JP3741436B2 - セメント分散剤用水溶性ビニル共重合体の製造方法 - Google Patents

セメント分散剤用水溶性ビニル共重合体の製造方法 Download PDF

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本発明はセメント分散剤用水溶性ビニル共重合体の製造方法に関する。モルタルやコンクリートのような水硬性セメント組成物に、経時的低下の少ない優れた流動性を付与するセメント分散剤として、ポリアルキレングリコール鎖を側鎖に有する水溶性ビニル共重合体が知られているが、かかる水溶性ビニル共重合体は一般に、片末端置換ポリアルキレングリコールと不飽和カルボン酸とをエステル化反応させて、中間原料としてのポリエーテルエステル単量体を製造しておき、次にこのポリエーテルエステル単量体と、これと共重合可能なビニル単量体とを共重合させることにより製造されている。この場合、共重合に用いる原料の単量体、とりわけポリエーテルエステル単量体の品質が、得られる水溶性ビニル共重合体のセメント分散剤としての性能に大きな影響を及ぼす。中間原料としてのポリエーテルエステル単量体の品質が悪いと、得られる水溶性ビニル共重合体をセメント分散剤として用いても、水硬性セメント組成物に優れた流動性を付与できず、また付与した流動性の経時的低下(スランプロス)が大きく、更に水硬性セメント組成物を硬化させた硬化物の圧縮強度が低いのである。本発明は、溶剤を用いることなく、高品質のポリエーテルエステル単量体を製造し、そしてかかる高品質のポリエーテルエステル単量体を中間原料として用いることにより、セメント分散剤として優れた性能を発揮する水溶性ビニル共重合体を得る方法に関する。
従来、セメント分散剤として使用される前記のような水溶性ビニル共重合体は各種が知られている(例えば特許文献1〜3参照)。そしてかかる水溶性ビニル共重合体を製造するときの中間原料として使用される前記のようなポリエーテルエステル単量体は一般に、低沸点有機溶剤、例えばベンゼンを用いて、片末端置換ポリアルキレングリコールと不飽和カルボン酸とをエステル化反応させることにより製造されている(例えば、特許文献4〜7参照)。
しかし、ポリエーテルエステル単量体を製造するときに前記のような低沸点有機溶剤を用いると、ポリエーテルエステル単量体それ自体としては相応に高品質のものが得られ、したがってこれを中間原料とする水溶性ビニル共重合体にセメント分散剤として優れた性能を発揮させることができるという利点がある反面、用いた低沸点有機溶剤を回収する必要がある。用いた低沸点有機溶剤の回収により回収設備の設置も含めてそれだけポリエーテルエステルの製造コスト、ひいてはこれを中間原料とするセメント分散剤としての水溶性ビニル共重合体の製造コストが高くなり、またその性質上、作業者は好ましくない環境下での回収作業を強いられる。
特公昭59−18338号公報 特公平5−11057号公報 特公平7−91101号公報 特開平11−71151号公報 特開2000−159882号公報 特開2000−159883号公報 特開2000−212273号公報
本発明が解決しようとする課題は、溶剤を用いることなく、高品質のポリエーテルエステル単量体を製造し、そしてかかる高品質のポリエーテルエステル単量体を中間原料として用いることにより、セメント分散剤として優れた性能を発揮する水溶性ビニル共重合体を得る点にある。
本発明者らは、前記の課題を解決するべく研究した結果、1)高品質のポリエーテルエステル単量体を製造するためには、その原料として高品質の片末端置換ポリアルキレングリコールを用いることが肝要であること、2)原料の片末端置換ポリアルキレングリコールとしては、相当するモノヒドロキシ化合物にアルキレンオキサイドを開環付加反応させたものを用い、通常はかくして開環付加反応させた片末端置換ポリアルキレングリコールを工業的に量産し、その使用時まで、すなわち不飽和カルボン酸とエステル化反応させてポリエーテルエステル単量体を製造するときまで保存しておいたものを用いるが、かかる片末端置換ポリアルキレングリコール中には、開環付加反応時の条件や開環付加反応後の精製条件により、ギ酸、酢酸、プロピオン酸等の低級カルボン酸で代表される遊離酸が副生して残留し、またとりわけ保存時の条件により、同様の遊離酸が副生して残留し、かかる残留遊離酸の濃度が一定値を超えると、そのような片末端置換ポリアルキレングリコールからは高品質のポリエーテルエステル単量体を製造できないこと、以上の知見を得た。
そこで本発明者らは、更に追究した結果、3)片末端置換ポリアルキレングリコールとして、残留遊離酸の酢酸換算濃度が一定値以下となるよう精製処理したものを用い、かかる片末端置換ポリアルキレングリコールと、不飽和カルボン酸とを、溶剤の非存在下に、所定量のp−ベンゾキノン及び/又はフェノチアジンを存在させた特定の条件下で、エステル化反応させると、高品質のポリエーテルエステル単量体が得られること、4)かかる高品質のポリエーテルエステル単量体と、これと共重合可能なビニル単量体とを、水溶液中でラジカル共重合反応させて得られる水溶性ビニル共重合体はセメント分散剤として優れた性能を発揮すること、以上を見出した。
すなわち本発明は、下記の第1工程及び第2工程を経ることを特徴とするセメント分散剤用水溶性ビニル共重合体の製造方法に係る。
第1工程:残留遊離酸の酢酸換算濃度が0.03重量%以下となるよう精製処理した下記の化1で示される片末端置換ポリアルキレングリコールと、下記の化2で示される不飽和カルボン酸とを、溶剤の非存在下に、該片末端置換ポリアルキレングリコールの0.03〜0.5重量%に相当する量のp−ベンゾキノン及び/又はフェノチアジンを存在させた加熱及び減圧条件下で、酸触媒を用いて、生成水を留去させつつエステル化反応させ、下記の化3で示されるポリエーテルエステル単量体を得る工程。
第2工程:第1工程で得たポリエーテルエステル単量体と、これと共重合可能なビニル単量体とを、水溶液中でラジカル共重合反応させて、セメント分散剤用水溶性ビニル共重合体を得る工程。
Figure 0003741436
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化1〜化3において、
1:炭素数1〜22のアルキル基、ベンジル基、フェニル基又はアルキル基の炭素数が1〜12のアルキルフェニル基
2,R3:H又はメチル基
A:オキシエチレン単位のみ又はオキシエチレン単位とオキシプロピレン単位との双方からなるオキシアルキレン単位の繰り返し数が5〜250のポリアルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基
先ず、第1工程について説明する。第1工程では、化1で示される片末端置換ポリアルキレングリコールとして、残留遊離酸の酢酸換算濃度が0.03重量%以下、好ましくは0.015重量%以下、更に好ましくは0.01重量%以下となるよう精製処理したものを用いる。前記したように、化1で示される片末端置換ポリアルキレングリコールは、相当するモノヒドロキシ化合物にアルキレンオキサイドを開環付加反応させて得られるが、かかる開環付加反応物として得られる片末端置換ポリアルキレングリコール中には、開環付加反応時の条件や開環付加反応後の精製条件により、ギ酸、酢酸、プロピオン酸等の低級カルボン酸で代表される遊離酸が副生して残留し、またとりわけその保存時の条件により、同様の遊離酸が副生して残留する。そして、残留遊離酸の酢酸換算濃度が0.03重量%を超えると、そのような片末端置換ポリアルキレングリコールを化2で示される不飽和カルボン酸とエステル化反応させても、高品質のポリエーテルエステル単量体は得られない。したがって第1工程では、残留遊離酸の酢酸換算濃度が0.03重量%以下、好ましくは0.015重量%以下、更に好ましくは0.01重量%以下となるよう精製処理した化1で示される片末端置換ポリアルキレングリコールを、化2で示される不飽和カルボン酸とのエステル化反応に供する。ここで、残留遊離酸の酢酸換算濃度は、JIS−K1503に記載の方法に準じて測定される値である。
残留遊離酸を取り除くための精製処理方法としては、1)吸着材を用いる方法、2)中和する方法、3)中和後に、塩析し、脱水する方法等が挙げられるが、1)の吸着材を用いる方法が好ましい。かかる吸着材にも各種が挙げられるが、酸化アルミニウム系吸着材、酸化マグネシウム系吸着材、酸化アルミニウム・酸化マグネシウム系吸着材、ケイ酸・酸化アルミニウム系吸着材、ケイ酸・酸化マグネシウム系吸着材等、いずれにしても酸化アルミニウム及び/又は酸化マグネシウムを含有する吸着材を用いるのが好ましい。またかかる吸着材を用いて精製処理する方法にも各種が挙げられるが、酢酸換算濃度で0.03重量%を超える遊離酸を残留する片末端置換ポリアルキレングリコールを加温下に吸着材と接触させる方法が好ましい。例えば、酢酸換算濃度で0.03重量%を超える遊離酸を残留する片末端置換ポリアルキレングリコールを、100℃前後の加温下に吸着材と混合した後、その混合物を加圧濾過し、濾液として、残留遊離酸の酢酸換算濃度を0.03重量%以下に精製処理した片末端置換ポリアルキレングリコールを得る。
かくして精製処理した化1で示される片末端置換ポリアルキレングリコールにおいて、R1としては、1)メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコサニル基、ドコサニル基等の炭素数1〜22のアルキル基、2)ベンジル基、3)フェニル基、4)メチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、ドデシルフェニル基等のアルキル基の炭素数が1〜12のアルキルフェニル基が挙げられるが、なかでも炭素数1〜12のアルキル基、ベンジル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基が特に好ましい。
またAには、1)オキシアルキレン単位がオキシエチレン単位のみからなるポリエチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基、2)オキシアルキレン単位がオキシエチレン単位とオキシプロピレン単位との双方からなるポリエチレンポリプロピレングリコールから全ての水酸基を除いた残基が包含されるが、Aとしてはポリエチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基が好ましい。Aがポリエチレンポリプロピレングリコールから全ての水酸基を除いた残基の場合、オキシエチレン単位とオキシプロピレン単位との結合様式はランダム結合及び/又はブロック結合のいずれでもよい。Aで示されるポリアルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基を構成するオキシアルキレン単位の繰り返し数は、5〜250とするが、7〜90とするのが好ましい。
化1で示される片末端置換ポリアルキレングリコールとしては、メトキシポリエチレングリコール、メトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコール、エトキシポリエチレングリコール、エトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコール、プロポキシポリエチレングリコール、プロポキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコール、ブトキシポリエチレングリコール、ラウリルオキシポリエチレングリコール、ブトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコール、ベンジルオキシポリエチレングリコール、ベンジルオキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコール、フェノキシポリエチレングリコール、フェノキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコール、アルキルフェノキシポリエチレングリコール、アルキルフェノキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコール等が挙げられる。
化2で示される不飽和カルボン酸は、メタクリル酸、アクリル酸、クロトン酸であるが、なかでもメタクリル酸が好ましい。
第1工程では、以上説明したように、残留遊離酸の酢酸換算濃度が0.03重量%以下となるよう精製処理した化1で示される片末端置換ポリアルキレングリコールと、化2で示される不飽和カルボン酸とを、溶剤の非存在下に、p−ベンゾキノン及び/又はフェノチアジンを存在させた加熱及び減圧条件下で、酸触媒を用いて、生成水を留去させつつ、エステル化反応させ、化3で示されるポリエーテルエステル単量体を得る。
反応系におけるp−ベンゾキノン及び/又はフェノチアジンの存在量は、化1で示される片末端置換ポリアルキレングリコールの0.03〜0.5重量%に相当する量とするが、0.1〜0.25重量%に相当する量とするのが好ましく、なかでもp−ベンゾキノンを化1で示される片末端置換ポリアルキレングリコールの0.1〜0.25重量%に相当する量存在させるのがより好ましい。反応系におけるp−ベンゾキノン及び/又はフェノチアジンの存在量が化1で示される片末端置換ポリアルキレングリコールの0.03重量%より少ないと、重合防止効果が充分に発揮されず、逆に0.5重量%より多いと、重合防止効果は充分に発揮されるが、得られるポリエーテルエステル単量体を中間原料として用い、ビニル共重合体を製造するとき、ラジカル共重合反応が円滑に進行しない。
エステル化反応時における加熱条件としては、105〜135℃とするのが好ましく、圧力条件としては、15〜0.5kPaとするのが好ましい。かかる加熱条件は前記の温度範囲内にて徐々に或は段階的に昇温し、また圧力条件は前記の圧力範囲内にて徐々に或は段階的に減圧する方法がより好ましい。
エステル化反応では、触媒として酸触媒を用いる。かかる酸触媒としては、硫酸、パラトルエンスルホン酸、燐酸、メタンスルホン酸等を単独で或は混合して用いることができるが、なかでも硫酸単独又は硫酸とパラトルエンスルホン酸との混合酸が好ましい。酸触媒の使用量は、化1で示される片末端置換ポリアルキレングリコールと化2で示される不飽和カルボン酸との合計量に対して、0.2〜1.5重量%とするのが好ましい。
エステル化反応に際して、化1で示される片末端置換ポリアルキレングリコールと化2で示される不飽和カルボン酸との原料比率は、化1で示される片末端置換ポリアルキレングリコール/化2で示される不飽和カルボン酸=1/1.5〜1/7(モル比)とするのが好ましい。この場合、双方のエステル化反応後に、過剰分の不飽和カルボン酸を留去する。
以上説明した第1工程について、更に詳しく説明すると、ポリエーテルエステル単量体として例えばメトキシポリエチレングリコールメタクリレートを得る場合、残留遊離酸の酢酸換算濃度が0.03重量%以下となるよう精製処理したメトキシポリエチレングリコールと過剰のメタクリル酸とを反応容器に仕込んだ後、該メトキシポリエチレングリコールの仕込み量に対し重合防止剤として所定量のp−ベンゾキノン及び/又はフェノチアジンを仕込み、更に酸触媒として所定量の濃硫酸を仕込む。次に反応系の温度を徐々に上昇させ、また圧力を徐々に減圧にした所定の温度及び圧力下に、生成水を水/メタクリル酸の共沸蒸留により留去しつつ、エステル化反応を行なう。エステル化反応後、過剰分のメタクリル酸を留去し、メトキシポリエチレングリコールメタクリレートを得る。かくして得られるポリエーテルエステル単量体には、上記の重合防止剤及び酸触媒も含まれてくるが、これらを精製除去することなくそのまま、中間原料として第2工程に供することができる。
次に、第2工程について説明する。第2工程では、以上説明した第1工程で得たポリエーテルエステル単量体と、これと共重合可能なビニル単量体とを、水溶液中でラジカル共重合反応させて、セメント分散剤用水溶性ビニル共重合体を得る。かかるビニル単量体としては、それがポリエーテルエステル単量体と共重合可能なものがあれば、それ自体は公知の各種のビニル単量体、例えばエチレン性不飽和モノカルボン酸及び/又はその塩、エチレン性不飽和ジカルボン酸及び/又はその塩、エチレン性不飽和モノカルボン酸エステル、水酸基を有する不飽和カルボン酸エステル、芳香族ビニル単量体、アミノ基を有するビニル単量体、アミド基を有するビニル単量体、アルデヒド基を有するビニル単量体、ニトリル基を有するビニル単量体、ビニルエステル、アルケン化合物、ジエン化合物、スルホン酸基を有するビニル単量体等が挙げられる。なかでも、エチレン性不飽和モノカルボン酸及び/又はその塩、スルホン酸基を有するビニル単量体が好ましく、とりわけ、1)(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩、(メタ)アクリル酸のアルカリ土類金属塩、(メタ)アクリル酸の有機アミン塩等の、(メタ)アクリル酸及び/又はその塩、2)かかる(メタ)アクリル酸及び/又はその塩と共に用いる、メタリルスルホン酸のアルカリ金属塩、メタリルスルホン酸のアルカリ土類金属塩、メタリルスルホン酸の有機アミン塩等のメタリルスルホン酸塩が好ましい。
ポリエーテルエステル単量体と、これと共重合可能なビニル単量体とのラジカル共重合割合は、特に制限されないが、ポリエーテルエステル単量体と、(メタ)アクリル酸及び/又はその塩とをラジカル共重合反応させる場合には、ポリエーテルエステル単量体を5〜50モル%、(メタ)アクリル酸及び/又はその塩を50〜95モル%(合計100モル%)とするのが好ましく、またポリエーテルエステル単量体と、(メタ)アクリル酸及び/又はその塩と、メタリルスルホン酸塩とをラジカル共重合反応させる場合には、ポリエーテルエステル単量体を5〜45モル%、(メタ)アクリル酸及び/又はその塩を50〜90モル%、メタリルスルホン酸を0.3〜15モル%(合計100モル%)とするのが好ましい。
ラジカル共重合体反応それ自体は、公知のラジカル共重合反応、例えば特開平8−290948号公報に記載されているようなラジカル共重合反応を適用できる。例えば、前記の製造方法で得たポリエーテルエステル単量体と、これと共重合可能なビニル単量体と、連鎖移動剤とを含む水溶液を調製し、窒素ガス雰囲気下で、ラジカル開始剤を加えて、反応温度50〜90℃で4〜8時間ラジカル共重合反応させることにより、水溶性ビニル共重合体を得ることができる。この場合、連鎖移動剤としては、2−メルカプトエタノール、メルカプトプロピオン酸、チオグリコール酸等が挙げられる。またラジカル開始剤としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩や2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩等の水溶性ラジカル開始剤が挙げられる。
ラジカル共重合反応により得られる水溶性ビニル共重合体は、その数平均分子量(GPC法によるプルラン換算の数平均分子量、以下同じ)を、3500〜70000のものとするのが好ましく、5000〜40000のものとするのがより好ましい。
かくして得られる水溶性ビニル共重合体は、セメント分散剤として、セメント或はセメントの他に微粉末混和材料を結合材とする各種の水硬性セメント組成物、代表的にはモルタルやコンクリートに適用できる。この場合、セメントとしては、普通セメント、早強セメント、中庸熱ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント、シリカフュームセメント等の各種混合セメントが挙げられる。また微粉末混和材料としては、石灰石粉、炭酸カルシウム、シリカフューム、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ等が挙げられる。
本発明によって得られるセメント分散剤用水溶性ビニル共重合体の使用量は、セメント又はセメントと微粉末混和材料とからなる結合材100重量部に対し固形分換算で、通常0.01〜2.5重量部、好ましくは0.05〜1.5重量部とする。本発明によって得られるセメント分散剤用水溶性ビニル共重合体は通常、水硬性セメント組成物を調製する際に練混ぜ水と一緒に添加して用いる。
本発明に係るセメント分散剤用水溶性ビニル共重合体の製造方法において、第1工程では、残留遊離酸の酢酸換算濃度が0.03重量%以下となるよう精製処理した化1で示される片末端置換ポリアルキレングリコールと、化2で示される不飽和カルボン酸とのエステル化反応に際し、溶剤を使用しない。したがって、双方のエステル化反応後に、溶剤を回収する必要がない。この第1工程では、高品質の化3で示されるポリエーテルエステル単量体を得ることができる。詳しくは後述するように、エステル化反応時に異常な粘度上昇やゲルの発生がない、エステル化反応率の高いポリエーテルエステル単量体を得ることができるのである。そして第2工程では、かかる高品質のポリエーテルエステル単量体を中間原料として用いて水溶性ビニル共重合体を得るが、この水溶性ビニル共重合体は、セメント分散剤として所望の性能を発揮する。水硬性セメント組成物にスランプロスの少ない優れた流動性を付与でき、また水硬性セメント組成物を硬化させた硬化物に充分な圧縮強度を発現させることができるのである。
本発明によると、溶剤を用いることなく、高品質のポリエーテルエステル単量体を製造し、そしてかかる高品質のポリエーテルエステル単量体を中間原料として用いることにより、セメント分散剤として優れた性能を発揮する水溶性ビニル共重合体を得ることができる。
以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明が該実施例に限定されるというものではない。尚、以下の実施例等において、別に記載しない限り、部は重量部を、また%は重量%を意味する。
試験区分1(片末端置換ポリアルキレングリコールの調製)
・片末端置換ポリアルキレングリコール(M−1)の調製
プロピルアルコール120g(2.0モル)をオートクレーブに仕込み、触媒として水酸化カリウム粉末0.6gを加えた後、オートクレーブ内を充分に窒素で置換した。撹拌しながら、反応温度を110〜120℃に維持して、エチレンオキサイド1056g(24モル)を圧入して、開環付加反応を行なった。開環付加反応後、同温度で1時間熟成した。反応物をフラスコに移し、ケイ酸・酸化アルミニウム系吸着材(協和化学工業社製の商品名キョーワード700SL)12gを加え、110℃の加温下で1時間混合し、80℃に冷却した後、混合物を濾過助材(昭和化学工業社製の商品名トプコパーライト)20gを用いて加圧濾過し、濾液として残留遊離酸の酢酸換算濃度を0.003%に精製処理したプロポキシポリエチレングリコール(n=12)を得た。これを片末端置換ポリアルキレングリコール(M−1)とした。
・片末端置換ポリアルキレングリコール(M−2)〜(M−6)の調製
片末端置換ポリアルキレングリコール(M−1)と同様にして、片末端置換ポリアルキレングリコール(M−2)〜(M−6)を調製した。以上で調製した各片末端置換ポリアルキレングリコール(M−1)〜(M−6)の内容を表1にまとめて示した。
・片末端置換ポリアルキレングリコール(m−1)の調製
片末端置換ポリアルキレングリコール(M−1)1000gを内容2Lのポリ容器に入れ、容器内に上部空間を残した状態で密封し、80℃で30日間保存する促進試験を行ない、片末端置換ポリアルキレングリコール(m−1)を調製した。片末端置換ポリアルキレングリコール(m−1)における残留遊離酸の酢酸換算濃度は0.035%に増えていた。
・片末端置換ポリアルキレングリコール(m−2)〜(m−6)の調製
片末端置換ポリアルキレングリコール(M−1)から片末端置換ポリアルキレングリコール(m−1)を調製したことと同様にして、片末端置換ポリアルキレングリコール(M−2)〜(M−6)から片末端置換ポリアルキレングリコール(m−2)〜(m−6)を調製した。以上で調製した各片末端置換ポリアルキレングリコール(m−1)〜(m−6)の内容を表1にまとめて示した。
・片末端置換ポリアルキレングリコール(MS−1)の調製
片末端置換ポリアルキレングリコール(m−1)800gをフラスコにとり、酸化アルミニウム・酸化マグネシウム系吸着材(協和化学工業社製の商品名キョーワード300)5gを加え、110℃の加温下に1時間混合し、80℃に冷却した後、混合物を濾過助材(昭和化学工業社製の商品名トプコパーライト)16gを用いて加圧濾過し、濾液として残留遊離酸の酢酸換算濃度を0.002%に精製処理した片末端置換ポリアルキレングリコール(MS−1)を調製した。
・片末端置換ポリアルキレングリコール(MS−2)〜(MS−6)の調製
片末端置換ポリアルキレングリコール(m−1)から片末端置換ポリアルキレングリコール(MS−1)を調製したことと同様にして、片末端置換ポリアルキレングリコール(m−2)〜(m−6)から片末端置換ポリアルキレングリコール(MS−2)〜(MS−6)を調製した。以上で調製した各片末端置換ポリアルキレングリコール(MS−1)〜(MS−6)の内容を表1にまとめて示した。





Figure 0003741436
表1において、
アルキレンオキサイドのモル数:モノヒドロキシ化合物1モル当たり開環付加反応させたアルキレンオキサイドのモル数
試験区分2(ポリエーテルエステル単量体の製造)
・製造例1{ポリエーテルエステル単量体(P−1)の製造}
反応容器に、試験区分1で調製した片末端置換ポリアルキレングリコール(MS−1)588g(1.0モル)、メタクリル酸172g(2.0モル)、p−ベンゾキノン1.1g、98%濃硫酸(以下濃硫酸は同じ濃度のものを使用)1.8gを仕込み、撹拌しながら徐々に昇温すると共に減圧し、エステル化反応により生成する水を水/メタクリル酸共沸混合物として反応系外に留去しつつ、温度125〜130℃、圧力12〜2.5kPaの条件下で2時間エステル化反応を行なった。次いで、残存する過剰分のメタクリル酸を更に圧力を下げて留去し、生成物を得た。この生成物を分析したところ、水酸基価1.2、エステル化反応率(水酸基価から算出した、以下同じ)99%のポリエーテルエステル単量体(P−1)であった。
・製造例2〜9{ポリエーテルエステル単量体(P−2)〜(P−9)の製造}
製造例1{ポリエーテルエステル単量体(P−1)の製造}と同様にして、製造例2〜9{ポリエーテルエステル単量体(P−2)〜(P−9)の製造}を行なった。
・製造例10〜15{ポリエーテルエステル単量体(R−1)〜(R−6)の製造}
片末端置換ポリアルキレングリコール(MS−1)〜(MS−6)に代えて片末端置換ポリアルキレングリコール(m−1)〜(m−6)を用いたこと以外は製造例1〜6と同様にして、ポリエーテルエステル単量体(R−1)〜(R−6)を製造しようとしたが、エステル化反応の途中で多量の不溶ゲルが析出したので、エステル化反応を中断した。
・製造例16{ポリエーテルエステル単量体(R−7)の製造}
反応容器に、試験区分1で調製した片末端置換ポリアルキレングリコール(MS−2)428g(1.0モル)、メタクリル酸172g(2.0モル)、濃硫酸1.4gを仕込み、撹拌しながら昇温してエステル化反応を行なおうとしたが、途中で多量の不溶ゲルが析出したので、エステル化反応を中断した。
・製造例17{ポリエーテルエステル単量体(R−8)の製造}
反応容器に、試験区分1で調製した片末端置換ポリアルキレングリコール(MS−2)428g(1.0モル)、メタクリル酸172g(2.0モル)、ハイドロキノン0.9g、濃硫酸1.4gを仕込み、撹拌しながら徐々に昇温すると共に減圧し、エステル化反応を開始したが、反応開始後約1時間経過した時に多量の不溶ゲルが析出したので、エステル化反応を中断した。
・製造例18{ポリエーテルエステル単量体(R−9)の製造}
反応容器に、試験区分1で調製した片末端置換ポリアルキレングリコール(MS−2)428g(1.0モル)、メタクリル酸172g(2.0モル)、メトキノン0.9g、濃硫酸1.4gを仕込み、撹拌しながら徐々に昇温すると共に減圧し、エステル化反応を開始したが、反応開始後約1時間経過した時に多量の不溶ゲルが析出したので、エステル化反応を中断した。
・製造例19{ポリエーテルエステル単量体(R−10)の製造}
反応容器に、試験区分1で調製した片末端置換ポリアルキレングリコール(MS−2)428g(1.0モル)、メタクリル酸172g(2.0モル)、p−ベンゾキノン0.06g、濃硫酸1.4gを仕込み、撹拌しながら徐々に昇温すると共に減圧し、エステル化反応を開始したが、反応開始後約2時間経過した時に多量の不溶ゲルが析出したので、エステル化反応を中断した。
・製造例20{ポリエーテルエステル単量体(R−11)の製造}
反応容器に、試験区分1で調製した片末端置換ポリアルキレングリコール(MS−2)428g(1.0モル)、メタクリル酸172g(2.0モル)、p−ベンゾキノン3.9g、濃硫酸1.4gを仕込み、以下製造例1と同様にしてポリエーテルエステル単量体(R−11)を得た。
・製造例21{ポリエーテルエステル単量体(T−1)の製造}
反応容器に、試験区分1で調製した片末端置換ポリアルキレングリコール(MS−2)1060g(2.5モル)、メタクリル酸430g(5モル)、p−ベンゾキノン2.2g、濃硫酸3.5g、溶剤としてベンゼン1000gを仕込み、撹拌しながら昇温し、生成水を留去させつつエステル化反応を行なった。エステル化反応後、窒素をバブリングして過剰分のメタクリル酸と溶剤として使用したベンゼンを追い出し、生成物を得た。この生成物を分析したところ、水酸基価1.3、エステル化反応率99%のポリエーテルエステル単量体(T−1)であった。以上で製造した各ポリエーテルエステル単量体(P−1)〜(P−6)及び(R−1)〜(R−11)並びに(T−1)の内容を表2及び表3にまとめて示した。


Figure 0003741436
表2において、
遊離酸:残留遊離酸の酢酸換算濃度(%)
重合防止剤の割合:片末端置換ポリアルキレングリコールに対する重合防止剤の使用量(%)
酸触媒の割合:片末端置換ポリアルキレングリコールと不飽和カルボン酸との合計量に対する酸触媒の使用量(%)
A−1:オキシエチレン単位の繰り返し数12のポリエチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基
A−2:オキシエチレン単位の繰り返し数9のポリエチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基
A−3:オキシエチレン単位の繰り返し数23のポリエチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基
A−4:オキシエチレン単位の繰り返し数75のポリエチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基
A−5:オキシエチレン単位の繰り返し数90のポリエチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基
A−6:オキシエチレン単位の繰り返し数90及びオキシプロピレン単位の繰り返し数30のポリエチレンポリプロピレングリコールから全ての水酸基を除いた残基
S−1:メチル基
I−1:p−ベンゾキノン
I−2:フェノチアジン
I−3:p−ベンゾキノン/フェノチアジン=50/50(重量比)の混合物
i−1:ハイドロキノン
i−2:メトキノン
C−1:98%濃硫酸
C−2:98%濃硫酸/パラトルエンスルホン酸=5.5/2.5(重量比)の混合酸
C−3:98%濃硫酸/パラトルエンスルホン酸=4.5/2.5(重量比)の混合酸
*1:反応途中で停止した
Figure 0003741436
表3において、
異常な粘度上昇の有無の判定基準:
○:エステル化反応中に異常な粘度上昇がなかったもの
×:エステル化反応中に異常な粘度上昇があったもの
ゲル発生の有無の判定基準:
○:エステル化反応中に不溶ゲルの発生がなかったもの
×:エステル化反応中に不溶ゲルの発生があったもの
*2:エステル化反応が異常な粘度上昇或は不溶ゲルの発生により中断されたのでエステル化率を測定できなかった。
試験区分3(セメント分散剤用の水溶性ビニル共重合体の製造)
・実施例1{水溶性ビニル共重合体(D−1)の製造}
反応容器に試験区分2で得たポリエーテルエステル単量体(P−1)200g(0.306モル)、メタクリル酸56g(0.651モル)、3−メルカプトプロピオン酸2.1g及び水330gを仕込み、撹拌しながら均一に溶解した後,雰囲気を窒素置換した。窒素雰囲気下に、反応系の温度を温水浴にて80℃に保ち、過硫酸ナトリウムの20%水溶液8gを滴下して重合を開始し、5時間重合反応を継続して重合を完結し、水溶性ビニル共重合体の水溶液を得た。この水溶性ビニル共重合体を分析したところ、ポリエーテルエステル単量体(P−1)から形成された構成単位を35モル%、メタクリル酸から形成された構成単位を65モル%の割合で有する数平均分子量13000の水溶性ビニル共重合体(D−1)であった。
・実施例2{水溶性ビニル共重合体(D−2)の製造}
反応容器に試験区分2で得たポリエーテルエステル単量体(P−1)200g(0.306モル)、メタクリル酸55g(0.64モル)、メタリルスルホン酸ナトリウム13g(0.082モル)、水330g及び30%水酸化ナトリウム水溶液80gを仕込み、撹拌しながら均一に溶解した後,雰囲気を窒素置換した。窒素雰囲気下に、反応系の温度を温水浴にて60℃に保ち、過硫酸ナトリウムの20%水溶液10gを投入して重合を開始し、6時間重合反応を継続して重合を完結した。その後、30%水酸化ナトリウム水溶液8gを投入して完全中和し、水溶性ビニル共重合体の水溶液を得た。この水溶性ビニル共重合体を分析したところ、ポリエーテルエステル単量体(P−1)から形成された構成単位を33モル%、メタクリル酸ナトリウムから形成された構成単位を61モル%、メタリルスルホン酸ナトリウムから形成された構成単位を6モル%の割合で有する数平均分子量9200の水溶性ビニル共重合体(D−2)であった。
・実施例3〜14{水溶性ビニル共重合体(D−3)〜(D−14)の製造}
実施例1或は2{水溶性ビニル共重合体(D−1)或は(D−2)の製造}と同様にして、実施例3〜14{水溶性ビニル共重合体(D−3)〜(D−14)の製造}を行なった。
以上で製造した各水溶性ビニル共重合体(D−1)〜(D−14)の内容を表4にまとめて示した。

















Figure 0003741436
表4において、
a:ポリエーテルエステル単量体/モル%
b:メタクリル酸
c:メタクリル酸ナトリウム
d:メタリルスルホン酸ナトリウム
・比較例1{水溶性ビニル共重合体(DR−1)の製造}
ポリエーテルエステル単量体(P−1)200gを試験区分2で得たポリエーテルエステル単量体(R−11)200gに代えた以外、実施例1{水溶性ビニル共重合体(D−1)の製造}と同様にして、比較例1{水溶性ビニル共重合体(DR−1)の製造}を行なった。
・比較例2{水溶性ビニル共重合体(DT−1)の製造}
ポリエーテルエステル単量体(P−1)200gを試験区分2で得たポリエーテルエステル単量体(T−1)200gに代えた以外、実施例1{水溶性ビニル共重合体(D−1)の製造}と同様にして、比較例2{水溶性ビニル共重合体(DT−1)の製造}を行なった。
・比較例3{水溶性ビニル共重合体(DT−2)の製造}
ポリエーテルエステル単量体(P−1)200gを試験区分1で得たポリエーテルエステル単量体(T−1)200gに代えた以外、実施例2{水溶性ビニル共重合体(D−2)の製造}と同様にして、比較例3{水溶性ビニル共重合体(DT−2)の製造}を行なった。
試験区分3(コンクリートの調製及び評価)
・コンクリートの調製
表5に記載の調合条件で、各試験例のコンクリートを次のように調製した。50Lのパン型強制練りミキサーに普通ボルトランドセメント(比重=3.16、ブレーン値3300)、細骨材(大井川水系砂、比重=2.63)及び粗骨材(岡崎産砕石、比重=2.63)を順次投入して15秒間空練りした。次いで各試験例いずれも目標スランプが21±1cmの範囲に入るよう、試験区分3で製造したセメント分散剤用の水溶性ビニル共重合体を、セメントに対し固形分換算で0.1〜1.5重量%の範囲内にて練り混ぜ水とともに添加し、2分間練り混ぜた。この際、各試験例いずれも目標空気量が4.0〜5.0%となるよう空気量調整剤を添加した。
Figure 0003741436
・コンクリートの評価
調製した各試験例のコンクリートについて、次のように評価した。結果を表6にまとめて示した。
スランプ:練り混ぜ直後、60分静置後に、JIS−A1101に準拠して測定した。
スランプ残存率:(60分後のスランプ/直後のスランプ)×100
空気量:JIS−A1128に準拠して測定した。
圧縮強度:JIS−A1108に準拠して測定した。
Figure 0003741436
表6において、
セメント分散剤の添加量:セメント100部に対する水溶性ビニル共重合体の固形分換算の添加部

Claims (13)

  1. 下記の第1工程及び第2工程を経ることを特徴とするセメント分散剤用水溶性ビニル共重合体の製造方法。
    第1工程:残留遊離酸の酢酸換算濃度が0.03重量%以下となるよう精製処理した下記の化1で示される片末端置換ポリアルキレングリコールと、下記の化2で示される不飽和カルボン酸とを、溶剤の非存在下に、該片末端置換ポリアルキレングリコールの0.03〜0.5重量%に相当する量のp−ベンゾキノン及び/又はフェノチアジンを存在させた加熱及び減圧条件下で、酸触媒を用いて、生成水を留去させつつエステル化反応させ、下記の化3で示されるポリエーテルエステル単量体を得る工程。
    第2工程:第1工程で得たポリエーテルエステル単量体と、これと共重合可能なビニル単量体とを、水溶液中でラジカル共重合反応させて、セメント分散剤用水溶性ビニル共重合体を得る工程。
    Figure 0003741436






    Figure 0003741436
    Figure 0003741436
    (化1〜化3において、
    1:炭素数1〜22のアルキル基、ベンジル基、フェニル基又はアルキル基の炭素数が1〜12のアルキルフェニル基
    2,R3:H又はメチル基
    A:オキシエチレン単位のみ又はオキシエチレン単位とオキシプロピレン単位との双方からなるオキシアルキレン単位の繰り返し数が5〜250のポリアルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基)
  2. 第1工程において、残留遊離酸の酢酸換算濃度が0.015重量%以下となるよう精製処理した片末端置換ポリアルキレングリコールと不飽和カルボン酸とをエステル化反応させる請求項1記載のセメント分散剤用水溶性ビニル共重合体の製造方法。
  3. 第1工程において、酸化アルミニウム及び/又は酸化マグネシウムを含有する吸着材を用いて精製処理した片末端置換ポリアルキレングリコールと不飽和カルボン酸とをエステル化反応させる請求項1又は2記載のセメント分散剤用水溶性ビニル共重合体の製造方法。
  4. 第1工程において、片末端置換ポリアルキレングリコールと不飽和カルボン酸とを、該片末端置換ポリアルキレングリコール/該不飽和カルボン酸=1/1.5〜1/7(モル比)の割合で用いて、エステル化反応させた後、過剰の該不飽和カルボン酸を留去する請求項1〜3のいずれか一つの項記載のセメント分散剤用水溶性ビニル共重合体の製造方法。
  5. 第1工程において、片末端置換ポリアルキレングリコールの0.1〜0.25重量%に相当する量のp−ベンゾキノンを存在させる請求項1〜4のいずれか一つの項記載のセメント分散剤用水溶性ビニル共重合体の製造方法。
  6. 第1工程において、片末端置換ポリアルキレングリコールと不飽和カルボン酸とを、105〜135℃の温度及び15〜0.5kPaの圧力条件下で、エステル化反応させる請求項1〜5のいずれか一つの項記載のセメント分散剤用水溶性ビニル共重合体の製造方法。
  7. 第1工程において、片末端置換ポリアルキレングリコールと不飽和カルボン酸とを、105〜135℃の温度範囲内にて徐々に或は段階的に昇温し、また15〜0.5kPaの圧力範囲内にて徐々に或は段階的に減圧した条件下で、エステル化反応させる請求項1〜5のいずれか一つの項記載のセメント分散剤用水溶性ビニル共重合体の製造方法。
  8. 第1工程において、酸触媒を、片末端置換ポリアルキレングリコールと不飽和カルボン酸との合計量に対し0.2〜1.5重量%の割合で用いる請求項1〜7のいずれか一つの項記載のセメント分散剤用水溶性ビニル共重合体の製造方法。
  9. 第1工程において、片末端置換ポリアルキレングリコールとして、化1中のAがオキシエチレン単位のみからなる場合のものを用いる請求項1〜8のいずれか一つの項記載のセメント分散剤用水溶性ビニル共重合体の製造方法。
  10. 第1工程において、片末端置換ポリアルキレングリコールとして、化1中のRが炭素数1〜3のアルキル基である場合のものを用いる請求項1〜9のいずれか一つの項記載のセメント分散剤用水溶性ビニル共重合体の製造方法。
  11. 第1工程において、不飽和カルボン酸として、化2中のRがH、Rがメチル基である場合のものを用いる請求項1〜10のいずれか一つの項記載のセメント分散剤用水溶性ビニル共重合体の製造方法。
  12. 第2工程において、ビニル単量体として、(メタ)アクリル酸及び/又はその塩を用いる請求項1〜11のいずれか一つの項記載のセメント分散剤用水溶性ビニル共重合体の製造方法。
  13. 第2工程において、ビニル単量体として、(メタ)アクリル酸及び/又はその塩と、メタリルスルホン酸塩とを用いる請求項1〜11のいずれか一つの項記載のセメント分散剤用水溶性ビニル共重合体の製造方法。
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