタに対する本来のずれ量の検出成分についてもサーボの追従性が甘くなってしまうため、自ずとフィルタゲインの低下には限度がある。
【0007】
このためID領域に起因したトラッキングエラー信号のレベル変動の抑制が不十分となり、オントラック制御が不安定になる問題がある。またID領域に起因したトラッキングエラー信号のレベル変動の抑制が不十分なため、オフトラック検出のために設定しているオフトラック・スライスレベルを超え、オフトラックが誤検出される問題もある。
【0008】
本発明は、オントラック制御のサーボ応答を損うことなく、媒体トラック上のID領域に起因したトラッキングエラー信号のレベル変動を十分に抑圧して悪影響を軽減する光学的記憶装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
図1は本発明の原理説明図である。まず本発明は、光ビームを媒体に照射する対物レンズを媒体のトラックを横切る方向に移動させるアクチュエータと、媒体戻り光の受光出力に基づいて光ビームのトラックを横切る方向の位置に応じたトラッキングエラー信号を作成するトラッキングエラー信号作成回路と、アクチュエータの制御により光ビームを目標トラックに移動させるシーク制御部と、トラッキングエラー信号に基づいたアクチュエータの制御により光ビームを目標トラックに追従させるオントラック制御部とを備えた光学的記憶装置を対象とする。
【0010】
このような光学的記憶装置につき本発明は、図1(A)のように、オントラック制御中に、媒体トラック上のID領域を光ビームが通過する際にトラッキングエラー信号に信号変動が現われる区間を判定し、この判定区間において信号変動を軽減するようにトラッキングエラー信号を補正する補正処理部100を設け、ID領域に起因したトラッキングエラー信号の変動を抑え、オントラック制御のためのフィードバック制御が不安定になることを防止する。
【0011】
補正処理部100は、図1(B)のように、補正タイミング判定部202、補正値決定部200及び補正部(加算器)204で構成される。補正タイミング判定部102は、トラッキングエラー信号(TES信号)の媒体トラック上のID領域に起因したレベル変動が現われる区間を補正タイミングと判定する。補正値決定部200は、トラッキングエラー信号の補正に使用する補正値を決定する。更に補正部204は、ADコンバータ92によりトラッキングエラー信号を所定周期でサンプリングしデジタル変換して読み込まれた信号値を、補正タイミング判定部202で判定した補正タイミングにおいて補正値決定部200で決定した補正値を用いて補正する。ここで図1(B)の補正処理部100の具体的形態としては次の形態がある。
【0012】
(目標値と変動直後の差分による補正)
補正値決定部200は、補正開始タイミング後にADコンバータで最初にサンプリングされた信号値と予め定めた目標値との差を求めて補正値に決定し、補正部204は、補正開始タイミング後にADコンバータで最初にサンプリングされた信号値を含む所定サンプル周期分の信号値の各々から補正値を減算して補正する。
【0013】
このように信号変動があった直後の値と予め決めた目標値の差を補正値として、変動期間中の信号値から減算して変動を軽減することで、信号変動の直前の値にばら付きがあっても常に目標値からの信号の落ち込みに応じた補正値による補正を安定してできる。
【0020】
【発明の実施の形態】
<目 次>
1.装置構成
2.トラッキングエラー信号の変動
3.補正処理
(1)変動前後の差分による補正
(2)目標値と変動直後の差分による補正
(3)前回平均値による補正
(4)前回の変動波形による補正
(5)複数回の変動波形の平均による補正
(6)最適補正タイミングの判定
(7)信号変動の圧縮
(8)信号変動のクリップ
1.装置構成
図2は本発明の光学的記憶装置である光ディスクドライブの回路ブロック図である。本発明の光ディスクドライブは、コントロールユニット10とエンクロージャ11で構成される。コントロールユニット10には、光ディスクドライブの全体的な制御を行うMPU12、上位装置との間でコマンド及びデータのやり取りを行うインタフェース17、光ディスク媒体に対するデータのリード・ライトに必要な処理を行う光ディスクコントローラ(ODC)14、DSP16、及びバッファメモリ18が設けられる。バッファメモリ18は、MPU12、光ディスクコントローラ14、及び上位インタフェース17で共用される。
【0021】
光ディスクコントローラ14には、フォーマッタ14−1とECC処理部14−2が設けられる。ライトアクセス時には、フォーマッタ14−1がNRZライトデータを媒体のセクタ単位に分割して記録フォーマットを生成し、ECC処理部14−2がセクタライトデータ単位にECCコードを生成して付加し、更に必要ならばCRCコードを生成して付加する。更に、ECCエンコードの済んだセクタデータを例えば1−7RLL符号に変換する。
【0022】
リードアクセス時には、復調されたセクタリードデータを1−7RLL逆変換し、ECC処理部14−2でCRCチェックした後にエラー検出訂正し、更にフォーマッタ14−1でセクタ単位のNRZデータを連結してNRZリードデータのストリームとし、上位装置に転送させる。
光ディスクコントローラ14に対してはライトLSI回路20が設けられ、ライトLSI回路20にはライト変調部21とレーザダイオード制御回路22が設けられる。レーザダイオード制御回路22の制御出力は、エンクロージャ11側の光学ユニットに設けたレーザダイオードユニット30に与えられている。レーザダイオードユニット30はレーザダイオード30−1とモニタ用ディテクタ30−2を一体に備える。ライト変調部21は、ライトデータをPPM記録またはPWM記録のでデータ形式に変換する。
【0023】
レーザダイオードユニット30を使用して記録再生を行う光ディスク、即ち書替え可能なMOカートリッジ媒体として、この実施形態にあっては128MB、230MB、540MB及び640MBのいずれかを使用することができる。このうち128MBのMOカートリッジ媒体については、媒体上のマークの有無に対応してデータを記録するピットポジション記録(PPM記録)を採用している。また媒体の記録フォーマットはゾーンCAVであり、ユーザ領域のゾーン数は、128MB媒体が1ゾーンである。
【0024】
また、高密度記録となる230MB、540MB及び640MBのMOカートリッジ媒体については、マークのエッジ即ち前縁と後縁をデータに対応させるパルス幅記録(PWM記録)を採用している。ここで、640MB媒体と540MB媒体の記憶容量の差はセクタ容量の違いによるもので、セクタ容量が2048バイトのとき640MBとなり、一方、セクタ容量が512バイトのときは540MBとなる。また媒体の記録フォーマットはゾーンCAVであり、ユーザ領域のゾーン数は、230MB媒体が10ゾーン、640MB媒体が11ゾーン、540MB媒体が18ゾーンである。
【0025】
このように本発明の光ディスクドライブは、128MB、230MB、540MBまたは640MBの各記憶容量のMOカートリッジに対応可能である。したがって光ディスクドライブにMOカートリッジをローディングした際には、まず媒体のエンボスピットで形成されたID部をリードし、そのピット間隔からMPU12において媒体の種別を認識し、種別結果をライトLSI回路20に通知する。
【0026】
光ディスクドライブ14からのセクタライトデータは、128MB媒体であればライト変調部21でPPM記録データに変換され、230MB、540MBまたは640MB媒体であればPWM記録データに変換される。そしてライト変調部21で変換されたPPM記録データ又はPWM記録データは、レーザダイオード制御回路22に与えられ、レーザダイオード30−1の発光駆動で媒体に書き込まれる。
【0027】
光ディスクドライブ14に対するリード系統としては、リードLSI回路24が設けられ、リードLSI回路24にはリード復調部25と周波数シンセサイザ26が内蔵される。リードLSI回路24に対しては、エンクロージャ11に設けたID/MO用ディテクタ32によるレーザダイオード30−1からのビームの戻り光の受光信号が、ヘッドアンプ34を介してID信号及びMO信号として入力されている。
【0028】
リードLSI回路24のリード復調部25には、AGC回路、フィルタ、セクタマーク検出回路等の回路機能が設けられ、入力したID信号及びMO信号よりリードクロックとリードデータを作成し、PPM記録データまたはPWM記録データを元のNRZデータに復調している。またスピンドルモータ40の制御としてゾーンCAVを採用していることから、MPU12からリードLSI回路24に内蔵した周波数シンセサイザ26に対しゾーン対応のクロック周波数を発生させるための分周比の設定制御が行われている。
【0029】
周波数シンセサイザ26はプログラマブル分周器を備えたPLL回路であり、媒体のゾーン位置に応じて予め定めた固有の周波数をもつ基準クロックをリードクロックとして発生する。即ち、周波数シンセサイザ26はプログラマブル分周器を備えたPLL回路で構成され、MPU12がゾーン番号に応じてセットした分周比(m/n)に従った周波数foの基準クロックを、
fo=(m/n)・fi
に従って発生する。
【0030】
ここで、分周比(m/n)の分母の分周値nは128MB、230MB、540MBまたは640MB媒体の種別に応じた固有の値である。また分子の分周値mは媒体のゾーン位置に応じて変化する値であり、各媒体につきゾーン番号に対応した値のテーブル情報として予め準備されている。
リードLSI回路24は、更に、DSP16に対しMOXID信号E4を出力する。MOXID信号E4は、データ領域となるMO領域でHレベル(ビット1)となり、エンボスピットを形成したID領域でLレベル(ビット0)に立ち下がる信号であり、媒体トラック上のMO領域とID領域の物理的な位置を示す信号である。
【0031】
リードLSI回路24で復調されたリードデータは光ディクスコントローラ14に与えられ、1−7RLLの逆変換後にECC処理部14−2のエンコード機能によってCRCチェックとECC処理を受けてNRZセクタデータが復元され、フォーマッタ14−1でNRZリードデータのストリームに繋げた後に、バッファメモリ18を経由して上位インタフェース17により上位装置に転送される。
【0032】
MPU12に対しては、DSP16を経由してエンクロージャ11側に設けた温度センサ36の検出信号が与えられている。MPU12は、温度センサ36で検出した装置内部の環境温度に基づき、レーザダイオード制御回路22におけるリード、ライト、イレーズの各発光パワーを最適値に制御する。
MPU12は、DSP16を経由してドライバ38によりエンクロージャ11側に設けたスピンドルモータ40を制御する。MOカートリッジの記録フォーマットはゾーンCAVであることから、スピンドルモータ40を例えば3000rpmの一定速度で回転させる。またMPU12は、DSP16を経由してドライバ42を介してエンクロージャ11側に設けた電磁石44を制御する。電磁石44は装置内にローディングされたMOカートリッジのビーム照射側と反対側に配置されており、記録時及び消去時に媒体に外部磁界を供給する。
【0033】
DSP16は、媒体に対しレーザダイオードユニット30からのビームの位置決めを行うためのサーボ機能を備え、目的トラックにシークしてオントラックするためのシーク制御部84と、シーク制御部84に目的トラックにビームを引き込んだ後にトラックセンタに追従させるオントラック制御部86を備える。
DSP16のサーボ機能を実現するため、エンクロージャ12側の光学ユニットに媒体からのビーム戻り光を受光するFES用ディテクタ45を設け、FES検出回路(フォーカスエラー信号検出回路)46が、FES用ディテクタ45の受光出力からフォーカスエラー信号を作成してDSP16に入力している。
【0034】
またエンクロージャ11側の光学ユニットに媒体からのビーム戻り光を受光するTES用ディテクタ47を設け、TES検出回路(トラッキングエラー信号検出回路)48がTES用ディテクタ47の受光出力からトラッキングエラー信号E1を作成し、DSP16に入力している。トラッキングエラー信号E1はTZC検出回路(トラックゼロクロス検出回路)50に入力され、トラックゼロクロスパルスE2を作成してDSP16に入力している。
【0035】
エンクロージャ11側には、媒体に対しレーザビームを照射する対物レンズのレンズ位置を検出するレンズ位置センサ54が設けられ、そのレンズ位置検出信号(LPOS)E3をDSP16に入力している。更にDSP16は、媒体上のビームスポットの位置を制御するため、ドライバ58,62,66を介してフォーカスアクチュエータ60、レンズアクチュエータ64及びVCM68を制御駆動している。
【0036】
ここで光ディスクドライブにおけるエンクロージャ11の概略は図3のようになる。図3において、ハウジング67内にはスピンドルモータ40が設けられ、スピンドルモータ40の回転軸のハブに対しインレットドア69側よりMOカートリッジ70を挿入することで、内部のMO媒体72がスピンドルモータ40の回転軸のハブに装着されるローディングが行われる。
【0037】
ローディングされたMOカートリッジ70のMO媒体72の下側には、VCM68により媒体トラックを横切る方向に移動自在なキャリッジ76が設けられている。
キャリッジ76上には対物レンズ80が搭載され、固定光学系78に設けているレーザダイオードからのビームをプリズム82を介して入射し、MO媒体72の媒体面にビームスポットを結像している。
【0038】
対物レンズ80は図2のエンクロージャ11に示したフォーカスアクチュエータ60により光軸方向に移動制御され、またレンズアクチュエータ64により媒体トラックを横切る半径方向に例えば数十トラックの範囲内で移動することができる。このキャリッジ76に搭載している対物レンズ80の位置が、図2のレンズ位置センサ54により検出される。
【0039】
レンズ位置センサ54は対物レンズ80の光軸が直上に向かう中立位置でレンズ位置検出信号を零とし、アウタ側への移動とインナ側への移動に対しそれぞれ異なった極性の移動量に応じたレンズ位置検出信号E3を出力する。
図4は図1のコントロールユニット10に設けたDSP16により実現されるシーク制御部及びオントラック制御部の機能ブロック図である。
【0040】
まず低速シーク制御の主体となるレンズアクチュエータ64に対するレンズサーボ系を説明する。レンズサーボ系は、速度制御系、オントラックサーボ系及びレンズ位置サーボ系の3つに分けられる。まず速度制御系はトラックゼロクロス信号E2をトラックカウンタ110に入力し、トラックゼロクロス間隔の時間をクロックカウントにより求め、速度検出器112でビーム速度を求める。
【0041】
速度検出器112の出力は加算点114でレジスタ116からの目標速度との誤差が取られ、サーボスイッチ118を介して位相補償器120で速度誤差についての位相補償が施された後、加算器122に与えられている。
図2のオントラック制御部86に相当するオントラックサーボ系は、図2のTES検出回路48に設けた増幅器88及びローパスフィルタ90を通ったトラッキングエラー信号E1をADコンバータ92に入力し、ADコンバータ92で所定周波数のサンプルクロックによりサンプリングし、デジタルデータ(以下「TESデータ」という)に変換してDSP16に読み込んでいる。
【0042】
ADコンバータ92で読み込んだTESデータは、加算点96でレジスタ94によりセットされたTESオフセットの補正を施し、次に本発明によるID領域での信号変動を補正する補正処理部100に入力する。補正処理部100にはMOXID信号E4が入力されており、MOXID信号E4のLレベルへの立下がりエッジから補正タイミングを判定し、立下がり検出から所定サンプル周期、例えば4サンプル周期4Tに亘り信号変動を抑圧する補正を行っている。
【0043】
補正処理部100で補正されたTESデータは、補償器102でゲインを乗じて位相補償のため高域ゲインアップを施した後、PID演算器(PIDフィルタ)104で比例、積分、微分の各演算を行った後、サーボスイッチ106を介して加算器122に入力している。また補正処理部100で補正されたTESデータは、オフトラック測定部108に入力され、所定のオフトラックスライスレベルを超えると、オフトラック検出信号が図2のディスクコントローラ14に通知され、リード/ライト動作をオフトラックエラーが解消されるまで禁止する。
【0044】
更にレンズ位置サーボ系としてレンズ位置検出信号E3をADコンバータ144でディジタルデータとして取り込み、加算器146でレジスタ148によるLPOSオフセットの補正を施し、位相補償器150で位相補償を施した後、PID演算器152で比例積分微分演算を行い、サーボスイッチ156を介して加算器122に入力している。尚、サーボスイッチ156の入力側にはレジスタ154によりTESオフセットキャンセルを加えることができる。
【0045】
このような速度制御系の速度誤差信号、オントラックサーボ系のトラッキングエラー信号、更にレンズ位置サーボ系のレンズ位置誤差信号は、加算器122で加算され、位相補償器158で位相補償が施された後、加算点160でレジスタ162によるトラックオフセットの補正を受けた後、DAコンバータ166でアナログ信号に変換され、レンズアクチュエータ64に対する電流指示値としてドライバ側に出力する。
【0046】
次に高速シーク制御で主体となるVCM64のサーボ系を説明する。VCM68のサーボ系は、シーク時の目標トラック位置と現在トラック位置との誤差に基づいたフィードフォワード制御のサーボ系を構成している。まずトラックゼロクロス信号E2に基づいてカウンタ110で検出されたビームのレジスタ168による現在位置は、加算器170でレジスタ172の目標トラック位置と比較され、目標トラック位置に対する残りトラック数に応じた位置誤差信号が生成される。
【0047】
この加算器170の出力は、位相補償器174で位相補償が施された後、PID演算器176で比例、積分、微分演算を受け、サーボスイッチ178を介して位相補償器180で更に位相補償を受け、加算器182を介してIIR188に与えられる。更に位相補償器190で位相補償を施した後、加算器192でレジスタ194によるVCMオフセットによる補正を受け、リミット196を介して加算器198に与えられる。
【0048】
加算器198では偏心メモリ200からの読み出しによる媒体の偏心補正を行う。加算器198による偏心補正を受けたVCMサーボの位置誤差信号に対しては、レジスタ202によりインナ方向のシークとアウタ方向のシークに応じた異なった極性がセットされ、更に絶対値化回路204で絶対値化が施され、DAコンバータ206でアナログ信号に変換され、VCM68にVCM電流指示値に変換されてドライバ側に出力される。
【0049】
更にVCMサーボ系の加算器182に対しては、レンズサーボ系に設けているレンズ位置サーボ系の位相補償器150の出力が分岐され、PID演算器184及びサーボスイッチ186を介して入力されている。このためサーボスイッチ186のオン状態でレンズアクチュエータ64により対物レンズを駆動してレンズシークを行うと、このときのレンズ位置検出信号に基づいて加算器146で生成されるレンズ位置誤差信号がPID演算器184及びサーボスイッチ186を介してVCM位置サーボ系の加算器182に位置誤差信号として加わる。
【0050】
このためVCM68は、レンズアクチュエータ64の駆動によりレンズ位置オフセットを零とするようにキャリッジを位置制御することになる。このようなレンズアクチュエータによるレンズ位置検出信号の誤差信号に基づくサーボ制御がVCM68のサーボ系に加わることから、これを二重サーボと呼んでいる。
図5は図4のサーボ系につける制御モードとサーボスイッチ118,106,156,178及び186のオンオフ状態を示す。サーボ系の制御モードはトラックオフモード、トラックオンモード(オントラック制御モード)、ファインシークモード、位置シークモードに分けられる。各モードの制御内容は図6のようになる。
【0051】
トラックオフモードは、フォーカスサーボを有効とした状態でサーボスイッチ156をオンしてレンズアクチュエータ64による対物レンズの零位置への制御を行っている。このためトラックオフモードにあっては、ビームを停止した状態でビームの媒体に対するフォーカシングのみが可能となる。
トラックオンモード(オントラック制御モード)は、フォーカスサーボを有効とした状態でサーボスイッチ106をオンとすることでトラッキングエラー信号によるレンズアクチュエータ64の駆動によるオントラック制御を行う。更にサーボスイッチ186をオンとすることでVCMサーボ系にレンズ位置検出信号による位置サーボを掛けて、VCMオフセットや偏心オフセットを補償できるようにしている。このトラックオンモードにおいて、ID領域に起因したトラッキングエラー信号の信号変動に対する本発明の補正処理が行われる。
【0052】
ファインシークモードは、上位装置から目標シリンダへのアクセスが指示された場合に、レンズアクチュエータ64の速度制御とVCM68のフィードフォワード制御によりビームを目標位置に移動させる制御である。即ち、フォーカスサーボを有効とした状態でサーボスイッチ118のオンによりレンズアクチュエータ64の速度制御を行う。
【0053】
更にサーボスイッチ178のオンにより目標トラックに対する現在トラック位置の誤差に応じたフィードフォワード制御を行う。更にサーボスイッチ186をオンすることにより、レンズ位置検出信号E3の位置誤差に基づいてVCM68の駆動でレンズ零位置に制御する二重サーボを掛ける。
位置シークモードはレンズアクチュエータ64によるレンズ位置制御であり、レンズを零位置に保持した状態で、VCM68を目標トラック位置に対する現在トラック位置のトラック数に応じた位置誤差信号によりビームが目標トラックに移動するように位置制御する。
即ち、フォーカスサーボを有効とした状態でサーボスイッチ156をオンしてレンズアクチュエータ64によりレンズを零位置に保持するレンズロックを行う。この状態でサーボスイッチ178のオンにより目標トラック位置に対する誤差を零とするようにVCM68によりキャリッジを移動し、ビームを目標トラックに位置制御する。
2.トラッキングエラー信号の変動
図7は、図4のDSP16に設けたオントラック制御部86において、オントラック制御中に得られるトラッキングエラー信号MOXID信号及びADコンバータのTESデータのタイムタャートである。
【0054】
図7(A)は、図4の増幅器88の出力から得られるトラッキングエラー信号(TES信号)であり、図7(B)は図4のローパスフィルタ90の出力から得られるトラッキングエラー信号E1であり、図7(C)は図2のリードLSI回路24から得られるMOXID信号E4であり、更に図7(D)が図4のADコンバータ92でサンプリングされたTESデータである。
【0055】
図7(A)の増幅器88の出力となるトラッキングエラー信号は、図3のMO媒体72のトラックフォーマットがスパイラルトラックであることから、オントラック制御中にあっては、トラック1回転毎の規定位置で1トラック元に戻るトラックジャンプを行っており、このトラックジャンプによる1トラックシーク波形300−1が得られている。
【0056】
続いて目的トラックに対するオントラック制御により、トラックセンタを示す信号レベル零との差をなくすようにレンズアクチュエータを駆動するフィードバック制御が行われている。このオントラック制御中の信号波形には、一定間隔で信号波形が落ち込む波形変動302−1が生じている。
図7(B)は、図7(A)のトラッキングエラー信号の波形をローパスフィルタ90を通して得られたDSP16に入力されるトラッキングエラー信号E1であり、ローパスフィルタ90を通すことで高域成分が除去され、先頭のトラックジャンプシーク波形300−2は振幅成分が減少し、これに続くオントラック制御中の信号変動302−2も図7(A)に比べると抑圧されている。
【0057】
図7(B)のトラッキングエラー信号E1は、図7(A)のトラッキングエラー信号に対しローパスフィルタ90を通したことで、所定の遅延を生じている。図7(A)(B)における信号落ち込みを起こしている信号変動302−1,302−2は、図7(E)のMOXID信号E4におけるLレベルでの立下がり区間に生じている。ここでMOXID信号E4は、媒体トラックのMO領域(データ領域)に照射した光ビームの戻り光から得られた信号レベルはHレベル(ビット1)であり、エンボスピットが形成されたID部からの戻り光による信号レベルはLレベル(ビット0)に立ち下がっている。
【0058】
このため、MOXID信号E4のLレベルへの立下がりエッジにより図7(B)のトラッキングエラー信号E1に信号変動302−2を生じるタイミング、即ち信号変動302−2の補正を開始する補正開始タイミングを判定することができる。
図7(D)のADコンバータ92によるTESデータは、先頭の1トラックシークによるトラッキングエラー信号E1の引き込みが所定レベル以下となった時にサンプリング動作を開始している。このADコンバータ92のサンプリング周波数は例えば68kHzである。
【0059】
図8は図7のオントラック制御中における各信号を時間軸で拡大して示している。図8(A)の増幅器88の出力となるトラッキングエラー信号のID領域に起因した信号変動302−1に対し、図8(B)のローパスフィルタ90の出力となるトラッキングエラー信号E1の信号変動302−2は、ローパスフィルタ90の通過によって時間的に遅延を起している。また図8(C)のMOXID信号E4は、図8(A)の増幅器88の出力となるトラッキングエラー信号の波形変動302−1にほぼ同期して得られている。
【0060】
この媒体トラックのID部によるトラッキングエラー信号E1の信号変動302−1は、図8(D)のADコンバータから得られたTESデータのデータ変動302−3のように、デジタル的にも大きく変動しており、このままオントラック制御に使用するとオントラックサーボ系に対する外乱として加わり、トラッキング制御が不安定になり、極端な場合には制御異常となってオフトラックを起こしてしまう。
【0061】
そこで本発明にあっては、図8(C)のMOXID信号E4の立下がりエッジに基づいて補正区間を判定し、この補正区間において図8(D)のADコンバータ92で読み込んだTESデータを、波形変動区間に亘り補正することで、ID部に起因したトラッキングエラー信号の信号変動による悪影響を軽減する。
3.補正処理
(1)変動前後の差分による補正
図9は図4のオントラック制御部86に設けた補正処理部100の第1実施形態の機能ブロック図である。この第1実施形態にあっては、媒体トラックのID部に起因してトラッキングエラー信号に生じた信号変動の直前と直後の差分に基づいてTESデータを補正するようにしたことを特徴とする。
【0062】
図9において、ADコンバータ92及び加算器96に続いて設けられた補正処理部100は、補正値算出部200、補正タイミング判定部202及び補正用加算器204で構成される。補正値算出部200には遅延部206、加算器208、ラッチ210及び補正値出力スイッチ212が設けられる。
遅延部206と加算器208は、現サンプル地点でADコンバータ92から得られたTESデータと遅延部206で1サンプル周期遅延している前回のサンプルで得られたTESデータとの差を求めている。ラッチ210は、補正タイミング判定部202で判定された補正開始タイミングで加算器208から出力されるTESデータの差分値を補正値としてラッチする。
【0063】
補正値出力スイッチ212は、補正タイミング判定部202による補正開始タイミングから予め定めた所定期間、例えば4サンプル周期4Tの間オンし、補正用加算器204にラッチ210でラッチした補正値を出力し、この間にADコンバータ92より順次サンプリングされるTESデータから補正値を減算して補正する。
【0064】
補正タイミング判定部202はMOXID信号E4を入力し、そのLレベルへの立下がりエッジを監視している。MOXID信号E4のLレベルへの立下がりエッジを検出すると、その直後のADコンバータ92のサンプリングに同期して加算器208から得られた補正値をラッチする。更にラッチ210に制御信号を出力したラッチタイミングから所定の補正区間、例えば4サンプル周期4Tの間、補正値出力スイッチ212をオンし、補正用加算器204に、ラッチ210に保持した補正値を出力して補正させる。
【0065】
図10は図9の補正処理のタイムチャートである。図10(A)はADコンバータ92に入力するトラッキングエラー信号E1であり、媒体トラック上のID部により信号が落ち込む信号変動302を含んでいる。図10(B)はMOXID信号E4であり、時刻t1でHレベルからLレベルに立ち下がり、立下がりエッジが検出される。
【0066】
図10(C)は、図10(A)のトラッキングエラー信号E1をADコンバータ92により所定のサンプル周期でサンプリングしてデジタル変換したTESデータであり、ここでは図10(A)のトラッキングエラー信号E1における信号変動302の部分を取り出しており、例えば「・・・1,0,−1,−4,−4,−4,−2,1,2,3,3,4・・・」と変化している。
【0067】
このTESデータについて、時刻t1のMOXID信号E4のLレベルの立下がりエッジが検出されると、その直後の最初のADコンバータ92のサンプル開始時刻t2で、図9の補正タイミング判定部202はラッチ210に制御信号を出力して加算器208の出力をラッチさせる。このとき加算器208にはサンプルタイミングt2で得られたTESデータ「−4」と、遅延部206で遅延された1サンプル周期前のTESデータ「−1」が入力されており、このため加算器208の出力は両者の差として差分値「−3」が出力され、ラッチ210に補正値として保持される。
【0068】
そして時刻t2のサンプルタイミングから図10(D)のように、4サンプル周期4Tに亘り図9の補正値出力スイッチ212がオンしているため、4つのサンプル周期のそれぞれにおいて補正値「−3」が補正用加算器204に出力される。補正用加算器204はサンプルタイミングt2からの4回のサンプリングで得られるTESデータ「−4,−4,−4,−2」の各々についてラッチ210に保持した補正値「−3」を減算し、その結果、図10(E)のように補正出力値「−1,−1,−1,−1」を得ることができる。
【0069】
このような補正によって図10(A)のADコンバータ90で読み込まれたTESデータのID部に起因した信号レベルの落ち込みは、図10(E)のように十分に変動が抑圧でき、安定したオントラック制御を実現する。図11は、図9の第1実施形態の補正処理を含むオントラック制御処理のフローチャートであり、ADコンバータ92のサンプルクロックに同期して処理が繰り返し行われる。まずステップS1でADコンバータ92のサンプリングにより得られたTESデータの読み込みを行う。続いてステップS2でMOXID信号の立下がりエッジか否かチェックする。
【0070】
立下がりエッジを検出すると、ステップS3で補正値を算出する。この補正値の算出は図9の第1実施形態の場合は、立下がりエッジ直後のTESデータとその1つ前のサンプルタイミングのTESデータの差として算出する。続いてステップS4で、予め定めた補正終了時間例えば4サンプル周期4Tか否かチェックする。
【0071】
補正終了時間未満の補正中であれば、ステップS6で加算器96におけるTESデータに対するレジスタ94に設定したTESオフセットの減算を行い、次のステップS7で補正用加算器204によるTESデータから補正値を減算する補正処理を行い、ステップS8でTESデータにゲインを乗算する位相補償を行い、ステップS9でTESデータについてPID計算を行い、この結果を図4のように最終的にDAコンバータ166でアナログデータに変換し、レンズアクチュエータ64に駆動電流を流す。
【0072】
更にステップS10で、補正用加算器204で補正した補正TESデータを入力しているオフトラック判定部108によるオフトラック判定、即ち予め定めたオフセットスライスレベルとTESデータと比較し、オフセットスライスレベル未満であれば処理を終了する。もしオフセットスライスレベルを超えていた場合には、ステップS11でオフトラックエラー通知を行う。
【0073】
このようなステップS7のTESデータから補正値を減算する補正処理を伴う処理を、ステップS4で所定の補正終了時間例えば4サンプル周期4Tとなるまでサンプルクロック毎に繰り返す。ステップS4で補正終了時間となった場合には、ステップS5に進み、補正値をクリアし、次の補正処理に備える。
また次の補正処理までの間は、サンプル周期毎にステップS2でMOXID信号の立下がりエッジが検出されるまで、ステップS3の補正値の算出処理をスキップしており、このとき補正値はクリアされていることから、ステップS7のTESデータからの補正値の減算を行っても、補正値は零であることからTESデータの補正は行われず、ADコンバータ92より得られたTESデータがそのままステップS8のゲイン乗算に入る。
(2)目標値と変動直後の差分による補正
図12は、図4のオントラック制御部86に設けた補正処理部100の第2実施形態の機能ブロック図あり、この第2実施形態にあっては、ID部に起因したトラッキングエラー信号の変動直後の値と予め定めた目標値との差分により補正するようにしたことを特徴とする。
【0074】
図2において、補正処理部100は、補正値算出部200、補正タイミング判定部202及び補正用加算器204で構成されている。補正値算出部200は、目標値レジスタ214、加算器208、ラッチ210及び補正値出力スイッチ212で構成される。即ち図9の第1実施形態の遅延部206の代わりに目標値レジスタ214を設けた点が相違する。
【0075】
補正タイミング判定部202も図9の第1実施形態と同じであり、MOXID信号E4の立下がりエッジを検出すると、その直後の最初のADコンバータ92のサンプル開始タイミングでラッチ210に制御信号を出力して、加算器208より出力されている目標値とそのときサンプルされている落ち込んだ信号値に対応したTESデータとの差を補正値として保持する。
【0076】
ラッチ210に保持された補正値は、補正タイミング判定部202による4サンプル周期4Tのオン期間に亘り補正用加算器204に出力され、補正が行われる。ここで目標値レジスタ214にセットされる目標値としては、ID部による信号落ち込みがない状態でのTESデータの値、例えば目標値「0」が使用される。
【0077】
図13は、図12の第2実施形態の補正処理のタイムチャートである。図13(A)のTES信号E1は媒体トラック上のID部に対応して信号が落ち込む信号変動302を生じている。図13(B)のMOXID信号E4は、時刻t1でHレベルからLレベルに立ち下がり、立下がりエッジが検出される。このため図9の補正タイミング判定部202は、立下がりエッジの判定時刻t1の直後の時刻t2の最初のADコンバータ92のサンプルタイミングで加算器208から出力される目標値「0」とそのときのTESデータの差を保持する。
【0078】
このとき目標値は「0」であり、時刻t2のサンプリングによるTESデータは「−3」であることから、加算器208は差分値「−3」を出力し、これがラッチ210に保持される。ラッチ210に保持された補正値「−3」は図13(D)のように、続く4サンプル周期4Tに亘り補正用加算器204に出力され、この結果、図13(E)のようにADコンバータ92からのTESデータ「−3,−4,−4,−2」は、補正TESデータ「0,−1,−1,−1」に補正され、信号変動を十分に軽減することができる。
【0079】
また図12の第2実施形態の補正処理を含むオントラック制御処理のフローチャートは図11の第1実施形態と同じであり、ステップS3における補正値の算出に目標値を使用している点が相違する。
(3)前回の平均値による補正図
14は、図4のオントラック制御部86に設けた本発明の補正処理部100の第3実施形態の機能ブロック図であり、この第3実施形態にあっては、前回のトラッキングエラー信号の信号変動におけるTESデータの平均値を補正値として今回の信号変動の補正を行うようにしたことを特徴とする。
【0080】
図14において、補正処理部100は、補正値算出部200、補正タイミング判定部202及び補正用加算器204で構成され、補正値算出部200に平均処理部220、記憶部222、及び補正値出力スイッチ224を設けている。
平均処理部220は、補正タイミング判定部202でMOXID信号E4の立下がりエッジが判定されると、その直後のADコンバータ92のサンプル開始タイミングから所定期間、例えば4サンプル周期4Tに亘って得られるTESデータの平均値を算出し、記憶部222に記憶する。
【0081】
記憶部222に記憶された信号変動のTESデータの平均値は、補正タイミング判定部202による次の信号変動のタイミングで読み出され、補正値出力スイッチ224により所定期間、例えば4サンプル周期4Tに亘り補正用加算器204に補正値として出力し、そのとき得られているADコンバータ92からのTESデータを補正する。
【0082】
ここで第1回目の補正タイミングにあっては、記憶部222に前回の補正タイミングで得られたTESデータの平均値は格納されていないことから補正を行うことができないが、2回目以降については記憶部222の前回の補正タイミングで得られたTESデータの平均値を用いた補正が可能となる。
図15は図14の第3実施形態のタイムチャートである。図15(A)はオントラック制御中に得られるトラッキングエラー信号E1であり、ID領域に起因した信号変動について、2つの信号変動302−1,302−2の部分を取り出している。図15(B)のMOXID信号は時刻t1及び時刻t3のそれぞれでHレベルからLレベルに立ち下がり、補正開始タイミングが判定される。
【0083】
図15(C)のADコンバータ92によるTESデータは、1回目の信号変動302−1と2回目の信号変動302−2の部分について取り出しており、1回目の信号変動302−1でTESデータ「・・・2,2,1,−3,−4,−4,−4,−1,1,2,3,3・・・」が得られており、また2回目の信号変動302−2でTESデータ「・・・3,2,0,−3,−4,−4,−3,0,2,3,4,4・・・」が得られている。
【0084】
図15(D)は、図14の平均処理部220で算出される補正値であり、時刻t1でMOXID信号E4の立下がりが判定されると、その直後の最初のサンプル開始タイミングとなる時刻t2から4サンプル周期4TのTESデータ「−3,−4,−4,−4」の4つの絶対値の平均値「−3」を算出して記憶部222に記憶する。この1回目の信号変動302−1にあっては、最初のため記憶部222には補正値がないため、ADコンバータのTESデータの補正は行われず、そのまま使用される。
【0085】
次の2回目の信号変動302−2については、時刻t3でMOXID信号E4がLレベルに立ち下がって補正開始タイミングが判定されると、その直後のADコンバータ92のサンプル開始タイミングとなる時刻t4から4サンプル周期4Tに亘り、図15(D)の補正値に示すように、前回の補正タイミングで記憶部222に記憶された平均値「−3」が補正値として補正用加算器204に出力され、そのとき得られているTESデータ「−3,−4,−4,−3」を図15(E)の補正出力値のように補正TESデータ「0,−1,−1,0」に補正し、信号変動302−2を十分に軽減することができる。
【0086】
また時刻t3からの補正タイミングにあっても、時刻t4より得られた4つのTESデータ「−3,−4,−4,−3」について、平均処理部220が絶対値の平均値「3」を演算し、記憶部222に記憶し、次の補正タイミングで今回算出した平均値が補正値として使用され、以下同様にこれを繰り返す。
この図14の第3実施形態の補正処理を含むオントラック制御処理も図11の第1実施形態のオントラック制御処理のフローチャートと同じであり、ステップS3における補正値の算出処理が図14の補正値算出部200の処理内容となる点が相違する。
(4)前回の変動波形による補正
図16は、図4のオントラック制御部86に設けた本発明による補正処理部100の第4実施形態の機能ブロック図であり、この実施形態にあっては前回の補正タイミングで得られたTESデータ(変動波形)をそのまま記憶して次の補正タイミングの補正値として使用するようにしたことを特徴とする。
【0087】
図16において、補正処理部100は、補正値算出部200、補正タイミング判定部202及び補正用加算器204で構成され、補正値算出部200には記憶部226と補正値出力スイッチ228が設けられている。記憶部226は同一タイミングでリード/ライトが同時にできるメモリであり、補正タイミングでADコンバータ92より得られるTESデータを記憶すると同時に、前回の補正タイミングで記憶されていたTESデータを補正値として読出出力する。
【0088】
補正値出力スイッチ228は、補正期間例えば4サンプル周期4Tの間オンし、記憶部226よりADコンバータ92のサンプル周期に同期して読み出された前回のTESデータを補正値として補正用加算器204に出力する。
図17は図16の第4実施形態の補正処理のタイムチャートである。図17(A)はオントラック制御中に得られるトラッキングエラー信号E1であり、ID領域に対応した落ち込んだ信号変動302−1,302−2の2つを示している。図17(B)はMOXID信号E4であり、時刻t1,t3のそれぞれでHレベルからLレベルに立ち下がり、これによって補正開始タイミングが判定されている。
【0089】
図17(C)はトラッキングエラー信号E1の2回の信号変動302−1,302−2に対応したADコンバータ92のTESデータを取り出しており、1回目の信号変動302−1に対応してTESデータ「・・・2,2,1,−3,−4,−4,−4,−1,1,2,3,3・・・」が得られ、また2回目の信号変動302−2に対応してTESデータ「・・・3,2,0,−3,−4,−4,−3,0,2,3,4,4・・・」が得られている。
【0090】
図16の記憶部226にあっては、1回目の信号変動302−1に対応した時刻t1のMOXID信号E4のLレベルへの立下りに続く時刻t2のサンプル開始タイミングから4サンプル周期4Tで得られるTESデータ「−3,−4,−4,−4」を記憶する。1回目は前回の記憶データがないことから補正は行わない。
【0091】
2回目の信号変動302−2については、時刻t3でMOXID信号E4がLレベルに立ち下がって補正開始タイミングが判定されると、その直後の時刻t3のサンプル開始タイミングから4サンプル周期4Tに亘る4サンプルに同期して記憶部226に記憶された前回のTESデータが図17(D)の補正値「3,4,4,4,4」のように出力される。
【0092】
補正用加算器204は、そのとき得られているTESデータ「−3,−4,−4,−3」から記憶読み出しした前回の補正値「−3,−4,−4,−4」を減算することで、図17(E)の補正出力値のように補正TESデータ「0,0,0,1」に補正し、信号変動を十分に軽減することができる。
ここで図16の第4実施形態の補正処理を含むオントラック制御についても、図11の第1実施形態のオントラック制御のフローチャートと同じであり、ステップS3における補正値の算出として図16の記憶部226により前回の補正タイミングで記憶された補正値を読み出して使用する点が相違する。
(5)複数回の変動波形の平均値による補正
図18は、図4のオントラック制御部86に設けた本発明による補正処理部100の第5実施形態であり、この実施形態にあっては、過去の複数回の補正タイミングで得られたTESデータの同一サンプリング位置の各平均値により今回の補正タイミングにおける同一サンプリング位置の補正値を算出してTESデータを補正するようにしたことを特徴とする。
【0093】
図18において、補正処理部100は、補正値算出部200、補正タイミング判定部202及び補正用加算器204で構成される。補正値算出部200には、前回記憶部230、前々回記憶部232、サンプル平均算出部234及び補正値出力スイッチ236が設けられる。前回記憶部230には前回の補正タイミングで例えば4サンプル周期4Tで得られた4つのTESデータが記憶されている。
【0094】
前々回記憶部232には、前々回の補正タイミングで得られた同じく4サンプル周期4Tの各TESデータが記憶されている。具体的には、各補正タイミングで前回記憶部230に記憶されているTESデータを前々回記憶部232にシフトすると同時に、現在得られたADコンバータ92からの4サンプル周期4T分のTESデータを前回記憶部230に記憶する処理を行う。
【0095】
サンプル平均算出部234は、補正タイミングにおける4サンプル周期4Tの各サンプル周期毎に前回記憶部230及び前々回記憶部232の同一サンプル位置のTESデータを読み出して平均値を算出し、このときオンしている補正値出力スイッチ236を介して補正用加算器204に補正値として出力する。
図19は、図18の第5実施形態による補正処理のタイムチャートである。図19(A)はオントラック制御中に得られるトラッキングエラー信号E1であり、ID領域に対応して落ち込む信号変動302の部分を取り出している。図19(B)のMOXID信号E3は、時刻t1でHレベルからLレベルに立下り、この立下りエッジの判定により補正開始タイミングが判定される。
【0096】
図19(C)のADコンバータ92で得られたTESデータは、例えば「・・・−2,−2,1,0,−1,−3,−4,−4,−3,1,2,2・・・」と変化している。この場合の補正値は、図19(D)のように補正TESデータ「−3,−3,−4,−03」となる。この補正TESデータは左側に示す前回の補正タイミングにおけるTESデータ310と前々回のTESデータ312に基づいて算出される。
【0097】
即ち、前回の補正タイミングの記憶TESデータは「−3,−4,−5,−4」であり、前々回の記憶TESデータ312は「−3,−3,−3,−2」である。そこで今回の補正のための補正値の算出は、前回及び前々回のTESデータ310,312の第1サンプルデータ「−3」、 「−3」の平均データ「−3」を求める。次に2つめのTESデータ「−4」、「−3」の平均データ「−3」を求める。次に3つめのTESデータ「−5」、 「−3」の平均データ「−4」を求める。更に4つめのTESデータ「−4」、 「−2」の平均データ「−3」を求める。
【0098】
このようにして前回及び前々回の補正タイミングのTESデータ310,312について同一サンプル位置のTESデータの平均値として得た補正TESデータ「−3,−3,−4,−3」を、現在得られているTESデータ「−3,−4,−4,−3」を減算する補正することで、図19(E)の補正出力値に示す補正TESデータ「0,−1,0,0」が得られ、信号変動302を十分に抑えた補正ができる。
【0099】
また次に得られるID領域に対応した信号変動についての補正については、右側に取り出して示すように、前回TESデータ314と前々回TESデータ316の同一サンプル位置の平均値から図19(D)の右側に示す補正TESデータを算出する。ここで前回TES補正データ314は時刻t1の補正タイミングで得られたTESデータ「−3,−4,−4,−3」であり、前々回のTESデータ316は時刻t1の補正タイミングで左側に示す前回TESデータ310として使用していたTESデータ「−3,−4,−5,−4」となっている。以下同様にして、各補正タイミング毎に同様な処理を繰り返す。
【0100】
図20は図18の第5実施形態の補正処理を含むオントラック制御処理のフローチャートである。まずステップS1でADコンバータ92からTESデータを読み込み、ステップS2でMOXID信号の立上がりエッジの有無を判別する。立下りエッジであればステップS3に進み、前回と前々回の同一位置のサンプル値即ちTESデータを平均して補正値を算出する。
【0101】
続いてステップS4で前回のTESデータを前々回のTESデータに更新し、今回のTESデータを前回のTESデータに更新する。それ以降のステップS5〜S12の処理は、図11の第1実施形態のフローチャートにおけるステップS4〜S11の処理と同じである。
(6)最適補正タイミングの判定
図21は図4のオントラック制御部86に設けられた本発明による補正処理部100の第7実施形態であり、この実施形態にあっては、MOXID信号の立下がりエッジの判定とそのときのトラッキングエラー信号の変化量の両方に基づいて最適な補正タイミングを判定するようにしたことを特徴とする。
【0102】
図21において、補正処理部100は、補正値算出部200、補正タイミング判定部202及び補正用加算器204で構成される。補正タイミング判定部202には、立下り判定部238、TES変化量判定部240及びAND回路242が設けられる。立下り判定部238はMOXID信号のLレベルへの立下がりエッジを判定してHレベルとなる判定信号E5をAND回路242に出力する。
【0103】
TES変化量判定部240は、ADコンバータ92で読み込まれた今回のTESデータと前回のTESデータとの差としての変化量が予め定めた所定値を超えた時にHレベルとなる変化量判定信号E6をAND回路242に出力する。AND回路242は、立下り判定部238及びTES変化量判定部240の両方からHレベルとなる判定信号が得られた時に、最適補正タイミングを示すHレベルの判定信号を補正値算出部200に出力する。
【0104】
図22は図21の補正タイミング判定部202による最適補正タイミング判定処理のタイムチャートである。図22(A)はオントラック制御中に得られるトラッキングエラー信号E1であり、媒体トラック上のID領域に対応した落ち込んだ信号変動302の部分を取り出している。このトラッキングエラー信号E1は図22(B)のようなADコンバータ92により読み込まれたTESデータとなる。
【0105】
図22(C)はMOXID信号E4であり、時刻t1でHレベルからLレベルに立ち下っており、この時刻t1の直後のADコンバータ92におけるサンプル開始タイミングt2で、図22(D)のように立ち下がり判定部238の判定出力E5がHレベルに立ち上がる。
この時刻t2以降における図22(B)のTESデータは「5,−1,−7,−8,・・・」と変化しており、図21のTES変化量判定部240は前回のサンプル位置とのTESデータの差「1,6,6,1・・・」を求め、予め定めた所定値例えば所定値「4」と比較している。このため、時刻t3でTESデータが「5」から「−1」に変化するときの差「6」が所定値「4」を上回り、図22(D)のようにTES変化量判定部240からの判定信号E6がHレベルに立上がる。
【0106】
これによってAND回路242は、図22(F)のように、時刻t3で補正タイミング判定信号E7を補正値算出部200に出力し、時刻t3から例えば4サンプル周期4Tに亘り補正値算出部200で補正値が算出され、補正用加算器204でADコンバータ92からのTESデータの補正が行われる。
ここで、もし図21のTES変化量判定部240による判定処理がなかった場合には、図22の時刻t1におけるMOXID信号E4の立下り検出の直後の時刻t2で補正開始タイミングと判定され、例えば図9の第1実施形態の補正値算出部200を例にとると、補正開始タイミングt2のTESデータ「5」と1つ前のTESデータ「6」との差「1」を補正値として、4TのTESデータ「5,−1,−7,−8」から減算する補正となり、この場合の補正TESデータは「4,0,−6,−7」となり、タイミングが早過ぎることから信号変動を十分に補正できない。
【0107】
これに対しMOXID信号E4の立下がりエッジの判定に加えてTES変化量の判定を加えた図21の補正タイミング判定部202の判定によれば、図21の時刻t3が補正開始タイミングと判定され、この場合には時刻t3前後のTESデータの差としての補正値は「6」となり、4サンプル周期4Tの補正TESデータは「5,−1,−2,0」と十分に補正することができる。
【0108】
図23は図21の補正タイミング判定部202による補正タイミング判定処理を含むオントラック制御処理のフローチャートである。まずステップS1でADコンバータ92からTESデータを読み込み、ステップS2でMOXID信号E4の立下がりエッジを判定する。
立下がりエッジを判定するとステップS3に進み、TESデータの変化量を算出する。この変化量がステップS4で所定値以上であれば、ステップS5に進み、最適補正タイミングと判断して補正値を算出する。このステップS5〜S13の処理は図11のオントラック制御処理におけるステップS3〜S11の処理に対応した同じ処理となる。
(7)信号変動の圧縮
図24は、図4のオントラック制御部86に設けた本発明による補正処理部100の第7実施形態の機能ブロック図である。この実施形態にあっては、ID領域に起因したトラッキングエラー信号の信号変動の補正タイミングでADコンバータ92によりサンプリングされたTESデータに乗ずるゲインを下げて変動信号の影響を軽減するようにしたことを特徴とする。
【0109】
図24において、補正処理部100は、補正タイミング判定部202とゲイン切替部244で構成される。ゲイン切替部244には図4の補正処理部100に続いて設けているゲインGを備えた位相補償器102に加え、切替スイッチ246と位相補償器102のゲインGより低いゲインGdを設定した位相補償器248を設け、補正タイミング判定部202によるMOXID信号E4の立下がりエッジ検出に基づく補正タイミングで、切替スイッチ246を図示の位相補償器102から位相補償器248側に切り替えるようにしている。
【0110】
ここで位相補償器102のゲインGをG=1とすると、補正タイミングで切り替えられる位相補償器248のゲインGdは例えばGd=0.5に設定されている。
図25は図24の第7実施形態における補正処理のタイムチャートである。図25(A)は、トラッキングエラー信号E1であり、オントラック制御中のID領域によって信号落ち込みを起こした信号変動302の部分を取り出している。図25(B)のMOXID信号E4は、時刻t1でHレベルからLレベルへの立下がりエッジが検出されて補正開始タイミングが判定される。
【0111】
図25(C)はADコンバータ92でサンプリングされたTESデータの読込値であり、図25(A)のトラッキングエラー信号E1の信号変動302の部分について取り出しており、TESデータは「・・・1,0,0,−2,−3,−3,−2,0,1,2,2・・・」と変化している。
図24の補正タイミング判定部202は、時刻t1におけるMOXID信号E4のLレベルへの立下がりエッジを検出し、その直後のADコンバータ92のサンプル開始タイミングとなる時刻t2で切替スイッチ246を位相補償器102から位相補償器248側に切り替え、この切替状態を例えば時刻t2から4サンプル周期4T維持する。
【0112】
このため、ゲイン切替部244を通るADコンバータ92からのTESデータのゲインは、図25(D)のように時刻t2までは位相補償器102によるゲインG=1であるが、時刻t2からの4サンプル周期4Tの間は位相補償器248のゲインGd=0.5に切り替えられる。
このため時刻t2からの4サンプル周期4TのTESデータ「−2,−3,−3,−2」は、位相補償器248を通ることで図25(D)の補正出力値のように、「−1,−2,−2,−1」に圧縮され、トラッキングエラー信号E1の信号変動302を軽減することができる。尚、図24にあっては、位相補償器248のゲインGdをGd=0.5とした場合を例にとっているが、これに限定されず、例えばGd=0.25として更に信号変動に対する圧縮の度合いを高めるようにしてもよい。
【0113】
図26は図24の第7実施形態の補正処理を含むオントラック制御処理のフローチャートである。まずステップS1でADコンバータ92からTESデータを読み込み、続いてステップS2でMOXID信号のE4の立下がりエッジをチェックする。立下がりエッジを判別するとステップS3に進み、ゲインをより低い値に変更して保持し、これによって信号変動のTESデータの圧縮を行う。ステップS4〜S11の処理は図11のステップS4〜S11と同じである。
(8)信号変動のクリップ
図27は図4のオントラック制御部86に設けた本発明による信号処理部100の第8実施形態の機能ブロック図である。この実施形態にあっては、オントラック制御中にID領域に起因したトラッキングエラー信号の信号変動を信号変動が起きる直前のTESデータを用いてクリップすることで信号変動を軽減するようにしたことを特徴とする。
【0114】
図27において、補正処理部100は、補正タイミング判定部202とクリップ処理部250で構成される。クリップ処理部250にはラッチ252と切替スイッチ254が設けられる。補正タイミング判定部202はMOXID信号E4のLレベルへの立下りエッジを検出してラッチ252に制御信号を出力し、そのときADコンバータ92より得られているTESデータをラッチする。
【0115】
このラッチ252にラッチされたTESデータは、信号変動が起きる直前のTESデータである。また補正タイミング判定部202はMOXID信号E4のLレベルへの立下がりエッジを検出して、ラッチ252にTESデータをラッチした後の最初のADコンバータ92のサンプル開始タイミングで切替スイッチ254をADコンバータ92の出力からラッチ252の出力に切り替え、この切替状態を例えば4サンプル周期4Tの間維持する。
【0116】
これによって補正タイミング判定部202で判定している補正期間の間、ラッチ252に保持された信号変動直前のTESデータが補正TESデータとして出力され、結果として信号変動直前のTESデータにクリップすることができる。
図28は図27の補正処理のタイムチャートである。図28(A)はトラッキング制御中に得られるトラッキングエラー信号E1であり、ID領域に対応した信号変動302の部分を取り出している。図28(B)はMOXID信号E4であり、時刻t1でHレベルからLレベルに立ち下がり、このとき補正タイミング判定部202がラッチ252に制御信号を出力してTESデータのラッチを行っている。
【0117】
図28(C)はADコンバータ92でサンプリングされたTESデータであり、図28(A)のトラッキングエラー信号E1における信号変動302の部分について取り出しており、例えば「2,1,0,−2,−3,−4,−1,1,3,3,4,5」と変化している。このTESデータは時刻t1でMOXID信号E4の立下がりエッジの検出でラッチ252にラッチされ、ラッチされるTESデータは「0」となる。時刻t1でTESデータ「0」をラッチした後の最初のサンプル開始タイミングとなる時刻t2でタイミング判定部202は切替スイッチ254をラッチ252の出力側に切り替え、この切替状態を時刻t2から4サンプル周期4Tに亘って維持する。このためラッチ252は図28(D)のように、時刻t2から4サンプル周期4Tに亘り、時刻t1でラッチしたTESデータ「0」を出力する。
【0118】
このため、時刻t2から4サンプル周期4Tに亘る補正期間のTESデータは、図28(E)の補正出力値のようにTESデータ「−2,−3,−4,−1」から補正TESデータ「0,0,0,0」にクリップされ、トラッキングエラー信号E1の信号変動302を軽減することができる。
図29は図27の第8実施形態の補正処理を含むオントラック制御処理のフローチャートである。まずステップS1でADコンバータ92でサンプリングしたTESデータを読み込み、ステップS2でMOXID信号の立下がりエッジを判定する。立下がりエッジを判定すると、ステップS3でTESデータをラッチして補正のためのクリップ値を求める。ステップS4〜S11の処理は図11の第1実施形態と同じである。
ここで図24の第7実施形態及び図28の第8実施形態の補正タイミング判定部202にあっては、MOXID信号E4のHレベルからLレベルへの立下がりエッジを判定し、その直後のADコンバータ92のサンプル開始タイミングを補正開始タイミングとして一定期間の補正期間を設定しているが、図21の第6実施形態の補正タイミング判定部202のように、MOXID信号E4の立下がりエッジの判定とTESデータの変化量の判定の論理積により補正開始タイミングを判定するようにしてもよい。
【0119】
尚、上記の実施形態は、レンズアクチュエータとキャリッジアクチュエータを備えた装置を例にとるものであったが、レンズアクチュータをもたないキャリッジアクチュータのみで光ビームを移動する装置のオントラック制御についても、そのまま適用することができる。このシングルアクチュエータの装置は、図2の装置からドライバ62、レンズアクチュエータ64、及びレンズ位置センサ54を除いた装置である。
【0120】
また本発明は上記の実施形態に限定されず、本発明の目的と利点を損わない適宜の変形を含む。また本発明は上記の実施形態に示された数値による限定は受けない。
【0121】
【発明の効果】
以上説明してきたように本発明によれば、媒体トラック上のID領域を光ビームが通過する際にトラッキングエラー信号に信号レベルの落ち込みとして現われるレベル変動のタイミングを補正タイミングとして判定し、この補正タイミングで得られるトラッキングエラー信号についてID領域に起因した信号変動を抑制する補正を行って信号変動の影響を低減し、これによってID領域に起因したトラッキングエラー信号の変動によってオントラック制御が不安定になることを確実に防止し、安定したオントラック制御を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理説明図
【図2】本発明による光ディスクドライブのブロック図
【図3】MOカートリッジをローディングした装置内部構造の説明図
【図4】図2のDSPで実現されるサーボ系統の機能ブロック図
【図5】図4のアナログスイッチのサーボ制御モードのオン・オフ説明図
【図6】図5のサーボ制御モードの説明図
【図7】オントラック制御中に得られるトラックエラー信号、MOXID信号、及びADCリード値のタイムチャート
【図8】図7の信号を時間軸で拡大したタイムチャート
【図9】信号変動の前後の差により補正する図4の補正処理部の第1実施形態の機能ブロック図
【図10】図9の補正処理のタイムチャート
【図11】図9の補正処理のフローチャート
【図12】目標値と変動直後の信号値と差により補正する図4の補正処理部の第2実施形態の機能ブロック図
【図13】図12の補正処理のタイムチャート
【図14】前回の信号変動の平均値により今回の信号変動を補正する図4の補正処理部の第3実施形態の機能ブロック図
【図15】図14の補正処理のタイムチャート
【図16】前回の信号変動の波形を記憶して今回の信号変動を補正する図4の補正処理部の第4実施形態の機能ブロック図
【図17】図16の補正処理のタイムチャート
【図18】複数回の信号変動の記憶値の平均値により今回の信号変動を補正する図4の補正処理部の第5実施形態の機能ブロック図
【図19】図18の補正処理のタイムチャート
【図20】図18の補正処理のフローチャート
【図21】MOXID信号とTESデータの変化量から最適補正タイミングを判定する図4の補正処理部の第6実施形態の機能ブロック図
【図22】図21の判定処理のタイムチャート
【図23】図21の判定処理を含む補正処理のフローチャート
【図24】信号変動をゲイン切替により圧縮する図4の補正処理部の第7実施形態の機能ブロック図
【図25】図24の補正処理のタイムチャート
【図26】図24の補正処理のフローチャート
【図27】信号変動を直前のTESデータ値でクリップする図4の補正処理部の第8実施形態の機能ブロック図
【図28】図27の補正処理のタイムチャート
【図29】図27の補正処理のフローチャート
【符号の説明】
10:コントロールユニット
11:エンクロージャ
12:MPU
14:光ディスクコントローラ(ODC)
14−1:フォーマッタ
14−2:ECC処理部
16:DSP
17:上位インタフェース
18:バッファメモリ
20:ライトLSI回路
21:エンコーダ
22:レーザダイオード制御回路(LD制御回路)
23:リードLSI回路
25:リード復調回路
26:周波数シンセサイザ
30:レーザダイオードユニット
32:ID/MO用ディテクタ
34:ヘッドアンプ
36:温度センサ
38,42,58,62,66:ドライバ
40:スピンドルモータ
44:電磁石
45:FES用ディテクタ(4分割ディテクタ)
46:FES検出回路
47:TES用ディテクタ(2分割ディテクタ)
48:TES検出回路
50:TZC検出回路
54:レンズ位置センサ
56:キャリッジ位置センサ(PSD)
60:フォーカスアクチュエータ
64:レンズアクチュエータ
67:ハウジング
68:VCM(キャリッジアクチュエータ)
69:インレットドア
70:MOカートリッジ
72:MO媒体
76:キャリッジ
78:固定光学系
80:対物レンズ
84:シーク制御部
86:オントラック制御部
88:増幅器
90:ローパスフィル(LPF)
92:ADコンバータ
100:補正処理部
102:位相補償部
104:PID演算部(PIDフィルタ)
106:サーボスイッチ
108:オフトラック検出部
200:補正値決定部
202:補正タイミング判定部
204:補正加算器(補正部)
206:遅延部
208,216:加算器
210,252:ラッチ
212,218,224,228,236:補正値出力スイッチ
214:目標値レジスタ
220:平均処理部
222,226:記憶部
230:前回記憶部
232:前々回記憶部
234:サンプル平均算出部
238:立下がり判定部
240:TES変化量判定部
242:AND回路
246,254:切替スイッチ
248:低ゲイン位相補償器
250:クリップ処理部

Claims (1)

  1. 光ビームを媒体に照射する対物レンズを媒体のトラックを横切る方向に移動させるアクチュエータと、
    媒体戻り光の受光出力に基づいて、前記光ビームのトラックを横切る方向の位置に応じたトラッキングエラー信号を作成するトラッキングエラー信号作成回路と、
    前記アクチュエータの制御により、光ビームを目標トラックに移動させるシーク制御部と、
    前記トラッキングエラー信号に基づいた前記アクチュエータの制御により光ビームを目標トラックに追従させるオントラック制御部と、
    を備えた光学的記憶装置に於いて、
    オントラック制御中に、媒体トラック上の光ビームがMO領域からID領域に通過する際に反転する信号の反転タイミングを、トラッキングエラー信号の補正開始タイミングとして決定する補正タイミング判定部と、
    前記補正開始タイミング後に最初にサンプリングされたトラッキングエラー信号の信号値と予め定めた目標値との差を求めて補正値を決定する補正値決定部と、
    前記補正開始タイミング後に最初にサンプリングされた信号値を含む所定サンプル周期分の信号値の各々から前記補正値を減算して補正する補正部と、
    を設けたことを特徴とする光学的記憶装置。
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