JP3741427B2 - セメント分散剤用水溶性ビニル共重合体の製造方法 - Google Patents

セメント分散剤用水溶性ビニル共重合体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はセメント分散剤用水溶性ビニル共重合体の製造方法に関する。片末端置換ポリアルキレングリコールと不飽和カルボン酸とをエステル化反応させて、中間原料としてのポリエーテルエステル単量体を製造しておき、次にこのポリエーテルエステル単量体と、これと共重合可能なビニル単量体とを共重合させて、セメント分散剤として用いる水溶性ビニル共重合体を製造することが行なわれている。この場合、共重合に用いる原料の単量体、とりわけポリエーテルエステル単量体の品質が、得られる水溶性ビニル共重合体をセメント分散剤として用いたときの性能に大きな影響を及ぼす。中間原料としてのポリエーテルエステル単量体の品質が悪いと、得られる水溶性ビニル共重合体をセメント分散剤として用いても、所望の性能を発揮しないのである。
【0002】
例えば、モルタルやコンクリートのような水硬性セメント組成物に、経時的低下の少ない優れた流動性を付与するセメント分散剤として、ポリアルキレングリコール鎖を側鎖に有する水溶性ビニル共重合体が知られているが(特公昭59−18338、特公平5−11057、特公平7−91101)、かかる水溶性ビニル共重合体は一般に、片末端置換ポリアルキレングリコールと不飽和カルボン酸とをエステル化反応させて、中間原料としてのポリエーテルエステル単量体を製造しておき、次にこのポリエーテルエステル単量体と、これと共重合可能なビニル単量体とを共重合させることにより製造されている。この場合、共重合に用いる原料の単量体、とりわけポリエーテルエステル単量体の品質が、得られる水溶性ビニル共重合体のセメント分散剤としての性能に大きな影響を及ぼす。中間原料としてのポリエーテルエステル単量体の品質が悪いと、得られる水溶性ビニル共重合体をセメント分散剤として用いても、水硬性セメント組成物に優れた流動性を付与できず、また付与した流動性の経時的低下(スランプロス)が大きく、更に水硬性セメント組成物を硬化させた硬化物の圧縮強度が低いのである。本発明は、溶剤を用いることなく、高品質のポリエーテルエステル単量体を製造し、かくして製造した高品質のポリエーテルエステル単量体を中間原料として用いることにより、セメント分散剤として優れた性能を発揮する水溶性ビニル共重合体を得る方法に関する。
【0003】
【従来の技術】
従来、前記のようなポリエーテルエステル単量体は、低沸点有機溶剤、例えばベンゼンを用いて、片末端置換ポリアルキレングリコールと不飽和カルボン酸とをエステル化反応させることにより製造されている(特開平11−71151)。ところが、上記のように低沸点有機溶剤を用いると、ポリエーテルエステル単量体それ自体としては相応に高品質のものが得られるという利点がある反面、用いた低沸点有機溶剤を回収する必要がある。用いた低沸点有機溶剤の回収により回収設備の設置も含めてそれだけポリエーテルエステルの製造コスト、ひいてはこれを中間原料とするセメント分散剤としての水溶性ビニル共重合体の製造コストが高くなり、またその性質上、作業者は好ましくない環境下での回収作業を強いられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、溶剤を用いることなく、高品質のポリエーテルエステル単量体を製造し、かくして製造した高品質のポリエーテルエステル単量体を中間原料として用いることにより、セメント分散剤として優れた性能を発揮する水溶性ビニル共重合体を得る点にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
しかして本発明者らは、上記の課題を解決するべく研究した結果、1)溶剤の非存在下に、片末端置換ポリアルキレングリコールと不飽和カルボン酸とを所定量のp−ベンゾキノン及び/又はフェノチアジンを存在させた特定の条件下でエステル化反応させると、高品質のポリエーテルエステル単量体が得られること、2)このポリエーテルエステル単量体と、これと共重合可能なビニル単量体とを、水溶液中でラジカル共重合反応させると、セメント分散剤として優れた性能を発揮する水溶性ビニル共重合体が得られること、以上を見出した。
【0006】
すなわち本発明は、下記の第1工程及び第2工程を経ることを特徴とするセメント分散剤用水溶性ビニル共重合体の製造方法に係る。
第1工程:溶剤の非存在下に、下記の式1で示される片末端置換ポリアルキレングリコールと下記の式2で示される不飽和カルボン酸とを、該片末端置換ポリアルキレングリコールの0.03〜0.5重量%に相当する量のp−ベンゾキノン及び/又はフェノチアジンを存在させた105〜135℃の温度及び15〜0.5kPaの圧力条件下で、酸触媒を用いて、生成水を留去させつつエステル化反応させ、下記の式3で示されるポリエーテルエステル単量体を得る工程。
第2工程:第1工程で得たポリエーテルエステル単量体と、これと共重合可能なビニル単量体とを、水溶液中でラジカル共重合反応させて、セメント分散剤用水溶性ビニル共重合体を得る工程。
【0007】
【式1】
Figure 0003741427
【式2】
Figure 0003741427
【式3】
Figure 0003741427
【0008】
式1〜式3において、
1,R2:H又はメチル基
3:炭素数1〜22のアルキル基、ベンジル基、フェニル基又はアルキル基の炭素数が1〜12のアルキルフェニル基
A:オキシエチレン単位のみ又はオキシエチレン単位とオキシプロピレン単位との双方からなるオキシアルキレン単位の繰り返し数が5〜250のポリアルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基
【0009】
先ず、第1工程について説明する。第1工程では、溶剤の非存在下に、式1で示される片末端置換ポリアルキレングリコールと式2で示される不飽和カルボン酸とをエステル化反応させて、式3で示されるポリエーテルエステル単量体を得る。式1で示される片末端置換ポリアルキレングリコールにおいて、R3としては、1)メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコサニル基、ドコサニル基等の炭素数1〜22のアルキル基、2)ベンジル基、3)フェニル基、4)メチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、ドデシルフェニル基等のアルキル基の炭素数が1〜12のアルキルフェニル基が挙げられるが、なかでも炭素数1〜12のアルキル基、ベンジル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基が特に好ましい。
【0010】
またAには、1)オキシアルキレン単位がオキシエチレン単位のみからなるポリエチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基、2)オキシアルキレン単位がオキシエチレン単位とオキシプロピレン単位との双方からなるポリエチレンポリプロピレングリコールから全ての水酸基を除いた残基が包含されるが、Aとしてはポリエチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基が好ましい。Aがポリエチレンポリプロピレングリコールから全ての水酸基を除いた残基の場合、オキシエチレン単位とオキシプロピレン単位との結合様式はランダム結合及び/又はブロック結合のいずれでもよい。Aで示されるポリアルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基を構成するオキシアルキレン単位の繰り返し数は、5〜250とするが、7〜90とするのが好ましい。
【0011】
上記のような式1で示される片末端置換ポリアルキレングリコールとしては、メトキシポリエチレングリコール、メトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコール、エトキシポリエチレングリコール、エトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコール、プロポキシポリエチレングリコール、プロポキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコール、ブトキシポリエチレングリコール、ラウリルオキシポリエチレングリコール、ブトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコール、ベンジルオキシポリエチレングリコール、ベンジルオキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコール、フェノキシポリエチレングリコール、フェノキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコール、アルキルフェノキシポリエチレングリコール、アルキルフェノキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコール等が挙げられる。
【0012】
式2で示される不飽和カルボン酸は、メタクリル酸、アクリル酸、クロトン酸であるが、なかでもメタクリル酸が好ましい。
【0013】
第1工程では、以上説明したような式1で示される片末端置換ポリアルキレングリコールと式2で示される不飽和カルボン酸とを、溶剤の非存在下に、p−ベンゾキノン及び/又はフェノチアジンを存在させた加熱及び減圧条件下で、酸触媒を用いて、生成水を留去させつつ、エステル化反応させ、式3で示されるポリエーテルエステル単量体を得る。
【0014】
反応系におけるp−ベンゾキノン及び/又はフェノチアジンの存在量は、式1で示される片末端置換ポリアルキレングリコールの0.03〜0.5重量%に相当する量とするが、0.1〜0.25重量%に相当する量とするのが好ましく、なかでもp−ベンゾキノンを式1で示される片末端置換ポリアルキレングリコールの0.1〜0.25重量%に相当する量存在させるのがより好ましい。反応系におけるp−ベンゾキノン及び/又はフェノチアジンの存在量が式1で示される片末端置換ポリアルキレングリコールの0.03重量%より少ないと、重合防止効果が充分に発揮されず、逆に0.5重量%より多いと、重合防止効果は充分に発揮されるが、得られるポリエーテルエステル単量体を中間原料として用い、ビニル共重合体を製造するとき、ラジカル共重合反応が円滑に進行しない。
【0015】
エステル化反応時における温度は105〜135℃とし、また圧力は15〜0.5kPaとするが、かかる温度条件は前記の温度範囲内にて徐々に或は段階的に昇温し、また圧力条件は前記の圧力範囲内にて徐々に或は段階的に減圧する方法が好ましい。
【0016】
エステル化反応では、触媒として酸触媒を用いる。かかる酸触媒としては、硫酸、パラトルエンスルホン酸、燐酸、メタンスルホン酸等を単独で或は混合して用いることができるが、なかでも硫酸単独又は硫酸とパラトルエンスルホン酸との混合酸が好ましい。酸触媒の使用量は、式1で示される片末端置換ポリアルキレングリコールと式2で示される不飽和カルボン酸との合計量に対して、0.2〜1.5重量%とするのが好ましい。
【0017】
エステル化反応に際して、式1で示される片末端置換ポリアルキレングリコールと式2で示される不飽和カルボン酸との原料比率は、式1で示される片末端置換ポリアルキレングリコール/式2で示される不飽和カルボン酸=1/1.5〜1/7(モル比)とするのが好ましい。この場合、双方のエステル化反応後に、過剰分の不飽和カルボン酸を留去する。
【0018】
以上説明した第1工程について、更に詳しく説明すると、ポリエーテルエステル単量体として例えばメトキシポリエチレングリコールメタクリレートを製造する場合、メトキシポリエチレングリコールと過剰のメタクリル酸とを反応容器に仕込んだ後、該メトキシポリエチレングリコールの仕込み量に対し重合防止剤として所定量のp−ベンゾキノン及び/又はフェノチアジンを仕込み、更に酸触媒として所定量の濃硫酸を仕込む。次に反応系の温度を徐々に上昇させ、また圧力を徐々に減圧にした所定の温度及び圧力下に、生成水を水/メタクリル酸の共沸蒸留により留去しつつ、エステル化反応を行なう。エステル化反応後、過剰分のメタクリル酸を留去し、メトキシポリエチレングリコールメタクリレートを得る。かくして得られるポリエーテルエステル単量体には、上記の重合防止剤及び酸触媒も含まれてくるが、これらを精製除去することなくそのまま、中間原料として第2工程に供することができる。
【0019】
次に、第2工程について説明する。第2工程では、以上説明した第1工程で得たポリエーテルエステル単量体と、これと共重合可能なビニル単量体とを、水溶液中でラジカル共重合反応させて、セメント分散剤用水溶性ビニル共重合体を得る。かかるビニル単量体としては、それがポリエーテルエステル単量体と共重合可能なものがあれば、それ自体は公知の各種のビニル単量体、例えばエチレン性不飽和モノカルボン酸及び/又はその塩、エチレン性不飽和ジカルボン酸及び/又はその塩、エチレン性不飽和モノカルボン酸エステル、水酸基を有する不飽和カルボン酸エステル、芳香族ビニル単量体、アミノ基を有するビニル単量体、アミド基を有するビニル単量体、アルデヒド基を有するビニル単量体、ニトリル基を有するビニル単量体、ビニルエステル、アルケン化合物、ジエン化合物、スルホン酸基を有するビニル単量体等が挙げられる。なかでも、エチレン性不飽和モノカルボン酸及び/又はその塩、スルホン酸基を有するビニル単量体が好ましく、とりわけ、1)メタクリル酸、メタクリル酸のアルカリ金属塩、メタクリル酸のアルカリ土類金属塩、メタクリル酸の有機アミン塩等の、メタクリル酸及び/又はその塩、2)かかるメタクリル酸及び/又はその塩と共に用いる、メタリルスルホン酸のアルカリ金属塩、メタリルスルホン酸のアルカリ土類金属塩、メタリルスルホン酸の有機アミン塩等のメタリルスルホン酸塩が好ましい。
【0020】
ポリエーテルエステル単量体と、これと共重合可能なビニル単量体とのラジカル共重合割合は、特に制限されないが、ポリエーテルエステル単量体と、メタクリル酸及び/又はその塩とをラジカル共重合反応させる場合には、ポリエーテルエステル単量体を5〜50モル%、メタクリル酸及び/又はその塩を50〜95モル%(合計100モル%)とするのが好ましく、またポリエーテルエステル単量体と、メタクリル酸及び/又はその塩と、メタリルスルホン酸塩とをラジカル共重合反応させる場合には、ポリエーテルエステル単量体を5〜45モル%、メタクリル酸及び/又はその塩を50〜90モル%、メタリルスルホン酸塩を0.3〜15モル%(合計100モル%)とするのが好ましい。
【0021】
ラジカル共重合体反応それ自体は、公知のラジカル共重合反応、例えば特開平8−290948号公報に記載されているようなラジカル共重合反応を適用できる。例えば、第1工程で得たポリエーテルエステル単量体と、これと共重合可能なビニル単量体と、連鎖移動剤とを含む水溶液を調製し、窒素ガス雰囲気下で、ラジカル開始剤を加えて、反応温度50〜90℃で4〜8時間ラジカル共重合反応させることにより、水溶性ビニル共重合体を得ることができる。この場合、連鎖移動剤としては、2−メルカプトエタノール、メルカプトプロピオン酸、チオグリコール酸等が挙げられる。またラジカル開始剤としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩や2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩等の水溶性ラジカル開始剤が挙げられる。
【0022】
ラジカル共重合反応により得られる水溶性ビニル共重合体は、その数平均分子量(GPC法によるプルラン換算の数平均分子量、以下同じ)を、3500〜70000のものとするのが好ましく、5000〜40000のものとするのがより好ましい。
【0023】
かくして得られる水溶性ビニル共重合体は、セメント分散剤として、セメント或はセメントの他に微粉末混和材料を結合材とする各種の水硬性セメント組成物、代表的にはモルタルやコンクリートに適用できる。この場合、セメントとしては、普通セメント、早強セメント、中庸熱ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント、シリカフュームセメント等の各種混合セメントが挙げられる。また微粉末混和材料としては、石灰石粉、炭酸カルシウム、シリカフューム、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ等が挙げられる。
【0024】
本発明によって得られるセメント分散剤用水溶性ビニル共重合体の使用量は、セメント又はセメントと微粉末混和材料とからなる結合材100重量部に対し固形分換算で、通常0.01〜2.5重量部、好ましくは0.05〜1.5重量部とする。本発明によって得られるセメント分散剤用水溶性ビニル共重合体は通常、水硬性セメント組成物を調製する際に練混ぜ水と一緒に添加して用いる。
【0025】
前記した第1工程では、式1で示される片末端置換ポリアルキレングリコールと式2で示される不飽和カルボン酸とのエステル化反応に際し、溶剤を使用しない。したがって、双方のエステル化反応後に、溶剤を回収する必要がない。また前記した第1工程によると、高品質の式3で示されるポリエーテルエステル単量体を得ることができる。詳しくは後述するように、エステル化反応時に異常な粘度上昇やゲルの発生がない、エステル化反応率の高いポリエーテルエステル単量体を得ることができるのである。前記した第2工程では、かかる高品質のポリエーテルエステル単量体を中間原料として用い、水溶性ビニル共重合体を得るが、かくして得られる水溶性ビニル共重合体は、セメント分散剤として所望の性能を発揮する。水硬性セメント組成物にスランプロスの少ない優れた流動性を付与でき、また水硬性セメント組成物を硬化させた硬化物に充分な圧縮強度を発現させることができるのである。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明に係るセメント分散剤用水溶性ビニル共重合体の製造方法の実施形態としては、次の1)〜14)が挙げられる。
1)下記の第1工程及び第2工程を経るセメント分散剤用水溶性ビニル共重合体の製造方法。
第1工程:溶剤を用いることなく、メトキシポリエチレングリコール(オキシエチレン単位の繰り返し数9、以下n=9という)1.0モルとメタクリル酸2.0モルとを、該メトキシポリエチレングリコール(n=9)の0.21重量%に相当する量のp−ベンゾキノンを存在させた温度125〜130℃で圧力12〜2.5kPaの条件下に、触媒として該メトキシポリエチレングリコール(n=9)と該メタクリル酸との合計量の0.23重量%に相当する量の硫酸を用いて、生成水を留去させつつエステル化反応させた後、過剰分のメタクリル酸を留去させてポリエーテルエステル単量体(P−1)を得る工程。
第2工程:第1工程で得たポリエーテルエステル単量体(P−1)と、メタクリル酸とを、ポリエーテルエステル単量体(P−1)/メタクリル酸=35/65(モル%)の割合にて、水溶液中でラジカル共重合反応させて、数平均分子量12500のセメント分散剤用水溶性ビニル共重合体を得る工程。
【0027】
2)下記の第1工程及び第2工程を経るセメント分散剤用水溶性ビニル共重合体の製造方法。
第1工程:前記1)の第1工程と同じ。
第2工程:第1工程で得たポリエーテルエステル単量体(P−1)と、メタクリル酸ナトリウムと、メタリルスルホン酸ナトリウムとを、ポリエーテルエステル単量体(P−1)/メタクリル酸ナトリウム/メタリルスルホン酸ナトリウム=33/61/6(モル%)の割合にて、水溶液中でラジカル共重合反応させて、数平均分子量8800のセメント分散剤用水溶性ビニル共重合体を得る工程。
【0028】
3)下記の第1工程及び第2工程を経るセメント分散剤用水溶性ビニル共重合体の製造方法。
第1工程:溶剤を用いることなく、メトキシポリエチレングリコール(n=23)1.0モルとメタクリル酸3.5モルとを、該メトキシポリエチレングリコール(n=23)の0.18重量%に相当する量のp−ベンゾキノンを存在させた温度125〜130℃で圧力10〜2.5kPaの条件下に、触媒として該メトキシポリエチレングリコール(n=23)と該メタクリル酸との合計量の0.49重量%に相当する量の硫酸を用いて、生成水を留去させつつエステル化反応させた後、過剰分のメタクリル酸を留去させてポリエーテルエステル単量体(P−2)を得る工程。
第2工程:第1工程で得たポリエーテルエステル単量体(P−2)と、メタクリル酸とを、ポリエーテルエステル単量体(P−2)/メタクリル酸=35/65(モル%)の割合にて、水溶液中でラジカル共重合反応させて、数平均分子量17000のセメント分散剤用水溶性ビニル共重合体を得る工程。
【0029】
4)下記の第1工程及び第2工程を経るセメント分散剤用水溶性ビニル共重合体の製造方法。
第1工程:前記3)の第1工程と同じ。
第2工程:第1工程で得たポリエーテルエステル単量体(P−2)と、メタクリル酸ナトリウムと、メタリルスルホン酸ナトリウムとを、ポリエーテルエステル単量体(P−2)/メタクリル酸ナトリウム/メタリルスルホン酸ナトリウム=33/61/6(モル%)の割合にて、水溶液中でラジカル共重合反応させて、数平均分子量9600のセメント分散剤用水溶性ビニル共重合体を得る工程。
【0030】
5)下記の第1工程及び第2工程を経るセメント分散剤用水溶性ビニル共重合体の製造方法。
第1工程:溶剤を用いることなく、メトキシポリエチレングリコール(n=75)1.0モルとメタクリル酸3.6モルとを、該メトキシポリエチレングリコール(n=75)の0.15重量%に相当する量のp−ベンゾキノンを存在させた温度125〜130℃で圧力7〜1.5kPaの条件下に、触媒として該メトキシポリエチレングリコール(n=75)と該メタクリル酸との合計量の0.31重量%に相当する量の硫酸を用いて、生成水を留去させつつエステル化反応させた後、過剰分のメタクリル酸を留去させてポリエーテルエステル単量体(P−3)を得る工程。
第2工程:第1工程で得たポリエーテルエステル単量体(P−3)と、メタクリル酸とを、ポリエーテルエステル単量体(P−3)/メタクリル酸=35/65(モル%)の割合にて、水溶液中でラジカル共重合反応させて、数平均分子量25300のセメント分散剤用水溶性ビニル共重合体を得る工程。
【0031】
6)下記の第1工程及び第2工程を経るセメント分散剤用水溶性ビニル共重合体の製造方法。
第1工程:前記5)の第1工程と同じ。
第2工程:第1工程で得たポリエーテルエステル単量体(P−3)と、メタクリル酸ナトリウムと、メタリルスルホン酸ナトリウムとを、ポリエーテルエステル単量体(P−3)/メタクリル酸ナトリウム/メタリルスルホン酸ナトリウム=33/61/6(モル%)の割合にて、水溶液中でラジカル共重合反応させて、数平均分子量15500のセメント分散剤用水溶性ビニル共重合体を得る工程。
【0032】
7)下記の第1工程及び第2工程を経るセメント分散剤用水溶性ビニル共重合体の製造方法。
第1工程:溶剤を用いることなく、ベンジルオキシポリエチレングリコール(n=90)1.0モルとメタクリル酸3.2モルとを、該ベンジルオキシポリエチレングリコール(n=90)の0.13重量%に相当する量のp−ベンゾキノンを存在させた温度125〜130℃で圧力5〜1.5kPaの条件下に、触媒として該ベンジルオキシポリエチレングリコール(n=90)と該メタクリル酸との合計量の0.68重量%に相当する量の硫酸/パラトルエンスルホン酸=5/2(重量比)の混合液を用いて、生成水を留去させつつエステル化反応させた後、過剰分のメタクリル酸を留去させてポリエーテルエステル単量体(P−4)を得る工程。
第2工程:第1工程で得たポリエーテルエステル単量体(P−4)と、メタクリル酸とを、ポリエーテルエステル単量体(P−4)/メタクリル酸=35/65(モル%)の割合にて、水溶液中でラジカル共重合反応させて、数平均分子量31000のセメント分散剤用水溶性ビニル共重合体を得る工程。
【0033】
8)下記の第1工程及び第2工程を経るセメント分散剤用水溶性ビニル共重合体の製造方法。
第1工程:前記7)の第1工程と同じ。
第2工程:第1工程で得たポリエーテルエステル単量体(P−4)と、メタクリル酸ナトリウムと、メタリルスルホン酸ナトリウムとを、ポリエーテルエステル単量体(P−4)/メタクリル酸ナトリウム/メタリルスルホン酸ナトリウム=33/61/6(モル%)の割合にて、水溶液中でラジカル共重合反応させて、数平均分子量18000のセメント分散剤用水溶性ビニル共重合体を得る工程。
【0034】
9)下記の第1工程及び第2工程を経るセメント分散剤用水溶性ビニル共重合体の製造方法。
第1工程:溶剤を用いることなく、ラウリルオキシポリエチレングリコール(n=120)1.0モルとメタクリル酸5.0モルとを、該ラウリルオキシポリエチレングリコール(n=120)の0.15重量%に相当する量のp−ベンゾキノンを存在させた温度125〜130℃で圧力5〜1.5kPaの条件下に、触媒として該ラウリルオキシポリエチレングリコール(n=120)と該メタクリル酸との合計量の0.80重量%に相当する量の硫酸/パラトルエンスルホン酸=5.5/2.5(重量比)の混合液を用いて、生成水を留去させつつエステル化反応させた後、過剰分のメタクリル酸を留去させてポリエーテルエステル単量体(P−5)を得る工程。
第2工程:第1工程で得たポリエーテルエステル単量体(P−5)と、メタクリル酸とを、ポリエーテルエステル単量体(P−5)/メタクリル酸=35/65(モル%)の割合にて、水溶液中でラジカル共重合反応させて、数平均分子量37800のセメント分散剤用水溶性ビニル共重合体を得る工程。
【0035】
10)下記の第1工程及び第2工程を経るセメント分散剤用水溶性ビニル共重合体の製造方法。
第1工程:前記9)の第1工程と同じ。
第2工程:第1工程で得たポリエーテルエステル単量体(P−5)と、メタクリル酸ナトリウムと、メタリルスルホン酸ナトリウムとを、ポリエーテルエステル単量体(P−5)/メタクリル酸ナトリウム/メタリルスルホン酸ナトリウム=33/61/6(モル%)の割合にて、水溶液中でラジカル共重合反応させて、数平均分子量23600のセメント分散剤用水溶性ビニル共重合体を得る工程。
【0036】
11)下記の第1工程及び第2工程を経るセメント分散剤用水溶性ビニル共重合体の製造方法。
第1工程:溶剤を用いることなく、メトキシポリエチレングリコール(n=23)1.0モルとメタクリル酸3.5モルとを、該メトキシポリエチレングリコール(n=23)の0.19重量%に相当する量のフェノチアジンを存在させた温度125〜130℃で圧力10〜2.5kPaの条件下に、触媒として該メトキシポリエチレングリコール(n=23)と該メタクリル酸との合計量の0.47重量%に相当する量の硫酸/パラトルエンスルホン酸=4.5/2.5(重量比)の混合液を用いて、生成水を留去させつつエステル化反応させた後、過剰分のメタクリル酸を留去させてポリエーテルエステル単量体(P−6)を得る工程。
第2工程:第1工程で得たポリエーテルエステル単量体(P−6)と、メタクリル酸とを、ポリエーテルエステル単量体(P−6)/メタクリル酸=35/65(モル%)の割合にて、水溶液中でラジカル共重合反応させて、数平均分子量16200のセメント分散剤用水溶性ビニル共重合体を得る工程。
【0037】
12)下記の第1工程及び第2工程を経るセメント分散剤用水溶性ビニル共重合体の製造方法。
第1工程:前記11)の第1工程と同じ。
第2工程:第1工程で得たポリエーテルエステル単量体(P−6)と、メタクリル酸ナトリウムと、メタリルスルホン酸ナトリウムとを、ポリエーテルエステル単量体(P−6)/メタクリル酸ナトリウム/メタリルスルホン酸ナトリウム=33/61/6(モル%)の割合にて、水溶液中でラジカル共重合反応させて、数平均分子量10400のセメント分散剤用水溶性ビニル共重合体を得る工程。
【0038】
13)下記の第1工程及び第2工程を経るセメント分散剤用水溶性ビニル共重合体の製造方法。
第1工程:溶剤を用いることなく、メトキシポリエチレングリコール(n=75)1.0モルとメタクリル酸4.1モルとを、該メトキシポリエチレングリコール(n=75)の0.16重量%に相当する量のp−ベンゾキノン/フェノチアジン=50/50(重量比)の混合物を存在させた温度125〜130℃で圧力5〜1.5kPaの条件下に、触媒として該メトキシポリエチレングリコール(n=75)と該メタクリル酸との合計量の0.54重量%に相当する量の硫酸/パラトルエンスルホン酸=4/3(重量比)の混合液を用いて、生成水を留去させつつエステル化反応させた後、過剰分のメタクリル酸を留去させてポリエーテルエステル単量体(P−7)を得る工程。
第2工程:第1工程で得たポリエーテルエステル単量体(P−7)と、メタクリル酸とを、ポリエーテルエステル単量体(P−7)/メタクリル酸=35/65(モル%)の割合にて、水溶液中でラジカル共重合反応させて、数平均分子量24000のセメント分散剤用水溶性ビニル共重合体を得る工程。
【0039】
14)下記の第1工程及び第2工程を経るセメント分散剤用水溶性ビニル共重合体の製造方法。
第1工程:前記13)の第1工程と同じ。
第2工程:第1工程で得たポリエーテルエステル単量体(P−7)と、メタクリル酸ナトリウムと、メタリルスルホン酸ナトリウムとを、ポリエーテルエステル単量体(P−7)/メタクリル酸ナトリウム/メタリルスルホン酸ナトリウム=33/61/6(モル%)の割合にて、水溶液中でラジカル共重合反応させて、数平均分子量15000のセメント分散剤水溶性ビニル共重合体を得る工程。
【0040】
以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明が該実施例に限定されるというものではない。尚、以下の実施例等において、別に記載しない限り、部は重量部を、また%は重量%を意味する。
【0041】
【実施例】
試験区分1(ポリエーテルエステル単量体の製造)
・ポリエーテルエステル単量体(P−1)の製造
反応容器に、メトキシポリエチレングリコール(n=9)1060部(2.5モル)、メタクリル酸430部(5モル)、p−ベンゾキノン2.2部、98%濃硫酸(以下濃硫酸は同じ濃度のもの使用)3.5部を仕込み、撹拌しながら徐々に昇温すると共に減圧し、エステル化反応により生成する水を水/メタクリル酸共沸混合物として反応系外に留去しつつ、温度125〜130℃、圧力12〜2.5kPaの条件下で2時間エステル化反応を行なった。次いで、残存する過剰分のメタクリル酸を更に圧力を下げて留去し、生成物を得た。この生成物を分析したところ、水酸基価1.3、カルボキシル価1.2、エステル化反応率(水酸基価から算出した、以下同じ)99%のポリエーテルエステル単量体(P−1)であった。
【0042】
・ポリエーテルエステル単量体(P−2)〜(P−7)及び(R−1)の製造
ポリエーテルエステル単量体(P−1)の製造と同様にして、ポリエーテルエステル単量体(P−2)〜(P−7)及び(R−1)の製造を行なった。
【0043】
・ポリエーテルエステル単量体(r−1)の製造
反応容器に、メトキシポリエチレングリコール(n=9)1060部(2.5モル)、メタクリル酸430部(5モル)、濃硫酸3.5部を仕込み、撹拌しながら昇温してエステル化反応を行なおうとしたが、途中で多量の不溶ゲルが析出したので、エステル化反応を中断した。
【0044】
・ポリエーテルエステル単量体(r−2)の製造
反応容器に、メトキシポリエチレングリコール(n=9)1060部(2.5モル)、メタクリル酸430部(5モル)、ハイドロキノン2.2部、濃硫酸3.5部を仕込み、撹拌しながら徐々に昇温すると共に減圧し、エステル化反応を開始したが、反応開始後約1時間経過した時に多量の不溶ゲルが析出したので、エステル化反応を中断した。
【0045】
・ポリエーテルエステル単量体(r−3)の製造
反応容器に、メトキシポリエチレングリコール(n=9)1060部(2.5モル)、メタクリル酸430部(5モル)、メトキノン3.5部、濃硫酸3.5部を仕込み、撹拌しながら徐々に昇温すると共に減圧し、エステル化反応を開始したが、反応開始後約30分経過した時に多量の不溶ゲルが析出したので、エステル化反応を中断した。
【0046】
・ポリエーテルエステル単量体(r−4)の製造
反応容器に、メトキシポリエチレングリコール(n=23)1140部(1.1モル)、メタクリル酸340部(3.9モル)、p−ベンゾキノン0.3部、濃硫酸7.2部を仕込み、撹拌しながら徐々に昇温すると共に減圧し、エステル化反応を開始したが、反応開始後約1時間経過した時に多量の不溶ゲルが析出したので、エステル化反応を中断した。
【0047】
・ポリエーテルエステル単量体(r−5)の製造
反応容器に、メトキシポリエチレングリコール(n=23)1140部(1.1モル)、メタクリル酸340部(3.9モル)、フェノチアジン0.3部、濃硫酸7.2部を仕込み、撹拌しながら徐々に昇温すると共に減圧し、エステル化反応を開始したが、反応開始後約1時間経過した時に多量の不溶ゲルが析出したので、エステル化反応を中断した。
【0048】
・ポリエーテルエステル単量体(T−1)の製造
反応容器に、メトキシポリエチレングリコール(n=9)1060部(2.5モル)、メタクリル酸430部(5モル)、p−ベンゾキノン2.2部、濃硫酸3.5部、溶剤としてベンゼン1000部を仕込み、撹拌しながら昇温し、生成水を留去させつつエステル化反応を行なった。エステル化反応後、窒素をバブリングして過剰分のメタクリル酸と溶剤として使用したベンゼンを追い出し、生成物を得た。この生成物を分析したところ、水酸基価1.3、カルボキシル価1.2、エステル化反応率99%のポリエーテルエステル単量体(T−1)であった。以上のポリエーテルエステル単量体の製造内容を表1及び表2にまとめて示した。
【0049】
【表1】
Figure 0003741427
【0050】
表1において、
重合防止剤の割合:片末端置換ポリアルキレングリコールに対する重合防止剤の使用量(重量%)
酸触媒の割合:片末端置換ポリアルキレングリコールと不飽和カルボン酸との合計量に対する酸触媒の使用量(重量%)
*1:反応途中で停止した
S−1:メチル基
S−2:ベンジル基
S−3:ラウリル基
A−1:オキシエチレン単位の繰り返し数9のポリエチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基
A−2:オキシエチレン単位の繰り返し数23のポリエチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基
A−3:オキシエチレン単位の繰り返し数75のポリエチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基
A−4:オキシエチレン単位の繰り返し数90のポリエチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基
A−5:オキシエチレン単位の繰り返し数120のポリエチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基
I−1:p−ベンゾキノン
I−2:フェノチアジン
I−3:p−ベンゾキノン/フェノチアジン=50/50(重量比)の混合物
i−1:ハイドロキノン
i−2:メトキノン
C−1:98%濃硫酸
C−2:98%濃硫酸/パラトルエンスルホン酸=5/2(重量比)の混合酸
C−3:98%濃硫酸/パラトルエンスルホン酸=5.5/2.5(重量比)の混合酸
C−4:98%濃硫酸/パラトルエンスルホン酸=4.5/2.5(重量比)の混合酸
C−5:98%濃硫酸/パラトルエンスルホン酸=4/3(重量比)の混合酸
【0051】
【表2】
Figure 0003741427
【0052】
表2において、
異常な粘度上昇の有無の判定基準:
○:エステル化反応中に異常な粘度上昇がなかったもの
×:エステル化反応中に異常な粘度上昇があったもの
ゲル発生の有無の判定基準:
○:エステル化反応中に不溶性ゲルの発生がなかったもの
×:エステル化反応中に不溶性ゲルの発生があったもの
*2:エステル化反応が異常な粘度上昇或は不溶性ゲルの発生により中断されたのでエステル化率を測定できなかった。
【0053】
試験区分2(セメント分散剤用の水溶性ビニル共重合体の製造)
・実施例1{水溶性ビニル共重合体(D−1)の製造}
反応容器に試験区分1で得たポリエーテルエステル単量体(P−1)152部(0.306モル)、メタクリル酸56部(0.651モル)、3−メルカプトプロピオン酸2.1部及び水330部を仕込み、撹拌しながら均一に溶解した後,雰囲気を窒素置換した。窒素雰囲気下に、反応系の温度を温水浴にて80℃に保ち、過硫酸ナトリウムの20%水溶液8部を滴下して重合を開始し、5時間重合反応を継続して重合を完結し、水溶性ビニル共重合体の水溶液を得た。この水溶性ビニル共重合体を分析したところ、ポリエーテルエステル単量体(P−1)から形成された構成単位を35モル%、メタクリル酸から形成された構成単位を65モル%の割合で有する数平均分子量12500の水溶性ビニル共重合体(D−1)であった。
【0054】
・実施例2{水溶性ビニル共重合体(D−2)の製造}
反応容器に試験区分1で得たポリエーテルエステル単量体(P−1)150部(0.30モル)、メタクリル酸55部(0.64モル)、メタリルスルホン酸ナトリウム13部(0.082モル)、水330部及び30%水酸化ナトリウム水溶液80部を仕込み、撹拌しながら均一に溶解した後,雰囲気を窒素置換した。窒素雰囲気下に、反応系の温度を温水浴にて60℃に保ち、過硫酸ナトリウムの20%水溶液10部を投入して重合を開始し、6時間重合反応を継続して重合を完結した。その後、30%水酸化ナトリウム水溶液8部を投入して完全中和し、水溶性ビニル共重合体の水溶液を得た。この水溶性ビニル共重合体を分析したところ、ポリエーテルエステル単量体(P−1)から形成された構成単位を33モル%、メタクリル酸ナトリウムから形成された構成単位を61モル%、メタリルスルホン酸ナトリウムから形成された構成単位を6モル%の割合で有する数平均分子量8800の水溶性ビニル共重合体(D−2)であった。
【0055】
・実施例3〜14{水溶性ビニル共重合体(D−3)〜(D−14)の製造}
実施例1或は2{水溶性ビニル共重合体(D−1)或は(D−2)の製造}と同様にして、実施例3〜14{水溶性ビニル共重合体(D−3)〜(D−14)の製造}を行なった。
以上の各例における水溶性ビニル共重合体(D−1)〜(D−14)の製造内容を表3にまとめて示した。
【0056】
【表3】
Figure 0003741427
【0057】
表3において、
a:ポリエーテルエステル単量体/モル%
b:メタクリル酸
c:メタクリル酸ナトリウム
d:メタリルスルホン酸ナトリウム
【0058】
・比較例1{水溶性ビニル共重合体(DR−1)の製造}
ポリエーテルエステル単量体(P−1)152部を試験区分1で得たポリエーテルエステル単量体(R−1)152部に代えた以外、実施例1{水溶性ビニル共重合体(D−1)の製造}と同様にして、比較例1{水溶性ビニル共重合体(DR−1)の製造}を行なった。
【0059】
・比較例2{水溶性ビニル共重合体(DT−1)の製造}
ポリエーテルエステル単量体(P−1)152部を試験区分1で得たポリエーテルエステル単量体(T−1)152部に代えた以外、実施例1{水溶性ビニル共重合体(D−1)の製造}と同様にして、比較例2{水溶性ビニル共重合体(DT−1)の製造}を行なった。
【0060】
・比較例3{水溶性ビニル共重合体(DT−2)の製造}
ポリエーテルエステル単量体(P−1)150部を試験区分1で得たポリエーテルエステル単量体(T−1)150部に代えた以外、実施例2{水溶性ビニル共重合体(D−2)の製造}と同様にして、比較例3{水溶性ビニル共重合体(DT−2)の製造}を行なった。
【0061】
試験区分3(コンクリートの調製及び評価)
・コンクリートの調製
表4に記載の調合条件で、各試験例のコンクリートを次のように調製した。50リットルのパン型強制練りミキサーに普通ボルトランドセメント(比重=3.16、ブレーン値3300)、細骨材(大井川水系砂、比重=2.63)及び粗骨材(岡崎産砕石、比重=2.63)を順次投入して15秒間空練りした。次いで各試験例いずれも目標スランプが21±1cmの範囲に入るよう、試験区分2で合成したセメント分散剤用の水溶性ビニル共重合体を、セメントに対し固形分換算で0.1〜1.5重量%の範囲内にて練り混ぜ水とともに添加し、2分間練り混ぜた。この際、各試験例いずれも目標空気量が4.0〜5.0%となるよう空気量調整剤を添加した。
【0062】
【表4】
Figure 0003741427
【0063】
・コンクリートの評価
調製した各試験例のコンクリートについて、次のように評価した。結果を表5にまとめて示した。
スランプ:練り混ぜ直後、60分静置後に、JIS−A1101に準拠して測定した。
スランプ残存率:(60分後のスランプ/直後のスランプ)×100
空気量:JIS−A1128に準拠して測定した。
圧縮強度:JIS−A1108に準拠して測定した。
【0064】
【表5】
Figure 0003741427
【0065】
表5において、
セメント分散剤の添加量:セメント100部に対する水溶性ビニル共重合体の固形分換算の添加部
【0066】
【発明の効果】
既に明らかなように、以上説明した本発明には、溶剤の非存在下で高品質のポリエーテルエステル単量体を製造し、かくして製造した高品質のポリエーテルエステル単量体を中間原料として用いることにより、セメント分散剤として優れた性能を発揮する水溶性ビニル共重合体を得ることができるという効果がある。

Claims (13)

  1. 下記の第1工程及び第2工程を経ることを特徴とするセメント分散剤用水溶性ビニル共重合体の製造方法。
    第1工程:溶剤の非存在下に、下記の式1で示される片末端置換ポリアルキレングリコールと下記の式2で示される不飽和カルボン酸とを、該片末端置換ポリアルキレングリコールの0.03〜0.5重量%に相当する量のp−ベンゾキノン及び/又はフェノチアジンを存在させた105〜135℃の温度及び15〜0.5kPaの圧力条件下で、酸触媒を用いて、生成水を留去させつつエステル化反応させ、下記の式3で示されるポリエーテルエステル単量体を得る工程。
    第2工程:第1工程で得たポリエーテルエステル単量体と、これと共重合可能なビニル単量体とを、水溶液中でラジカル共重合反応させて、セメント分散剤用水溶性ビニル共重合体を得る工程。
    【式1】
    Figure 0003741427
    【式2】
    Figure 0003741427
    【式3】
    Figure 0003741427
    (式1〜式3において、
    1,R2:H又はメチル基
    3:炭素数1〜22のアルキル基、ベンジル基、フェニル基又はアルキル基の炭素数が1〜12のアルキルフェニル基
    A:オキシエチレン単位のみ又はオキシエチレン単位とオキシプロピレン単位との双方からなるオキシアルキレン単位の繰り返し数が5〜250のポリアルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基)
  2. 第1工程において、片末端置換ポリアルキレングリコールと不飽和カルボン酸とを、該片末端置換ポリアルキレングリコール/該不飽和カルボン酸=1/1.5〜1/7(モル比)の割合で用いて、エステル化反応させた後、過剰の該不飽和カルボン酸を留去する請求項1記載のセメント分散剤用水溶性ビニル共重合体の製造方法。
  3. 第1工程において、片末端置換ポリアルキレングリコールの0.1〜0.25重量%に相当する量のp−ベンゾキノンを存在させる請求項1又は2記載のセメント分散剤用水溶性ビニル共重合体の製造方法。
  4. 第1工程において、片末端置換ポリアルキレングリコールと不飽和カルボン酸とを、105〜135℃の温度範囲内にて徐々に或は段階的に昇温し、また15〜0.5kPaの圧力範囲内にて徐々に或は段階的に減圧した条件下で、エステル化反応させる請求項1〜3のいずれか一つの項記載のセメント分散剤用水溶性ビニル共重合体の製造方法。
  5. 第1工程において、酸触媒を、片末端置換ポリアルキレングリコールと不飽和カルボン酸との合計量に対し0.2〜1.5重量%の割合で用いる請求項1〜4のいずれか一つの項記載のセメント分散剤用水溶性ビニル共重合体の製造方法。
  6. 第1工程において、片末端置換ポリアルキレングリコールとして、式1中のAがオキシエチレン単位のみからなる場合のものを用いる請求項1〜5のいずれか一つの項記載のセメント分散剤用水溶性ビニル共重合体の製造方法。
  7. 第1工程において、片末端置換ポリアルキレングリコールとして、式1中のR3が炭素数1〜3のアルキル基である場合のものを用いる請求項1〜6のいずれか一つの項記載のセメント分散剤用水溶性ビニル共重合体の製造方法。
  8. 第1工程において、不飽和カルボン酸として、式2中のR1がH、R2がメチル基である場合のものを用いる請求項1〜7のいずれか一つの項記載のセメント分散剤用水溶性ビニル共重合体の製造方法。
  9. 第2工程において、ビニル単量体として、メタクリル酸及び/又はその塩を用いる請求項1〜8のいずれか一つの項記載のセメント分散剤用水溶性ビニル共重合体の製造方法。
  10. 第2工程において、ポリエーテルエステル単量体を5〜50モル%、メタクリル酸及び/又はその塩を50〜95モル%(合計100モル%)の割合でラジカル共重合反応させる請求項9記載のセメント分散剤用水溶性ビニル共重合体の製造方法。
  11. 第2工程において、ビニル単量体として、メタクリル酸及び/又はその塩と、メタリルスルホン酸塩とを用いる請求項1〜8のいずれか一つの項記載のセメント分散剤用水溶性ビニル共重合体の製造方法。
  12. 第2工程において、ポリエーテルエステル単量体を5〜45モル%、メタクリル酸及び/又はその塩を50〜90モル%、メタリルスルホン酸塩を0.3〜15モル%(合計100モル%)の割合でラジカル共重合反応させる請求項11記載のセメント分散剤用水溶性ビニル共重合体の製造方法。
  13. 第2工程において、数平均分子量3500〜70000の水溶性ビニル共重合体を得る請求項1〜12のいずれか一つの項記載のセメント分散剤用水溶性ビニル共重合体の製造方法。
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