JP5714790B2 - 雰囲気調整剤及びそれを用いた細胞培養方法 - Google Patents

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本発明は、雰囲気調整剤およびアルデヒド除去剤を使用した細胞培養方法に関する。
生物、生殖又はバイオテクノロジーの研究分野または産業分野において実施される組織・細胞のような生物試料の培養では大気雰囲気と異なるガス環境が必要とされる。
例えば生細胞観察を長時間連続して行う場合、培養液中の生細胞を通常培養温度で一定に保持するとともに培養液のpHも一定に保持する必要がある。その際、例えば、重炭酸塩緩衝系培養液のpHを血液の通常状態と同じpH7.4に保持するための条件は雰囲気二酸化炭素濃度を5%程度にすることである。
また、多くの研究分野で細胞の低酸素培養が注目されている。具体的には生体内と同様の低酸素雰囲気下で細胞培養を行うことで生体内と同様の生化学反応や血管新生に関連した低酸素誘導因子(HIF)などの遺伝子を誘導したり、細胞の増殖・分化を促進したりする効果が確認されている。また、血流の停止による臓器不全を再現する虚血再灌流実験モデルでも細胞や組織を一定時間無酸素下に置くことで細胞内での機序が詳細に研究されている。さらに、ヒト細胞を用いた薬剤感受性試験では無酸素下で還元雰囲気下を作り出して薬剤代謝試験が実施されている。
このような生物試料の培養では、所定のガス環境をCOインキュベーターやマルチガスインキュベーターを用いて作成し、その中に入れた通気性のある通常の培養容器で細胞培養を行う。この際、培養容器としては、一般にマルチウェルプレートやフラスコ、シャーレ、チャンバースライド、培養バッグ等が使用される。
複数の試料を並行して取り扱う場合に異種試料の混入(クロスコンタミネーション:交差汚染)の危険性が常に存在するが、インキュベーター内に多数の試料を共存させることでクロスコンタミネーションの危険性が高まることが懸念されている。そのため複数の試料室を有するインキュベーターが開発されているが、高価につくことから導入できる施設が制限される。また高圧ガスの管理上の問題からインキュベーターの導入が制限されることもある。
上記の理由で所定のガス環境を形成するためにインキュベーターに代わって密閉容器とそれに投入する雰囲気調整剤を利用する方法も用いられる。従来、雰囲気調整剤を用いて嫌気・微好気培養する際に、水とホウ酸ナトリウムを主剤とした雰囲気調整剤が多用されてきた。近年安全性と作動の確実性から雰囲気調整剤の主流はアスコルビン酸を主剤とした製品に移行してきている。
アスコルビン酸類を主剤とした酸素吸収剤は、例えば特許文献1に開示されているようにアスコルビン酸類と金属塩、活性炭及び水を混合して得られる。また特許文献2に開示されているようにアルカリ土類金属水酸化物との混合により発生する炭酸ガスの量、ひいては一定容積の容器内の炭酸ガス濃度をコントロールすることが可能である。特許文献3に記載のように対象とする生物材料に応じて適当な酸素、炭酸ガス濃度を形成しうる雰囲気調整剤が開発され使用されてきた。
有機物を主成分とした雰囲気調整剤は、反応の際に微量な副生成分を発生することがあり、そのような副生成分が対象とする生物種や使用条件によって成育に影響する可能性があることが懸念されていた。
特開平10−314581号公報 特開平10−327845号公報 特開平09−252766号公報
本発明は上記の雰囲気調整剤を用いた簡易培養技術の上記問題点を解決するため、副生成分の影響を低減する細胞培養方法を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、実際に副生する物質としてアルデヒド類が存在し、放散されるアルデヒドは微量であるが数日間の暴露により水相である培地にアルデヒドが徐々に移行する場合があることを発見し、さらにアルデヒド除去剤を同時に投入することにより培地へのアルデヒドの移行を抑制することが可能であることを見出した。
すなわち本発明は、有機物を主剤とする雰囲気調整剤、アルデヒド除去剤並びに細胞及び培地を収容した培養容器を、ガスバリア性密閉容器内に設置し、該密閉容器内の酸素濃度を18%以下、炭酸ガス濃度を2%以上10%以下として細胞を培養することを特徴とする細胞培養方法である。
また本発明の細胞培養方法においては、前記有機物が、アスコルビン酸類であること、ガスバリア性密閉容器内に、イオン交換水が収容された開放型の容器がさらに設置され、培養期間中、該イオン交換水中へ移行するアルデヒド濃度が、2.0mg/Lを超えないことが好ましい。
本発明により、アルデヒドに感受性の高い細胞株に対してもクロスコンタミネーションの危険が低減された細胞培養環境を安価な設備で構築することが可能となった。
本発明における雰囲気調整剤とは、大気下で酸素と化学反応することにより、ガスバリア性密閉容器内の酸素濃度及び炭酸ガス濃度を対象とする細胞の成育に適した特定の範囲、例えば酸素濃度を18%以下、炭酸ガス濃度を2%以上10%以下に調整させ得るものである。本発明の雰囲気調整剤は、酸素吸収反応の主剤となる有機物の他、水、多孔質担体及び金属化合物を含有し、さらに、反応場の制御を目的として炭酸塩またはアルカリ土類金属水酸化物を含有する。
酸素吸収反応の主剤としては炭酸ガス発生能を併せ持つ有機物が用いられ、中でもアスコルビン酸類が有効である。
アスコルビン酸類を主剤とした場合には、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ナトリウム、L−アスコルビン酸カルシウム、D−iso−アスコルビン酸ナトリウムの単体もしくはこれらの混合物が用いられる。これらアスコルビン酸類は水溶液として活性炭等の多孔質担体に含浸させて用いることが好ましい。アスコルビン酸塩の水溶液は濃度の濃い方が多孔質担体の使用量を少なくすることができるため、アスコルビン酸類の濃度は、できるだけ飽和溶解度に近い濃度にすることが好ましい。また、酸素吸収反応に必要な水分量はアスコルビン酸類の水溶液を用いることによって充分確保される。このためアスコルビン酸類は溶解度の高い塩が好ましく、具体的にはL−アスコルビン酸ナトリウムが好ましい。L−アスコルビン酸ナトリウムを使用した場合、該水溶液の濃度を40〜55重量%とすることが好適である。
多孔質担体としては、活性炭の他、珪藻土、シリカゲル、ゼオライト、パーライト、珪酸カルシウム、軽石、セルロース、活性白土、アルミナ、ヒドロキシアパタイト、多孔質樹脂、多孔質ガラス等が例示できる。活性炭を用いる場合、おが粉、石炭、椰子殻等を原料として水蒸気賦活、炭酸ガス賦活等の各種製法で製造された活性炭を用いることができる。また活性炭は、アスコルビン酸類等を水溶液として活性炭に担持させ顆粒状で小袋に充填して用いられるために、粒状活性炭が好ましい。粒状活性炭の粒子径は、好ましくは0.1mm〜2mm、より好ましくは0.5〜1mmである。粒状活性炭の粒子径は上記範囲より細かくなると、雰囲気調整剤の流動性が悪くなり自動充填が困難となる。また、粒子径が大きすぎると酸素吸収性能が低下したり、包装体を突き破り、内容物がこぼれ出したりという問題が生じる。
本発明の細胞培養方法で用いられる雰囲気調整剤には、酸素吸収反応に対して触媒作用を有する金属化合物が加えられる。金属化合物としては、塩化第1鉄、塩化第2鉄、硫酸第1鉄、硫酸第2鉄、塩化マンガン、硫酸亜鉛、硫酸銅、塩化銅の無水塩又は含水塩が好ましい。金属化合物の配合量は、アスコルビン酸類100重量部に対し金属化合物5〜20重量部が好ましい。
本発明の細胞培養方法で用いられる雰囲気調整剤においては、反応を迅速に進行させるため、反応場をアルカリ領域に制御する炭酸塩を加えることができる。炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムの水和物等水溶性の炭酸塩が好ましい。炭酸塩の配合量は、アスコルビン酸類100重量部に対し炭酸塩10〜30重量部が好ましい。
本発明の細胞培養方法で用いられる雰囲気調整剤においては、炭酸ガス濃度を制御するため、上記の炭酸塩に代えて炭酸ガス吸収剤としてアルカリ土類金属水酸化物が使用されることがある。特に水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムまたはこれらの混合物が好適に用いられる。アルカリ土類金属水酸化物は、平均粒径1〜100μmの粉体が好ましく用いられ、平均粒径が2〜50μmの粉体がより好ましく用いられる。アルカリ土類金属水酸化物の配合量は、活性炭にアスコルビン酸類、金属塩及び水を含浸させた雰囲気調整剤100重量部に対して5〜25重量部が必要である。この量より少ない場合酸素吸収及び炭酸ガス発生が迅速に行われない。また配合量が多すぎると炭酸ガス濃度が低くなりすぎるばかりでなく、酸素吸収速度の低下につながり雰囲気調整剤を多量に要することになる。
これらの成分は固体のまま配合若しくは水溶液として活性炭、珪藻土、ゼオライト等の多孔質担体に担持されて用いられるが、放出されたアルデヒドの再吸着効果を有する後者の形態がより好適に用いられる。
この他、酸素吸収反応の進行に伴う、雰囲気調整剤の過度の発熱を抑制するために、雰囲気調整剤に対して熱可塑性樹脂の粒状体を配合することが好ましい。使用される熱可塑性樹脂は1〜500μmの粒子系が好ましく、10〜300μmのものがより好ましい。熱可塑性樹脂の軟化点は90〜125℃が好ましく、種類に特に制限はないがポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エラストマー、又はこれらの混合物が使用できるが、特に分子量10000以下の低分子量ポリエチレン、ポリプロピレンまたはこれらの混合物が好適に用いられる。軟化点が低すぎると雰囲気調整剤の正常な反応を阻害する一方、軟化点が高すぎると雰囲気調整剤の過度の発熱を抑制することができない。
これらの雰囲気調整剤は、通気性を有する包装材料に収納される。通気性包材は、酸素と炭酸ガスを透過するものであれば良く、酸素透気度300mL/(h・m)以上かつ炭酸ガス透気度が300mL/(h・m)以上の包材が好ましい。包装材料としてはたとえば紙、不織布、有孔フィルムおよびそれらの積層物が用いられる。
上記の雰囲気調整剤包装体はその機能を長期間維持するため、使用前はガスバリア性の容器や袋に収納されており、使用するにあたりガスバリア性の容器や袋から取り出して用いられる。
本発明の細胞培養方法で使用されるアルデヒド除去剤は、常温でアルデヒド類と反応しうる化合物を主剤として構成される。このような化合物として、アミン類、アミド類、イミド類、アミノ酸類、ヒドラジン誘導体、過酸化物の他、鉱物セピオライトの様なアルデヒド吸収能を有する天然物、活性炭等の吸着剤、パラジウムのような金属触媒、アルデヒド分解能を有する酵素類などから選択され、これらを単独もしくは混合して用いることができる。なかでも、アミン類、ヒドラジン誘導体等が好適に用いられ、エチレン尿素、スルファニル酸、アミノグアニジン等が特に好適に用いられる。
アルデヒド除去剤には、主剤の他、主剤とアルデヒド類の反応を妨げない範囲で、主剤を担持させる多孔質担体や流動性を向上させる分散剤などを添加しても構わない。多孔質担体としては雰囲気調整剤に使用されるものと同じものを用いることができるが、アルデヒド吸着能を有する活性炭が好ましく用いられる。
ガスバリア性密閉容器内にアルデヒド除去剤を投入する方法としては、アルデヒド除去剤を充填した包装体を雰囲気調整剤とは別個の包装体として投入する方法の他、雰囲気調整剤に直接配合する方法、多孔質担体に担持させて雰囲気調整剤と混合する方法のいずれを選択しても良い。系内で必要とされるアルデヒド除去剤の量は、目的とする細胞や培養容器の形状、容積、数量により異なるが、ガスバリア性密閉容器内に設置された開放型の容器内に収容したイオン交換水へ、培養期間中に移行するアルデヒドの濃度が、2.0mg/L、好ましくは1.6mg/Lを超えない様に使用量を設定することが好ましい。
本発明の細胞培養方法によれば、予めガスバリア性密閉容器内にアルデヒド除去剤を同梱することにより、副生するアルデヒド類の培地への移行を抑制することで細胞への悪影響を回避することができる。
本発明の細胞培養方法で用いられるガスバリア性密閉容器は、その内外の気体の流通を妨げ、投入した雰囲気調整剤により形成された酸素、炭酸ガス濃度を長期間保持するものである。ガラス、金属、ポリカーボネート等で構成された容器が良く用いられるが、ガスバリア性フィルム及びその積層物を使用することも可能である。
本発明の細胞培養方法で用いられる培養容器は、容器外との通気性が確保されていれば特に制限はなく、容積、形状、材質等いずれも培養に適した任意のものを採用することができる。また、蓋部を有する培養容器が好ましく用いられるが、この際も、容器外との通気性を確保する必要がある。
本発明の細胞培養方法で用いられる培地に特に制限はなく、一般的に使用されているものがそのまま適用できるため、培養する細胞に適した培地を自由に選択できる。
本発明の細胞培養方法は、細胞及び培地を収容した培養容器と共に、有機物を主剤とする雰囲気調整剤及びアルデヒド除去剤、或いはアルデヒド除去剤が配合された有機物を主剤とする雰囲気調整剤を、ガスバリア性密閉容器内に設置後、密封し、該密閉容器を細胞培養に好適な温度下に静置することで実施できる。この際、ガスバリア性密閉容器内で発生したアルデヒドの発生量を測定する目的で、該密閉容器内にイオン交換水を収容した開放型の容器を設置しても構わない。開放型の容器としては培養容器の他、ビーカー、フラスコなどが例示でき、細胞及び培地を収容した培養容器と同型の培養容器であることが好ましい。
細胞及び培地を培養容器に収容する方法としては、予め細胞を播種した培地を培養容器に収容する方法や、培養容器に培地のみを収容した後、培地に対して細胞を播種する方法など、使用する細胞や培地の種類に応じて任意の方法を採用することができる。
以下に実施例をあげて本願発明を詳細に説明するが、本願発明はこれによって限定されるものではない。
以下の実施例・比較例・参考例では下記に示す「細胞」、「培地」、「培養容器」をそれぞれ使用した。
1.細胞
ヒト腎臓由来細胞(Tig−3−20:ヒューマンサイエンス振興財団研究資源バンクより分譲 資源番号JCRB0506 ロット番号R034)
2.培地
MEM培地(製品名;GIBCO社製 11095−080(MEM Earle’s liquid))
3.培養容器
60mm径ディッシュ(製品名;AGCテクノグラス社製 IWAKI3010−060 60mm/Tissue Culture Dish)
(実施例1)
L−アスコルビン酸ナトリウム水溶液(濃度45重量%)100gに硫酸第一鉄・7水塩6g及びアルデヒド除去剤であるエチレン尿素0.3gを溶解させ、水溶液を顆粒状活性炭(平均粒径0.6mm)60gに含浸させた後、低分子量ポリエチレン70g及び炭酸ナトリウム・10水塩20gを添加混合してアルデヒド除去剤が配合された酸素吸収・炭酸ガス発生剤(A)を得た。
有孔ポリエチレンフィルムでラミネートした和紙の縦90mm×横55mm通気性小袋に(A)を5g充填してアルデヒド除去剤が配合された酸素吸収・炭酸ガス発生包装体(A’)とした。
アルデヒド除去剤が配合された酸素吸収・炭酸ガス発生包装体(A’)と1.0×10個/mLまたは5.0×10個/mLの細胞密度でヒト腎臓由来細胞を播種した10%牛胎児血清(以下、FBSと表記する)添加MEM培地5mL入り60mm径ディッシュ各2枚を、イオン交換水5mL入り60mm径ディッシュ2枚と共に容積2500mLのポリカーボネート製ガスバリア性密閉容器に装填した。37℃で3日間培養した後、細胞数を測定し、イオン交換水に移行したアルデヒド濃度をMBTH法(3−メチル−2−ベンゾチアゾリノンヒドラゾン比色法、(株)共立理化学研究所 アルデヒド測定試薬LR−FOR)にて測定した。それら結果を、細胞培養後の密閉容器内の酸素濃度及び炭酸ガス濃度と共に表1に記載する。表1から、培養後の細胞数が10倍以上に増加したことが認められる。
(実施例2)
L−アスコルビン酸ナトリウム水溶液(濃度45重量%)100gに硫酸第一鉄・7水塩6g及び炭酸ナトリウム・10水塩20gを溶解させ、水溶液を顆粒状活性炭(平均粒径0.6mm)60gに含浸させ、低分子量ポリエチレン70gを添加混合して酸素吸収・炭酸ガス発生剤(B)を得た。
有孔ポリエチレンフィルムでラミネートした和紙の縦通気性小袋90mm×横55mmに(B)を5g充填して酸素吸収・炭酸ガス発生包装体(B’)とした。
市販の低級アルデヒド吸着剤アルデナイト(日本エンバイロケミカルズ株式会社製アルデヒド吸着剤 以下アルデナイト)2.0gを有孔ポリエチレンフィルムでラミネートした和紙の通気性小袋縦90mm×横55mmに充填してアルデヒド除去包装体(C)とした。
酸素吸収・炭酸ガス発生包装体(B’)及びアルデヒド除去包装体(C)と、1.0×10個/mLまたは5.0×10個/mLの細胞密度でヒト腎臓由来細胞を播種した10%FBS添加MEM培地5mL入り60mm径ディッシュ各2枚を、イオン交換水5mL入り60mm径ディッシュ2枚と共に容積2500mLのポリカーボネート製ガスバリア性密閉容器に装填した。37℃で3日間培養した後、細胞数を測定し、イオン交換水に移行したアルデヒド濃度をMBTH法にて測定した。それら結果を、細胞培養後の密閉容器内の酸素濃度及び炭酸ガス濃度と共に表1に記載する。表1から、培養後の細胞数が10倍以上に増加したことが認められる。
(比較例1)
有孔ポリエチレンフィルムでラミネートした和紙の通気性小袋90mm×横55mmに実施例2で得られた酸素吸収・炭酸ガス発生剤(B)を5g充填して酸素吸収・炭酸ガス発生包装体(B’)とした。
酸素吸収・炭酸ガス発生包装体(B’)と1.0×10個/mLまたは5.0×10個/mLの細胞密度でヒト腎臓由来細胞を播種した10%FBS添加MEM培地5mL入り60mm径ディッシュ各2枚を、イオン交換水5mL入り60mm径ディッシュ2枚と共に容積2500mLのポリカーボネート製ガスバリア性密閉容器に装填した。37℃で3日間培養した後、細胞数を測定し、イオン交換水に移行したアルデヒド濃度をMBTH法にて測定した。その結果を、細胞培養後の密閉容器内の酸素濃度及び炭酸ガス濃度と共に表1に記載する。アルデヒド除去剤を使用せず細胞を培養した結果、細胞数の増加は2〜5倍程度に留まった。
(参考例1)
1.0×10個/mLまたは5.0×10個/mLの細胞密度でヒト腎臓由来細胞を播種した10%FBS添加MEM培地5mL入り60mm径ディッシュ各2枚を、イオン交換水5mL入り60mm径ディッシュ2枚と共に酸素18%炭酸ガス5%に設定したマルチガスインキュベーターに装填し、37℃で3日間培養した後、細胞数を計測した。それら結果を表1に記載する。アルデヒドの発生源である酸素吸収・炭酸ガス発生包装体を使用せず、マルチガスインキュベーターを使用して細胞を培養した結果、アルデヒド除去剤を併用した実施例1及び2と同程度の細胞数の増加が見られた。
Figure 0005714790
有機物を主剤とする雰囲気調整剤とアルデヒド除去剤を併用する本発明の細胞培養方法は、マルチガスインキュベーターを使用した場合と同等の細胞培養結果を得ることができる、簡便且つ経済的な細胞培養方法である。

Claims (2)

  1. アスコルビン酸類を主剤とする雰囲気調整剤、エチレン尿素、スルファニル酸及びアミノグアニジンからなる群より選択される少なくとも1種以上のアルデヒド除去剤並びに細胞及び培地を収容した培養容器を、ガスバリア性密閉容器内に設置し、該密閉容器内の酸素濃度を18%以下、炭酸ガス濃度を2%以上10%以下として細胞を培養することを特徴とする細胞培養方法。
  2. ガスバリア性密閉容器内に、イオン交換水が収容された開放型の容器がさらに設置され、培養期間中に該イオン交換水中へ移行するアルデヒド濃度が、2.0mg/Lを超えない請求項1記載の細胞培養方法。
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