JP2015002721A - 培養細胞格納容器及びそれを用いた細胞の輸送及び/又は保管方法 - Google Patents

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朋樹 青山
Tomoki Aoyama
朋樹 青山
明良 伊藤
Akira Ito
明良 伊藤
辰雄 岩井
Tatsuo Iwai
辰雄 岩井
美帆 酒井
Miho Sakai
美帆 酒井
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Abstract

【課題】再生医療に用いられる細胞の輸送及び/又は保管中、細胞の活性を容易に維持可能な培養細胞格納容器を提供する。
【解決手段】
格納容器1と、格納容器の内部の酸素濃度を7体積%以下又は2体積%以下にする雰囲気調整剤2と、格納容器に格納される、細胞が培養される培養容器3と、を備える、培養細胞格納容器であって、所定の時間培養後の細胞のp16遺伝子の発現量が、雰囲気の酸素濃度が21体積%である場合の細胞のp16遺伝子の発現量と比較して少ない、細胞輸送及び/又は保管用の培養細胞格納容器。
【選択図】図1

Description

本発明は、医療技術に関し、培養細胞格納容器及びそれを用いた細胞の輸送及び/又は保管方法に関する。
再生医科学の分野では、ヒト由来物質や動物由来物質を用いて患者の治療を行うことが研究されており、一部では実用化もなされている。例えば、患者から採取した細胞や血液などを、増殖・分化させた上で患者に移植することで組織の再生を図るというような試みがなされている。
ところで、細胞を採取した後や、増殖・分化させた後などにおいて、これらの細胞を施設間で輸送及び/又は保管することが必要になる場合がある。即ち、病院などで患者から採取した細胞を、増殖・分化させるために研究施設などに輸送したり、研究施設などで増殖・分化された細胞を患者の居る病院へ輸送したりすることが必要となる。また、輸送の前後において、細胞を保管することが必要になる場合もある。
一方で、病院などで患者から採取した細胞を、増殖・分化させるために研究施設などに輸送する間、もしくは、増殖・分化させた細胞を患者の居る病院へ輸送する間に、二酸化炭素濃度や酸素濃度などのガス濃度の環境管理がなされていないと、増殖・分化を行った培養環境から二酸化炭素濃度が変化し、これに伴い、培養液のpHが変化したり、酸素濃度が変化したりして、細胞にストレスを与え、悪影響を及ぼすことになる。保管時においても同様である。
この課題を解決するため、二酸化炭素供給ポンプと二酸化炭素供給タンクにより、0〜100(体積%)の範囲内で二酸化炭素の濃度を調節する細胞運搬容器が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2005−124556号公報
しかし、特許文献1に開示された容器は、酸素濃度を調整する際には酸素の供給タンクが必要となり、簡便かつ安価に細胞を輸送できない。そこで、本発明は、培養細胞の輸送及び/又は保管中、細胞の活性を容易に維持可能な培養細胞格納容器及びそれを用いた細胞の輸送及び/又は保管方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究の結果、細胞の輸送及び/又は保管中に、細胞周期に係るp16遺伝子の発現を抑制することにより、細胞の活性を容易に維持可能であることを見出した。係る本発明者らの知見に基づく本発明の第1の態様は、(a)格納容器と、(b)格納容器の内部の酸素濃度を7体積%以下にする雰囲気調整剤と、(c)格納容器に格納される、細胞が培養される培養容器と、を備える、(d)培養細胞格納容器であって、(e)72時間培養後の細胞のp16遺伝子の発現量が、雰囲気の酸素濃度が21体積%である場合の細胞のp16遺伝子の発現量と比較して少ない、(f)細胞輸送及び/又は保管用の培養細胞格納容器であることを要旨とする。
本発明の第1の態様において、例えば、雰囲気調整剤による格納容器内部の酸素濃度が7体積%以下であり、細胞のp16遺伝子の発現量が、酸素濃度が21体積%である場合と比較して75%以下である。また、本発明の第1の態様において、例えば、雰囲気調整剤による格納容器内部の酸素濃度が2体積%以下であり、細胞のp16遺伝子の発現量が、酸素濃度21体積%である場合と比較して25%以下である。
本発明の第2の態様は、(a)格納容器と、(b)格納容器の内部の酸素濃度を2体積%以下にする雰囲気調整剤と、(c)格納容器に格納される、細胞が培養される培養容器と、を備える、(d)培養細胞格納容器であって、(e)24時間培養後の細胞のp16遺伝子の発現量が、雰囲気の酸素濃度が21体積%である場合の細胞のp16遺伝子の発現量と比較して少ない、(f)細胞輸送及び/又は保管用の培養細胞格納容器であることを要旨とする。
本発明の第2の態様において、例えば、雰囲気調整剤による格納容器内部の酸素濃度が2体積%以下であり、細胞のp16遺伝子の発現量が、酸素濃度21体積%である場合と比較して50%以下である。
本発明の第1及び第2の態様において、例えば、雰囲気調整剤が、アスコルビン酸類と、水と、多孔性担体と、アルデヒド除去剤と、遷移金属触媒、及び/又はアルカリ土類金属水酸化物と、を含み、アルデヒド除去剤が、エチレン尿素、尿素、アルギニン、リジン塩酸塩、又はポリアリルアミンである。
本発明の第1及び第2の態様において、例えば、細胞が再生医療用細胞である。あるいは、例えば、細胞が間葉系幹細胞及び/又はiPS細胞である。またあるいは、例えば、細胞が創薬又は薬物感受性試験用の皮膚細胞である。
本発明の第1及び第2の態様において、例えば、雰囲気調整剤が、格納容器の内部の二酸化炭素濃度を、72時間の間、2〜10体積%にする。また、例えば、雰囲気調整剤が、格納容器の内部の酸素濃度を、72時間の間、目標濃度の±2体積%にする。
本発明の第1及び第2の態様において、例えば、培養細胞格納容器が、培養容器を覆う隔離膜であって、気体を透過させ、液体を実質的に透過させない隔離膜を更に備える。
本発明の第3の態様は、(a)格納容器、格納容器の内部の酸素濃度を7体積%以下にする雰囲気調整剤、及び格納容器に格納される、細胞が培養される培養容器を備える培養細胞格納容器を用意することと、(b)培養容器に細胞を播種し、培養細胞格納容器で細胞を輸送及び/又は保管することと、を含む、(c)細胞の輸送及び/又は保管方法であって、(d)72時間培養後の細胞のp16遺伝子の発現量が、雰囲気の酸素濃度が21体積%である場合の細胞のp16遺伝子の発現量と比較して少ない、方法であることを要旨とする。
本発明の第3の態様において、例えば、雰囲気調整剤による格納容器内部の酸素濃度が7体積%以下であり、細胞のp16遺伝子の発現量が、酸素濃度が21体積%である場合と比較して75%以下である。また、本発明の第3の態様において、例えば、雰囲気調整剤による格納容器内部の酸素濃度が2体積%以下であり、細胞のp16遺伝子の発現量が、酸素濃度21体積%である場合と比較して25%以下である。
本発明の第4の態様は、(a)格納容器、格納容器の内部の酸素濃度を2体積%以下にする雰囲気調整剤、及び格納容器に格納される、細胞が培養される培養容器を備える培養細胞格納容器を用意することと、(b)培養容器に細胞を播種し、培養細胞格納容器で細胞を輸送及び/又は保管することと、を含む、(c)細胞の輸送及び/又は保管方法であって、(d)24時間培養後の細胞のp16遺伝子の発現量が、雰囲気の酸素濃度が21体積%である場合の細胞のp16遺伝子の発現量と比較して少ない、方法であることを要旨とする。
本発明の第4の態様において、例えば、雰囲気調整剤による格納容器内部の酸素濃度が2体積%以下であり、細胞のp16遺伝子の発現量が、酸素濃度21体積%である場合と比較して50%以下である。
本発明の第3及び第4の態様において、例えば、雰囲気調整剤が、アスコルビン酸類と、水と、多孔性担体と、アルデヒド除去剤と、遷移金属触媒、及び/又はアルカリ土類金属水酸化物と、を含み、アルデヒド除去剤が、エチレン尿素、尿素、アルギニン、リジン塩酸塩、又はポリアリルアミンである。
本発明の第3及び第4の態様において、例えば、細胞が再生医療用細胞である。あるいは、例えば、細胞が間葉系幹細胞及び/又はiPS細胞である。またあるいは、例えば、細胞が創薬又は薬物感受性試験用の皮膚細胞である。
本発明の第3及び第4の態様において、例えば、雰囲気調整剤が、格納容器の内部の二酸化炭素濃度を、72時間の間、2〜10体積%にする。また、例えば、雰囲気調整剤が、格納容器の内部の酸素濃度を、72時間の間、目標濃度の±2体積%にする。
本発明の第3及び第4の態様において、例えば、培養細胞格納容器が、培養容器を覆う隔離膜であって、気体を透過させ、液体を実質的に透過させない隔離膜を更に備える。
本発明によれば、培養細胞の輸送及び/又は保管中、細胞の活性を容易に維持可能な培養細胞格納容器及びそれを用いた細胞の輸送及び/又は保管方法を提供可能である。
本発明の実施の形態に係る培養細胞格納容器の模式図である。 本発明の実施例に係るp16遺伝子の発現量を示すグラフである。
以下に本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号で表している。但し、図面は模式的なものである。したがって、具体的な寸法等は以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
図1に示すように、実施の形態に係る培養細胞格納容器は、格納容器1と、格納容器1の内部の酸素濃度を7体積%以下又は2体積%以下にする雰囲気調整剤2と、格納容器1に格納される、細胞が培養される培養容器3と、を備える培養細胞格納容器であって、細胞のp16遺伝子の発現を抑制する、培養細胞格納容器である。
格納容器1は、内部と外部との間で気体を実質的に連通させない密閉容器である。したがって、格納容器1内部に配置された雰囲気調整剤2によって、格納容器1内部の酸素濃度を一定に長時間保つことが可能となる。格納容器1の材料としては、ガラス、金属、及びポリカーボネート等の樹脂が使用可能である。また、単層あるいは多層のガスバリア性フィルムも、格納容器1の材料として使用可能である。格納容器1の好ましい材料は、γ線滅菌可能な物質である。
雰囲気調整剤2は、格納容器1の内部に配置され、例えば少なくとも72時間、格納容器1の内部の酸素濃度を7体積%以下、好ましくは5体積%以下、より好ましくは2体積%以下、さらに好ましくは0.1体積%以下にする。格納容器1の内部の酸素濃度が7体積%を超えると、培養容器3で培養される細胞において、細胞周期に係るp16遺伝子の発現が亢進し、細胞の増殖能が低下する傾向にある。好ましくは、雰囲気調整剤2は、例えば少なくとも72時間、格納容器1の内部の酸素濃度を目標濃度の±2体積%にする。
また、雰囲気調整剤2は、例えば少なくとも72時間、格納容器1の内部の二酸化炭素濃度を2以上10体積%以下、好ましくは3以上7体積%以下、より好ましくは5体積%にする。一般的な細胞培養では、培養液のpHを一定に維持することが好ましい。ここで、二酸化炭素―炭酸水素ナトリウムのpH緩衝系を利用した培養液を用いる場合、二酸化炭素濃度が7体積%を超えると、培養液のpHを7.4に維持することが困難になる傾向にある。
雰囲気調整剤2は、例えば、アスコルビン酸類と、水と、多孔性担体と、アルデヒド除去剤と、遷移金属触媒及び/又はアルカリ土類金属水酸化物と、を含む。アルデヒド除去剤は、例えば、エチレン尿素、尿素、アルギニン、リジン塩酸塩、又はポリアリルアミンである。
雰囲気調整剤2は、好ましくは、100質量部のアスコルビン酸類と、100〜200質量部の水と、50〜400質量部の多孔性担体と、0.5〜25質量部のアルデヒド除去剤と、20〜55質量部のアルカリ土類金属水酸化物と、を含む。当該組成により、雰囲気調整剤2は、格納容器1の内部の酸素濃度を1〜7体積%にし、二酸化炭素濃度を2〜10体積%にする。
雰囲気調整剤2は、より好ましくは、100質量部のアスコルビン酸類と、100〜200質量部の水と、50〜400質量部の多孔性担体と、0.5〜25質量部のアルデヒド除去剤と、5〜25質量部の遷移金属元素と、1〜10質量部の水酸化マグネシウムと、20〜40質量部の水酸化カルシウムと、を含む。当該組成により、雰囲気調整剤2は、格納容器1の内部の酸素濃度を2体積%以下、好ましくは0.1体積%以下にし、二酸化炭素濃度を2〜10体積%にする。
雰囲気調整剤2は、例えば、通気性の包装材で包装されている。雰囲気調整剤2の製造方法は、例えば、国際公開2011/065363号に記載されている。また、三菱ガス化学株式会社製のカルチャーパルシリーズが、雰囲気調整剤2として使用可能である。
細胞が播種され、培養液が入れられる培養容器3には、培養皿、及びチューブ等が使用可能である。培養容器3の材料には、ガラス及び樹脂等が使用可能であるが、これらに限定されない。培養容器3で培養される細胞は、例えば、再生医療に用いられる細胞であり、間葉系幹細胞(MSCs)、分化済みの細胞、iPS細胞、及びES細胞等である。あるいは、培養容器3で培養される細胞は、創薬又は薬物感受性試験用の皮膚細胞であるが、これらに限定されない。また、培養液は、培養される細胞に応じて適宜選択される。
培養容器3の開口部は、例えば、気体を透過させ、液体を実質的に透過させない隔離膜4で覆われる。これにより、培養容器3内部の培養液で満たされていない空間の気体の組成が、雰囲気調整剤2で調整された格納容器1内部と同じになる。また、培養細胞格納容器の輸送及び/又は保管時に、振動等により培養容器3内部の培養液が培養容器3外部に出ることを防止することが可能となる。
隔離膜4のガーレー式透気度は、例えば0.1〜50,000s/100mLであり、好ましくは0.1〜1,000s/100mLであり、より好ましくは0.1〜100s/100mLである。隔離膜4のガーレー式透気度を上記好ましい範囲とすることで、培養容器3内部の気体の組成をより速やかに格納容器1内部と同じにすることが出来ると同時に、培養容器3内部の培養液が隔離膜4を透過して培養容器3外部へ流出することをより抑制しやすくなる傾向にある。
隔離膜4としては、例えば、紙、不織布、マイクロポーラスフィルム、微多孔膜、開孔樹脂フィルム等が使用可能であり、好ましくはHDPE製の不織布や、撥水性のテフロン(登録商標)製微多孔膜(DuPont社製Tyvekフィルムなど)が使用可能である。
格納容器1には、培養容器3を格納容器1内の一定の位置に保持する装着部が設けられていてもよい。あるいは、格納容器1には、地表面に対して培養容器3を水平に保つスウィング機構が設けられていてもよい。さらに、格納容器1には、温度制御機構及び衝撃緩衝機構等が設けられていてもよい。
実施の形態に係る培養細胞格納容器は、72時間以内の細胞の輸送及び/又は保管に使用され、72時間の輸送及び/又は保管中、細胞のp16遺伝子の発現を抑制する。具体的には、72時間培養後の細胞のp16遺伝子の発現量が、雰囲気の酸素濃度が21体積%である場合の細胞のp16遺伝子の発現量と比較して少ない。
実施の形態に係る培養細胞格納容器は、72時間以内の細胞の輸送及び/又は保管に使用される場合、例えば、雰囲気調整剤による格納容器内部の酸素濃度が7体積%以下であり、細胞のp16遺伝子の発現量が、酸素濃度が21体積%である場合と比較して75%以下である。また、実施の形態に係る培養細胞格納容器は、72時間以内の細胞の輸送及び/又は保管に使用される場合、例えば、雰囲気調整剤による格納容器内部の酸素濃度が2体積%以下であり、細胞のp16遺伝子の発現量が、酸素濃度21体積%である場合と比較して25%以下である。
あるいは、実施の形態に係る培養細胞格納容器は、24時間以内の細胞の輸送及び/又は保管に使用され、24時間の輸送及び/又は保管中、p16遺伝子の発現を抑制する。具体的には、24時間培養後の細胞のp16遺伝子の発現量が、雰囲気の酸素濃度が21体積%である場合の細胞のp16遺伝子の発現量と比較して少ない
実施の形態に係る培養細胞格納容器は、24時間以内の細胞の輸送及び/又は保管に使用される場合、例えば、雰囲気調整剤による格納容器内部の酸素濃度が2体積%以下であり、細胞のp16遺伝子の発現量が、酸素濃度21体積%である場合と比較して50%以下である。
3回継代したヒト骨髄由来間葉系幹細胞(MSCs)を用意した。用意した細胞を18個の6cm径の培養皿のそれぞれに播種し、二酸化炭素(CO2)インキュベーター内で80〜90%コンフルエントまで増殖させた。培養液としては、MEM α,Nucleosides,GlutaMAX(登録商標)(Gibco社製)を用いた。なお、培養液には、10%ウシ胎児血清(FBS)(Hyclone社製)、50U/mlペニシリン(ナカライテスク社製)、及び50μg/mlストレプトマイシン(ナカライテスク社製)を含有させた。CO2インキュベーターの内部環境は、37℃、湿度95%、CO2濃度5%に設定した。
次に、容量が2.5Lのジャーを4つ用意し、それぞれのジャーに3個の培養皿を静置した。これにより、CO2インキュベーターに配置されていた18個の培養皿のうち、12個の培養皿がジャーの内部に配置された。また、4つのジャーのうち2つのジャーに、酸素濃度を5±3体積%に制御する雰囲気調整剤(三菱ガス化学株式会社製、商品名「カルチャーパル・ファイブ」)を配置し、さらに、4つのジャーのうちの残りの2つのジャーに、酸素濃度を0.1体積%未満にする雰囲気調整剤(三菱ガス化学株式会社製、商品名「カルチャーパル・ゼロ」)を配置した。その後、4つのジャーを37℃、湿度95%に設定した恒温槽内に配置した。また、ジャー内部に移動されなかった残りの6個の培養皿は、コントロールとして、引き続きCO2インキュベーター内に配置した。このとき、CO2インキュベーター内であってジャーの外部の酸素濃度は、大気組成とほぼ同等であった。
18個の培養皿をジャーに移動してから24時間後、「カルチャーパル・ゼロ」と共にジャーに入れられていた3個の培養皿、「カルチャーパル・ファイブ」と共にジャーに入れられていた3個の培養皿、及びCO2インキュベーター内に直接入れられていた3個の培養皿を取り出し、培養細胞の遺伝子発現解析を行った。さらに、18個の培養皿をジャーに移動してから72時間後、「カルチャーパル・ゼロ」と共にジャーに入れられていた3個の培養皿、「カルチャーパル・ファイブ」と共にジャーに入れられていた3個の培養皿、及びCO2インキュベーター内に直接入れられていた3個の培養皿を取り出し、培養細胞の遺伝子発現解析を行った。
遺伝子発現解析の際には、RNeasy Mini Kit(QIAGEN社製)を用いて、細胞からトータルRNAを抽出した。次に、1μgのトータルRNAをReverTraAce qPCR RT Kit(東洋紡)を用いて逆転写してcDNAを生成し、p16遺伝子の発現をリアルタイムPCRにて定量解析した。その結果を図2に示す。なお、全ての発現量の測定値は、24時間、酸素濃度21体積%で培養された細胞における発現量の測定値で除すことで正規化し、平均値±95%信頼区間として表した。各群間の比較は一元配置分散分析及びTukey−Kramer法を用いて解析した。有意水準は5%未満とした。なお、実験は2回繰り返し、同様の結果が得られることを確認した。
図2に示すように、カルチャーパル・ゼロで酸素濃度が0.1体積%未満に調整された雰囲気に24時間暴露された細胞におけるp16遺伝子の発現量は、酸素濃度が5体積%に調整された雰囲気に24時間暴露された細胞、及び酸素濃度が21体積%である雰囲気に24時間暴露された細胞と比較して、少なくとも50%少なかった(P<0.01)。
また、カルチャーパル・ゼロで酸素濃度が0.1体積%未満に調整された雰囲気に72時間暴露された細胞におけるp16遺伝子の発現量は、酸素濃度が5体積%に調整された雰囲気に72時間暴露された細胞と比較して、少なくとも50%少なかった(P<0.01)。また、カルチャーパル・ゼロで酸素濃度が0.1体積%未満に調整された雰囲気に72時間暴露された細胞におけるp16遺伝子の発現量は、酸素濃度が21体積%に調整された雰囲気に72時間暴露された細胞と比較して25%以下であり、少なくとも75%少なかった(P<0.01)。さらに、カルチャーパル・ゼロで酸素濃度が5体積%に調整された雰囲気に72時間暴露された細胞におけるp16遺伝子の発現量は、酸素濃度が21体積%である雰囲気に72時間暴露された細胞と比較して75%以下であり、少なくとも25%少なかった(P<0.05)。
p16遺伝子の発現は、細胞老化に重要な役割を果たしていると報告されている(例えば、Biochemical and Biophysical Research Communications Volume 391,Issue 3,15 January 2010,Pages1471‐1476参照。)。再生医療用細胞を輸送する際には、輸送時間が短時間であることが多く、p16遺伝子の発現の抑制効果が短時間に表れることが好ましい。これに対し、雰囲気調整剤であるカルチャーパルを用いることによって、24時間という短時間においても、p16遺伝子の発現が抑制できた。
1 格納容器
2 雰囲気調整剤
3 培養容器
4 隔離膜

Claims (24)

  1. 格納容器と、
    前記格納容器の内部の酸素濃度を7体積%以下にする雰囲気調整剤と、
    前記格納容器に格納される、細胞が培養される培養容器と、
    を備える、
    培養細胞格納容器であって、
    72時間培養後の前記細胞のp16遺伝子の発現量が、雰囲気の酸素濃度が21体積%である場合の前記細胞のp16遺伝子の発現量と比較して少ない、
    細胞輸送及び/又は保管用の培養細胞格納容器。
  2. 前記雰囲気調整剤による格納容器内部の酸素濃度が7体積%以下であり、前記細胞のp16遺伝子の発現量が、酸素濃度が21体積%である場合と比較して75%以下である、請求項1記載の培養細胞格納容器。
  3. 前記雰囲気調整剤による格納容器内部の酸素濃度が2体積%以下であり、前記細胞のp16遺伝子の発現量が、酸素濃度21体積%である場合と比較して25%以下である、請求項1記載の培養細胞格納容器。
  4. 格納容器と、
    前記格納容器の内部の酸素濃度を2体積%以下にする雰囲気調整剤と、
    前記格納容器に格納される、細胞が培養される培養容器と、
    を備える、
    培養細胞格納容器であって、
    24時間培養後の前記細胞のp16遺伝子の発現量が、雰囲気の酸素濃度が21体積%である場合の前記細胞のp16遺伝子の発現量と比較して少ない、
    細胞輸送及び/又は保管用の培養細胞格納容器。
  5. 前記雰囲気調整剤による格納容器内部の酸素濃度が2体積%以下であり、前記細胞のp16遺伝子の発現量が、酸素濃度21体積%である場合と比較して50%以下である、請求項4記載の培養細胞格納容器。
  6. 前記雰囲気調整剤が、
    アスコルビン酸類と、
    水と、
    多孔性担体と、
    アルデヒド除去剤と、
    遷移金属触媒、及び/又はアルカリ土類金属水酸化物と、
    を含み、
    前記アルデヒド除去剤が、エチレン尿素、尿素、アルギニン、リジン塩酸塩、又はポリアリルアミンである、
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の培養細胞格納容器。
  7. 前記細胞が再生医療用細胞である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の培養細胞格納容器。
  8. 前記細胞が間葉系幹細胞及び/又はiPS細胞である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の培養細胞格納容器。
  9. 前記細胞が創薬又は薬物感受性試験用の皮膚細胞である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の培養細胞格納容器。
  10. 前記雰囲気調整剤が、前記格納容器の内部の二酸化炭素濃度を、72時間の間、2〜10体積%にする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の培養細胞格納容器。
  11. 前記雰囲気調整剤が、前記格納容器の内部の酸素濃度を、72時間の間、目標濃度の±2体積%にする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の培養細胞格納容器。
  12. 前記培養容器を覆う隔離膜であって、気体を透過させ、液体を実質的に透過させない隔離膜を更に備える、請求項1〜11のいずれか1項に記載の培養細胞格納容器。
  13. 格納容器、前記格納容器の内部の酸素濃度を7体積%以下にする雰囲気調整剤、及び前記格納容器に格納される、細胞が培養される培養容器を備える培養細胞格納容器を用意することと、
    前記培養容器に細胞を播種し、前記培養細胞格納容器で前記細胞を輸送及び/又は保管することと、
    を含む、
    細胞の輸送及び/又は保管方法であって、
    72時間培養後の前記細胞のp16遺伝子の発現量が、雰囲気の酸素濃度が21体積%である場合の前記細胞のp16遺伝子の発現量と比較して少ない、
    方法。
  14. 前記雰囲気調整剤による格納容器内部の酸素濃度が7体積%以下であり、前記細胞のp16遺伝子の発現量が、酸素濃度が21体積%である場合と比較して75%以下である、請求項13記載の方法。
  15. 前記雰囲気調整剤による格納容器内部の酸素濃度が2体積%以下であり、前記細胞のp16遺伝子の発現量が、酸素濃度21体積%である場合と比較して25%以下である、請求項13記載の方法。
  16. 格納容器、前記格納容器の内部の酸素濃度を2体積%以下にする雰囲気調整剤、及び前記格納容器に格納される、細胞が培養される培養容器を備える培養細胞格納容器を用意することと、
    前記培養容器に細胞を播種し、前記培養細胞格納容器で前記細胞を輸送及び/又は保管することと、
    を含む、
    細胞の輸送及び/又は保管方法であって、
    24時間培養後の前記細胞のp16遺伝子の発現量が、雰囲気の酸素濃度が21体積%である場合の前記細胞のp16遺伝子の発現量と比較して少ない、
    方法。
  17. 前記雰囲気調整剤による格納容器内部の酸素濃度が2体積%以下であり、前記細胞のp16遺伝子の発現量が、酸素濃度21体積%である場合と比較して50%以下である、請求項16記載の方法。
  18. 前記雰囲気調整剤が、
    アスコルビン酸類と、
    水と、
    多孔性担体と、
    アルデヒド除去剤と、
    遷移金属触媒、及び/又はアルカリ土類金属水酸化物と、
    を含み、
    前記アルデヒド除去剤が、エチレン尿素、尿素、アルギニン、リジン塩酸塩、又はポリアリルアミンである、
    請求項13〜17のいずれか1項に記載の方法。
  19. 前記細胞が再生医療用細胞である、請求項13〜18のいずれか1項に記載の方法。
  20. 前記細胞が間葉系幹細胞及び/又はiPS細胞である、請求項13〜19のいずれか1項に記載の方法。
  21. 前記細胞が創薬又は薬物感受性試験用の皮膚細胞である、請求項13〜18のいずれか1項に記載の方法。
  22. 前記雰囲気調整剤が、前記格納容器の内部の二酸化炭素濃度を、72時間の間、2〜10体積%にする、請求項13〜21のいずれか1項に記載の方法。
  23. 前記雰囲気調整剤が、前記格納容器の内部の酸素濃度を、72時間の間、目標濃度の±2体積%にする、請求項13〜22のいずれか1項に記載の方法。
  24. 前記培養細胞格納容器が、前記培養容器を覆う隔離膜であって、気体を透過させ、液体を実質的に透過させない隔離膜を更に備える、請求項13〜23のいずれか1項に記載の方法。
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