JP3741181B2 - 酸素吸収剤及びこれを用いた嫌気性菌の培養方法 - Google Patents

酸素吸収剤及びこれを用いた嫌気性菌の培養方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、大気中での自然発火や使用中の過熱発火の危険性がないアスコルビン酸類を主剤とする酸素吸収剤に関する。さらに詳しくは、アスコルビン酸類主剤の酸素吸収組成物に熱可塑性樹脂の粒状体を混合してなる酸素吸収剤、並びにこの酸素吸収剤を用いた嫌気性菌の培養方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アスコルビン酸類を主剤とする酸素吸収剤は、食品の包装内に封入し、食品のカビ防止、酸化防止等に用いられる脱酸素剤の原料として知られている。脱酸素剤に用いられる酸素吸収剤としては、アスコルビン酸類を主剤とするものの他に、鉄粉を主剤とするものが良く知られているが、食品メーカーでは針等の金属異物混入防止のため金属探知器を使用することがあり、鉄粉主剤の脱酸素剤は金属探知器に感応するためそのような用途には用いることができず、アスコルビン酸類を主剤とした脱酸素剤が用いられる。また、アスコルビン酸類を主剤とした脱酸素剤は、吸収した酸素とほぼ同量の炭酸ガスを発生するため、包装内の容積変化が無く酸素を吸収して包装内のガス量が減少することによる外見上の変化等を嫌う食品等に使用されてきている。更に医療機関・食品メーカーなどでは、病原菌,食中毒原因菌,食品汚染菌の検査の目的で嫌気性菌の培養検査を行っているが、嫌気性菌を培養するためには、培養環境から短時間で酸素を排除し、かつ炭酸ガスが存在する雰囲気にする必要があり、アスコルビン酸類を主剤とする酸素吸収剤は、通気性に優れた包材に充填して嫌気性菌培養用のガス濃度調節剤として使用されている。
【0003】
アスコルビン酸類を用いた酸素吸収剤は、特開昭51−136845、特開昭52−10884、特開昭54−98348、特開昭54−132246、特開昭55−61914等に知られるように、アスコルビン酸類とアルカリ粉末、金属塩及び水に活性炭を混合して得られる。また、特開昭54−105288、特開昭58−51890には、アスコルビン酸類を用いた酸素吸収剤の炭酸ガス発生性能を利用した嫌気性菌の培養方法が知られている。
【0004】
アスコルビン酸類主剤の酸素吸収剤は、アスコルビン酸類の酸化反応により酸素吸収を行うので、反応の際に発熱を伴い、この発熱により更に反応が進行することにより、短時間での酸素吸収を可能としている。ところが、主剤として使用されるアスコルビン酸類は有機化合物であるため可燃物であり、また、アスコルビン酸類と混合添加される活性炭も消防法(石炭,木炭類)における指定可燃物である。したがって、大量の酸素吸収剤が、あるいは、酸素吸収剤を通気性包装袋に充填したガス濃度調節剤を大量に集積されたものが酸素吸収したり、酸素吸収剤が少量でも高い雰囲気温度で酸素吸収すると、反応熱による発熱が大きくなり、その結果、酸素吸収剤組成中の可燃物が自然発火をする恐れがあった。このため、この種の酸素吸収剤は、保管、使用、廃棄等の際の自然発火の危険を考慮して、その取扱いに十分注意する必要があった。
【0005】
また、酸素吸収剤の加熱を抑制する方法も知られている。例えば、特開平5−269376には、無機フィラーを担体とし自然発火危険性を抑制する方法が開示されているが、ここで無機フィラーを担体として使用する場合、無機フィラーによる熱の吸収が大きいため、充分な発熱が起こらず、酸素吸収反応の進行が遅れる。そのため、短時間に酸素吸収を完了するには、酸素吸収剤が大量に必要となるという欠点があった。
また、特開平3−188288に、不飽和脂肪酸を主剤とする防錆剤に加熱融解性の添加剤を加えて加熱を抑制する方法が開示されているが、ここで防錆剤は炭酸ガスを発生しないことおよび臭気などの点で、嫌気性菌培養用のガス濃度調節剤、食品等用の脱酸素剤に用いる酸素吸収剤としては使用できないものであった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来の酸素吸収剤を改良し、アスコルビン酸類を主剤として含み、活性炭を含む酸素吸収剤の優れた酸素吸収性能を保持しつつ、過熱を抑制して自然発火を防止した酸素吸収剤を得ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、上記課題を解決するための手段として、アスコルビン酸類、水および活性炭を含む酸素吸収組成物に、軟化点が90〜125℃で粒子径が1〜500μmの粒状熱可塑性樹脂を、酸素吸収組成物100重量部当たり、10〜60重量部混合してなることを特徴とする酸素吸収剤に関する。
【0008】
本発明の上記酸素吸収剤において、熱可塑性樹脂の粒状体の粒子径は、通常は1〜500μmであるが、10〜300μmであることがより好ましく、また、熱可塑性樹脂の種類は、特に制限はなく各種のものを用いることができるが、ポリエチレン,ポリプロピレン又はこれらの混合物であることが好ましい。
【0009】
本発明の酸素吸収剤は、上記の構成をとることによって、過熱による発火が防止される。すなわち、アスコルビン酸類,水および活性炭からなる酸素吸収剤は、一般に、通気性包材に被包して酸素吸収剤包装体として使用されるが、酸素吸収剤包装体を大量に集積して大気に触れたり、使用時の雰囲気温度が異常に高くなったりした際、過度の酸化反応により急激な発熱をする場合がある。酸素吸収剤が酸素と反応して温度上昇するとき或る程度急激に上昇しても、通常は、酸素吸収剤に含まれる水分が蒸発するために、90〜125℃付近で温度上昇は一旦緩やかになる。しかし、過度の発熱や加熱があると水分の蒸発が追いつかず、酸素吸収剤の温度は前記温度の範囲を越えて急激に上昇し、可燃物である活性炭が発火に至る危険性がある(図1参照)。
【0010】
しかしながら、本発明によれば、上述のアスコルビン酸類,水および活性炭からなる酸素吸収剤(酸素吸収組成物)に、熱可塑性樹脂の粒状体を添加、混合したものにすることにより、得られる酸素吸収剤は、その温度が前述したような90〜125℃付近に達すると、添加した熱可塑性樹脂が軟化し、酸素吸収剤表面を覆って酸素吸収剤の過度の酸化反応を抑制し、水分が減少した酸素吸収剤の異常な発熱を抑制することができる。また本発明の酸素吸収剤は、熱可塑性樹脂の粒状体が添加されていても正常な酸素吸収反応は阻害されず、食品の保存用の脱酸素剤、嫌気性菌の培養用のガス濃度調節剤等に好適に用いることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明においては、アスコルビン酸類としては、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ナトリウム、L−アスコルビン酸カルシウム、D−iso−アスコルビン酸ナトリウムの単独もしくはこれらの混合物が用いられる。これらアスコルビン酸類は、水溶液として活性炭に含浸させて用いるのが好ましい。アスコルビン酸類水溶液は濃度の濃い方が活性炭の使用量を少なくすることができ、アスコルビン酸類の濃度は、できるだけ飽和溶解度に近い濃度にすることが好ましく、また、必要な水分量はアスコルビン酸類の水溶液を用いることによって、十分確保される。このため、アスコルビン酸類は溶解度の高い塩が好ましく、具体的には、L−アスコルビン酸ナトリウムが好ましい。
【0012】
活性炭としては、おが粉、石炭、椰子殻等を原料として水蒸気賦活、薬品賦活、炭酸ガス賦活等の各種製法で製造された活性炭を用いることができる。また活性炭は、アスコルビン酸類等を水溶液として活性炭に担持させ顆粒状で小袋に充填して用いられるために、粒状活性炭が好ましい。粒状活性炭の粒子径は、好ましくは0.1mm〜2mm、より好ましくは0.5〜1mmである。粒状活性炭の粒子径は上記範囲より細かくなると、酸素吸収剤の流動性が悪くなり自動充填が困難となる。また、粒子径が大きすぎると酸素吸収性能が低下したり、酸素吸収剤の包装体を突き破り、内容物がこぼれ出すという問題が生じる。
【0013】
本発明の酸素吸収剤においては、必要に応じ、炭酸塩や金属化合物等の添加剤がアスコルビン酸類に加えられる。炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムの水和物等の水溶性の炭酸塩が好ましい。炭酸塩のの配合量は、アスコルビン酸類100重量部に対し、炭酸塩10〜30重量部が好ましい。金属化合物としては、塩化第1鉄、塩化第2鉄、硫酸第2鉄、硫酸第1鉄、塩化マンガン、硫酸亜鉛、硫酸銅、塩化銅の無水塩又は含水塩が好ましい。金属化合物の配合量は、アスコルビン酸類100重量部に対し、金属化合物5〜20重量部が好ましい。
【0014】
本発明の酸素吸収剤の製造方法は、特に制限はないが、上記の各成分により酸素吸収組成物を調製し、これに下記の熱可塑性樹脂の粒状体を混合する方法が好ましい。酸素吸収組成物の調製方法としては、例えば、アスコルビン酸類の水溶液に炭酸塩、金属化合物等を溶解し、この溶液を活性炭に混合、含浸させる方法、或いは、アスコルビン酸類の水溶液に金属化合物を溶解させた溶液を、炭酸塩と活性炭の混合物と混合する方法が挙げられる。
【0015】
本発明に用いられる熱可塑性樹脂は、軟化点が90〜125℃の熱可塑性樹脂が好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エラストマー、又はこれらの混合物等の熱可塑性樹脂が例示される。特に分子量10000以下の低分子量のポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類が好ましい。また、酸素吸収組成物に添加した際の臭気の影響が少ない点でも、ポリエチレンまたはポリプロピレンまたはこれらの混合物が特に好ましく用いられる。添加する熱可塑性樹脂は、軟化点が低すぎると、通常の酸素吸収反応を阻害することになる。また、樹脂の軟化点が高すぎると、酸素吸収剤の温度が前記90〜125℃を越えても樹脂が軟化せず、酸素吸収剤の過度の発熱反応を抑制することができない。
【0016】
熱可塑性樹脂は、酸素吸収組成物と混合する時に、主剤溶液を含浸した活性炭表面を効率よく覆う必要があるため、粒径1〜500μmであることが必要であり、より好ましくは、10〜300μmのものが用いられる。粒径が小さすぎると、酸素吸収剤の流動性を悪くし機械充填を困難にする。一方、粒径が大きすぎると、温度が上昇して熱可塑性樹脂が軟化したときに、効率よく酸素吸収剤表面を覆うことができないため、自然発火の危険性を抑制することができない。
【0017】
熱可塑性樹脂の配合量は、酸素吸収組成物100重量部当たり10〜60重量部であり、特に15〜40重量部が好ましい。配合量が前記の範囲より少なくなると目的の発熱抑制効果が低く、また配合量が多すぎると、樹脂によって奪われる熱量が多くなり反応の進行が遅れたり、酸素吸収剤容積が嵩張るという問題がある。熱可塑性樹脂の添加にあたっては、組成、性状、用途等に応じて、樹脂の種類、粒状体の粒子径、配合量を適宜勘案して決めればよい。
【0018】
得られた酸素吸収剤は、酸素吸収能力に優れ、金属探知器にかからず、また、吸収した酸素量とほぼ同量の炭酸ガスを発生するため、従来のアスコルビン酸系の脱酸素剤が用いられていた食品等の用途にそのまま適用でき、また、通気性に優れた包材に充填したり、大量に使った場合でも自然発火の危険性がないため、医療機関等で用いられている嫌気性菌培養用のガス濃度調節剤として好適に使用される。
【0019】
【実施例】
次に本発明を実施例により更に具体的に説明する。
実施例1及び比較例1
L−アスコルビン酸ナトリウム水溶液(濃度45重量%)100gに、硫酸第1鉄・7水塩6g及び炭酸ナトリウム・10水塩10gを溶解させ、該溶液全量を顆粒状活性炭(平均粒径0.6mm)60gに含浸させて酸素吸収剤A(比較例1)を得た。
酸素吸収剤A100gに平均粒径200μm、平均分子量2000の低分子量ポリエチレン(軟化点105℃:JISK2531)25gを添加し、混合して酸素吸収剤B(実施例1)を得た。
この酸素吸収剤A及びBについて自然発火危険性試験を行った。試験方法は、運輸省海上技術安全局により定められている「未知物質の危険性評価の試験方法及び判定基準」に準じて行い、3階段の容器等級に分類される容器等級IIに準ずる試験を行った。すなわち、槽内温度を140℃に設定した熱風循環式恒温槽の中心に1辺 2.5cmの試料容器(100メッシュの金網使用)を置き、この試料容器に充填した試料が、24時間以内に発火又は温度が200℃を超えるかどうかを試験するものである。この試験によれば、酸素吸収剤A(比較例1)は約30分で発火に至ったが、酸素吸収剤B(実施例1)は24時間経過しても恒温槽内温度である140℃を超えることなく、発火には至らなかった。これは、酸素吸収剤B(実施例1)は、温度が上昇しても発火に至る前に添加した熱可塑性樹脂が軟化して効率よく酸素吸収剤表面を覆い、適度に酸素を遮断することにより発熱が抑制され、発火点まで温度が上昇しなかったことによると考えられる。
【0020】
酸素吸収剤B(実施例1)1cc、酸素吸収剤A(比較例1)1ccを、それぞれ、有孔ポリエチレンフィルムでラミネートした和紙の通気性小袋に充填して酸素吸収包装体とし、それぞれ、ポリ塩化ビニリデン被覆ナイロン/ポリエチレンの積層フィルムのガスバリア袋に空気量150ccとともに密封し、25℃に保持し、袋内の酸素濃度及び炭酸ガス濃度の経時変化を調査した。結果を表1に示すが、酸素吸収剤Bは、熱可塑性樹脂を添加していない酸素吸収剤Aと同等の酸素吸収性能を示すことがわかる。
また、それぞれの酸素吸収剤の見掛け密度(軽装カサ比重;JISK6721)を測定したところ、酸素吸収剤Aは0.53g/cc、酸素吸収剤Bは0.52g/ccとほとんど変わりなく、ともに流動性は良好であった。
【0021】
比較例2
L−アスコルビン酸ナトリウム水溶液(濃度45重量%)100gに、硫酸第1鉄・7水塩6g及び炭酸ナトリウム・10水塩10gを溶解させ、該溶液65gを顆粒状珪藻土(平均粒径0.6mm)60gに含浸させて酸素吸収剤C(比較例2)を得た。この場合、顆粒状珪藻土60gに前記溶液65gを含浸させたところで流動性が悪くなり、これ以上含浸させることは不可能であった。また、酸素吸収剤Cの見掛け密度は0.65g/ccであった。
次に、この酸素吸収剤C1ccを、実施例1と同様に通気性小袋に充填して酸素吸収包装体とし、これを用いて実施例1と同様に酸素吸収試験を行った。結果は表1に併記したが、酸素吸収剤Cの酸素吸収能力は他の酸素吸収剤に比べ、著しく劣っていた。
【0022】
【表1】
Figure 0003741181
【0023】
比較例3
比較例1と同様に作成した酸素吸収剤A100gに、平均粒径200μm、平均分子量2000の低分子量ポリエチレン(軟化点105℃;JISK2531)5gを添加、混合して、酸素吸収剤Dを得た。酸素吸収剤Dについて、実施例1と同様に、容器等級IIの試験を実施したところ、酸素吸収剤Dは約35分で発火した。
【0024】
比較例4
比較例1と同様に作成した酸素吸収剤A100gに、平均粒径1mm、平均分子量2000の低分子量ポリエチレン(軟化点105℃;JISK2531)25gを添加、混合して、酸素吸収剤Eを得た。酸素吸収剤Eについて、実施例1と同様に、容器等級IIの試験を実施したところ、酸素吸収剤Eは約30分で発火した。
【0025】
比較例5
比較例1と同様に作成した酸素吸収剤A100gに、平均粒径200μm、平均分子量3000の低分子量ポリプロピレン(軟化点152℃;JISK2531)25gを添加、混合して、酸素吸収剤Fを得た。酸素吸収剤Fについて、実施例1と同様に、容器等級IIの試験を実施したところ、酸素吸収剤Fは約40分で発火した。
【0026】
以上の結果から明らかなように、酸素吸収剤Bと同様に熱可塑性樹脂の粒状体を添加しても、同じ樹脂でも添加量の少ない場合(酸素吸収剤D)、同じ樹脂でまた同量でも粒子径の大きい樹脂の場合(酸素吸収剤E)、軟化点の高い熱可塑性樹脂を用いた場合(酸素吸収剤F)、それぞれ、添加効果が低く、発熱を抑制できないために発火した。
【0027】
実施例2
実施例1に調製した酸素吸収剤B2gを、有孔ポリエチレンフィルムをラミネートした和紙の小袋に充填して酸素吸収包装体を準備した。次にポリ塩化ビニリデン被覆ナイロン/ポリエチレンの積層フィルムのガスバリア袋に、カステラ200gと前記酸素吸収包装体1個を入れ空気量150ccとともに密封して、室温下に2週間保存した。袋内の酸素濃度は、1日後には0.1%以下になったことが確認され、2週間後に開封してカステラの風味を観察したところ、良好であり、カステラの品質は保持されていた。
【0028】
実施例3及び比較例6
実施例1の酸素吸収剤B及び比較例1の酸素吸収剤Aを、それぞれ、有孔ポリエチレンフィルムでラミネートした和紙で作成した袋(100×140mm)に20gずつ充填し、ガス濃度調節剤B(実施例3)及びガス濃度調節剤A(比較6)とした。
GAM寒天培地(日水製薬)に生育した、Clostridium boturinum (供試菌No1と記す)の1白金耳を、L−システィン等を加えて酸化還元電位を低下させた嫌気性菌用希釈液(以下希釈液と記す)9mlに懸濁し、更に10倍ごとの希釈により、107 までの希釈液を調製した。
プラスチック製シャーレに分注固化したGAM寒天培地に、各希釈液0.1mlを2枚ずつ接種し、1枚はガス濃度調節剤B(実施例3)とともに、もう1枚はガス濃度調節剤Aとともに、ガスバリアー性フィルム(ポリ塩化ビニリデン被覆ナイロン/ポリエチレン)袋に、それぞれ空気量2500mlとして密封した。 Bacteroides fragilis(供試菌No2)および、Propionibacterium acnes (供試菌No3)についても、同様に、ガス濃度調節剤B及びAとともに、ガスバリアー性フィルム袋に密封した。
上記の、嫌気性菌を接種した培地およびガス濃度調節剤を密封したガスバリア性フィルム袋は、37℃で3日間保持して培養を行った後、開封して寒天培地上に出現したコロニーの数と径の大きさを測定した。
結果は、表2に示すように、いずれの菌株においても、実施例3のガス濃度調節剤Bを用いたものは、嫌気性菌は良好な生育を示し、比較例6のガス濃度調節剤Aを用いたものと比較して、同等の嫌気性菌の生育支持能力がみられた。
【0029】
【表2】
Figure 0003741181
【0030】
【発明の効果】
本発明の酸素吸収剤は、大量に集積されたり、雰囲気温度が異常に高くなったりしても、自然発火の危険性が極めて低く、安全な酸素吸収剤であり、その酸素吸収能や流動性等の性能も、従来のアスコルビン酸類主剤の酸素吸収剤と変わらず、酸素吸収剤包装体としてコンパクトに収納でき、実用性に優れた酸素吸収剤である。特に本発明の酸素吸収剤は、酸素吸収剤包装体として1袋当たりの酸素吸収剤量が多く、比較的多量に酸素吸収剤を使用する嫌気性菌培養用のガス濃度調節剤に好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】「未知物質の危険性評価の試験方法及び判定基準」容器等級IIの試験における酸素吸収剤の温度変化を示す。

Claims (4)

  1. アスコルビン酸類、水および活性炭を含む酸素吸収組成物に、軟化点が90〜125℃で粒子径が1〜500μmの粒状熱可塑性樹脂を、酸素吸収組成物100重量部当たり、10〜60重量部混合してなることを特徴とする酸素吸収剤。
  2. 熱可塑性樹脂が、ポリエチレン,ポリプロピレン又はこれらの混合物である請求項1記載の酸素吸収剤。
  3. 請求項1の酸素吸収剤を通気性包材に充填してなる嫌気性菌培養用ガス濃度調節剤。
  4. 請求項3のガス濃度調節剤の存在下で嫌気性菌を培養することを特徴とする嫌気性菌の培養方法。
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