JP3741296B2 - エンジン排ガス浄化触媒とその製造方法及び前記触媒を用いた排ガス処理装置 - Google Patents

エンジン排ガス浄化触媒とその製造方法及び前記触媒を用いた排ガス処理装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はエンジン排ガス浄化触媒とその製造方法及び前記触媒を用いた排ガス処理装置に係り、特にディーゼルエンジンやリーンバーンエンジンのように水分や酸素が多く含有するエンジンの排ガス浄化触媒とその製造方法及び前記触媒を用いた排ガス処理装置に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
従来より還元性雰囲気のガソリンエンジンの排ガス浄化、特に窒素酸化物の分解触媒には種々の触媒が開発されているが、ディーゼルエンジンのような含有酸素が10%程度存在する酸素共存排ガスについては適用できない。
かかるディーゼルエンジンの窒素酸化物分解触媒としてモルデナイトその他のゼオライト組織中に金属イオンを分散担持させた排ガス浄化触媒として特開平2−251248、特開平3−213147等が提案されている。
【0003】
前記従来技術はモルデナイトに銅を含有させた触媒を提案しているが、かかる技術は300〜400℃でピークの浄化性能を有するが、浄化率が40%以下と低く実用に供さない。
【0004】
かかる欠点を解消するために、本出願人は、モルデナイト粉末と、酢酸コバルトや硝酸コバルト等のCo塩水溶液を混合攪拌した後、粉体状に乾燥させた後、前記粉体を焼成してモルデナイト組織中にCoイオンを分散担持させた浄化触媒を提案している。
【0005】
しかしながらCoーモルデナイト触媒は、図3に示すように、350〜450℃でピークの浄化性能を有し、高負荷時即ち500℃以上の高温域で有効な浄化性能を得ていない。
【0006】
本発明はディーゼルエンジンやリーンバーンエンジンのように水分又は/及び酸素が多く含有するエンジンの排ガスにおいても有効にNOx浄化分解が可能で、而もNOxの浄化性能が高く実用に適する浄化触媒とその製造方法及び前記触媒を用いた排ガス処理装置の提供を目的とする。
本発明の他の目的は、ディーゼルエンジンやリーンバーンエンジンにおいて、400℃以上の高温域で有効な浄化性能を得る浄化触媒とその製造方法の提供にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、モルデナイト組織中にCoイオンを分散担持させた排ガス浄化触媒において、
前記排ガス浄化触媒をSO+O混合雰囲気を含むSO含有雰囲気下で400〜600℃で熱処理して中間製造工程で生成された酸化コバルト(Co )を硫酸コバルト(CoSO )に化学変化させて前記酸化コバルトを失活させて形成したことを特徴とする排ガス浄化触媒を提案する。
【0008】
ここでモルデナイトとは、ゼオライトのうちモルデナイト群に属するゼオライトで、7オングストロームの細孔径を有し、一般にはSiO2/Al23モル比が10から11のものが用いられるが、12〜20以上のモルデナイトを用いても有効である。
【0009】
請求項2記載の発明は前記触媒の製造方法を特定するもので、
モルデナイト粉末とCo塩水溶液とを減圧下において100℃以下で加熱して混合撹拌した後、粉体状に乾燥させる一又は複数の粉体化工程と、
前記粉体化工程で製造されたCo・モルデナイト粉体をSO+O混合雰囲気を含むSO含有雰囲気下で400〜600℃で焼成して中間製造工程で生成された酸化コバルト(Co )を硫酸コバルト(CoSO )に化学変化させて前記酸化コバルトを失活させる焼成工程とを含むことを特徴とする排ガス浄化触媒の製造方法にある。
尚、前記粉体化工程における混合撹拌は100℃以下の700mmHg(0.9気圧)程度の減圧雰囲気下で行われるのが良く、これにより緩やかに水分が蒸発しながら均等混合がなされ、モルデナイト組織中の分散が均等に行われ好ましい。
【0010】
本発明を具体的に説明する。
前記のようなイオン交換ゼオライト触媒において、イオンとして担持されなかった余剰金属分が存在すると、該余剰金属分が活性副生成物となり、還元剤であるHCの酸化を促進するために、HCが無駄に消費され高温でのNOx浄化率が減少する。
例えば、Coモルデナイト触媒を製造する場合、酢酸コバルトCo(COOH)2若しくは硝酸コバルトCo(NO32水溶液とモルデナイト粉末(SiO2・Al23)とを混合攪拌且つ乾燥粉体化したものを焼成して製造するが、この際、前記粉体化でイオンとしてモルデナイト組織中に担持されなかった余剰Coが前記焼成により酸化コバルト(Co34)として生成される。
そして前記Co34が少ない場合はHCの直接酸化による無駄な消費が抑制されるため高温でのNOx浄化が低下しない。
【0011】
一方前記Co34が多い場合はCo34が触媒としてHCの直接酸化を促進しHCの無駄な消費につながる。
【0012】
本発明は前記排ガス浄化触媒を例えば焼成工程においてSO2含有雰囲気若しくはSO2+O2混合雰囲気下で400〜600℃で熱処理(以下SO2処理という)することにより、余剰金属分の活性副生成物(Co34)の生成を抑制するか若しくは下記(1)式に示すように、中間製造工程で生成された活性副生成物を失活(CoSO4)させることを知見し、発明に至ったものである。
(Co34)+3SO2+O2=3COSO4 …(1)
【0013】
従って本発明によれば、前記SO2処理を施す事により、排ガス浄化に悪影響を及ぼす活性副生成物(Co34)を失活(CoSO4)させ高温でのNOx浄化率を向上させる事により無処理の場合に比較して活性温度域を高温度域側に変える事が出来る。
【0014】
従ってSO処理温度若しくは時間、更には処理ガス組成を異ならせて前記処理を行えば浄化性能のピーク温度の異なる種々の排ガス浄化触媒を製造する事が出来る。
請求項3記載の発明はかかる知見に基づいて構成された排ガス処理装置で、
ディーゼルエンジンやリーンバーンエンジンに連設する排気管に、複数の排ガス処理部を直列に組合せてなる排ガス処理装置において、
前記処理部の内、排気ガスが450℃以上の高温排気ガス処理部に、前記請求項2に記載の排ガス浄化触媒の製造方法によって製造された排ガス浄化触媒を充填したことを特徴とし、より具体的には前記複数の排ガス処理部に、SO処理温度若しくは時間、更には処理ガス組成の異なる排ガス浄化触媒を夫々充填させたことを特徴とする。
これにより幅広い温度域で高い浄化率を有する排気ガスの浄化が可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がないかぎりは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
先ず本発明の実施例に係るCoゼオライト触媒の製造方法を図1に基づいて説明する。
【0016】
先ず、酢酸コバルトCo(COOH)2若しくは硝酸コバルトCo(NO32と純水により0.2mol/lの水溶液を調整する。
次にモルデナイトその他のゼオライト粉末(SiO2・Al23)と前記水溶液を混合する。
前記混合割合は前記水溶液中のCoイオン分とゼオライト粉末の重量比(Co/(SiO2・Al23))が略6W%になるように設定する。
混合雰囲気は700mmHg(0.9気圧)の減圧下で50℃前後に加熱して行う。
そして前記混合攪拌を3時間程度行う事により水分が蒸発して固化(乾固)し、つぎにこれを乾燥器中で100〜150℃前後に加熱して乾燥粉体化を行う。
【0017】
この結果下記(2)式に示すように、Co2+がSiO2・Al23に付着する。
Co(NO32→Co2++2NO3 +
{又はCo(COOH)2→Co2++2COOH+
Co2++SiO2・Al23→SiO2・(Co2+)・Al23 …(2)
【0018】
次に、前記のようにして乾燥させたCO・ゼオライト粉末を空気雰囲気下で、500〜600℃の温度で30nin程度焼成したものを比較例1、窒素N2ガスにSO2を50ppm含有させたSO2含有雰囲気下で、500〜600℃の温度で30nin程度焼成したものを実施例1、窒素N2ガスにSO2を50ppmO2 を5〜10%夫々混合した混合雰囲気下で、500〜600℃の温度で30nin程度焼成したものを実施例2として夫々触媒を完成する。
そして前記焼成によりCo(NO32塩のNO3 +が熱分解により消失し、そしてCoがCoイオン又は(Co34)等の酸化物としてゼオライト組織に分散担持されることとなる。
そして実施例1、2においてはSO2処理によりCoーゼオライト触媒の活性副生成物(Co34)CoSO4に化学変化して失活される。
一方、比較例1の場合はゼオライト組織中に担持されなかった余剰Coが前記空気雰囲気下の焼成により酸化コバルト(Co34)として生成遊離している状態となる。
そして、前記のように形成された触媒は対応する排ガスに合わせ、ハニカム状若しくはペレット状に圧縮成形により形成する。
【0019】
【実施例】
次に前記触媒を用いた本発明の実施例を説明する。
まず図3は、NO:500ppm、O2:10%、H2O:6%、HC(C36):3000ppmC、SV値:70000h-1の試験条件下で試験ガス温度を100℃から600℃に変化させた場合のNOx浄化率変化を示す。
本図より理解できるように、比較例1の無処理のCoーゼオライト触媒は、300〜400℃でピークの浄化性能を有し、その40%以上の浄化率の温度域は略300〜450℃である。
又、実施例1のSO2処理したCoーゼオライト触媒は、420〜500℃で浄化率が40%以上の浄化性能を有す。
一方、本発明の実施例2のSO2+O2処理したCoーゼオライト触媒は、350〜550℃で40%以上の浄化率が得られることが理解される。
【0020】
従って、本発明の比較例1では40%以上の浄化率の温度域は略300〜450℃、実施例2では40%以上の浄化率の温度域は略350〜550℃であり、従って両者を組合せる事により略300〜550℃の幅広い範囲での排ガス浄化が可能となる。
例えば図2に示すように、エンジン1に連設する排気管2に450℃以上の高温域排ガス処理部3と、300〜450℃の中温域処理部4を直列に組合せて高負荷時でも有効なNOx浄化が行えるように排ガス処理装置を構成しても良い。
即ち高温域排ガス処理部3には実施例2の触媒を充填し、中温域処理部4には比較例1の触媒を充填する事により、排気ガスが450℃以上の高負荷時においては高温域排ガス処理部3で先ず第1の排ガス浄化を行うと共に、高温域排ガス処理部3通過によりある程度冷却された排気ガスが中温域処理部4に導入され第2の排ガス浄化を行う。
これにより高負荷時でも効率的な排気ガス処理が行われ、浄化性能の一層の向上が図れる。
【0021】
又、低〜中負荷時においても前記と同様に2段階の排ガス処理が行われるが、例えば高温域排ガス処理部3の間にバイパス路5と、高温域排ガス処理部3入口側に配した温度検知センサ6と、該温度検知センサ6により高温域排ガス処理部3とバイパス路5を選択的に開閉する開閉弁7を設け、高温域排ガス処理部3入口側の排気ガス温度が450℃以上の場合は温度検知センサ6の検知信号に基づきコントロールユニット8を介して開閉弁7によりバイパス路5を閉塞し、高温域排ガス処理部3を開放して前記2段階の排ガス処理を行う。
一方高温域排ガス処理部3入口側の排気ガス温度が450℃以下の場合は温度検知センサ6の検知信号に基づきコントロールユニット8を介して開閉弁7によりバイパス路5を開放し、高温域排ガス処理部3を閉塞して前記中温域処理部4に直接排ガスを導入して処理を行う。
【0022】
【発明の効果】
以上記載のごとく本発明はディーゼルエンジンのように水分及び酸素が多く含有するエンジン、又やリーンバーンエンジンのようにび酸素が多く含有するエンジンの排ガスにおいて有効にNOx浄化分解が可能で、実用に適する浄化触媒を得ることが出来る。
特に本発明は、ディーゼルエンジンやリーンバーンエンジンの排ガス処理の温度域として最も有効な400℃以上の高温域で有効な浄化性能を得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例のSO2処理したCoーゼオライト触媒の製造手順を示す。
【図2】高温域排ガス処理部中温域処理部を直列に組合せて高負荷時でも有効なNOx浄化が行えるようにした本発明の実施例に係る排ガス処理装置を示す。
【図3】排気ガス温度を100℃から600℃に変化させた場合の、実施例と比較例のNOx浄化率変化を示すグラフ図である。
【符号の説明】
ゼオライト SiO2・Al23
2 排気管
3 高温域排ガス処理部
4 中温域処理部
5 バイパス路
6 温度検知センサ
7 開閉弁

Claims (3)

  1. モルデナイト組織中にCoイオンを分散担持させた排ガス浄化触媒において、
    前記排ガス浄化触媒をSO+O混合雰囲気を含むSO含有雰囲気下で400〜600℃で熱処理して中間製造工程で生成された酸化コバルト(Co )を硫酸コバルト(CoSO )に化学変化させて前記酸化コバルトを失活させて形成したことを特徴とする排ガス浄化触媒。
  2. モルデナイト粉末とCo塩水溶液とを減圧下において100℃以下で加熱して混合撹拌した後、粉体状に乾燥させる一又は複数の粉体化工程と、
    前記粉体化工程で製造されたCo・モルデナイト粉体をSO+O混合雰囲気を含むSO含有雰囲気下で400〜600℃で焼成して中間製造工程で生成された酸化コバルト(Co )を硫酸コバルト(CoSO )に化学変化させて前記酸化コバルトを失活させる焼成工程とを含むことを特徴とする排ガス浄化触媒の製造方法。
  3. ディーゼルエンジンやリーンバーンエンジンに連設する排気管に、複数の排ガス処理部を直列に組合せてなる排ガス処理装置において、
    前記処理部の内、排気ガスが450℃以上の高温排気ガス処理部に、前記請求項2に記載の排ガス浄化触媒の製造方法によって製造された排ガス浄化触媒を充填したことを特徴とする排ガス処理装置。
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